JP2018081140A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】除電プロセスを行わないタンデム型の電子写真方式の画像形成装置において、感光体ドラムの表面の削れ量を推定する。【解決手段】イレースレス方式のタンデム画像エンジン2を備えた画像形成装置において、削れ量推定部60は、転写ベルトの駆動方向の上流側から第i番目(1≦i≦m)の感光体ドラムの削れ量を推定するには、第i番目の感光体ドラムに自色のトナー像を形成するために用いられる自色の色画像データーに基づくとともに、さらにiが2以上の場合には第1番目から第i−1番目までの感光体ドラムに各色のトナー像を形成するために用いられる1または複数の上流色の色画像データーに基づいて推定する。【選択図】図5
Description
この発明は画像形成装置に関し、たとえば、タンデム型の電子写真方式による画像形成装置に関するものである。
画像形成装置の感光体には、帯電時の放電、現像ローラーおよび中間転写ローラーによる摩擦、クリーニングブレードによる掻き取りなどの電気的および機械的外力が頻繁に加わっている。このため、印刷枚数が増加するにつれて感光体の表面が次第に削られていくことが知られている。また、このような感光体の削れ量が均一でない場合には、削れ過ぎによる画像不良などの不具合が生じることがある。
上記のような感光体の削れ量の不均一に関する先行技術文献として、たとえば、特開2014−016539号公報(特許文献1)がある。具体的にこの文献の画像形成装置では、現像ローラーのトナー担持領域が対応する感光体の第1領域と、現像ローラーのトナー非担持領域が対応する感光体の第2領域との両方で、感光体表面の削れ量が予測される。いずれか一方の領域の総削れ量が閾値に達したとき感光体の寿命と判定される。
ところで、通常の電子写真プロセスでは、感光体の状態を初期化するために感光体の帯電に先立って除電が行われるのが一般的である。しかしながら、残像などの問題が生じ難い場合には、除電を行う必要はない。このように除電が行われないシステムをイレースレスシステムと称する。
本願発明者は、感光体ドラムの軸方向での表面の削れ量の不均一が、イレースレスシステムで特に問題になり得ることを見出した。このようなイレースレスシステムに特有の削れムラの発生メカニズムについては、実施の形態において詳しく説明する。
この発明は、上記の問題点を考慮したものであって、その主な目的は、除電プロセスを行わないタンデム型の電子写真方式の画像形成装置において、感光体ドラムの表面の削れ量を推定することである。この発明の他の目的は、感光体ドラムの感光層の軸方向での膜厚の不均一性を抑制することである。
一実施形態の画像形成装置は、イレースレス方式のタンデム画像エンジンと、削れ量推定部とを備える。タンデム画像エンジンは、転写ベルトの駆動方向に沿って配置されたm個(mは2以上の整数)の感光体ドラムを有し、m色の色画像データーに基づいてm個の感光体ドラムにそれぞれの色のトナー像を形成し、形成された各トナー像を記録媒体に転写するように構成される。削れ量推定部は、各感光体ドラムの感光層の削れ量を推定するように構成される。削れ量推定部は、駆動方向の上流側から第i番目(1≦i≦m)の感光体ドラムの削れ量を推定するには、第i番目の感光体ドラムに自色のトナー像を形成するために用いられる自色の色画像データーと、さらにiが2以上の場合には第1番目から第i−1番目までの感光体ドラムに各色のトナー像を形成するために用いられる1または複数の上流色の色画像データーとに基づいて推定する。
削れ量推定部は、各感光体ドラムの感光層の表面を各感光体ドラムの軸方向にn個の領域(nは2以上の整数)に区分してもよい。この場合、各感光体ドラムのn個の領域にそれぞれ対応して、通紙可能な最大幅の記録媒体は通紙方向と直交する方向にn個の領域に区分される。削れ量推定部は、第1番目の感光体ドラムの第j番目(1≦j≦n)の領域の削れ量を推定する際には、最大幅の記録媒体に自色の色画像データーを印字したと仮定したときの第j番目の領域における、自色を印字した箇所の割合と自色を印字しなかった箇所の割合とに基づいて削れ量を推定する。削れ量推定部は、第i番目(2≦i≦m)の感光体ドラムの第j番目の領域の削れ量を推定する際には、最大幅の記録媒体に自色および1または複数の上流色の色画像データーを印字したと仮定したときの第j番目の領域における、自色および上流色を重ねて印字した箇所の割合、上流色を印字しかつ自色を印字しなかった箇所の割合、自色を印字しかつ上流色を印字しなかった箇所の割合、および自色および上流色のいずれも印字しなかった箇所の割合とに基づいて削れ量を推定する。
削れ量推定部は、上記の各割合と、各感光体ドラムを帯電する際に帯電部材に印加する電圧値と、各感光体ドラムに形成されたトナー像を転写する際に転写ローラーに印加する電圧値とに少なくとも基づいて、各感光体ドラムの領域ごとに帯電時に与えられる平均的な放電エネルギーを算出し、算出された平均的な放電エネルギーに基づいて各感光体ドラムの領域ごとの削れ量を推定してもよい。
画像形成装置は、各感光体ドラムの領域ごとの削れ量の推定値に基づいて、各感光体ドラムの領域ごとの削れ量を均一化するための均一化シーケンスをタンデム画像エンジンに実行させる削れ量均一化部をさらに備えていてもよい。
削れ量均一化部は、均一化シーケンスにおいて、現像および転写を行わずに、帯電、露光および感光体クリーニングを行うようにタンデム画像エンジンを制御してもよい。均一化シーケンスでは、各感光体ドラムのn個の領域のうち感光層の膜厚が厚い領域ほど露光面積が多くなる。
もしくは、削れ量均一化部は、均一化シーケンスにおいて、転写を行わずに、帯電、露光、現像および感光体クリーニングを行うようにタンデム画像エンジンを制御してもよい。均一化シーケンスでは、各感光体ドラムのn個の領域のうち感光層の膜厚が厚い領域ほど露光面積が多くなる。
上記の実施形態によれば、除電プロセスを行わないタンデム型の電子写真方式の画像形成装置において、感光体ドラムの表面の削れ量を推定することができる。さらに、上記の削れ量均一化部を設けることによって、感光体ドラムの感光層の軸方向での膜厚の不均一性を抑制することができる。
以下、実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない場合がある。
[画像形成装置の作像部および搬送部の構成]
