JP2014134739A - 画像表示体及び情報媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】表裏で異なる視覚効果を有する画像表示体を提供することにある。
【解決手段】平面状の光透過性基材13の一方の面に、少なくとも構造形成層11、光反射層14、接着層16の順序で積層配置され、前記構造形成層は光反射層と対峙する面側にマトリクス状に複数の構造領域15を備え、前記接着層は光透過性であり、前記各構造領域は、複数の凹部12a、12c〜12f又は凸部と当該凹部又は凸部が形成されていない平坦部12bとを有する凹凸構造を備え、凹部の底面又は凸部の上面は平坦部と略平行であり、かつ、凹部上又は凸部上に積層する光反射層の厚さと平坦部上に積層する光反射層の厚さとを異ならせるようにした画像表示体である。
【選択図】図11

Description

本発明は、肉眼で真偽判定が容易なセキュリティ性の高い偽造防止機能を備えた画像表示体及び情報媒体に関する。
一般に、商品券及び小切手などの有価証券類、クレジットカード、キャッシュカード及びIDカードなどのカード類、並びにパスポート及び免許証などの証明書類には、それらの偽造を防止するために、通常の印刷物とは異なる視覚効果を有する表示体が貼り付けられている。また、近年、これら以外の物品についても、偽造品の流通が社会問題化している。そのため、多くの偽造対象物品に対しても、同様の偽造防止技術を適用する要望が増えてきている。
ところで、通常の印刷物とは異なる視覚効果を有する表示体としては、複数の溝を並べてなる回折格子を含んだ表示体が知られている。この表示体には、例えば、観察条件に応じて変化する像を表示させるとか、立体像を表示させることができる。また、回折格子が表現する虹色に輝く分光色は、通常の印刷技術では表現することができない。そのため、回折格子を含んだ表示体は、偽造防止対策が必要な物品に広く用いられている。
例えば、偽造防止対策用に用いる表示体としては、溝の長さ方向又は格子定数(即ち溝のピッチ)が異なる複数の回折格子を配置して絵柄を表示するものが提案されている(特許文献1)。
この表示体は、回折格子に対する観察者又は光源の相対的な位置が変化すると、観察者の眼に到達する回折光の波長が変化する。従って、この構成を採用した表示体は、虹色に変化する画像を表現することができる。
このように回折格子を利用した表示体では、複数の溝を形成してなるレリーフ型の回折格子を使用することが一般的である。レリーフ型回折格子は、通常、フォトリソグラフィを利用して製造した原版から複製することにより得られる。
ところで、特許文献1におけるレリーフ型回折格子の原版の作製方法は、一方の主面に感光性レジストを塗布した平板状の基板をXYステージ上に載置し、コンピュータ制御のもとにステージを移動させながら感光性レジストに電子ビームを照射することにより、感光性レジストをパターン露光する方法である。また、回折格子の原版は、二光束干渉を利用して形成することもできる。
このレリーフ型回折格子の製造方法は、通常、まず、以上のような手順に従って原版を作り、そこから電鋳等の方法で金属製のスタンパを作製する。次に、この金属製スタンパを母型として用いて、レリーフ型の回折格子を複製する。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)からなるフィルム又はシート状の薄い透明基材上に、熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂を塗布する。引き続き、塗膜に金属製スタンパを密着させ、この状態で樹脂層に熱又は光を与える。樹脂の硬化後、その硬化した樹脂から金属製スタンパを剥離することにより、レリーフ型回折格子の複製物を得る。
一般に、レリーフ型回折格子は透明である。従って、通常、レリーフ構造を設けた樹脂層上には、蒸着法を用いてアルミニウムなどの金属又は誘電体を単層又は多層に堆積させることにより反射層を形成し、表示体を得る。
その後、反射層が形成された表示体を、例えば紙又はプラスチックフィルムから成る基材上に接着層又は粘着層を介して貼り付けることにより、偽造防止対策を施した表示体を得るものである。
レリーフ型回折格子を含んだ表示体の製造に使用する原版は、それ自体の製造が困難である。また、金属製スタンパから樹脂層へのレリーフ構造の転写は、高い精度で行わなければならない。よって、レリーフ型回折格子を含んだ表示体の製造には高い技術が要求される。
しかしながら、近年、偽造防止対策が必要な多くの物品でレリーフ型回折格子を含んだ表示体が用いられるようになった結果、この技術が広く認知され、それに伴って、表示体自体の偽造の発生も増加する傾向にある。その結果、回折光によって虹色の光を呈することのみを特徴とする表示体は、充分な偽造防止効果を達成することが難しくなってきている。
また、従来の別のディスプレイ(表示体)としては、平板状の基板の表面に、凹凸で形成された回折格子パターンと、凹凸で形成された光を散乱する光散乱パターンとの組み合わせにより構成されたものが提案されている(特許文献2)。
このディスプレイは、回折格子パターンと光散乱パターンとの組み合わせにより絵柄を表示するものである。このディスプレイによれば、虹色に変化する画像のみでなく、光の散乱で表現した画像を表示することができる。
さらに、従来の別の表示体としては、光透過性の基板の一方面側に凹凸構造形成層を施し、この凹凸構造形成層の複数の凹部又は凸部の長さ、間隔及び高さ等を規定することにより、高い偽造防止効果を発揮するように構成されたものが提案されている(特許文献3)。
