JP2014136979A - 車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】専用の操作部を要することなく、エンジンを速やかに始動させることができ、それによりスムーズな発進を可能とする車両を提供する。
【解決手段】自動二輪車1は、エンジン45を動力源とする車両である。自動二輪車1は、電装系に通電するためのメインスイッチ40と、乗員の手によって操作され、自動二輪車1の制動のための制動操作および制動解除のための解除操作を受け付けるブレーキ操作部39と、ブレーキ操作部39の操作を検出するブレーキスイッチユニット62と、メインスイッチ40が導通して電装系に通電されている場合において、エンジン45が停止状態のときに、ブレーキスイッチユニット62が制動操作を検出したことに応答して、エンジン45を始動するエンジン制御部70とを含む。
【選択図】図5

Description

この発明は、乗員の手で操作されるブレーキ操作部を有し、エンジンを動力源とする車両に関する。
特許文献1は、ブレーキレバーが操作されてブレーキスイッチがオンであるときに、メインスイッチがスタート位置に切り換えられると、スタータを回転させてエンジンを始動するエンジン始動装置を開示している。
特許第4509427号公報 特開平11−257123号公報 特開2005−264929号公報
特許文献1の先行技術では、エンジンを始動しようとする運転者は、ブレーキレバーを操作しながら、メインスイッチをスタート位置まで操作する必要がある。その後、車両を発進させるには、さらに、メインスイッチからアクセルグリップまで手を移動させ、アクセルグリップを操作する必要がある。したがって、車両を発進させるまでの手順が長く、車両を速やかに発進させることができない。
特許文献2の先行技術では、ハンドルカバーにスタータスイッチが設けられているので、運転者は、ハンドルを握った状態でエンジンを始動できる。したがって、エンジン始動までの操作は、特許文献1の構成よりも速くできる。しかし、ハンドル周辺の制約されたスペースにスタータスイッチを配置しなければならない。そのため、ハンドル周辺の他のスイッチ類の配置が制約される。
この発明は、専用の操作部を要することなく、エンジンを速やかに始動させることができ、それによりスムーズな発進を可能とする車両を提供する。
この発明の一実施形態は、エンジンを動力源とする車両であって、電装系に通電するためのメインスイッチと、乗員の手によって操作され、車両の制動のための制動操作および制動解除のための解除操作を受け付けるブレーキ操作部と、前記ブレーキ操作部の操作を検出するブレーキ操作検出手段と、前記メインスイッチが導通して前記電装系に通電されている場合において、前記エンジンが停止状態のときに、前記ブレーキ操作検出手段が前記制動操作を検出したことに応答して、前記エンジンを始動するエンジン制御手段と、を含む、車両を提供する。
この構成によれば、メインスイッチが導通していてエンジンが停止しているときに、乗員がブレーキ操作部に対して制動操作を行うと、エンジンが始動する。したがって、制動操作をしながらさらに別の操作を行う必要がないので、エンジン始動のための手順が短くなり、速やかにエンジンを始動させることができる。また、通常の運転時に必要な操作である制動操作によってエンジンを始動できるので、運転者は、運転時の体勢でエンジンを始動することができる。したがって、エンジン始動後には、速やかに車両を発進させることができる。こうして、エンジンを速やかに始動してスムーズに発進させることができる車両を提供できる。しかも、スタータスイッチのような専用の操作部を要することなくエンジンを始動できる。
この発明の一実施形態では、前記エンジン制御手段は、前記エンジンが運転状態のときにアイドル停止条件が満たされると、前記エンジンを停止してアイドル停止状態とするアイドル停止制御手段と、前記エンジンがアイドル停止状態のときに、前記ブレーキ操作検出手段が前記制動操作を検出したことに応答して、前記エンジンを再始動させる再始動制御手段と、を含む。
この構成により、アイドル停止により省エネルギー性を向上した車両を提供できる。アイドル停止状態からのエンジン再始動は、制動操作によって行える。それにより、エンジンを速やかに再始動して、車両をスムーズに発進させることができる。通常の停止状態からのエンジン始動とアイドル停止状態からのエンジン再始動とを、いずれもブレーキ操作部の制動操作によって行えるようにしておけば、エンジンを始動(再始動を含む)するための操作が分かりやすい。
特許文献2には、アイドル停止中にアクセル操作が検出されると、エンジンを再始動させるエンジン停止始動制御装置が開示されている。しかし、アクセル操作からエンジン始動が完了して車両を発進できる状態になるまでの時間が比較的長く、スムーズに車両を発進させることができないおそれがある。たとえば、アクセルが操作されると、それに応答してスタータモータが回転してエンジンが始動する。そして、エンジン回転速度が上昇し、遠心クラッチが接続状態となって、車輪に駆動力が伝達され、車両が発進する。したがって、アクセル操作から一連の動作が完了するまでの遅れ時間が比較的長く、発進時のもたつき感が生じる。しかも、アクセル操作に応じてスロットルが開くので、エンジンの吹け上がりによる急発進を予防するために、複雑なエンジン再始動制御が必要になる。ところが、始動時のエンジンの状態は不安定であるうえ、車種ごとの要素(遠心クラッチ等)に適合した制御内容としなければならない。したがって、エンジン再始動時の制御内容は必然的に複雑になり、制御内容を確定する作業は困難を極める。
また、車両が自動二輪車のように押し歩き可能な車両である場合には、押し歩きしている間に、不用意にアクセルが操作されて、使用者の意図に反してエンジンが再始動してしまうおそれがある。特許文献2に記載された構成では、運転者の着座を検出する着座センサを用いて上記の問題を解決している。しかし、着座センサを設けることにより、構成が複雑になり、コスト高となる。
一方、特許文献3には、アイドル停止状態のときに、ブレーキ解除操作に応答してエンジンを再始動するエンジン制御装置が開示されている。しかし、この構成は、ブレーキ操作部が乗員の手で操作される形態の車両においては、不便な場合もある。具体的には、信号待ちなどで車両を停止し、それに応じてアイドル停止した状態で、ブレーキ操作部から手を放してブレーキが解除されると、エンジンが再始動することになる。そのため、アイドル停止状態を保持しようとすれば、ブレーキ操作部から手を放すことができないので、運転者の自由が制限される。
これに対して、この発明によれば、制動操作に応答してエンジンが再始動するので、上記の問題が解決される。すなわち、制動操作でエンジンを再始動できるので、アクセル操作をするよりも前に、運転者は、必要に応じてエンジンを事前に再始動しておくことができる。それにより、アクセル操作から車両が発進するまでの遅れ時間が短くなるので、スムーズな発進が可能になる。しかも、アクセル操作ではなく制動操作がエンジン再始動の契機となるので、エンジン再始動時にスロットルが開かれていることを前提とした複雑な制御が必要ではない。これにより、エンジン再始動時の制御内容を簡単にできる。また、押し歩き可能な車両に対する応用においても、アクセル操作によってエンジンが不用意に再始動することがなく、エンジン再始動の制御のために着座センサのような特別な構成要素を必要とすることもない。さらに、制動解除操作ではなく、制動操作によってエンジンを再始動する構成であるので、アイドル停止後にブレーキ操作部から手を放してもエンジンが再始動することがない。したがって、運転者は、エンジン再始動を回避しながら、必要に応じてブレーキ操作部から手を放すことができるので、省エネルギー性を損なうことなく、運転者の自由度を高めることができる。
この発明の一実施形態では、前記アイドル停止条件は、前記ブレーキ操作検出手段が前記制動操作を検出していることを含み、前記再始動制御手段は、前記エンジンがアイドル停止状態となってから所定時間を超えても前記ブレーキ操作検出手段が前記制動操作を検出し続けている場合には、その後に前記ブレーキ操作検出手段が前記解除操作を検出したことに応答して前記エンジンを再始動させる。
