JP2014202146A - 鞍乗型車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】アイドル停止機能を備えながら、使い勝手のよい鞍乗り型車両を提供する。【解決手段】自動二輪車1は、エンジン45のスロットルバルブの開度を調整するためのアクセルグリップ32と、アクセルグリップ32が全閉指示位置を超えて閉指示方向に所定角度以上回動される操作であるオーバーストローク操作を検出するオーバーストローク検出スイッチ160と、エンジン45を自動停止させるアイドル停止制御部111と、オーバーストローク操作に応答してエンジン45を再始動させるエンジン再始動制御部112と、エンジン自動停止時にオーバーストローク操作が検出されていたか否かを記録するオーバーストローク記録部114と、オーバーストローク操作の検出記録があるときには、オーバーストローク検出スイッチ160がオーバーストローク操作を検出しなくなるまでエンジン45の再始動を待機させる再始動待機部115とを含む。【選択図】図11

Description

この発明は、エンジンを動力源とした鞍乗型車両に関する。
特許文献1は、車両を停止させるとエンジンが自動停止し、エンジン自動停止状態のときに着座スイッチがオン状態でアクセル操作が検出されるとエンジンを再始動させるエンジン停止始動制御装置を開示している。
特開平11−257123号公報
特許文献1の構成では、アクセル操作からエンジン始動が完了して車両を発進できる状態になるまでの時間が比較的長く、スムーズに車両を発進させることができないおそれがある。たとえば、アクセルが操作されると、それに応答してスタータモータが回転してエンジンが始動する。そして、エンジン回転速度が上昇し、遠心クラッチが接続状態となって、車輪に駆動力が伝達され、車両が発進する。したがって、アクセル操作から一連の動作が完了するまでの遅れ時間が比較的長く、発進時のもたつき感が生じる。
しかも、アクセル操作に応じてスロットルが開くので、エンジンの吹け上がりによる急発進を予防するために、複雑なエンジン再始動制御が必要になる。ところが、始動時のエンジンの状態は不安定であるうえ、車種ごとの要素(遠心クラッチ等)に適合した制御内容としなければならない。しかも、エンジン始動完了後には、エンジンの状態が安定しないうちに、発進時の大きな負荷変動に対応しなければならない。したがって、エンジン再始動時の制御内容は必然的に複雑になり、制御内容を確定する作業は困難を極める。
一方、車両が自動二輪車のように押し歩き可能な車両である場合には、押し歩きしている間に、不用意にアクセルが操作されて、運転者の意図に反してエンジンが再始動してしまうおそれがある。そこで、特許文献1に記載された構成では、運転者の着座を検出する着座センサを用いて上記の問題を解決している。しかし、着座センサを設けることにより、構成が複雑になり、コスト高となる。さらに、センサの故障判定のための構成も必要になる。
また、特許文献1の構成では、運転者が乗車していなければ自動停止状態のエンジンが再始動しないので、不便な場合がある。たとえば、鞍乗型車両では、運転者が車両から降りて車両を押して歩く場合がある。特許文献1の構成では、このような押し歩き時には、自動停止状態のエンジンは再始動しない。したがって、押し歩き時に予めエンジンを始動しておき、乗車後にアクセルグリップを操作するだけでただちに発進する、といった使い方ができない。また、天候が悪い日や夜間など、ヘッドライトを点灯したままで長時間押し歩きする場合もある。すなわち、他の運転者等から位置が分かるように視認性を上げて安全に車両を移動させたいときに、バッテリ電圧が低下してしまい次の始動ができなくなるのを防ぐためにエンジンを運転状態としておく場合である。
この発明の第1の実施形態は、全閉位置と全開位置との間で開度調整可能なスロットルバルブを備えるエンジンと、開指示方向および閉指示方向に回動可能にハンドルバーに設けられ、前記スロットルバルブの開度を調整するためのアクセルグリップと、前記アクセルグリップに操作力が加えられていない状態で前記スロットルバルブの全閉を指示する全閉指示位置に前記アクセルグリップを保持し、前記アクセルグリップに前記閉指示方向への所定値以上の操作力が加えられると前記全閉指示位置を超えて前記閉指示方向へ前記アクセルグリップが回動することを許容する全閉保持機構と、前記アクセルグリップが前記全閉指示位置を超えて前記閉指示方向に所定角度以上回動される操作であるオーバーストローク操作を検出するオーバーストローク検出手段と、前記エンジンの運転中に所定のアイドル停止条件が充足されると、前記エンジンを自動停止させるアイドル停止制御手段と、前記エンジンの自動停止中に所定の再始動条件が充足されると、前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出したことに応答して、前記エンジンを再始動させる再始動制御手段と、前記アイドル停止制御手段が前記エンジンを自動停止させるときに前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出していたか否かを記録するオーバーストローク記録手段と、前記オーバーストローク記録手段に前記オーバーストローク操作の検出の記録があるときには、前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出しなくなるまで前記再始動制御手段による前記エンジンの再始動を待機させる再始動待機手段とを含む、鞍乗り型車両を提供する。
この構成によれば、アイドル停止条件が満足されると、エンジンが自動停止する。これにより、信号待ちなどの短い停車のときの無駄な燃料の消費を抑制することができる。運転者は、ハンドルバーに設けられたアクセルグリップに対して、全閉指示位置を超えて閉指示方向に所定角度以上回動させるオーバーストローク操作を行うことができる。エンジンが自動停止していて、再始動条件が充足されているときに、オーバーストローク操作が検出されると、エンジンが再始動される。オーバーストローク操作は、スロットルバルブの全閉を指示する全閉指示位置を超えて閉指示方向にアクセルグリップを回動させる操作である。したがって、スロットルバルブが全閉の状態でエンジンを再始動させることができる。よって、エンジンを再始動させるときの吸気量が安定しているので、エンジンを確実に再始動することができ、再始動のための制御が複雑になることがない。
また、エンジン再始動のときにスロットルバルブを開きすぎることがないから、意図しないエンジンの吹け上がりや、意図しない車両の発進が生じることがない。そのため、特許文献1の先行技術のように、誤発進防止のために着座スイッチのような特別な構成を設ける必要がない。したがって、コストを削減でき、センサ故障に対する対策を行ったりする必要もない。また、運転者の着座を条件とせずに再始動しても誤発進が生じない構成であるので、押し歩き時のエンジン再始動も許容できる。それによって、使用者は、必要に応じて、押し歩き時にエンジンを始動することができるので、鞍乗り型車両の利便性を高めることができる。たとえば、押し歩き時にエンジンを運転状態としておいて、乗車後に車両を直ちに発進させたり、バッテリの消耗を防いだりすることができる。
一方、オーバーストローク操作によってエンジンを再始動した後に鞍乗り型車両を発進させるときには、運転者は、アクセルグリップを開指示方向に回動して、スロットルバルブを開くための操作を行う。したがって、アクセルグリップの操作だけでエンジンの再始動および鞍乗り型車両の発進のための操作を行うことができるので、操作が簡便である。
しかも、閉指示方向への操作であるオーバーストローク操作から鞍乗り型車両を発進させるための開指示方向へのアクセルグリップの操作までには、或る程度の時間を要する。この間に、エンジンの再始動が完了し、その燃焼状態が安定するので、鞍乗り型車両を発進させるためにスロットルバルブが開かれるときにも、複雑なエンジン制御が必要となることもない。すなわち、エンジンの負荷が急変する発進へとスムーズに移行できる。また、すでにエンジンが再始動して安定な燃焼状態となっているので、運転者がアクセルグリップを開指示方向に回動すると、エンジン出力が速やかに増加する。そのため、発進時のもたつき感が生じることもない。
この発明の第1の実施形態では、さらに、エンジンが自動停止するときにオーバーストローク操作が検出されているかどうかがオーバーストローク記録手段に記録される。そして、オーバーストローク記録手段にオーバーストローク操作検出の記録があるときには、オーバーストローク操作が検出されなくなるまで、エンジンの再始動が待機させられる。つまり、運転者がオーバーストローク操作を行っている状態でエンジンが自動停止すると、運転者がそのオーバーストローク操作を一旦解除しなければエンジンが再始動しない。そして、運転者が、再び、オーバーストローク操作を行うと、それに応答してエンジンが再始動する。
これにより、エンジンの自動停止時に、運転者が意識せずにオーバーストローク操作をしていたとしても、自動停止したエンジンが直ちに再始動してしまうことがない。それによって、エンジンの自動停止による燃料消費抑制と、運転者の意思に基づくエンジンの再始動とを両立できる。
この発明の第2の実施形態では、鞍乗り型車両は、前記オーバーストローク記録手段および前記再始動待機手段に代えて、前記アイドル停止条件が充足されているときに前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出している場合に、前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出しない状態が所定時間継続するまで前記アイドル停止制御手段による前記エンジンの自動停止を保留させるアイドル停止保留手段を含む。
この構成では、アイドル停止条件が充足されても、オーバーストローク操作が検出されていると、エンジン自動停止が保留される。具体的には、オーバーストローク操作が検出されない状態が所定時間継続するまで、エンジンが自動停止しない。これにより、アクセルグリップの操作(オーバーストローク操作)によって、アイドル停止を保留できる。すなわち、運転者が、エンジン自動停止の必要がないと判断した場合には、運転者の意思によって、アイドル停止を保留できる。しかも、アクセルグリップの操作でアイドル停止を保留できるので、操作が簡便である。
