JP2012042704A - 画像表示体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材と透明樹脂層と反射層とを備え、透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域をに備えており、凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、3種類以上の異なる中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造から構成されてなり、前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
【選択図】図1
Description
(請求項1)
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
(請求項2)
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
(請求項3)
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)と凹凸構造(M3)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(M3)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M3)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
(請求項4)
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状のn個(nは1以上の整数)の凹凸構造(M1、M2、…、Mn)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
1≦i≦nである任意の整数iに対して、前記凹凸構造(Mi)の中心間距離は、凹凸構造(M(i+1))の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(Mn)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。
(請求項5)
セルの中に、各請求項記載のストライプ状の凸凹構造の他にピッチ間隔が、前記凸凹構造の中間的な値であり、深さが、前記凸凹構造と、ほぼ同じになるような凸凹構造も含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示体
(請求項6)
ストライプ状の凹凸構造の向きが異なる2以上の前記回折格子領域を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示体
(請求項7)
ストライプ状の凹凸構造の深さが異なる2以上の前記回折格子領域を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示体。
請求項2の発明によると、より広い範囲で、ほぼ一定の色で観察できる画像表示体を得ることができた。
請求項3の発明によると、より広い範囲で、ほぼ一定の色で観察できる画像表示体を得ることができた。
請求項4の発明によると、広い範囲で、ほぼ一定のおだやかな色で観察できる画像表示体を得ることができた。
請求項5の発明によると、画像が観察できる範囲で、より色変化の小さい画像表示体を得ることができた。
請求項6の発明によると、画像を形成する各セルからの回折光が格子の方向によって変わるため、表示体を面内で回転させたり横方向に傾けたりすると、観察できる画像が変化する。このため、おだやかな色で再生され、観察条件で画像が変化するような、画像表示体を提供することができた。つまり、観察条件の違いによって、画像のパターンが変化するような、画像表示体を提供することができた。
請求項7の発明によると、観察条件の違いによって、画像の色が変化するような、画像表示体を提供することができた。
図2は、図1に示す表示体に用いられている1つのセルを模式的に示した概要図である。このセルは、凹凸構造からなる回折格子により形成されている。セルを構成しているストライプ状の凹凸構造は、方向はセル内で同一であるが、ピッチ(中心間距離)が異なっている。
図3は、図2のセルの凹凸構造を点線に沿って切ったときの、断面を示す概要図である。透明な基材の上に凹凸構造の透明樹脂層が設けられている。さらに透明樹脂層の凹凸構造上に反射層が成膜されている。凸凹の形状は矩形に近いものとなっており、その深さはセル内全体で一定であるが、ピッチはセル内で部分ごとに異なるものとなっている。
また、樹脂層の例として、例えば、使用時に表示体の表面にキズが付いてしまうのを防ぐことを目的としたハードコート層や、表示体の一部に設ける、光や熱によって硬化する樹脂インキから成る印刷層を設けることもできる。
d=mλ/(sinα−sinβ) ・・・(式1)
矩形の凸凹形状がある場合、入射した光は、凸凹形状の部分で回折され、一部の光は正反射方向に進む光となり、別の一部は回折によって拡がる光となる。
表面の凸凹に関して、屈折率n、深さr、波長λとしたときに、内部の角度θで入射する照明光の山部と谷部で反射される光の光路差は、図5に示すように2rcosθとなる。そして、これらの光の位相差は、2π/λをかけた4πnrcosθ/λとなる。
この時に、位相差が2πの整数倍であれば、正反射方向の光の位相が揃うため、山部、谷部からの光の干渉によって正反射光(0次光)が強くなり、回折される光(1次光)の強度は弱くなる。
位相差が2πの整数倍+πであれば、正反射方向の光の位相が反対になるので、干渉によって正反射光が弱くなり、回折される光の強度は強くなる。
しかし、凸凹の深さがある程度深くなると、ある波長では位相差が2πの整数倍+πとなって回折する光が強くなり、別のある波長では位相差が2πの整数倍となって回折する光が弱くなる。このため、波長によって回折される光の強度が大きく違ってくることになるので、回折光全体として色がつくことになる。
凸凹の形状が矩形波の場合に、凸凹で回折されて拡がる光の強度は、樹脂内での照明光の角度θ、屈折率n、深さr、波長λとして、近似的に
{sin(2πnrcosθ/λ)}2
に比例する値となる。
このため、各波長に対する等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)を用いて
