JP2014130334A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】画像形成装置は、複数の感光体のそれぞれで形成される現像剤像の画像濃度に基づいて、その次の画像形成において帯電用電源から印加する帯電電圧の大きさ及び露光手段のレーザパワーの出力を制御する制御手段とを備える。制御手段は、感光体ごとに帯電電圧の下限値を設定し、それらすべての下限値を下回らない大きさの帯電電圧を帯電用電源から前記複数の帯電手段に印加させ、かつ感光体ごとに個別に前記レーザパワーの出力を制御するものであって、先に転写媒体への転写が行われる現像剤像の画像濃度に基づき、その後に転写媒体へ転写される現像剤像が形成される感光体に対して、下限値を設定する。
【選択図】図1
Description
ローラ帯電方式の接触帯電装置では、帯電ローラに対してある一定以上の電圧(帯電開始電圧Vth)を印加したとき、感光体の表面電位は上昇を開始し、それ以降は、印加電圧に対して傾き1の線形に感光体表面電位が増加する。つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位(Vd)を得るためには、Vd+VthなるDC電圧を帯電部材に印加することが必要である。
ここで、DC帯電方式においては、感光体の表面電位の均一性を高める方法として、次のような従来技術が提案されている。即ち、一旦、画像形成に必要な非画像部電位(Vd)以上に感光体の一次帯電を行い、この一次帯電後でかつ現像前の位置に配置した露光装置(後露光装置)を弱発光させて感光体電位を露光し、表面電位を減衰(降下)させる。これにより、目標とする非画像部電位(Vd)を得る電位制御の方法である。
ここで、特許文献1には、トナー像の有無と転写電界の強度により生じる転写後の感光体電位のムラ(転写メモリ)の大きさに応じて一次帯電電位を大きく設定し、一次帯電電位と非画像部電位(Vd)との差が大きくなるように設定する方法が提案されている。
一方、DC帯電方式では、帯電開始電圧Vthが感光体の感光層膜厚に依存し変化するため、感光体の削れにより、感光体膜厚が減少すると、非画像部電位(Vd)が上昇してしまう。そこで、特許文献2には、通紙枚数、感光体の回転数、帯電電圧印加時間のいずれかの情報から、感光体膜厚を算出することで、露光量を制御することで潜像電位設定を一定にする方法が提案されている。この方法によれば、算出された感光体膜厚に応じて、画像部電位(Vl)を形成する最大光量と、非画像部電位(Vd)を形成する最小光量の範囲を変更することで、画像濃度、ライン幅、階調性を安定して再現することができる。これらの従来技術によれば、複数の感光体を有するカラー画像形成装置において、各々感光体に対する非画像部露光量を感光体膜厚に基づいて制御する。こうすることで、各々の感光体を帯電する帯電ローラに印加する電圧値を共通にした場合でも、一定の非画像部電位(Vd)を得ることができる。更には、画像部電位(Vl)を形成する画像部露光量も同時に感光体膜厚に基づいて制御する。こうすることで、複数の感光体に対する帯電電圧と、各々の感光体上の静電潜像を現像するための現像装置に印加する現像電圧を共通化することができるため、装置の小型化、低コスト化を行うことが可能になる。
好ましい。
しかし、中間転写体の回転方向の上流から下流に向けて複数の感光体が配置されたいわゆるインラインカラー画像形成装置では、上流ステーションの画像濃度によって、下流ステーションの感光体が一次転写位置で受ける転写メモリの大きさが異なることがある。そのため、上流ステーションでの画像濃度が高い場合は、下流ステーションでの一次帯電電位と非画像部電位(Vd)との差が大きくなるように設定する。即ち、画像形成に必要な非画像部電位(Vd)よりも高い一次帯電電位を得るために、帯電電圧とバックグラウンド露光量を大きく設定することになる。
また、複数の感光体に対する帯電電圧を共通化し、且つ、複数の感光体に対向する複数の現像装置に対する現像電圧を共通化した、小型のカラー画像形成装置においては、全ステーションでの非画像部電位(Vd)を一定に維持する必要がある。そのため、使用に伴い感光体の膜厚が減少したステーションではバックグラウンド露光量を大きく設定することになる。
