JP4983948B2 - 表示体及び表示体付き物品 - Google Patents
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Description
また、第2の発明は、前記凸部又は前記凹部と、前記平坦部の短辺の幅が、略同一であることを特徴とする請求項1に記載の表示体である。
また、第3の発明は、前記第1の領域に対して垂直な方向から平行光で照明した場合に、特定方向に回折光を射出し、前記特定方向と垂直な方向には回折光を射出しない請求項1または2のいずれかに記載の表示体である。
また、第4の発明は、前記第1の領域の近傍に、第2の領域を有し、前記第2の領域は、前記第1の領域とは光学特性が異なる構造を備えており、回折格子、凹凸構造から成る反射防止構造体、光散乱構造体、平坦部のうち少なくとも一つから選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示体である。
また、第5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の表示体とこれを支持した物品とを具備した表示体付き物品である。
また、ホログラムと同様に観察条件によって色やパターンが変化するが、レインボウホログラムよりも色変化がゆるやかである表示体を得られる。そして、通常の観察条件では、ほぼ同じ色に見えるような表示体を提供することが可能となる。
さらに、凸部又は凹部、及び平坦部は、同じ方向に繰り返し配列されていることによって、特定の方向のみで画像の色を視認することができる、指向性を持った表示体を提供することが可能となる。
このように、レインボウホログラムと比べて、画像の違いを判別し易く、またデザインし易い、高い偽造防止効果を発揮する表示体を提供することができる。
また、第1の発明によると、通常のホログラムや回折格子などのように、回折される光の方向が波長によって大きく変わることが無く、ほぼ同じような方向に射出される。このため、各波長に対する回折光が重なって観察されることになり、回折光の強度の違いによる色が着くという効果を得られ、高い偽造防止効果を発揮する表示体を提供することができる。
また、表示体からの回折光の波長に対する分布がより顕著になるため明瞭な色で観察でき、観察条件で画像の色が変化するような表示体が得られ、高い偽造防止効果を発揮する表示体を提供することができる。
また、第2の発明によると明瞭な色で観察でき、特定の視域で画像の色が視認できるような高い偽造防止効果を発揮する表示体を提供することができる。
また、第3の発明によると、回折光が一方向にのみ、広く拡がる光になるので、観察方向によって、像の明るさやパターンが変化することになるため、観察条件で画像の色が変化するとともに、像の明るさやパターンも変化するような高い偽造防止効果を発揮する表示体を提供することができる。
また、第4の発明によると、前記第2の領域に、回折格子、微細な凹凸構造から成る反射防止構造体、光散乱構造体のいずれかが形成されているか、何も形成されていないことで、異なる光学特性を発揮する複数の構造から成る表示体を実現することができ、表示体の意匠性が向上するとともに、偽造防止効果の向上が期待できる。従来の偽造防止を目的とした表示体に形成される回折格子による回折光は、第1の領域に形成された構造体の色が観察される観察範囲とは異なる方向に射出されるため、第1の領域による色表示は、第2の領域に形成された回折格子からの回折光が見えない条件下において観察される。また、微細な凹凸構造から成る反射防止構造体は通常目視観察した場合、黒もしくは暗灰色等の無彩色として知覚される。そのため、第1の領域によって表示される色相を有する色とは異なる色である。光散乱構造体による散乱光はいわゆる磨りガラスのような白色もしくは白濁色のような無彩色を表示する。そのため、第1の領域によって表示される色相を有する色とは異なる色である。また、第2の領域に構造が形成されていない場合、第2の領域は反射層の素材、及び、基材の素材、及び、凹凸構造形成層の素材によって決定される色であり、通常、基材及び凹凸構造形成層は透明もしくは半透明であるので、反射層による色が知覚される。反射層として金属薄膜を利用した場合、金色や銀色などの金属光沢が知覚される。それは、第1の領域による表示色とは異なる色みとして観察者に知覚される。
また、第5の発明によると、本発明の表示体を、印刷物やカード、その他の物品に貼りあわせる、または、組み合わせることによって、従来の物品に高い偽造防止効果を付与することが可能となる。
また、樹脂層は、例えば、使用時に表示体の表面にキズが付いてしまうのを防ぐことを目的としたハードコート層や、表示体の一部に設ける、光や熱によって硬化する樹脂インキから成る印刷層である。