X=∫x(λ){sin(2πnrcosθ/λ)}2dλ
の式からXを計算し、同様にY、Zを計算していくことで、回折光の色を近似計算することができる。
0.10μm程度では、ほとんど白色であるが、0.15μmくらいで黄色系の色になり、その後、白を中心に回転するような形で色相が変化している。
このことから、色を出すために深さは0.15μm以上にする必要があると考えられる。
0.30μmまでの変化でほぼ1週し、一応の色彩表現は可能であるが緑系の色はかなり弱い。
同じように、色相が変化しているが、この場合には、緑も表現されているため、より良い色表現が可能となっている。
この場合、緑と紫は表現できているが、他の色の表現は乏しくなっている。
深さが、深くなると成形が難しくなるなどの問題も生じるため、0.50μm以上の深さにすることは、ほとんどメリットがない。
これらのことから深さは0.15μm〜0.50μmにしておくのが好ましく、更に好ましくは、0.15μm〜0.30μmにしておくのが良いと考えられる。
このため、一定のピッチの普通の回折格子の場合、例えば、図9に模式的に示したように、観察者の方向によって色が変化する。この図でAの方向から見たときには、赤色に、Bの方向から見たときには青色に見えることになる。なお、この図は、簡略化してRGB3色に分かれるように描いているが、実際には波長ごとに異なる方向に光が回折している。
ところで、(式1)から分かるように、回折光の方向は波長のみでなく、回折格子のピッチによっても変化する。それで、例えば、図10に模式的に示すように、違うピッチの回折格子を用いると回折光の方向が違ってくる。例えば、図10では、図9で青色に見えた方向から、赤色の回折光が観察されることになる。
このため、適切なピッチの3つの回折格子を組み合わせると、図11に示すように、ある位置からは、それぞれの回折光が赤、緑、青の色で見え、これらの組合せによる色が観察されることになる。
照明光の入射角度を30°としたときにRGBの波長が、610nm、530nm、460nmとなるようにピッチを1.22μm、1.06μm、0.92μmとし、樹脂の屈折率を1.5として、回折格子の深さが0.1〜0.3μmの間で0.01μmずつ変化した場合の色変化をシミュレーションした結果を図12に示す。
また、同様にして深さが、0.3〜0.5μmの間の色変化を図13に示す。
結果は、図6、図7に示した、回折光を全て合わせた場合の色変化とほぼ同じような色が得られる結果になっている。
図15には、観察角度を下方向に1°ずつ変えていったときの、色変化をシミュレーションした結果を示しているが、観察角度が2°下にいったところで、色が全体にシアン系のものになっている。上方向に観察角度を変えた場合も同様に2°程度で黄色系の色に変わる結果となり、観察角度は±1°程度でかなり狭くなっている。
この場合の例として、前述した条件に、1.4μmピッチの回折格子を加えた条件で、下方向に1°ずつ観察角度を変えたときの、色変化をシミュレーションした結果を図17に示す。この場合、若干の色の変化はあるものの下方向5°程度までは、色相も維持され、ほぼ色変化がない。この場合、上方向の1°と合わせて6°の範囲で観察が可能であり、若干観察範囲が狭いものの、方向による色変化のない回折像が観察できる。
図19に、さらに0.8μmピッチの回折格子を加えた条件で、±5°の範囲で観察する角度を変化した場合の色変化の様子を示す。この場合、この範囲内で、色相が維持されて、色変化が小さく抑えられており、約10°範囲で方向による色変化のない回折像が観察できている。
同様にして、ピッチの異なる回折格子を増やしていけば、さらに観察領域を広げることも可能である。
(式1)より、1次回折光で、照明光角度αと観察角度βが一定であるときに、回折格子のピッチdと、回折される光の波長λは比例することになる。
普通の観察条件では、同じ角度の照明光で、同じ位置から観察するので、R、G、Bの回折光を得るためには、それぞれの波長をλR、λG、λBとしたときに、回折光のピッチdR、dG、dBとの間に
λR:λG:λB=dR:dG:dB
の関係が成り立つ必要がある。
一方、図16などで、正面から見たときにR、Gの回折光が見えていた回折格子が、下方向から見るときには、G、Bとして観察されることから
λR:λG=dR:dG≒λG:λB=dG:dB
となるので、ピッチはほぼ一定の割合で変化させていく必要がある。
通常、Rとしては600〜630nmくらいの波長の光が、Gとしては520〜540nmくらいの波長の光が、Bとしては450〜470nmくらいの波長の光が用いられており、
λR /λG と λG/λR がほぼ同じになるようにすることから、これらの値としては0.85〜0.90くらいが良いと考えられるので、回折格子のピッチdも0.85〜0.90倍の比率で変化させていけば良いと考えられる。
これらのことから、0.85〜0.9となるような比率で回折格子のピッチを変化させた、3種類以上の異なるピッチの回折格子を用いれば、赤、緑、青が重なった白色に近い回折光を観察できる。
ここで、ピッチの変化する3種類の回折格子とは、ストライプ状の凹凸構造からなるセルの内部に設けられたピッチの異なる当該凹凸構造のことを指す。
この第1の実施形態では、本発明の表示体は、基材と、この基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、この透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備えている。
そして、透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、この凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されている。
ストライプ状の凹凸構造からなるセルの内部には、最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、凹凸構造(L)より小さく、凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M)の3種類の回折格子として機能する凹凸構造が設けられている。
凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲となる。