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
複数の感光体と、
互いに共通の帯電用電源から帯電電圧を印加され、前記複数の感光体を帯電する複数の帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された後の前記複数の感光体の表面に、第一のレーザパワーで露光して非画像部電位を形成し、第二のレーザパワーで露光して画像部電位を形成する露光手段と、
互いに共通の現像用電源から現像電圧を印加され、前記複数の感光体において前記画像部電位が形成された領域に現像剤を付着させて現像剤像を形成する複数の現像手段と、
転写電圧を印加され、前記複数の感光体上に形成された現像剤像を転写媒体に順次重ね合わせる様に転写させる転写手段と、
前記複数の感光体のそれぞれで形成される現像剤像の画像濃度に基づいて、前記帯電用電源から印加する帯電電圧の大きさ及び前記露光手段のレーザパワーの出力を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
感光体ごとに前記帯電電圧の下限値を設定し、それらすべての下限値を下回らない大きさの帯電電圧を前記帯電用電源から前記複数の帯電手段に印加させ、かつ感光体ごとに個別に前記レーザパワーの出力を制御するものであって、
先に前記転写媒体への転写が行われる現像剤像の画像濃度に基づき、その後に前記転写媒体へ転写される現像剤像が形成される感光体に対して、前記下限値を設定することを特徴とする。
(1−1)画像形成装置の全体的な概略構成の説明
図2は、本発明の実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。本発明の実施例に係る画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いたレーザービームプリンタである。プリンタ制御部(以下、制御部)100は、インターフェース201を介してプリンタコントローラ(外部ホスト装置)200が接続されている。画像形成装置1は、プリンタコントローラ(以下、コントローラ)200から入力された画像データ(電気的な画像情報)に対応した画像を、記録媒体である用紙Pに形成して画像形成物を出力する。制御部100は、画像形成装置の動作を制御する手段であり、コントローラ200と各種の電気的情報信号の授受をする。また、各種のプロセス機器やセンサから入力する電気的情報信号の処理、各種のプロセス機器への指令信号の処理、所定のイニシャルシーケンス制御、所定の作像シーケンス制御を司る。コントローラ200は、ホストコンピュータ、ネットワーク、イメージリーダ、ファクシミリ等である。用紙Pの代わりに記録媒体としてOHPシート、葉書、封筒、ラベル等を用いてもよい。
一化するためのものである。ドラムクリーナ14は、転写後の感光ドラム11表面を清掃するためのものである。感光ドラム11は不図示の駆動手段によって、図中の矢印方向に120(mm/sec)の表面移動速度(プロセス速度)で回転駆動される。ここで、感光ドラム11とは、アルミ素管上に、電荷発生層、電荷輸送層、表面層を順次積層して形成されている。本実施例では、電荷発生層、電荷輸送層、表面層を合わせて感光層として説明する。
導電性弾性体層の弾性に抗して所定の押圧力で当接している。芯金の両端部は回転可能に軸受け支持されており、帯電ローラ12は感光ドラム11の回転に従動して回転する。本実施例においては、帯電ローラ12の芯金に対して、帯電バイアス電圧が印加される。
構成も考えられる。この場合は、中間転写ベルト30の代わりに、記録媒体搬送ベルトを用いる。つまり用紙P(記録媒体)を記録媒体搬送ベルトによって各感光ドラム11の位置まで順次搬送し、搬送された用紙Pに各感光ドラム11から各色のトナー像を順々に重ね合わせるようにして転写する。このとき、記録媒体(用紙P)が、転写ローラ31Y〜31Kによって、トナー像を感光ドラム11から転写される転写媒体でもある。