たとえば、エンジンが自動停止する状況であっても、その後、短時間でエンジンの再始動が必要な場合もある。そこで、運転者は、エンジン自動停止後、短時間でエンジン再始動を行うべき可能性を予見すると、オーバーストローク操作を行って、エンジンの自動停止を保留する。それによって、エンジン再始動操作を行うことなく、かつエンジン再始動を待つことなく、鞍乗り型車両を速やかに発進させることができる。また、エンジン自動停止の保留、その保留の解除、鞍乗り型車両の発進の操作を、いずれもアクセルグリップの操作で行うことができ、操作部材を持ち替える必要がない。したがって、操作が簡便であるうえに、アイドル停止保留のための特別の操作手段を必要としないので、構成が簡単であり、それに応じてコストも低減できる。
この発明の一実施形態では、鞍乗り型車両は、前記アクセルグリップの回動を前記スロットルバルブに機械的に伝達する伝達機構と、前記アクセルグリップが前記全閉指示位置を超えて前記閉指示方向に回動された場合でも、前記スロットルバルブの閉方向への変位を前記全閉位置に規制する全閉ストッパとをさらに含む。
この構成によれば、アクセルグリップのオーバーストローク操作が行われても、スロットルバルブは全閉位置に規制される。したがって、スロットルバルブに関連する設計を変更する必要がない。
この発明の一実施形態では、鞍乗り型車両は、前記スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサと、前記スロットル開度センサが所定開度以上の開度を検出しているときには、前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出しても、前記再始動制御手段による前記エンジンの再始動を禁止する再始動禁止手段とをさらに含む。
この構成によれば、オーバーストローク操作が検出されても、所定開度以上のスロットル開度が検出されているときは、エンジンの再始動が禁止される。これにより、スロットル開度が大きい状態でエンジンが再始動されることがないので、不用意にエンジンが吹け上がったり、鞍乗り型車両が不用意に発進したりすることがない。また、オーバーストローク検出手段が故障してオーバーストローク操作を誤検出した場合でも、エンジンが不用意に再始動されない。したがって、オーバーストローク検出手段を多重系にするなどといった、オーバーストローク検出手段の故障対策を施す必要がない。エンジンの再始動が禁止されたとしても、通常のエンジン始動手段を用いることにより、エンジンを始動させることができるので、オーバーストローク検出手段が故障しても、鞍乗り型車両を引き続き使用できる。
この発明の一実施形態では、鞍乗り型車両は、前記ハンドルバーに取り付けられ、運転者が前記アクセルグリップとともに握って操作するブレーキレバーをさらに含む。
この構成によれば、鞍乗り型車両を停止させたときのブレーキレバーの操作に伴って、運転者は、意識せずにオーバーストローク操作を行ってしまうおそれがある。しかし、前記第1の実施形態の構成では、エンジン自動停止時にオーバーストローク操作がされていても、自動停止したエンジンが直ちに再始動してしまうことがない。また、前記第2の実施形態の構成では、ブレーキレバーを操作しながら容易にオーバーストローク操作を行うことができるので、アイドル停止の保留操作が容易である。
この発明の一実施形態では、前記エンジンは、正転方向および逆転方向に回転可能なクランク軸を含み、鞍乗り型車両は、前記クランク軸に前記正転方向または前記逆転方向にトルクを与え、かつ前記クランク軸の回転力を受けて発電する、発電・電動機と、前記再始動制御手段による前記エンジンの再始動時に、前記クランク軸に前記逆転方向のトルクを加えた直後に前記クランク軸に前記正転方向のトルクを加えるように、前記発電・電動機を駆動する電動機制御手段とをさらに含む。
この構成によれば、発電・電動機は、エンジンの始動時にはクランク軸にトルクを与えてクランキングを行い、エンジンの運転中はクランク軸の回転力を受けて電力を発生する。発生した電力は、車両に搭載されたバッテリの充電のために使用されてもよい。
自動停止状態のエンジンを再始動するとき、発電・電動機は、クランク軸に逆転方向のトルクを与えた直後に正転方向のトルクを与える動作、すなわち、スイングバック動作を行う。これにより、クランク軸の慣性を利用して上死点を超えてクランク軸を回転させることができ、かつクランキングの直前にエンジン内でオイルを拡散させて内部の潤滑を図ることができる。それによって、慣性による付勢効果に加えてオイルの拡がりによる摩擦低減効果を活用できるから、発電・電動機に要求される出力トルクを小さく抑えることができる。したがって、たとえば、クランク軸直結式の発電機兼用の電動機を発電・電動機として使用しても、発電・電動機の大型化を回避できる。
一方、エンジンの再始動は、運転者によるオーバーストローク操作を契機としており、その後に鞍乗り型車両を発進させるとき、運転者は、アクセルグリップをオーバーストローク操作とは反対の開指示方向に回動させる。したがって、再始動から鞍乗り型車両の発進までに時間的余裕がある。そのため、鞍乗り型車両を発進させる操作が行われるまでに、スイングバック動作を伴うエンジン再始動を完了させて、エンジンを安定な燃焼状態としておくことができる。つまり、運転者に再始動待ち時間を意識させずに、エンジンの再始動から鞍乗り型車両の発進までの一連の動作を完了させることができる。そして、エンジンの再始動前後におけるスロットル開度の変動が抑えられるので、エンジン内の燃焼が安定した状態で、負荷の急変する発進のためのエンジン制御に容易に移行できる。
図1は、この発明の一実施形態に係る鞍乗型車両の一例である自動二輪車の構成を説明するための図解的な側面図である。 図2は、前記自動二輪車のハンドルの構成例を示す斜視図である。 図3は、前記自動二輪車のパワーユニットの水平断面図である。 図4は、前記パワーユニットに備えられたエンジンに関連する構成を説明するための模式図である。 図5は、スロットルバルブの開度を制御する開度制御機構に関連する構成を説明するための断面図である。 図6は、スロットルバルブの回動軸に沿って見た、スロットル全閉のときの開度制御機構の側面図である。 図7は、スロットル全開のときの開度制御機構の構成を示す側面図である。 図8は、オーバーストローク操作がされているときの開度制御機構の構成を示す側面図である。 図9は、アクセルグリップの操作範囲を説明するための図である。 図10は、前記エンジンの制御に関連する電気的構成を説明するためのブロック図である。 図11は、前記エンジンを制御するECU(電子制御ユニット)の機能的な構成を説明するためのブロック図である。 図12は、エンジンを自動停止させる処理の流れを説明するためのフローチャートである。 図13は、エンジンの自動停止条件の判定(図12のステップS3)の具体例を説明するためのフローチャートである。 図14は、自動停止状態のエンジンを再始動させる制御の一例を説明するためのフローチャートである。 図15は、この発明の他の実施形態に係る自動二輪車におけるエンジンの制御に関連する構成を説明するためのブロック図である。 図16は、図15の実施形態におけるエンジン自動停止処理の流れを説明するためのフローチャートである。 図17は、図15の実施形態において、自動停止状態のエンジンを再始動させるための処理の流れを説明するためのフローチャートである。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る鞍乗型車両の構成を説明するための図解的な側面図である。図1には、鞍乗型車両の一例であるスクータ型の自動二輪車1が示されている。以下の説明では、便宜上、自動二輪車1に乗車したライダー(運転者)の視点に基づいて、自動二輪車1の前後左右および上下の各方向を表す。
自動二輪車1は、車両本体2と、前輪3と、後輪4とを備えている。車両本体2は、車体フレーム5と、ハンドル6と、シート7と、パワーユニット8とを含む。車体フレーム5は、前方に配置されたダウンチューブ9と、ダウンチューブ9の後方に配置された左右一対のサイドフレーム10とを有している。ダウンチューブ9は、前方に向かって斜め上方に延びており、その上端部にはヘッドパイプ11が固定されている。このヘッドパイプ11にステアリングシャフト20が回動自在に支持されている。ステアリングシャフト20の下端に左右一対のフロントフォーク12が固定されている。そして、ステアリングシャフト20の上端部にハンドル6が取り付けられており、フロントフォーク12の下端部に前輪3が回転自在に取り付けられている。サイドフレーム10は、ほぼS字形状をなすように湾曲しており、ダウンチューブ9の下端から、後方に向けて斜め上方に延びている。サイドフレーム10の上にシート7が支持されている。サイドフレーム10の中間部付近には、ブラケット13が固定されている。ブラケット13には、ピボット軸14を介してパワーユニット8が上下方向に揺動可能に支持されている。パワーユニット8は、ユニットスイング式のエンジンユニットである。パワーユニット8の上方には、エンジンに吸入される空気を清浄化するためのエアクリーナ23が配置されている。サイドフレーム10の後端部付近とパワーユニット8の後端部との間には、クッションユニット15が架け渡されている。そして、パワーユニット8の後端部に後輪4が回転自在に支持されている。
車体フレーム5は、樹脂製の車体カバー16で覆われている。車体カバー16は、シート7の前方の下方に設けられて足載せ部を提供するフットボード17と、ヘッドパイプ11を覆うフロントカバー18と、シート7の下方の領域を覆うサイドカバー19と、ハンドル6を覆うハンドルカバー21とを含む。シート7の下方においてサイドカバー19によって覆われた空間にバッテリ25が収容され、車体フレーム5に支持されている。ハンドルカバー21から前方に露出するように前照灯22が設けられており、ハンドル6に支持されている。バッテリ25に蓄えられた電力を自動二輪車1に通電するためのメインスイッチ40は、たとえば、フロントカバー18の後面(シート7に対向する表面)に配置されている。メインスイッチ40は、使用者が保持するキーを用いて操作されるキースイッチであってもよい。