この表示体は、レリーフ型の回折格子パターンのように、照明の位置や観察者の位置の変化に応じて虹色に色変化することがないことから、従来の回折格子とは異なる視覚効果を得ることができる。
従って、特許文献2に記載のディスプレイ及び特許文献3に記載の表示体は、従来の回折格子パターンが有する虹色とは大きく異なる視覚効果を有する。ゆえに、より高い偽造防止効果を期待することができる。
米国特許第5058992号明細書 特許第2751721号公報 特開2011−118035号公報
しかしながら、特許文献2、特許文献3に記載のディスプレイや表示体は、従来の回折格子パターンの視覚効果とは差別化出来ている一方、何れもレリーフ型の表示体の一種である。そのため、このようなレリーフ型の表示体は、一方の面からの観察を前提として作製されており、他方の面から観察するような工夫がなされていない。
本発明は以上のような点に鑑みてなされたものであって、レリーフ型の表示体の表裏の両方で特徴的な視覚効果を発揮し、より高い偽造防止効果及びより高い意匠性を併せ持つ画像表示体及び情報媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に対応する発明は、平面状の光透過性基材の一方の面に、少なくとも構造形成層、光反射層、接着層の順序で積層配置され、前記構造形成層は前記光反射層と対峙する面側にマトリクス状に複数の構造領域を備え、前記接着層は光透過性であり、
前記各構造領域は、複数の凹部又は凸部と当該凹部又は凸部が形成されていない平坦部とを有する凹凸構造を備え、前記凹部の底面又は前記凸部の上面は前記平坦部と略平行であり、かつ、前記凹部上又は前記凸部上に積層する前記光反射層の厚さと前記平坦部上に積層する前記光反射層の厚さとが異なることを特徴とする画像表示体である。
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明に記載の画像表示体において、前記凹部の深さ又は前記凸部の高さが前記各構造領域内で同一であることを特徴とする。
請求項3に対応する発明は、請求項1又は請求項2に対応する発明に記載の画像表示体において、前記凹部上に積層する前記光反射層の厚さが前記平坦部上に積層する前記光反射層の厚さよりも薄い、又は前記凸部上に積層する前記光反射層の厚さが前記平坦部上に積層する前記光反射層の厚さよりも厚いことを特徴とする。
請求項4に対応する発明は、請求項1ないし請求項3の何れか一項に対応する発明に記載の画像表示体において、少なくとも前記構造形成層及び前記接着層を備える領域とを同一面上に備えることを特徴とする。
請求項5に対応する発明は、請求項1ないし請求項3の何れか一項に対応する発明に記載の画像表示体において、前記複数の構造領域とインキ層を備える領域とを同一面上に備えることを特徴とする。
請求項6に対応する発明は、請求項1ないし請求項5の何れか一項に対応する発明に記載の画像表示体において、前記凹凸構造を成す複数の凹部又は凸部は直線状の構造であることを特徴とする。
請求項7に対応する発明は、請求項1ないし請求項6の何れか一項に対応する発明に記載の画像表示体において、前記複数の凹部又は凸部は計算機ホログラムで形成される凹凸構造であることを特徴とする。
請求項8に対応する発明は、請求項1ないし請求項7の何れか一項に対応する発明に記載された構成の画像表示体と、前記画像表示体が支持される物品とを備えたことを特徴とする情報媒体である。
請求項9に対応する発明は、請求項8に対応する発明に記載の情報媒体において、前記物品は光透過性である光透過性領域を有し、前記画像表示体は少なくとも前記光透過性領域の一部に貼付又は転写されていることを特徴とする。
本発明によれば、従来のレリーフ型の表示体とは大きく異なる視覚効果を発揮でき、より高い偽造防止効果及びより高い意匠性を併せ持つ画像表示体を提供することができる。
本発明に係る画像表示体の一実施の形態を概略的に示す平面図。 図1のA−A線に沿う画像表示体の断面図。 回折格子が射出する回折光を概略的に示す図。 本発明に係る画像表示体を構成する構造領域が射出する回折光をXYZ空間で表した概略図。 図4に示す構造領域から射出する回折光をXZ平面で表したときの概略図。 本発明に係る画像表示体を構成する構造領域の他の例を概略的に示す平面図。 本発明に係る画像表示体を構成する構造領域の更に他の例を概略的に示す平面図。 本発明に係る画像表示体を構成する構造領域の更に他の例を概略的に示す平面図。 本発明に係る画像表示体を構成する構造領域の更に他の例を概略的に示す平面図。 均一な光反射層を含む層構成を概略的に示す断面図。 本発明に係る画像表示体を構成する光反射層を含む層構成の実施形態を概略的に示す断面図。 本発明に係る情報媒体の一実施の形態を概略的に示す平面図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には全て同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
本発明に係る画像表示体の一実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は画像表示体を概略的に示す平面図、図2は図1に示す画像表示体のA−A線に沿う断面図である。
画像表示体10は、構造領域を形成する構造形成層11と、この構造形成層11の一方の面に形成される光透過性を有する平面状の基材となる光透過層13と、構造形成層11の光透過層13とは反対側の面に形成される光反射層14と、接着層16とを含む構成である。