図11を用いて、本実施例におけるレーザ露光ユニットについて説明する。図11に、レーザパワー制御系統に関するブロック図を示す。ここで、本実施例のレーザ露光ユニット20は、感光体表面を露光する際のレーザ出力として、第一のレーザパワー(E1)と第二のレーザパワー(E2)の2水準の出力値を切り替え出力可能に構成されている。即ち、制御部100には、各々のレーザパワーを個別に制御するレーザパワー制御部102が設けられている。コントローラ200から送られてくる画像信号は、8ビット=256階調の深さ方向をもつ多値信号(0〜255)であり、この信号が0のときレーザ光はオフ、255のとき完全オン(全点灯)、1〜254の間では、両者の中間の値を暫時もつものとする。本実施例では、画像処理部103において、シリアルな時系列デジタル信号に変換され、4×4ディザマトリックスによる面積階調と、600ドット/インチの各ドットパルスのレーザ発光時間を制御したレーザパルス幅変調を用いて、256段階に制御される。また、画像情報取得手段としての画像処理部103では、各色に対応した画像濃度データを取得する事が可能である。例えば、画像のある領域における画像信号がイエロー(Y):255、マゼンタ(M):255である場合は、その領域での多次色印字率は200%であると認識する。また、通信部101は、各プロセスカートリッジのメモリ17Y〜17Kに格納された、感光体膜厚及び感度に関する情報を読み出す。レーザパワー制御部102からは、各プロセスカートリッジの感光体の状態に応じて選択されたレーザパワー信号と、各プロセスカートリッジに対する画像データ信号が、レーザ露光ユニット20に送られる。レーザパワー出力部21は、レーザパワー制御部102から入力された選択信号に応じて、レーザパワーを切り替えて、レーザダイオード22を発光し、ポリゴンミラーを含んだ補正光学系23を経て、レーザ走査光Lとして、感光ドラム11に照射される。
図3(a)及び図3(b)を用いて、本実施例における潜像設定について説明する。本実施例の感光ドラム11は、アルミニウム製の円筒状基体と、その表面を覆うOPC(有
機半導体)感光層と、によって構成されている。
多次色転写ゴーストは、上流ステーションで形成されたトナー像の影響で、下流ステーションの感光ドラム11の電位が乱されることによる不良画像である。その原因は、下流ステーションの1次転写工程において、トナー像が有る部分とない部分とで感光体への転写電流の流れ込み量が異なることで、転写後の感光体上の電位にムラが生じることである。その転写後の電位ムラが、帯電工程で十分に均一にできないため、画像上にゴースト画像として現れる現象である。
カラー画像をプリントする際には、複数の色を重ねることで所望の色を出力する。例えば、赤色をプリント出力する際にはイエロー(Y)とマゼンタ(M)、青色をプリント出
力するにはマゼンタ(M)とシアン(C)、緑色であればイエロー(Y)とシアン(C)、というように、色を重ねる。これらの作像はイエロー10Y、マゼンタ10M、シアン10Cのステーションで行われる。そのため、ブラック10Kステーションで作像時には、すでに中間転写ベルト30上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナー像が存在している。このように、中間転写ベルト30上に、複数色のトナーが大量に重なった領域(以下、多次色部と称する)では、転写ローラ31から中間転写ベルト30を介して感光ドラム11に流れる転写電流が非常に少なくなる。そのため、多次色部とトナーが存在しない部分で流れる電流量の違いによって、一次転写通過後の感光ドラム表面電位に大きな差が生じる。
図8は、本発明者らの検討によって求められた帯電前の感光ドラム11表面の電位と帯電後の電位の関係を示した図である。実験は、温度25度、相対湿度50%の環境下にて、帯電電圧に−1040(V)を印加した際の感光ドラムの表面電位を測定した。図8を見ると、帯電前の電位が帯電後の電位と近い状態だと電位が安定していないことが分かる。おおよそ、帯電前の電位が−440(V)程度以下では帯電後の電位が−498〜−500(V)程度で比較的安定している。しかし、帯電前電位が−440(V)を超えると、徐々に狙いの帯電後電位である−500(V)を上回る電位が乗り始める。つまり、狙いの帯電後電位と帯電前電位の差が約60(V)以上あれば、帯電後の電位が安定し、それ以下になると徐々に帯電電位が高い値となる。この狙いの帯電後電位よりも電位が乗る現象を「過帯電」と称する。