この構成によれば、制動操作が検出されていることがアイドル停止条件に含まれている。つまり、制動操作がアイドル停止のための必要条件となる。したがって、エンジンがアイドル停止したときには、制動操作がされている。その制動操作がアイドル停止後も所定時間を超えて継続すれば、次に制動操作が解除されたときには、運転者の意図は、車両の発進であると推定できる。そこで、アイドル停止後も所定時間を超えて制動操作が継続されているときには、次の解除操作に応答して、エンジンが再始動される。これにより、運転者の意図を推定して、適切にエンジンを再始動できる。アイドル停止後前記所定時間内に制動操作が解除されてもエンジンは再始動しない。したがって、運転者は、アイドル停止後に、必要に応じてブレーキ操作部から手を放す(制動解除)ことができる。よって、制動操作をアイドル停止のための必要条件としながら、運転者の利便性を損なわない車両を提供できる。
また、この発明の一実施形態では、前記再始動制御手段は、前記エンジンがアイドル停止状態となってから前記所定時間以内に前記ブレーキ操作検出手段が前記制動操作を検出しなくなると、その後に前記制動操作を検出したことに応答して前記エンジンを再始動させる。
この構成によれば、アイドル停止から所定時間を超えて制動操作が継続して検出されているときにはその後の解除操作に応答してエンジンが再始動される一方で、当該所定時間内に制動操作が解除されれば、その後に制動操作がされたことに応答してエンジンが再始動される。すなわち、アイドル停止から制動解除までの時間が前記所定時間を超えているか否かにより、エンジン再始動のためのトリガが、解除操作と制動操作とで切り換えられる。アイドル停止から所定時間を超えて制動操作が継続されていれば、次に解除操作がされたときには、運転者の意図は車両の発進であると推定できる。たとえば、坂道で車両を停止させた場合や、平地での停車であっても運転者が安心のために制動操作を継続している場合には、このような状況となる。一方、アイドル停止から所定時間内に制動が解除されたならば、運転者の意図は車両の発進ではないと推定できる。たとえば、平地で車両を停止させて解除操作を行うような状況が該当する。したがって、エンジン再始動のためのトリガを、アイドル停止からの制動操作の継続時間に応じて切り換えることによって、運転者の意図を適切に推定して、エンジン再始動の制御を行うことができる。仮に、アイドル停止から所定時間内に行われる解除操作が、車両の発進準備を意図した操作であったとしても、運転者は、制動操作を行うことで、エンジンを速やかに始動させることができる。
このように、運転者の意図に応じたエンジン再始動制御を実現でき、利便性の向上された車両を提供できる。
この発明の一実施形態は、前記車両の速さを検出する車速検出手段をさらに含み、前記再始動制御手段は、前記車速検出手段の出力信号に基づいて車両が停止しているか否かを判断し、車両が停止していることを、前記エンジンを再始動するための再始動条件に含む。
この構成によれば、車両が停止しているときに制動操作が検出されると、エンジンが再始動する。したがって、走行中(たとえば車速が所定値を超えている状態)には、制動操作はエンジン再始動のトリガとならない。そのため、エンジンが再始動されるときには、車両が停止しているので、エンジン再始動時の制御が容易になる。
この発明の一実施形態は、前記エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度検出手段をさらに含み、前記再始動制御手段は、前記スロットル開度検出手段が所定の開度以下(たとえばスロットル全閉)を検出していることを、前記エンジンを再始動するための再始動条件に含む。
この構成によれば、スロットルが所定の開度以下(たとえば全閉)であることがエンジン再始動のための条件となるので、エンジン再始動時には所定のスロットル開度以下(たたとえば全閉)であることが保証される。そのため、エンジン再始動のための制御が容易になる。
この発明の一実施形態では、前記ブレーキ操作部が、車両の操向のためのハンドルに設けられている。この構成によれば、車両の操向のためのハンドルに設けられたブレーキ操作部の操作によってエンジンを始動できる。したがって、ハンドルの近傍にエンジン始動のための専用の操作部を配置する必要がないので、ハンドルの近傍のスイッチ類の配置スペースに余裕ができる。
この発明の一実施形態は、前記ハンドルに取り付けられ、乗員が左右いずれかの手で握って前記エンジンの出力を調節するために操作するアクセルグリップをさらに含み、前記ブレーキ操作部が、前記アクセルグリップとともに握って操作するブレーキレバーを含む。
この構成によれば、アクセルグリップとともにブレーキレバーを握ると車両が制動され、握る力を緩めると制動を解除できる。アクセルグリップは、たとえば、ハンドルに対して回動可能であって、運転者の手前側に向かって回動するとエンジン出力が増加し、その反対側に向かって回動するとエンジン出力が減少するように構成されていてもよい。この場合、ブレーキレバーを握ることで、エンジン出力が最小(具体的にはスロットル全閉)となる。したがって、ブレーキレバーを握る制動操作を行ってエンジンを始動するときに、エンジン出力が最小の状態(スロットル全閉)とすることができるので、エンジン始動時の制御が簡単になる。
この発明の一実施形態に係る車両は、乗員が跨がって着座するシートを有する鞍乗り型車両である。この構成によれば、制動操作によってエンジンを速やかに始動させることができ、スムーズな発進を実現した鞍乗り型車両を提供できる。
図1は、この発明の一実施形態に係る鞍乗型車両の構成を説明するための図解的な側面図である。 図2は、前記鞍乗型車両のハンドルの構成例を示す斜視図であり、前記鞍乗型車両のシートに着座した運転者から見下ろした構成を表してある。 図3は、前記鞍乗型車両のエンジンに関連する構成を説明するための模式図である。 図4は、前記エンジンの制御に関連する主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。 図5は、前記エンジンを制御するためのマイクロコンピュータの機能的な構成を説明するためのブロック図である。 図6は、エンジンの始動からアイドル状態への移行までの流れを説明するためのフローチャートであり、エンジンの運転状態が「通常停止中」である場合の処理内容が示されている。 図7は、エンジンの状態が「アイドル中」である場合のマイクロコンピュータの制御内容を説明するためのフローチャートである。 図8は、エンジンの状態がアイドル停止中のときにマイクロコンピュータが実行する制御動作を示すフローチャートである。 図9は、エンジンの運転状態の遷移を説明するための状態遷移図である。 図10は、この発明の第2の実施形態に係る鞍乗型車両(自動二輪車)の構成を説明するための図であり、アイドル中におけるエンジンの制御動作を示すフローチャートである。 図11は、前記第2の実施形態におけるアイドル停止中のエンジン制御動作を示すフローチャートである。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る鞍乗型車両の構成を説明するための図解的な側面図である。図1には、鞍乗型車両の一例であるスクータ型の自動二輪車1が示されている。以下の説明では、便宜上、自動二輪車1に乗車したライダー(運転者、乗員)の視点に基づいて、自動二輪車1の前後左右および上下の各方向を表す。