シート7は、運転者が着座できるように鞍型に構成されている。シート7は、運転者が前方に着座でき、その後方に同乗者が着座できるように構成されていてもよい。
図2は、ハンドル6の構成例を示す斜視図であり、シート7に着座した運転者から見下ろした構成を表してある。ハンドル6は、左右に延びたハンドルバー30と、ハンドルバー30の左端および右端にそれぞれ設けられたグリップ31,32とを含む。左グリップ31の前方には後輪ブレーキを作動させるための後輪ブレーキレバー38が配置されており、右グリップ32の前方には前輪ブレーキを作動させるための前輪ブレーキレバー39が配置されている。右グリップ32は、ハンドルバー30の軸回りに所定の角度範囲内で回動可能に取り付けられており、アクセル操作のためのアクセルグリップである。ハンドルバー30は、ハンドルカバー21によって覆われている。ハンドルカバー21には、スピードメータ33およびエンジン回転速度メータ34が設けられている。スピードメータ33には、インジケータ41が配置されている。インジケータ41は後述するアイドル停止制御によってエンジンがアイドル停止状態に移行したときに点灯する。アクセルグリップ32の近傍には、エンジンを始動するためのスタータボタン35が配置されている。また、左グリップ31の近傍には、ウィンカースイッチ36、ヘッドライトスイッチ37等が配置されている。
アクセルグリップ32は、開指示方向Aおよび閉指示方向Bに回動可能にハンドルバー30に設けられている。開指示方向Aは、パワーユニット8に備えられたエンジンのスロットルバルブを開くための操作方向であり、この実施形態では、自動二輪車1の後方側への回動方向である。アクセルグリップ32を開指示方向Aに操作することによって、エンジンの出力を増大して、自動二輪車1を加速することができる。閉指示方向Bは、パワーユニット8に備えられたエンジンのスロットルバルブを閉じるための操作方向であり、開指示方向Aとは反対の回動方向である。この実施形態では、閉指示方向Bは、自動二輪車1の前方側への回動方向である。アクセルグリップ32を閉指示方向Bに操作することによって、エンジンの出力を減少させて、自動二輪車1を減速することができる。運転者がアクセルグリップ32に操作力を加えていないときには、アクセルグリップ32は、スロットルバルブの全閉を指示する全閉指示位置に保持される。この実施形態では、アクセルグリップ32は、所定値以上の操作力が閉指示方向Bに向けて加えられると、全閉指示位置を超えてさらに閉指示方向Bに回動することができる。全閉指示位置を超えて所定角度以上閉指示方向Bに回動する操作を、「オーバーストローク操作」という。
図3は、パワーユニット8の水平断面図であり、上方から見た断面が示されていて、上側が自動二輪車1の前方であり、下側が自動二輪車1の後方に相当している。パワーユニット8は、発電・電動機44と、エンジン45と、Vベルト式無段変速機46と、遠心クラッチ47とを備えている。
エンジン45は、左右に延びたクランク軸48と、クランク軸48を収容するクランクケース49と、クランクケース49から前方に向かって延びたシリンダブロック50と、シリンダブロック50の先端部に固定されたシリンダヘッド51と、シリンダヘッド51の先端部に固定されたヘッドカバー52とを含む。シリンダブロック50およびシリンダヘッド51によってシリンダ53が構成されている。シリンダブロック50内には、ピストン54が摺動自在に収容されている。ピストン54と、クランク軸48とは、コンロッド55によって連結されている。シリンダブロック50と、シリンダヘッド51と、ピストン54とによって、燃焼室56が区画されている。
クランクケース49の右側に発電・電動機44が配置されている。発電・電動機44は、クランク軸48の右端部に結合されたロータ58と、クランクケース49に支持されたステータコイル59とを有している。クランク軸48が回転することにより、ロータ58がステータコイル59のまわりで回転し、ステータコイル59に起電力が生じる。このステータコイル59に生じた起電力によってバッテリ25(図1参照)が充電される。また、ステータコイル59に通電することによって、ロータ58がトルクを発生し、クランク軸48を回転させる。これにより、クランキングを行うことができる。ロータ58は、クランク軸48に直接結合されており、クランク軸48と一体的に回転する。すなわち、ロータ58とクランク軸48との間に減速機構やクラッチ等は介在されていない。クランク軸48は、正転方向および逆転方向に回転可能である。発電・電動機44は、クランク軸48に対して、正転方向のトルクおよび逆転方向のトルクを与えることができる。
Vベルト式無段変速機46は、変速機ケース60と、駆動プーリ61と、従動プーリ62と、これらに巻き掛けられたVベルト63とを含む。駆動プーリ61は、クランク軸48の左端部に取り付けられている。従動プーリ62は、メイン軸65に対して、当該メイン軸65まわりで回転自在に取り付けられている。より具体的には、従動プーリ62は、メイン軸65の軸方向に関する位置が変化する可動プーリ片62aと、当該軸方向に関する位置が変化しない固定プーリ片62bとを含む。いずれのプーリ片62a,62bもメイン軸65に対して回転自在である。メイン軸65は、変速機ケース60に回転自在に保持されている。メイン軸65の回転は、ギヤ機構66を介して、後輪軸67に伝達される。後輪軸67は、変速機ケース60に回転自在に支持されている。後輪軸67には、後輪4が固定されている。
従動プーリ62の回転は、遠心クラッチ47を介してメイン軸65に伝達される。遠心クラッチ47は、メイン軸65に回転自在に支持された一次側ロータ71と、メイン軸65に結合されて当該メイン軸65とともに回転するクラッチ板としての二次側ロータ72とを含む。二次側ロータ72は、一次側ロータ71を取り囲む筒状部を有している。一次側ロータ71に従動プーリ62が結合されており、一次側ロータ71は従動プーリ62とともに回転する。ただし、可動プーリ片62aは、メイン軸65の軸方向に沿って変位自在とされていて、可動プーリ片62aと一次側ロータ71との間には圧縮コイルばね70が介装されている。また、一次側ロータ71にはシュー73が備えられている。シュー73は、一次側ロータ71の回転速度が所定速度まで増大すると、二次側ロータ72の筒状部の内面に当接するように構成されている。したがって、従動プーリ62の回転速度が増大すると、シュー73が二次側ロータ72に当接し、それによって、従動プーリ62の回転が遠心クラッチ47を介してメイン軸65に伝達され、後輪4に駆動力が与えられる。
駆動プーリ61は、クランクケース49に配置された可動プーリ片61aと、クランクケース49から遠い側に配置された固定プーリ片61bとを含む。可動プーリ片61aは、クランク軸48に対して、その軸方向に変位可能であって、クランク軸48とともに回転するように結合されている。固定プーリ片61bは、クランク軸48に固定されており、その軸方向に変位しない状態で、クランク軸48とともに回転する。可動プーリ片61aに対してクランクケース49側には、ホルダプレート64がクランク軸48に固定されている。ホルダプレート64と可動プーリ片61aとの間には、ローラ68が配置されている。ローラ68は、クランク軸48の回転速度が低いときには回転中心付近に位置しており、それに応じて可動プーリ片61aはクランクケース49寄りに位置している。一方、クランク軸48の回転速度が高いほど、ローラ68は、遠心力によって、回転中心から離れ、可動プーリ片61aを押して固定プーリ片61bに近づける。
クランク軸48の回転速度、すなわちエンジン回転速度が低く、可動プーリ片61aと固定プーリ片61bとの間隔が広いときには、Vベルト63はクランク軸48に近い小径位置に位置している。それに応じて、Vベルト63は、従動プーリ62においては、メイン軸65から離れた大径位置に位置している。この状態が、図3に示されている。この状態では、従動プーリ62の回転速度は低いので、遠心クラッチ47は遮断状態に保たれる。エンジン回転速度が増大すると、ローラ68が遠心力によってクランク軸48から離れる方向に変位し、それによって、可動プーリ片61aが固定プーリ片61bに近づくので、Vベルト63は、駆動プーリ61の大径位置へと移動する。これにより、従動プーリ62においては、Vベルト63が、圧縮コイルバネ70のばね力に抗して可動プーリ片62aと固定プーリ片62bとの間隔を押し広げて、小径位置へと移動する。その結果、従動プーリ62の回転速度が高まるので、遠心クラッチ47が接続状態へと移行し、エンジン45の駆動力が後輪4に伝達される状態となる。遠心クラッチ47は、したがって、エンジン回転速度に応答して接続状態となる回転速度応答クラッチである。遠心クラッチ47が接続状態となるときの最小エンジン回転速度を「伝達回転速度」と呼ぶ。
図4は、エンジン45に関連する構成を説明するための模式図である。シリンダヘッド51には、燃焼室56に臨む吸気口81および排気口82が形成されている。さらに、シリンダヘッド51には、燃焼室56に臨んで、点火プラグ80が配置されている。吸気口81には吸気バルブ83が配置されており、排気口82には排気バルブ84が配置されている。吸気バルブ83は吸気口81を開閉し、排気バルブ84は排気口82を開閉する。吸気バルブ83および排気バルブ84は、クランク軸48と連動する動弁装置(図示せず)によって駆動される。吸気口81は吸気ポート85に連なっており、排気口82は排気ポート86に連なっている。
エンジン45は、この実施形態では、燃料噴射式のエンジンである。すなわち、吸気ポート85には、吸気バルブ83よりも上流側にインジェクタ87が配置されている。インジェクタ87は、吸気口81に向けて燃料を噴射するように配置されている。インジェクタ87には、燃料タンク88から燃料ホース89を介して燃料が供給される。燃料タンク88内には燃料ポンプ90が配置されている。燃料ポンプ90は、燃料タンク88内の燃料を燃料ホース89へと圧送する。
吸気ポート85においてインジェクタ87よりも上流側には、スロットルボディ91が配置されている。スロットルボディ91は、スロットルバルブ92、吸気圧センサ93、吸気温センサ94、およびスロットル開度センサ95を保持している。スロットルバルブ92は、たとえば、吸気ポート85内に回動可能に配置された板状の弁体を含むバタフライバルブであってもよい。
