JP2003315518A - 回折光学素子 - Google Patents

回折光学素子

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JP2003315518A
JP2003315518A JP2002117437A JP2002117437A JP2003315518A JP 2003315518 A JP2003315518 A JP 2003315518A JP 2002117437 A JP2002117437 A JP 2002117437A JP 2002117437 A JP2002117437 A JP 2002117437A JP 2003315518 A JP2003315518 A JP 2003315518A
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grating
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JP2002117437A
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Katsuhide Aramo
勝秀 新毛
Kenichi Nakama
健一 仲間
Yukinari Sekiguchi
幸成 関口
Naoko Hikichi
奈緒子 引地
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 素子本体の溝構造を補正して、必要な格子形
状が得られ、必要な光学性能を発現できるようにする。 【解決手段】 多数の溝が形成されて格子を構成してい
る素子本体30と、その格子面に斜め方向から材料粒子
を入射させて付着堆積させた格子整形層32を具備し、
格子整形層自体が反射膜材料からなる回折光学素子であ
る。格子整形層によって、格子面の溝長手方向に垂直な
断面での輪郭形状と素子本体の断面形状とが非相似形の
関係となる。他の材料からなる格子整形層38の上に反
射膜40を形成してもよい。素子本体上に反射膜を設
け、その上に透明誘電体からなる格子整形層を設けても
よい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多数の溝が形成さ
れて格子を構成している素子本体に格子整形層を付着堆
積させた構造の回折光学素子に関し、更に詳しく述べる
と、付着堆積させた格子整形層によって光学的な形状を
変更したり、所望の光学特性を発現させた回折光学素子
に関するものである。この回折光学素子は、例えば波長
多重光通信における分波器などに有用である。
【0002】
【従来の技術】回折光学素子は、周知のように、光の回
折を利用した光学部品であり、典型的な例は、素子本体
上に等間隔で多数の平行な溝を形成して格子を構成して
いる。このような回折光学素子は、例えば波長多重光通
信において、波長多重光から任意の波長の光を取り出す
分波器などとして用いられる。回折光学素子の製法は様
々であるが、その一つに転写成形法がある。これは、元
型(成形型)の周期的な溝構造を転写することでレプリ
カ(複製品)を成形し、それを回折光学素子とする製造
方法である。反射型回折光学素子の場合には、成形体の
格子面に反射膜を成膜する。
【0003】元型表面の周期的な溝構造は、例えばルー
リングエンジンにより切削加工する方法、基板に塗布し
た光硬化樹脂を干渉露光し、その後、パターン付き樹脂
ごと基板をドライエッチングする方法、ガラス基板のド
ライエッチングあるいはシリコン基板のウエットエッチ
ングなど任意の方法で形成する。溝の形成密度は、例え
ば1mm当たり数百〜千数百本程度である。転写成形法に
よる回折光学素子は、型抜きするという製法上の物理的
な制約から溝形状に一定の制限があり、また溝の深さ
は、溝形状にもよるが400nm〜600nmが限界とされ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような転写成形法
は量産性に優れている利点がある。その反面、転写成形
後に元型に形状的な不備が見つかった場合には、元型を
新規に作製し直す必要があり、元型製作に長期間を要す
るという問題があった。その理由は、微細な形状の変更