この場合、ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲とすることが好ましい。
さらに、0.85〜0.9となるような比率で回折格子のピッチを変化させた、4種類以上の回折格子を用いれば、ある程度(例えば5度程度)の範囲以上の観察角度から色変化のない回折光を観察できると考えられる。
この第2の実施形態では、本発明の表示体は、基材と、この基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、この透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備えている。
そして、透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、この凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されている。
この第2の実施形態において、ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)を含み、凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲である。
なお、5度の観察角度が不十分で、レインボウホログラムと同程度の10°くらいの観察角度が必要な場合には、さらに5種類以上のピッチの回折格子を用いることにより、十分な観察角度が確保できる。
この第3の実施形態では、本発明の表示体は、基材と、この基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、この透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備えている。
そして、透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、この凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されている。
この第3の実施形態において、ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)と凹凸構造(M3)を含むものである。
そして、凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(M3)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、凹凸構造(M3)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にある。
一例として、前述した5種類のピッチの回折効率と同じ1.4μmから0.8μmの間を、約半分の間隔に相当する約0.93倍ずつ変化した9種類のピッチの凹凸構造を1つのセル内に設けてもよい。
この場合の深さに対する回折光の色をシミュレーションした結果を図20に示す。R、G、B3色に分解した場合や、全体を合わせた場合と同様な結果が得られている。
また、この場合について、観察角度を変えた場合のシミュレーション結果を図21に示す。この場合も±5°の範囲で、ほぼ一定の色を示し、色変化の大きさはR、G、Bを用いた5色の場合よりも小さくなっている。
なお、この場合も6°以上の角度から観察すると色が大きく変化してしまい、一定の色に見える観察角度の範囲は、分割数とは関係なく、最大のピッチと最小ピッチによって決まっている。
以上のことから、本発明の表示体によれば、回折光はある程度の観察範囲において白色に近い色のまま変化せず、その色は格子の深さによって定まる特定の色になるという効果を奏した。
ところで、回折格子の場合、格子の方向と、照明光の正反射光の方向を含む面内に回折光が射出されることになるので、回折格子の方向が変わると回折光の射出方向が変化する。
表示体を面内で回転させたり、横方向に傾けたりすると、格子の方向が変化するので、回折光の射出方向が変化する。このため、観察者から見えるセルが変わり、画像が変化して見えることになる。
このため、本発明のような画像表示体を用いると、カラーの画像が表示でき、普通の観察条件で一定の色に見えながら、画像表示体を回転させるなど、観察条件を変化させることで画像が変化するようなものを提供することができる。
ただし、凸凹構造の断面形状が良くないと、深さが深くなるに従って、正反射光の強度が低下し、また回折される光の範囲も変化するため、色の違いが観察し難くなる。そのため、このような観点からはなるべく矩形に近い形状が良い。
特に、凸凹構造の山部、谷部からの光の干渉によって色がでていることから、凸凹構造の山部、谷部の形状の影響は大きく、できるだけ山部の上面部分、谷部の底面部分が平面と見なせるような形状にするのが良い。
また、干渉によって、強めあうときと打ち消しあうときとの差が大きくなるほうが、色がでやすいことから、凸凹構造の山部と谷部の面積がほぼ同一程度になっているほうが良い。
この図で、「イ」の文字に相当する部分は、縦方向を向いたストライプ状の凹凸構造からなる四角形のセルを格子状に複数ならべて構成されており、「ロ」の文字に相当する部分は、横方向を向いたストライプ状の凹凸構造からなる四角形のセルを格子状に複数ならべて構成されている。
このような画像表示体を、斜め上からの照明光で正面付近から観察する場合には、「イ」の部分からの回折光のみが観察者の目に入り、「ロ」の部分からの回折光は目に入らないので、「イ」という文字パターンのみが回折格子の深さによって定まる特定の色で観察されることになる。
表示体を横にして、同様に観察すると、今度は「ロ」の部分からの回折光のみが観察者の目に入り、「イ」の部分からの回折光は目に入らなくなるので、「ロ」という文字パターンのみが観察されることになる。
このため、このようにすると、観察条件の変化によって、画像パターンが変化するような画像表示体を得ることができる。
この図で、a、bともに、複数のピッチを持ち、それぞれのセル内では一定の深さになっているが、a、bで深さが異なっている。
例えば、図22のようなもので「イ」の文字を形成するセルを縦方向のaのような格子で、「ロ」の文字を形成するセルを横方向のbのような格子で形成しておく。
このような画像表示体を、普通に観察したときには、「イ」の文字が観察され、表示体を横にしたときには「ロ」の文字が観察されるが、それぞれの格子の深さが異なっているので、それぞれのセルからの回折光の色が異なり、「イ」「ロ」の文字は、違う色で観察されることになる。