図1は、フルカラータンデム型の画像形成装置において画像形成に関係する部分の主な構成を模式的に示す断面図である。図1を参照して、画像形成装置1は、電子写真方式の画像形成プロセスに基づくものであり、感光体表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写し、転写されたトナー像を記録媒体に定着させることによって画像形成を行う。図1に示すように画像形成装置1は、画像形成を行う作像部2と、記録媒体Tとしての用紙31を搬送する搬送部3とを含む。
図1は、フルカラータンデム型の画像形成装置において画像形成に関係する部分の主な構成を模式的に示す断面図である。図1を参照して、画像形成装置1は、電子写真方式の画像形成プロセスに基づくものであり、感光体表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写し、転写されたトナー像を記録媒体に定着させることによって画像形成を行う。図1に示すように画像形成装置1は、画像形成を行う作像部2と、記録媒体Tとしての用紙31を搬送する搬送部3とを含む。
作像部2は、中間転写方式のタンデム画像エンジンである。具体的に作像部2は、カートリッジ10Y,10M,10C,10Kと、中間転写ベルト20と、支持ローラー21,22と、1次転写ローラー15Y,15M,15C,15Kと、2次転写ローラー24と、定着部25と、中間転写ベルトクリーニング部23とを備える。
カートリッジ10Y,10M,10C,10Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー色にそれぞれ対応して設けられている。カートリッジ10Y,10M,10C,10Kを総称する場合または不特定のものを示す場合にカートリッジ10と記載する。1次転写ローラー15Y,15M,15C,15Kは、カートリッジ10Y,10M,10C,10Kにそれぞれ対応して設けられている。1次転写ローラー15Y,15M,15C,15Kを総称する場合または不特定のものを示す場合に1次転写ローラー15と記載する。
各カートリッジ10は、感光体ドラム11と、帯電部12と、露光部13と、現像部14と、感光体クリーニング部16とを備える。感光体ドラム11は、その表層の感光層の表面に形成された静電潜像を担持するためのものである。なお、この明細書では、感光層の表面を感光体表面とも称する。帯電部12、露光部13、現像部14、1次転写ローラー15、および感光体クリーニング部16は、この順番で感光体ドラム11の周囲に感光体ドラム11の回転方向に沿って設けられている。したがって、帯電、露光、現像、1次転写、感光体クリーニングの順にプロセスが進行する。
帯電部12は、帯電ローラーなどの帯電部材によって感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。露光部13は、感光体ドラム11の表面上で画像に対応している部分を露光することによって、感光体表面に静電潜像を生成する。現像部14は、対向電極によって生成した電界力の作用によって、感光体表面の静電潜像に帯電したトナーを付着させる。本実施の形態の場合、露光された箇所にトナーを付着させることによって画像を形成する反転現像である。1次転写ローラー15は、感光体表面上に形成されたトナー像を電界力の作用で中間転写ベルト20上に転写する。感光体クリーニング部16は、クリーニングブレードによって感光体表面を掻き取ることによって、中間転写ベルト20に転写されずに感光体表面の残っている転写残トナーを除去する。これによって感光体表面が清掃される。
なお、本実施の形態と異なる通常の画像形成装置では、各カートリッジ10において感光体クリーニング部16と帯電部12との間に除電部(イレーサーとも称する)が設けられている。除電部は、たとえば、光を照射したり、バイアス電圧が印加された部材を感光体表面に接触させたりすることによって感光体表面の帯電状態を初期化する。これに対して、本実施の形態の画像形成装置1は、除電部が設けられていないイレースレス方式である点に特徴がある。
中間転写ベルト20は、支持ローラー21,22とともに中間転写ユニットを構成する。中間転写ベルト20は、平行配置された支持ローラー21,22によって一定のテンションが与えられた状態で支持されている。支持ローラー21,22の内の1本は機械本体(不図示)と連結され、機械本体により駆動される。中間転写ベルト20は、カートリッジ10Y,10M,10C,10Kの感光体ドラム11とそれぞれに対応する1次転写ローラー15Y,15M,15C,15Kとによって挟まれた状態で、カートリッジ10Y,10M,10C,10Kの配列方向に沿って駆動される。各カートリッジ10Y,10M,10C,10Kの感光体ドラム11の表面上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト20上に転写されることによって互いに重ね合わされた状態になる。
2次転写ローラー24は、1次転写ローラー15Y,15M,15C,15Kよりも中間転写ベルト20の駆動方向の下流位置に配置されている。2次転写ローラー24は、中間転写ベルト20上に転写された複数色のトナー像を、記録媒体T(たとえば、用紙31)の上に転写する。
定着部25は、記録媒体T上に転写されたトナー像を加熱かつ加圧することによって記録媒体Tに定着する。定着部25は、たとえば、加熱ローラー25aと加圧ローラー25bとによって構成される。
中間転写ベルトクリーニング部23は、1次転写ローラー15Y,15M,15C,15Kよりも中間転写ベルト20の駆動方向の上流位置に配置されている。中間転写ベルトクリーニング部23は、記録媒体Tに転写されずに中間転写ベルト20上に残っている転写残トナーを除去することによって、中間転写ベルト20を清掃する。
上記の感光体ドラム11、帯電部12、露光部13、現像部14、感光体クリーニング部16、1次転写ローラー15、中間転写ベルト20、2次転写ローラー24、定着部25、中間転写ベルトクリーニング部23などは、電子写真方式の周知技術を任意に選択して使用してよい。
次に、搬送部3について説明する。搬送部3は、記録媒体収納部30と、給紙ローラー32と、タイミングローラー33と、通紙センサー34と、排紙ローラー36と、両面搬送ローラー35a,35bとを含む。