図1及び図2に示す例では、構造形成層11の光反射層14と対峙する面側に構造領域15a及び構造領域15bを備えている。なお、構造形成層11は、二つの構造領域15a,15bを備えているが、複数あればよく、二つに限定されるものではない。複数の構造領域を備える場合には、これら複数の構造領域がマトリックス状に配置される。
構造領域15a,15bは、凹部12aと平坦部12bとから成っているが、実際には凸部と平坦部とから成る構成であっても構わない。また、各構造領域15a、15bに備えてある凹部12aの深さはそれぞれ異なっているが、同一の構造領域内であれば凹部12aの深さが同一であってもよい。
構造形成層11の材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル系樹脂、シリコーン系アクリル系樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン等の光硬化性樹脂、または、アクリルニトリルスチレン共重合体樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂、またはポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
これらの材料は、所望の凹凸構造に賦型して硬化させることにより、容易に凹凸構造を成型することができる。
なお、これら樹脂材料の硬化物は何れも光透過性であり、屈折率は一般的に1.5程度である。
平面状の基材となる光透過層13の材料は、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)等のプラスチックシート等のプラスチックシートが挙げられる。光透過層13は、10〜100μm程度の厚さに形成される。
光透過層13としては、上記に挙げた材料を基材とし、この基材から剥離し易い材料を光透過層材料とすれば、本発明における画像表示体は転写箔構成となる。この場合の光透過層13の材料としては、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル系樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂にシリコーンやフッ素系の添加剤を加えたものが好ましく、もしくはフッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル系樹脂等、前記基材から剥離しやすいものを選出しても良い。
また、光透過層13としては、部分的に熱転写されるため、層の箔キレ性が無くてはならない。そのため、前記した材料にシリカ等の無機微粒子を加えるとなお好ましい。また、前記以外の種類の材料を用いても、転写剥離性を有するものであれば問題はない。例えば、光硬化性樹脂中に上記熱可塑性樹脂を含有させても良く、また、構造形成層11との密着性を向上させるため、構造形成層11と同一の光硬化性樹脂を用いても良い。
光反射層14の材料としては、透明被膜もしくは金属被膜等を用いることができる。透明材料の場合、構造形成層11と屈折率が異なる誘電体層、誘電体多層膜、もしくは高屈折率材料を使用する。例えば、屈折率が2.0以上であるZnS、TiO、PbTiO、ZrO、ZnTe、PbCrO等が好ましい。これは、光透過層13との屈折率が小さい場合、凹凸構造からの射出光の視覚効果が弱まってしまうためである。具体的には、光透過層13と光反射層14の材料である透明被膜との屈折率差は少なくとも0.5以上あると良い。
また、金属被膜である場合、クロム、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、銀、金、銅の中から選択される単体又はそれらの混合物、合金等を用いることができる。
接着層16の材料としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いる。透明被膜材料や、その他樹脂との密着力、加刷性のあるものであれば、特に限定はしない。
次に、本発明に係る画像表示体10を説明するにあたり、まず、回折格子のピッチ及び照明光の波長と、照明光入射角及び回折光の射出角との関係について、図3を参照して説明する。図3は回折格子が+1次光を射出する様子を概略的に示した概略図である。
今、例えば照明光源LSを用いて、構造領域15(15a,15b)を構成する複数の凹部12aで形成される平行なスリット,つまり回折格子に照明光を照射すると、この回折格子からは、入射光である照明光の進行方向に対応して特定の方向に強い回折光を射出する。
今、m次回折光(m=0、±1、±2、…)の射出角βは、回折格子の格子線に垂直な面内で光が進行する場合、下記の式1から算出することができる。
d=mλ/(sinα−sinβ) ……(1)
上式において、dは回折格子の格子定数(格子周期、ピッチ)、mは回折次数、λは入射光及び回折光の波長を表している。また、αは0次回折光、即ち、正反射光RLの射出角を表している。換言すれば、αの絶対値は照明光の入射角と等しく、反射型回折格子の場合には、照明光の入射方向と正反射光の射出方向とは、回折格子が設けられた界面の法線NLに対して対称となる。
なお、回折格子が反射型である場合、角度αは、0°以上であり、かつ、90°未満である。また、回折格子が設けられた界面に対して斜め方向から照明光を照射し、法線方向の角度、即ち0°を境界値とする2つの角度範囲を考えると、角度βは、回折光の射出方向と正反射光の射出方向とが同じ角度範囲内にあるときには正の値であり、回折光の射出方向と照明光の入射方向とが同じ角度範囲内にあるときには負の値である。