自動二輪車1は、車両本体2と、前輪3と、後輪4とを備えている。車両本体2は、車体フレーム5と、ハンドル6と、シート7と、パワーユニット8とを含む。車体フレーム5は、前方に配置されたダウンチューブ9と、ダウンチューブ9の後方に配置された左右一対のサイドフレーム10とを有している。ダウンチューブ9は、前方に向かって斜め上方に延びており、その上端部にはヘッドパイプ11が固定されている。このヘッドパイプ11にステアリングシャフト20が回動自在に支持されている。ステアリングシャフト20の下端に左右一対のフロントフォーク12が固定されている。そして、ステアリングシャフト20の上端部にハンドル6が取り付けられており、フロントフォーク12の下端部に前輪3が回転自在に取り付けられている。また、フロントフォーク12の下端部には、前輪3を制動するための前輪ブレーキユニット69が取り付けられている。サイドフレーム10は、ほぼS字形状をなすように湾曲しており、ダウンチューブ9の下端から、後方に向けて斜め上方に延びている。サイドフレーム10の上にシート7が支持されている。シート7は、乗員が跨がって着座するように構成されている。サイドフレーム10の中間部付近には、ブラケット13が固定されている。ブラケット13には、ピボット軸14を介してパワーユニット8が上下方向に揺動可能に支持されている。パワーユニット8は、ユニットスイング式のエンジンユニットである。パワーユニット8の上方には、エンジンに吸入される空気を清浄化するためのエアクリーナ23が配置されている。サイドフレーム10の後端部付近とパワーユニット8の後端部との間には、クッションユニット15が架け渡されている。そして、パワーユニット8の後端部に後輪4が回転自在に支持されている。パワーユニット8の後端部には、さらに、後輪4を制動するための後輪ブレーキユニット68が取り付けられている。
車体フレーム5は、樹脂製の車体カバー16で覆われている。車体カバー16は、シート7の前方の下方に設けられて足載せ部を提供するフットボード17と、ヘッドパイプ11を覆うフロントカバー18と、シート7の下方の領域を覆うサイドカバー19と、ハンドル6を覆うハンドルカバー21とを含む。シート7の下方においてサイドカバー19によって覆われた空間にバッテリ25が収容され、車体フレーム5に支持されている。ハンドルカバー21から前方に露出するように前照灯22が設けられており、ハンドル6に支持されている。バッテリ25に蓄えられた電力を自動二輪車1の電装系に通電するためのメインスイッチ40は、たとえば、フロントカバー18の後面(シート7に対向する表面)に配置されている。メインスイッチ40は、使用者が保持するキーを用いて操作されるキースイッチであってもよい。
詳細な図示は省略するが、パワーユニット8は、たとえば、スタータモータと、発電機と、エンジンと、無段変速機と、遠心クラッチとを含む。スタータモータは、バッテリ25からの電力により作動し、エンジン始動時にエンジンのクランク軸を回転させる。発電機は、エンジンのクランク軸に結合され、クランク軸の回転力によって電力を生成する。その電力で、バッテリ25が充電される。スタータモータおよび発電機は一体化されていてもよい。無段変速機は、エンジンの回転速度に応じて、エンジンの回転速度と駆動輪としての後輪4の回転速度との比を無段階に変化させる機構である。遠心クラッチは、エンジン回転速度に応じて接続状態と切断状態とで切り換わるクラッチ機構である。具体的には、遠心クラッチは、エンジン回転速度が所定の接続速度未満のときには、エンジンと後輪4との間の駆動力伝達経路を遮断する遮断状態となる。そして、エンジン回転速度が接続速度に達すると、エンジンの駆動力を後輪4に伝達する接続状態となる。
図2は、ハンドル6の構成例を示す斜視図であり、シート7に着座した運転者から見下ろした構成を表してある。ハンドル6は、左右に延びたハンドルバー30と、ハンドルバー30の左端および右端にそれぞれ設けられたグリップ31,32とを含む。
左グリップ31の前方には後輪ブレーキユニット68(図1参照)を作動させるための左ブレーキレバー38が配置されており、右グリップ32の前方には前輪ブレーキユニット69(図1参照)を作動させるための右ブレーキレバー39が配置されている。左ブレーキレバー38は、運転者が左手で左グリップ31とともに握って操作するブレーキ操作部であり、握る操作が後輪ブレーキユニット68を作動させる制動操作であり、握りを解放する操作が後輪ブレーキユニット68の制動を解除する解除操作である。同様に、右ブレーキレバー39は、運転者が右手で右グリップ32とともに握って操作するブレーキ操作部であり、握る操作が前輪ブレーキユニット69を作動させる制動操作であり、握りを解放する操作が前輪ブレーキユニット69の制動を解除する解除操作である。
右グリップ32は、ハンドルバー30の軸回りに所定の角度範囲内で回動可能に取り付けられており、アクセル操作のためのアクセルグリップである。アクセルグリップ32は、運転者の手前側(シート7側。出力増加方向)に回動するとエンジン出力(具体的にはスロットル開度)が増加し、その反対側(出力減少方向)に回動するとエンジン出力(具体的にはスロットル開度)が減少するように構成されている。したがって、右ブレーキレバー39を握る制動操作を行うと、アクセルグリップ32は自然にシート7とは反対側(出力減少方向)に回動し、エンジン出力が最小(具体的にはスロットル全閉)となる。
ハンドルバー30は、ハンドルカバー21によって覆われている。ハンドルカバー21には、スピードメータ33およびエンジン回転速度メータ34が設けられている。スピードメータ33には、インジケータ41,42が配置されている。インジケータ41は後述するアイドル停止制御によってエンジンがアイドル停止状態に移行したときに点灯する。また、インジケータ42は、右ブレーキレバー39の操作を検出するためのブレーキスイッチユニット62(図4参照)に故障が生じたときに点灯する警告灯である。アクセルグリップ32の近傍には、後述するアイドル停止機能の有効/無効を切り換えるためのアイドル停止キャンセルボタン35が配置されている。また、左グリップ31の近傍には、ウィンカースイッチ36、ヘッドライトスイッチ37等が配置されている。
図3は、パワーユニット8に備えられたエンジンに関連する構成を説明するための模式図である。エンジン45は、クランク軸48と、クランク軸48を収容するクランクケース49と、クランクケース49から延びたシリンダブロック50と、シリンダブロック50の先端部に固定されたシリンダヘッド51とを含む。シリンダブロック50およびシリンダヘッド51によってシリンダ53が構成されている。シリンダブロック50内には、ピストン54が摺動自在に収容されている。ピストン54と、クランク軸48とは、コンロッド55によって連結されている。シリンダブロック50と、シリンダヘッド51と、ピストン54とによって、燃焼室56が区画されている。
クランク軸48には、スタータモータ43および発電機44が結合されている。また、クランク軸48の回転は、無段変速機46および遠心クラッチ47を介して後輪4に伝達されるようになっている。
シリンダヘッド51には、燃焼室56に臨む吸気口81および排気口82が形成されている。さらに、シリンダヘッド51には、燃焼室56に臨んで、点火プラグ80が配置されている。点火プラグ80には、点火コイル79が接続されている。点火コイル79に蓄えられたエネルギーが点火プラグ80に供給されることによって、点火プラグ80は燃焼室56内で火花放電を引き起こす。吸気口81には吸気バルブ83が配置されており、排気口82には排気バルブ84が配置されている。吸気バルブ83は吸気口81を開閉し、排気バルブ84は排気口82を開閉する。吸気バルブ83および排気バルブ84は、クランク軸48と連動する動弁装置(図示せず)によって駆動される。吸気口81は吸気ポート85に連なっており、排気口82は排気ポート86に連なっている。
エンジン45は、この実施形態では、燃料噴射式のエンジンである。すなわち、吸気ポート85には、吸気バルブ83よりも上流側にインジェクタ87が配置されている。インジェクタ87は、吸気口81に向けて燃料を噴射するように配置されている。インジェクタ87には、燃料タンク88から燃料ホース89を介して燃料が供給される。燃料タンク88内には燃料ポンプ90が配置されている。燃料ポンプ90は、燃料タンク88内の燃料を燃料ホース89へと圧送する。
