JP5316231B2 - 表示体及び情報印刷物 - Google Patents
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しかし、近年ではブランド品などの偽造品対策で使われるホログラムは、ホログラム自体を偽造する技術が高度化し、従来から使用されていた技術によるホログラムは、比較的容易に偽造や模造が可能となり、偽造防止効果としての機能が弱くなっている。そこで、従来の技術とは明確に差別化でき、偽造・模造が困難な表示体及びこれを用いた情報印刷物が開発されている。
請求項3の発明は、請求項2記載の表示体において、前記微粒子は気泡、アルミニウム、銀、金、クロム、銅、ニッケルの何れか1つまたはこれらを複数混合したものであることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4に何れか記載の表示体において、前記凹部同士または凸部同士または凹部と凸部のピッチが200nm以上400nm以下であり、前記凹部の深さまたは前記凸部の高さが200nm以上450nm以下であることを特徴とする。
また、凹部同士または凸部同士または凹部と凸部のピッチが200nm乃至350nmの範囲にある場合には、可視光の赤は回折光として生じず、緑や青だけを表示することが可能になる。また、350nm乃至400nmの範囲にある場合では、赤、緑、青が回折される。したがって、凹部同士または凸部同士または凹部と凸部のピッチが異なる領域を設けることにより、射出する回折光が変化することで真偽判定ができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
以下、本発明の実施の形態1について図1乃至図6を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
レリーフ構造部11は、観察する角度により明度及び彩度の低い色の表示と回折光射出の2つの機能を選択的に実現させるもので、図2に示すように、基材12の反対の面12bから基材12の厚さ方向に凹状の円錐形状を呈する凹部11aを反対の面12bに沿い予め決められたピッチPでマトリクス状に配列し形成することにより構成される。また、各凹部11aの反対の面12bからの深さがHである。
基材12は、光を散乱するための気泡を含有しない非散乱性領域12cと光を散乱するための気泡15を含有する散乱性領域12dで構成されている。このような基材12は、例えば光透過性のフィルムにグラビア印刷で気泡を含有した樹脂と含有していない樹脂を2回にわけて塗工することにより作製する。また、基材12の反対の面12bで、レリーフ構造部11の表面及びレリーフ構造部11を除く反対の面12bである平坦領域13には光反射層14が形成されている。この光反射層14は、一方の面12aから入射し凹部11aの界面及び非レリーフ構造部である平坦領域13の界面を透過した照明光を一方の面12a側へ反射させるためのものである。
また、基材12を構成する材料も特に指定するものではなく、可視光において光を透過すればよく、透明樹脂などの材料を使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂を使用し、金型を用いた転写により凹部11aを形成できる。
光反射層14は、例えばアルミニウム、銀、金等の金属材料からなる金属層からなり、これら金属層は基材12に対して屈折率が異なる誘電体層を一層ないし複数層設けるのが高い反射率が得られるので好適である。また、それら金属層は、蒸着やスパッタリング等の薄膜形成技術により形成することができる。
ここで「所定の角度」とは、照明光からの光が表示体10の光入射面である基材12の一方の面12aに向け斜め上方から急な角度を持っていることを意味する。また「所定の位置」とは観察者が回折光を観察できる位置を意味する。
数式[1]から明らかなように、1次回折光の射出角βは、波長λに応じて変化する。すなわち、凹部(または凸部)からなるレリーフ構造部11は、分光器としての機能を有している。したがって、照明光が白色光である場合、凹部からなるレリーフ構造11の領域の観察角度を変化させると、観察者が知覚する色が変化する。
上記数式[1]において、350nmのピッチでは、基材12の光入射面である一方の面12aに対して89°の照明光の場合、700nmの波長の光が89°方向へ回折することになるので、実質的に赤色光については、あらゆる照明条件下で十分な強度の回折光が凹部11a(または凸部)から表示体の正面方向に発生することがなくなる。
一方、200nmのピッチでは、基材12の光入射面である一方の面12aに対して89°の照明光の場合、400nmの波長の光が89°方向へ回折することになるので、青色光が回折される下限であることが分かる。