スロットルバルブ92は、この実施形態では、ボーデンケーブル等からなるアクセルケーブル99を介して、アクセルグリップ32に機械的に結合されている。アクセルケーブル99は、アクセルグリップ32の回動をスロットルバルブ92に機械的に伝達する伝達機構の一例である。アクセルグリップ32が操作されると、その操作方向および操作量に応じてスロットルバルブ92が変位(この実施形態では角変位)し、スロットル開度を変更させる。スロットルバルブ92の位置がスロットル開度センサ95によって検出される。スロットルバルブ92とアクセルグリップ32とが機械的に連結されているので、この実施形態では、スロットル開度センサ95は、スロットル開度を検出するとともに、アクセル指令値としてのアクセル開度をも検出するアクセル操作検出部としても機能することになる。アクセル開度とは、アクセルグリップ32の操作量である。吸気圧センサ93は、吸入される空気の圧力を検出する。吸気温センサ94は、吸入される空気の温度を検出する。
クランクケース49には、クランク軸48の回転角を検出するためのクランク角センサ96が取り付けられている。また、シリンダブロック50には、エンジン45の温度を検出するためのエンジン温度センサ97が取り付けられている。
アクセルグリップ32は、前述のとおり、開指示方向Aおよび閉指示方向Bに回動させることができる。運転者がアクセルグリップ32に操作力を加えていない状態では、アクセルグリップ32は、所定の全閉指示位置にあり、このときスロットルバルブ92は全閉状態である。その状態から、運転者が開指示方向Aにアクセルグリップ32を操作すると、スロットルバルブ92の開度が大きくなり、吸気量が増大する。それに応じて、インジェクタ87の燃料噴射量が増加させられる。それによって、エンジン回転速度が増加する。一方、運転者がアクセルグリップ32を閉指示方向Bに回動させると、スロットルバルブ92の開度が小さくなり、吸気量が減少する。それに応じて、インジェクタ87の燃料噴射量が減少させられる。それによって、エンジン回転速度が減少する。
アクセルグリップ32に対して、全閉指示位置を超えてさらに閉指示方向Bに所定角度だけ回動させるオーバーストローク操作を行っても、スロットルバルブ92は全閉位置に保持される。
図5は、スロットルバルブの開度を制御する開度制御機構に関連する構成を説明するための断面図であり、図6は、スロットルバルブの回動軸に沿って見た開度制御機構の側面図である。
スロットルボディ91には、フレーム140が結合されており、このフレーム140に開度制御機構150が支持されている。開度制御機構150は、アクセルケーブル99によってアクセルグリップ32と連動するように構成されている。アクセルケーブル99は、アクセルグリップ32の開指示方向Aの操作力を伝達する開指示ケーブル99aと、アクセルグリップ32の閉指示方向Bの操作力を伝達する閉指示ケーブル99bとを含み、これらは、アクセルグリップ32とともに回動する駆動プーリ125に結合されている。開度制御機構150は、開指示ケーブル99aに結合された第1プーリ151と、閉指示ケーブル99bに結合され第2プーリ152とを含む。第1プーリ151および第2プーリ152は、支持軸153に支持されている。第1プーリ151は支持軸153に対して相対回転不能に結合されており、第2プーリ152は、支持軸153に対して相対回転可能に支持されている。支持軸153は、フレーム140に対して、その軸線まわりの回動が可能であるように結合されている。支持軸153の回転は、スロットルバルブ92に伝達される。支持軸153とスロットルバルブ92とは、図5に示すように直接結合されていてもよいし、ギヤ機構を介して結合されていてもよい。
支持軸153は、フレーム140に設けられたボス141に挿入されて回転自在である。ボス141には、第1コイルばね154が巻装されている。この第1コイルばね154の一端はフレーム140に結合されており、その他端は第1プーリ151に結合されている。第1コイルばね154は、第1プーリ151を閉方向B1に回転させるように弾性力を発生する。一方、第2プーリ152は、支持軸153に対して、ブッシュ155を介して回転自在に支持されている。ブッシュ155には、第2コイルばね156が巻装されている。第2コイルばね156の一端は第1プーリ151に結合されており、その他端は第2プーリ152に結合されている。
第1プーリ151の回動範囲を、スロットルバルブ92の全閉位置および全開位置にそれぞれ対応する全閉位置および全開位置の間に規制するために、フレーム140には、全閉ストッパ142および全開ストッパ143が設けられている。第1プーリ151は、径方向に突出したレバー157を有している。アクセルグリップ32に操作力が作用していないときには、第1コイルばね154が第1プーリ151を閉方向B1に付勢し、それによって、第1プーリ151はレバー157が全閉ストッパ142に当接した全閉位置で規制されている。この状態が図6に示されている。
アクセルグリップ32を開指示方向Aに回動操作していくと、第1プーリ151が開方向A1に回動していき、レバー157が全開ストッパ143に当接した全開位置で規制される。この状態を図7(アクセルケーブル99の図示は省略)に示す。第1プーリ151が開方向A1に回動するとき、第2コイルばね156を介して第2プーリ152が連れ回る。このとき、第1コイルばね154が弾性変形する。したがって、運転者がアクセルグリップ32に対する操作力を弱めれば、第1コイルばね154の復元力によって、第1プーリ151は閉方向B1に回動する。第1プーリ151が閉方向B1に回動するとき、第1プーリ151に形成された押圧部158が、第2プーリ152に形成されたスイッチ操作レバー159を閉方向B1に押す。これにより、第2プーリ152は、第1プーリ151から閉方向B1への力を受けて、閉方向B1へと回動する。第1および第2プーリ151,152の閉方向B1への回動は、レバー157が全閉ストッパ142に当接することによって規制される。したがって、運転者がアクセルグリップ32に操作力を加えていない状態では、第1コイルばね154の弾性力によって第1プーリ151のレバー157が全閉ストッパ142に押し付けられ、それによって、スロットルバルブ92が全閉位置に保持される。それとともに、第1プーリ151の回転がアクセルケーブル99によってアクセルグリップ32に伝達されるので、アクセルグリップ32は、全閉指示位置に保持される。
一方、第1プーリ151が全閉位置にあるとき、すなわち、スロットルバルブ92が全閉のとき、アクセルグリップ32に対してオーバーストローク操作を行うと、操作力が閉指示ケーブル99bから第2プーリ152に伝達される。これにより、第1プーリ151の閉方向B1への回動が全閉ストッパ142によって規制された状態で、第2コイルばね
156を弾性変形させながら、第2プーリ152が閉方向B1に回動する。これにより、スイッチ操作レバー159が押圧部158から離れて閉方向B1に向かって変位する。このスイッチ操作レバー159の移動経路にオーバーストローク検出スイッチ160の操作子160aが配置されている。より具体的には、アクセルグリップ32に操作力が加えられていないときの第2プーリ152の位置を基準位置とすると、この基準位置から閉方向B1に所定角度以上第2プーリ152が回動することによって、図8(アクセルケーブル99の図示は省略)に示すように、スイッチ操作レバー159が操作子160aを操作し、オーバーストローク検出スイッチ160の状態が切り換わる。したがって、アクセルグリップ32が全閉指示位置から閉指示方向Bに向かって所定角度以上操作されると、オーバーストローク検出スイッチ160の状態が切り換わる。こうして、オーバーストローク操作が検出される。
オーバーストローク操作状態から、アクセルグリップ32への操作力が解除されると、第2コイルばね156の復元力によって、第2プーリ152が開方向A1へと回動し、前記基準位置に復帰する。この第2プーリ152の回動が閉指示ケーブル99bによってアクセルグリップ32に伝達されるので、アクセルグリップ32は全閉指示位置へと復帰する。
このように、開度制御機構150は、本発明における全閉保持機構としての働きを有している。
図9は、アクセルグリップ32の操作範囲を説明するための図である。アクセルグリップ32は、全閉指示位置と全開指示位置との間の通常運転時操作範囲内で開指示方向Aおよび閉指示方向Bに回動操作することができる。全閉指示位置は、開度制御機構150の第1プーリ151が全閉ストッパ142によって全閉位置に規制されることによって、規定されるアクセルグリップ32の回動位置である。全開指示位置は、開度制御機構150の第1プーリ151が全開ストッパ143によって全開位置に規制されることによって、規定されるアクセルグリップ32の回動位置である。
アクセルグリップ32は、さらに、全閉指示位置を超えて閉指示方向Bへと回動操作することができる。全閉指示位置を超えて閉指示方向Bへ所定角度を超える回動操作、すなわちオーバーストローク操作を行うと、開度制御機構150の第2プーリ152のスイッチ操作レバー159がオーバーストローク検出スイッチ160の操作子160aを操作する。これにより、オーバーストローク検出スイッチ160が出力するスイッチ信号が切り換わり、オーバーストローク操作が検出される。
図10は、エンジン45の制御に関連する電気的構成を説明するためのブロック図である。センサ93〜97の出力は、ECU(電子制御ユニット)100に入力されている。ECU100には、必要に応じて、車速センサ98、加速度センサ131等の他のセンサ類が接続されていてもよい。車速センサ98は、自動二輪車1の車速を検出するセンサであり、車輪3,4の回転速度を検出する車輪速センサであってもよい。加速度センサ131は、自動二輪車1の加速度を検出するセンサである。ECU100には、さらに、運転者のオーバーストローク操作を検出するオーバーストローク検出スイッチ160が接続されている。
ECU100は、センサ93〜97等の出力信号に基づいて、燃料ポンプ90およびインジェクタ87を駆動し、それによって、燃料噴射量および燃料噴射タイミングを制御する。ECU100には、さらに、点火コイル79が接続されている。点火コイル79は、点火プラグ80(図4参照)の火花放電を生じさせるための電力を蓄える。ECU100は、センサ93〜97等の出力信号に基づいて点火コイル79への通電を制御し、それによって、点火時期(点火プラグ80の放電タイミング)を制御する。