給紙ローラー32は、記録媒体収納部30から用紙31などの記録媒体Tを搬送経路40に給紙する。タイミングローラー33は、2次転写ローラー24によって記録媒体T上にトナー像が転写されるタイミングを調整するために、搬送経路40上を搬送された記録媒体Tを一旦停止させる。排紙ローラー36は、定着部25による定着後の記録媒体Tを排出するか又は両面搬送経路41に搬送する。両面搬送ローラー17a,17bは、両面搬送経路41を経由して記録媒体Tをタイミングローラー33まで搬送する。
[画像形成装置の全体構成]
図2は、画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。図2を参照して、画像形成装置1は、既に説明した作像部2および搬送部3に加えて、スキャナー部50、ADF(Auto Document Feeder)部51、制御部100、記憶装置105、操作パネル106、通信インターフェイス(I/F:Interface)107、および画像処理部108を備えていてもよい。なお、図2の画像形成装置の構成はコピー機を想定したものであるが、画像形成装置がプリンタ専用機の場合には図2のスキャナー部50およびADF部51は設けられていなくてよい。
図2は、画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。図2を参照して、画像形成装置1は、既に説明した作像部2および搬送部3に加えて、スキャナー部50、ADF(Auto Document Feeder)部51、制御部100、記憶装置105、操作パネル106、通信インターフェイス(I/F:Interface)107、および画像処理部108を備えていてもよい。なお、図2の画像形成装置の構成はコピー機を想定したものであるが、画像形成装置がプリンタ専用機の場合には図2のスキャナー部50およびADF部51は設けられていなくてよい。
スキャナー部50は、原稿台に載置された原稿をイメージセンサーによって読み取って画像データーに変換する。ADF部51は、原稿トレイに載置された複数の原稿を1枚ずつ搬送し、原稿台の読み取り位置において読み取り処理の終わった原稿を排紙トレイに排出する。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、インターフェイス(I/ F:Interface)104とを備える。
CPU101は、ROM103に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、画像形成装置1全体の処理を実現する。
RAM102は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などであり、CPU101がプログラムを動作するために必要なデーターおよび画像データーを一時的に記憶する。したがって、RAM102は、いわゆるワーキングメモリとして機能する。
ROM103は、典型的には、フラッシュメモリなどであり、CPU101で実行されるプログラムおよび、画像形成装置の動作に関係する各種設定情報などを記憶する。
インターフェイス104は、外部機器との間で各種信号のやりとりを行う。具体的に、制御部100はインターフェイス104を介して、記憶装置105、操作パネル106、通信インターフェイス107、画像処理部108、作像部2、搬送部3、スキャナー部50、およびADF部51と電気的に接続される。
記憶装置105は、各種の制御値、ならびに通信インターフェイス107を介して入力されたデーターおよび画像データーなどを記憶する。
操作パネル106は、印刷部数、印刷方法、用紙の種類およびサイズなどの各種の設定値をユーザーが入力するためのものである。操作パネル106には、さらに画像形成装置が原稿の読み取りおよび印刷を開始するためのスタートボタンが設けられている。
通信インターフェイス107は、外部装置と通信を行なうためのデバイスである。通信インターフェイス107は、一例として、無線LAN(Local Area Network)カードである。画像形成装置1は、通信インターフェイス107を介してLANまたはWAN(Wide Area Network)に接続された外部装置と通信可能に構成される。通信インターフェイス107は、外部装置から画像データーおよび各種設定値などのデーターを受信する。
画像処理部108は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などによって構成される。画像処理部108は、スキャナー部50によって読み出されたR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の画像データーを、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像データーに変換して出力する。この明細書では、各色の画像データーを色画像データーと称する。
[除電部が設けられていない場合の問題点について]
以下、除電部が設けられていないイレースレス方式の問題点について説明する。
以下、除電部が設けられていないイレースレス方式の問題点について説明する。
以下の説明では、複数の感光体ドラム11のうちで着目している感光体ドラム11に形成されるトナー像の色を自色と称する。着目している感光体ドラム11よりも中間転写ベルト20の駆動方向の上流側に設けられた感光体ドラム11に形成されるトナー像の色を上流色と称する。具体的に図1の装置構成において、自色がブラック(K)の場合、上流色はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、およびシアン(C)である。自色がシアン(C)の場合、上流色はイエロー(Y)およびマゼンタ(M)である。自色がマゼンタ(M)の場合、上流色はイエロー(Y)である。自色がイエロー(Y)の場合、上流色はない。
イレースレスシステムに限らず一般の電子写真方式の画像形成装置では、帯電部からの放電エネルギーによって感光体表面が劣化し、劣化した感光体表面は、主として感光体クリーニング部のクリーニングブレードによって削り取られる。この結果、通算印刷枚数の増加に伴って感光体ドラムの表面部にある感光層の厚みは次第に薄くなる。
図1に示すイレースレスシステムの場合には、感光体表面の帯電状態がリセットされないままで帯電部12によって帯電される点に特徴がある。このため、感光体表面の帯電状態によって帯電時に受ける放電エネルギーの大きさが異なり、この結果、感光体表面の削れ量が不均一になる。感光体表面の帯電状態は、感光体表面が露光されたか否かによって異なり、さらに、1次転写ローラー15と感光体ドラム11との間を流れる1次転写電流が、中間転写ベルト20に形成されている上流色のトナー像を介在しているか否かによって異なる。