図13は図12と同様にブラック10Kステーションの感光ドラム11表面の電位を表している。図13(a)に示すように、感光体ドラム表面は、−600(V)に一次帯電され、露光工程でバックグランド露光が行なわれることで、−500(V)の表面電位が形成される。このとき、一次転写位置を通過した後の感光ドラム11の電位は、図12(
a)とほぼ同じ電位となり、a部とb部では大きな電位差が生じている。図13(b)は帯電工程を通過後の電位を表している。帯電前にa部とb部の電位差はあるものの、b部においても狙っている一次帯電電位との電位差が十分あるため均一帯電が可能となり、一次帯電電位はほぼ均一になっている。当然、図13(c)に示すように、露光工程において中間調濃度を形成するための露光を行なったあとも電位は均一であり、最終的な画像にも濃度差(ゴースト画像)は現れない。
次に、図5(a)、図5(b)、図6(a)、図6(b)、図10(a)を用いて、感光ドラムのE−V曲線の変化特性に関して説明する。
昇することによって、E−V曲線の傾きが小さくなる。即ち、感光層の経時的な膜厚変化、及び、製造時の感光層膜厚(初期膜厚)によって、感光体電位は変化する。
光量E2に及ぼす感光層感度の影響度をそれぞれ表している。
図4は、本実施例における帯電バイアス電源(帯電用電源)602及び現像バイアス電源601と各プロセスカートリッジとの接続について説明する配線図である。図4に示したように、プロセスカートリッジ10Y〜10Kの帯電ローラ12Y〜12Kには、共通の帯電バイアス電源602が接続されている。すなわち、帯電ローラ12Y〜12Kへは同一の帯電バイアス電圧が印加されるように構成されている。また同様に、プロセスカートリッジ10Y〜10Kの現像ローラ13Y〜13Kには、共通の現像バイアス電源601が接続されている。この場合も、現像ローラ13Y〜13Kへは同一値の現像バイアス電圧が印加されるように構成されている。このように、本実施例の画像形成装置1では、プロセスカートリッジ10Y〜10Kに対する帯電電圧及び現像電圧電源を共通化することで、装置の小型化及び低コスト化の実現を可能としている。
制御部100は、画像情報取得手段としての画像処理部103が取得した多次色印字率情報と予め求められた表1から、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kに対する、必要な暗部コントラスト(Va)を決定する。即ち、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kのそれぞれに対して、上流ステーションの多次色部の印字率の最大値が100%以上の場合、暗部コントラストVa=60(V)と、暗部電位Vd=−440(V)を確保できるように一次帯電電位(V0)を決定する。次に、本発明における制御手段及び取得手段としての制御部100は、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kのメモリ17Y〜17Kから初期膜厚に関する情報mi(μm)、膜厚変化量に関する情報mj(μm)を各々読み出す。そして、それらの情報から、膜厚(mi−mj)(μm)を算出する。続いて、制御部100は、以下の(式1)に基づいて、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kに対して必要な帯電電圧の下限値(Vp−Y、Vp−M、Vp−C、Vp−K)を、それぞれ算出する。最後に、制御部100は、求められたVp−Y〜Vp−Kの内、最大の値を、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kに対する共通の帯電電圧(Vp)として、決定する。つまりVp−Y、Vp−M、Vp−C、Vp−Kのすべてを下回らない帯電電圧Vpを選択するとよい。ここで、膜厚変化量mj(μm)は、プリント枚数t(枚)から算出されるものであり、初期膜厚mi(μm)と合わせて、随時、メモリ17に書き込まれる情報である。
mj=ε×t (式2)
α、β、ε:係数