さらに、ECU100は、発電・電動機44への通電を制御し、それによって、エンジン45の始動を制御する。
バッテリ25は、ヒューズ27を介して給電ライン26に接続されている。バッテリ25に蓄えられている電力は、給電ライン26を介して、発電・電動機44、ECU100、点火コイル79、インジェクタ87、燃料ポンプ90、インジケータ41などに供給される。また、バッテリ25には、発電・電動機44で生成され、レギュレータ78で整流および調整された電力が供給され、それによって、エンジン45の運転中は、バッテリ25が充電される。
給電ライン26には、メインスイッチ40が介装されている。給電ライン26には、メインスイッチ40に対してバッテリ25とは反対側に、ブレーキスイッチ135,136の並列回路が接続されている。ブレーキスイッチ135は、後輪ブレーキレバー38が操作されているときに導通し、後輪ブレーキレバー38が操作されていないときには遮断されるスイッチである。同様に、ブレーキスイッチ136は、前輪ブレーキレバー39が操作されているときに導通し、前輪ブレーキレバー39が操作されていないときには遮断されるスイッチである。これらのブレーキスイッチ135,136の並列回路に対して直列にスタータボタン35が接続されており、スタータボタン35に直列にダイオード137が接続されており、さらに、ダイオード137にECU100が接続されている。そして、ECU100に対して、発電・電動機44が接続されている。後輪ブレーキレバー38または前輪ブレーキレバー39を操作している状態でスタータボタン35がオン操作されると、ECU100は、バッテリ25の電力を発電・電動機44に供給する。
給電ライン26において、メインスイッチ40に対してバッテリ25とは反対側に、ECU100、点火コイル79、インジェクタ87、燃料ポンプ90、インジケータ41などが接続されている。すなわち、メインスイッチ40が導通すると、ECU100に給電され、ECU100による制御動作が開始される。
ECU100は、給電ライン26から供給される電圧(バッテリ電圧)を検出する電圧検出部102を内蔵している。ECU100は、さらに、点火コイル79、インジェクタ87、燃料ポンプ90、発電・電動機44、インジケータ41等のアクチュエータ類を駆動するための駆動制御部101を備えている。駆動制御部101は、アクチュエータ類に通電するための駆動回路を含む。とくに、駆動制御部101は、発電・電動機44を正転駆動および逆転駆動する電動機駆動回路を備えている。ECU100は、スタータボタン35がオフのときでも、発電・電動機44を作動させて、エンジン45のクランキングを行うことができる。
図11は、ECU100の機能的な構成を説明するためのブロック図である。ECU100は、コンピュータを内蔵しており、そのコンピュータがプログラムを実行することによって、以下に説明する複数の機能処理部の各機能が実現される。
すなわち、ECU100は、機能処理部として、アイドル停止制御部111と、エンジン再始動制御部112と、エンジン出力制御部113と、オーバーストローク記録部114と、再始動待機部115と、電動機制御部119とを含む。
エンジン出力制御部113は、エンジン45の出力を制御する。具体的には、エンジン出力制御部113は、燃料供給制御部116と、点火制御部117とを含む。燃料供給制御部116は、燃料ポンプ90およびインジェクタ87を制御することにより、燃料噴射量および燃料噴射タイミングを制御する。点火制御部117は、点火コイル79への通電を制御することで、点火プラグ80の火花放電時期(点火時期)を制御する。燃料噴射量および点火時期の一方または両方を制御することによって、エンジン45の出力を制御できる。また、燃料噴射量を零として、燃料カットを行えば、エンジン45を停止させることができる。
アイドル停止制御部111は、エンジン45がアイドル状態である間に所定のアイドル停止条件が満足されると、エンジン45を停止させてアイドル停止状態に移行させる。アイドル状態とは、スロットル開度が全閉であり、エンジン回転速度がアイドル回転速度域(たとえば2500rpm以下)内の値である状態をいう。アイドル停止状態とは、アイドル停止制御部111による制御によって、エンジン45の運転が自動停止された状態をいう。アイドル停止制御部111は、具体的には、エンジン出力制御部113に対して燃料カット指令を与えることによって、エンジン45への燃料供給を停止させ、それによって、エンジン45を停止させる。
エンジン再始動制御部112は、エンジン45がアイドル停止状態である間に、オーバーストローク検出スイッチ160の出力を監視する。そして、オーバーストローク検出スイッチ160がオーバーストローク操作を検出すると、それに応答して、エンジン45を再始動させる。再始動とは、アイドル停止状態(自動停止状態)のエンジン45が始動することをいう。エンジン再始動制御部112は、具体的には、電動機制御部119によって駆動制御部101を制御させて発電・電動機44を作動させ、かつエンジン出力制御部113に対して燃料供給制御および点火制御指令を与える。これにより、発電・電動機44が作動され、インジェクタ87から燃料が噴射され、かつ点火コイル79の火花放電が行われて、エンジン45が再始動する。
オーバーストローク記録部114は、アイドル停止制御部111がエンジン45を自動停止させるときに、オーバーストローク検出スイッチ160がオーバーストローク操作を検出しているかどうかを記録する。
再始動待機部115は、オーバーストローク記録部114に、オーバーストローク操作検出の記録があるかどうかを判断する。オーバーストローク操作の記録がある場合には、再始動待機部115は、エンジン45がアイドル停止状態となった後にオーバーストローク検出スイッチ160がオーバーストローク操作を検出しなくなるまで、エンジン再始動制御部112の機能を無効化する。したがって、アイドル停止制御部111がエンジン45を自動停止させるときに運転者がオーバーストローク操作を行っていた場合には、エンジン45がアイドル停止状態に移行してから、オーバーストローク操作が一旦解除された後でなければ、オーバーストローク操作に応答したエンジン45再始動が行われない。
電動機制御部119は、エンジン再始動制御部112から再始動指令を受けると、発電・電動機44を作動させてエンジン45のクランキングを行う。このとき、電動機制御部119は、発電・電動機44から逆転方向のトルクを発生させて所定角度だけクランク軸48を逆転方向に回転させるスイングバック動作を行い、その後に発電・電動機44から正転方向のトルクを発生させてクランキングを開始する。
図12は、アイドル停止制御部111によってエンジン45を自動停止させる処理の流れを説明するためのフローチャートであり、エンジン45の運転中にECU100によって制御周期毎に繰り返し実行される処理を示す。
アイドル停止制御部111は、エンジンを自動停止させるための自動停止条件の継続時間を計測するためのタイマT1をクリアしてスタートさせる(ステップS1)。そして、アイドル停止制御部111は、自動停止条件を判断するための情報を収集する(ステップS2)。その収集された情報に基づいて、アイドル停止制御部111は、自動停止条件が成立しているかどうかを判断する(ステップS3)。自動停止条件が成立していると(ステップS3:YES)、アイドル停止制御部111は、タイマT1の計測時間を参照し、その計測時間を所定時間TA(たとえば3秒)と比較する(ステップS4)。タイマT1の計測時間が所定時間TA未満であれば(ステップS4:NO)、ステップS2に戻り、自動停止条件の成立/不成立を調べる(ステップS2,S3)。所定時間TAが経過するまでに自動停止条件が充足されなくなると(ステップS3:NO)、ステップS1に戻り、タイマT1の計時が再スタートする。
自動停止条件の充足状態が所定時間TAに渡って継続すると(ステップS4:YES)、オーバーストローク記録部114は、オーバーストローク検出スイッチ160の出力を参照する(ステップS5)。オーバーストローク記録部114は、オーバーストローク検出スイッチ160がオーバーストローク操作を検出(たとえばオーバーストローク検出スイッチ160がオン)していれば(ステップS5:YES)、フラグF1を「1」にセットする(ステップS6)。一方、オーバーストローク検出スイッチ160がオーバーストローク操作を検出していなければ(ステップS5:NO)、オーバーストローク記録部114は、フラグF1を「0」にセットする(ステップS7)。すなわち、オーバーストローク記録部114は、オーバーストローク操作が検出されているか否かをフラグF1に記録する。
その後、アイドル停止制御部111は、エンジン45を自動停止させるための処理(ステップS8)を行う。すなわち、アイドル停止制御部111は、エンジン45への燃料供給を停止し、燃料噴射制御および点火制御を停止する。
アイドル停止条件とは、この実施形態では、自動停止条件が満たされた状態が所定時間TAに渡って継続することである。アイドル停止状態において、ECU100は、インジケータ41を点灯させる。
図13は、自動停止条件の判定(図12のステップS3)の具体例を説明するためのフローチャートである。アイドル停止制御部111は、次の条件A1〜A5がすべて満たされるかどうかを判断する(ステップS11〜S15)。
条件A1:アクセルグリップ32が全閉位置である。この条件は、運転者がエンジン45の駆動力を駆動輪である後輪4に伝達させる意思のないこと確認する条件である。この実施形態では、アクセルケーブル99によってアクセルグリップ32とスロットルバルブ92とが機械的に連動するので、スロットル開度センサ95がスロットルバルブ92の全閉を検出していれば、アクセルグリップ32が全閉指示位置にあることになる。
条件A2:車速が所定値(たとえば、3km/h)以下である。この条件は、自動二輪車1が停止していることを確認するための条件である。具体的には、車速センサ98が所定値以下の車速を検出していることが条件となる。
