JP2012042704A - 画像表示体 - Google Patents

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JP2012042704A JP2010183693A JP2010183693A JP2012042704A JP 2012042704 A JP2012042704 A JP 2012042704A JP 2010183693 A JP2010183693 A JP 2010183693A JP 2010183693 A JP2010183693 A JP 2010183693A JP 2012042704 A JP2012042704 A JP 2012042704A
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隆 西原
Koichi Shinoda
光一 篠田
Akira Nagano
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Abstract

【課題】レインボウホログラムなどの偽造防止用画像表示体は、画像の色変化が大きいため、記録されている画像のパターンや色の違いが判別し難く、また、観察条件によって原色で見えるため、デザインに注意しないと安っぽく見えるという欠点を解決することを課題とする。
【解決手段】基材と透明樹脂層と反射層とを備え、透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域をに備えており、凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、3種類以上の異なる中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造から構成されてなり、前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
【選択図】図1

Description

本発明は、偽造防止用途などで用いられる、観察条件によって見え方が変化する画像表示体に関するものであり、特に、色のついた画像表示が可能で、観察条件によって色や画像が変化するような、画像表示体を提供することを目的としている。
従来、カード、有価証券、ブランドプロテクトなどにおいて、目視で判別する偽造防止用の画像表示体が用いられている。このような偽造防止用の画像表示体の代表的なものとして、表面レリーフタイプのレインボウホログラムがある。
レインボウホログラムは、普通の印刷物に比べて構造が複雑で、高い技術を持つ特定の業者でないと作製が困難であり、複製を行うときに大規模な複製装置を必要とするので、小規模な複製が行いにくいという特徴がある。このため、偽造品の作製が困難である。また、照明光を当てた時に、単波長に近い光で再生されるため虹の七色に対応した明るく鮮やかな色で観察でき、観察条件が変化したときに色や画像パターンが変化するという特徴的な見え方をする。このため、他の部材との違いが目視で容易に判別できる。これらのことから、レインボウホログラムは目視によるセキュリティ用途として優れており、偽造防止用の画像表示体として広く用いられてきている(非特許文献1、2)。
しかし、レインボウホログラムは、観察条件の変化が僅かであっても再生像の色が大きく変化するので、画像の色の違いを識別するのが難しい。このため、異なる画像が記録されているレインボウホログラムであっても、観察者に類似した印象を与えやすく、ホログラム同士では記録されている画像の違いが判別し難い。また、観察条件によっては、原色に近い色で像が見えるので、うまくデザインされていないと、ギラギラ光るだけの安っぽいイメージになり易いという欠点もある。
「ホログラフィの原理」、オプトロニクス社、P.ハリハラン 著、7章 「ホログラフィックディスプレイ」、産業図書、辻内順平 著、2章
上述したように、レインボウホログラムなどの偽造防止用画像表示体は、画像の色変化が大きいため、記録されている画像のパターンや色の違いが判別し難く、また、観察条件によって原色で見えるため、デザインに注意しないと安っぽく見えるという欠点があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、ホログラムと同様に観察条件によって色やパターンが変化するが、色変化がゆるやかであり、通常の観察条件では、ほぼ同じ色に見えるような画像表示体を提供することにより、レインボウホログラムと比べて、画像の違いを判別し易く、またデザインし易い偽造防止媒体を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明者らが検討を行った結果、下記の本願発明に想到するに到った。
(請求項1)
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
(請求項2)
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
(請求項3)
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)と凹凸構造(M3)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(M3)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M3)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
(請求項4)