吸気ポート85においてインジェクタ87よりも上流側には、スロットルボディ91が配置されている。スロットルボディ91は、スロットルバルブ92、吸気圧センサ93、吸気温センサ94、およびスロットル開度センサ95を保持している。スロットルバルブ92は、たとえば、吸気ポート85内に回動可能に配置された板状の弁体を含むバタフライバルブであってもよい。スロットルバルブ92は、この実施形態では、ワイヤ99を介して、アクセルグリップ32に機械的に結合されている。すなわち、アクセルグリップ32が操作されると、その操作方向および操作量に応じてスロットルバルブ92が変位(この実施形態では角変位)し、スロットル開度を変化させる。スロットルバルブ92の位置がスロットル開度センサ95によって検出される。スロットル開度センサ95は、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段である。さらに、スロットルバルブ92とアクセルグリップ32とが機械的に連結されているので、この実施形態では、スロットル開度センサ95は、アクセル指令値としてのアクセル開度を検出するアクセル操作検出部としても機能することになる。アクセル開度とは、アクセルグリップ32の操作量である。吸気圧センサ93は、吸入される空気の圧力を検出する。吸気温センサ94は、吸入される空気の温度を検出する。
クランクケース49には、クランク軸48の回転角を検出するためのクランク角センサ96が取り付けられている。また、シリンダブロック50には、エンジン45の温度を検出するためのエンジン温度センサ97が取り付けられている。
図4は、エンジン45の制御に関連する主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。センサ93〜97の出力は、制御ユニット(ECU:電子制御ユニット)100に入力されている。制御ユニット100には、さらに、車速センサ98が接続されている。車速センサ98は、自動二輪車1の車速を検出するセンサであり、車輪3,4の回転速度を検出する車輪速センサであってもよい。
制御ユニット100は、センサ93〜98等の出力信号に基づいて、燃料ポンプ90およびインジェクタ87を駆動し、それによって、燃料噴射量および燃料噴射タイミングを制御する。制御ユニット100には、さらに、点火コイル79が接続されている。点火コイル79は、点火プラグ80の火花放電を生じさせるための電力を蓄える。制御ユニット100は、センサ93〜98等の出力信号に基づいて点火コイル79への通電を制御し、それによって、点火時期(点火プラグ80の放電タイミング)を制御する。さらに、制御ユニット100は、スタータモータ43への通電を制御し、それによって、エンジン45の始動を制御する。
制御ユニット100は、マイクロコンピュータ60と、モータ駆動部59と、リレー駆動部58と、その他のアクチュエータ類の駆動部57とを含む。モータ駆動部59は、スタータモータ43に電力を供給する。リレー駆動部58は、給電ライン28からモータ駆動部59への電力供給を制御するリレー29を開閉する。駆動部57は、インジェクタ87、燃料ポンプ90、点火コイル79、インジケータ41,42等のアクチュエータ類に電力を供給する駆動回路を含む。マイクロコンピュータ60は、センサ93〜98等の出力信号に基づいて、モータ駆動部59、リレー駆動部58、駆動部57等を制御する。
バッテリ25は、ヒューズ27およびメインスイッチ40を介して給電ライン26に接続されている。また、バッテリ25は、ヒューズ27およびメインスイッチ40を迂回する給電ライン28を介してリレー29に接続されている。バッテリ25に蓄えられている電力は、給電ライン26,28を介して、スタータモータ43、制御ユニット100、点火コイル79、インジェクタ87、燃料ポンプ90、インジケータ41,42などに供給される。また、バッテリ25には、発電機44で生成され、レギュレータ78で整流および調整された電力が供給され、それによって、エンジン45の運転中は、バッテリ25が充電される。
給電ライン26には、メインスイッチ40に対してバッテリ25とは反対側に、後輪ブレーキスイッチユニット61および前輪ブレーキスイッチユニット62の並列回路が接続されている。これらのブレーキスイッチユニット61,62の並列回路に対して直列にブレーキランプ63が接続されている。したがって、ブレーキスイッチユニット61,62のいずれかが導通すると、ブレーキランプ63が通電されて点灯する。
後輪ブレーキスイッチユニット61は、左ブレーキレバー38が操作されているときに導通し、左ブレーキレバー38が操作されていないときには遮断される一つのブレーキスイッチ61Aを含む。一方、前輪ブレーキスイッチユニット62は、右ブレーキレバー39が操作されているときに導通し、右ブレーキレバー39が操作されていないときには遮断される2つのブレーキスイッチ62A,62Bを含む。2つのブレーキスイッチ62A,62Bには、ダイオード64A,64Bがそれぞれ直列に接続されている。そして、ブレーキスイッチ62Aおよびダイオード64Aの直列回路と、ブレーキスイッチ62Bおよびダイオード64Bの直列回路とが、給電ライン26とブレーキランプ63との間に並列に接続されている。
右ブレーキレバー39は、ブレーキ操作部の一例である。また、前輪ブレーキスイッチユニット62は、ブレーキ操作検出手段の一例である。
ブレーキスイッチ62Aとダイオード64Aとの間のラインの電位は、前輪ブレーキ操作信号として、マイクロコンピュータ60のポートP1に入力されている。同様に、ブレーキスイッチ62Bとダイオード64Bとの間のラインの電位は、前輪ブレーキ操作信号として、マイクロコンピュータ60のポートP2に入力されている。前輪ブレーキ操作信号は、右ブレーキレバー39を握る制動操作に対してオン状態となり、右ブレーキレバー39を解放する解除操作に対してオフ状態となる。すなわち、前輪ブレーキ操作信号は、右ブレーキレバー39に対する制動操作および解除操作を表す信号である。
マイクロコンピュータ60は、前輪ブレーキ操作信号に基づいてエンジン45を制御するほか、ブレーキスイッチ62A,62Bの故障を検出する。たとえば、マイクロコンピュータ60は、2つの前輪ブレーキ信号を比較し、一致していればブレーキスイッチ62A,62Bが正常であると判定し、不一致であれば、ブレーキスイッチ62A,62Bのいずれかに故障が生じていると判定する。故障が生じているときには、マイクロコンピュータ60は、インジケータ42を点灯させる。ダイオード64A,64Bは、ブレーキスイッチ62A,62Bの一方からへの前輪ブレーキ操作信号の回り込みを防ぐ。
給電ライン26において、メインスイッチ40に対してバッテリ25とは反対側に、制御ユニット100が接続されている。すなわち、メインスイッチ40が導通すると、制御ユニット100に給電され、制御ユニット100による制御動作が開始される。
図5は、マイクロコンピュータ60の機能的な構成を説明するためのブロック図である。マイクロコンピュータ60は、CPU(中央処理装置)およびメモリを含む。CPUがメモリに格納されている所定のプログラムを実行することによって、以下に説明する機能処理部の各機能が実現される。
すなわち、マイクロコンピュータ60は、機能処理部として、エンジン制御手段としてのエンジン制御部70と、故障検出手段としての故障検出部73とを含む。エンジン制御部70は、アイドル停止制御手段としてのアイドル停止制御部71と、再始動制御手段としてのエンジン再始動制御部72とを含む。
エンジン制御部70は、メインスイッチ40が導通して自動二輪車1の電装系に通電されている場合において、エンジン45が停止状態のときに、右ブレーキレバー39の制動操作が検出されたことに応答して、エンジン45を始動する。より具体的には、エンジン制御部70は、ポートP1,P2に入力される前輪ブレーキ操作信号により、右ブレーキレバー39に対する制動操作を検出する。また、エンジン制御部70は、クランク角センサ96の出力信号に基づいて、エンジン45が停止中か否かを判定する。そして、エンジン制御部70は、エンジン45が停止中に制動操作が検出されると、それに応答して、リレー駆動部58を制御してリレー29を導通させ、さらに、モータ駆動部59を制御して、スタータモータ43に電力を供給する。これにより、クランキングが開始される。さらに、エンジン制御部70は、駆動部57を制御することにより、燃料ポンプ90およびインジェクタ87を制御して、燃料噴射量および燃料噴射タイミングを制御する燃料噴射制御を開始する。また、エンジン制御部70は、駆動部57を制御して、点火コイル79への通電を制御し、点火プラグ80の火花放電を制御する点火制御を開始する。こうして、エンジン45のクランキング、燃料噴射制御および点火制御が開始されることによって、エンジン45が始動する。
