以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図面において同一の符号を付したものは、同一の構成又は作用をなすものであり、これらについての重複説明は適宜省略した。ここで、以下の実施の形態に記載されている装置構成、構成部品、構成部品の寸法、材質、及び形状、その他相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1に、第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す。本実施形態では、画像形成装置としてレーザビームプリンタを例示して説明する。
まず、図1を参照してレーザビームプリンタの構成を説明する。このレーザビームプリンタは、OPCやa−Si等の光導電層を有する像担持体としての感光体ドラム1を備えている。感光体ドラム1は、装置本体Tによって回転自在に支持されており、メインモータ(不図示)によって矢印A方向に所定の速度で回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、感光体ドラム1を均一に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ2、静電潜像を形成するための露光手段であるレーザースキャナ3、静電潜像をトナーにより顕像化するための現像装置4、記録材Pに感光体ドラム1上のトナー画像を転写するための転写装置である転写ローラ5、感光体ドラム1上に残留する未転写トナーをクリーニングブレード6aによって回収するクリーニング装置6が配設されている。
また、帯電ローラ2には、帯電ローラ2の表面を清掃する清掃ブラシ回転体40が所定の圧力で押圧されている。清掃ブラシ回転体40は、パイル織物からなるブラシ体43を有し、帯電ローラ2に所定の圧力で押圧されて帯電ローラ2からの駆動入力で回転することにより帯電ローラ表面を清掃する。
装置本体Tの下部には、記録材Pを収納した給送カセット7が配置されており、感光体ドラム1の上部には定着装置8が配置されている。そして、装置本体Tの背面に画像形成動作等を制御する制御部11と帯電ローラ2や現像装置4等に高圧を印加する高圧電源部10が配置されている。制御部11上には、画像形成動作等を実行する指令を出す本体CPU11aや定着の温度制御等を実行する定着CPU11b、およびプログラム等が格納されたメモリ11cが搭載されている。なお、ここでの高圧電源部10上には、直流電源と交流電源によって構成されている帯電印加電源10aと、直流電源と交流電源によって構成されている現像印加電源10bと、正と負の各々の直流電源によって構成される転写印加電源10cとが設けられている。プリンタの動作は、制御部11上の各種CPUがメモリ11cから必要なプログラムを読み出して各種制御を実行することによって実現される。
次に、上述構成のレーザビームプリンタの動作を、(1)帯電〜(2)露光〜(3)現像〜(4)転写〜(5)定着〜(6)クリーニングの順に沿って説明する。
(1)帯電
図2は本実施例での画像形成装置における接触帯電装置の詳細である。図示しないメインモータによって矢印A方向に回転駆動された感光体ドラム1に所定の押圧で接触している帯電ローラ2は矢印B方向に回転駆動し(図1参照)、高圧電源部10の帯電印加電源10aから所定の直流電圧(DC帯電方式)、あるいは所定の直流電圧と所定の交流電圧を重畳した電圧(AC+DC帯電方式)が帯電ローラ2の金属軸を通して帯電ローラ2から帯電バイアスとして印加される。これにより、所定の速度で回転駆動している感光体ドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に接触帯電される(本実施例においては、−500〜−800V)。また、本実施例においては帯電ローラ清掃ブラシ回転体40にも帯電ローラ2に供給している帯電印加電源10aから分岐した同じ極性のバイアスが印加されている。なお、帯電ローラ清掃ブラシ回転体40に印加するバイアスは、帯電ローラ2に印加する高圧電源と共通でも個別の電源でも構わない。
なお帯電ローラ2は、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)を有する導電性弾性ローラである。帯電ローラ2は、ローラ軸体の両端部をそれぞれ軸受部材を介して回転自在に支持させ、ローラ軸線を感光体ドラム1のドラム軸線に対してほぼ並行に配列して感光体ドラム1に対して所定の押圧力で接触させて配設されている。本実施例において、この帯電ローラ2は感光体ドラム1の回転に従動して回転する。この帯電ローラ2にはローラ軸体(導電性支持体、芯金)上にパイル織物からなるブラシ43で構成されている帯電ローラ清掃ブラシ回転体40として図示しないバネの加重(本実施例においては片側100〜300gf)によって所定の押圧力で配設されている。なお、本実施例では、帯電ローラ2による接触帯電方式を採用しているが、帯電方式は感光体ドラム1を負極性に帯電させるものであれば、接触帯電方式でなくても構わない。
(2)露光
そして帯電後の感光体ドラム1は、その表面に対し露光手段であるレーザースキャナ3によって画像情報に基づいて画像露光がなされ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。なお、本実施例では半導体レーザ(波長780nm)の走査露光によって露光がなされているが、感光体ドラム1上を露光できる方式であれば半導体レーザーでなくてもLEDアレイによる露光であっても構わない。
(3)現像
露光によって形成された感光体ドラム1上の静電潜像は現像装置4によって現像される。本実施例での現像装置4は、アルミローラ表面にブラスト加工やカーボンをコートして所定の表面粗度を有するようにした現像スリーブ4aを有している。現像装置4は、この現像スリーブ4aに高圧電源部10の現像印加電源10bから所定の直流電圧と所定の交流電圧を重畳した現像バイアス(AC+DC帯電方式)を印加して感光体ドラム1上の静電潜像にトナーを付着させトナー像として現像(顕像化)する。なお、本実施例での現像方式は、一成分磁性ネガトナーを用いた一成分反転ジャンピング現像方式であるが、他にも感光体ドラム1に対して接触状態で現像する方法(一成分接触現像)や、現像剤であるトナーに対して磁性キャリアを混合し、この現像剤を磁気力により搬送して感光体ドラム1に対して接触状態で現像する方法(二成分接触現像)や、上記二成分現像剤を感光体ドラム1に対して非接触状態で現像する方法(二成分非接触現像法)があり、何れも好適に用いることができる。
(4)転写