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状のn個(nは1以上の整数)の凹凸構造(M1、M2、…、Mn)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
1≦i≦nである任意の整数iに対して、前記凹凸構造(Mi)の中心間距離は、凹凸構造(M(i+1))の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(Mn)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
(請求項5)
セルの中に、各請求項記載のストライプ状の凸凹構造の他にピッチ間隔が、前記凸凹構造の中間的な値であり、深さが、前記凸凹構造と、ほぼ同じになるような凸凹構造も含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示体
(請求項6)
ストライプ状の凹凸構造の向きが異なる2以上の前記回折格子領域を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示体
(請求項7)
ストライプ状の凹凸構造の深さが異なる2以上の前記回折格子領域を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示体。
請求項1の発明によると、画像表示体から回折される光が、波長によって強度が違うがブロードな波長分布になったため、従来のレインボウホログラムに比べて、おだやかな色で着色された像が観察できた。
請求項2の発明によると、より広い範囲で、ほぼ一定の色で観察できる画像表示体を得ることができた。
請求項3の発明によると、より広い範囲で、ほぼ一定の色で観察できる画像表示体を得ることができた。
請求項4の発明によると、広い範囲で、ほぼ一定のおだやかな色で観察できる画像表示体を得ることができた。
請求項5の発明によると、画像が観察できる範囲で、より色変化の小さい画像表示体を得ることができた。
請求項6の発明によると、画像を形成する各セルからの回折光が格子の方向によって変わるため、表示体を面内で回転させたり横方向に傾けたりすると、観察できる画像が変化する。このため、おだやかな色で再生され、観察条件で画像が変化するような、画像表示体を提供することができた。つまり、観察条件の違いによって、画像のパターンが変化するような、画像表示体を提供することができた。
請求項7の発明によると、観察条件の違いによって、画像の色が変化するような、画像表示体を提供することができた。
本発明の一態様に係る表示体を概略的に示した平面図。 本発明の請求項1の画像表示体で用いられるセルの一例を示す概要図。 図2の点線に沿うセルの断面を示す概要図。 照明光及び+1次回折光の関係を示す概略図。 セル内の格子の凸凹面での光路差を説明するための概要図。 矩形格子での深さの違いに対する色変化を示す概要図。 矩形格子での深さの違いに対する色変化を示す概要図。 矩形格子での深さの違いに対する色変化を示す概要図。 回折格子からの回折光の一例を示す概要図。 回折格子からの回折光の一例を示す概要図。 ピッチの異なる3つの回折格子からの回折光の一例を示す概要図。 3つの回折格子の回折光の格子の深さの違いに対する色変化を示す概要図。 3つの回折格子の回折光の格子の深さの違いに対する色変化を示す概要図。 3つの回折格子に対して観察位置が変わったときの説明のための概要図。 3つの回折格子に対して観察位置が変わったときの色変化を示す概要図。 ピッチの異なる4つの回折格子からの回折光の一例を示す概要図。 4つの回折格子に対して観察位置が変わったときの色変化を示す概要図。 ピッチの異なる5つの回折格子からの回折光の一例を示す概要図。 5つの回折格子に対して観察位置が変わったときの色変化を示す概要図。 9つの回折格子の回折光の格子の深さの違いに対する色変化を示す概要図。 9つの回折格子に対して観察位置が変わったときの色変化を示す概要図。 本発明の請求項2の発明の一実施例を示す概要図。 本発明の請求項3の発明で用いられるセル断面の一実施例を示す概要図。
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、全ての図面を通じて、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様に係る表示体を概略的に示す平面図である。複数の四角形のセルの集まりによって、この図では「イロ」という文字画像が形成されている。
図2は、図1に示す表示体に用いられている1つのセルを模式的に示した概要図である。このセルは、凹凸構造からなる回折格子により形成されている。セルを構成しているストライプ状の凹凸構造は、方向はセル内で同一であるが、ピッチ(中心間距離)が異なっている。
図3は、図2のセルの凹凸構造を点線に沿って切ったときの、断面を示す概要図である。透明な基材の上に凹凸構造の透明樹脂層が設けられている。さらに透明樹脂層の凹凸構造上に反射層が成膜されている。凸凹の形状は矩形に近いものとなっており、その深さはセル内全体で一定であるが、ピッチはセル内で部分ごとに異なるものとなっている。
透明樹脂層の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂などの光透過性を有する樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂を使用すると、例えば、表示体の凸構造または凹構造が形成された金属製のスタンパから、一方の主面に凸構造または凹構造が設けられた光透過層を転写成形することができる。