次に、図7を参照して、本実施例における、非画像部露光量(E1)及び画像部露光量(E2)のレーザパワーの設定方法に関して、以下に説明する。図7(a)は、レーザパワーE1の算出方法、図7(b)はレーザパワーE2の算出方法をそれぞれ説明する図である。本実施例においては、感光ドラム11の製造時の膜厚(初期膜厚)と、感光ドラム11の使用履歴情報から、E−V曲線を精度よく予測して、レーザパワーを制御することで、所望の暗部電位(Vd)及び明部電位(Vl)を形成する。具体的には、感光体のE−V曲線の実使用領域を、図7(a)及び図7(b)のように、それぞれ傾きの異なる一
次関数で近似する。そして、目標とする暗部電位Vd=−440(V)及び明部電位Vl=−150(V)を得るために必要な、レーザパワーE1及びE2を各々算出する。制御部100は、プロセスカートリッジのメモリ17Y〜17Kから初期膜厚に関する情報mi(μm)、膜厚変化量に関する情報mj(μm)、感光層感度に関する情報k1及びk2をそれぞれ読み出す。次に、制御部100は、上述した方法によって決定された全プロセスカートリッジに対する共通の帯電電圧(Vp)と、以下の(式3)〜(式7)に基づいて、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kに対する、各レーザパワーE1及びE2を算出する。
E2=k2×(Vl+V0)/η (式4)
V0=Vp−α×(mi−mj)+β (式5)
γ=ω×(mi−mj)+τ (式6)
η=μ×γ (式7)
α、β、ω、τ、μ:係数
次に、図1のフローチャートを用いて、本実施例における、レーザパワー制御方法に関して説明する。ホスト200からプリント信号が入力される(S101)と、画像形成装置1内の画像情報取得手段としての画像処理部103は、各色の画像濃度データを取得する(S102)。続いて、画像形成装置1内の通信部101は、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kに搭載されたメモリ17Y〜17Kと通信を行ない、各メモリに格納されている種々の情報を読み出す(S103〜S105)。読み出す情報は、初期膜厚mi、初期感度(感光層感度に関する情報)k1及びk2、膜厚変化量mjである。
る(S108)。画像形成動作を行い(S109)、プリント枚数tを計測する(S110)。そして、制御部100は、計測結果から(式2)に基づいて、膜厚変化量mjを算出し(S111)、算出結果を、通信部101を介して、各プロセスカートリッジのメモリ17に書き込み(上書き)する(S112)。
Y:−440(V)、M:−440(V)、C:−500(V)、K:−500(V)となる。即ち、それぞれの感光体膜厚から、感光体ドラム11を適切に帯電するのに必要な帯電電圧(Vp)の下限値は、表2(a)で示すように、Y:−980(V)、M:−950(V)、C:−990(V)、K:−960(V)となる。これらVp−Y=−980(V)、Vp−M=−950(V)、Vp−C=−990(V)、Vp−K=−960(V)を下回らないよう、これらの最大値である、−990(V)が共通の帯電電圧(Vp)として決定される。この結果、−990(V)の帯電電圧(Vp)により帯電した各プロセスカートリッジの感光体ドラム11は、表2に記載の一次帯電電位(V0)になる。すなわち、各色のドラムの電位は、Y:−450(V)、M:−480(V)、C:−500(V)、K:−530(V)となって、必要とされた一次帯電電位を上回る電位となる。そして画像形成に必要な暗部電位Vd=−440(V)を形成するために、必要なバックグラウンド露光量(E1)は、Y:0.004(μJ/cm2)、M:0.021(μJ/cm2)、C:0.034(μJ/cm2)、K:0.06(μJ/cm2)となる。また、画像形成に必要な明部電位Vl=−150Vを形成するために、必要なバックグラウンド露光量(E2)は、Y:0.20(μJ/cm2)、M:0.248(μJ/cm2)、C:0.287(μJ/cm2)、K:0.362(μJ/cm2)となる。なお本実施例において、V0、Vpの値はマイナスである。説明において電位の下限値や最大値といった場合、それらの絶対値の大きさが下限や最大となる値という意味である。