条件A3:エンジン回転速度が所定値(たとえば2500rpm)以下である。この条件は、エンジン回転速度がアイドル回転速度域にあることを確認するための条件である。ECU100は、たとえば、クランク角センサ96が出力するクランクパルスの発生周期に基づいてエンジン回転速度を算出する。
条件A4:エンジン温度が所定値(たとえば60℃)以上である。この条件は、エンジン45が充分に暖まっており、運転停止しても容易に再始動できる状態であることを確認するための条件である。アイドル停止制御部111は、エンジン温度センサ97の出力信号に基づいて、エンジン温度に関する判定を行う。
条件A5:バッテリが劣化していない。バッテリが劣化している状態とは、バッテリ25がエンジン45を余裕をもって始動できる電力を発電・電動機44に供給できない状態をいう。すなわち、バッテリ25が経年等に起因して性能劣化している場合だけでなく、バッテリ25の放電によって、その出力電圧が低下している場合も、バッテリ25が劣化している状態に含まれる。バッテリ25の劣化は、電圧検出部102(図10参照)によって検出されるバッテリ25の出力電圧に基づいて判断できる。
アイドル停止制御部111は、条件A1〜A5がすべて満たされているときに(ステップS11〜S15のすべてにおいてYES)、自動停止条件が成立したと判断する(図12のステップS3:YES)。アイドル停止制御部111は、条件A1〜A5の少なくとも一つが満たされなければ(ステップS11〜S15のいずれかにおいてNO)、自動停止条件不成立と判断する(図12のステップS3:NO)。
図14は、自動停止状態のエンジン45を再始動させるための処理の流れを説明するためのフローチャートであり、エンジン45が自動停止中、すなわちアイドル停止状態において、ECU100によって制御周期毎に繰り返し実行される処理を示す。
再始動待機部115は、アイドル停止時におけるオーバーストローク操作の検出状態を記録したフラグF1を参照する(ステップS21)。フラグF1が「1」であるとき、すなわち、エンジン45が自動停止されるときにオーバーストローク操作が検出されていたときには、再始動待機部115は、オーバーストローク検出スイッチ160の出力を参照する。そして、オーバーストローク操作が検出(たとえばオーバーストローク検出スイッチ160がオン)されていれば(ステップS22:YES)、フラグF1は「1」のまま保持され、ステップS21からの処理が繰り返される。オーバーストローク操作が検出されなくなると(ステップS22:NO)、再始動待機部115は、フラグF1を「0」に書き換える(ステップS23)。その後の処理は、ステップS21に戻る。
フラグF1が「0」のときは(ステップS21:NO)、エンジン再始動制御部112によって、エンジン45を再始動させるための処理が実行される。具体的には、エンジン再始動制御部112は、再始動条件を判断するための情報を収集し(ステップS24)、その収集した情報に基づいて再始動条件が成立するかどうかを判断する(ステップS25)。再始動条件が充足されなければ、ステップS24に戻る。
再始動条件が充足されると(ステップS25:YES)、エンジン再始動制御部112は、オーバーストローク検出スイッチ160の出力を監視する(ステップS26)。オーバーストローク検出スイッチ160が操作されなければ(ステップS26:NO)、ステップS24からの処理が繰り返される。オーバーストローク検出スイッチ160の操作が検出(たとえばオーバーストローク検出スイッチ160がオン)されると(ステップS26:YES)、エンジン再始動制御部112は、エンジン45を再始動させるための処理を実行する(ステップS27)。すなわち、エンジン再始動制御部112は、リレー77を導通させて発電・電動機44を作動させるとともに、燃料噴射制御および点火制御を開始する。これにより、エンジン45が再始動する。
このような処理によって、アイドル停止制御部111の働きによってエンジン45が自動停止させられるときにオーバーストローク操作が行われていると、オーバーストローク操作が解除されるまでは、エンジン45の再始動が待機させられる。そして、オーバーストローク操作が一旦解除されて、その後にオーバーストローク操作が再度検出されると、エンジン45が再始動させられる。これにより、オーバーストローク操作をしている状態でアイドル停止し、即座にエンジン45が再始動されるといった制御の無駄を回避できる。アイドル停止制御部111の働きによるエンジン45の自動停止の際にオーバーストローク操作が検出されていなければ(ステップS21:NO)、エンジン自動停止中にオーバーストローク操作を行えば(ステップS26:YES)、すみやかにエンジン45の再始動処理(ステップS27)が実行される。
エンジン45の再始動後は、アクセルグリップ32の操作によってスロットル開度が大きくなってエンジン45の出力が増大すると、エンジン回転速度が伝達回転速度に到達する。それによって、遠心クラッチ47が接続状態となり、エンジン45の駆動力が後輪4に伝達され、自動二輪車1が発進する。
前記再始動条件(ステップS25)は、スロットル開度が所定開度未満であることを含むことが好ましい。この場合、エンジン再始動制御部112は、スロットル開度センサ95が所定開度以上の開度を検出しているときは、再始動条件が不成立であると判断する。したがって、オーバーストローク操作を行ってもエンジン45が再始動されず、エンジン45の再始動が禁止されることになる。すなわち、ステップS25の処理は、本発明における再始動禁止手段の機能に相当する。前記所定開度は、アイドリング時に設定されるアイドル開度、すなわち全閉開度であってもよいし、全閉開度よりもやや大きな開度であってもよい。ただし、前記所定開度は、エンジン回転速度が前記伝達回転速度に達しないように十分に小さな値に設定されることが好ましい。それによって、エンジン45の再始動時に、自動二輪車1が不用意に発進することを回避できる。
この実施形態では、エンジン45の再始動は、前述のように、スイングバック動作を含む。スイングバック動作とは、エンジン45のクランク軸48を逆転方向に所定角度だけ回転させる動作である。このスイングバック動作の後に、クランク軸48を正転方向に回転させて、エンジン45が再始動される。すなわち、電動機制御部119は、エンジン再始動制御部112からの再始動指令を受けて、発電・電動機44を逆転方向に所定角度だけ回転させた後に、正転方向への回転を開始させてエンジン45のクランキングを行う。これにより、クランク軸48は慣性によって回転し、発電・電動機44の駆動トルクが小さくても、圧縮上死点を超えて回転する。それにより、クランク軸48に直結可能な小型の発電・電動機44を用いながら、エンジン45を確実に始動させることができる。
以上のようにこの実施形態によれば、アイドル停止条件が満足されると、エンジン45が自動停止してアイドル停止状態に移行する。これにより、信号待ちなどの短い停車のときの無駄な燃料の消費を抑制することができる。一方、アイドル停止状態の間に、運転者がオーバーストローク操作を行うとエンジン45が再始動する。このとき、運転者の乗車を条件とすることなく、エンジン45が再始動される。
また、エンジン45を再始動させるためのオーバーストローク操作は、全閉指示位置を超えて閉指示方向Bにアクセルグリップ32を回動させる操作である。したがって、スロットルバルブ92が全閉の状態でエンジン45を再始動させることができる。よって、エンジン45を再始動させるときの吸気量が安定しているので、エンジン45を確実に再始動することができ、再始動のための制御が複雑になることがない。
また、エンジン再始動のときにスロットルバルブ92を開きすぎることがないから、意図しないエンジン45の吹け上がりや、自動二輪車1の意図しない発進が生じることがない。そのため、誤発進防止のために着座スイッチのような特別な構成を設ける必要がない。したがって、コストを削減でき、センサ故障に対する対策を行ったりする必要もない。
また、運転者の着座を条件とせずに再始動しても誤発進が生じない構成であるので、押し歩き時のエンジン再始動も許容できる。そこで、自動二輪車1を押し歩きする場合には、運転者は、必要に応じてオーバーストローク操作を行うことで、エンジン45を再始動できる。したがって、運転者は、エンジン45を運転させた状態で自動二輪車1を押し歩きできる。エンジン45を停止したければ、運転者は、メインスイッチ40を遮断すればよい。
このようにして、押し歩き時にもエンジン45を運転状態としておいて、乗車後に自動二輪車1を直ちに発進させたり、バッテリ25の消耗を防いだりすることができる。それによって、アイドル停止機能を損なうことなく、使い勝手の良い自動二輪車1を提供できる。
自動二輪車1の押し歩き時のエンジン45の運転は、運転者が必要に応じて安全安心等のために意図的に行うので、無駄な燃料消費には当たらない。
また、この実施形態では、アイドル停止時にオーバーストローク操作が検出されていると、オーバーストローク操作が一旦解除されるまでは、エンジン45の再始動が待機させられる。これにより、アイドル停止後にただちにエンジン再始動されるような、無駄な制御を回避できる。つまり、運転者がオーバーストローク操作を行っている状態でエンジン45が自動停止すると、運転者がそのオーバーストローク操作を一旦解除しなければエンジン45が再始動しない。そして、運転者が、再び、オーバーストローク操作を行うと、それに応答してエンジン45が再始動する。これにより、エンジン45の自動停止時に、運転者が意識せずにオーバーストローク操作をしていたとしても、自動停止したエンジン45が直ちに再始動してしまうことがない。それによって、エンジン45の自動停止による燃料消費抑制と、運転者の意思に基づくエンジン45の再始動とを両立できる。
一方、オーバーストローク操作によってエンジン45を再始動した後に自動二輪車1を発進させるときには、運転者は、アクセルグリップ32を開指示方向Aに回動して、スロットルバルブ92を開くための操作を行う。したがって、アクセルグリップ32の操作だけでエンジン45の再始動および自動二輪車1の発進のための操作を行うことができるので、操作が簡便である。