を伴うため、切削などの追加工で溝形状を修正すること
は極めて困難だからである。
【0005】また、既存の回折光学素子に対して、所望
の光学特性が僅かに異なる回折光学素子を作製する場合
でも、必要な光学特性毎に新規に元型を作製する必要が
あった。これも、元型をベースとして追加工する技術が
無かったからである。
【0006】本発明の目的は、素子本体の形状補正によ
り、必要な格子形状が得られ、所望の光学性能を発現さ
せうる回折光学素子を提供することである。本発明の他
の目的は、光学的な形状を変更したり、所望の光学特性
に調整できる回折光学素子を提供することである。本発
明の更に他の目的は、S偏光とP偏光の回折効率を同程
度にでき偏光状態に依存しない光学特性を有する回折光
学素子を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面に多数の
溝が等間隔で形成されて格子を構成している素子本体
と、該素子本体の格子面に斜め方向から材料粒子を入射
させて付着堆積させた格子整形層を具備し、格子整形層
自体が反射膜材料からなり、格子面の溝長手方向に垂直
な断面での輪郭形状と素子本体の断面形状とが非相似形
の関係にあることを特徴とする回折光学素子である。
【0008】また本発明は、表面に多数の溝が等間隔で
形成されて格子を構成している素子本体と、該素子本体
の格子面に斜め方向から材料粒子を入射させて付着堆積
させた格子整形層と、その上に成膜した反射膜を具備
し、格子面の溝長手方向に垂直な断面での輪郭形状と素
子本体の断面形状とが非相似形の関係にあることを特徴
とする回折光学素子である。
【0009】これらによって、溝を深くしたり、あるい
は溝形状を制御することが可能となる。従って、元型に
形状的な不備が見つかった場合でも、比較的容易に修正
できるし、光学性能の微調整なども可能となる。素子本
体の格子面に対して、斜め方向に両側から材料粒子を入
射させて格子整形層を付着堆積させると、片側からの場
合よりもより一層溝を深くするような形状制御が行え
る。材料粒子の付着堆積は、方向性をより一層制御でき
るように、蒸着法によるのが望ましい。
【0010】また本発明は、表面に多数の溝が等間隔で
形成されて格子を構成している素子本体と、該素子本体
の格子面上に成膜した反射膜と、該反射膜上に斜め方向
から材料粒子を入射させて付着堆積させた格子整形層を
具備し、該格子整形層が透明誘電体材料からなり、格子
面の溝長手方向に垂直な断面での輪郭形状と素子本体の
断面形状とが非相似形の関係にあることを特徴とする回
折光学素子である。
【0011】更に本発明は、表面に多数の溝が等間隔で
形成されて格子を構成している素子本体と、該素子本体
の格子面上に成膜した反射膜と、該反射膜上に斜め方向
から材料粒子を入射させて付着堆積させた格子整形層
と、該格子整形層上に設けた透明誘電体層を具備し、格
子面の溝長手方向に垂直な断面での輪郭形状と素子本体
の断面形状とが非相似形の関係にあることを特徴とする
回折光学素子である。
【0012】また本発明は、表面に多数の溝が等間隔で
形成されて格子を構成している素子本体と、該素子本体
の格子面上に斜め方向から材料粒子を入射させて付着堆
積させた格子整形層と、該格子整形層上に成膜した反射
膜と、該反射膜上に設けた透明誘電体層を具備し、格子
面の溝長手方向に垂直な断面での輪郭形状と素子本体の
断面形状とが非相似形の関係にあることを特徴とする回
折光学素子である。
【0013】これらによって、光学的な形状を変更した
り、所望の光学特性に調整できる。従って、既存の素子
本体を利用して、所望の光学特性(偏光特性や反射率な
ど)をもつ回折光学素子を作製することが可能となる。
透明誘電体層としては屈折率の高い材料を用いることが
好ましく、S偏光とP偏光の回折効率を同等となるよう
に調整するには、その膜厚を使用波長の約1/4に設定
するのがよい。その場合、透明誘電体としては屈折率が
高い材料が好ましい。
【0014】なお上記の構成において、格子整形層の他
に別途反射膜を形成する構成では、反射膜は、通常、そ
の膜厚を薄く均一に成膜するが、不均一でもよい。膜厚
が不均一とは、格子面の溝長手方向に垂直な断面での輪
郭形状において、凸部の頂部付近が厚くなっている場合