図3には、一例として、透明な基材と透明樹脂層との積層体で構成された透明層を描いている。本発明の基材は、光透過性のある透明基材を用いることが望ましい。例えば、それ自体を単独で取り扱うことが可能なフィルムまたはシートであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)などを用いることができる。透明樹脂層は、透明基材上に形成された層である。図3に示す透明樹脂層は、例えば、光透過性の基材上に熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂を塗布し、この塗膜にスタンパを押し当てながら樹脂を硬化させることにより得られる。
反射層としては、例えば、アルミニウム、銀、金、及びそれらの合金などの金属材料からなる金属層を使用することができる。或いは、反射層として、透明樹脂層とは屈折率が異なる誘電体層を使用してもよい。或いは、反射層として、隣り合うもの同士の屈折率が異なる誘電体層の積層体、即ち、誘電体多層膜を使用してもよい。なお、誘電体多層膜が含む誘電体層のうち、透明樹脂層と接触しているものの屈折率は、透明樹脂層の屈折率とは異なっていることが望ましい。反射層は、例えば、真空蒸着法及びスパッタリング法などの気相堆積法により形成することができる。
この表示体は、接着剤層、樹脂層などの他の層を更に含むことができる。接着剤層は、例えば、反射層を被覆するように設ける。表示体が透明樹脂層及び反射層の双方を含んでいる場合、通常、反射層の表面の形状は、透明樹脂層と反射層との界面の形状とほぼ等しい。接着剤層を設けると、反射層の表面が露出するのを防止できるため、先の界面の凸構造または凹構造の、偽造を目的とした複製を困難とすることができる。
また、樹脂層の例として、例えば、使用時に表示体の表面にキズが付いてしまうのを防ぐことを目的としたハードコート層や、表示体の一部に設ける、光や熱によって硬化する樹脂インキから成る印刷層を設けることもできる。
透明樹脂側を背面側とし、且つ、反射層側を前面側とする場合は、接着層は、透明樹脂層11上に形成する。
樹脂層は、透明樹脂層及び反射層の積層体に対して前面側に設ける。例えば、透明樹脂層側を背面側とし、且つ、反射層側を前面側とする場合、反射層を樹脂層によって被覆することで、反射層の損傷を抑制できるのに加え、その表面の凸構造または凹構造の、偽造を目的とした複製を困難とすることができる。
本発明について説明するにあたり、まず、回折格子のピッチ及び照明光の波長と、照明光入射角及び回折光の射出角との関係について説明する。
回折格子に照明光源を用いて照明光を照射すると、回折格子は、入射光である照明光の進行方向に対応して特定の方向に強い回折光を射出する。
m次回折光(m=0、±1、±2、・・・)の射出角βは、回折格子の格子線に垂直な面内で光が進行する場合、下記の式1から算出することができる。

d=mλ/(sinα−sinβ) ・・・(式1)
式(1)において、dは回折格子の格子定数(格子周期,ピッチ)を表し、mは回折次数を表し、λは入射光及び回折光の波長を表している。また、αは、0次回折光、即ち、正反射光RLの射出角を表している。換言すれば、αの絶対値は照明光の入射角と等しく、反射型回折格子の場合には、照明光の入射方向と正反射光の射出方向とは、回折格子が設けられた界面の法線NLに関して対称である。
なお、回折格子が反射型である場合、角度αは、0°以上であり、且つ、90°未満である。また、回折格子が設けられた界面に対して斜め方向から照明光を照射し、法線方向の角度、即ち0°を境界値とする2つの角度範囲を考えると、角度βは、回折光の射出方向と正反射光の射出方向とが同じ角度範囲内にあるときには正の値であり、回折光の射出方向と照明光の入射方向とが同じ角度範囲内にあるときには負の値である。
ピッチdの回折格子に対する照明光入射角及び+1次回折光の射出角の関係を図4に示す。照明光が複数の波長成分を含む白色光である場合、回折光の射出角は波長によって異なる。それによって太陽や蛍光灯などの白色照明光源下で回折格子を観察すると、白色光が分光し、単一波長の光が別々の角度に射出され、観察する角度によって虹色に見える。図4では点光源LSから白色光IL(ここでは、白色光を構成する波長成分はR、G、Bの3波長であると仮定する)が入射し、回折格子GRによって波長成分Rの回折光DL_r、波長成分Gの回折光DL_g、波長成分Bの回折光DL_bに分光する様子を示している。このとき、波長成分Rの回折光の射出角β_rと、波長成分Rの回折光の射出角β_gと、波長成分Rの回折光の射出角β_bは、波長毎に異なる値を取る(図4では、DL_rの射出角のみβ_rとして記載している)。他の次数の回折光についても式(1)によって導出される角度に射出されるが図4への記載は省略する。
次に、回折格子のピッチ及び照明光の波長と、回折光の射出角方向における回折光の強度(回折効率)との関係について説明する。
ピッチdの回折格子に対してαの入射角で入射した照明光は、式1に基づいて角度βの方向に回折光を射出する。この際、波長λの光の射出強度、すなわち回折効率は、回折格子のピッチや高さ等によって変化し、式2(数1)によって導出される。
ここで、ηは回折効率(0〜1の値をとる)、rは回折格子の高さ、Lは回折格子の格子線幅、dは格子線のピッチ、θは照明光の入射角、λは入射光及び回折光の波長である。なお、この式は、凹凸構造から成る浅い矩形回折格子について成り立つものである。