感光体ドラム1上に現像されたトナー像は、感光体ドラム1の回転駆動によって転写ローラ5部に回転移動する。このタイミングに合わせて給送カセット7に収納されている記録材Pは、図示しない給送ローラや搬送ローラによって搬送され、感光体ドラム1と転写ローラ5との間の転写ニップ部Nに搬送される。そして、転写ニップ部Nに記録材Pが搬送されるタイミングで高圧電源部10の転写印加電源10cから転写ローラ5に現像剤と反対極性の所定の直流電圧が印加されることによって感光体ドラム1に付着したトナー像が記録材Pに順次静電的に転写される(本実施例においてはトナーがマイナス極性なので、その逆極性に当たるプラスの直流電圧(+1〜5KV)を転写ローラ5に印加している)。本実施例においては感光体ドラム1と接触する接触転写ローラ方式を用いているが、他にもタングステンや金ワイヤに20〜30KVの高電圧を印加して放電させる非接触コロナ放電転写方式でも、ITBからなる転写ベルトにトナー像を転写させた後に記録材Pへ転写させる中間転写ベルト方式でも構わない。また、本実施例における転写ローラ5は金属ローラ軸上にNBRゴム(アクリルニトリルブタジエンゴム)とヒドリンゴムの混合ゴムを発泡させたスポンジゴムを配設したイオン導電性ゴムローラであるが、他にもEPDMゴム(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)にカーボンブラックを分散させた電子導電性ゴムローラでも構わず、何れも好適に用いることができる。
(5)定着
次に図3を用いて定着装置8について説明を行う。静電的にトナー像を担持した記録材Pは、図示しない搬送ガイドに沿って定着装置8に搬送される。定着装置8は、定着部材21あるいは加圧部材22を回転駆動させる定着モータM2と、ガイド部材23に支持されてトナーを加熱する加熱部材20(抵抗体及びアルミナで構成されるセラミックヒータ)と、この加熱部材20を内包する筒状の回転体である定着部材21(表層にPFAやPTFEをコートした厚さ40〜100μmのポリイミドフィルムからなる定着フィルム)と、この定着部材21を加圧して定着ニップ部Nを形成する別の定着回転体で弾性を有する加圧部材22(回転金属軸体22a上に基層となるEPDMゴムやシリコンゴムあるいはフッ素ゴムを発泡させたスポンジゴム層22bとシリコンゴムやフッ素ゴムあるいはフッ素樹脂など耐熱性を有した樹脂から形成される表層22cによって構成される加圧ローラ)とを主要構成部材としてなる。プリント信号を受信すると定着CPU11bは加熱部材20に所定の温度設定にするよう指示し、定着CPU11bはサーミスタ24が所定の温度を検知するまでセラミックヒータ20に通電を行うことで定着ニップ部Nにて加熱をし、未定着のトナーを記録材Pに定着させた後に記録材Pは図示しない機外の排出トレイに排出される。本実施例では、オンデマンド定着方式を用いているがこれに限定されるものではなく、トナーを記録材P上に定着させるものであればヒートローラ方式でも電磁誘導加熱方式でも構わない。
(6)クリーニング
一方、図1に示すようにトナー像転写後の感光体ドラム1は、記録材Pに転写されないで感光体ドラム1表面に残ったトナーや紙粉等がクリーニング装置6のクリーニングブレード6aによって除去される。クリーニング装置内に捕集されたトナーは図示しない回収トナー搬送スクリューによって機外に排出されて回収トナーボックス内に搬送される。本実施例におけるクリーニングブレード6aは注型タイプを用いたブレードクリーニング装置6である。注型タイプとは型にゴム材などを流し込むことで所望の形状に成形するクリーニングブレードのタイプである。このゴムブレードの材質としては、一般的なものとして例えばポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロプレン、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、二トリルゴム、クロロプレンゴム等のエラストマー等適度の弾性と硬度を有する材料であればいずれでもよい。特に、永久歪が小さいことを考えて、2液性熱硬化型ポリウレタン材料を用いることもある。硬化剤としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ハイドロキノンジエチロールエーテル、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の一般的なウレタン硬化剤を用いることができる。この短冊状のゴムの厚みは通常1.0mm〜4mm、好ましくは1.5mm〜2.0mmが良い。本実施例では、注型タイプのクリーニングブレードを用いているがこれに限定されるものではなく、感光体ドラム上のトナーや紙粉、填料等を除去できるものであれば、板状接着タイプ、挟み込みタイプ、チップタイプのクリーニングブレードでも構わない。また、研磨効果のあるクリーニング方式であれば特にクリーニングブレードに限定されるものではない。
以上の(1)〜(6)動作を繰り返すことで、次々と画像形成を行うことができる。
以下に本実施例における、機能材料である感光体ドラム1について詳細に説明する。
(2)感光体ドラム
本実施例で用いた感光体ドラム1の概略構成を図4を用いて説明する。ただ、この感光体ドラムについては、長寿命を意識したもので、これに限るものではなく、また、今回説明する表面保護層は無くても良い。
本実施例で用いた積層型の感光ドラム1は、電荷発生物質を含有する電荷発生層54と電荷輸送物質を含有合する電荷輸送層55を、順次または逆順に積層した構成である。層54+55が感光層である。さらに、感光層53又は54+55上に表面保護層56を形成することも可能である。
また、電子輸送層の膜厚を最適化させるために、膜厚の幅を持たせる意味で、表面保護層56を用いることが良い。少なくとも感光体ドラム1の表面層が、熱や可視光、紫外線などの光、さらに放射線により重合または架橋し硬化させることができる化合物を含有していればよい。
そして、感光体としての特性、特に残留電位などの電気的特性及び耐久性の観点から、積層型の感光体ドラムが好ましい。すなわち、電荷発生層54及び電荷輸送層55を順次積層した機能分離型の感光体構成、または、この機能分離型の感光体構成で積層された感光層上に、さらに表面保護層56を形成した構成を感光体ドラム1の長寿命化を図るため、本実施例で採用した。
表面保護層56における、重合または架橋における化合物の硬化方法としては、感光体特性の劣化が少なく、残留電位の上昇が発生せず、十分な硬度を示すことができることから、好適には、放射線が用いられる。
この重合または架橋を発生させる際に使用する放射線としては、電子線またはガンマ線が望ましい。これらのうちの電子線を使用する場合、加速器として、スキャニング型、エレクトロンカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型などのあらゆる形式を使用することが可能である。
また、電子線を照射する場合においては、感光体ドラム1における電気特性及び耐久性能を発現するために、照射条件としては、加速電圧を250kV以下とするのが好ましく、150kV以下がより好ましい。また、照射線量を、10kJ/kg以上1000kJ/kg以下の範囲内にするのが好ましく、15kJ/kg以上500kJ/kg以下の範囲内とするのがより好ましい。