本発明に係る第1の領域について説明するにあたり、まず、回折格子のピッチ及び照明光の波長と、照明光入射角及び回折光の射出角との関係について説明する。
d=mλ/(sinα−sinβ) ・・・(式1)
このような、表示体を観察した場合、光透過層11に作られた凸凹形状の上の反射層13で回折された光が目に入るが、この回折光に色が着くため、色のついた画像が観察されることになる。
矩形の凸凹形状がある場合、入射した光は、凸凹形状の部分で回折され、一部の光は正反射方向に進む光となり、別の一部は回折によって拡がる光となる。
表面の凸凹に関して、屈折率n、深さdp、波長λとしたときに、内部の角度θで入射する照明光の山部と谷部で反射される光の光路差は、図6に示すように2dpcosθとなる。そして、これらの光の位相差は、2π/λをかけた4πndpcosθ/λとなる。
この時に、位相差が2πの整数倍であれば、正反射方向の光の位相が揃うため、山部、谷部からの光の干渉によって正反射光が強くなり、回折されて拡がる光の強度は弱くなる。
位相差が2πの整数倍+πであれば、正反射方向の光の位相が反対になるので、干渉によって正反射方向の光が弱くなり、回折されて拡がる光の強度は強くなる。
しかし、凸凹の深さがある程度深くなると、ある波長では位相差が2πの整数倍+πとなって回折して拡がる光が強くなり、別のある波長では位相差が2πの整数倍となって回折する光が弱くなる。このため、波長によって回折される光の強度が大きく違ってくることになる。
このため、各波長に対する回折光が重なって観察されることになり、回折光の強度の違いによる色が着くことになる。
可視光の波長範囲内で波長による回折光の角度の違いがこの範囲に収まるようにすれば良いため、20μm以上のピッチに対する周期であれば問題はない。
このため、20μm以上の範囲がランダムなピッチとなるように設定してあれば問題はない。
回折される光と正反射方向の光が分離して観察できるように、回折される光は正反射方向から、十分離れた方向まで広く拡がることが必要である。
回折光の拡がりは、凸凹を構成している各要素の大きさに依存しており、大きさが小さいほど広い範囲に拡がる。
要素の大きさに対する、回折光の拡がりは、近似的には開口からの回折と考えることができるので、回折光の方向Φに対する強度は矩形開口の場合と同様に考え、波長をλ、要素の大きさをaとして
{sinc(π/λ×(sinΦ)×a)}2 ・・・(式3)
の式3で表すことができる。
この分布は、無限に拡がる形になるが、通例、最初に強度が0となる角度π/λ×(sinΦ)×aがπとなる角度を拡がり角としており、sinΦ=λ/aに対応する角度Φだけ拡がると考えられる。
通常、照明光の正反射方向近傍では、表面の反射光が目に入って観察し辛いため、照明光と観察角度は20°程度以上違いがある。このため、回折光は空気中で20°程度の角度拡がる必要がある。
この場合に樹脂の屈折率の影響は表面の屈折によってキャンセルされるので、空気中の波長と角度で考えればよく、sinΦの値が1/3以上になるようにする必要がある。
可視光の波長は幅があるものの大体500nm前後であるため、λ/aは要素の大きさaは、1.5μm程度以下となる。
このため、回折する光が十分な拡がりを持つためには、平均的な要素の大きさを1.5μm以下にする必要があり、山と谷を合わせたピッチとしてみれば3μm以下にしておく必要がある。
凸凹の形状が矩形波の場合に、凸凹で回折されて拡がる光の強度は、樹脂内での照明光の角度θ、屈折率n、深さdp、波長λとして、近似的に
{sin(2πndpcosθ/λ)}2 ・・・(式4)
の式4に比例する値となる。
このため、各波長に対する等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)を用いて
X=∫x(λ){sin(2πndpcosθ/λ)}2dpλ ・・・(式5)
の式5からXを計算し、同様にY、Zを計算していくことで、回折光の色を近似計算することができる。
0.10μm程度では、ほとんど白色であるが、0.15μmくらいで黄色系の色になり、その後、白を中心に回転するような形で色相が変化している。
このことから、色を出すために深さは0.15μm以上にする必要があると考えられる。
0.30μmまでの変化でほぼ1週し、一応の色彩表現は可能であるが緑系の色はかなり弱い。
この場合、図7と同じように、色相が変化しているが、この場合には、緑も表現されているため、より良い色表現が可能となっている。
この場合、緑と紫は表現できているが、他の色の表現は乏しくなっている。
深さが、深くなると成形が難しくなるなどの問題も生じるため、0.50μm以上の深さにすることは、ほとんどメリットがない。