式2から明らかなように回折効率は回折格子の高さrや、格子線のピッチd、入射光の入射角θや波長λによって変化する。
次に、このような画像表示体で、回折される光に色が着く原理について説明する。
矩形の凸凹形状がある場合、入射した光は、凸凹形状の部分で回折され、一部の光は正反射方向に進む光となり、別の一部は回折によって拡がる光となる。
表面の凸凹に関して、屈折率n、深さr、波長λとしたときに、内部の角度θで入射する照明光の山部と谷部で反射される光の光路差は、図5に示すように2rcosθとなる。そして、これらの光の位相差は、2π/λをかけた4πnrcosθ/λとなる。
この時に、位相差が2πの整数倍であれば、正反射方向の光の位相が揃うため、山部、谷部からの光の干渉によって正反射光(0次光)が強くなり、回折される光(1次光)の強度は弱くなる。
位相差が2πの整数倍+πであれば、正反射方向の光の位相が反対になるので、干渉によって正反射光が弱くなり、回折される光の強度は強くなる。
ところで、可視光の波長は380〜780nmのある程度広い範囲に分布している。通常の回折画像表示体で用いられているような、0.10μm程度の深さ(波長の半分程度の光路差)以下の場合には、波長による違いは小さく大きな違いはでない。
しかし、凸凹の深さがある程度深くなると、ある波長では位相差が2πの整数倍+πとなって回折する光が強くなり、別のある波長では位相差が2πの整数倍となって回折する光が弱くなる。このため、波長によって回折される光の強度が大きく違ってくることになるので、回折光全体として色がつくことになる。
このような原理で回折光に適切な色がつくようにするには、深さを適切な値とする必要がある。
凸凹の形状が矩形波の場合に、凸凹で回折されて拡がる光の強度は、樹脂内での照明光の角度θ、屈折率n、深さr、波長λとして、近似的に
{sin(2πnrcosθ/λ)}2
に比例する値となる。
このため、各波長に対する等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)を用いて
X=∫x(λ){sin(2πnrcosθ/λ)}2dλ
の式からXを計算し、同様にY、Zを計算していくことで、回折光の色を近似計算することができる。
θ=30°、n=1.5として、この計算法により、深さが0.10μmから0.30μmまで変化したときの回折光の色を‘0.01μmごとに求め、u’v’座標としてプロットしたグラフを図6に示す。
0.10μm程度では、ほとんど白色であるが、0.15μmくらいで黄色系の色になり、その後、白を中心に回転するような形で色相が変化している。
このことから、色を出すために深さは0.15μm以上にする必要があると考えられる。
0.30μmまでの変化でほぼ1週し、一応の色彩表現は可能であるが緑系の色はかなり弱い。
次に0.30μmから0.50μmまでの変化に対する値を図7に示す。
同じように、色相が変化しているが、この場合には、緑も表現されているため、より良い色表現が可能となっている。
さらに0.50μmから0.70μmまでの変化に対する値を図8に示す。
この場合、緑と紫は表現できているが、他の色の表現は乏しくなっている。
深さが、深くなると成形が難しくなるなどの問題も生じるため、0.50μm以上の深さにすることは、ほとんどメリットがない。
これらのことから深さは0.15μm〜0.50μmにしておくのが好ましく、更に好ましくは、0.15μm〜0.30μmにしておくのが良いと考えられる。
さて、回折光全体としては、深さを調整することによって適切な色がだせるものの、前述したように回折格子は、波長によって回折光の方向が違ってくる。
このため、一定のピッチの普通の回折格子の場合、例えば、図9に模式的に示したように、観察者の方向によって色が変化する。この図でAの方向から見たときには、赤色に、Bの方向から見たときには青色に見えることになる。なお、この図は、簡略化してRGB3色に分かれるように描いているが、実際には波長ごとに異なる方向に光が回折している。
ところで、(式1)から分かるように、回折光の方向は波長のみでなく、回折格子のピッチによっても変化する。それで、例えば、図10に模式的に示すように、違うピッチの回折格子を用いると回折光の方向が違ってくる。例えば、図10では、図9で青色に見えた方向から、赤色の回折光が観察されることになる。
このため、適切なピッチの3つの回折格子を組み合わせると、図11に示すように、ある位置からは、それぞれの回折光が赤、緑、青の色で見え、これらの組合せによる色が観察されることになる。
赤、緑、青が重なって見える地点からは、各波長の回折効率が一定であれば、白色として観察されるが、本発明の場合、前述した理由により、波長の違いに伴って回折効率がゆるやかに変化するため、色がついて観察される。
照明光の入射角度を30°としたときにRGBの波長が、610nm、530nm、460nmとなるようにピッチを1.22μm、1.06μm、0.92μmとし、樹脂の屈折率を1.5として、回折格子の深さが0.1〜0.3μmの間で0.01μmずつ変化した場合の色変化をシミュレーションした結果を図12に示す。
また、同様にして深さが、0.3〜0.5μmの間の色変化を図13に示す。
結果は、図6、図7に示した、回折光を全て合わせた場合の色変化とほぼ同じような色が得られる結果になっている。
これらのことから、このようにすれば色を表現できることはわかるが、図11に示した3つの回折格子からの回折光が、赤、緑、青で重なって見える範囲は、あまり広くない。例えば、図14に示すように下方向に視点をずらすと、青で見えていた回折光は見えなくなり、赤、緑で見えていた回折光は、緑、青になるため、大きく色が変わってしまう。
