JP2010286722A - 表示体及びラベル付き物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表示体10は、光透過層11の一方の面11aと反対の面11bから光透過層11の厚さ方向に凹状の回転放物線形状を呈する回折用の凹部12aを反対の面11bに沿い予め決められたピッチPでマトリクス状に配列し形成されるレリーフ構造部12を備え、光透過層11の一方の面11aと反対の面11bで、レリーフ構造部12を除く箇所が平坦部DP3として構成され、この平坦部DP3及びレリーフ構造部12の表面には反射層13が形成されている。そして、反射層13aの法線方向の膜厚Taを反射層13bの法線方向の膜厚Tbの25%以上85%以下の範囲に設定する構成にした。
【選択図】図2
Description
偽造防止技術に関する。
また、近年では、認証物品及び有価証券以外の物品についても、偽造品の流通が問題視されている。そのため、このような物品に、認証物品及び有価証券に関して上述した偽造防止技術を適用する機会が増えている。
多層膜は、光学特性が異なるセラミックや金属を幾重にも積層した構造を有している。多層膜では、各層の光学的厚さを適宜設計することにより、或る波長の光に強め合う干渉を生じさせ、他の波長の光に弱め合う干渉を生じさせることができる。界面間の光路長は観察角度に応じて変化するので、観察角度を変化させると、強め合う干渉を生じる光の波長と弱め合う干渉を生じる光の波長とが変化する。このような原理で、多層膜は、観察角度に応じたカラーシフトを生じる。
このように、OVD、特に回折構造は、特徴的な視覚効果を有している。そして、回折構造を利用すると、立体画像や虹色に輝く特殊な装飾画像などの複雑な画像を表示させることができる。加えて、以下に説明するように、回折構造は、その製造に高度な技術を要する。
体積型ホログラムの製造では、感光性樹脂等の記録材料からなる層に3次元的に干渉縞を記録する。体積型ホログラムとしては、リップマンホログラムが一般的に使用されている。
回折格子の製造は、例えば、レリーフ型ホログラムの製造について説明したのと同様の方法により行う。
回折格子に対する照明光の入射角を固定して回折格子を白色光で照明した場合、この回折格子が表示する色は、回折格子の格子定数、即ち、回折格子を構成している格子線の空間周波数と、観察方向が回折格子の法線に対してなす角度と、格子線が観察方向と回折格子の法線とに平行な平面に対してなす角度とによって決定される。従って、表示体を複数の画素で構成した場合、表示すべき画像の色から、各画素の回折格子に採用すべき構造を特定することができる。このような画素構造を採用すると、表示体の設計が容易になる。
また、回折構造を含んだ表示体の普及に伴い、回折構造が提供する視覚効果の特殊性は低下しつつある。
なお、表示体とは、文字、絵、図柄等の情報を光強度の変化で提示し、目視や機械読み取りによって確認できるものである。
ここで、反射層の法線方向膜厚とは図1に示すように、レリーフ構造部の表面形状の各点に対する法線方向の反射層の厚みであり、黒とは可視光領域において正反射方向の反射率が20%以下の状態を示す。
また、本発明によれば、反射層を介して積層された樹脂層を備えることにより、レリーフ構造部を保護することができる。
レリーフ構造部12は、観察する角度により明度及び彩度の低い色の表示と回折光射出の2つの機能を選択的に実現させるもので、図1及び図2に示すように、光透過層11の反対の面11bから光透過層11の厚さ方向に凹状の回転放物線形状を呈する凹部12aを反対の面11b(X−Y平面)に沿い予め決められたピッチPでマトリクス状に配列し形成することにより構成される。また、各凹部12aの反対の面11bからの深さがHである。
また、光透過層11の反対の面11bで、レリーフ構造部12を除く箇所が平坦部DP3として構成され、この平坦部DP3及びレリーフ構造部12の表面には反射層13が形成されている。さらに、光透過層11の一方の面11aと反対の面11bには反射層13を介して樹脂層15が設けられている。
反射層13は、一方の面11aから入射し凹部12aとの界面及び平坦部DP3の界面を透過した照明光を一方の面11a側へ反射させるためのものである。
また、図2において、Taはレリーフ構造部12を覆う反射層13aの法線方向の膜厚を表し、Tbは平坦部DP3を覆う反射層13bの法線方向の膜厚を表している。そして、反射層13aの法線方向の膜厚Taは反射層13bの法線方向の膜厚Tbの25%以上85%以下の範囲に設定されている。
なお、本発明においては、反射層13を平坦部DP3の全域及びレリーフ構造部12の表面の全域に設ける必要がなく、平坦部DP3の一部及びレリーフ構造部12の表面の一部に設けるようにしてもよい。