アイドル停止制御部71は、エンジン45がアイドル状態である間に所定のアイドル停止条件が満足されると、エンジン45を停止させてアイドル停止状態に移行させる。アイドル状態とは、スロットル開度が全閉であり、エンジン回転速度がアイドル回転速度域(たとえば2500rpm以下)内の値である運転状態をいう。アイドル停止状態とは、アイドル停止制御部71による制御によって、エンジン45の運転が自動停止された状態をいう。アイドル停止制御部71は、具体的には、燃料噴射制御および点火制御を停止させ、それによって、エンジン45を停止させる。
エンジン再始動制御部72は、エンジン45がアイドル停止状態である間に右ブレーキレバー39の制動操作が検出されると、エンジン45を再始動させる。再始動とは、アイドル停止状態のエンジン45が始動することをいう。エンジン再始動制御部72は、具体的には、リレー駆動部58を制御してリレー29を導通させ、かつモータ駆動部59を制御することにより、スタータモータ43を作動させ、かつ駆動部57を制御して燃料噴射制御および点火制御を開始する。これにより、スタータモータ43が作動されてクランキングが行われ、インジェクタ87から燃料が噴射され、かつ点火プラグ80の火花放電が引き起こされて、エンジン45が再始動する。
故障検出部73は、ポートP1,P2に入力される前輪ブレーキ操作信号に基づいて、ブレーキスイッチユニット62の故障の有無を判定する。たとえば、故障検出部73は、ポートP1,P2に入力される前輪ブレーキ操作信号が一致すれば故障無しと判定し、それらが不一致なら故障発生と判定してもよい。
マイクロコンピュータ60は、エンジン45の運転状態に関する情報を保持し、その運転状態に応じた内容の制御を実行する。具体的には、マイクロコンピュータ60は、エンジン45の運転状態を、「通常停止中」、「アイドル中」、および「アイドル停止中」に分類し、その運転状態に応じてエンジン45の始動および停止を制御するようにプログラムされている。通常停止中とは、メインスイッチ40が導通されてからエンジン45が始動されるまでの状態である。アイドル中とは、エンジン45が運転中の状態であり、エンジン45がアイドル回転速度で運転されている状態のみならず、アイドル回転速度を超える回転速度で運転されている状態も「アイドル中」に該当する。アイドル停止中とは、マイクロコンピュータ60の制御によって、エンジン45の運転が自動停止している状態(アイドル停止状態)をいう。
図6は、エンジン45の始動からアイドル状態への移行までの流れを説明するためのフローチャートであり、エンジン45の運転状態が「通常停止中」である場合の処理内容が示されている。メインスイッチ40が導通している場合において、マイクロコンピュータ60(とくにエンジン制御部70)は、クランク角センサ96、車速センサ98およびスロットル開度センサ95の出力信号を参照する。そして、マイクロコンピュータ60は、エンジン45が停止中(ステップS1)であり、車速が零(ステップS2)であり、スロットル全閉(ステップS3)であることを確認する。これらがいずれも肯定判定されると、マイクロコンピュータ60は、右ブレーキレバー39が制動操作されたかどうかを判定する(ステップS4)。具体的には、ポートP1,P2に入力される前輪ブレーキ操作信号を参照して、ブレーキスイッチ62Aまたは62Bがオフからオンに変化したことを検出すると、マイクロコンピュータ60は、右ブレーキレバー39が制動操作されたと判定する。この判定が否定のときは、ステップS1に戻る。
ステップS4において、右ブレーキレバー39の制動操作がされたと判定されると、マイクロコンピュータ60は、リレー駆動部58を制御してリレー29を導通させ、さらに、モータ駆動部59を制御してスタータモータ43を作動させる。これにより、スタータモータ43によってクランク軸48が回転させられ、クランキングが行われる(ステップS5)。さらに、マイクロコンピュータ60は、駆動部57を制御して、インジェクタ87および燃料ポンプ90を作動させて燃料噴射制御を開始し、かつ点火コイル79への通電制御によって点火制御を開始する(ステップS6)。これにより、エンジン45が始動し、運転状態が「通常停止中」から「アイドル中」に遷移する(ステップS7)。具体的には、マイクロコンピュータ60は、内蔵のメモリに、「アイドル中」を表す運転状態情報を書き込む。
図7は、エンジン45の状態が「アイドル中」である場合のマイクロコンピュータ60の制御内容を説明するためのフローチャートである。マイクロコンピュータ60は、アイドル停止条件が充足されるかどうかを判定する。より具体的には、マイクロコンピュータ60は、次の条件A1〜A3がすべて満たされるかどうかを判断する(ステップS11〜S13)。
条件A1:エンジン温度が所定値(たとえば60℃)以上である。この条件は、エンジン45が充分に暖まっており、運転停止しても容易に再始動できる状態であることを確認するための条件である。マイクロコンピュータ60は、エンジン温度センサ97の出力信号に基づいて、エンジン温度に関する判定を行う。
条件A2:車速が所定値(たとえば、3km/h)以下である。この条件は、自動二輪車1が停止していることを確認するための条件である。具体的には、車速センサ98が所定値以下の車速を検出していることが条件となる。
条件A3:アクセルグリップ32が全閉位置である。この条件は、運転者がエンジン45の駆動力を駆動輪である後輪4に伝達させる意思のないこと確認する条件である。この実施形態では、ワイヤ99によってアクセルグリップ32とスロットルバルブ92とが機械的に連動するので、スロットル開度センサ95がスロットルバルブ92の全閉を検出していれば、アクセルグリップ32が全閉位置にあることになる。
マイクロコンピュータ60は、条件A1〜A3がすべて満たされているときには(ステップS11〜S13のすべてにおいてYES)、内部のタイマをインクリメントして(ステップS14)、そのタイマの値が所定値(たとえば3秒に相当する値)に達したかどうかを判断する(ステップS15)。タイマは、条件A1〜A3がすべて満たされている状態の継続時間を計測する。マイクロコンピュータ60は、条件A1〜A3の少なくとも一つが満たされなくなると(ステップS11〜13のいずれかにおいてNO)、タイマを零にリセットする(ステップS18)。マイクロコンピュータ60は、タイマの計測時間が所定値(たとえば3秒に相当する値)に達すると、アイドル停止条件が成立したと判断して、エンジン45をアイドル停止状態に移行させる(ステップS16)。すなわち、マイクロコンピュータ60は、駆動部57を制御して、燃料噴射制御および点火制御を停止させて、エンジン45を停止させる。そして、マイクロコンピュータ60は、エンジン45の運転状態を「アイドル中」から「アイドル停止中」に遷移させる(ステップS17)。具体的には、マイクロコンピュータ60は、内蔵のメモリに、「アイドル停止中」を表す運転状態情報を書き込む。
このように、アイドル停止条件とは、この実施形態では、条件A1〜A3のすべてが満たされた状態が所定時間にわたって継続することである。アイドル停止状態において、マイクロコンピュータ60は、インジケータ41を点灯させる。これにより、アイドル停止中であることが運転者に通知される。
図8は、エンジン45の状態がアイドル停止中のときにマイクロコンピュータ60が実行する制御動作を示すフローチャートである。マイクロコンピュータ60は、車速センサ98の出力信号を参照して車速が所定値(たとえば3km/h)以下かを判断し(ステップS21)、スロットル開度センサ95の出力信号を参照してスロットルが全閉かどうかを判断する(ステップS22)。これらの判断のいずれかが否定のときは、ステップS21からの動作を繰り返す。ステップS21,S22の判断がいずれも肯定であれば、マイクロコンピュータ60は、さらに、右ブレーキレバー39の制動操作が行われたかどうかを判断する(ステップS23)。すなわち、マイクロコンピュータ60は、ポートP1,P2に入力される前ブレーキ操作信号を参照して、ブレーキスイッチ62Aまたは62Bがオフからオンになったかどうかを判断し、オフからオンに変化すると、右ブレーキレバー39の制動操作が行われたと判断する。この判断が肯定されると、マイクロコンピュータ60は、エンジン45を再始動するための制御を実行する。すなわち、マイクロコンピュータ60は、リレー駆動部58を制御してリレー29を閉成し、モータ駆動部59を制御してスタータモータ43を駆動する。これにより、エンジン45のクランク軸48を回転させるクランキングが行われる(ステップS24)。さらに、マイクロコンピュータ60は、駆動部57を制御して、燃料噴射制御および点火制御を開始する(ステップS25)。それによって、エンジン45が再始動することになる。エンジン45が再始動すると、マイクロコンピュータ60は、エンジン45の状態を表す状態情報を「アイドル停止中」から「アイドル中」に遷移させる(ステップS26)。具体的には、マイクロコンピュータ60は、内蔵のメモリに、「アイドル中」を表す運転状態情報を書き込む。したがって、以後の動作は、図7のフローチャートに従う。