図15には、観察角度を下方向に1°ずつ変えていったときの、色変化をシミュレーションした結果を示しているが、観察角度が2°下にいったところで、色が全体にシアン系のものになっている。上方向に観察角度を変えた場合も同様に2°程度で黄色系の色に変わる結果となり、観察角度は±1°程度でかなり狭くなっている。
このような点に対応するため、例えば、図16に示すように、視点が下方向に移動したときに、赤で見えるようなピッチの回折格子を増やすと、この点から観察したときに、赤、緑、青の回折光が重なって見えることになるので、観察角度が拡がることになる。
この場合の例として、前述した条件に、1.4μmピッチの回折格子を加えた条件で、下方向に1°ずつ観察角度を変えたときの、色変化をシミュレーションした結果を図17に示す。この場合、若干の色の変化はあるものの下方向5°程度までは、色相も維持され、ほぼ色変化がない。この場合、上方向の1°と合わせて6°の範囲で観察が可能であり、若干観察範囲が狭いものの、方向による色変化のない回折像が観察できる。
同様にして、例えば、図18に示すように、上方向に回折するようなピッチの回折格子を増やしてやると、さらに観察領域を広げることができる。
図19に、さらに0.8μmピッチの回折格子を加えた条件で、±5°の範囲で観察する角度を変化した場合の色変化の様子を示す。この場合、この範囲内で、色相が維持されて、色変化が小さく抑えられており、約10°範囲で方向による色変化のない回折像が観察できている。
同様にして、ピッチの異なる回折格子を増やしていけば、さらに観察領域を広げることも可能である。
説明してきたように、3つ以上の異なるピッチの回折格子を用いることで、赤、緑、青が重なって見える。さらに4つ以上の異なるピッチの回折格子を用いることで、より広い観察領域に渡って、色変化の少ない回折光が得られる。これらの回折格子ピッチをどのように選べば良いか次に検討を行う。
(式1)より、1次回折光で、照明光角度αと観察角度βが一定であるときに、回折格子のピッチdと、回折される光の波長λは比例することになる。
普通の観察条件では、同じ角度の照明光で、同じ位置から観察するので、R、G、Bの回折光を得るためには、それぞれの波長をλR、λG、λBとしたときに、回折光のピッチdR、dG、dBとの間に
λR:λG:λB=dR:dG:dB
の関係が成り立つ必要がある。
一方、図16などで、正面から見たときにR、Gの回折光が見えていた回折格子が、下方向から見るときには、G、Bとして観察されることから
λR:λG=dR:dG≒λG:λB=dG:dB
となるので、ピッチはほぼ一定の割合で変化させていく必要がある。
通常、Rとしては600〜630nmくらいの波長の光が、Gとしては520〜540nmくらいの波長の光が、Bとしては450〜470nmくらいの波長の光が用いられており、
λR /λG と λG/λR がほぼ同じになるようにすることから、これらの値としては0.85〜0.90くらいが良いと考えられるので、回折格子のピッチdも0.85〜0.90倍の比率で変化させていけば良いと考えられる。
(第1の実施形態)
これらのことから、0.85〜0.9となるような比率で回折格子のピッチを変化させた、3種類以上の異なるピッチの回折格子を用いれば、赤、緑、青が重なった白色に近い回折光を観察できる。
ここで、ピッチの変化する3種類の回折格子とは、ストライプ状の凹凸構造からなるセルの内部に設けられたピッチの異なる当該凹凸構造のことを指す。
この第1の実施形態では、本発明の表示体は、基材と、この基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、この透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備えている。
そして、透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、この凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されている。
ストライプ状の凹凸構造からなるセルの内部には、最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、凹凸構造(L)より小さく、凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M)の3種類の回折格子として機能する凹凸構造が設けられている。
凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲となる。
この場合、ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲とすることが好ましい。
(第2の実施形態)
さらに、0.85〜0.9となるような比率で回折格子のピッチを変化させた、4種類以上の回折格子を用いれば、ある程度(例えば5度程度)の範囲以上の観察角度から色変化のない回折光を観察できると考えられる。
この第2の実施形態では、本発明の表示体は、基材と、この基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、この透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備えている。
そして、透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、この凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されている。