以下、具体例を挙げて説明する。前提として図1の各感光体ドラム11の感光層の表面には、各感光体ドラム11の軸方向に区分された3つの領域が設定されているとする。各感光体ドラム11の軸方向に設定された複数の領域に対応して、通紙可能な最大幅の記録媒体も通紙方向と直交する方向に複数の領域に区分される。
図3は、記録媒体上に形成された画像の第1の例を示す図である。図3では簡単のために、記録媒体は通紙可能な最大幅を有しているとし、記録媒体の幅は感光体ドラム11の軸方向の長さとほぼ同じであるとする。したがって、記録媒体上には、各感光体ドラム11の感光層の表面の領域に対応して3つの領域(すなわち、領域1、領域2、領域3)が設定されている。図3に示すように、記録媒体の領域1にはイエロー(Y)の画像が連続的に形成され、記録媒体の領域2に画像は形成されず、記録媒体の領域3にはブラック(K)の画像が連続的に形成されるものとする。
図4は、図3の画像が記録媒体上に形成された場合において、ブラック(K)用の感光体ドラム表面の領域ごとの削れ量の違いを表形式で示す図である。
図3および図4を参照して、記録媒体上の領域1には上流色であるイエロー(Y)が印字されているが、自色であるブラック(BK)は印字されていない。記録媒体上の領域2には、いずれの色も印字されない無印字の状態である。記録媒体上の領域3には上流色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、およびシアン(C)のいずれも印字されていないが、自色であるブラック(BK)が印字されている。
上記で説明した領域ごとに印字される色の違いは、各感光体ドラムに形成されるトナー像が領域ごとに異なることによってもたらされている。そして、このトナー像の領域ごとの違いによって、ブラック(K)用の感光体ドラム11では帯電前の感光体表面の電位が領域ごとに異なることになる。
具体的に数値例を挙げて説明すると、図1の帯電部12に設けられた帯電ローラーには−1200V(単位Vはボルト)の電圧が印加されるとする。これによって、帯電後の感光体表面の電位は−600Vになったとする。その後、自色(K)のトナー像を形成するために露光部13によってレーザー光が照射された感光体表面の領域3は、電位が−100V程度まで変化する。感光体表面の領域1および領域2は露光されないので、これらの領域の電位はこの時点では−600Vのまま変化しない。
次に、中間転写ベルト20上にトナー像を転写するために、1次転写ローラー15Kとカートリッジ10Kの感光体ドラム11との間に電界が印加されて転写電流が流れる。このとき、中間転写ベルト20上に既に上流色のトナー像が形成されている領域1では、トナー像によって転写電流がブロックされるために、領域1の感光体表面の電位はあまり変化せず、たとえば、−500Vになる。一方、中間転写ベルト20上に上流色のトナー像が形成されていない領域2については、転写電流が流れることによって感光体表面の電位が−200Vまで変化する。
以上の結果、帯電部12によって帯電される直前の感光体表面の電位は、図4に示すように領域1について−500Vになり、領域2について−200Vになり、領域3について−100Vになる。
このように帯電前における感光体表面の電位が領域ごとに異なることによって、帯電時に感光体表面に与えられる放電エネルギーが領域ごとに異なることになり、その結果、クリーニングブレードによる感光体表面の削れ量に相違が生じる。具体的に、感光体の領域1の表面電位は−500Vであるので、帯電ローラーの電位である−1200Vとの差である放電エネルギーは比較的小さい。この結果、感光体の領域1の削れ量は比較的少ない。感光体の領域2の表面電位は−200Vであるので、帯電ローラーの電位である−1200Vとの差である放電エネルギーは比較的大きい。この結果、感光体の領域2の削れ量は比較的多い。感光体の領域3の表面電位は−100Vであるので、帯電ローラーの電位である−1200Vとの差である放電エネルギーは比較的大きい。この結果、感光体の領域3の削れ量は比較的多い。
さらに、感光体ドラム11の表面部に設けられた感光層の厚みが薄くなるにつれて、帯電ローラーに同じ値の電位−1200Vを印加したとしても、感光体ドラム11の表面電位の絶対値は大きくなってしまう。たとえば、図3の例では、領域1の感光層の厚みが薄くなると、感光体ドラム11の領域1の帯電後の電位が当初の−600Vから−620Vに変化してしまう。このように帯電後の感光体表面の電位が領域ごとに異なると、画像濃度にムラが生じたり、キャリア付着およびカブリなどの問題を引き起こしたりする。キャリア付着とは、用紙などの記録媒体が感光体に付着することであり、カブリとは、トナーが感光体に付着することである。
上記は、ブラック(K)用の感光体ドラム11の表面削れを例に挙げて説明したが、他の色のトナー用の感光体ドラム11についても同様の問題が生じる。たとえば、マゼンタ(M)用の感光体ドラム11の場合には、記録媒体上で対応する領域1には上流色であるイエロー(Y)のトナー像は形成されるが、自色であるマゼンタ(M)のトナー像は形成されない。記録媒体上で対応する領域2および領域3には、上流色であるイエロー(Y)のトナー像も自色であるマゼンタ(M)のトナー像も形成されない。この結果、感光体ドラム11の領域1の帯電前電位は例えば−500Vになり、感光体ドラム11の領域2および領域3の帯電前電位はたとえば−200Vになる。これにより、感光体ドラム11の領域1の表面に与えられる帯電時の放電エネルギーは、領域2および領域3の放電エネルギーよりも小さくなり、結果として、領域1の削れ量は領域2および領域3よりも小さくなる。
[感光体の削れ量の推定方法および削れ量の均一化方法]
軸方向の削れ量の不均一によって問題が生じないようにするために、本実施の形態の画像形成装置1は、感光体ドラム11ごとに、感光層の表面の削れ量を推定する機能を有している。たとえば、画像形成装置は、各感光体ドラム11の感光層の表面を軸方向に区分する複数の領域を設定し、設定した領域ごとに感光層の表面削れ量を推定する。たとえば、画像形成装置は、推定される感光層の厚みの最小値が閾値Th1未満になったり、互いに異なる領域同士の間での感光層の厚みの差が閾値Th2以上になったりした場合に、ユーザーに感光体ドラム11の交換を促すように通知するようにしてもよい。さらに、画像形成装置1は、各感光体ドラム11の領域ごとに推定した感光層の表面の削れ量に基づいて、各感光体ドラムの感光層の膜厚を均一化するための均一化プロセスを実行してもよい。以下、図面を参照してより詳細に説明する。