一方、ステップS23での判断が否定のときは、マイクロコンピュータ60は、さらに、ポートP1,P2に入力される前輪ブレーキ操作信号に基づいて、ブレーキスイッチユニット62の故障の有無を判定する(ステップS27)。すなわち、ブレーキスイッチ62A,62Bのいずれかに故障が生じているかどうかを判定する。故障が検出されなければ、ステップS21からの処理を繰り返す。故障が検出されると、マイクロコンピュータ60は、駆動部57を制御して、インジケータ42を点灯させて警告表示を行う(ステップS28)。そして、マイクロコンピュータ60は、エンジン45の状態を「アイドル停止中」から「通常停止中」に遷移させる(ステップS29)。具体的には、マイクロコンピュータ60は、内蔵のメモリに、「通常停止中」を表す運転状態情報を書き込む。したがって、以後の動作は、図6のフローチャートに従う。
図9は、エンジン45の運転状態の遷移を説明するための状態遷移図である。メインスイッチ40が導通されると、マイクロコンピュータ60は、エンジン45の初期状態として「通常停止中」を設定する。これにより、図6を用いて概説した制御が実行される。通常停止中に、右ブレーキレバー39の制動操作が行われると、エンジン45が始動される。これにより、エンジン45の状態は、通常停止中からアイドル中に遷移し、図7を用いて概説した制御が実行される。アイドル中に、アイドル停止条件が充足されると、エンジン45の運転が停止され、エンジン45の状態は、アイドル中からアイドル停止中に遷移する。したがって、図8を用いて概説した制御が実行される。アイドル停止中に再始動条件(図8のステップS21〜S22)が充足され、さらに、右ブレーキレバー39の制動操作が検出されると(図8のステップS23)、エンジン45が再始動され、エンジン45の状態がアイドル中に遷移する。
アイドル停止中にブレーキスイッチユニット62の故障が検出されると、通常停止中に状態遷移する。
通常停止中、アイドル中およびアイドル停止中のいずれの状態においても、メインスイッチ40を操作して電源を遮断することができる。
以上のように、この実施形態によれば、メインスイッチ40が導通していてエンジン45が停止しているときに、運転者が右ブレーキレバー39の制動操作を行うと、エンジン45が始動する。したがって、制動操作をしながらさらに別の操作を行う必要がないので、エンジン45の始動のための手順が短く、速やかにエンジン45を始動させることができる。また、通常の運転時に必要な操作である制動操作によってエンジン45を始動できるので、運転者は、エンジン45の始動時に、運転時の体勢をとることができる。すなわち、ハンドル6の左右のグリップ31,32を両手でそれぞれ握持した体勢で、エンジン45を始動できる。したがって、エンジン45の始動後には、速やかに自動二輪車1を発進させることができる。こうして、エンジン45を速やかに始動してスムーズに発進させることができる自動二輪車1を提供できる。しかも、スタータスイッチのような専用の操作部を要することなくエンジン45を始動できる。そのため、ハンドル6の近傍に、スタータスイッチを配置する必要がないので、ハンドル6の周辺のスイッチ類の配置スペースに余裕ができる。これにより、スイッチ類の配置が容易になるうえ、必要に応じて別の機能のためのスイッチを追加することができる。
また、この実施形態では、エンジン45の運転中にアイドル停止条件が充足されると、エンジン45が停止してアイドル停止状態とされる。したがって、省エネルギー性を向上した自動二輪車1を提供できる。一方、エンジン45がアイドル停止状態のときに、右ブレーキレバー39の制動操作が検出されると、それに応答してエンジン45が再始動される。つまり、アイドル停止状態からのエンジン45の再始動は、制動操作によって行える。それにより、エンジン45を速やかに再始動して、自動二輪車1をスムーズに発進させることができる。また、通常の停止状態からのエンジン始動とアイドル停止状態からのエンジン再始動とを、いずれも右ブレーキレバー39の制動操作によって行え。したがって、エンジン45を始動(再始動を含む)するための操作が分かりやすい。
また、運転者は、アクセル操作をするよりも前に、必要に応じてエンジン45を事前に再始動させておくことができる。たとえば、信号待ちでエンジンがアイドル停止したときに、信号が変わる少し前にエンジン45を予め始動して、発進に備えることができる。この場合、アクセル操作から自動二輪車1が発進するまでの遅れ時間が短いので、スムーズな発進が可能になる。しかも、アクセル操作ではなく制動操作がエンジン45の再始動の契機となるので、エンジン45の再始動時にスロットルが開かれていることを前提とした複雑な制御が必要ではない。これにより、エンジン45の再始動時の制御内容を簡単にできる。また、自動二輪車1を押し歩きしているときでも、アクセル操作によってエンジン45が不用意に再始動することがなく、エンジン45の再始動の制御のために着座センサのような特別な構成要素を必要とすることもない。さらに、制動解除操作ではなく、制動操作によってエンジン45を再始動する構成であるので、アイドル停止後にブレーキレバー38,39から手を放してもエンジン45が再始動することがない。したがって、運転者は、エンジン45の意図しない再始動を回避しながら、必要に応じてブレーキレバー38,39から手を放すことができるので、省エネルギー性を損なうことなく、運転者の自由度を高めることができる。
また、この実施形態では、自動二輪車1が停止していることを条件として、エンジン45が再始動される。したがって、自動二輪車1の走行中(たとえば車速が所定値を超えている状態)には、制動操作はエンジン再始動のトリガとならない。そのため、エンジン45が再始動されるときには、自動二輪車1が停止しているので、エンジン45の再始動時の制御が容易になる。
さらに、この実施形態においては、スロットル開度センサ95がスロットル全閉を検出していることを、エンジン45を再始動するための再始動条件に含む。そのため、エンジン45の再始動時にはスロットル全閉が保証される。これにより、エンジン45の再始動のための制御が一層容易になる。なお、スロットル全閉検出の代わりに、スロットル開度センサ95が所定の開度以下を検出していることを、再始動条件の一つとしてもよい。この所定の開度は、エンジン45の再始動制御に対する影響の少ない値(好ましくは実質的に影響のない値)に設定すればよい。
エンジン45の始動および再始動の契機を与える右ブレーキレバー39は、自動二輪車1の操向のためのハンドル6に設けられているので、ハンドル6の近傍にエンジン45の始動のための専用の操作部を配置する必要がない。それによって、ハンドル6の近傍のスイッチ類の配置スペースに余裕ができる。
また、エンジン45の始動および再始動の契機を与える右ブレーキレバー39は、アクセルグリップ32とともに握って操作するブレーキレバーである。すなわち、アクセルグリップ32とともに右ブレーキレバー39を握ると自動二輪車1の前輪が制動され、握る力を緩めるとその制動を解除できる。右ブレーキレバー39を握ることで、アクセルグリップ32が自然に全閉側(シート7とは反対の側)に回動して、エンジン出力が最小(具体的にはスロットル全閉)となる。したがって、ブレーキレバー39を握る制動操作を行ってエンジン45を始動するときに、エンジン出力が最小の状態(スロットル全閉)とすることができるので、エンジン45の始動時の制御が簡単になる。