例えば、シアンの感光体ドラムに対応するVp−Cの値は、シアンの現像剤像よりも先に中間転写ベルト30に転写されるイエローの現像剤像とマゼンダの現像剤像の画像濃度によって決定される。イエローとマゼンダの画像濃度の積算値が大きい場合(画像Aを形成する場合)は、この画像濃度の積算値が小さい場合(画像Bを形成する場合)よりも、画像形成中にシアンの感光体ドラム11の表面電位が不均一になりやすい。つまり画像Aを形成する場合に、シアンの感光体ドラム11が中間転写ベルト30に形成されたイエローとマゼンダのトナー像に触れると、そのトナー像に触れた領域と触れなかった領域との間で、感光体ドラム11の表面電位が大きく変わってしまう。そのまま画像形成を続ける
と、シアンの感光体ドラム11の表面電位には、感光体ドラム11の2周目以降、イエローとマゼンダの画像の影響が生じてしまう可能性がある。
しかし本実施例では、画像Aの場合は画像Bの場合よりもVp−Cを大きくしている。このため、表2に示すように、画像Aを形成する際の帯電電位Vpは−990Vが選択され、画像Bを形成する際のVpである−980Vよりもその絶対値(大きさ)が大きくなる。これにより画像Aの形成中に、シアンの感光体ドラム11の表面電位が中間転写ベルト30との接触で不均一になったとしても、その感光体ドラム11の電位を帯電によって均一に戻しやすくなる。つまりは画像Aを形成している間、感光体ドラム11の表面電位11が安定する。シアンで形成されるトナー像の中に、マゼンダやイエローで形成された画像の影響が生じることが抑制される。
なお、マゼンダの感光体ドラム11に対応するVp−Mは、マゼンダの現像剤像よりも先に中間転写ベルト30に転写されるイエローの現像剤像の画像濃度に基づいて決められる。またブラックの感光体ドラム11に対応するVp−Kは、ブラック(K)の現像剤像よりも先に中間転写ベルト30に転写されるイエロー(Y)とマゼンダ(M)とシアン(C)の現像剤像の画像濃度をすべて積算した積算値に基づいて決めている。これにより、マゼンダやブラックの感光体ドラム11でも、シアンの感光体ドラム11と同様の表面電位を安定化できる。上流側の感光体ドラム11で形成された画像の影響が、下流側の感光体ドラム11で形成する画像に生じること(ゴースト画像が生じること)が抑制できる。
本発明の実施例2における画像形成装置、感光ドラム、潜像設定、高圧電源構成は、実施例1と同様である。本実施例は、感光ドラムの露光履歴(被露光量)を考慮することで、E−V曲線の予測精度を更に向上させて、レーザパワーE1及びE2を制御することを特徴とする。
感光体ドラムの使用に伴う、電位の変化要因として、感光層膜厚の変化に加えて、レーザ露光による感度の変化(低下)が生じる。これは、本実施例のように非画像部露光量を最小に抑制制御した場合でも、感光体の使用にともないわずかに発生する。これは、非画像部露光(E1)と画像部露光(E2)が繰り返されることで、感光層内に残留電荷が蓄積することが原因である。そのため、画像形成回数に加えて、レーザ露光面積即ち画像データ数に応じて、感度変化の度合いが異なり、累積の露光エネルギーが多くなる程、残留電荷量が増加する。一例として、図10(b)に、0%印字率及び5%印字率で20000(枚)のプリントを行った後の、13(μm)の感光ドラムのE−V曲線を示す。プリント画像データの履歴(いわゆる、被露光履歴)によって、E−V曲線が変化することが分かる。露光履歴のない感光ドラムを想定して、レーザ露光出力値E1及びE2を設定した場合、露光履歴のあるドラムに対しては、目標とする暗部電位(Vd)及び明部電位(
Vl)が得られず、各々、Vdp、Vlpとなってしまう。このため、本実施例においては、感光ドラムの露光履歴(被露光量)を検出して、露光履歴が大きい場合は、レーザパワーE1及びE2が大きくになるように補正することで、精度よく暗部電位(Vd)及び明部電位(Vl)を形成する。本実施例における感光ドラムは、露光履歴によってE−V曲線が図10(b)のように変化するため、レーザパワーE1に対する補正率よりも、レーザパワーE2に対する補正率を大きくすることが好ましい。
本実施例においては、各プロセスカートリッジの感光体の露光履歴(ρ)を検出する。具体的には、制御部100は、プリント画像データからピクセル数を計測し、積算ピクセル値(P)を算出することで、画像部露光量(E2)要因による露光履歴を求める。一方、非画像部露光量(E1)要因による露光履歴は、画像形成回数(プリント枚数)を用いることができる。例えば、5%の印字率で1000(枚)プリントした場合、積算ピクセル値P=5000と計測し、露光履歴(ρ)は以下の(式10)から、5.8×10−3と算出される。露光履歴(ρ)は、プリントが行われる毎に、随時メモリ17に書き込まれる情報である。