軸方向の削れ量の不均一によって問題が生じないようにするために、本実施の形態の画像形成装置1は、感光体ドラム11ごとに、感光層の表面の削れ量を推定する機能を有している。たとえば、画像形成装置は、各感光体ドラム11の感光層の表面を軸方向に区分する複数の領域を設定し、設定した領域ごとに感光層の表面削れ量を推定する。たとえば、画像形成装置は、推定される感光層の厚みの最小値が閾値Th1未満になったり、互いに異なる領域同士の間での感光層の厚みの差が閾値Th2以上になったりした場合に、ユーザーに感光体ドラム11の交換を促すように通知するようにしてもよい。さらに、画像形成装置1は、各感光体ドラム11の領域ごとに推定した感光層の表面の削れ量に基づいて、各感光体ドラムの感光層の膜厚を均一化するための均一化プロセスを実行してもよい。以下、図面を参照してより詳細に説明する。
図5は、本実施の形態の画像形成装置において、各感光体の表面の削れ量の制御に関する機能ブロック図である。図5を参照して、画像形成装置1は、削れ量推定部60と、削れ量均一化部61とをさらに備える。削れ量推定部60および削れ量均一化部61の機能は、図2のCPU101においてプログラムが実行されることによって実現される。もしくは、FPGAなどで構成された専用回路によって実現してもよい。
既に説明したように、イレースレス方式のタンデム画像エンジンとしての作像部2は、中間転写ベルト20の駆動方向に沿って配置されたm個(m=4)の感光体ドラム11を有し、m色の色画像データーに基づいてm個の感光体ドラムにそれぞれの色のトナー像を形成し、形成された各トナー像を記録媒体に転写するように構成される。
削れ量推定部60は、中間転写ベルト20の駆動方向の最上流である第1番目の感光体ドラム11の削れ量を推定するには、第1番目の感光体ドラムに自色(本実施形態の場合、イエロー(Y))のトナー像を形成するために用いられる自色の色画像データーに基づいて推定する。削れ量推定部60は、中間転写ベルト20の駆動方向の上流側から第i番目(2≦i≦m)の感光体ドラム11の削れ量を推定するには、第i番目の感光体ドラムに自色のトナー像を形成するために用いられる自色の色画像データーと、第1番目から第i−1番目までの感光体ドラムに各色のトナー像を形成するために用いられる1または複数の上流色の色画像データーに基づいて推定する。
より詳細には、削れ量推定部60は、各感光体ドラム11の感光層の表面を各感光体ドラム11の軸方向に区分することによってn個の領域(nは2以上の整数)を設定する。各感光体ドラム11のn個の領域にそれぞれ対応して、通紙可能な最大幅の記録媒体は通紙方向と直交する方向にn個の領域に区分される。
削れ量推定部60は、最上流である第1番目の感光体ドラム11の第j番目(1≦j≦n)の領域の削れ量を推定するには、最大幅の記録媒体に自色の色画像データーを印字したと仮定したときの第j番目の領域における各印字パターンの割合に基づいて推定する。削れ量推定部60は、第i番目(2≦i≦m)の感光体ドラムの第j番目の領域の削れ量を推定するには、最大幅の記録媒体に自色のおよび1または複数の上流色の色画像データーを印字したと仮定したときの第j番目の領域における各印字パターンの割合に基づいて推定する。
ここで、印字パターンAは、自色および上流色を重ねて印字した箇所をいう。印字パターンBは、上流色を印字しかつ自色を印字しなかった箇所をいう。印字パターンCは、自色を印字しかつ上流色を印字しなかった箇所をいう。印字パターンDは、自色および上流色のいずれも印字しなかった箇所をいう。最上流である第1番目の感光体ドラム11については、上流色がないので印字パターンAおよびBは設けられず、自色を印字した箇所である印字パターンCと、自色を印字しなかった箇所である印字パターンDとが設けられる。印字パターンA〜Dの具体例については、図8および図9を参照して後述する。
前述のように、上記の4つの印字パターンA〜Dに応じて帯電プロセスの直前の感光体表面の電位状態が異なる。印字パターンAおよび印字パターンCの場合、自色のトナー像が形成されるために感光体表面が露光される。このため、表面電位の絶対値が他のパターンの場合よりも小さくなるので、感光体の帯電時の放電エネルギーが他のパターンの場合よりも大きくなる。放電エネルギーが大きくなるほど、感光層表面の削れ量は大きくなる。
印字パターンDの場合、自色のトナー像が形成されたないため感光体表面は露光されないが、上流色のトナー像が形成されないため転写時の転写電流がかなり流れる。このため、表面電位の絶対値は上記印字パターンA,Cの場合よりも大きいが、比較的小さくなる。結果として、感光体の帯電時の放電エネルギーは比較的大きいが、上記印字パターンA,Cの場合よりも小さくなる。
印字パターンBの場合、自色のトナー像が形成されたないため感光体表面は露光されないが、上流色のトナー像が中間転写ベルト上に形成されているため転写時の転写電流が抑制される。このため、表面電位の絶対値は、他のいずれのパターンの場合よりも大きくなる。結果として、感光体の帯電時の放電エネルギーは、他のいずれのパターンの場合よりも大きくなる。
図6は、各感光体表面の削れ量を推定する手順を示すフローチャートである。以下、図5および図6を参照し、これまでの説明を総括する。
まず、ステップS100において、削れ量推定部60は、各感光体ドラム11の軸方向の各領域に対応付けて、規定通紙枚数ごとに前述の印字パターンA〜Dの割合を自色および上流色の色画像データーに基づいて算出する。
次のステップS110において、削れ量推定部60は、各感光体ドラム11の各領域に対応付けて算出された印字パターンA〜Dの割合に、各印字パターンA〜Dごとに定められた放電エネルギー係数を乗算し、乗算結果を足し合わせる。これによって、各感光体ドラム11の各領域ごとの平均的な放電エネルギーの指標値が算出される。
放電エネルギー係数は、想定される放電エネルギーの値が大きいほど大きな値に設定される。放電エネルギー係数の具体例については、図8および図9で後述する。