加速電圧が上述の範囲の上限より大きいと、感光体特性に対する電子線照射による損傷、いわゆるダメージが増加する傾向にある。また、照射線量が上述の範囲の下限より少ないと、硬化が不十分となりやすい。また、線量が多い場合には感光体特性の劣化が生じやすいため、この観点から、線量は、上述の範囲内から選択するのが望ましい。
また、重合または架橋が生じて硬化可能な表面層用の化合物としては、反応性の高さ、反応速度の速さ、及び硬化後に達成される硬度の高さの観点から、分子内に不飽和重合性官能基を含むものが好ましい。
さらに、不飽和重合性官能基を分子内に有する分子の中でも、特に、アクリル基、メタクリル基及びスチレン基を有する化合物が好ましい。
また、不飽和重合性官能基を有する化合物とは、その構成単位の繰り返しの状態により、モノマーとオリゴマーとに大別される。モノマーとは、不飽和重合性官能基を有する構造単位の繰り返しがなく、比較的分子量の小さいものを示す。他方、オリゴマーとは、不飽和重合性官能基を有する構造単位の繰り返し数が2〜20程度の重合体である。また、ポリマーまたはオリゴマーの末端のみに不飽和重合性官能基が結合した、いわゆるマクロノマーを、表層用の硬化性化合物として使用することも可能である。
また、不飽和重合性官能基を有する化合物は、表面層として必要とされる電荷輸送機能を満足させるために、化合物が電荷輸送化合物を採用することが、より好ましい。この電化輸送化合物の中でも、正孔輸送機能を持った不飽和重合性化合物であることがさらに好ましい。
感光体ドラム1の支持体51としては、導電性を有するものであれば良い。具体的には、たとえばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属や、これらの合金を、ドラムまたはシート状に形成したものを挙げることができる。また、アルミニウム及び銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫などをプラスチックフィルムに蒸着したものを挙げることができる。また、導電性物質を単独または結着樹脂とともに塗布することにより導電層を設けた金属、または、プラスチックフィルムや紙などを挙げることができる。
また、導電性支持体51の表面上には、バリアー機能と接着機能とを有する下引き層52を設けることができる。
下引き層52は、感光層53又は54+55の接着性改良、塗工性改良、支持体51の保護、支持体51の被覆、支持体51からの電荷注入性改良、または感光層53又は54+55の電気的破壊に対する保護などのために形成される層である。
この下引き層52の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミドを使用することができる。また、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、ニカワ及びゼラチンなどを使用することができる。これらの材料は、それぞれに適合した溶剤に溶解されて支持体51の表面に塗布される。そして、この下引き層52の膜厚は、好適には、0.1〜2μmである。
感光体が機能分離型の感光体ドラム1である場合は、電荷発生層54及び電荷輸送層55を積層する。
電荷発生層54に用いる電荷発生物質としては、セレン−テルル(Se−Te)、ピリピウム、チアピリリウム系染料を挙げることができる。また、各種の中心金属及び結晶系、具体的には、たとえばα、β、γ、ε、及びX型などの結晶型を有するフタロシアニン系化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料を挙げることができる。また、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、クナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及びアモルファスシリコンなどを挙げることができる。
また、機能分離型の感光体ドラム1の場合、電荷発生層54は、電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤とともに、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミルなどの手段によって良好に分散する。そして、その分散液を塗布し、乾燥させて形成されるか、または電荷発生物質の蒸着膜など、単独組成の膜として形成される。ここで、この電荷発生層54の膜厚は、典型的には、5μm以下であり、好適には、0.1〜2μmである。
また、結着樹脂を用いる場合の例は、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、などのビニル化合物の重合体及び共重合体を挙げることができる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネイト、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
不飽和重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、上述した電荷発生層54上に電荷輸送層55として用いることができる。または、電荷発生層54上に、電荷輸送層55と結着樹脂とからなる電荷輸送層55を形成した後に、表面保護層56として用いることもできる。
そして、正孔輸送性化合物を表面保護層56として用いた場合、その下層にあたる電荷輸送層55は、適当な電荷輸送物質を、上述の電荷発生層用樹脂から選択可能で適当な結着樹脂とともに溶剤に分散または溶解する。そして、その溶液を、上述の公知の方法によって塗布し、乾燥させて形成することができる。
電荷輸送物質としては、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチルアントラセンなどの複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物を挙げることができる。また、ピラゾリン、イミダゾール、オキサドール、トリアゾール、またはカルバゾールなどの複素環化合物を挙げることができる。また、トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン誘導体、フェニレジンアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体などの低分子化合物などを挙げることができる。
電荷輸送層55における電化輸送物質の重量が、これらの範囲より小さいと、電荷輸送能が低下し、感度低下や残留電位の上昇などの問題点が発生する。この場合に、本例における電荷輸送層55の厚みは、10〜30μmの範囲である。