や、溝の片方の側面が厚くなっている場合などを意味し
ている。
【0015】素子本体としては、例えば表面に多数の溝
が転写成形されているゾルゲルガラス組成物がガラス基
板と一体的に設けられている構造は、樹脂などに比べて
耐熱性が良好なので好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】素子本体表面の多数の溝によって
構成される格子は、典型的にはゾルゲル材料を用いて転
写成形法により形成する。この転写成形方法は、例えば
特開2001−9843公報に開示されているのと同様
の方法であってよい。図4により簡単に説明する。Aに
示すように、まず、ガラス基板10の表面に一定厚みで
ゾルゲルガラス材料12を塗布した素板14を用意す
る。他方、成形面(素板対向面)に等間隔で多数の平行
な溝を形成した元型16(成形型)を用意する。元型1
6は、前述したように、例えばガラス基板のドライエッ
チング、シリコン基板のウエットエッチング、エポキシ
などの樹脂基板の成形など、任意の素材、任意の方法で
製作したものでよい。元型の溝断面形状も任意であり、
サイン波形状でもよいし、凸部の頂部が平坦で凹部(底
部)がサイン曲線やV型の形状、三角波形状などでもよ
い。但し、型抜き可能な形状である必要があるため、溝
の深さは600nm程度以下、より好ましくは400nm程
度以下とする。溝の形成密度は、必要な光学的な特性
上、1mm当たり数百〜千数百本程度(例えば900本/
mm)である。
【0017】ゾルゲルガラス材料(ゲル膜)12に対し
て、真空に保たれているプレス成形機中で元型16を一
定時間押圧させながら加熱しゲル膜を硬化させる。その
後、プレス成形機内を大気圧に戻し、ゾルゲルガラス材
料12から元型16を離間させる(図4のB参照)。こ
れによって、元型16の溝形状がゾルゲルガラス材料1
2に転写される。その後、熱処理して縮重合させること
で、ガラス基板10と一体になったゾルゲルガラス組成
物となる。このようにして、所望の溝形状の格子を有す
る素子本体が得られる。
【0018】本発明では、このような表面に多数の溝が
等間隔で形成されて格子を構成している素子本体の格子
面に、斜め方向から材料粒子を入射させて付着堆積させ
た格子整形層を有する。例えば図5に示すように、素子
本体20の格子面22に対して、ある成膜傾斜角をもっ
て斜め蒸着させる。素子本体を、スパッタターゲットに
対して傾斜させて成膜してもよい。成膜は、格子面に対
して両側から行ってもよいし、片側のみから行ってもよ
い。
【0019】図1のA〜Cは、本発明に係る回折光学素
子の例を示す拡大説明図である。Aは、素子本体30の
溝形状(溝の長手方向に垂直な断面形状)がサイン波状
をなし、その格子面に斜め方向に両側から反射膜材料粒
子を入射させて格子整形層32を付着堆積させた例であ
る。Bは、素子本体34の溝形状が、凸部はサイン波状
で、凹部(底部)は平坦形状をなし、その格子面に斜め
方向に両側から反射膜材料粒子を入射させて格子整形層
36を付着堆積させた例である。従って、いずれの例
も、格子整形層32,36は左右対称な形状をなし、格
子整形層自体が反射膜を構成している。Cは、素子本体
34の溝形状が、凸部はサイン波状で、凹部(底部)は
平坦形状をなし、その格子面に斜め方向に両側から材料
粒子を入射させて格子整形層38を付着堆積させ、更に
その上に別に反射膜40を成膜した例である。この場合
には、格子整形層38として、反射率の低い、あるいは
非反射性の材料を用いることができる。これらA〜Cの
いずれの例も、格子面の溝長手方向に垂直な断面での輪
郭形状と素子本体の断面形状とが非相似形の関係にあ
り、溝深さが深くなるように形状修正できる。
【0020】次に図2のA〜Cは、本発明に係る回折光
学素子の他の例を示す拡大説明図である。Aは、素子本
体30の溝形状がサイン波状をなし、その格子面に斜め
方向に片側から材料粒子を入射させて格子整形層42を
付着堆積させた例である。Bは、素子本体34の溝形状
が、凸部はサイン波状で、凹部(底部)は平坦形状をな
し、その格子面に斜め方向に片側から材料粒子を入射さ
せて格子整形層44を付着堆積させた例である。Cは、
素子本体46の溝形状が左右非対称の三角波状をなし、
