JP2014130764A - 絶縁シート、配線基板、タッチパネル - Google Patents

絶縁シート、配線基板、タッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、銀を含む金属配線層上に貼り付けられ、金属配線層間の銀のイオンマイグレーションを抑制することができ、着色の発生が抑制された絶縁シートを提供することを目的とする。
【解決手段】マイグレーション防止剤および絶縁樹脂を含む絶縁シートであって、絶縁シートの一方の主面表面から、絶縁シートの全体厚みの2/5に相当する深さまでの片側領域Aにおける、マイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、40質量%超である、絶縁シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、絶縁シート、配線基板、およびタッチパネルに関する。
従来より、絶縁基板表面上に金属配線層が配置された配線基板が電子部材、半導体素子に広く用いられている。金属配線層を構成する金属としては導電性が高い銀、銅がよく用いられるが、これら金属はイオンマイグレーションが発生しやすいという問題があり、とりわけ銀はこの問題が顕著に表れる。
このような金属のイオンマイグレーションを防止する方法として、金属配線層間のポリマー層に含チオール化合物などの金属イオン吸着化合物を導入する方法が提案されている(特許文献1)。
特開2008−192850号公報
一方、近年、半導体集積回路やチップ部品等の小型化により、金属配線層の微細化が進んでいる。そのため、配線基板中の金属配線層の幅および間隔はより狭小化しており、イオンマイグレーションによる回路の断線や回路間の導通がさらに生じやすくなっている。このような状況の下、配線基板中の銀を含む金属配線層間の絶縁信頼性のより一層の向上が要求されている。
本発明者は、特許文献1で開示される含チオール化合物などの金属イオンと有機金属塩を形成する化合物が導入されたポリマー層を、銀含有金属配線層上に設け、その絶縁信頼性について検討を行った。その結果、金属配線層間においては配線間抵抗の顕著な低下が確認され、そのイオンマイグレーション抑制効果は昨今要求されるレベルを満たしておらず、さらなる改良が必要であった。
また、イオンマイグレーション抑制効果を向上させるために金属イオン吸着化合物を多量に使用すると、配線間に電圧が印加された際に、ポリマー層に着色が生じてしまい透過率や外観特性に劣る。
本発明は、上記実情に鑑みて、銀を含む金属配線層上に貼り付けられ、金属配線層間の銀のイオンマイグレーションを抑制することができ、着色の発生が抑制された絶縁シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、銀を含む金属配線層間の銀のイオンマイグレーションが抑制され、金属配線層間の絶縁信頼性を向上させることができる配線基板を提供することも目的とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討を行ったところ、絶縁シート中におけるマイグレーション防止剤の分布状態を制御することにより、上記課題を解決できることを見出した。
つまり、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) マイグレーション防止剤および絶縁樹脂を含む絶縁シートであって、
絶縁シートの一方の主面表面から、絶縁シートの全体厚みの2/5に相当する深さまでの片側領域Aにおける、マイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、40質量%超である、絶縁シート。
(2) マイグレーション防止剤が、メルカプト基を有する複素環化合物およびフェノール化合物からなる群から選択される少なくとも1つである、(1)に記載の絶縁シート。
(3) 絶縁樹脂が粘着性絶縁樹脂である、(1)または(2)に記載の絶縁シート。
(4) 片側領域Aの厚みが5μm以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の絶縁シート。
(5) 片側領域Aにおけるマイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、60質量%以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載の絶縁シート。
(6) 片側領域Aにおけるマイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、100質量%である、(1)〜(5)のいずれかに記載の絶縁シート。
(7) 絶縁基板と、絶縁基板上に配置された銀を含む金属配線層と、金属配線層上に配置された絶縁樹脂層とを備える配線基板であって、
絶縁樹脂層が、マイグレーション防止剤および絶縁樹脂を含み、
絶縁樹脂層の金属配線層側の主面表面から、絶縁シートの全体厚みの2/5に相当する厚みまでの片側領域Aにおける、マイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、40質量%超である、配線基板。
(8) マイグレーション防止剤が、メルカプト基を有する複素環化合物およびフェノール化合物からなる群から選択される少なくとも1つである、(7)に記載の配線基板。
(9) メルカプト基を有する複素環化合物が後述する式(1)〜(5)で表される化合物からなる群から選択され、フェノール化合物が後述する式(7)〜(9)で表される化合物からなる群から選択される、(7)または(8)に記載の配線基板。
(10) マイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、60質量%以上である、(7)〜(9)のいずれかに記載の配線基板。
(11) 絶縁樹脂が粘着性絶縁樹脂である、(7)〜(10)のいずれかに記載の配線基板。
(12) 片側領域Aの厚みが、金属配線層の最大厚みよりも大きい、(7)〜(11)のいずれかに記載の配線基板。
(13) (7)〜(12)のいずれかに記載の配線基板を含むタッチパネル。
本発明によれば、銀を含む金属配線層上に貼り付けられ、金属配線層間の銀のイオンマイグレーションを抑制することができ、着色の発生が抑制された絶縁シートを提供することができる。
また、本発明によれば、銀を含む金属配線層間の銀のイオンマイグレーションが抑制され、金属配線層間の絶縁信頼性を向上させることができる配線基板を提供することもできる。
本発明の絶縁シートの実施態様を示す断面図である。 本発明の配線基板の実施態様を示す断面図である。
以下に、本発明の絶縁シートおよび配線基板の好適態様について説明する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
上述したように、本発明においては、絶縁シート(または絶縁樹脂層)中におけるマイグレーション防止剤の分布状態を制御することにより、所望の効果が得られることを見出している。一般的に、イオンマイグレーションを抑制する方法としては、使用するマイグレーション防止剤の濃度を増やす方法がある。しかしながら、マイグレーション防止剤の濃度を増やすと、絶縁シート中でマイグレーション防止剤のドメインが形成され、絶縁シートの力学特性が低下したり、着色が生じ透過率が低減したりする。そこで、本発明においては、絶縁シート(または絶縁樹脂層)の外側露出表面付近に多くのマイグレーション防止剤を偏在させることにより、金属配線層から外側に析出する金属イオンの拡散を効率よく抑制することができる。従って、絶縁シートの一方の表面上にマイグレーション防止剤を偏在させることにより、少ない使用量で所定のイオンマイグレーション抑制能を付与できる。そのため、使用されるマイグレーション防止剤の量を低減させることができ、上記のような絶縁シートの着色をより低減することができる。
[絶縁シート]
まず、絶縁シートの好適態様について、図1を参照して詳述する。
図1に示す絶縁シート10には、マイグレーション防止剤および絶縁樹脂が含まれる。また、絶縁シート10の一方の主面表面から、絶縁シート10の全体厚みの2/5に相当する深さまでの片側領域A12における、マイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、40質量%超である。なお、後段では、絶縁シート10中の片側領域A12以外の部分を、片側領域B14とも称する。
以下では、まず、絶縁シート10の構造について詳述し、その後、絶縁シート10に使用される材料(マイグレーション防止剤および絶縁樹脂など)について詳述する。
絶縁シート10は、2つの主面10aおよび10bを有するシートである。
片側領域A12は、絶縁シート10の一方の主面10a表面から、絶縁シート10の全体厚みT2の2/5に相当する深さ位置までの領域である。つまり、片側領域A12の厚みT1は、絶縁シートの全体厚みT2の2/5の厚みに相当する。
絶縁シート10中における片側領域A12の特定方法としては、絶縁シート10表面に対して垂直な方向の絶縁シート10の垂直断面を電子顕微鏡(SEMまたはTEM)で観察して、絶縁シート10の外側表面(主面10a)から絶縁シート10の全体厚みの2/5に相当する深さ位置までの領域を片側領域A12とする。絶縁シート10中の片側領域A12以外の部分を、片側領域B14とする。
なお、絶縁シート10の全体厚みは、5箇所以上の任意点の絶縁シート10の全体厚みを測定して、それらを算術平均したものである。