これらのことから深さは0.15μm〜0.50μmにしておくのが好ましく、更に好ましくは、0.15μm〜0.30μmにしておくのが良いと考えられる。
凸凹構造はアスペクト比が高いほど、成形し辛くなるという点がある。
また、アスペクト比が高いと、凸凹の底部に光が届き難くなるため、色が出難くなる場合や、像が暗くなるということも生じる。
このためアスペクト比があまり高くなりすぎないようにする必要があり、1以下程度に抑えたほうが良い。前述したように、0.50μmまでの深さを用いることを考慮すると、山谷の各要素の大きさは0.50μm以上にしておくほうが良く、平均的なピッチを1.0μm以上にするのが良いと考えられる。
回折する光の色は、山部と谷部の光路差の違いによって、生じるので、この場合にも深さが違ったときと同様な色変化が生じる。
スネルの法則から、照明光角度が変わったときの樹脂内部での光の角度θを求めて、前述した深さに対する色変化と同様な計算を行うことにより、照明光の角度変化に対する、色の変化を求めることができる。
照明光角度の変化によって、再生される色は、オレンジ系の色からシアン系の色まで変化しており、十分に違いが認識できるだけの色変化が生じている。
このことから、照明光を大きく変化させた場合に、色の変化があることを容易に判別できるため、偽造防止用の部材として用いることが可能である。
この場合には、色の変化はあるものの、ほぼ黄色と見なせる程度の範囲に収まっている。
このことから、普通に観察する範囲では、ほぼ一定の色で見えるので、画像としての色表現が十分可能であり、異なる色で記録された画像に対し、十分な識別が可能である。
これらのことから、本発明のような構成により、色のついた画像が表現でき、さらに、照明光の角度の違いにより、レインボウホログラムなどより、ずっとゆるやかであるが、十分に判別可能な色変化が生じるような表示体が得られることがわかる。また、本発明は、観察者の観察角度による視認性の依存度が低く抑えられる。
ただし、形状が良くないと、深さが深くなるに従って、正反射光の強度が低下し、また回折される光の範囲も変化するため、色の違いが出し難くなる。そのため、色の面からはなるべく矩形に近い形状が良い。
特に、山部、谷部からの光の干渉によって色がでていることから、山部、谷部の形状の影響は大きく、できるだけ山部、谷部が平面と見なせるようにするのが良い。
また、干渉によって、強めあうときと打ち消しあうときとの差が大きくなるほうが、色がでやすいことから、山部と谷部の広さが同じ程度になっているほうが良い。
図12(a)は、表示体の形状の一例を示した立体図である。この図で、ひとつの方向に対してのみ凸凹構造が記録されており、それと垂直な方向には、ほぼ平らな構成となっている。このような構成にすると、凸凹構造によって回折される光は、一方向にのみ拡がり、垂直な方向にはほとんど拡がらないものとなる。
このため、観察する方向によって、回折光が観察できたり、できなかったりするので、このような表示体を並べて画像パターンを形成すると、見る方向によって画像パターンが変化するようなものを作成することができる。
この場合には、照明光の角度によって色変化するとともに、観察の条件によってパターンも変化することになるので、より視認性が高まり、偽造防止効果の高い表示体を提供することが可能となる。
また、光の拡がる方向が一方向に絞られることから、光の強度が強くなり、明るい画像を観察できるという利点もある。
さらに、一方向のみの凸凹で、パターンがシンプルであることから、作成や複製を行い易いという利点もある。
次に、第2の領域について説明する。
第2の領域25は第1の領域15とはその構造や光学的な性質が異なる領域である。第2の領域25は第1の領域15とは異なる凹凸構造が形成されていてもよいし、構造が形成されていない平坦面であってもよい。また、第2の領域25は表示体10に複数存在していてもよい。
3の斜視図に示したような線状の凹凸構造(格子線)が繰り返し形成されたものであり、ピッチ0.5〜1μm程度、構造の高さ0.1〜0.5μm程度が典型的な仕様である。回折格子は回折によって虹色に輝く分光色を射出し、光源の位置や観察者の観察角度など観察条件に応じて、色や絵柄が変化する像を表示させることや、立体像を表示させることができる。
上述した表示体10は、例えば、偽造防止用ラベルとして粘着材等を介して印刷物やその外の物品に貼り付けて使用することができる。表示体10は微細な凹凸構造により表示体の正面方向に複数の波長による色を表示することができ、構造の高さを変えることでその色が変化することから偽造は困難である。このラベルを物品に支持させた場合、真正品であるこの表示体付き物品の偽造又は模造も困難である。
まず、乾板上にEBレジストを塗布する。