図10および図11は、この発明の第2の実施形態に係る自動二輪車の構成を説明するための図であり、図10は、アイドル中におけるエンジンの制御動作を示し、図11は、アイドル停止中におけるエンジンの制御動作を示している。第2の実施形態は、アイドル中およびアイドル停止中の動作が第1の実施形態と異なる。すなわち、図7を参照して説明した動作に代えて図10に示す制御動作が行われ、かつ図8を参照して説明した動作に代えて図11に示す制御動作が行われる。そこで、以下の説明では、図1〜図6、図9〜図11を参照する。
アイドル中の動作に関しては、アイドル停止条件が第1の実施形態とは異なり、その他は第1の実施形態と同様である。より具体的には、図10に示すように、前述の条件A1〜A3に加えて、次の条件A4が追加されている(ステップS19)
条件A4:右ブレーキレバー39が制動操作されている。すなわち、マイクロコンピュータ60のポートP1,P2に入力される前輪ブレーキ操作信号が、右ブレーキレバー39の制動操作状態、すなわち、ブレーキスイッチ62A,62Bの導通状態を示す条件である。したがって、図5に二点鎖線で示すように、アイドル停止制御部71は、ポートP1,P2に入力される前輪ブレーキ操作信号を監視する。
このように、この実施形態では、条件A1〜A4のすべてが満たされた状態が所定時間にわたって継続することが、エンジン45の運転を自動停止させるためのアイドル停止条件となっている。
一方、エンジン45の状態が「アイドル停止中」となると、図11のフローチャートに従う動作が行われる。すなわち、マイクロコンピュータ60は、右ブレーキレバー39の制動操作が行われているかどうかを判断する(ステップS31)。右ブレーキレバー39の制動操作が行われていれば、マイクロコンピュータ60は、アイドル停止状態に移行してから、すなわち、エンジン45が自動停止してからの経過時間が所定時間(たとえば3秒)以上であるかどうかを判断する(ステップS32)。所定時間経過前であれば、マイクロコンピュータ60は、ポートP1,P2に入力される前輪ブレーキ操作信号に基づいて、ブレーキスイッチユニット62の故障の有無を判断し(ステップS33)、故障がなければ、ステップS31からの動作を繰り返す。ブレーキスイッチ62A,62Bのいずれかに故障が発生していれば、マイクロコンピュータ60は、駆動部57を制御して、インジケータ42を点灯させて、警告表示を行う(ステップS45)。さらに、マイクロコンピュータ60は、エンジン45の運転状態情報を「通常停止中」に書き換えて、「アイドル停止中」から「通常停止中」に状態遷移させる(ステップS46)。したがって、この後の動作は、図6のフローチャートに従う。
右ブレーキレバー39の制動操作が前記所定時間以上継続すると(ステップS32:YES)、マイクロコンピュータ60は、車速センサ98の出力信号を参照して車速が所定値(たとえば3km/h)以下かを判断し(ステップS34)、スロットル開度センサ95の出力信号を参照してスロットルが全閉かどうかを判断する(ステップS35)。これらの判断のいずれかが否定のときは、ステップS34からの動作を繰り返す。ステップS34,S35の判断がいずれも肯定であれば、マイクロコンピュータ60は、さらに、右ブレーキレバー39の解除操作が行われたかどうかを判断する(ステップS36)。すなわち、マイクロコンピュータ60は、ポートP1,P2に入力される前ブレーキ操作信号を参照して、ブレーキスイッチ62Aまたは62Bがオフになったかどうかを判断し、オフになると、右ブレーキレバー39の解除操作が行われたと判断する。この判断が肯定されると、マイクロコンピュータ60は、エンジン45を再始動するための制御を実行する。すなわち、マイクロコンピュータ60は、リレー駆動部58を制御してリレー29を閉成し、モータ駆動部59を制御してスタータモータ43を駆動する。これにより、エンジン45のクランク軸48を回転させるクランキングが行われる(ステップS37)。さらに、マイクロコンピュータ60は、駆動部57を制御して、燃料噴射制御および点火制御を開始する(ステップS38)。それによって、エンジン45が再始動することになる。エンジン45が再始動すると、マイクロコンピュータ60は、エンジン45の状態を表す状態情報を「アイドル停止中」から「アイドル中」に遷移させる(ステップS39)。
一方、ステップS36での判断が否定のときは、マイクロコンピュータ60は、さらに、ポートP1,P2に入力される前輪ブレーキ操作信号に基づいて、ブレーキスイッチユニット62の故障の有無を判定する(ステップS40)。すなわち、ブレーキスイッチ62A,62Bのいずれかに故障が生じているかどうかを判定する。故障が検出されなければ、ステップS34からの処理を繰り返す。故障が検出されると、マイクロコンピュータ60は、駆動部57を制御して、インジケータ42を点灯させて警告表示を行う(ステップS45)。さらに、マイクロコンピュータ60は、エンジン45の運転状態情報を「通常停止中」に書き換えて、「アイドル停止中」から「通常停止中」に状態遷移させる(ステップS46)。したがって、この後の動作は、図6のフローチャートに従う。
アイドル停止状態に移行してからの経過時間が前記所定時間に達する以前に右ブレーキレバー39の制動操作が解除されると、ステップS31での判断が否定となる。この場合、マイクロコンピュータ60は、車速センサ98の出力信号を参照して車速が所定値(たとえば3km/h)以下かどうかを判断し(ステップS41)、スロットル開度センサ95の出力信号を参照してスロットルが全閉かどうかを判断する(ステップS42)。これらの判断のいずれかが否定のときは、ステップS41からの動作を繰り返す。ステップS41,S42の判断がいずれも肯定であれば、マイクロコンピュータ60は、さらに、右ブレーキレバー39の制動操作が行われたかどうかを判断する(ステップS43)。すなわち、マイクロコンピュータ60は、ポートP1,P2に入力される前ブレーキ操作信号を参照して、ブレーキスイッチ62Aまたは62Bがオフからオンになったかどうかを判断し、オフからオンに変化すると、右ブレーキレバー39の制動操作が行われたと判断する。この判断が肯定されると、マイクロコンピュータ60は、エンジン45を再始動するための制御を実行する。すなわち、マイクロコンピュータ60は、リレー駆動部58を制御してリレー29を閉成し、モータ駆動部59を制御してスタータモータ43を駆動する。これにより、エンジン45のクランク軸48を回転させるクランキングが行われる(ステップS37)。さらに、マイクロコンピュータ60は、駆動部57を制御して、燃料噴射制御および点火制御を開始する(ステップS38)。それによって、エンジン45が再始動することになる。エンジン45が再始動すると、マイクロコンピュータ60は、エンジン45の状態を表す状態情報を「アイドル停止中」から「アイドル中」に遷移させる(ステップS39)。
一方、ステップS43での判断が否定のときは、マイクロコンピュータ60は、さらに、ポートP1,P2に入力される前輪ブレーキ操作信号に基づいて、ブレーキスイッチユニット62の故障の有無を判定する(ステップS44)。すなわち、ブレーキスイッチ62A,62Bのいずれかに故障が生じているかどうかを判定する。故障が検出されなければ、ステップS21からの処理を繰り返す。故障が検出されると、マイクロコンピュータ60は、駆動部57を制御して、インジケータ42を点灯させて警告表示を行う(ステップS45)。さらに、マイクロコンピュータ60は、エンジン45の運転状態情報を「通常停止中」に書き換えて、「アイドル停止中」から「通常停止中」に状態遷移させる(ステップS46)。したがって、この後の動作は、図6のフローチャートに従う。
以上のように、この第2の実施形態によれば、右ブレーキレバー39の制動操作が検出されていることがアイドル停止条件に含まれている。つまり、右ブレーキレバー39の制動操作がアイドル停止のための必要条件となる。したがって、エンジン45がアイドル停止したときには、右ブレーキレバー39の制動操作がされている。その制動操作がアイドル停止後も所定時間を超えて継続すれば、次にその制動操作が解除されたときには、運転者の意図は、自動二輪車1の発進であると推定できる。そこで、アイドル停止後も所定時間を超えて右ブレーキレバー39の制動操作が継続されているときには、その後制動操作が解除されると、エンジン45が再始動される。これにより、運転者の意図を推定して、適切にエンジン45を再始動できる。アイドル停止後前記所定時間内に制動操作が解除されてもエンジン45は再始動しない。したがって、運転者は、アイドル停止後に、必要に応じて右ブレーキレバー39から手を放すことができる。よって、制動操作をアイドル停止のための必要条件としながら、運転者の利便性を損なわない自動二輪車を提供できる。