次のステップS120において、削れ量推定部60は、ステップS110で算出した放電エネルギーの指標値に基づいて、各感光体ドラム11の各領域ごとの感光体表面の削れ量を推定する。規定通紙枚数ごとの放電エネルギーの指標値と感光体表面の削れ量との関係については、予め実験的に決定してテーブルまたは数式の形で図2のROM103などに記憶しておく。
上記の4パターンよりもさらに細かく印字パターンを分類してもよい。たとえば、上流色が1色のみの場合と2色以上重なる場合とを区別してもよい。2色以上重なった場合のほうが、転写電流がより抑制されるので、感光体の表面電位の変化は小さい。また、ドットが密集したベタパッチ画像として各色が印字されるのか、各ドットが孤立したハーフ画像として印字されるのかによって、上記の放電エネルギー係数を変更してもよい。
ジョブ毎または通紙毎に、帯電ローラーに印加するバイアス電圧および転写ローラーに印加するバイアス電圧を変更する場合には、帯電ローラーのバイアス電圧の設定値および転写ローラーのバイアス電圧の設定値に応じて放電エネルギーに相違が生じる。帯電ローラーのバイアス電圧の絶対値が大きくなるほど、感光体の帯電時の放電エネルギーは大きくなる。転写ローラーのバイアス電圧の絶対値が大きくなるほど、感光体表面の電位の絶対値が小さくなり、結果として感光体の帯電時の放電エネルギーは大きくなる。したがって、帯電ローラーおよび転写ローラーのバイアス電圧の絶対値が大きくなるほど、上記の放電エネルギー係数を大きな値に修正してもよい。
上記のように印字パターンをより細かく分類したり、露光条件、転写条件等に応じて放電エネルギー係数を修正したりすることによって、より高精度に感光体表面の削れ量を推定することができる。
次に、図5の削れ量均一化部61について説明する。削れ量均一化部61は、紙間(すなわち、通紙と通紙の間)または実際の画像の作像シーケンスと異なる専用シーケンスにおいて、各感光体ドラム11の領域ごとの削れ量の推定値に基づいて感光体表面の削れ量を均一化するための均一化シーケンスを作像部2に実行させるものである。
図7は、感光体表面の削れ量を均一化するための均一化シーケンスの手順を示すフローチャートである。
図5および図7を参照して、削れ量均一化部61は、各感光体ドラム11の領域ごとの削れ量の推定値に基づいて(ステップS200)、均一化シーケンスを実行する(ステップS210)。均一化シーケンスでは、削れ量の多い領域ほど(すなわち、感光層の厚みの薄い領域ほど)露光面積が少なくなるように露光面積が0〜100%の間で調整される。均一化シーケンスでは、帯電および感光体クリーニングは実行されるが、現像および転写は行われない。もしくは、帯電、現像、および感光体クリーニングを実行し、転写を行わないようにしてもよい。トナーを感光体クリーニング部16に供給することによって感光体表面の削れ量が増加するので、感光体表面の削れ量を均一化するまでの時間を短くすることができる。
上記のステップS210の均一化シーケンスは、領域ごとの削れ量を均一化するのに必要な回数だけ繰り返される(ステップS220)。均一化シーケンスの具体例については、図10および図11を参照して後述する。
[感光体の削れ量の推定方法の具体例]
図8は、記録媒体上に形成された画像の第2の例を示す図である。図3で説明したように、各感光体ドラム11の感光層表面を軸方向に区分するように設定された複数の領域に対応して、通紙可能な最大幅の記録媒体も通紙方向と直角方向に複数の領域(すなわち、領域1、領域2、…)に区分される。図8では簡単のために、記録媒体は通紙可能な最大幅を有しているとし、記録媒体の幅は感光体ドラム11の軸方向の長さとほぼ同じであるとする。したがって、記録媒体は、各感光体ドラム11の感光層の表面の領域に対応して、通紙方向と直角方向に複数の領域(すなわち、領域1、領域2、…)に区分される。
図8は、記録媒体上に形成された画像の第2の例を示す図である。図3で説明したように、各感光体ドラム11の感光層表面を軸方向に区分するように設定された複数の領域に対応して、通紙可能な最大幅の記録媒体も通紙方向と直角方向に複数の領域(すなわち、領域1、領域2、…)に区分される。図8では簡単のために、記録媒体は通紙可能な最大幅を有しているとし、記録媒体の幅は感光体ドラム11の軸方向の長さとほぼ同じであるとする。したがって、記録媒体は、各感光体ドラム11の感光層の表面の領域に対応して、通紙方向と直角方向に複数の領域(すなわち、領域1、領域2、…)に区分される。
図8に示すように、領域1は、全面積の10%の割合でイエロー(Y)に印字され、10%の割合でブラック(K)に印字されている。領域1の残りの80%は印字されていない。領域2は、全面積の60%の割合でイエロー(Y)に印字されている。領域2の残りの40%程度は印字されていない。
図9は、図8に示す画像を3万枚印刷した場合において、ブラック用の感光体ドラムにおいて表面の推定削れ量の計算例を表形式で示す図である。図9(A)は、ブラック(K)のトナー用の感光体ドラムにおいて、図8の領域1に対応する感光体表面の削れ量の推定値の計算例を示す。図9(B)は、ブラック(K)のトナー用の感光体ドラムにおいて、図8の領域2に対応する感光体表面の推定削れ量の計算例を示す。なお、ブラック(K)のトナー用の感光体ドラムは、中間転写ベルト20の駆動方向の最下流に配置されている。
図8および図9(A)を参照して、図8の領域1では、自色(K)と上流色(Y)とが重ねて記録媒体に印字された印字パターンAの割合は0%である。上流色(Y)が記録媒体に印字されるが自色(K)が記録媒体に印字されない印字パターンBの割合は10%である。自色(K)が記録媒体に印字されるが上流色(Y)が記録媒体に印字されない印字パターンCの割合は10%である。自色も上流色も記録媒体に印字されない印字パターンDの割合は80%である。
印字パターンA,B,C,Dにそれぞれ対応する放電エネルギー(E)係数を1、0.7、1、0.9とすれば、算出された各印字パターンの割合と対応する放電エネルギー係数との乗算結果は図9(A)の表に示すようになる。この乗算結果を足し合わせることによって、3万枚の通紙に対して平均化された放電エネルギーの指標値として0.89が得られる。ブラック(K)のトナー用の感光体ドラムにおいて放電エネルギーの指標値と感光体表面の削れ量との換算係数は、予め実験的に得られているものとし、たとえば、その値を4とする。そうすると、ブラック(K)のトナー用の感光体ドラムにおける領域1の削れ量の推定値は3.56[μm]になる。