その格子面に斜め方向に片側から材料粒子を入射させて
格子整形層48を付着堆積させた例である。格子整形層
自体を反射膜材料で構成してもよいし、予め素子本体上
に均一膜厚の反射膜を形成しておいてから、反射膜材料
で格子整形層を構成してもよい。あるいは、格子整形層
の上に反射膜を成膜してもよい。これらA〜Cのいずれ
の例も、格子面の溝長手方向に垂直な断面での輪郭形状
と素子本体の断面形状とが非相似形の関係にあり、溝形
状自体を変形できる。容易に必要な形状が得られ、必要
な光学性能を発現させることができる。
【0021】図3のA,Bは、本発明に係る回折光学素
子の更に他の例を示す拡大説明図である。Aでは、素子
本体34の溝形状が、凸部はサイン波状で、凹部(底
部)は平坦形状をなし、その格子面に均一膜厚の反射膜
48を形成する。その上に、斜め方向に片側から材料粒
子を入射させて格子整形層50を付着堆積させる。この
格子整形層50は透明誘電体材料からなる。Bでも、素
子本体34の溝形状が、凸部はサイン波状で、凹部(底
部)は平坦形状をなし、その格子面に均一膜厚の反射膜
48を形成する。その上に、斜め方向に片側から材料粒
子を入射させて格子整形層52を付着堆積させる。ここ
で格子整形層52は反射膜材料からなる。透明誘電体材
料でもよい。その上に、透明誘電体層54を形成する。
これらの構成では、光学的な形状を変更したり、所望の
光学特性に調整できる。透明誘電体層54の膜厚を使用
波長のほぼ1/4とすることで、S偏光とP偏光の回折
効率を同程度にでき偏光状態に依存しない光学特性を発
現させることができる。
【0022】図3のBでは、格子面に均一膜厚の反射膜
を形成し、その上に、斜め方向に片側から材料粒子を入
射させて格子整形層を付着堆積させたが、格子面に斜め
方向に片側から材料粒子を入射させて格子整形層を付着
堆積させ、その上に、均一膜厚の反射膜を形成してもよ
い。格子整形層が反射膜材料の場合は、反射膜と格子整
形層の成膜順序を入れ換えても、結果的に図3のBと同
様の形状が得られるので、同様の光学特性が得られる。
【0023】基板の材質については特に制限はなく、誘
電体、金属、半導体などいずれでもよい。光学特性につ
いても、透光性でも不透光性でも構わない。また、格子
形状としては、転写成形できる形状が好ましく、格子面
の断面はサイン波形状でも非対称形状でも構わない。な
お、矩形などのように溝の側面が基板に対して垂直の形
状あるいは90度以上の形状は転写成形が困難もしくは
不可能なため、90度未満のサイン波を含む形状や三角
波形状などが好ましい。
【0024】表面に多数の溝が等間隔で形成されて格子
を形成している素子本体は、格子の凸部が非連続に形成
されていても、連続に形成されていても構わない。な
お、転写成形法は安価で量産向きであることから、凸部
が独立している形状よりも連続している形状がより好ま
しい。また、格子面を形成する材質も特に制限はなく、
誘電体、金属、半導体、樹脂等、如何なる材質でもよ
い。より安価な製造プロセスを考慮すると、転写成形可
能な材質である樹脂やゾルゲル材料が好ましい。格子面
上に形成される格子整形層は、格子面の全面を覆う必要
はなく、格子面の一部に格子整形層が形成されていない
状態でもよい。被膜による整形状態をより強調したい場
合には、このような状態の方が好ましい。
【0025】なお本発明における「回折光学素子」と
は、通常の回折格子単体のみならず、回折格子を組み込
んで構成した光学部品も含むものである。
【0026】
【実施例】(実施例1)エポキシ樹脂製の元型の格子面
上にAl/Cr/Pt/Auの剥離膜を成膜した。メチ
ルトリエトキシシラン及び酸水溶液を主成分とするゾル
液をガラス基板に塗布し、得られたゲル膜が軟らかい状
態のときに、真空中で前記元型を押し当てた。そして約
60℃で保持し、ゲル膜を硬化させた。その後、プレス
成形機内部を大気圧に戻し、元型をゲル膜から離型し、
熱処理した。このように作製した素子本体に、反射膜と
してAuを均一な膜厚に垂直方向から成膜し、光学特性
を評価した。その後、斜め蒸着でAuを成膜した。成膜
傾斜角は、図5に示すように、格子面と材料入射方向と
のなす角度であり、5°,25°,45°と変えて10
0nm厚となるように片側から成膜した。なお、ここで成