このときに、レジストの粘度や、スピンコーターの回転するのを整えて、レジストの厚みが、本発明で用いるような深さを描画できるように、例えば0.50μm程度になるようにする。
このようにして作成したレジスト乾板に、EB描画装置を用いて、適切な露光幅、例えば、1μm程度で、適当な間隔をあけながら露光を行う。デザインは「TOP」の反転パターンとなるようにした。
「T」と「P」の文字をX方向が長手方向となるような縞パターンで、「O」の文字をY方向が長手方向となるような縞パターンとなるようにして、文字ごとにそれぞれ異なる露光量で描画を行った。
この際に、ピッチが周期的にならないように、間隔をランダムに変化させる。ただし、平均の間隔は1μm程度になるようにする。
このようにして、一方向の凸凹パターンを記録した乾板を現像して、露光した部分が凹むようにする。露光と現像の条件を調整して、「T」の文字部の深さが約0.3μm、「O」の文字部の深さが約0.25μm、「P」の文字部の深さが約0.2μmとなるようにした。
なお、この際に、凸凹の形状が若干はなまるものの、なるべく矩形に近くなるように現像条件を調整する。
このようにして作成した乾板に、蒸着によって導電層をつけて、これから電鋳することによって、乾板に記録された凸凹を金型として複製する。
透明なフィルム上にUV樹脂をたらして、作成金型を密着させてフィルム面からUV光を照射することによって、金型上の凸凹をフィルム上に複製する。
このようにして作成したフィルム上の凸凹面の上にアルミを蒸着する。
このようにして図18(a)に示すような、凹凸部の長手方向が「T」と「P」ではX方向に、「O」ではY方向となるような複数の凹凸部によって「TOP」がデザインされた表示体が作成された。
本実施例の表示体を図18(b)のように表示体を配置して観察すると、「T」の文字を黄色で、「P」の文字を紫色の画像として観察することができた。
また、照明光の角度を大きくしてやると、色が変化し、「T」の文字が青緑色に「P」の文字が橙色の画像として観察することができた。
また、図18(c)のように表示体を配置してY軸方向から観察すると、「O」の文字を青色の画像として観察することができた。
また、照明光の角度を大きくしてやると、色が変化し、「O」の文字が紫色の画像として観察することができた。
このため、レインボウホログラムと比べて、画像の違いを判別し易く、またデザインし易い表示体となるため偽造防止用の表示体として利用できる可能性がある。
Claims (5)
- 光透過性の基材と、
前記基材の一方の面側に設けられた凹凸構造形成層と、
前記凹凸構造形成層の少なくとも一部を被覆する反射層とを備えた積層構造から成る表示体であって、
前記凹凸構造形成層の少なくとも一部は、整然配置された複数の第1の領域に分割されており、
前記複数の第1の領域は、上面が前記基材面と略平行である複数の凸部又は底面が前記基材面と略平行である複数の凹部と、前記基材面と略平行な平坦部が複数配置されて構成されたセルを有し、前記セルは前記複数の第1の領域の少なくとも一部に各々設けられており、
各セル内に形成された複数の凸部又は凹部、及び平坦部は、同じ方向に繰り返し配列されており、
隣接する凸部又は凹部と平坦部の中心間距離の平均値は1.0μm以上且つ3μm以下であり、
前記凸部と平坦部の高低差によって規定される構造高さ、又は、前記凹部と平坦部の高低差によって規定される構造深さは0.15μm以上且つ0.50μm以下であり、隣接する凸部又は凹部と平坦部の中心間距離は、ランダムであり、
前記凸部と平坦部による構造高さ、又は、平坦部と前記凹部による構造深さが、前記セル内で略同一であり、且つ、前記構造高さ又は構造深さが複数の第1の領域毎に異なっていることを特徴とする表示体。 - 前記凸部又は前記凹部と、前記平坦部の短辺の幅が、略同一であることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
- 前記第1の領域に対して垂直な方向から平行光で照明した場合に、特定方向に回折光を射出し、前記特定方向と垂直な方向には回折光を射出しない請求項1または2のいずれかに記載の表示体。
- 前記第1の領域の近傍に、第2の領域を有し、前記第2の領域は、前記第1の領域とは光学特性が異なる構造を備えており、回折格子、凹凸構造から成る反射防止構造体、光散乱構造体、平坦部のうち少なくとも一つから選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示体。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の表示体とこれを支持した物品とを具備した表示体付き物品。
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