図3に示す例では、照明光源である点光源LSが複数の波長を含む白色光IL(ここでは、白色光を構成する波長成分はR、G、Bの3波長であると仮定する)である場合、回折光の射出角は波長によって異なる。それゆえ、太陽や蛍光灯などの白色照明光源下で回折格子を観察すると、白色光が分光し、単一波長の光が別々の角度に射出され、観察する角度によって虹色に変化するように見える。
すなわち、点光源LSから白色光ILを回折格子GRに入射すると、図3に示すように、回折格子GRによって波長成分Rの回折光DLr、波長成分Gの回折光DLg、波長成分Bの回折光DLbに分光し、それぞれ異なる射出角度βr、βg、βbで射出される。
他の次数の回折光についても、式1によって導出される角度に射出されるが、図3への記載は省略する。
次に、回折格子GRのピッチ及び照明光の波長と、回折光の射出角方向における回折光の強度(回折効率)との関係について説明する。
ピッチdの回折格子に対して、入射角αで照明光を入射した場合、式1に基づいて角度βの方向に回折光を射出する。この際、波長λの回折光の射出強度、すなわち回折効率ηは、回折格子GRのピッチや高さ等によって変化し、式2で表すことができる。
η=(2/π)sin{(2π/λ)・(r/cosθ)}sin{(π/d)L}
……(2)
ここで、ηは回折効率(0乃至1の値をとる)、rは回折格子GRの高さ、Lは回折格子GRの格子線幅、dは格子線のピッチ、θは照明光の入射角、λは入射光及び回折光の波長である。なお、この式は、凹凸構造から成る矩形の回折格子について成り立つものである。
従って、回折効率ηは、式2から明らかなように、回折格子の高さrや格子線のピッチd、入射光の入射角θや波長λによって変化する。また、回折効率ηは、実際には回折次数mが高次になるのに伴って徐々に減少していく傾向にある。
次に、本発明に係る画像表示体を観察する際の視覚効果について説明する。
本発明に係る画像表示体10においては、前述したように構造領域15a,15bを構成する凹部12aの深さ又は凸部の高さは、各構造領域内で同一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。
そこで、まず、各構造領域15a,15b内に備える凹部12aの深さ又は凸部の高さが同一である場合の視覚効果について説明する。なお、構造領域15a,15bが備える構造は凹部12a又は凸部であってもよいが、以降、説明を簡略化するために凹凸構造である構造領域15a,15b内の構造は凹部12aであるとする。
今、前述したように、矩形の凹凸構造に光を入射すると、凹凸構造からは回折光が射出する。このとき、その凹凸構造における屈折率をn、構造の深さをp、また、入射光の波長をλとする。
入射光の入射角をθとすると、凹凸構造内部では、凹部12aに入射した光と凹部以外の平坦部12bに入射した光との間に光路差2pcosθが生じる。ゆえに、凹部12aに入射した光と凹部以外の平坦部12bに入射した光の位相差は、4πnpcosθ/λとなる。
ここで、位相差が2πの整数倍であれば、凹部12aに入射した光と凹部以外の平坦部12bに入射した光との双方の位相が揃うため、光の干渉によって正反射光が強くなり、回折された射出光の強度は弱くなる。
一方、位相差がπの奇数倍である場合、正反射光が弱くなり、回折された射出光の強度は強くなる。
すなわち、凹凸構造の深さp、入射光の入射角θ、入射光の波長λによって、射出光の回折効率ηは異なってくる。ゆえに、凹凸構造の深さp、入射光の入射角θが同一であっても、入射光の波長λに応じて回折効率ηが異なる。
ところで、回折格子GRは、構造同士の間隔が一定である一方、本発明に係る画像表示体10では、各構造領域である凹凸構造の構造同士の間隔が一定であるとは限らず、間隔の値が複数存在していると見なせる。ゆえに、回折格子GRから射出する回折光は、前記式1に基づき、その波長λにより射出角度が大きく異なる一方で、本発明に係る画像表示体10から射出する回折光は、何れの波長においても射出角度がある一定の角度範囲を有することとなる。
ゆえに、本発明に係る画像表示体10は、太陽光や蛍光灯等の複数の波長成分を含む光を入射すると、何れの波長成分も、その波長に応じたある一定の角度範囲に回折光を射出し、かつ、その射出する回折光の回折効率ηは波長に応じて異なっている。
その結果、本発明に係る画像表示体10は、太陽光や蛍光灯等の複数の波長成分を含む光源LSから光を入射し、観察者がある特定の角度で観察したとすると、その観察者の観察角度において複数の波長成分の射出光が射出しているとすれば、観察者はその複数の波長成分の回折光を知覚することとなる。すなわち、観察者が知覚する色は複数の波長成分の光の混色となる。
前述したように、射出する回折光の回折効率ηは、凹凸構造の深さp、入射光の入射角θによって異なってくる。ここで、本発明に係る画像表示体10は、凹凸構造の構造同士の間隔が一定とは限らないため、観察者が知覚する色は複数の波長成分の光の混色となっている。ゆえに、観察者が知覚する色は、入射光の入射角や観察者の観察角度に応じて変化するものの、通常の回折格子のように大きく変化せず、緩やかな変化となる。一方、観察者が知覚する色は複数の波長成分の光の混色であるため、波長成分それぞれの回折効率ηの違いによって観察者が観察する光の波長分布が大きく変化する。
ゆえに、本発明に係る画像表示体10においては、太陽光や蛍光灯等の複数の波長成分を含む光を入射して観察すると、凹凸構造の深さpに応じた色を知覚することができ、また、入射光や観察の角度を変化させても、回折格子のように大きく色変化することのない視覚効果を得ることができる。
図4は本発明に係る画像表示体10を構成する構造領域15が射出する回折光のXYZ空間で表した概略図である。すなわち、図4に示す例は、XYZ空間における回折光DLλの拡がりを概略的に示している。