凹部の最適な深さ差において、情報記録体を表面から見たときの黒さを表現するには少なくとも200nm以上で深いほど望ましいが、500nmを超えると樹脂の成形が難しく適さない。よって、凹部の深さ(または凸部の高さ)は200nm乃至400nm程度が望ましい。
また、表示体10をステッカー、転写箔などの媒体とし、情報印刷物などに容易に添付することで、添付した情報印刷物の偽造防止効果の向上、真偽判定の容易さを向上させることができる。
図7に示す表示体10は、レリーフ構造部11を有する領域とレリーフ構造部11を有しない平坦領域13で構成されている。上記レリーフ構造部11を構成する凹部11aは凹状の円錐形状であり、この凹部(または凸部)が平面方向にマトリックス状に配列することで構成される。
また、図7及び図8において、基材12の散乱性領域24aには、この散乱性領域24aにおける基材12の体積の30%の気泡15が含有しており、気泡15の大きさは10μmである。また、基材12の非散乱性領域24cには気泡が含まれておらず、基材12の散乱性領域24bには、この散乱性領域24aにおける基材12の体積の5%の気泡15が含有しており、気泡の大きさは10μmである。
上記と同様に所定の角度で表示体10を照明し、所定の位置で観察すると、レリーフ構造部の領域では回折光が見える。レリーフ構造のない平坦領域13では回折光は観察できない。つまり、正面から表示体を観察すると、基材12の散乱性領域24a、24bは、散乱光が観察され白く見え、レリーフ構造11を有する基材12の非散乱性領域24cでは低反射性、低散乱性及び光反射層によって入射光は吸収されるため黒く見える。また、所定の角度から照明光を入射させると、レリーフ構造部11では、回折光が射出されるため「T」「●」「P」を所定の位置から視認することが可能である。
また、レリーフ構造部を構成する凹部は凹状の円錐形状のものに限らず、凹状の円柱状、截頭円錐柱状、四角錐柱状、半楕円柱状を呈するもの、またはこれら形状のものを組合わせた形状のもの、またはこれらを変形させた形状を有していてもよい。また、レリーフ構造部を構成する凸部は、凸状の円柱状、截頭円錐柱状、四角錐柱状、半楕円柱状を呈するもの、またはこれら形状のものを組合わせた形状のもの、またはこれらを変形させた形状を有していてもよい。
Claims (7)
- 一方の面を光入射及び光射出面とする光透過性の基材と、
前記基材の前記一方の面と反対の面の一部に回折用の凹部及び凸部の何れか一方または両方を予め決められたピッチで配列形成され、かつ前記凹部の深さまたは前記凸部の高さが予め決められ、低反射性及び低散乱性を有するレリーフ構造部と、
前記反対の面で前記レリーフ構造部の全部または一部の表面、及び前記レリーフ構造部を除く前記反対の面に形成された、金属層からなる複素屈折率の光反射層とを備え、
前記基材は、光を散乱する散乱性領域と光を散乱しない非散乱性領域とが混在し、
前記一方の面の鉛直方向からから照明光を入射して前記基材を前記一方の面の鉛直方向から観察した場合に前記レリーフ構造を有する前記基材の前記散乱性領域が白く見えるように、かつ前記レリーフ構造の低反射性及び低散乱性と前記光反射層の複素屈折率による入射光の吸収作用によって前記レリーフ構造を有する前記基材の前記非散乱性領域が黒く見えるように構成され、
前記一方の面に対し所定の角度で斜め上方から照明光を入射して前記凹部及び凸部からの回折光が視認できる方向から前記一方の面を観察した場合に、前記レリーフ構造が視認されるように構成されている、
ことを特徴とする表示体。 - 前記光の散乱性は、前記基材の内部に該基材を構成する物質と異なる屈折率の微粒子を分散することで発揮されることを特徴とする請求項1記載の表示体。
- 前記微粒子は気泡、アルミニウム、銀、金、クロム、銅、ニッケルの何れか1つまたはこれらを複数混合したものであることを特徴とする請求項2記載の表示体。
- 前記微粒子の大きさが10μm以上100μm以下であり、前記微粒子の含有量が前記基材の体積の5%以上40%以下であることを特徴とする請求項2または3記載の表示体。
- 前記凹部同士または凸部同士または凹部と凸部のピッチが200nm以上400nm以下であり、かつ前記凹部の深さまたは前記凸部の高さが200nm以上450nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載の表示体。
- 前記レリーフ構造部は前記凹部及び凸部の何れか一方または両方を一定のピッチでマトリクス状に配列することで構成されることを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載の表示体。
- 印刷物基材と、
前記印刷物基材の表面の少なくとも一部の領域に設けられた請求項1乃至6記載の表示体を備える、
ことを特徴とする情報印刷物。
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