このため、このようにすると、観察条件の変化によって、画像の色も変化するような画像表示体を得ることができる。画像の色変化があると、画像が変化していることが分かりやすく、視認性が高くなるという利点がある。
本発明で用いる画像表示体は、例えば、次のようにして作成することができる。
まず、乾板上にEBレジストを塗布する。
このときに、レジストの粘度や、スピンコーターの回転数を整えて、レジストの厚みが、本発明で用いるような深さ、例えば0.30μm程度になるようにする。
このようにして作成したレジスト乾板に、EB描画装置を用いて、複数のセルを並べたものの輪郭が、所定の画像を形成するように並んでいるようなパターンを描画する。この実施例において、セルは100μmの正方形とし、このセルの中に、5種類の異なった中心間距離を有する縦方向のストライプ状の凹凸構造を形成した。それぞれの凹凸構造の中心間距離がそれぞれ1.4μm、1.22μm、1.06μm、0.92μm、0.8μmとした。このようにして、パターンを記録した乾板を現像して、露光した部分が基材面まで凹むようにする。
なお、この際に、各凸凹構造の断面形状が側面部で少しだけ丸みを帯びたものの、ほぼ矩形形状となった。
このようにして作成した乾板に、蒸着によって導電層をつけて、これから電鋳することによって、乾板に記録された凸凹を金型として複製する。
次に、別の乾板上に、レジストの厚みが、例えば0.25μm程度になるように、EBレジストを塗布する。
この乾板上に、横方向の回折格子によるセルが、別の画像を形成しているようなパターンを描画する。
この乾板から、前の乾板と同様な作業で、凸凹構造を金型として複製する。
透明なフィルム上にUV樹脂をたらして、作成金型を密着させてフィルム面からUV光を照射することによって、一枚目の金型上の凸凹構造をフィルム上に複製する。
次に、同様にして、同じフィルム上の少し違う位置に二枚目の金型上の凸凹構造を複製する。
このようにして作成したフィルム上の凸凹構造面の上にアルミを蒸着する。
このようにして作成したものを、フィルム面側から観察すると、普通に見ると縦方向の格子を用いたセルによるパターンが黄色の画像として観察でき、横にすると横方向の格子を用いたセルによるパターンが、青色の画像として観察することができた。
このため、レインボウホログラムと比べて、画像の違いを判別し易く、またデザインし易い画像表示体となるため偽造防止用の画像表示体として利用できた。
2画像表示体
3回折格子
10透明基材
11透明樹脂
12反射層
13矩形に近い凸凹構
21山部で反射された光
22谷部で反射された光
31白色照明光
32回折格子
34観察者(A)
35観察者(B)
Claims (7)
- 基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。 - 基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。 - 基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(M1)と凹凸構造(M2)と凹凸構造(M3)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M1)の中心間距離は、凹凸構造(M2)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M2)の中心間距離は、凹凸構造(M3)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(M3)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。 - 基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に設けられ、前記基材と接する面と反対側の面に設けられた透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記基材と接する面とは反対側に設けられた反射層とを備え、
前記透明樹脂層は、凹凸構造の設けられた回折格子領域を少なくとも一部に備えており、
前記凹凸構造の設けられた回折格子領域は、複数の、ストライプ状の凹凸構造からなるセルが、それぞれの凹凸構造の向きが揃うように配置されて構成されており、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルは、
最も大きい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(L)、
最も小さい中心間距離を有するストライプ状の凹凸構造(S)、
前記凹凸構造(L)より小さく、前記凹凸構造(S)より大きい中心間距離を有するストライプ状のn個(nは1以上の整数)の凹凸構造(M1、M2、…、Mn)を含み、
前記凹凸構造(S)の中心間距離は、凹凸構造(M1)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
1≦i≦nである任意の整数iに対して、前記凹凸構造(Mi)の中心間距離は、凹凸構造(M(i+1))の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記凹凸構造(Mn)の中心間距離は、凹凸構造(L)の中心間距離に対して85%〜90%の範囲であり、
前記ストライプ状の凹凸構造からなるセルの凹凸構造の深さは、セル内でほぼ一定で、かつ0.15〜0.50μmの範囲にあることを特徴とする画像表示体。 - セルの中に、各請求項記載のストライプ状の凸凹構造の他にピッチ間隔が、前記凸凹構造の中間的な値であり、深さが、前記凸凹構造と、ほぼ同じになるような凸凹構造も含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示体。
- ストライプ状の凹凸構造の向きが異なる2以上の前記回折格子領域を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示体。
- ストライプ状の凹凸構造の深さが異なる2以上の前記回折格子領域を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示体。
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