構造領域15(15a,15bに相当する)はXY平面に平行な面で形成されている。入射光ILλは、ある単一の波長λから成っており、構造領域15に対して垂直方向、すなわちZ軸に平行な方向で入射している。このとき、構造領域15は、Y軸に平行な直線状の凹凸構造から成っているため、当該凹凸構造から射出する回折光DLλは、入射光ILλを含みZX平面に平行な面内においてγλの拡がりを持って射出している。
図4に示す例では、射出する回折光DLλが2つ描かれているが、回折光DLλは実際には2方向のみに射出するのではなく角度範囲γλの拡がりを持って射出している。
しかし、凹凸構造に対する入射光と射出光の関係を概略的に示すためには、ZX平面に平行であり、かつ入射光を含む面内における入射光、射出光の振る舞いを示してあれば充分である。
図5は図4に示す構造領域から射出する回折光をXZ平面で表したときの概略図である。
図5に示す例では、観察者20は図示する観察方向21から構造領域15を観察している。このとき、観察者20は、構造領域15から射出する回折光DLr、DLg、DLbの混色からなる色を知覚する。
ここで、例えば、構造領域15を構成する凹部12aの深さがある値のとき、回折光DLr、DLgの回折効率に対して回折光DLbの回折効率が小さい場合、観察者20が知覚する色はY(イエロー)となる。また、構造領域15を構成する凹部12aが異なる別の深さのとき、回折光DLg、DLbの回折効率に対して回折光DLrの回折効率が小さい場合、観察者20が知覚する色はC(シアン)となる。
このように、構造領域15を構成する凹部12aの深さを変えることによって、観察者20が知覚する色を変えることが可能となる。
なお、ここまでの説明は、凹凸構造の断面形状が矩形である例について説明している。しかし、実際には、必ずしも矩形である必要はないが、前記した凹凸構造の深さに応じて異なる発色を示す効果を得るためには矩形形状の方が好ましい。
なぜならば、所望の凹凸構造以外の意図していない凸凹を有していたり、凹凸構造の凹部12aと平坦部12bとが滑らかに接続している場合、前述したように構造の深さに応じて波長ごとの回折効率が異なることによって特定の色を表現する効果が弱くなってしまうからである。
また、各構造領域15(15a,15b)内に備えてある凹凸構造の深さを同一とすることによって、前述した構造の深さに応じて特定の色を表現する効果をより有効に用いることができる。この場合、該構造領域全体で、ある単色(実際には、波長毎に回折効率が異なる結果、ある特定の分光特性を持つ光となることによって色を表現しているが、観察者が知覚するのはある特定の色となるため、単色と表現している)を表現している。ここで、構造領域15ごとに凹凸構造の深さが異なっていれば、構造領域15ごとにそれぞれ異なる単色を表現することが可能となる。このように構造領域15ごとに異なる色を表現することにより、各構造領域15が画像の画素に相当することで多色の画像を表示することが可能となる。つまり、複数の構造領域15をマトリックス状に配置すれば、各構造領域15ごとに異なる色の組み合わせを有する意味のある所望の画像を表示することが可能となり、観察者20に対して特徴的な視覚効果を提供することが可能となる。
なお、これまでは、各構造領域15内の凹凸構造の深さが同一である場合について説明したが、本発明の凹凸構造の深さは、各構造領域15内で同一であっても良く、異なっていても良い。
構造領域15内に複数の構造深さがある場合、前記した構造の深さに応じて特定の色を表現する効果が弱くなる。なぜならば、構造深さに応じて特定の波長成分が強く、又は弱くなることによって単色を表現しているため、構造深さが複数ある場合には、特定の波長成分を強く、又は弱くすることが困難となるためである。
構造領域15内に複数の構造深さがある場合、なだらかな波長分布を有する単色、すなわち、白色、灰色等の無彩色を表現することが可能となる。
また、各構造領域15内に複数の構造深さがある場合、構造深さが全体的に浅く、又は深く、すなわち、各構造領域15の構造深さの平均値が小さく、又は大きくなることで回折効率が変化する。
ゆえに、凹凸構造15から射出する回折光の射出角度範囲が同一である構造領域同士において、構造深さの平均値が異なっていれば、それぞれの構造領域を異なる明るさで表現できる。このように、各構造領域15内に複数の構造深さがある場合、構造領域15ごとに異なる明るさを表現でき、階調豊かな画像を表示することが可能となる。
次に、本発明に係る画像表示体を構成する複数の構造領域の例について、図6ないし図9を参照して説明する。
図6は本発明に係る画像表示体を構成する構造領域15cを概略的に示す平面図である。
この構造領域15cにおいて、黒色部が凹部12a、白色部が平坦部12bを表している。なお、実際には黒色部が平坦部12b、白色部が凹部12aであってもよい。また、凹部12aと平坦部12bの組み合わせに限らず、凹部12aに代わって凸部12cと平坦部12bの組み合わせであってもよい。いずれにせよ、ここでは、黒色部が凹部12a、白色部が平坦部12bを表しているものとし、以降の説明でも同様とする。
この構造領域15cは、Y軸に平行な直線状の凹部12aが均一な間隔で配置されており、いわゆる回折格子である。回折格子から射出する回折光については前述する通りである。
図7は本発明に係る画像表示体を構成する別の構造領域15dを概略的に示す平面図である。
この構造領域15dは、Y軸に平行な直線状の凹部12dがランダムな間隔で配置されている。このような構造領域15dに入射光を入射すると、前述したように入射光を含みかつZX平面に平行な面内で拡がりを持つ回折光が射出する。