片側領域A12に含まれるマイグレーション防止剤の含有量は、絶縁シート10に含まれるマイグレーション防止剤全質量に対して、40質量%超である。言い換えると、絶縁シート10に含まれるマイグレーション防止剤の40質量%超が、片側領域A12に存在する。上記関係を満たしていれば、銀含有金属配線層付き絶縁基板中の銀含有金属配線層に片側領域A12を向けて、絶縁シート10を金属配線層付き絶縁基板上に配置する際に、銀含有金属配線層からのイオンマイグレーションが抑制される。なかでも、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、片側領域A12に含まれるマイグレーション防止剤の含有量は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、100質量%が好ましい。
なお、片側領域A12に含まれるマイグレーション防止剤の含有量の測定方法は、絶縁シート10表面に対して垂直な方向の絶縁シート10の垂直断面を電子顕微鏡(SEMまたはTEM)で観察して、片側領域A12に相当する領域と片側領域B14に相当する領域とに含まれる成分の元素分析を行い、マイグレーション防止剤由来の元素の量を比較して含有量を求める。なお、元素分析の方法としては、EDXを使用する。
絶縁シート10全体に含まれるマイグレーション防止剤の含有量は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れ、着色がより抑制される点で、絶縁シート10全質量に対して、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.05〜2.0質量%がより好ましく、0.1〜1.0質量%がさらに好ましい。
絶縁シート10全体に含まれる絶縁樹脂の含有量は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、絶縁シート10全質量に対して、97.0〜99.99質量%が好ましく、98.0〜99.5質量%がより好ましく、99.0〜99.9質量%がさらに好ましい。
片側領域A12の厚みT1は、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、2μm以上が好ましく、5〜30μmがより好ましく、10〜30μmがさらに好ましい。
絶縁シート10の厚みは特に制限されないが、タッチパネル用途への応用の点からは、25〜500μm程度が好ましく、50〜400μm程度がより好ましい。
片側領域Aには2種以上の異なるマイグレーション防止剤が含まれていてもよい。
片側領域Aに2種以上の異なるマイグレーション防止剤が含まれる場合、それぞれのマイグレーション防止剤が片側領域A中に均一に分散していてもよいし、片側領域A中においてそれぞれのマイグレーション防止剤が偏在していてもよい。例えば、片側領域Aに2種のマイグレーション防止剤(マイグレーション防止剤AおよびB)が含まれる場合、片側領域Aはマイグレーション防止剤Aを含む層と、マイグレーション防止剤Bを含む層とが積層した構造を有していてもよい。
また、絶縁シート10は、必要に応じて、他の基材と積層させて使用されてもよい。
例えば、後述するように絶縁樹脂として粘着性絶縁樹脂を使用した場合、絶縁シート10を基材レス粘着シートとして使用することができる。また、他の態様としては、絶縁樹脂として粘着性絶縁樹脂を使用した場合、片側領域B側の表面上にさらに基材を配置して、基材付き粘着シートとして使用してもよい。また、絶縁樹脂として粘着性絶縁樹脂を使用した場合、2枚の絶縁シートを用意して、両者の絶縁シート中の片側領域B側の表面を基材の表面および裏面にそれぞれ配置して、基材付き両面粘着シートとして使用してもよい。
以下に、絶縁シート10で使用される材料について詳述する。
(マイグレーション防止剤)
マイグレーション防止剤(マイグレーション抑制剤)は、金属イオンのマイグレーションを抑制する化合物である。
使用されるマイグレーション防止剤の種類は特に制限されず、公知の化合物を使用することができる。例えば、メルカプト基を有する複素環化合物、フェノール化合物、リン系化合物などが挙げられる。
なかでも、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、メルカプト基を有する複素環化合物またはフェノール化合物が好ましい。以下に、これらの化合物について詳述する。
(メルカプト基を有する複素環化合物)
マイグレーション防止剤としては、メルカプト基(−SH)基を有する複素環化合物(以後、SH基含有化合物とも称する)が挙げられる。この化合物は、メルカプト基および複素環部に含まれるヘテロ原子によって銀イオンを捕獲して、イオンマイグレーションを抑制する。
SH基含有化合物は、ヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。ヘテロ原子の数の上限は特にないが、好ましくは10個以下であり、さらに好ましくは6個以下、特に好ましくは4個以下である。
これらの要件を満たす、いかなる複素環化合物を用いてもよいが、ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、またはホウ素原子であり、さらに好ましくは、窒素原子、硫黄原子、または酸素原子であり、特に好ましくは窒素原子、または硫黄原子である。
複素環の環員数は特に制限されないが、好ましくは4〜10員環であり、より好ましくは5〜9員環であり、さらに好ましくは5〜6員環である。
複素環としては、芳香族および非芳香族のいずれでもよいが、好ましくは芳香族複素環である。
複素環の構成は単環および縮環のいずれでもよいが、好ましくは単環または2個の芳香環からなる複素環である。
これらの複素環として具体的には、ピロール環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアザインデン環、テトラアザインデン環、ペンタアザインデン環、ヘキサアザインデン環、プリン環、テトラゾール環、ピラゾロトリアゾール環、ピロロトリアゾール環、および、これらにベンゾ縮環したインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、アクリジン環、ベンゾトリアゾール環、および、これらが一部または全部飽和したピロリジン環、ピロリン環、イミダゾリン環などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
SH基含有化合物は、メルカプト基を有する。メルカプト基は銀と共有結合を生成する反応性に富む。このメルカプト基は、上記複素環部に結合する。
SH基含有化合物中におけるメルカプト基の量は特に制限されないが、SH基含有化合物の絶縁樹脂中での分散性がより良好である点より、化合物全分子量中に対してメルカプト基の原子量総量が占める割合が50%以下であることが好ましく、特に40%以下が好ましい。
なお、メルカプト基は、一つだけなく、複数含まれていてもよい。
SH基含有化合物は、メルカプト基以外の置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)などが挙げられる。
なかでも、絶縁樹脂との相溶性がより優れ、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、SH基含有化合物には、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基が含まれていることが好ましい。
炭化水素基の分子量は50以上が好ましく、60以上がより好ましく、70以上がさらに好ましい。また、上限は特に制限されないが、銀のイオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、600以下が好ましく、400以下がより好ましい。なお、炭化水素基の分子量とは、炭化水素基を構成する原子(例えば、水素原子、炭素原子、ヘテロ原子)の原子量の合計を意図する。
炭化水素基は、炭素原子と水素原子を含む基であり、より具体的には、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、化合物の絶縁樹脂中における分散性がより優れる点で、直鎖状の脂肪族炭化水素部分の炭素原子数が18以下、または、第3級または第4級の炭素原子を含む分岐鎖状であることが好ましい。
各炭化水素基中の炭素数は、銀のイオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上が特に好ましい。炭素数の上限は特に制限されないが、銀のイオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、62以下が好ましく、30以下がより好ましく、24以下がさらに好ましい。
炭化水素基には、ヘテロ原子が含まれていてもよい。つまり、ヘテロ原子含有炭化水素基であってもよい。含有されるヘテロ原子の種類は特に制限されないが、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などが挙げられる。なかでも、銀のイオンマイグレーション抑制能が優れる点で、−Y1−、−N(Ra)−、−C(=Y2)−、−CON(Rb)−、−C(=Y3)Y4−、−SOt−、−SO2N(Rc)−、ハロゲン原子、またはこれらを組み合わせた基の態様で含まれることが好ましい。