膜傾斜角は、蒸着源からの位置で制御している。得られ
た回折光学素子は図2のBに示すような構造となる。格
子整形層はAuであり、反射膜材料である。
【0027】様々な格子形状の7種類の試料についての
光学特性の評価結果を表1に示す。表1中、成膜前と
は、斜め蒸着前ということであり、最初の均一な膜厚の
反射膜のみの状態での測定結果である。
【0028】
【表1】
【0029】この結果から、均一な反射膜上に、斜め蒸
着により格子整形層(Au)を成膜することで、格子形
状を変化させ、回折効率及びその偏光特性を制御できる
ことが明らかとなった。格子形状の変化を大きくするに
は成膜傾斜角を25°程度とすることが好ましい。ま
た、成膜傾斜角が45°の場合は、形状変化が少ないた
め効率の変化幅が小さくなっており、そのことから逆に
微調整に利用できることが分かる。
【0030】(実施例2)実施例1と同様に製作した素
子本体を、スパッタターゲットに対して傾斜させて設置
し、まず片側からCrを膜厚30nmに成膜した後、それ
とは逆方向から同じ角度傾斜させてCrを膜厚30nmに
成膜し、それらを格子整形層とした。なお成膜傾斜角
は、30°と60°の2種類とした。この格子整形層の
上に反射膜としてAuを垂直方向から50nm厚で成膜し
た。このようにして製作した回折光学素子は、図1のC
に示すような構造となる。これらの回折光学素子につい
て、光学特性を測定した後、SEM(走査電子顕微鏡)
にて断面形状を評価した。評価結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】成膜傾斜角を変えて格子整形層を成膜する
ことで、偏光別の回折効率を変化させることができた。
特に、成膜傾斜角を60°とすることにより、SP両偏
光の回折効率を増大させることができた。これは、SE
M評価から明らかなように、成膜傾斜角度をつけたこと
により溝深さ及び溝形状を制御したことによるものであ
る。このように格子整形層によって、光学特性を制御で
きることが分かる。また、両側から傾斜させて格子整形
層を成膜することで、片側からのみ成膜した場合に比し
溝深さをより一層深く形状修正することができることも
判明した。
【0033】(実施例3)実施例1と同様に製作した素
子本体を、蒸着源に対して45°傾斜させて格子整形層
を成膜した。膜構成は、Al/SiO2 を膜厚100/
280nmで成膜した場合と、Al/SiO2 /TiO2
を膜厚100/280/170nmで成膜した場合であ
る。これらは図3のAに示すような構造となる。比較例
として、Auを垂直方向に膜厚50nmに成膜した。これ
らの回折光学素子の光学特性を評価した。結果を表3に
示す。
【0034】
【表3】
【0035】表3から分かるように、比較例のAuのみ
成膜した回折光学素子は、S偏光回折効率がP偏光回折
効率より2倍以上高い。それに対して、誘電体膜を測定
波長である1550nmの約1/4に膜厚を設定(光学長
換算)した場合は、S偏光とP偏光の回折効率をほぼ一
致させることができた。また、誘電体膜の構成を変更
し、屈折率の高いTiO2 を表面に設けることで回折効
率を10%以上増加させることができた。
【0036】成膜時の蒸着源の位置を、光学特性評価時
の入射方向と同方向に設定し、膜厚を各入射波長のλ/
4付近に設定した誘電体膜(格子整形層)を金属膜(反
射膜)上に成膜することで、従来の金属単層膜成膜構造
に比較し、SP各偏光間での回折効率差を著しく低減で
きた。この結果は、有限要素法を用い、電磁波解析を行
った結果と傾向が一致する。
【0037】(実施例4)エポキシ樹脂製の素子本体に
Alを成膜し、それをスパッタターゲットに対して45
°傾斜させてSiO2 を膜厚280nm成膜し、光学特性
を評価した。比較のために、Al膜のみの場合について
も光学特性を評価した。その結果を表4に示す。
【0038】
【表4】
【0039】この結果から、ゾルゲルガラス以外の材料
からなる回折光学素子に対しても、即ち素子本体の材料
に依らずに偏光別回折効率差を抑制できることが明らか
となった。但し、エポキシ樹脂の耐熱性を考慮してスパ
ッタ法を用いたため、指向性が低く、効率差の抑制効果
は蒸着の場合に比較して劣っている。
【0040】
【発明の効果】本発明は上記のように、素子本体の格子