しかも、閉指示方向Bへの操作であるオーバーストローク操作から自動二輪車1を発進させるための開指示方向Aへのアクセルグリップの操作までには、或る程度の時間を要する。この間に、エンジン45の再始動が完了し、その燃焼状態が安定するので、自動二輪車1を発進させるためにスロットルバルブ92が開かれるときにも、複雑なエンジン制御が必要となることもない。すなわち、エンジン45の負荷が急変する発進へとスムーズに移行できる。また、すでにエンジン45が再始動して安定な燃焼状態となっているので、運転者がアクセルグリップ32を開指示方向に回動すると、エンジン出力が速やかに増加する。そのため、発進時のもたつき感が生じることもない。
また、この実施形態では、アクセルグリップ32の回動はアクセルケーブル99および開度制御機構150によって、スロットルバルブ92に機械的に伝達する伝達される。アクセルグリップ32が全閉指示位置を超えて閉指示方向Bに回動された場合、全閉ストッパ142が第1プーリ151の回動を規制することで、スロットルバルブ92の閉方向への変位がその全閉位置で規制される。これにより、アクセルグリップ32のオーバーストローク操作が行われても、スロットルバルブ92は全閉位置に規制される。したがって、スロットルバルブ92に関連する設計を変更する必要がない。さらに、スロットルバルブ92が全閉位置で機械的に規制されるので、スロットル開度センサ95の全閉信号値の更新学習に悪影響を及ぼすことなく、オーバーストローク操作を検出できる。
また、この実施形態では、スロットル開度センサ95が所定開度以上の開度を検出しているときには、オーバーストローク検出スイッチ160がオーバーストローク操作を検出しても、エンジン45は再始動されない。これにより、スロットル開度が大きい状態でエンジン45が再始動されることがないので、不用意にエンジン45が吹け上がったり、自動二輪車1が不用意に発進したりすることがない。また、オーバーストローク検出スイッチ160が故障してオーバーストローク操作を誤検出した場合でも、エンジン45が不用意に再始動されない。したがって、オーバーストローク検出スイッチ160を多重系にするなどといった、オーバーストローク検出スイッチ160の故障対策を施す必要がない。
エンジン45の再始動が禁止されたとしても、通常のエンジン始動手段であるスタータボタン35を用いることにより、エンジン45を始動させることができるので、オーバーストローク検出スイッチ160が故障しても、自動二輪車1を引き続き使用できる。
自動二輪車1を停止させるとき、運転者は、ハンドルバー30に備えられた前輪ブレーキレバー39をアクセルグリップ32とともに握って操作する。このとき、運転者は、意識せずにオーバーストローク操作を行ってしまうかもしれない。しかし、この実施形態の構成では、エンジン自動停止時にオーバーストローク操作がされていても、自動停止したエンジン45が直ちに再始動してしまうことがない。
さらに、この実施形態では、発電・電動機44は、エンジン45の始動時にはクランク軸48にトルクを与えてクランキングを行い、エンジン45の運転中はクランク軸48の回転力を受けて電力を発生する。発生した電力は、バッテリ25の充電のために使用される。
エンジン45の再始動の際には、発電・電動機44は、クランク軸48に逆転方向のトルクを加えた直後に正転方向のトルクを加える。すなわち、発電・電動機44は、スイングバック動作を行う。これにより、クランク軸48の慣性を利用して上死点を超えてクランク軸48を回転させることができ、かつクランキングの直前にエンジン45内でオイルを拡散させて内部の潤滑を図ることができる。それによって、慣性による付勢効果に加えてオイルの拡がりによる摩擦低減効果を活用できるから、発電・電動機44に要求される出力トルクを小さく抑えることができる。したがって、クランク軸直結式の発電機兼用の電動機を発電・電動機44として使用しても、発電・電動機44の大型化を回避できる。また、クランク直結式の発電・電動機44を用いることによって、エンジン始動時の静粛性を向上でき、機構上の耐久性を高めることができ、さらに部品点数を削減できる。
一方、エンジン45の再始動は、運転者によるオーバーストローク操作を契機としており、その後に自動二輪車1を発進させるとき、運転者は、アクセルグリップ32をオーバーストローク操作とは反対の開指示方向Aに回動させる。したがって、再始動から自動二輪車1の発進までに時間的余裕がある。そのため、自動二輪車1を発進させる操作が行われるまでに、スイングバック動作を伴うエンジン再始動を完了させて、エンジン45を安定な燃焼状態としておくことができる。つまり、運転者に再始動待ち時間を意識させずに、エンジン45の再始動から自動二輪車1の発進までの一連の動作を完了させることができる。そして、エンジン45の再始動前後におけるスロットル開度の変動が抑えられるので、エンジン45内の燃焼が安定した状態で、負荷の急変する発進のためのエンジン制御に容易に移行できる。
図15は、この発明の他の実施形態に係る自動二輪車におけるエンジンの制御に関連する構成を説明するためのブロック図である。この実施形態の説明では、前述の図1〜図10、図13を再び参照する。図15には、ECU100の機能的な構成が示されており、前述の図11に示した各部の対応部分には同一参照符号が付されている。
この実施形態では、オーバーストローク記録部114および再始動待機部115(図11参照)は備えられておらず、アイドル停止保留部110が備えられている。アイドル停止保留部110は、アイドル停止条件が成立したときにオーバーストローク操作が検出されている場合には、エンジン45の自動停止を保留する。すなわち、オーバーストローク操作を行うことによって、運転者は、アイドル停止を保留することができる。
図16は、アイドル停止制御部111によってエンジン45を自動停止させる処理の流れを説明するためのフローチャートであり、エンジン45が運転中にECU100によって制御周期毎に繰り返し実行される処理を示す。アイドル停止制御部111は、タイマT2に所定時間TB(たとえば2〜5秒)をセットし(ステップS30)、さらに、自動停止条件の継続時間を計測するためのタイマT1をクリアしてスタートさせる(ステップS31)。そして、アイドル停止制御部111は、エンジン45の自動停止条件を判断するための情報を収集する(ステップS32)。その収集された情報に基づいて、アイドル停止制御部111は、自動停止条件が成立しているかどうかを判断する(ステップS33)。この判断の詳細は、前述の第1の実施形態の場合と同様である(図13参照)。
自動停止条件が成立していると(ステップS33:YES)、アイドル停止制御部111は、タイマT1の計測時間を参照し、その計測時間を所定時間TA(たとえば3秒)と比較する(ステップS34)。タイマT1の計測時間が所定時間TA未満であれば(ステップS34:NO)、ステップS32に戻り、自動停止条件を調べる(ステップS32,S33)。所定時間TAが経過するまでに自動停止条件が充足されなくなると(ステップS33:NO)、ステップS31に戻り、タイマT1の計時が再スタートする。
自動停止条件の充足状態が所定時間TAに渡って継続すると(ステップS34:YES)、アイドル停止条件が充足されたことになる。この場合、アイドル停止保留部110は、オーバーストローク検出スイッチ160の出力を参照する(ステップS35)。アイドル停止保留部110は、オーバーストローク検出スイッチ160がオーバーストローク操作を検出(たとえばオーバーストローク検出スイッチ160がオン)していれば(ステップS35:YES)、タイマT2の計測時間をゼロにクリアしてスタートさせる(ステップS36)。その後の処理は、ステップS32に戻る。
一方、アイドル停止条件が充足されたとき(ステップS34:YES)にオーバーストローク検出スイッチ160がオーバーストローク操作を検出していなければ(ステップS35:NO)、アイドル停止保留部110は、タイマT2の計時時間を所定時間TBと比較する(ステップS37)。タイマT2の計測時間が所定時間TBに達していなければ(ステップS37:NO)、ステップS32からの処理が繰り返される。一方、タイマT2の計測時間が所定時間TBに達していれば(ステップS37:YES)、アイドル停止制御部111は、エンジン45を自動停止させるための処理(ステップS38)を行う。すなわち、アイドル停止制御部111は、エンジン45への燃料供給を停止し、燃料噴射制御および点火制御を停止する。
このような処理によって、アイドル停止条件が充足されたときにオーバーストローク操作が検出されていると(ステップS35:YES)、タイマT2がクリアされてスタートする(ステップS36)。それにより、所定時間TBの間、エンジン45の自動停止が保留されることになる。
一方、アイドル停止条件が充足されたときにオーバーストローク操作が検出されていなければ(ステップS35:NO)、タイマT2の計測時間の初期値がTBであるので(ステップS30)、ただちにエンジン45が自動停止させられる。したがって、運転者は、オーバーストローク操作によってアイドル停止を保留することができ、アイドル停止保留のために、他の操作系の操作を要しない。
図17は、自動停止状態のエンジン45を再始動させるための処理の流れを説明するためのフローチャートであり、エンジン45の自動停止中にECU100によって制御周期毎に繰り返し実行される処理を示す。
エンジン再始動制御部112は、再始動条件を判断するための情報を収集し(ステップS41)、その収集した情報に基づいて再始動条件が成立するかどうかを判断する(ステップS42)。再始動条件は、前述の第1の実施形態の場合と同様に、スロットル開度が所定開度未満であることを含むことが好ましい。この場合、エンジン再始動制御部112は、スロットル開度センサ95が所定開度以上の開度を検出しているときは、再始動条件が不成立であると判断する。したがって、オーバーストローク操作を行ってもエンジン45が再始動されず、エンジン45の再始動が禁止されることになる。前記所定開度の具体例は、前述の第1の実施形態の場合と同様である。
再始動条件が充足されなければ、処理は、ステップS41に戻る。再始動条件が充足されると(ステップS42:YES)、エンジン再始動制御部112は、オーバーストローク検出スイッチ160の出力を監視する(ステップS43)。オーバーストローク検出スイッチ160が操作されなければ(ステップS43:NO)、ステップS41からの処理が繰り返される。オーバーストローク検出スイッチ160が操作されると(ステップS43:YES)、エンジン再始動制御部112は、エンジン45を再始動させるための処理を実行する(ステップS44)。すなわち、エンジン再始動制御部112は、電動機制御部119およびエンジン出力制御部113に指令を与えて、発電・電動機44を作動させるとともに、燃料噴射制御および点火制御を開始させる。これにより、エンジン45が再始動する。エンジン45の再始動に関する動作は、前述の第1の実施形態の場合と同様に、スイングバック動作を含むことが好ましい。