1〜Y4は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、およびテルル原子からなる群から選択される。なかでも、取り扱いがより簡便である点から、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
上記Ra、Rb、Rcは、各々独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基から選択される。
tは1〜3の整数を表す。
ヘテロ原子が炭化水素基中に含まれる場合、ヘテロ原子は炭化水素基の鎖中に存在するのでも、端部(末端部)に存在するものでもよい。なお、ヘテロ原子が炭化水素基中の端部に存在する場合、そのヘテロ原子を通じて上述した複素環部などに直接結合する形で、炭化水素基が複素環部に結合していてもよい。つまり、炭化水素基中において、ヘテロ原子が複素環部との結合位置に配置されていてもよい。
ヘテロ原子が炭化水素基の結合位置に存在する場合の炭化水素基の具体例としては、例えば、−O−Rp、−S−Rq、−SO−Rrなどが挙げられる。なかでも、銀のイオンマイグレーション抑制能がより安定的に優れる理由から、−S−Rqが好ましい。tは1〜3の整数を表す。
ここで、Rp、Rq、Rrは、各々独立に、−COO−または−CON<を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。なかでも、−COO−または−CON<を有していてもよい炭素数5〜20の炭化水素基であることが好ましい。
なお、ヘテロ原子が炭化水素基中に含まれる場合、メルカプト基(−SH)の態様で含まれていてもよい。
炭化水素基の一つの好適態様としては、第3級炭素原子および/または第4級炭素原子を含む炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基が第3級炭素原子および/または第4級炭素原子を含む場合、SH基含有化合物の絶縁樹脂中での分散性がより優れ、および/または、後述する溶媒(例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンなど)への溶解性がより優れる。結果として、銀のイオンマイグレーション抑制能がより均質に発現され、また、銀のイオンマイグレーションを誘発する微結晶や微結晶由来の気泡がより生じにくくなる。
炭化水素基が第3級炭素原子および/または第4級炭素原子を含む炭化水素基である場合、第3級炭素原子および/または第4級炭素原子が不斉炭素原子であり、SH基含有化合物がエナンチオマーの混合物であることが好ましい。
また、炭化水素基は第3級炭素原子および/または第4級炭素原子を複数含む炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基が第3級炭素原子および/または第4級炭素原子を複数含む場合、SH基含有化合物の分散性がより優れる理由から、第3級炭素原子および/または第4級炭素原子が不斉炭素原子であり、SH基含有化合物がジアステレオマーの混合物であることが好ましい。
第3級炭素原子および/または第4級炭素原子を含む炭化水素基の炭素数は、5〜30であることが好ましく、6〜20であることがより好ましい。上記範囲であると、SH基含有化合物の分散性がより優れ、その結果、銀のイオンマイグレーション抑制能がより均質に発現される。また、上記範囲であると、SH基含有化合物中のメルカプト基の量の点から、銀のイオンマイグレーション抑制能がより優れる。
第3級炭素原子および/または第4級炭素原子を含む炭化水素基の具体例としては、例えば、第3級炭素原子および/または第4級炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基などが挙げられる。
炭化水素基の具体例としては、例えば、以下の基を含む態様が挙げられる。ここで黒い丸は結合位置を表す。
炭化水素基の別の好適態様としては、下記式(B−1)〜(B−7)からなる群より選択される少なくとも1種の基を含む炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基が下記式(B−1)〜(B−7)からなる群より選択される少なくとも1種の基を含む場合、上述した第3級炭素原子および/または第4級炭素原子を含む場合と同様に、SH基含有化合物の絶縁樹脂中での分散性がより優れ、および/または、後述する溶媒(例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンなど)への溶解性がより優れる。結果として、銀のイオンマイグレーション抑制能がより均質に発現され、また、銀のイオンマイグレーションを誘発する微結晶や微結晶由来の気泡がより生じにくくなる。炭化水素基が下記式(B−1)〜(B−7)からなる群より選択される2種以上の基を含んでいてもよい。
上記式(B−1)〜(B−7)中、Xaは酸素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子からなる群から選択される原子である。なかでも、取り扱いがより簡便である点から、酸素原子、硫黄原子が好ましい。複数あるXaは同一であっても異なっていてもよい。Xbは酸素原子または硫黄原子である。複数あるXbは同一であっても異なっていてもよい。*は結合位置を表す。
*に炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜30の芳香族炭化水素基が結合していてもよい。
上記式(B−1)〜(B−7)からなる群より選択される少なくとも1種の基を含む炭化水素基は、上記式(B−1)〜(B−7)中の複数の*の1つが複素環部に直接結合する炭化水素基であってもよい。
炭化水素基が上記式(B−1)〜(B−7)で表される基を含む態様の具体例としては、例えば、以下の基を含む態様が挙げられる。ここで黒い丸は結合位置を表す。
SH基含有化合物の分子量は特に制限さないが、絶縁樹脂との相溶性がより優れる点から、50〜1000が好ましく、100〜600がより好ましい。
(好適態様(その1))
SH基含有化合物は、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、銀イオンとの溶解度積(pKsp)が10超であることが好ましく、11以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、通常50以下の場合が多く、イオンマイグレーションが課題となる電気回路周辺材料としての電気信頼性がより優れる点で40以下が好ましく、20以下がより好ましい。
なお、Kspの測定方法としては、例えば丸善(株)刊 新実験化学講座第1巻 233〜250ページに記載の情報を参考に測定することができる。
例えば、銀とのKspが既知の化合物A(ハロゲン化銀など)とKspが未知の化合物B、硝酸銀をそれぞれ0.5mM水溶液に加えて10時間恒温経時させる。その後、その溶液をミクロフィルターでろ過した後、残存化合物A、化合物BをHPLCを用いて定量することにより、式 KspAgB/KspAgA=[B]/[A]により、未知のKspを求める。
SH基含有化合物は、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、pKa(酸解離定数)が2超であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、通常、16以下の場合が多く、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、15以下が好ましい。
なお、pKaの測定方法としては、丸善(株)刊 実験化学講座第2版の215ページ〜217ページに記載のアルカリ適定法を採用する。
SH基含有化合物は、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、LogPが2超であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、通常、11以下の場合が多く、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、10以下が好ましい。
ここで、LogP値は、物質の疎水性の程度を表す指標であり、例えば、測定されるオクタノール/水分配係数で表される値である。LogP値(logPo/w値)の算出法としては、「25℃でn−オクタノール中での該有機化合物の溶解度」をSoとし、「25℃で純水中での該有機化合物の溶解度」をSwとした場合、logP=So/Swで表される。なお、これらは、この通りにn−オクタノールと水を用いて測定することもできるが、本発明においては、logP値推算プログラム(Daylight Chemical Information Systems社のPC Modelsに組み込まれたCLOGPプログラム)を使用して分配係数(logP値)を求めることができる。
(好適態様(その2))
SH基含有化合物の好適態様としては、以下の式(1)〜式(5)で表される化合物が挙げられる。該化合物であれば、イオンマイグレーション抑制能により優れる。特に、本発明の効果がより優れる点で、式(1)または式(2)で表される化合物が好ましい。
式(1)中、R1およびR2は、各々独立に、水素原子またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。なお、R1およびR2の各基の分子量の合計は、50以上である。また、R1およびR2の少なくともいずれか一方は、炭化水素基を表す。