また、光透過層11を構成する材料も特に指定するものではなく、可視光において光を透過すればよく、透明樹脂などの材料を使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂を使用し、金型を用いた転写により凹部12aを形成できる。
また、反射層13としては、例えば、アルミや銀、金またはそれらの合金などを使うことができ、蒸着やスパッタリング等の方法で形成できる。
したがって、観察者VW1が表示体10のレリーフ構造部12を有する領域DP1を正面で観察した場合、光源LSから照明光LIの正反射光LR1が小さくなり、黒色乃至灰色を表現することができる。また、レリーフ構造部12の中心間距離、すなわちピッチPが200nm以上500nm以下にすることにより、レリーフ構造部12による回折光LD1が表示体10の正面方向に発生せず、正面方向に対し、大きな角度に回折光が発生するので、観察者VW2が正面から大きく傾けて観察したときのみ、回折光による絵柄、文字、記号等を表示することが可能になる。
また、図4に示すように、観察者VW1が表示体10の平坦部DP3を正面で観察した場合、平坦部DP3は反射層13bの法線方向の膜厚Tbが厚く鏡として振る舞うため、光源LSから照明光LIの正反射光LR1は大きく明るく観察することができ、観察者VW2が正面から大きく傾けて観察したときは暗くなる。
この図5は、図1及び図2に示している回転放物線形状の凹部12a(深さHが400nm、中心間距離であるピッチPが300nm)、回転放物線形状の凹部12a(深さHが400nm、中心間距離であるピッチP400nm)、平坦部DP3のそれぞれが正方格子状に設けられたアルミニウム(Al)からなる反射層13について、FDTD(finite difference time domain)法による垂直入射の反射率、透過率シミュレーションを光の波長532nmで行うことによって得られたデータを示している。
また、凹部12aからなるレリーフ構造部では、膜厚が10nmまでは、0に近い反射率を示し、膜厚が10nm以上では、膜厚の増加と共に、反射率も増加し、膜厚が60nm程度で飽和する。透過率も、平坦部DP3よりも緩やかに減少することがわかる。
以上のように、本発明の表示体は、凹部12aからなるレリーフ構造部の形状だけでなく、被覆する反射層の法線方向の膜厚を変化させることにより、反射率、透過率を制御することが可能となる。このため、偽造する場合は、前記凹凸構造の形状だけでなく、反射層の膜厚の解析も行わなければならないため、偽造防止効果を高めることができる。
(実施の形態1)
図6において、DP1は回転放物線形状の凹部12a(深さHが400nm、中心間距離であるピッチPが300nm)で構成された領域であり、DP2は回転放物線形状の凹部12a(深さHが400nm、中心間距離であるピッチPが400nm)で構成された領域である。DP3は反対の面11bの一部からなる平坦部である。また、表示体10の反射層13は全面にAl蒸着後、マスク印刷後のエッチング処理等により、領域DP1では、その法線方向の膜厚Taが40nmt、領域DP2では、その法線方向の膜厚Taが70nmt、平坦部DP3では、その法線方向の膜厚Tbが100nmtとなるようにAlで被覆されている。
反射層13としては、例えば、アルミニウム、銀、金及びそれらの合金などの金属材料また、金属インクからなる金属層を使用することができる。或いは、反射層13として、光透過性とは屈折率が異なる誘電体層を使用してもよい。或いは、反射層13として、隣り合うもの同士の屈折率が異なる誘電体層の積層体、すなわち、誘電体多層膜を使用してもよい。但し、誘電体多層膜が含む誘電体層のうち光透過層と接触しているものの屈折率は、光透過層の屈折率とは異なっている必要がある。
次に、観察者VW1が正面から大きく傾けて観察した場合(観察角度70度)、領域DP1からは青い回折光LD1(波長432nm)が、また、領域DP2からは黄色い回折光LD1(波長576nm)を観察することができ、領域DP1とDP2を識別することが可能となる。また、平坦部DP3は暗くなる。以上の特殊な視覚効果を有することで、偽造防止効果を高め、また、表示体の審議判定も容易に行うことが可能となる。
図7は、偽造防止用又は識別用ラベルを物品に取り付けてなるラベル付き物品の一例を示すもので、ラベル付き物品の一例として、印刷物を描いている。この印刷物は、ID(identification)カードであって、印刷物本体20を含んでいる。
印刷物本体20は、基材210を含んでいる。基材210は、例えば、プラスチックからなる。基材210上には、印刷層220が形成されている。基材210の印刷層220が形成された面には、上述した表示体10が例えば粘着層30を介して固定されている。表示体10は、例えば、粘着層30または接着層を介して貼りつけることにより、基材210に固定する。