この第2の実施形態において、ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)を含み、凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲である。
(第3の実施形態)
なお、5度の観察角度が不十分で、レインボウホログラムと同程度の10°くらいの観察角度が必要な場合には、さらに5種類以上のピッチの回折格子を用いることにより、十分な観察角度が確保できる。
この第3の実施形態では、本発明の表示体は、基材と、この基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、この透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備えている。
そして、透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、この凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されている。
この第3の実施形態において、ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)と凹凸構造(M3)を含むものである。
そして、凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(M3)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M3)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にある。
さて、ここまでは、R、G、Bの3色に分解する場合のみについて検討してきたが、必ずしも3色で無く、もっと多くの色を用いても同様な効果を得ることができる。
一例として、前述した5種類のピッチの回折効率と同じ1.4μmから0.8μmの間を、約半分の間隔に相当する約0.93倍ずつ変化した9種類のピッチの凹凸構造を1つのセル内に設けてもよい。
この場合の深さに対する回折光の色をシミュレーションした結果を図20に示す。R、G、B3色に分解した場合や、全体を合わせた場合と同様な結果が得られている。
また、この場合について、観察角度を変えた場合のシミュレーション結果を図21に示す。この場合も±5°の範囲で、ほぼ一定の色を示し、色変化の大きさはR、G、Bを用いた5色の場合よりも小さくなっている。
なお、この場合も6°以上の角度から観察すると色が大きく変化してしまい、一定の色に見える観察角度の範囲は、分割数とは関係なく、最大のピッチと最小ピッチによって決まっている。
以上のことから、本発明の表示体によれば、回折光はある程度の観察範囲において白色に近い色のまま変化せず、その色は格子の深さによって定まる特定の色になるという効果を奏した。
本発明では、このようなピッチ(中心間距離)の異なる複数のストライプ状の凹凸構造からなる格子形状が、微小なセル構造の中に構成されているので、1つのセルの全体が一つの点として観察される。そして複数のセルにより点の集まりとして画像を形成しているので、回折光が観察できる方向から、セルによって構成された画像が特定の色に着色されて見える。
ところで、回折格子の場合、格子の方向と、照明光の正反射光の方向を含む面内に回折光が射出されることになるので、回折格子の方向が変わると回折光の射出方向が変化する。
表示体を面内で回転させたり、横方向に傾けたりすると、格子の方向が変化するので、回折光の射出方向が変化する。このため、観察者から見えるセルが変わり、画像が変化して見えることになる。
このため、本発明のような画像表示体を用いると、カラーの画像が表示でき、普通の観察条件で一定の色に見えながら、画像表示体を回転させるなど、観察条件を変化させることで画像が変化するようなものを提供することができる。
ところで、ここまで凸凹構造の断面形状に関しては、図面では矩形として表現しているが、かならずしも矩形でなくとも、凸凹構造の断面形状が適切なピッチと深さであれば、波長によって回折光強度が変化するため、特定の色を観察することができる。
ただし、凸凹構造の断面形状が良くないと、深さが深くなるに従って、正反射光の強度が低下し、また回折される光の範囲も変化するため、色の違いが観察し難くなる。そのため、このような観点からはなるべく矩形に近い形状が良い。
特に、凸凹構造の山部、谷部からの光の干渉によって色がでていることから、凸凹構造の山部、谷部の形状の影響は大きく、できるだけ山部の上面部分、谷部の底面部分が平面と見なせるような形状にするのが良い。
また、干渉によって、強めあうときと打ち消しあうときとの差が大きくなるほうが、色がでやすいことから、凸凹構造の山部と谷部の面積がほぼ同一程度になっているほうが良い。
図22は、本発明の画像表示体の一実施例の概要図である。
この図で、「イ」の文字に相当する部分は、縦方向を向いたストライプ状の凹凸構造からなる四角形のセルを格子状に複数ならべて構成されており、「ロ」の文字に相当する部分は、横方向を向いたストライプ状の凹凸構造からなる四角形のセルを格子状に複数ならべて構成されている。
このような画像表示体を、斜め上からの照明光で正面付近から観察する場合には、「イ」の部分からの回折光のみが観察者の目に入り、「ロ」の部分からの回折光は目に入らないので、「イ」という文字パターンのみが回折格子の深さによって定まる特定の色で観察されることになる。