また、上記R1およびR2の各基の分子量の合計の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。
なお、R1およびR2の各基の分子量の合計の計算方法は、R1およびR2の各々の基の分子量を計算し、それらを合計して求める。例えば、R1が水素原子で、R2がC511(分子量71)である場合、R1およびR2の各基の分子量の合計は72と計算される。なお、後述する式(3)、式(5)、式(7)〜式(9)中に定義される各基の合計の計算方法も、上記と同様の方法で計算できる。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基の定義は上述の通りであり、好適態様も上述の通りである。なお、後述する式(2)〜式(10)に記載されるヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基の定義も、上述の通りである。
1およびR2の好適態様としては、SH基含有化合物のイオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、アリール基、または、−Y1−、−N(Ra)−、−C(=Y2)−、−CON(Rb)−、または−C(=Y3)Y4−を含んでいてもよい炭化水素基が挙げられ、R1およびR2のうち少なくともどちらか一方が脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。Y1〜Y4、Ra〜Rbの定義は上述の通りである。
式(2)中、R3は分子量50以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。なお、上記R3の分子量の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。
炭化水素基の好適態様としては、SH基含有化合物のイオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、−Y1−、−N(Ra)−を有する炭化水素基(特に、脂肪族炭化水素基)が好ましい。さらに、イオンマイグレーション抑制能がより向上することから、該炭化水素基が−Y1−Rqであることがより好ましく、−S−Rqであることがさらに好ましい。Y1、Rqの定義は上述の通りである。
式(3)中、R4は、水素原子またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。nは1〜4の整数を表す。R4が複数ある場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。
炭化水素基の好適態様としては、SH基含有化合物のイオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、−Y1−、−N(Ra)−、−C(=Y2)−、−CON(Rb)−、−C(=Y3)Y4−、−SO−、−SO2N(Rc)−、またはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはそれらの組み合わせ)が挙げられ、以下の式(Z)で表される基がより好ましい。該基であれば、SH基含有化合物の絶縁樹脂中における分散性がより優れ、イオンマイグレーション抑制効果がより向上する。tは1〜3の整数を表す。
*−L1−R40 式(Z)
式(Z)中、L1は、単結合、−O−、−NR41−、−CO−、−C(R42)(R43)−またはこれらを組み合わせた基を表す。R41〜R43は、各々独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を表す。R40は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基を表す。脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基の好適態様は、上述の通りである。なお、式(Z)中、*は結合位置を表す。
Qは、>N−Rx基、硫黄原子、または酸素原子を表す。該基であれば、SH基含有化合物のイオンマイグレーション抑制能がより優れる。ここでRxは、水素原子または炭化水素基から選択される。
なお、R4およびRxの各基の分子量の合計は、50以上である。R4が複数ある場合は、複数のR4およびRxの各基の分子量の合計を意図する。また、上記R4およびRxの各基の分子量の合計の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。
式(4)中、R5は、分子量50以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。なお、上記R5の分子量の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。
式(5)中、R6およびR7は、各々独立に、水素原子、メルカプト基またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。
式(5)中、Xは、窒素原子または式(6)で表される炭素原子基を表す。
式(6)中、R8は、水素原子またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。破線弧は、Xが含まれる式(5)の含窒素ヘテロ環を表す。
なお、R6〜R8の各基の分子量の合計は、50以上である。また、上記R6〜R8の各基の分子量の合計の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。
SH基含有化合物の製造方法は、特に限定はなく、種々の方法により製造することができる。
例えば、上記式(1)で表される化合物は、特公昭46−19039号、特開平9−319022号の明細書に記載の合成法を、式(2)で表される化合物は、米国特許第3212892号の明細書に記載の合成法を、式(3)で表される化合物は、欧州特許第742210号の明細書に記載の合成法を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、SH基含有化合物としては、市販品を使用することもできる。
(フェノール化合物)
マイグレーション防止剤としては、フェノール化合物が挙げられる。この化合物は、銀イオンを金属銀に還元することにより、イオンマイグレーションを抑制する。
フェノール化合物とは、フェノール基を分子中に含む化合物を意味する。
フェノール化合物の種類としては特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、酸化還元電位が0.1〜1.0Vであることが好ましく、0.1〜0.9Vがより好ましく、0.15〜0.7Vがさらに好ましい。
酸化還元電位の測定方法は次の通りである。
測定するフェノール化合物を1mMのDMF溶液として調製し、支持電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム0.1MのDMF溶液に5分間Arバブリングを行った後、電気化学アナライザーとしてビー・エー・エス株式会社 ALS−604A、作用極Glassy Carbon、対極Pt、参照電極として銀電極という仕様にて、サイクリックボルタンメトリー測定を実施する。当該測定系では、可逆的酸化還元反応を行う代表的有機化合物として知られる(技報堂出版(株)刊 電気化学測定法(上))フェロセン/フェリシニウム酸化還元系では0.13Vとして計測される。
フェノール化合物は、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、LogPが0超であることが好ましく、3以上がより好ましい。LogPの測定方法は、上述の通りである。
(好適態様)
フェノール化合物の好適態様としては、以下の式(7)〜式(9)で表される化合物が挙げられる。該化合物であれば、絶縁樹脂との相溶性により優れ、イオンマイグレーション抑制能により優れる。
式(7)中、R11〜R15は、各々独立に、水素原子、水酸基、またはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
炭化水素基の好適例としては、例えば、−O−R31が挙げられる。R31は、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。−O−R31が複数ある場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。
炭化水素基の炭素数としては、絶縁樹脂との相溶性により優れる点で、1〜12が好ましく、1〜10がより好ましい。
炭化水素基としては、より具体的には、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
また、R11〜R15の各基の分子量の合計は21以上である。なかでも、35以上が好ましい。なお、上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。
また、R11〜R15は、任意の2つが互いに結合して環を形成してもよい。例えば、R11とR12、R12とR13、R13とR14、または、R14とR15などのように隣接する2つの基が、各々結合して環を形成してもよい。形成される環の種類は特に制限されないが、例えば、5〜6員環構造を挙げることができる。
式(8)中、R16〜R23は、各々独立に、水素原子、水酸基、またはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