図8は本発明に係る画像表示体を構成する更に異なる別の構造領域15eを概略的に示す平面図である。
この構造領域15eは、Y軸に平行な直線状の凹部12eがランダムな間隔で配置されている。図7に示す構造領域15dは、全ての凹部12dがY軸方向に同一の長さを有しているが、図8に示す構造領域15eを構成する各凹部12eの長さは異なっている。
このような構造領域15eに入射光を入射すると、該構造領域15eから射出する回折光は、概ね入射光を含みかつZX平面に平行な面内に射出する。
しかし、図7に示す構造領域15dから射出する回折光と比較すると、図8に示す構造領域15eから射出する回折光は、指向性がやや低く、入射光を含みかつZX平面に平行な面内以外の方向へも拡がりを持つものとなる。
図9は本発明に係る画像表示体を構成する更に別の構造領域15fを概略的に示す平面図である。
この構造領域15fは、方形、複数の方形が連なって形成される多角形の凹部12fが不規則に配置されている。このような構造領域15fに入射光を入射すると、指向性が弱いか、殆ど無い射出光が射出される。
次に、本発明に係る画像表示体を構成する光反射層14について、図10及び図11を参照して説明する。
図10は均一な光反射層14を有する層構成を概略的に示す断面図である。
この光反射層14は、説明の便宜上、凹部12a,12c〜12fに積層する光反射層14の厚さと平坦部12bに積層する光反射層14の厚さとが均一である層構成であって、本発明の実施の形態として説明するものではない。
本発明による画像表示体10は、凹部12a,12c〜12fに積層する光反射層14の厚さと平坦部12bに積層する光反射層14の厚さとが異なる層構成とすることにある。
本発明に係る画像表示体10は、通常,紙面等の別の基材に貼付、または転写して使用する。その際、接着層16を媒介として当該基材に貼付、又は転写されるため、観察者は光透過層13が最表面となる側から観察することになる。なお、光透過層13が最表面となる側を表側とし、以降でも同様とする。
本発明によれば、接着層16は光透過性の材料が用いられている。ゆえに、例えば被貼付基材又は被転写基材に光透過性の材料を用いれば、接着層16が最表面となる側からも画像表示体10を観察することが可能となる。なお、接着層16が最表面となる側を裏面とし、以降でも同様とする。
ところで、図10に示す層構成は、膜厚が均一である光反射層14を備えている。ゆえに、光反射層14は構造形成層11に備えてある凹凸構造をトレースするように形成されている。そのため、画像表示体を表裏の何れから観察するかに関わらず、同一の視覚効果を有する画像を観察できる。なぜならば、何れの側から観察しても、凹凸構造をトレースした光反射層14から射出する射出光を観察しており、その光反射層14が有する凹凸構造は、構造形成層11に形成されている凹凸構造と同一であるからである。ただし、同一の視覚効果を観察できると前述しているが、実際にはある一つの画像表示体を表側又は裏側から観察していることになるため、画像の上下又は左右は反転したものとなる。ここで言う「同一の視覚効果」とは、画像の上下又は左右の反転に関しては言及せず、画像表示体10の各画素(各構造領域に相当する)が同一の視覚効果を有していることを示すものとする。
図11は本発明に係る画像表示体を構成する光反射層を含む層構成の実施の形態を概略的に示す断面図である。
図10に示す層構成は光反射層14の膜厚が均一であったが、図11に示す画像表示体10の層構成では、光反射層14の膜厚は均一ではなく、凹部12a,12c〜12fに積層する部分と平坦部12bに積層する部分とで膜厚が異なっている。
その結果、図11に示す画像表示体を表側から観察した場合、構造形成層11に備えてある凹凸構造の深さがr1である凹凸構造から射出する射出光を観察できる。なぜならば、光反射層14の膜厚が均一でない場合においても、光反射層14は構造形成層11に備えてある凹凸構造を光透過層13に近い側から埋めていくように備えられているため、光透過層13側から観察した場合は、凹凸構造が元来備えていた構造と同一の構造深さr1の凹凸構造を備えているように観察できる。
一方、裏側から観察した場合、構造形成層11に備えてある凹凸構造の深さがr2である凹凸構造から射出する射出光を観察できる。なぜならば、光反射層14の膜厚が、凹部12a,12c〜12fに積層する部分と平坦部12bに積層する部分とで異なっているからである。
その結果、光透過層13側から観察した場合と接着層16側から観察した場合とでは異なる画像を観察することができる。
よって、本発明の実施の形態によれば、次に述べるように表裏で異なる視覚効果を有する画像表示体を提供することが可能となる。
例えば、本発明の実施の形態として、構造形成層11に備えてある凹凸構造が回折格子の場合、画像表示体10の表裏で射出光の回折効率が異なることにより、明るさ、階調表現の異なる画像を観察可能となる。
また、本発明の他の実施の形態として、構造形成層11に備えてある凹凸構造が、例えば図1及び図2に示すように構造の間隔及び構造深さが均一でない場合、前述したように白色、灰色等の無彩色を表現できる。ゆえに、画像表示体の表裏で射出光の回折効率が異なることにより、明るさや階調の異なる画像を観察可能となる。
さらに、本発明のさらに他の実施の形態として、構造形成層11に備えてある凹凸構造が、例えば図4及び図5に示すように構造深さが均一である場合、前述したように広い視域で射出光を観察可能であり、かつ、構造深さに応じた色を観察することができる。ゆえに、画像表示体の表裏で射出光の回折効率が異なることにより、色の異なる画像を観察可能である。