表示体を横にして、同様に観察すると、今度は「ロ」の部分からの回折光のみが観察者の目に入り、「イ」の部分からの回折光は目に入らなくなるので、「ロ」という文字パターンのみが観察されることになる。
このため、このようにすると、観察条件の変化によって、画像パターンが変化するような画像表示体を得ることができる。
図23は、本発明の画像表示体で用いられる、セルの断面の一例を模式的に示した概要図である。
この図で、a、bともに、複数のピッチを持ち、それぞれのセル内では一定の深さになっているが、a、bで深さが異なっている。
例えば、図22のようなもので「イ」の文字を形成するセルを縦方向のaのような格子で、「ロ」の文字を形成するセルを横方向のbのような格子で形成しておく。
このような画像表示体を、普通に観察したときには、「イ」の文字が観察され、表示体を横にしたときには「ロ」の文字が観察されるが、それぞれの格子の深さが異なっているので、それぞれのセルからの回折光の色が異なり、「イ」「ロ」の文字は、違う色で観察されることになる。
このため、このようにすると、観察条件の変化によって、画像の色も変化するような画像表示体を得ることができる。画像の色変化があると、画像が変化していることが分かりやすく、視認性が高くなるという利点がある。
(実施例1)
本発明で用いる画像表示体は、例えば、次のようにして作成することができる。
まず、乾板上にEBレジストを塗布する。
このときに、レジストの粘度や、スピンコーターの回転数を整えて、レジストの厚みが、本発明で用いるような深さ、例えば0.30μm程度になるようにする。
このようにして作成したレジスト乾板に、EB描画装置を用いて、複数のセルを並べたものの輪郭が、所定の画像を形成するように並んでいるようなパターンを描画する。この実施例において、セルは100μmの正方形とし、このセルの中に、5種類の異なった中心間距離を有する縦方向のストライプ状の凹凸構造を形成した。それぞれの凹凸構造の中心間距離がそれぞれ1.4μm、1.22μm、1.06μm、0.92μm、0.8μmとした。このようにして、パターンを記録した乾板を現像して、露光した部分が基材面まで凹むようにする。
なお、この際に、各凸凹構造の断面形状が側面部で少しだけ丸みを帯びたものの、ほぼ矩形形状となった。
このようにして作成した乾板に、蒸着によって導電層をつけて、これから電鋳することによって、乾板に記録された凸凹を金型として複製する。
次に、別の乾板上に、レジストの厚みが、例えば0.25μm程度になるように、EBレジストを塗布する。
この乾板上に、横方向の回折格子によるセルが、別の画像を形成しているようなパターンを描画する。
この乾板から、前の乾板と同様な作業で、凸凹構造を金型として複製する。
透明なフィルム上にUV樹脂をたらして、作成金型を密着させてフィルム面からUV光を照射することによって、一枚目の金型上の凸凹構造をフィルム上に複製する。
次に、同様にして、同じフィルム上の少し違う位置に二枚目の金型上の凸凹構造を複製する。
このようにして作成したフィルム上の凸凹構造面の上にアルミを蒸着する。
このようにして作成したものを、フィルム面側から観察すると、普通に見ると縦方向の格子を用いたセルによるパターンが黄色の画像として観察でき、横にすると横方向の格子を用いたセルによるパターンが、青色の画像として観察することができた。
以上、述べてきたように本発明の方法を用いることで、ホログラムと同様に観察条件によって色やパターンが変化するが、通常の観察条件では、ほぼ同じ色に見えるような画像表示体を提供することができる。
このため、レインボウホログラムと比べて、画像の違いを判別し易く、またデザインし易い画像表示体となるため偽造防止用の画像表示体として利用できた。
1セル
2画像表示体
3回折格子
10透明基材
11透明樹脂
12反射層
13矩形に近い凸凹構
21山部で反射された光
22谷部で反射された光
31白色照明光
32回折格子
34観察者(A)
35観察者(B)

Claims (7)

  1. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
    前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
    前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
    前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
    前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
    最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
    最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
    前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M)を含み、
    前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    前記凹凸構造(M)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
  2. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
    前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
    前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
    前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
    前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
    最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
    最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
    前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)を含み、
    前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    前記凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    前記凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
  3. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
    前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
    前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
    前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
    前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
    最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
    最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
    前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)と凹凸構造(M3)を含み、
    前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    前記凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    前記凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(M3)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    前記凹凸構造(M3)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
  4. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
    前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
    前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
    前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
    前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
    最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
    最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
    前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状のn個(nは1以上の整数)の凹凸構造(M1、M2、…、Mn)を含み、
    前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    1≦i≦nである任意の整数iに対して、前記凹凸構造(Mi)の中心間距離は、凹凸構造(M(i+1))の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    前記凹凸構造(Mn)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
    前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
  5. セルの中に、各請求項記載のストライプ状の凸凹構造の他にピッチ間隔が、前記凸凹構造の中間的な値であり、深さが、前記凸凹構造と、ほぼ同じになるような凸凹構造も含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示体。
  6. ストライプ状の凹凸構造の向きが異なる2以上の前記回折格子領域を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示体。
  7. ストライプ状の凹凸構造の深さが異なる2以上の前記回折格子領域を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示体。
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