図8および図9(B)を参照して、図8の領域2では、自色(K)と上流色(Y)とが重ねて記録媒体に印字された印字パターンAの割合は0%である。上流色(Y)が記録媒体に印字されるが自色(K)が記録媒体に印字されない印字パターンBの割合は60%である。自色(K)が記録媒体に印字されるが上流色(Y)が記録媒体に印字されない印字パターンCの割合は0%である。自色も上流色も記録媒体に印字されない印字パターンDの割合は40%である。
したがって、算出された各印字パターンの割合と対応する放電エネルギー係数との乗算結果は図9(B)の表に示すようになる。この乗算結果を足し合わせることによって、3万枚の通紙に対して平均化された放電エネルギーの指標値として0.78が得られる。放電エネルギーの指標値と感光体表面の削れ量との換算係数を4とすれば、ブラック(K)のトナー用の感光体ドラムにおいて領域2の削れ量の推定値は3.12[μm]になる。
[感光体表面の削れ量の均一化の実験例]
図10は、均一化シーケンスを実行した場合の削れ量を測定するための予備実験結果を示す図である。
図10は、均一化シーケンスを実行した場合の削れ量を測定するための予備実験結果を示す図である。
実験では、コニカミノルタ社製bizhubC3850を用い、既に説明した均一化シーケンスを行えるように一部改造した。具体的には、感光体表面の各領域ごとに全露光が行えるようにし、トナー供給の有無を切り替えられるようにし、転写バイアス電圧のオンオフを切り替えられるようにした。
紙間ごとの1回の均一化シーケンスにおいて、帯電、露光、感光体クリーニングが実行される。現像は行われる場合と行われない場合とがある。転写は実行されない。この均一化シーケンスは、繰り返し実行される。なお、予備実験は均一化シーケンスによる感光体表面の削れ量を測定するために行うものなので、通常の印刷タイミングでは通紙は行われず、作像部2も動作していない。
具体的に実験(i)では紙間で感光体表面を全露光した。現像工程すなわちトナーの供給は行っていない。実験(ii)では、紙間で感光体表面を全露光した。現像工程すなわちトナーの供給を行った。実験(iii)では、紙間露光を行わず、現像工程すなわちトナーの供給も行っていない。
図10に示すように、紙間にて全露光を行う均一化シーケンスの実行回数が増えるほど、感光体表面の削れ量が増加した。また、トナー供給をした実験(ii)の場合の削れ量はトナーを供給しない実験(i)の場合の削れ量の1.4倍程度であることがわかった。
図11は、感光体の耐刷力の評価方法を説明するためのタイミング図である。実験装置として、図10で説明したコニカミノルタ社製bizhubC3850の改造機を用いるとともに、さらに、各感光体ドラムの感光層の削れ量の推定値を算出するためのソフトウェアを組み込んだ。
図11に示すように、k=1000とし、画像データーを20k枚ごとに変更しながら、全部で100k枚印刷した。画像データーは、紙面の半分にカバレッジ20%程度で4色の文字が印刷されたものである。20k枚ごとに文字の印刷位置が変更された。
各感光体ドラム11の表面を20mmごとの領域に区分した。10k枚ごとに、各感光体ドラム11の領域ごとに削れ量の推定値を算出した。具体的には、図6および図9等で説明したように、10k枚の印刷を行いながら、各印字パターンによる印字ドット数を20mm幅の領域ごとに積算した。10k枚の印刷が終了した時点で、印字パターンごとの積算ドット数に基づいて各印字パターンの割合を算出し、算出した各印字パターンの割合に基づいて放電エネルギーの指標値を算出した。得られた放電エネルギーの指標値に基づいて、10k枚での各感光体ドラム11の領域ごとの削れ量の推定値を算出した。
図11に示すように、均一化シーケンスは、10k枚の印刷によって得られた各感光体ドラム11の削れ量の推定値に基づいて、次の10k枚の印刷時の紙間で実行される。均一化シーケンスは、領域ごとの削れ量の不均一が解消したと推定される時点で終了する。
最終的に100k枚を印刷した後に、各ドットが孤立したハーフ画像を印字し、印刷した画像の濃度ムラを測定することによって耐刷力を評価した。
図12は、感光体の耐刷力の評価試験の結果を表形式でまとめた図である。図12を参照して、実験例1〜3の3回の実験と比較例としての実験とを行った。比較例では、感光体表面の削れ量の推定を行わず、したがって均一化シーケンスも行っていない。
実験例1および実験例3では、図6および図9などで説明したように各領域ごとの印字パターンA〜Dの割合に基づいて、各感光体ドラム11の各領域ごとの削れ量の推定値を算出した。実験例3では、さらに、帯電ローラーのバイアス電圧値および転写ローラーのバイアス電圧値に基づいて、図6および図9などで説明した放電エネルギー係数の値を調整した。
また、実験例1および実験例2では、図7などで説明したように削れ量が多い領域ほど露光面積が小さくなるように調整しながら、帯電、露光、感光体クリーニングの順番で紙間ごとに均一化シーケンスを実行した。実験例3では、削れ量の均一化を促進するために、現像工程によってトナー補給を行うようにした。
以上の条件での実験を行ったところ、実験例2の場合、すなわち、各印字パターンに乗算する放電エネルギー係数を、帯電ローラーおよび転写ローラーのバイアス電池に基づいて調整した場合には、濃度ムラがないという結果が得られた。また、実験例1および実験例3の場合には、濃度ムラは認められるが、品質上問題がないという結果が得られた。
[効果]
以上のとおり、本開示は、イレースレス方式のタンデム画像エンジンを備えた画像形成装置に向けられたものである。このような画像形成装置では、各感光体ドラムの軸方向での感光層表面の削れムラが問題となる。本実施形態の画像形成装置では、各感光体ドラムごとに自色および上流色の色画像データーに基づいて、軸方向に区分された領域ごとの放電エネルギーを算出し、算出した放電エネルギーに基づいて領域ごとの削れ量の推定するようにする。この結果、たとえば、ユーザーにカートリッジ10の交換を通知できるようになる。
以上のとおり、本開示は、イレースレス方式のタンデム画像エンジンを備えた画像形成装置に向けられたものである。このような画像形成装置では、各感光体ドラムの軸方向での感光層表面の削れムラが問題となる。本実施形態の画像形成装置では、各感光体ドラムごとに自色および上流色の色画像データーに基づいて、軸方向に区分された領域ごとの放電エネルギーを算出し、算出した放電エネルギーに基づいて領域ごとの削れ量の推定するようにする。この結果、たとえば、ユーザーにカートリッジ10の交換を通知できるようになる。