このような処理によって、エンジン45の自動停止中にオーバーストローク操作が行われると、それに応答して、エンジン45が再始動される。アイドル停止条件が成立(ステップS34:YES)しているときにオーバーストローク操作が行われている場合にはエンジン45の自動停止が保留される。そのため、オーバーストローク操作がされているにもかかわらずエンジン45が自動停止し、即座にエンジン45が再始動されるといった制御の無駄が生じることはない。
エンジン45の再始動後は、アクセルグリップ32の操作によってスロットル開度が大きくなってエンジン45の出力が増大すると、エンジン回転速度が伝達回転速度に到達する。それによって、遠心クラッチ47が接続状態となり、エンジン45の駆動力が後輪4に伝達され、自動二輪車1が発進する。
このように、この実施形態では、アイドル停止条件が充足されても、オーバーストローク操作が検出されていると、エンジン自動停止が保留される。具体的には、オーバーストローク操作が検出されない状態が所定時間TBに渡って継続するまで、エンジン45が自動停止しない。これにより、アクセルグリップ32の操作(オーバーストローク操作)によって、アイドル停止を保留できる。すなわち、運転者が、エンジン自動停止の必要がないと判断した場合には、運転者の意思によって、アイドル停止を保留できる。しかも、アクセルグリップ32の操作でアイドル停止を保留できるので、操作が簡便である。
たとえば、アイドル停止条件が充足されてエンジン45が自動停止する状況であっても、その後、短時間でエンジン45の再始動が必要な場合もある。そこで、運転者は、エンジン自動停止後、短時間でエンジン再始動を行うべき可能性を予見すると、オーバーストローク操作を行って、エンジン45の自動停止を保留する。それによって、エンジン再始動操作を行うことなく、かつエンジン再始動を待つことなく、自動二輪車1を速やかに発進させることができる。また、エンジン自動停止の保留、その保留の解除、自動二輪車1の発進の操作を、いずれもアクセルグリップ32の操作で行うことができ、操作部材を持ち替える必要がない。したがって、操作が簡便であるうえに、アイドル停止保留のための特別の操作手段を必要としないので、構成が簡単であり、それに応じてコストも低減できる。
自動二輪車1を停止させるとき、運転者は、ハンドルバー30に備えられた前輪ブレーキレバー39をアクセルグリップ32とともに握って操作する。したがって、運転者は、前輪ブレーキレバー39を操作しながら容易にオーバーストローク操作を行うことができるので、アイドル停止の保留操作が容易である。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、アクセルグリップ32とスロットルバルブ92とが機械的に結合されている構成について説明したが、いわゆる電動スロットルシステムにもこの発明を適用することができる。電動スロットルシステムは、アクセルグリップ32の操作量を検出するアクセル開度センサと、アクセル開度センサの検出結果に応じてスロットルバルブ92を作動させるスロットルアクチュエータとを含む。たとえば、アクセル開度センサは、開度制御機構150の支持軸153の回転角を検出するように配置されてもよい。この場合、支持軸153とスロットルバルブ92とは結合されず、スロットルバルブ92は、別途設けられたスロットルアクチュエータによって回動させられる。
また、前述の実施形態では、オーバーストローク検出スイッチ160によってオーバーストローク操作を検出する構成を示したが、他の構成のオーバーストローク検出手段によってオーバーストローク操作を検出してもよい。たとえば、アクセルグリップ32の回動角度を検出する角度センサを設けてオーバーストローク操作を検出してもよい。
さらに、前述の実施形態において説明したアイドル停止条件および再始動条件は、各一例であって、前記した条件とは異なる条件を採用してもよい。
また、前述の実施形態では、遠心クラッチ47によってエンジン45と駆動輪(後輪4)との間の動力伝達経路を接続/遮断する構成を示したが、動力伝達経路を接続/遮断するクラッチは、油圧式クラッチ、電磁式クラッチ等の他の形態であってもよい。
また、前述の実施形態では、スクータ型の自動二輪車1を例に挙げたが、モペット型、スポーツ型等の他の形態の自動二輪車にも本発明を適用できる。さらに、自動二輪車に限らず、不整地走行用車両(All-Terrain Vehicle)、スノーモービル等の他の形態の鞍乗型車両にも本発明を適用できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 自動二輪車
2 車両本体
3 前輪
4 後輪
6 ハンドル
7 シート
8 パワーユニット
25 バッテリ
30 ハンドルバー
32 アクセルグリップ
35 スタータボタン
38 後輪ブレーキレバー
39 前輪ブレーキレバー
40 メインスイッチ
44 発電・電動機
45 エンジン
46 ベルト式無段変速機
47 遠心クラッチ
48 クランク軸
87 インジェクタ
91 スロットルボディ
92 スロットルバルブ
95 スロットル開度センサ
99 アクセルケーブル
99a 開指示ケーブル
99b 閉指示ケーブル
110 アイドル停止保留部
111 アイドル停止制御部
112 エンジン再始動制御部
113 エンジン出力制御部
114 オーバーストローク記録部
115 再始動待機部
119 電動機制御部
150 開度制御機構
159 スイッチ操作レバー
160 オーバーストローク検出スイッチ
A 開指示方向
B 閉指示方向
A1 開方向
B1 閉方向

Claims (6)

  1. 全閉位置と全開位置との間で開度調整可能なスロットルバルブを備えるエンジンと、
    開指示方向および閉指示方向に回動可能にハンドルバーに設けられ、前記スロットルバルブの開度を調整するためのアクセルグリップと、
    前記アクセルグリップに操作力が加えられていない状態で前記スロットルバルブの全閉を指示する全閉指示位置に前記アクセルグリップを保持し、前記アクセルグリップに前記閉指示方向への所定値以上の操作力が加えられると前記全閉指示位置を超えて前記閉指示方向へ前記アクセルグリップが回動することを許容する全閉保持機構と、
    前記アクセルグリップが前記全閉指示位置を超えて前記閉指示方向に所定角度以上回動される操作であるオーバーストローク操作を検出するオーバーストローク検出手段と、
    前記エンジンの運転中に所定のアイドル停止条件が充足されると、前記エンジンを自動停止させるアイドル停止制御手段と、
    前記エンジンの自動停止中に所定の再始動条件が充足されると、前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出したことに応答して、前記エンジンを再始動させる再始動制御手段と、
    前記アイドル停止制御手段が前記エンジンを自動停止させるときに前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出していたか否かを記録するオーバーストローク記録手段と、
    前記オーバーストローク記録手段に前記オーバーストローク操作の検出の記録があるときには、前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出しなくなるまで前記再始動制御手段による前記エンジンの再始動を待機させる再始動待機手段と
    を含む、鞍乗り型車両。
  2. 前記オーバーストローク記録手段および前記再始動待機手段に代えて、
    前記アイドル停止条件が充足されているときに前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出している場合に、前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出しない状態が所定時間継続するまで前記アイドル停止制御手段による前記エンジンの自動停止を保留させるアイドル停止保留手段を含む、請求項1に記載の鞍乗り型車両。
  3. 前記アクセルグリップの回動を前記スロットルバルブに機械的に伝達する伝達機構と、
    前記アクセルグリップが前記全閉指示位置を超えて前記閉指示方向に回動された場合でも、前記スロットルバルブの閉方向への変位を前記全閉位置に規制する全閉ストッパとをさらに含む、請求項1または2に記載の鞍乗り型車両。
  4. 前記スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサと、
    前記スロットル開度センサが所定開度以上の開度を検出しているときには、前記オーバーストローク検出手段が前記オーバーストローク操作を検出しても、前記再始動制御手段による前記エンジンの再始動を禁止する再始動禁止手段とをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
  5. 前記ハンドルバーに取り付けられ、運転者が前記アクセルグリップとともに握って操作するブレーキレバーをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
  6. 前記エンジンは、正転方向および逆転方向に回転可能なクランク軸を含み、
    前記クランク軸に前記正転方向または前記逆転方向にトルクを与え、かつ前記クランク軸の回転力を受けて発電する、発電・電動機と、
    前記再始動制御手段による前記エンジンの再始動時に、前記クランク軸に前記逆転方向のトルクを加えた直後に前記クランク軸に前記正転方向のトルクを加えるように、前記発電・電動機を駆動する電動機制御手段とをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
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