いずれの場合も、表面保護層56の形成方法は、正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合または硬化反応させるのが一般的である。なお、あらかじめ正孔輸送性化合物を含む溶液を反応させることにより硬化物を得た後、再度溶剤中に分散または溶解させたものなどを用いて、表面層を形成することも可能である。
また、上述の溶液を塗布する方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、及びスピンコーティングなどが知られている。そして、効率性/生産性の観点から、溶液を塗布する方法としては、浸漬コーティング法が望ましい。なお、蒸着やプラズマ処理などの、その他公知の製膜方法を適宜選択することが可能である。
また、表面保護層中56においては、導電性粒子を混入させることも可能である。この導電性粒子としては、金属、金属酸化物及びカーボンブラックなどを挙げることができる。
これらの導電性粒子としての金属は、具体的には、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、ステンレス及び銀を挙げることができ、さらに、導電性粒子としては、これらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したものなどを挙げることができる。
また、導電性粒子としての金属酸化物は、具体的には、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスを挙げることができる。また、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウムなどを挙げることができる。
また、これらの金属酸化物は、それぞれ単独で用いたり、2種類以上を組み合わせて用いたりすることが可能である。なお、2種以上を組み合わせる場合には、単に混合することも可能であり、固溶体や融着を施すことも可能である。
また、導電性粒子の平均粒径は、表面保護層56の透明性の観点から、0.3μm以下にすることが好ましく、より好適には、0.1μm以下にすることが望ましい。さらに、上述した導電性粒子の材料において、透明性などの観点から金属酸化物を用いることが特に好ましい。
表面保護層56中における導電性金属酸化物粒子の割合は、直接的に表面保護層の抵抗を決定する要因の1つである。したがって、保護層の比抵抗は、108〜1013Ωm(1010〜1015Ωcm)の範囲にすることが望ましい。
また、表面保護層56中にはフッ素原子含有樹脂粒子を含有することも可能である。このフッ素原子含有樹脂粒子としては、4フッ化チレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及び、これらの共重合体などが挙げられる。そしてこれらの中から少なくとも1種類以上を適宜選択するのが好ましい。
そして、上述のフッ素原子含有樹脂粒子としては、特に、4フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。なお、樹脂粒子の分子量や粒径は、適宜選択することが可能であり、必ずしも上述の分子量や粒径に限定されるものではない。
表面保護層56中におけるフッ素原子含有樹脂の割合は、表面層の全質量に対して、典型的には、5〜40重量%であり、好適には、10〜30重量%である。これは、フッ素原子含有樹脂粒子の割合が、40重量%より多いと表面層の機械的強度が低下し易くなり、5重量%より少ないと表面層の表面の離型性、表面層の耐磨耗性や耐傷性が不十分になる可能性があるためである。分散性、結着性及び対候性をより向上させるために、表面保護層56中に、ラジカル補足剤や酸化防止剤などの添加物を加えることも可能である。表面保護層56の膜厚は、好適には、0.2〜10μmの範囲であり、より好適には、1〜5μmの範囲である。
(3)トナー
本例において、静電潜像の現像のために使用されるトナーとしては、色成分剤、結着樹脂、脂肪族炭化水素−炭素数9以上の芳香族炭化水素共重合石油樹脂、ワックス、磁性剤等で形成された粒径7μmのものが使用されている。
結着樹脂としては、従来公知の樹脂が使用できる。例えば、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。かかるポリエステル樹脂はポリオール成分とポリカルボン酸成分から重縮合により合成される。使用されるポリオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ブタンジオールが挙げられる。また、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノール−Aエチレンオキサイド付加物、ビスフェノール−Aプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。ポリカルボン酸成分としては、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸が挙げられる。また、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸1,2,5ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパンテトラメチレンカルボン酸及びそれらの無水物が挙げられる。
また、トナー中に含まれる脂肪族炭化水素−炭素数9以上の芳香族炭化水素共重合石油樹脂はワックスの分散助剤として作用する。このため、樹脂中のワックス分散、低温定着性を維持したまま耐オフセット性、粉砕性、現像担持体へのワックスのフィルミングによる帯電劣化が原因の画像濃度低下、像担持体へのフィルミングによる被写体の画像不良の発生が著しく改善される。また、磁性現像剤に添加する場合も同様の効果が得られる。
この芳香族炭化水素共重合石油樹脂は、石油類のスチームクラッキングによりエチレン、プロピレンなどを製造するエチレンプラントから副生する分解油留分に含まれるジオレフィン及びモノオレフィンを原料として合成されたものである。下記のような脂肪族炭化水素モノマーと芳香族炭化水素モノマーを共重合させたものが望ましい。脂肪族炭化水素モノマーは、イソプレン、ピペリレン、2−メチル−ブテン−1、2−メチルブテン−2から選ばれる少なくも1種以上である。芳香族炭化水素モノマーは、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン、イソプロペニルトルエンから選ばれる少なくも1種以上である。