つまり、本発明の実施の形態によれば、凹凸構造の凹部の深さ又は凸部の高さが各構造領域内で同一であることにより、表裏で色の異なる画像を観察可能な画像表示体を提供することが可能となる。
本発明において、例えば、図4及び図5に示すような凹凸構造の凹部の深さ又は凸部の高さが各構造領域内で同一で、表裏では異なっている構造領域と、回折格子を組み合わせて画像を表現する場合、前記したように、表裏で射出光の回折効率が異なる。ゆえに、回折格子から射出する回折光は表裏で明るさが異なる。
一方、図4及び図5に示すような凹凸構造の凹部の深さまたは凸部の高さが各構造領域内で同一で、表裏では異なっている構造領域から射出する射出光は、表裏で異なった色として観察できる。観察者が表裏双方の画像を観察するとき、表裏の画像を同時に観察することは実用上困難であり、表裏の画像を順次観察するのが通常である。そのため、表裏の色の違いを識別する事と比較すると、表裏で明るさが異なる視覚効果の方は、表裏の違いを知覚するのがより困難であって知覚することが出来ない。
また、例えば、図4及び図5に示すような凹凸構造の凹部の深さ又は凸部の高さが各構造領域内で同一で、表裏では異なっている構造領域は、透明基材に形成することができ、反射層が形成されていない領域では、透明な領域は、表裏で同一の位置になり、図4及び図5に示すような凹凸構造の凹部の深さ又は凸部の高さが各構造領域内で同一で、表裏では異なっている構造領域も表裏でまったく同じ位置となるため、その透明領域との位置関係から、その構造領域が表裏で同じ位置に同じ柄であることが確認できる。
さらに、インキによる印刷部(インキ層)を組み合わせて画像を表現する場合、前記したように、構造領域から射出する射出光は表裏で異なった色として観察できる一方で、インキの色は表裏に関わらず同一である。
つまり、本発明の実施の形態によれば、表裏で色が異なる視覚効果と表裏で同一の色を観察できる視覚効果とを同一面上に表現可能であり、その色差を容易に判別することができ、一目で真贋を判定することができる効果を有する。さらに、同様の視覚効果をインキ層のみで表現する場合、表裏の画像の位置を完全に同じとする事は困難であり、微細な柄を表裏で通常のグラビア印刷等で位置合わせすることはほとんど不可能であるが、本発明の実施の形態によれば、表裏の画像の位置は必ず同じとなるため透明領域と構造領域が、複雑に入り組んだ構造で形成することができ、マイクロ文字表現、精緻な彩紋柄等を形成することができ、透かしても、通常の反射の観察でもその柄を観察することができ、かつ表裏で違う色を出すことができる。このような透明な領域と構造領域を複雑に入り組んだマイクロ文字表現、精緻な彩紋柄等を形成するためには、本願発明と例えば本出願人による国際公開特許WO2010/147185 を組み合わせることが可能である。
ゆえに、本発明によれば、表裏で似て非なる絵柄を表現できる作用から、これは、通常の印刷では一見して模造及び偽造することが非常に困難であるとの印象を与える効果を有するものである。
ところで、本発明によれば、構造領域15に備えてある凹凸構造の構造深さを変えることで、異なる色、明るさを表現することが可能である。
しかし、構造深さの差が0.01μm以上である場合、射出光の色、明るさが変化することが実験の積み重ねから確認されている。一方、構造深さの差が0.01μmよりも小さい場合、僅かな構造深さの差を安定、かつ精密に形成することは難しい。
すなわち、凹凸構造の凹部12a,12c〜12f上又は前記凸部上に積層する光反射層14の厚さと平坦部12b上に積層する光反射層14の厚さの差が0.01μm以上とすることにより、表裏で色の異なる画像を観察できるとともに、より安定して提供可能となる。
ところで、本発明に係る画像表示体10によれば、表裏で異なる視覚効果を発揮させるために、光反射層14の物理的な膜厚を不均一にしている。それに伴い、表裏それぞれの構造深さを異ならしめることができる。しかし、実際には、構造深さの物理的距離を変えることなく、表裏で異なる視覚効果を有する画像表示体を提供する方法もある。それは、光学的距離を変えることである。
例えば、図10において、構造形成層11と接着層16との屈折率が異なる場合について考える。いま、構造形成層11の屈折率が1.0、接着層16の屈折率が2.0であるとする。このとき、画像表示体の表裏の何れから観察した場合、凹凸構造の構造深さの物理的距離はrとなる。しかし、凹凸構造の構造深さの光学的距離は、屈折率を考慮すると、表側から観察した場合はr、裏側から観察した場合は2rとなる。
ゆえに、本発明に係る画像表示体10において、構造形成層11と接着層16とに用いるそれぞれの材料の屈折率を異ならしめることにより、表裏で異なる視覚効果を有する画像表示体を提供することが可能である。
しかし、構造形成層11は前述したように高精度な構造賦型性及び光透過性を有し、一方、接着層16では光反射層14及び被貼付基材又は被転写基材との密着性を有し、かつ光透過性である必要がある。そのため、構造形成層11と接着層16の屈折率は何れも1.5程度となり、屈折率を大きく異ならしめることは難しい。その結果、構造形成層11と接着層16の屈折率を変えることによって表裏で異なる視覚効果を有する画像表示体を実現することは難しいと言える。
そこで、本発明に係る画像表示体で用いる光反射層14としては例えば蒸着法を用いて形成することが出来る。一般的に蒸着法を用いる場合、金属や誘電体を堆積することによって光反射層14を形成するため、膜厚は均一となる。しかし、例えば斜方蒸着を用いることによって、選択的な蒸着を行うことが可能である。この場合、凹凸構造の平坦部12bに対して凹部12aの蒸着レートを意図的に低くすることが可能となる。