16〜R23で表される炭化水素基の好適範囲は、上述したR11〜R15で表される炭化水素基の好適範囲と同義である。
また、R16〜R23の各基の分子量の合計は24以上である。なかでも、35以上が好ましい。なお、上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。また、R16〜R23は、任意の2つが互いに結合して環を形成してもよい。
24は、水素原子またはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
式(9)中、R25〜R28は、各々独立に、水素原子、水酸基、またはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
25〜R28で表される炭化水素基の好適範囲は、上述したR11〜R15で表される炭化水素基の好適範囲と同義である。
また、R25〜R28の各基の分子量の合計は40以上である。なかでも、50以上が好ましい。なお、上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。
また、R25〜R28は、任意の2つが互いに結合して環を形成してもよい。
Lは、ヘテロ原子を有していてもよい2価若しくは3価の炭化水素基、−S−、または、これらを組み合わせた基を表す。2価の炭化水素基の炭素数は、絶縁樹脂との相溶性により優れる点で、1〜12が好ましく、1〜10がより好ましい。
mは、2または3の整数を表す。
式(7)中のR13、式(8)中のR18およびR21の好適態様として、式(10)で表される基が挙げられる。
式(10) *−CH2−R34
34は、水素原子または炭素数1〜19の炭化水素基を表す。R34で表される炭化水素基の炭素数は、絶縁樹脂との相溶性により優れる点で、1〜12が好ましく、1〜10がより好ましい。*は結合位置を表す。
フェノール化合物の好適態様として、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、式(11)で表される化合物が挙げられる。
式(11)中、R50およびR51は、各々独立に、水素原子、水酸基、酸素原子を含んでもよい脂肪族炭化水素基、酸素原子を含んでもよい芳香族炭化水素基を表す。なかでも、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、少なくともR50およびR51のいずれか一方が3級あるいは4級炭素原子を含むアルキル基であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、1〜20がより好ましい。特に、R50が炭素原子数1〜5個のアルキル基で、R51が炭素原子数10〜20個のアルキル基であることが好ましい。
また、R50およびR51の各基中に含まれる炭化水素基の分子量の合計は30以上が好ましく、50以上がより好ましい。炭素原子の合計数が該範囲であれば、銀のイオンマイグレーション抑制能がより向上する。
フェノール化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
(絶縁樹脂)
絶縁シートに絶縁樹脂が含まれることにより、絶縁シートを金属配線層上に配置した際に、絶縁樹脂が金属配線層を覆い、金属配線層間の絶縁性が担保される。
使用される絶縁樹脂としては、公知の絶縁性の樹脂を使用することができ、層形成がより容易である点より、硬化性絶縁樹脂(例えば、熱硬化性絶縁樹脂および光硬化性絶縁樹脂)を硬化させた樹脂を使用することが好ましい。
熱硬化性絶縁樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、珪素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアネート樹脂、アルキド樹脂、環状オレフィン樹脂、またこれらの変性樹脂などが挙げられる。
光硬化性絶縁樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、シリコーンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、またはこれらの変性樹脂などが挙げられる。
その他の絶縁樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、ポリ乳酸、フッ素含有樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などの熱可塑性樹脂も挙げられる。
なかでも、マイグレーション防止剤との相溶性がより優れる点で、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネートが好ましい。
また、必要に応じて、絶縁樹脂をガラス織布、ガラス不織布、アラミド不織布などの心材に含浸させて使用してもよい。具体的には、ガラス布エポキシ樹脂、ガラス布ビスマレイミドトリアジン樹脂、ガラス布ポリフェニレンエーテル樹脂、アラミド不織布−エポキシ樹脂、アラミド不織布−ポリイミド樹脂などを使用してもよい。
さらに、絶縁樹脂が硬化性樹脂の場合、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを併用してもよい。
なお、絶縁樹脂として、2種以上の絶縁樹脂を混合して使用してもよい。
なお、絶縁樹脂としては、いわゆる粘着剤として使用される粘着性絶縁樹脂を使用してもよい。絶縁樹脂として粘着性絶縁樹脂を使用する場合、絶縁シートはいわゆる粘着シートとして使用できる。
粘着性絶縁樹脂としては特に限定されず、粘着性を示す絶縁樹脂であれば公知の材料を使用することができる。例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などの各種の粘着剤を使用できるが、透明性がより優れると共に上記SH基含有化合物およびフェノール化合物との相溶性がより優れる点で、アクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤は、アルキル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを主骨格とするアクリル系ポリマーをベースポリマーとする。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の平均炭素数は1〜12程度が好ましく、アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を例示できる。
[絶縁シート]
上述した絶縁シートは種々の用途に使用することができ、例えば、金属配線の配線間絶縁膜、層間絶縁膜などが挙げられる。なかでも、絶縁樹脂として粘着性絶縁樹脂を使用した場合は、粘着シートとして使用することができ、特に、タッチパネル用の粘着シートとして好適に使用することができる。
本発明の絶縁シートは、上述したように、別の基材と積層していてもよい。例えば、絶縁シートが上述した粘着シートの場合、別の基材に絶縁シートを貼り合せて、基材付き粘着シート(例えば、基材の両面に粘着層を有する基材付き両面粘着シート、基材の片面にのみ粘着層を有する基材付き片面粘着シート)として使用してもよい。
[絶縁シートの製造方法]
上記絶縁シートの製造方法は上述した構造の絶縁シートを形成することができれば特に制限されず、公知の方法を採用できる。
例えば、マイグレーション防止剤の含有量が異なる2種以上の絶縁シートを積層して、上記本発明の絶縁シートを作製してもよい。例えば、マイグレーション防止剤を含む第1絶縁シートと、マイグレーション防止剤を含まない第2絶縁シートを用意して、第1絶縁シートの厚みと第2絶縁シートの厚みを調整して、それらを積層して、上記構造の絶縁シートを作製してもよい。より具体的には、第1絶縁シートの厚みと第2絶縁シートの厚みを2:3と調整し、これらを貼り合わせれば、上述した片側領域Aが第1絶縁シートに該当する、本発明の絶縁シートを作製することができる。
他の方法としては、例えば、マイグレーション防止剤および/または絶縁樹脂を含む絶縁シート形成用組成物を基材上に塗布して、必要に応じて加熱処理を行い、絶縁シートを作製して、その後基材から絶縁シートを剥離する方法が挙げられる。なかでも、絶縁シートの製造方法の好適態様の一つとしては、少なくとも絶縁樹脂を含む組成物(以後、組成物Xとも称する)と、少なくともマイグレーション防止剤を含む組成物(以後、組成物Yとも称する)との少なくとも2種の組成物を使用する方法が挙げられる。
例えば、組成物Xと組成物Yとの混合液をまず基材上に塗布して塗膜を形成した後、さらにその塗膜上に組成物Yを塗布して、上述した絶縁シートを作製する方法が挙げられる。
なお、組成物を塗布する方法は特に制限されず、スピンコーティング法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられる。
[配線基板]
次に、本発明の配線基板の実施態様について、図面を参照して詳述する。
図1は、配線基板の第1の実施態様の模式的断面図を示し、配線基板20は、絶縁基板22と、金属配線層24と、絶縁樹脂層26とを備える。絶縁樹脂層26中の金属配線層24側には、マイグレーション抑制剤が多く偏在する片側領域A28が含まれる。
以下に、各部材(絶縁基板22、金属配線層24、絶縁樹脂層26)について詳述する。
(絶縁基板)