芳香族炭化水素モノマーとしては、モノマー純度の高いピュアモノマーを使用すると、樹脂の着色や、加熱時の臭気を低く押さえることができるのでより好ましい。芳香族炭化水素モノマーの純度としては95%以上、より好ましくは98%以上である。芳香族炭化水素モノマーは、炭素数が9以上のモノマーからなる。このモノマーと脂肪族炭化水素モノマーから得られる共重合石油樹脂の場合には、炭素数が9未満の芳香族炭化水素モノマーと脂肪族炭化水素モノマーから得られる共重合石油樹脂に比べて結着樹脂、例えば、ポリエステル樹脂との相溶性がより高くなる。さらに、トナーの粉砕性や熱保存性を満足するために脂肪族炭化水素−炭素数9以上の芳香族炭化水素共重合体の構成としては芳香族炭化水素モノマー量が多いほうが好ましい。ただし、芳香族炭化水素モノマーの量が多すぎると、離型剤の分散性が悪くなる。一方、脂肪族炭化水素モノマーが多すぎると、熱保存性等が低下する。そのため、芳香族炭化水素モノマー量と脂肪族炭化水素モノマー量の重量は、99:1〜50:50、より好ましくは98:2〜60:40、さらに好ましくは98:2〜90:10である。また、その使用量としてはトナー結着樹脂100重量部に対して2〜50重量部である。より好ましくは3〜30重量部である。前記石油樹脂の量が2重量部未満の場合、ワックス分散に効果がなく、50重量部を越えるとトナーが過粉砕性されやすくなり、現像機の中でトナーの粒子径が小さくなって、カブリが生じ、画像濃度が低濃度となり、現像性が低下するおそれがある。
更に、トナーの表面に表面処理剤(外添剤)として微粉体を付着させることにより、トナーの流動性を向上できる。これは、この様な微粉体として疎水性シリカ等を使用するが、疎水性シリカをトナーの表面に付着すると、流動性が向上するのみならず、トナーのクリーニング性及び帯電性も向上できる。
また、疎水性シリカ以外の微粉体も使用可能である。例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化セリウム、脂肪酸金属塩、ポリ弗化ビニリデン、ポリスチレンやマグネシウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、マンガン、クロム、セリウム、ストロンチウム、錫等の酸化物の微粉体も使用可能である。また、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、錫酸バリウム、錫酸カルシウム等の複合金属酸化物である、無機酸化物微粉体も使用可能である。炭酸塩化合物としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等がある。これらの中でもカラートナーでは、疎水性シリカ、モノクロトナーではチタン酸ストロンチウムがよく用いられる。
なお、表面処理剤の使用量は、トナー100質量部に対して、普通、質量として0.1〜20%とする。
上記研摩粒子を表面処理剤として使用することでより効果が増す。ただし、この場合、この研摩剤に限って言えば、質量は1%以下にしなければならない。1%より多くいれると現像性、及び、濃度の低下に影響を及ぼす。
(4)画像流れレベル検出手段
次に、図1に基づき、本実施形態に係る検出手段としての濃度センサ9の配置、構成及びトナー像の読み取りについて説明する。
濃度センサ9は、感光体ドラム1に形成されたトナー像を読み取り、トナー像の濃度を検出するために設けられている。そして、この濃度センサ9は、画像流れ検出用のトナー像としての少なくとも2種類のパターン画像P1,P2を読み取る。本発明は、この画像流れ検出用の少なくとも2種類のパターン画像P1,P2の読み取り結果により画像流れレベルを正確に検出し、感光体ドラム1にトナーをのせ、クリーニングブレード6aにより研磨して感光体ドラム1の表面の清掃を行う画像流れ回復動作の時間が画像流れレベルに応じて決定される点に特徴を有する。尚、画像流れ検出用パターン画像P1,P2の画像データは、制御部11内のメモリ11cに記憶され、画像流れ回復動作実行前に読み出され、利用される。
この画像流れ検出用パターン画像P1,P2の読み取りのため、濃度センサ9は、例えば、図1に示すように、各画像形成ユニットにおいて、現像装置4と転写ローラ5の間に設けることができる。
次に、図5に基づき、濃度センサ9の概略構成を説明する。本実施形態の濃度センサ9は、発光部91と受光部92A,92Bを有し、発光部91が感光体ドラム1の表面を照射する。このとき照射された光は偏光板95AによってP波(入射面に平行な光)、S波(入射面に垂直な光)に分離されP波のみが感光体ドラム1上のトナー像へ到達する。トナー像へ照射された光は再びP波、S波の成分を持ちながら反射し受光部92A,92Bへ照射されるが、入射時に再度偏光板95BによってP波、S波に分離され、それぞれが受光部92A(S波反射光受光部),92B(P波反射光受光部)へ照射され受光する。尚、発光部91は、例えばLEDやレーザダイオード等の発光素子で構成でき、受光部92A,92Bは、フォトダイオードやフォトトランジスタ等の受光により電流(電圧)を出力する受光素子で構成できる。
そして、受光部92A,92Bの出力は、感光体ドラム1の表面の反射光を受けている場合と、トナー像の反射光を受けた場合とではP波、S波の強度比率が異なるためそれぞれの出力比率は異なる。又、トナー像の反射光を受けた場合でも、光のP波、S波の吸収度や反射率等の差により、読み取ったトナー像の濃度により、受光部92A,92Bの出力比率は異なる。この出力比率を演算するため、受光部92Aと受光部92Bの出力は、CPU11aに入力される。そして、CPU11aが受光部92A,92Bの出力比率を演算する。
このように、トナー像の濃度や読み取ったトナー量と受光部92A,92Bの出力比率には、対応する関係があり、その関係を予め実験等で取得しておき、例えば、制御部11のメモリ11cに、濃度と出力比率との対応関係をデータとして、例えば、テーブル化して記憶しておく。そして、濃度検出(測定の際)、受光部92A,92Bの出力を受け、制御部11に配されるCPU11aが、トナー量に応じ、各受光部92の出力からトナー像の濃度を演算して、トナー像の濃度を検出することができる。
尚、図5に示すように、CPU11aから発光部91の発光のON/OFFや発光量の調整等のため、CPU11aのディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換部93を設けることができる。又、CPU11aで扱えるように、受光部92Aのアナログ出力をディジタル値に変換するS波用のA/D変換部94Aを設けることができ、又、受光部92Bのアナログ出力をディジタル値に変換するP波用のA/D変換部94Bを設けることができる。
次に、図6に基づき、本実施形態に係る画像流れ検出用パターン画像P1,P2を説明する。図6は、本実施形態に係る画像流れ検出用パターン画像P1,P2の一例を示す図であり、(a)は、感光体ドラム1の周面の展開図、(b)は、画像流れ検出用パターン画像P1,P2の拡大イメージ図である。