一方、アイドル停止から前記所定時間内に右ブレーキレバー39の制動操作が解除されれば、その後に制動操作がされたことに応答してエンジンが再始動される。すなわち、アイドル停止から右ブレーキレバー39の制動解除までの時間が前記所定時間を超えているか否かにより、エンジン再始動のためのトリガが、右ブレーキレバー39の解除操作と制動操作とで切り換えられる。
アイドル停止から所定時間を超えて右ブレーキレバー39の制動操作が継続されていれば、次に右ブレーキレバー39の解除操作がされたときには、運転者の意図は自動二輪車1の発進であると推定できる。たとえば、坂道で自動二輪車1を停止させた場合や、平地での停車であっても運転者が安心のために右ブレーキレバー39の制動操作を継続している場合には、このような状況となる。一方、アイドル停止から所定時間内に右ブレーキレバー39の制動が解除されたならば、運転者の意図は自動二輪車1の発進ではないと推定できる。たとえば、平地で自動二輪車1を停止させて解除操作を行うような状況が該当する。
このように、エンジン45の再始動のためのトリガを、アイドル停止からの制動操作の継続時間に応じて切り換えることによって、運転者の意図を適切に推定して、エンジン45の再始動制御を行うことができる。仮に、アイドル停止から所定時間内に行われる右ブレーキレバー39の解除操作が、自動二輪車1の発進準備を意図した操作であったとしても、運転者は、引き続き制動操作を行うことで、エンジン45を速やかに始動させることができる。通常停止中におけるエンジン45の始動が右ブレーキレバー39の制動操作であるので、運転者が操作に戸惑うことはない。
このように、運転者の意図に応じたエンジン再始動制御を実現でき、利便性の向上された自動二輪車1を提供できる。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、鞍乗り型車両の一例としての自動二輪車1を例に挙げたが、モペット型、スポーツ型等の他の形態の自動二輪車にも本発明を適用できる。さらに、自動二輪車に限らず、不整地走行用車両(All-Terrain Vehicle)、スノーモービル等の他の形態の鞍乗型車両にも本発明を適用できる。さらには、鞍乗り型車両に限らず、ハンド操作型のブレーキ操作部を有する車両に対して本発明を適用することができる。
また、前述の第1の実施形態では、前輪ブレーキの制動をアイドル停止条件に含めていないが、むろん、第2の実施形態と同様に前輪ブレーキの制動をアイドル停止条件に含めてもよい。また、前輪または後輪のブレーキの制動をアイドル停止条件に含めてもよい。
さらに、前述の第1および第2の実施形態では、アイドル停止機能を有する車両について説明したが、この発明は、アイドル停止機能を有しない車両にも適用できる。すなわち、このような車両においても、通常停止状態からのエンジン始動をブレーキ操作を契機として行うことができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 自動二輪車
2 車両本体
3 前輪
4 後輪
6 ハンドル
7 シート
8 パワーユニット
25 バッテリ
31 左グリップ
32 右グリップ(アクセルグリップ)
38 左ブレーキレバー(後輪)
39 右ブレーキレバー(前輪)
40 メインスイッチ
41,42 インジケータ
43 スタータモータ
45 エンジン
60 マイクロコンピュータ
61 ブレーキスイッチユニット(後輪)
62 ブレーキスイッチユニット(前輪)
68 後輪ブレーキユニット
69 前輪ブレーキユニット
70 エンジン制御部
71 アイドル停止制御部
72 エンジン再始動制御部
73 故障検出部
79 点火コイル
80 点火プラグ
87 インジェクタ
90 燃料ポンプ
95 スロットル開度センサ
96 クランク角センサ
97 エンジン温度センサ
98 車速センサ
100 制御ユニット

Claims (10)

  1. エンジンを動力源とする車両であって、
    電装系に通電するためのメインスイッチと、
    乗員の手によって操作され、車両の制動のための制動操作および制動解除のための解除操作を受け付けるブレーキ操作部と、
    前記ブレーキ操作部の操作を検出するブレーキ操作検出手段と、
    前記メインスイッチが導通して前記電装系に通電されている場合において、前記エンジンが停止状態のときに、前記ブレーキ操作検出手段が前記制動操作を検出したことに応答して、前記エンジンを始動するエンジン制御手段と、
    を含む、車両。
  2. 前記エンジン制御手段が、
    前記エンジンが運転状態のときにアイドル停止条件が満たされると、前記エンジンを停止してアイドル停止状態とするアイドル停止制御手段と、
    前記エンジンがアイドル停止状態のときに、前記ブレーキ操作検出手段が前記制動操作を検出したことに応答して、前記エンジンを再始動させる再始動制御手段と、
    を含む、請求項1に記載の車両。
  3. 前記アイドル停止条件は、前記ブレーキ操作検出手段が前記制動操作を検出していることを含み、
    前記再始動制御手段は、前記エンジンがアイドル停止状態となってから所定時間を超えても前記ブレーキ操作検出手段が前記制動操作を検出し続けている場合には、その後に前記ブレーキ操作検出手段が前記解除操作を検出したことに応答して前記エンジンを再始動させる、請求項2に記載の車両。
  4. 前記再始動制御手段は、前記エンジンがアイドル停止状態となってから前記所定時間以内に前記ブレーキ操作検出手段が前記制動操作を検出しなくなると、その後に前記制動操作を検出したことに応答して前記エンジンを再始動させる、請求項3に記載の車両。
  5. 前記車両の速さを検出する車速検出手段をさらに含み、
    前記再始動制御手段は、前記車速検出手段の出力信号に基づいて車両が停止しているか否かを判断し、車両が停止していることを、前記エンジンを再始動するための再始動条件に含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の車両。
  6. 前記エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度検出手段をさらに含み、
    前記再始動制御手段は、前記スロットル開度検出手段が所定の開度以下を検出していることを、前記エンジンを再始動するための再始動条件に含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の車両。
  7. 前記ブレーキ操作検出手段の故障を検出する故障検出手段をさらに含み、
    前記再始動制御手段は、前記エンジンがアイドル停止状態のときに前記故障検出手段が前記ブレーキ操作検出手段の故障を検出すると、前記エンジンを再始動させる、請求項2〜6のいずれか一項に記載の車両。
  8. 前記ブレーキ操作部が、車両の操向のためのハンドルに設けられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両。
  9. 前記ハンドルに取り付けられ、乗員が左右いずれかの手で握って前記エンジンの出力を調節するために操作するアクセルグリップをさらに含み、
    前記ブレーキ操作部が、前記アクセルグリップとともに握って操作するブレーキレバーを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両。
  10. 乗員が跨がって着座するシートを有する鞍乗り型車両である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両。
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