絶縁基板は、絶縁性であり、金属配線層を支持できるものであれば、その種類は特に制限されない。例えば、有機基板、セラミック基板、ガラス基板などを使用することができる。
また、絶縁基板は、有機基板、セラミック基板、およびガラス基板からなる群から選ばれる少なくとも2つの基板が積層した構造であってもよい。
有機基板の材料としては樹脂が挙げられ、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらを混合した樹脂を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。
なお、有機基板の材料としては、ガラス織布、ガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織布、芳香族ポリアミド織布や、これらに上記樹脂を含浸させた材料なども使用できる。
(金属配線層)
金属配線層は、銀を含む。銀は銀合金の形態で含まれていてもよく、金属配線層が銀合金を含む場合、銀以外の含有される金属としては、例えば、錫、パラジウム、金、ニッケル、クロムなどが挙げられる。なお、金属配線層中に、本発明の効果を損なわない範囲で、バインダーなどの樹脂成分や感光性化合物などが含まれていてもよく、更に必要に応じてその他の成分が含まれていてもよい。
また、金属配線層は、銀または銀合金からなる金属ナノワイヤを含有することが好ましい。なお、金属ナノワイヤについては、後段で詳述する。
金属配線層の単位面積当たりに含まれる銀量は、50μg/mm2以下であることが好ましい。銀量を上記範囲にすることにより、金属配線層の厚みおよび幅を小さくすることが可能となり、高密度集積化の要望に対応することができる。銀量が多すぎると、金属配線層間で短絡が生じやすくなる。なかでも、銀量は30μg/mm2以下であることが好ましく、15μg/mm2以下であることがより好ましい。下限に関しては特に制限されないが、金属配線層の導電特性がより優れる点で、0.001μg/mm2以上が好ましく、0.005μg/mm2以上がより好ましい。
なお、金属配線層中に含まれる銀量が少ない場合にイオンマイグレーションが起こると、金属配線層を形成していた銀が溶出することによって、金属配線層の断線が生じやすくなる。しかし、本発明においては、所定の化合物を含む絶縁樹脂層で金属配線層を覆うことにより、銀のイオンマイグレーションを抑制し、金属配線層の断線または導通を抑制することができる。
銀量の測定方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、金属配線層の断面SEM写真を観察して元素分析することにより銀量を測定することができる。また、金属配線層を硝酸などの強酸と接触させて、金属配線層中の銀を溶解させ、溶解した量から銀量を測定することもできる。また、銀ナノワイヤや銀ナノ粒子を含む分散液を使用して金属配線層を作製する場合は、金属配線層を作製する際に使用した分散液の量から、金属配線層中における銀量を計算により求めることもできる。
また、金属配線層の単位面積当たりとは、金属配線層の絶縁基板との接触部分の単位面積当たりを意味する。つまり、金属配線層と絶縁基板との接触部分の面積のみを基準に銀量の計算を行う。言い換えると、金属配線層と接触していない絶縁基板表面(例えば、金属配線層間に位置する、金属配線層と接触していない絶縁基板表面)の面積は、上記金属配線層の単位面積当たりの計算には考慮にいれない。従って、金属配線層の単位面積当たりに含まれる銀量とは、金属配線層と絶縁基板との接触部分における単位面積あたり(mm2)に含まれる銀量を意味する。
金属配線層の形状は図2の態様に制限されず、任意の形状であってもよい。例えば、直線状、曲線状、矩形状、円状などが挙げられる。また、金属配線の配置(パターン)は特に制限されず、例えば、ストライプ状が挙げられる。
金属配線層の幅は特に制限されないが、配線基板の高集積化の点から、0.1〜10000μmが好ましく、0.1〜300μmがより好ましく、0.1〜100μmがさらに好ましく、0.2〜50μmが特に好ましい。
隣接する金属配線層間の間隔は特に制限されないが、配線基板の高集積化の点から、0.1〜1000μmが好ましく、0.1〜300μmがより好ましく、0.1〜100μmがさらに好ましく、0.2〜50μmが特に好ましい。
金属配線層の厚みは特に制限されないが、配線基板の高集積化の点から、0.001〜100μmが好ましく、0.01〜30μmがより好ましく、0.01〜20μmがさらに好ましい。
金属配線層の形成方法は特に制限されず、蒸着法、スパッタリング法などの物理的成膜法、またはCVD法などの化学的気相法、銀ナノ粒子や銀ナノワイヤを含有した銀ペーストを塗布して形成する方法、特開2009−188360号に開示される銀塩を利用した方法などが挙げられる。
図2においては、金属配線層24は、絶縁基板22の片面だけに設けられているが、両面に設けられていてもよい。
また、図2では、金属配線層24が一層の配線構造を例にあげたが、もちろんこれに限定されない。例えば、複数の金属配線層と絶縁基板層とを交互に積層した金属配線付き絶縁基板(多層配線基板)を使用することにより、多層配線構造の配線基板としてもよい。
また、絶縁基板中にスルーホールが形成されていてもよい。絶縁基板の両面に金属配線が設けられる場合は、該スルーホール内に金属(例えば、銀または銀合金)が充填されることにより、両面の金属配線が導通されていてもよい。
(金属ナノワイヤ)
金属ナノワイヤは、銀または銀合金から構成される。銀合金の種類は、上述の通りである。
金属ナノワイヤとは、導電性を有し、且つ長軸方向長さが直径(短軸方向長さ)に比べて十分に長い形状を持つものをいう。中実繊維であっても、中空繊維であってもよい。
金属ナノワイヤの材料は、導電性に優れる点で、銀、または、銀と他の金属との合金が特に好ましい。銀との合金で使用する他の金属としては、白金、オスミウム、パラジウム、イリジウム、錫、ビスマス、ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
金属ナノワイヤの平均短軸長さ(「平均短軸径」と称することがある)としては、5〜50nmであり、5〜25nmがより好ましく、さらに5〜20nmが特に好ましい。
平均短軸径が5nm以上とすることで、耐酸化性を向上させられるため好ましく、平均短軸径を50nm以下とすることで、金属ナノワイヤの散乱を低減できるため好ましい。特に、平均短軸長さを25nm以下にすることより、金属ナノワイヤの散乱は大きく低減でき、より好ましい。
金属ナノワイヤの平均長軸長さ(「平均長軸径」と称することがある)としては、5μm以上が好ましく、5μm〜40μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。
平均長軸径を5μm以上とすることで金属ナノワイヤ同士が接触して導電性ネットワーク形成しやすくなるため好ましく、40μm以下とすることで金属ナノワイヤ同士が製造時に絡まる可能性が低くなるため好ましい。
金属ナノワイヤの製造方法は特に制限はなく、いかなる方法で作製してもよいが、ハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。また、金属ナノワイヤを形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、導電膜の経時安定性の観点から好ましい。
また、金属ナノワイヤの製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報、特表2009−505358号公報などに記載の方法を用いることができる。
(絶縁樹脂層)
絶縁樹脂層は、金属配線層上に配置され、金属配線層の銀のイオンマイグレーションを抑制するための層である。言い換えれば、絶縁樹脂層は銀イオン拡散抑制層に該当する。
絶縁樹脂層には、マイグレーション防止剤および絶縁樹脂が含まれる。マイグレーション防止剤および絶縁樹脂の定義は、上述の通りである。
図2に示すように、絶縁樹脂層26中においては、絶縁樹脂層26中のマイグレーション防止剤全質量の40質量%超が含まれる片側領域A28が含まれる。
片側領域A28は、絶縁樹脂層26の金属配線層24側の表面から、絶縁樹脂層26の全体厚みの2/5に相当する厚みまでの領域である。つまり、片側領域A28の厚みT1は、絶縁樹脂層の全体厚みT2の2/5の厚みに相当する。
片側領域A28の特定方法は、上記絶縁シート10中における片側領域A12の特定方法と同じである。
また、片側領域A28中におけるマイグレーション防止剤の含有量の定義(好適態様を含む)および測定方法は、上記絶縁シート中の片側領域A12中におけるマイグレーション防止剤の含有量の定義および測定方法と同じである。
片側領域Aの厚みT1は特に制限されないが、耐イオンマイグレーション性がより優れる点で、上述した金属配線層の最大厚みT3よりも大きいことが好ましい。
絶縁樹脂層の厚みは特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、5〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましい。
なお、絶縁樹脂層中には、銀イオンまたは金属銀が実質的に含まれていないことが好ましい。絶縁樹脂層に過剰の銀イオンまたは金属銀が含まれていると、イオンマイグレーション抑制効果が低下する場合がある。