図6(a)に示すように、例えば、画像流れ検出用パターン画像P1,P2は、感光体ドラム1の主走査方向の略中心位置に、感光体ドラム1の周回方向(副走査方向)に感光体ドラム1の少なくとも1周分以上形成される。画像流れ検出用パターン画像P1、P2が少なくとも感光体ドラム1の一周分の長さを必要とする理由としては、部分的な画像流れの発生を確実に検出するためである。そして、この画像を読み取る位置に濃度センサ9が配される。尚、画像流れ検出用パターン画像P1,P2の形成位置及び濃度センサ9の位置は、中央位置に限られず主走査方向内(通紙領域内)において適宜設定できる。また、画像流れ検出用パターン画像のP1,P2は隣接して配置するとは限らず、主走査方向で適宜設定でき、複数の濃度センサを用いずに同じ濃度センサ9で画像流れ検出用パターン画像P1,P2を読み取る場合は、感光体ドラム1の同じ位置に画像流れ検出用パターン画像P1を一周分以上形成した後に、画像流れ検出用パターン画像P2を一周分以上形成し、同一の濃度センサ9によって濃度を読み取っても構わない。また、その時の画像流れ検出用パターン画像P1,P2の形成する順序は特にどちらが先であっても構わない。
画像流れ検出用パターン画像P1,P2の主走査方向での幅は、濃度センサ9の読み取り範囲に合わせ、例えば、10mm程度とすることができる。又、画像流れ検出用パターン画像P1,P2の周回方向における長さは、画像流れの発生を感光体ドラム1の全周について確認するため、例えば、感光体ドラム1の周長と同長とすることができる。すなわち、画像流れ検出用パターン画像P1,P2は、感光体ドラムの通紙領域内の少なくとも一周分の領域内に形成される。これにより、画像形成装置本体Tが長時間停止し、感光体ドラム1の表面の一部に付着したオゾンや窒素酸化物等が付着することで、感光体ドラム1の一部分で画像流れが発生しても、その一部分の画像流れの発生を検出することができる。
画像流れ検出用パターン画像P1,P2は、それぞれ、画像流れが発生した場合の濃度変化が異なるパターン画像となっている。画像流れ検出用パターン画像P1は、複数のラインを感光体ドラム1の回転方向に間隔をあけて形成した第一のパターン画像である。一方、画像流れ検出用パターン画像P2は、画像流れ検出用パターン画像P1を形成するラインより幅の太い複数のラインを感光体ドラム1の回転方向に間隔をあけて形成した第二のパターン画像である。
具体的には、例えば、図6(b)に示すように、画像流れ検出用パターン画像P1は細線パターン、画像流れ検出用パターン画像P2は太線パターンである。濃度センサ9の読み取り範囲に合わせて、例えば、細線パターン(P1)のライン幅aを600dpiの1画素以下、ライン間隔bはa≦b<5aの範囲にし、太線パターンのライン幅cを2a≦c<10a、ライン間隔dをc≦d<2cの範囲にする。この関係が満たすのであれば、現像性低下による濃度低下による濃度の変化との誤検出を防ぎ、軽微な画像流れから精度良く画像流れを検出することが可能となる。
また、上記画像流れ検出用パターン画像P1,P2の条件であれば、バンディングやショックブレ等による濃度変化に対しても画像流れとの区別ができるラインパターンであることを説明する。図8はベタライン比がピークとなるライン幅の説明図である。図9は細線パターンと太線パターンのバンディング前後の紙上トナーのモデル図である。
文字などの線画像において過剰のトナーが感光体ドラム1上に現像されてしまうため、一般的に、線画像の濃度は、面画像の最大濃度(ベタ濃度)よりも高くなる傾向がある。この原因は、同一の画像形成条件により形成されたベタ画像のトナー載り量に対して、線画像のトナー載り量の方が多くなる傾向があるためである。そして、同一の画像形成条件でベタ画像と線画像とを形成した際に、線画像のトナー載り量がベタ画像のトナー載り量に対してどれくらい多いかを示す比率をベタライン比と呼んでいる。ベタライン比は、ベタ画像のトナー載り量に対する線画像のトナー載り量の比率である。
ベタライン比が大きくなる要因は、所定幅以内の線画像の領域における現像電界のエッジ効果であって、数ドットのライン(画像形成装置本体Tでは、600dpiで5ドットライン)でそれが顕著となる。そして、図9に示すように、ライン幅が太くベタライン比が大きい場合は、トナーの載り量が多いのでバンディング等の影響を受けると、トナーの層が崩れて単位面積あたりのトナーの占める面積が広がる。逆に、ライン幅が細くベタライン比が小さい場合は、トナーの載り量が少なくトナーの層が薄いため、バンディング等の影響を受けてもトナーは広がらないので単位面積当たりのトナーの面積はバンディング前後で変わらない。
結果的に、バンディング等の影響を受けると、ベタライン比が大きい太線パターンP2の場合は濃度が高くなるが、ベタライン比が小さい細線パターンP1の場合は太線パターンP2に比べて濃度に大きな変化はないので、画像流れと誤検知することはない。
次に、画像流れレベルの判定方法の順序の一例について下記に示す。
(1)感光体ドラム1の中央部に2種類の横罫線パターン画像P1,P2をドラム1周分形成する。
(2)各パターン画像の濃度センサ出力値から濃度値を算出する。
(3)ドラム1周分の濃度プロファイルを作成し、最大、最小、平均値を取得し、正規濃度と比較する。
(4)検出パターン1(細線パターン画像P1)の1周分の濃度平均値が正規濃度よりも低下していれば濃度最小値を選択する。
(5)検出パターン2(太線パターン画像P2)の1周分の濃度平均値が正規濃度よりも増加傾向であれば濃度最大値を選択し、低下傾向であれば濃度最小値を選択する。
(6)前述の(4)及び(5)で選択された部分が画像流れの最悪ポイントとし、その部分で画像流れレベルを判定する。
一例として、画像流れの最悪ポイントを基準にして画像流れレベルを判定したが、感光体ドラム1上の画像流れ検出パターンの平均値を基準にして画像流れレベルを判定することもユーザーが適宜変更することが可能である。
図1に基づき、本発明の実施形態に係る画像形成装置本体Tのハードウェア構成の一例について説明する。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置本体Tの各部、各部材の動作制御のため制御部11が設けられる。制御部11は、画像形成装置本体Tを構成する画像形成部の各部と接続され、例えば、感光体ドラム1等の回転、帯電、現像、転写、定着等の多様な制御を行う。
そして、例えば制御部11に、本体CPU11a、定着CPU11b等が設けられる。前記本体CPU11a、定着CPU11bは、中央演算処理装置であり、制御用プログラム、データに基づき、画像形成装置本体Tの各部に制御信号を発し、各部からの信号を受け、各種演算等を行う。又、メモリ(記憶部)11cは、図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュROM等の揮発性と不揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。メモリ(記憶部)11cは、制御プログラム、制御データ、画像データ、設定データ等のデータを記憶する。