E2=(1+λ×ρ)×k2×(Vl−V0)/η (式9)
ρ=ζ×P +δ×t (式10)
δ、λ、ζ:係数
図9のフローチャートを用いて、本実施例における、レーザパワー制御方法に関して説明する。ホスト200からプリント信号が入力される(S901)と、画像形成装置1内の画像情報取得手段としての画像処理部103は、各色の画像濃度データを取得する(S902)。続いて、画像形成装置1内の通信部101は、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kに搭載されたメモリ17Y〜17Kと通信を行ない、各メモリに格納されている種々の情報を読み出す(S903〜S906)。読み出す情報は、初期膜厚mi、初期感度(感光層感度に関する情報)k1及びk2、膜厚変化量mj、露光履歴(ρ)である。
いて、制御部100は、(式5)〜(式10)に基づいて、各プロセスカートリッジに対する、第一レーザパワーE1を決定し(S908)、同様に第二レーザパワーE2を決定する(S909)。画像形成動作を行い(S910)、プリント枚数(t)を計測する(S911)。そして、制御部100は、計測結果から(式2)に基づいて、膜厚変化量mjを算出し(S912)、算出結果を、通信部101を介して、各プロセスカートリッジのメモリ17に書き込み(上書き)する(S913)。続いて、制御部100は、プリント枚数(t)とともに計測された積算ピクセル値(P)から、(式10)に基づいて、露光履歴(ρ)を算出する(S914)。そして、算出結果を、通信部101を介して、各プロセスカートリッジのメモリ17に書き込み(上書き)する(S915)。
上記実施例1、2では、制御部100は、前の画像形成において形成された画像(現像剤像)の画像濃度に基づいて、その後の画像形成において帯電電位Vpと、レーザパワーE1、E2を制御するようにした。帯電電圧Vpの大きさおよびレーザパワーE1,E2の大きさを必要最低限に保ち、感光体ドラムの消耗を抑えることができる。この際、制御部100は、各色の感光体ドラム11ごとに必要な帯電電圧の下限値としてVp−Y、Vp−M、Vp−C、Vp−Kを設定し、実際に印加する帯電電圧Vpをこれらすべての下限値を下回らないよう設定した。制御部100は、先に中間転写ベルト30への転写が行われる現像剤像の画像濃度に基づき、その後に中間転写ベルト30へ転写される現像剤像が形成される感光体ドラム11に対して、帯電電圧の下限値を設定するものである。例えばシアン(C)の感光体ドラム11に対して設定される下限値Vp−Cは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)の現像剤像の画像濃度に基づき決定される。これにより、各帯電ローラに帯電電圧を印加する帯電バイアス電源602が共通であっても、各感光体ドラム11を均一に帯電するのに十分な帯電電位Vpを設定することができ、多次色転写ゴーストの発生を抑えることができる。
Claims (12)
- 記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
複数の感光体と、
互いに共通の帯電用電源から帯電電圧を印加され、前記複数の感光体を帯電する複数の帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された後の前記複数の感光体の表面に、第一のレーザパワーで露光して非画像部電位を形成し、第二のレーザパワーで露光して画像部電位を形成する露光手段と、
互いに共通の現像用電源から現像電圧を印加され、前記複数の感光体において前記画像部電位が形成された領域に現像剤を付着させて現像剤像を形成する複数の現像手段と、
転写電圧を印加され、前記複数の感光体上に形成された現像剤像を転写媒体に順次重ね合わせる様に転写させる転写手段と、
前記複数の感光体のそれぞれで形成される現像剤像の画像濃度に基づいて、前記帯電用電源から印加する帯電電圧の大きさ及び前記露光手段のレーザパワーの出力を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