なお、銀イオンまたは金属銀が実質的に含まれないとは、絶縁樹脂層中における銀イオンまたは金属銀の含有量が、1μmol/l以下であることを指し、0.1μmol/l以下であることがより好ましく、最も好ましくは0mol/lである。
絶縁樹脂層の製造方法は特に制限されず、上述した絶縁シートを金属配線層上に貼り合せる方法や、上述したマイグレーション防止剤および/または絶縁樹脂を含む絶縁樹脂層形成用組成物を金属配線層上に塗布して、必要に応じて加熱処理を行い、絶縁樹脂層を形成する方法が挙げられる。
また、他の方法としては、絶縁基板上に、金属配線層と、マイグレーション防止剤および絶縁樹脂を含む絶縁樹脂層とをこの順で有する処理前配線基板を高温高湿条件下に配置し、金属配線層に印加(電圧印加)する方法も挙げられる。この方法によれば、絶縁樹脂層中に均一に分散していたマイグレーション防止剤が金属配線層と絶縁樹脂層との界面付近に移動していき、金属配線層側の絶縁樹脂層表面付近にマイグレーション防止剤が偏在し、結果として所望の構造を有する絶縁樹脂層が得られる。
高温高湿条件としては、通常、60〜90℃(好ましくは、60〜85℃)で60〜95%RH(好ましくは、85〜95%RH)の条件が挙げられる。
また、印加電圧としては、通常、1〜100V(好ましくは、3〜30V)の条件が挙げられる。
本発明の配線基板は、種々の用途および構造に対して使用することができる。例えば、プリント配線基板、プラズマディスプレイパネル用パネル基板、太陽電池電極用基板、メンブレン配線板、タッチパネル電極用基板などが挙げられる。
また、配線基板は、電子機器に含まれることが好ましい。電子機器とは、タッチパネルもしくはメンブレンスイッチやそれらを搭載したテレビ・モバイル通信機器・パーソナルコンピューター・ゲーム機器・車載表示機器・ネット通信機器、照明・表示用LED、太陽電池制御に関する電子配線機器、RFIDなどの無線通信デバイス、あるいは半導体配線基板や有機TFT配線基板で駆動制御された機器類を指す。
これらの中でも、タッチパネルが特に好ましい。つまり、配線基板は、タッチパネル用に使用されることが好ましい。より具体的には、上記配線基板中の金属配線層が、タッチパネル電極部に接続された引き出し配線となる態様が好ましく挙げられる。なお、タッチパネル電極部とは、例えば、静電容量式のタッチパネルにおいては、静電容量の変化を感知するセンシング電極部のことを意味する。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1:透明両面粘着シートの製造)
アクリル共重合体の調製攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート70質量部、メチルアクリレート25質量部、および、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部を、酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後に内温70℃までに加温した。
この反応液に2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1部と酢酸エチル10部とを予め溶解させた溶液をゆっくり滴下しながら、3時間攪拌した。その後さらに内温80℃に加温し、2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1部と酢酸エチル10部とを予め溶解させた溶液をゆっくり滴下しながら、3時間攪拌して質量平均分子量65万のアクリル共重合体(P−1)を得た。
次に、上記アクリル共重合体(P−1)(98質量部)と、以下のフェノール化合物B−1(α−トコフェロール、和光純薬工業株式会社製、1質量部)を酢酸エチルで希釈し、樹脂固形分35%の粘着剤組成物を得た。
上記粘着剤組成物100重量部に日本ポリウレタン社製コロネートL−45を0.2重量部添加し30分攪拌後、厚さ50μmの剥離PETフィルム上に乾燥後の厚さが20μmになるように塗工して、100℃で3分間乾燥した。得られた粘着シートの露出表面と、厚さ38μmの剥離PETフィルムを貼り合わせた。その後該フィルムを23℃で7日間静置して、剥離PETフィルムに挟まれた絶縁シート1を得た。
また、フェノール化合物B−1を使用しなかった以外は、上記と同様の手順に従って、フェノール化合物B−1を含まない、剥離PETフィルムに挟まれた絶縁シート2を製造した。
<実施例1>
スクリーン印刷装置を用いて、メタルマスクを通して銀ペースト(アサヒ化学研究所製、LS−450−7H)をPET基板(KIMOTO製、CHABBフィルム、膜厚:50μm)上にパターン塗布し、その後130℃30分加熱を行い、L/S=100μm/50μmの銀配線層を備える金属配線層付き絶縁基板Aを製造した。なお、金属配線層のラインの数は、20であった。また、銀配線層の最大厚みは15μm程度であった。
次に、上記絶縁シート1(厚み:20μm)の一方の面上の剥離PETフィルムを剥がすと共に、上記絶縁シート2(厚み:30μm)の一方の面上の剥離PETフィルムを剥がして、両者の剥離PETフィルムが剥がされた面上同士を貼り合せた。貼り合せて得られた絶縁シート3は、片側領域にマイグレーション防止剤が偏在する本発明の絶縁シートに該当する。得られた絶縁シート3の絶縁シート1側の一方の面上の剥離PETフィルムを剥がして、絶縁シート3の露出した粘着面を金属配線層付き絶縁基板Aの金属配線層側の表面上に貼り合せた。その後、絶縁シート3の他方の面上の剥離PETフィルムを剥がして、粘着性を示す他方の表面上にPETフィルム(KIMOTO製、G1SBFフィルム、膜厚:50μm)を貼り合せて配線基板を得た。その後、得られた配線基板を40℃、0.5MPaの条件下で20分オートクレーブ処理を行った。得られた配線基板を用いて、以下の寿命測定評価を実施した。結果は表1に示す。
(寿命測定評価)
得られた配線基板を、湿度85%、温度85度の高温高湿環境下に曝して、金属配線層に電圧60Vを50時間印加して、金属配線間の抵抗値を連続モニタリングし、1×10Ωを閾値として、以下の基準に従って評価した。なお、20本の金属配線層のうち、任意の金属配線を10箇所選択して、上記評価を実施した。
「A」:10箇所のうち、金属配線間の抵抗値の低減が発生している箇所がない
「B」:10箇所のうち、金属配線間の抵抗値の低減が発生している箇所が1〜2か所ある
「C」:10箇所のうち、金属配線間の抵抗値の低減が発生している箇所が3〜9か所ある
「D」:10箇所のうち、金属配線間の抵抗値の低減が発生している箇所が10か所ある
(色味評価)
寿命測定評価を行った配線基板の金属配線間またはその周辺に、着色があるか目視または顕微鏡下での官能評価を行った。
<実施例2>
厚みを20μmから40μmに、単位体積当たりのα−トコフェロール含有量を絶縁シート1と比較して2分の1となるように調整した以外は、合成例1の手順に従って、絶縁シート4を製造した。なお、絶縁シート4中のα−トコフェロールの全含有質量は、絶縁シート1中のα−トコフェロールの全含有質量と同一である。
絶縁シート1を絶縁シート4に変更し、絶縁シート2の厚みを30μmから60μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、配線基板を製造し、上記評価を行った。結果は表1に示す。
<実施例3>
厚みを20μmから10μmに、単位体積当たりのα−トコフェロール含有量を絶縁シート1と比較して2倍となるように調整した以外は、合成例1の手順に従って、絶縁シート5を製造した。なお、絶縁シート5中のα−トコフェロールの全含有質量は、絶縁シート1中のα−トコフェロールの全含有質量と同一である。
絶縁シート1を絶縁シート5に変更し、絶縁シート2の厚みを30μmから15μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、配線基板を製造し、上記評価を行った。結果は表1に示す。
<実施例4>
α−トコフェロールの代わりに2−(1−ペンチル)チオ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(以後、単にSH基含有化合物Xとも称する)を使用し、厚みを20μmから50μmに、単位体積当たりのSH基含有化合物X含有モル量を絶縁シート1中のα−トコフェロール含有モル量と比較して5分の2となるように調整した以外は、合成例1の手順に従って、絶縁シート6を製造した。なお、絶縁シート6中のSH基含有化合物Xの全含有モル量は、絶縁シート1中のα−トコフェロールの全含有モル量と同一である。
絶縁シート3の代わりに、絶縁シート6を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、配線基板を製造した。製造された配線基板に対して上記寿命測定評価を実施した所、絶縁シート6中においてSH基含有化合物Xの移動が確認され、絶縁シート6の金属配線層側表面から20μm以内の厚みの領域内にSH基含有化合物Xの大部分が偏在していることが確認された。寿命測定評価の結果は表1に示す。
<実施例5>
厚みを50μmから100μmに、単位体積当たりのSH基含有化合物X含有量を絶縁シート6と比較して2分の1となるように調整した以外は、実施例4の絶縁シート6の製造の手順に従って、絶縁シート7を製造した。なお、絶縁シート7中のSH基含有化合物Xの全含有質量は、絶縁シート6中のSH基含有化合物Xの全含有質量と同一である。
絶縁シート6を絶縁シート7に変更した以外は、実施例4と同様の手順に従って、配線基板を製造し、上記評価を行った。結果は表1に示す。