又、図5で説明したように、制御部11には、濃度センサ9が接続され、制御部11は、濃度センサ9の発光部91の発光を制御し、又、受光部92A,92Bの出力を受け、メモリ(記憶部)11cのデータを参照して、例えば、本体CPU11aが、濃度センサ9が読み取ったトナー像の濃度を演算する。
そして、本実施形態の画像形成装置本体Tでは、電源投入時や画像形成枚数が一定に達した場合、画像形成装置本体Tが印刷を終了してから一定時間を経過した場合等、任意の時点で、感光体ドラム1をトナーで研磨して清掃するための画像流れ回復動作が行われる。そして、画像流れ回復動作のためのプログラムやデータは、メモリ(記憶部)11cに記憶され、制御部11は、画像流れ回復動作実行時、このプログラムに基づき、レーザスキャナ3、感光体ドラム1、現像装置4、クリーニング装置6、定着装置8等を駆使して画像流れ回復動作を行う。
具体的に、画像流れ回復動作とは、感光体ドラム1の周面全体にわたり、一定濃度(例えばベタ塗り)のトナー像を形成した状態で、クリーニング装置6のクリーニングブレード6aを感光体ドラム1に当接させ、定着装置8の温調制御を所定の設定温度(例えば110℃)に保つように設定し、一定時間、感光体ドラム1を回転させ、定着装置8の温調制御により感光体ドラム1の表面を温めて感光体ドラム1上の水分を除去しながら研磨する。即ち、感光体ドラム1にトナーをのせ、クリーニングブレード6aにより研磨し、放電生成物が水分と吸着しないように水分を除去しながら感光体ドラム1の表面の清掃を行う。尚、トナーには、研磨を効果的に行うため、研磨成分を含ませても良い。この感光体ドラム1の研磨により、付着した放電生成物、粉塵等の感光体ドラム1の汚れを除去することができる。放電生成物がタルクの含有した紙粉によって研磨で除去しきれない等の場合であっても、感光体ドラム1の表面を温めて水分を除去しているので、オゾンや窒素酸化物等の付着等を要因とする画像流れが解消される。
この画像流れ回復動作自体は、従来、画像形成装置で行われることはあったが、本実施形態の画像形成装置本体Tは、画像流れ検出用パターン画像P1,P2の画像流れ発生時の濃度変化の特徴を生かし、現像装置4の現像性の低下やメカバンディング、ショックブレ等による濃度変化との誤検知を防ぐことが可能で、濃度センサ9の読み取り時の出力で、画像流れ回復動作の実行時間を変化させることを行っている。
この画像流れ検出用パターン画像P1,P2の画像流れ発生時の濃度変化の特徴を図7(a)に示す。細線パターンP1は現像部における電界強度(エッジ効果)が弱く、ベタライン比が小さいため、画像流れに対して感度が高く、正規濃度から濃度が直線的に低下する。一方、太線パターンP2は細線パターンP1に比べて電界強度(エッジ効果)が強いため、画像流れレベルが悪化し始めると、徐々に潜像が広がり実際のライン幅である図7(b)よりも太くなっていく。そして、図7(c)のようにトナーの載る面積が広がり単位面積あたりのトナーの占める面積が大きくなり濃度が高くなる。さらに画像流れが悪化すると、潜像が浅く広がるのでトナーが載らなくなっていき、濃度は薄くなっていく。
又、バンディングによる濃度変化はベタパッチ等の場合は画像流れによる濃度変化と惑わされることが多いが、バンディングの影響を受けにくい細線パターンP1と、影響を受けにくい太線パターンP2の両方の濃度を検出し、濃度と濃度変化の発生場所を比較することで、バンディングによる濃度変化か画像流れによる濃度変化かを確実に切り分けることができるので、画像流れレベルの誤検出は発生することはない。
そこで、図10に基づき、本発明の実施形態に係わる画像形成装置本体Tの画像流れ回復動作実行時間の決定について説明する。図10(a)は、濃度センサ9の出力に応じて画像流れレベルを判定し、その画像流れレベルに応じて画像流れ回復動作実行時間を決定する際に用いるテーブルtb1の一例を示す表図であり、図10(b)は画像流れレベルに応じたパターン画像P1,P2の濃度センサの出力値の変化の一例を示す図である。
まず、図10(a)について説明する。図10(a)は、上述したように、濃度センサ9の出力に基づき画像流れ回復動作実行時間を決定する際に利用するテーブルである。このテーブルtb1は、メモリ(記憶部)11cに記憶させておくことができる。
このテーブルtb1の内、濃度センサ出力値D1,D2とは、濃度センサ9の出力に対し、本体CPU11aが演算して得られた結果であり、濃度センサ9の受光部92Aと受光部92Bの出力比率からパターン画像P1,P2の濃度値そのものを算出したものである。
ここで、画像流れの度合が強いほど、感光体ドラム1上での表面抵抗が低下して電荷を保持できず、電荷が流れ、トナーを乗せる部分と乗せない部分との電位差が少なくなる傾向が現れる。言い換えると、レーザスキャナ3からのレーザ光により電荷がキャンセルされた画素に、電荷がキャンセルされていない部分の電荷が流れ込む。例えば、感光体ドラム1を負帯電させる場合、電荷がキャンセルされた画素の部分の電位が落ち込む。
そうすると、画像流れレベルに応じて感光体ドラム1に付着するトナーの載り量、トナーの載る面積が、パターン画像P1,P2によって特有の傾向を示すので、画像流れレベルに応じて濃度も変化する。その一例として、示した図が図10(b)で、画像流れレベルに応じたP1,P2の濃度センサの出力値の変化を示している。
この濃度センサ9の出力に対する濃度値がテーブルtb1におけるD1、D2となる。例えば、濃度センサ出力値D1が、0〜1.5までの値をとるとすれば、0<(X1、X2、X3、X4、X5、X6)≦1.5となる。また、濃度センサ出力値D2が、0〜1.5までの値をとるとすれば、0<(Y1、X2、X3、Y4、Y5)≦1.5となる。従って、例えば、X1=0.25、X2=0.1、Y1=0.75、Y2=0.85のような値をとる。尚、各閾値X、Yは、0<X1<X2<X3<X4<X5<X6<1.5、0<Y1<Y2<Y3<Y4<Y5<Y6<1.5の関係がある。
そして、画像流れ回復動作実行時間は、濃度センサ出力値D1と各閾値X1〜X6、濃度センサ出力値D2と各閾値Y1〜Y5との比較を、例えば本体CPU11aが比較を行い、濃度センサ出力値D1,D2の値により定められる。例えば、細線パターン画像P1の濃度センサ出力値D1がX6<D1≦X5かつ太線パターン画像P2の濃度センサ出力値Y1がD2≦Y5ならば、図10(a)に示すように、画像流れ回復動作実行時間は120秒と定められる。同様に、X4<D1≦X3=0.9かつY4<D2≦Y3ならば60秒、X1≦D1<X2かつY2<D2≦Y1ならば20秒、0.6≦D1<X1かつY1<D2≦0.4ならば10秒と定められる。細線パターン画像P1と太線パターン画像P2の濃度センサの出力値が図10(a)の表に当てはまらなければ、現像性低下などによる濃度低下、あるいはメカ的なバンディング、ショック等による別要因の濃度変化と判断することができ、画像流れによる濃度変動との切り分けが可能となる。