感光体ごとに前記帯電電圧の下限値を設定し、それらすべての下限値を下回らない大きさの帯電電圧を前記帯電用電源から前記複数の帯電手段に印加させ、かつ感光体ごとに個別に前記レーザパワーの出力を制御するものであって、
先に前記転写媒体への転写が行われる現像剤像の画像濃度に基づき、その後に前記転写媒体へ転写される現像剤像が形成される感光体に対して、前記下限値を設定することを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御手段は、先に前記転写媒体への転写が行われる全ての現像剤像の画像濃度に基づき、その後に転写媒体へ転写される現像剤像が形成される感光体に対して、前記下限値を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、先に前記転写媒体へ転写が行われる全ての現像剤像の画像濃度を積算して、その積算した値が大きくなるほど、後に前記転写媒体に転写される現像剤像が形成される感光体に対して、前記下限値を大きく設定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置は、前記複数の感光体のそれぞれの感光層の膜厚を取得する取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記感光体に対して、その感光層の膜厚に基づいて前記下限値を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記画像形成装置は、前記複数の感光体のそれぞれの感光層の膜厚を取得する取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記感光体を露光するためのレーザパワーの出力を、その感光層の膜厚に基づいて設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記取得手段は、感光層の初期膜厚と、前記感光体の使用頻度に基づいて算出される膜厚変化量と、に基づいて感光層の膜厚を算出することを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
- 前記感光体の使用頻度は、画像形成回数、前記感光体の総回転数、前記帯電手段に対す
る帯電電圧の印加時間の少なくとも一つに基づいて算出されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記感光体を露光するためのレーザパワーの出力を、その感光体の被露光量に基づいて、制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記被露光量は、形成される画像のピクセル数、画像形成回数のうち、少なくとも一つに基づいて算出されることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
- 前記複数の感光体をクリーニングする複数のクリーニング手段を更に備え、
前記帯電手段、前記現像手段、前記クリーニング手段のうち少なくとも一つと、前記感光体が、対応する構成ごとにプロセスカートリッジとして一体に構成され、それぞれ画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記複数の感光体の感光層の初期膜厚、感度特性、使用頻度、被露光履歴を少なくとも含む前記複数の感光体に関する情報を記憶する複数の記憶手段を更に備え、
前記複数の記憶手段が、対応する前記プロセスカートリッジにそれぞれ一体に構成されていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。 - 前記制御手段は、感光体ごとに設定された前記下限値のうち、最も大きな下限値を前記帯電用電源から前記複数の帯電手段に印加させる帯電電圧の大きさとして設定することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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