なお、SH基含有化合物Xは、配線基板中の絶縁シート7の金属配線層側表面から20μm以内の厚みの領域内に大部分が偏在していることが確認された。
<実施例6>
厚みを50μmから20μmに、単位体積当たりのSH基含有化合物X含有量を絶縁シート6と比較して2.5倍となるように調整した以外は、実施例4の絶縁シート6の製造の手順に従って、絶縁シート8を製造した。なお、絶縁シート8中のSH基含有化合物Xの全含有質量は、絶縁シート6中のSH基含有化合物Xの全含有質量と同一である。
絶縁シート1の代わりに絶縁シート8を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、配線基板を製造した。製造された配線基板に対して上記寿命測定評価を実施した所、絶縁シート8中においてSH基含有化合物Xの移動が確認され、絶縁シート8の金属配線層側表面から10μm以内の厚みの領域内に大部分が偏在していることが確認された。寿命測定評価の結果は表1に示す。
<実施例7>
厚みを50μmから40μmに、単位体積当たりのSH基含有化合物X含有量を絶縁シート6と比較して1.25倍となるように調整した以外は、実施例4の絶縁シート6の製造の手順に従って、絶縁シート9を製造した。なお、絶縁シート9中のSH基含有化合物Xの全含有質量は、絶縁シート6中のSH基含有化合物Xの全含有質量と同一である。
絶縁シート1の代わりに絶縁シート9を使用し、絶縁シート2の厚みを30μmから60μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、配線基板を製造し、上記評価を行った。寿命測定評価の結果は表1に示す。
なお、SH基含有化合物Xは、配線基板中の絶縁シートの金属配線層側表面から20μm以内の厚みの領域内に大部分が偏在していることが確認された。
<実施例8>
厚みを50μmから80μmに、単位体積当たりのSH基含有化合物X含有量を絶縁シート6と比較して0.625倍となるように調整した以外は、実施例4の絶縁シート6の製造の手順に従って、絶縁シート10を製造した。なお、絶縁シート10中のSH基含有化合物Xの全含有質量は、絶縁シート6中のSH基含有化合物Xの全含有質量と同一である。
絶縁シート1の代わりに絶縁シート10を使用し、絶縁シート2の厚みを30μmから20μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、配線基板を製造し、上記評価を行った。寿命測定評価の結果は表1に示す。
なお、SH基含有化合物Xは、配線基板中の絶縁シートの金属配線層側表面から20μm以内の厚みの領域内に大部分が偏在していることが確認された。
<実施例9>
厚みを50μmから10μmに、単位体積当たりのSH基含有化合物X含有量を絶縁シート6と比較して5倍となるように調整した以外は、実施例4の絶縁シート6の製造の手順に従って、絶縁シート11を製造した。なお、絶縁シート11中のSH基含有化合物Xの全含有質量は、絶縁シート6中のSH基含有化合物Xの全含有質量と同一である。
絶縁シート1の代わりに絶縁シート11を使用し、絶縁シート2の厚みを30μmから15μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、配線基板を製造し、上記評価を行った。寿命測定評価の結果は表1に示す。
なお、SH基含有化合物Xは、配線基板中の絶縁シートの金属配線層側表面から5μm以内の厚みの領域内に大部分が偏在していることが確認された。
<実施例10>
α−トコフェロールの代わりに、同モル量の2,2’-メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)を使用した以外は、合成例1と同様の手順に従って、絶縁シート12を製造した。
絶縁シート1の代わりに絶縁シート12を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、配線基板を製造し、上記評価を行った。寿命測定評価の結果は表1に示す。
<実施例11>
2−(1−ペンチル)チオ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールの代わりに同モル量の3−メルカプト−4−フェニル−5−ウンデシル−1,2,4−トリアゾールを使用した以外は、実施例4と同様の手順に従って、配線基板を製造し、上記評価を行った。寿命測定評価の結果は表1に示す。
<比較例1>
金属配線層付き絶縁基板Aの金属配線層側の表面上に、α−トコフェロールを含まない絶縁シート2(厚み:50μm)を重ねて貼り合せて、配線基板を製造した。得られた配線基板を用いて、上記評価を行った。寿命測定評価の結果は表1に示す。
<比較例2>
厚みを20μmから50μmに、単位体積当たりのα−トコフェロール含有量を絶縁シート1と比較して5分の2となるように調整した以外は、合成例1の手順に従って、絶縁シート13を製造した。
絶縁シート2の代わりに、絶縁シート13を使用した以外は、比較例1と同様の手順に従って、配線基板を製造した。得られた配線基板を用いて、上記評価を行った。寿命測定評価の結果は表1に示す。
<比較例3>
厚みを20μmから50μmに、絶縁シート中のα−トコフェロールの全含有質量が絶縁シート1中のα−トコフェロールの4倍となるように調整した以外は、合成例1の手順に従って、絶縁シート14を製造した。
金属配線層付き絶縁基板Aの金属配線層側の表面上に、絶縁シート14(厚み:50μm)を重ねて貼り合せて配線基板を製造した。得られた配線基板を用いて、上記評価を行った。寿命測定評価の結果は表1に示す。
なお、各実施例における、絶縁シート中のマイグレーション防止剤全質量に対する片側領域A中におけるマイグレーション防止剤の量(質量%)を上述した方法により測定し、表1に示す。
なお、表1中、「着色」欄では、上記色味評価にて着色がなかった場合を「なし」、着色があった場合を「あり」とする。
表1から、本発明の絶縁シートを使用した場合、絶縁寿命が向上することが確認された。
特に、実施例1と3との比較から分かるように、片側領域Aの厚みが金属配線層の最大厚みよりも大きい場合、絶縁寿命がより向上することが確認された。
一方、片側領域A中におけるマイグレーション防止剤の量が所定値以下である比較例1〜2においては、絶縁寿命の向上が劣っていた。また、マイグレーション防止剤の量が多い比較例3では、絶縁寿命の向上は見られるが、着色があった。
10 絶縁シート
12,28 片側領域A
14 片側領域B
20 配線基板
22 絶縁基板
24 金属配線層
26 絶縁樹脂層

Claims (12)

  1. マイグレーション防止剤および絶縁樹脂を含む絶縁シートであって、
    前記絶縁シートの一方の主面表面から、前記絶縁シートの全体厚みの2/5に相当する深さまでの片側領域Aにおける、前記マイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、40質量%超である、絶縁シート。
  2. 前記マイグレーション防止剤が、メルカプト基を有する複素環化合物およびフェノール化合物からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の絶縁シート。
  3. 前記絶縁樹脂が粘着性絶縁樹脂である、請求項1または2に記載の絶縁シート。
  4. 前記片側領域Aの厚みが5μm以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁シート。
  5. 前記片側領域Aにおける前記マイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、60質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の絶縁シート。
  6. 前記片側領域Aにおける前記マイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、100質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の絶縁シート。
  7. 絶縁基板と、前記絶縁基板上に配置された銀を含む金属配線層と、前記金属配線層上に配置された絶縁樹脂層とを備える配線基板であって、
    前記絶縁樹脂層が、マイグレーション防止剤および絶縁樹脂を含み、
    前記絶縁樹脂層の前記金属配線層側の主面表面から、前記絶縁シートの全体厚みの2/5に相当する厚みまでの片側領域Aにおける、前記マイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、40質量%超である、配線基板。
  8. 前記マイグレーション防止剤が、メルカプト基を有する複素環化合物およびフェノール化合物からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項7に記載の配線基板。
  9. 前記絶縁樹脂が粘着性絶縁樹脂である、請求項7または8に記載の配線基板。
  10. 前記マイグレーション防止剤の含有量が、マイグレーション防止剤全質量に対して、60質量%以上である、請求項7〜9のいずれかに記載の配線基板。
  11. 前記片側領域Aの厚みが、前記金属配線層の最大厚みよりも大きい、請求項7〜10のいずれかに記載の配線基板。
  12. 請求項7〜11のいずれかに記載の配線基板を含むタッチパネル。
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