従って、画像流れレベルが軽いほど、所望のトナー濃度が得られ、文字、細線再現性等のレベルも良く、画像流れレベルが重い場合よりも画像流れ回復動作実行時間を短くする。尚、画像流れレベルを図10(a)のテーブルtb1の左端欄に記している。なお、図10(a)では、レベル数が大きくなるほど重度の画像流れであるこをと示している。また図10(a)では、画像流れの発生レベルを7段階に分けているが、更に多数の閾値Xを用いることで、より多段階のレベル分けを行うことができ、画像流れ回復動作実行時間も更に多段階に場合分けすることができる。又、本説明の画像流れ回復動作実行時間は例示であり、適宜設定される。
次に、図11に基づき、本実施形態に係る画像形成装置本体Tの画像流れ回復動作制御の一例について説明する。図11は、本実施形態に係る画像形成装置本体Tの画像流れ回復動作制御の一例を示すフローチャートである。まず、図11のスタートは、電源投入時やスリープモードからの復帰時、前回の画像流れ回復動作から一定枚数以上印刷した場合、メンテナンスを行うサービスマンによる画像流れ回復動作実行指示入力等、予め定められる画像流れ回復動作の実行タイミングに到った場合である。
まず、制御部11は、感光体ドラム1に画像流れ検出用パターン画像P1,P2を形成する(ステップS11)。即ち、制御部11は、画像流れ回復動作実行前に感光体ドラム1上に一定濃度(基準となる正規濃度)の濃度検出用のパターン画像P1,P2(例えば、P1の正規濃度0.4、P2の正規濃度0.6)を形成する。尚、感光体ドラム1上に形成されたパターン画像P1,P2の濃度は濃度センサ9により読み取られる。
そして、制御部11は、濃度センサ9の発光を指示し(ステップS12)、濃度センサ9により画像流れ検出用パターン画像P1,P2の読み取りを行わせる(ステップS13)。制御部11は、濃度センサ9からの読取出力を受け、濃度センサ出力値D1,D2を算出する(ステップS14)。次に、制御部11は、濃度センサ出力値D1,D2と正規濃度の値とを比較し、濃度センサ出力値D1,D2の正規濃度からの濃度変位から画像流れレベルを判定する(ステップS15)。そして、画像流れ回復動作の必要性を確認する(ステップS16)。濃度センサ9の出力や濃度センサ出力値D1,D2から、画像流れが発生していないと認められる場合、画像流れ回復動作をあえて行う必要が無いためである。例えば、上述のように、D1が0.4、D2が0.6である場合や、D1,D2が図10(a)のテーブルtb1に該当する濃度センサ出力値ではない場合等である。画像流れ回復動作を行う必要がないと判断されれば(ステップS16のNo)、処理は終了する。
一方、画像流れ回復動作が必要と判断された場合(ステップS16のYes)、制御部11は、メモリ(記憶部)11cに記憶されるテーブルtbから、画像流れ回復動作実行時間を決定する(ステップS17)。即ち、濃度センサ9は、パターン画像P1,P2の濃度を読み取り、制御部11は、濃度センサ9の読み取り結果から画像流れの発生レベルを判断し、発生レベルに応じて画像流れ回復動作実行時間を変化させる。すなわち、制御部11は、濃度センサ9の検出結果から感光体ドラムの表面状態を判断する。上述したように、画像流れ回復動作実行時間は、濃度センサ出力値D1,D2を元に決定される。そして、決定された画像流れ回復動作実行時間に基づき、制御部11は、各部材に画像流れ回復動作を実行させる(ステップS18)。
次に、制御部11は、再度の画像流れ回復動作の必要性を確認する(ステップS19)。例えば、完全な画像流れ解消のため、画像流れの発生レベルが重度の場合に自動的に、又は、操作パネル等への入力等により、画像流れ回復動作実行回数が複数回以上(例えば2回)行う設定であれば、設定された実行回数までに到っていない場合、再度、画像流れ回復動作が必要と判断され(ステップS19のYes)、ステップS11に戻る。一方、再度の画像流れ回復動作が必要なければ(ステップS19のNo)、画像流れ回復動作に関する制御は終了し、画像形成装置本体Tは、再度印刷可能状態となる。
このようにして、本実施形態によれば、制御部11は検出手段である濃度センサ9の検出結果に応じ、画像流れ回復動作時間を変化させるので、画像流れの発生レベルに応じ、確実に画像流れを解消する必要最小限の時間で画像流れ回復動作を行うことができる。又、従来はユーザーが視認できるレベルにまで濃度が薄くなったり、文字がかすれて判別できなくなるレベルにならないと、画像流れを検出することができなかったが、本実施形態によれば、軽微な画像流れの検出が可能となる。その結果、ユーザーが画像流れの現象を目にする前に画像流れの回復動作を実行することが可能になる。又、従来、画像流れの発生レベルが重度でも解消できるように、余裕を持たせて一定時間画像流れ回復動作が行われていたが、画像流れの発生レベルが低ければ、画像流れ回復動作時間が短くなるので、トナー消費量、消費電力を削減し、又、印刷可能までの使用者の待ち時間を短縮することができる。従って、低ランニングコスト、利便性、生産性の高い画像形成装置(例えば、画像形成装置本体T)を提供することができる。
上記構成の濃度センサ9を組み込んで本体改造したIR3045(キヤノン株式会社製)に上記内容の検討用ソフトにより動作させ、耐久試験を行った。高温高湿環境下(30℃/80%)でトナー載り量0.025g/A4サイズの画像を1枚間欠で通紙画像試験(200K枚)を行い、出力紙の画像を(50K、100K、150K、200K枚)確認した。非常に良好で写真画像、文字画像共に画像上問題ないものとなった。また、長期に渡って画像不良もなかった。
さらに上記本体改造したIR3045(キヤノン株式会社製)に上記内容の検討用ソフトにより低温低湿環境(15℃/10%)、通常環境下(20℃/50%)でトナー載り量0.025g/A4サイズの画像を1枚間欠で通紙画像試験(200K枚)を行い、画像流れの誤検知によって印刷可能時間の延長が発生するか確認をした。通常、画像流れが発生しない環境での耐久確認で、印刷可能時間が延長することはなかった。現像性の低下による濃度低下、バンディング、ショックブレ等による濃度変動等で画像流れレベルの誤検知が発生していないことが確認できた。
上述したように、本実施形態によれば、本体の使用状態、使用環境によらず、記録材として填料を多く含む再生紙や輸入用紙を使用しても、画像流れレベルの誤検出を防ぎ、正確な画像流れレベルの検出を行い、その画像流れレベルに応じた画像流れ回復動作を実行することができる。これにより、簡易な構成でも画像流れを的確に解消しつつ、画像流れ回復動作を必要最小限とし、トナー消費や消費電力の低減や印刷可能となるまでの使用者の待ち時間の短縮を可能とする画像形成装置を提供することが可能になる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。