ゆえに、光反射層14の作製プロセスを制御することで、凹凸構造の凹部上に積層する光反射層14の厚さを平坦部12b上に積層する光反射層14の厚さよりも薄くすることが可能となり、その結果、表裏で異なる視覚効果を有する画像表示体を提供することが可能となる。
また、蒸着法は、スパッタ法と比較して高速な製膜が可能となり、大量生産性に適している好ましい製膜方法と言える。一方、スパッタ法により、凹凸の高さを変えることと同様の効果を得るために表裏で屈折率の異なる材料を用いる方法は、屈折率を変えるために、高屈折率のナノ粒子又は低屈折率のナノ粒子を添加するような方法が一般的にとられるが、このようなナノ粒子は、分散させることが困難であり、ムラになりやすく、かつ高価となる好ましくない問題がある。
また、本発明に係る凹凸構造のパターンは、例えば計算機ホログラムの手法で設計することができる。計算機ホログラムはランダムな位相を有した回折構造を有している。その結果、計算機ホログラムの手法を用いて作成される凹凸構造を採用すれば、回折光の射出範囲をより高精度に制御することが可能となり、より高品位な画像表示体を提供することが可能となる。
図12は本発明に係る情報媒体の一実施の形態を概略的に示す平面図である。
この情報媒体50は、磁気カードであって、基材51を含んでいる。基材51は、例えばプラスチックから成る。基材51には印刷層52と、帯状の磁気記録層53とが形成されている。
さらに、基材51には画像表示体10が偽造防止用又は個人識別用ラベルとして貼り付けられている。その結果、情報媒体50は画像表示体10を含んでいる。ゆえに、この情報媒体の偽造又は模造は困難である。
ここで、情報媒体50の基材51は光透過性である光透過性領域を有することが好ましい。また、画像表示体10は少なくとも基材51の光透過性領域の一部に貼付又は転写されることにより、前述した表裏で異なる視覚効果をもって観察することが可能となる。
なお、前述する各実施の形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。前記各実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…画像表示体、11…構造形成層、12a,12c〜12f…凹部、12b…平坦部、13…光透過層、14…光反射層、15、15a、15b、15c、15d、15e、15f…構造領域、16…接着層、20…観察者、21…観察方向、50…情報媒体、51…基材、52…印刷層、53…磁気記録層、α…入射角、β…射出角、βr…波長成分Rの回折光の射出角、βg…波長成分Gの回折光の射出角、βb…波長成分Bの回折光の射出角、γλ…回折光の射出角の範囲、d…凹凸構造の間隔、DLr…波長成分Rの回折光、DLg…波長成分Gの回折光、DLb…波長成分Bの回折光、DLλ…回折光、GR…回折格子、IL,ILλ…入射光、LS…光源、NL…法線、r、r1、r2…回折格子の高さ、RL…0次回折光。

Claims (9)

  1. 平面状の光透過性基材の一方の面に、少なくとも構造形成層、光反射層、接着層の順序で積層配置され、
    前記構造形成層は前記光反射層と対峙する面側にマトリクス状に複数の構造領域を備え、
    前記接着層は光透過性であり、
    前記各構造領域は、複数の凹部又は凸部と当該凹部又は凸部が形成されていない平坦部とを有する凹凸構造を備え、
    前記凹部の底面又は前記凸部の上面は前記平坦部と略平行であり、かつ、前記凹部上又は前記凸部上に積層する前記光反射層の厚さと前記平坦部上に積層する前記光反射層の厚さとが異なることを特徴とする画像表示体。
  2. 前記凹部の深さ又は前記凸部の高さが前記各構造領域内で同一であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示体。
  3. 前記凹部上に積層する前記光反射層の厚さが前記平坦部上に積層する前記光反射層の厚さよりも薄い、又は前記凸部上に積層する前記光反射層の厚さが前記平坦部上に積層する前記光反射層の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像表示体。
  4. 少なくとも前記構造形成層及び前記接着層を備える領域とを同一面上に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の画像表示体。
  5. 前記複数の構造領域とインキ層を備える領域とを同一面上に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の画像表示体。
  6. 前記凹凸構造を成す複数の凹部又は凸部は、直線状の構造であることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載の画像表示体。
  7. 前記複数の凹部又は凸部は、計算機ホログラムで形成される凹凸構造であることを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の画像表示体。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載された構成の画像表示体と、この画像表示体が支持される物品とを備えたことを特徴とする情報媒体。
  9. 前記物品は光透過性である光透過性領域を有し、
    前記画像表示体は少なくとも前記光透過性領域の一部に貼付又は転写されていることを特徴とする請求項8に記載の情報媒体。
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