面に、斜め方向に材料粒子を入射させることで格子整形
層を付着堆積させた回折光学素子であるから、格子整形
層によって素子本体の溝形状を修正したり、溝深さをよ
り一層深くしたり、所望の光学特性を発現させることが
できる。
【0041】また、素子本体の格子面に付着堆積させた
格子整形層の材料及び膜厚を制御することによって、光
学的な形状を変更したり、所望の光学特性(偏光あるい
は反射率)に調整できる。例えば、S偏光とP偏光の回
折効率を同程度にでき、偏光状態に依存しない光学特性
を発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回折光学素子の例を示す拡大説明
図。
【図2】本発明に係る回折光学素子の他の例を示す拡大
説明図。
【図3】本発明に係る回折光学素子の更に他の例を示す
拡大説明図。
【図4】素子本体の製造方法の説明図。
【図5】斜め蒸着の説明図。
【符号の説明】
30,34 素子本体 32,36,38 格子整形層 40 反射膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関口 幸成 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 引地 奈緒子 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 Fターム(参考) 2H049 AA03 AA07 AA31 AA33 AA37 AA44 AA51 AA59 AA63 AA64

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に多数の溝が等間隔で形成されて格
    子を構成している素子本体と、該素子本体の格子面に斜
    め方向から材料粒子を入射させて付着堆積させた格子整
    形層を具備し、格子整形層自体が反射膜材料からなり、
    格子面の溝長手方向に垂直な断面での輪郭形状と素子本
    体の断面形状とが非相似形の関係にあることを特徴とす
    る回折光学素子。
  2. 【請求項2】 表面に多数の溝が等間隔で形成されて格
    子を構成している素子本体と、該素子本体の格子面に斜
    め方向から材料粒子を入射させて付着堆積させた格子整
    形層と、その上に成膜した反射膜を具備し、格子面の溝
    長手方向に垂直な断面での輪郭形状と素子本体の断面形
    状とが非相似形の関係にあることを特徴とする回折光学
    素子。
  3. 【請求項3】 表面に多数の溝が等間隔で形成されて格
    子を構成している素子本体と、該素子本体の格子面上に
    成膜した反射膜と、該反射膜上に斜め方向から材料粒子
    を入射させて付着堆積させた格子整形層を具備し、該格
    子整形層が透明誘電体材料からなり、格子面の溝長手方
    向に垂直な断面での輪郭形状と素子本体の断面形状とが
    非相似形の関係にあることを特徴とする回折光学素子。
  4. 【請求項4】 表面に多数の溝が等間隔で形成されて格
    子を構成している素子本体と、該素子本体の格子面上に
    成膜した反射膜と、該反射膜上に斜め方向から材料粒子
    を入射させて付着堆積させた格子整形層と、該格子整形
    層上に設けた透明誘電体層を具備し、格子面の溝長手方
    向に垂直な断面での輪郭形状と素子本体の断面形状とが
    非相似形の関係にあることを特徴とする回折光学素子。
  5. 【請求項5】 表面に多数の溝が等間隔で形成されて格
    子を構成している素子本体と、該素子本体の格子面上に
    斜め方向から材料粒子を入射させて付着堆積させた格子
    整形層と、該格子整形層上に成膜した反射膜と、該反射
    膜上に設けた透明誘電体層を具備し、格子面の溝長手方
    向に垂直な断面での輪郭形状と素子本体の断面形状とが
    非相似形の関係にあることを特徴とする回折光学素子。
  6. 【請求項6】 素子本体は、表面に多数の溝が転写成形
    されているゾルゲルガラス組成物を有する請求項1乃至
    5のいずれかに記載の回折光学素子。
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