この印刷物は、表示体10を含んでいる。それ故、この印刷物の偽造又は模造は困難である。また、この印刷物は、表示体10を含んでいるので、真正品であるかが不明の物品を真正品と非真正品との間で判別することも容易である。しかも、この印刷物20は、表示体10に加えて、印刷層220を更に含んでいるため、これを利用した偽造防止対策を採用することができる。
また、ラベル付き物品は、印刷物でなくてもよい。即ち、印刷層を含んでいない物品に表示体10を支持させてもよい。例えば、表示体10は、美術品などの高級品に支持させてもよい。
表示体10は、偽造防止以外の目的で使用してもよい。例えば、表示体10は、玩具、学習教材又は装飾品等としても利用することができる。
これらのラベル付き物品の製造には、例えば、粘着ラベル又は転写箔を利用することができる。
図8は、粘着ラベルの一例を概略的に示すものであり、この粘着ラベルは、上述した表示体10と粘着層30とを含んでいる。粘着層30は、表示体10の表示面と反対の裏面を覆うように設けられており、この粘着層30を介して図示省略の印刷物本体に接着できるようになっている。また、このような粘着層30を有する粘着ラベルは、表示体10への接着側と反対の粘着層30の面は、これを剥離可能に覆う剥離紙を更に含んでいてもよい。
上述した表示体10には、様々な変形が可能である。例えば、先の表示体10は、二次元的に配列した回転放物線形状の凹部12aからなるレリーフ構造部を含んだ表示部として、2つの表示部の領域DP1及びDP2のみを含んでいるが、表示体10は、このような表示部を3つ以上含んでいてもよい。また、レリーフ構造部12として一次元的に配列した回折格子でもよい。
また、ここでは、凹部12aが回転放物線形状の凹部12aである例を説明したが、それらレリーフ構造部の形状は回転放物線形状の凹部に限られない。
レリーフ構造部12を構成する凹部12aは、図9に示すような円筒状、図10に示すような截頭円錐筒状、図11に示すような四角錐筒状、図12に示すような半楕円筒状でもよい。また、上記円筒状、截頭円錐筒状、四角錐筒状、半楕円筒状を呈する凹部を組合わせた形状のもの、またはこれらを変形させた形状を有していてもよい。
この発明にかかる表示体10のレリーフ構造部12は、上記実施の形態で述べたような凹部12aから構成されるものに限定されない。例えば、図13に示すように、光透過層11の一方の面11aと反対の面11bに、この反対の面11bから一方の面11aと反対の方向に突出する凸状の回転放物線形状を呈する回折用の凸部12bを反対の面11bに沿い決められたピッチでマトリクス状に配列して形成する。これにより、レリーフ構造部12を構成する。そして、光透過層11の反対の面11bで、レリーフ構造部12の表面及び平坦部DP3には、上記図1および図2に示す表示体と同様な膜厚の反射層(図示せず)が形成されている。さらに、光透過層11の一方の面11aと反対の面11b側には反射層を介して樹脂層15が設けられている。
このような凸部12bからなるレリーフ構造部12を用いて表示体10を構成した場合も、上記図1および図2に示す表示体と同様な作用効果を得ることができる。
また、凸部12bは、上記図9乃至図12に示す場合と逆の形状である凸状の円柱状、截頭円錐柱状、四角錐柱状、半楕円柱状を呈する凸部を組合わせた形状のもの、またはこれらを変形させた形状を有していてもよい。
Claims (4)
- 光透過層と、
前記光透過層の一方の面の一部に回折用の凹部及び凸部の何れか一方または両方を決められたピッチで配列形成してなるレリーフ構造部とを備え、
前記一方の面で前記レリーフ構造部と共に平坦部を有し、
前記レリーフ構造部の表面の少なくとも一部及び前記平坦部の少なくとも一部にこれらを覆う光反射層がそれぞれ形成され、
前記レリーフ構造部を覆う前記反射層の法線方向の膜厚が前記平坦部を覆う前記反射層の法線方向の膜厚の25%以上85%以下である、
ことを特徴とする表示体。 - 前記凹部同士または凸部同士または凹部と凸部のピッチが200nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1記載の表示体。
- 前記反射層を介して形成された樹脂層を備えることを特徴とする請求項1または2記載の表示体。
- 基材と、
前記基材の表面の少なくとも一部の領域に設けられた請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示体を備える、
ことを特徴とするラベル付き物品。
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