さらに、感光体表面の領域ごとの削れ量の推定値に基づいて、均一化シーケンスを実行することによって感光体表面の削れムラを抑制できる。均一化シーケンスでは、削れ量の多い領域ほど露光面積が少なくなるように調整して、帯電、露光、感光体クリーニングを実行するものである。さらに、現像工程を追加することによってトナー補給を行えば、均一化に要する時間を短縮することができる。
[変形例]
たとえば、上記では中間転写方式の場合について説明したが、直接転写方式のタンデム画像エンジンに対しても本開示による感光体表面の削れ量の推定手段および削れムラの抑制手段を適用することができる。直接転写方式の場合には、中間転写ベルト20に代えて用紙を搬送するための転写搬送ベルトが設けられ、2次転写ローラーは設けられない。この明細書では、中間転写ベルトと転写搬送ベルトとを総称して転写ベルトと記載する。また、直接転写方式の転写ローラーと中間転写方式の1次転写ローラーとを総称して転写ローラーと記載する。
たとえば、上記では中間転写方式の場合について説明したが、直接転写方式のタンデム画像エンジンに対しても本開示による感光体表面の削れ量の推定手段および削れムラの抑制手段を適用することができる。直接転写方式の場合には、中間転写ベルト20に代えて用紙を搬送するための転写搬送ベルトが設けられ、2次転写ローラーは設けられない。この明細書では、中間転写ベルトと転写搬送ベルトとを総称して転写ベルトと記載する。また、直接転写方式の転写ローラーと中間転写方式の1次転写ローラーとを総称して転写ローラーと記載する。
上記では感光体ドラムは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)にそれぞれ対応して4個設けられるとしたが、トナーの色の種類および感光体ドラムの数は上記の例に限られない。感光体ドラムの総数およびトナーの色によらず、上記の技術を適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 画像形成装置、2 作像部、3 搬送部、10 カートリッジ、11 感光体ドラム、12 帯電部、13 露光部、14 現像部、15 1次転写ローラー、16 感光体クリーニング部、20 中間転写ベルト、21,22 支持ローラー、23 中間転写ベルトクリーニング部、24 2次転写ローラー、25 定着部、40 搬送経路、41 両面搬送経路、60 削れ量推定部、61 削れ量均一化部、100 制御部、101 CPU、102 RAM、103 ROM、107 通信インターフェイス、108 画像処理部、T 記録媒体。
Claims (6)
- 転写ベルトの駆動方向に沿って配置されたm個(mは2以上の整数)の感光体ドラムを有し、m色の色画像データーに基づいて前記m個の感光体ドラムにそれぞれの色のトナー像を形成し、形成された各前記トナー像を記録媒体に転写するように構成される、イレースレス方式のタンデム画像エンジンと、
各前記感光体ドラムの感光層の削れ量を推定するように構成された削れ量推定部とを備え、
前記削れ量推定部は、前記駆動方向の上流側から第i番目(1≦i≦m)の感光体ドラムの削れ量を推定するには、前記第i番目の感光体ドラムに自色のトナー像を形成するために用いられる自色の色画像データーと、さらに前記iが2以上の場合には第1番目から第i−1番目までの感光体ドラムに各色のトナー像を形成するために用いられる1または複数の上流色の色画像データーとに基づいて推定する、画像形成装置。 - 前記削れ量推定部は、各前記感光体ドラムの感光層の表面を各前記感光体ドラムの軸方向にn個の領域(nは2以上の整数)に区分し、各前記感光体ドラムの前記n個の領域にそれぞれ対応して、通紙可能な最大幅の記録媒体は通紙方向と直交する方向にn個の領域に区分され、
前記削れ量推定部は、第1番目の感光体ドラムの第j番目(1≦j≦n)の領域の削れ量を推定する際には、前記最大幅の記録媒体に自色の色画像データーを印字したと仮定したときの第j番目の領域における、自色を印字した箇所の割合と自色を印字しなかった箇所の割合とに基づいて削れ量を推定し、
前記削れ量推定部は、第i番目(2≦i≦m)の感光体ドラムの第j番目の領域の削れ量を推定する際には、前記最大幅の記録媒体に自色および1または複数の上流色の色画像データーを印字したと仮定したときの第j番目の領域における、自色および上流色を重ねて印字した箇所の割合、上流色を印字しかつ自色を印字しなかった箇所の割合、自色を印字しかつ上流色を印字しなかった箇所の割合、および自色および上流色のいずれも印字しなかった箇所の割合とに基づいて削れ量を推定する、請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記削れ量推定部は、各前記割合と、各前記感光体ドラムを帯電する際に帯電部材に印加する電圧値と、各前記感光体ドラムに形成されたトナー像を転写する際に転写ローラーに印加する電圧値とに少なくとも基づいて、各前記感光体ドラムの前記領域ごとに帯電時に与えられる平均的な放電エネルギーを算出し、前記算出された平均的な放電エネルギーに基づいて各前記感光体ドラムの前記領域ごとの削れ量を推定する、請求項2に記載の画像形成装置。
- 各前記感光体ドラムの前記領域ごとの削れ量の推定値に基づいて、各前記感光体ドラムの前記領域ごとの削れ量を均一化するための均一化シーケンスを前記タンデム画像エンジンに実行させる削れ量均一化部をさらに備える、請求項2または3に記載の画像形成装置。
- 前記削れ量均一化部は、前記均一化シーケンスにおいて、現像および転写を行わずに、帯電、露光および感光体クリーニングを行うように前記タンデム画像エンジンを制御し、
前記均一化シーケンスでは、各前記感光体ドラムの前記n個の領域のうち感光層の膜厚が厚い領域ほど露光面積が多くなる、請求項4に記載の画像形成装置。 - 前記削れ量均一化部は、前記均一化シーケンスにおいて、転写を行わずに、帯電、露光、現像および感光体クリーニングを行うように前記タンデム画像エンジンを制御し、
前記均一化シーケンスでは、各前記感光体ドラムの前記n個の領域のうち感光層の膜厚が厚い領域ほど露光面積が多くなる、請求項4に記載の画像形成装置。
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