JP2014129450A - 塗膜及び塗膜形成剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】PVA系樹脂と金属アルコキシドを用いた有機/無機ハイブリッドからなるガスバリア性に優れた塗膜、及びかかる塗膜を得るための塗膜形成剤を提供する。
【解決手段】金属アルコキシドの加水分解生成物(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有する塗膜形成剤から得られた塗膜であって、膜厚2〜9μmでの酸素透過度が0.1〜10cc/m・day・atmである塗膜であり、金属アルコキシドの加水分解物(A)が、金属アルコキシドを10〜40℃で加水分解したものである塗膜。
【選択図】なし

Description

本発明はポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と称す。)を有機成分とし、金属アルコキシドの縮合物を無機成分とする、有機/無機ハイブリッドからなる塗膜に関するものであり、詳しくは、ガスバリア性に優れた塗膜、及び該塗膜を得るための塗膜形成剤に関するものである。
従来、PVA系樹脂と、金属アルコキシドを原料とする有機/無機ハイブリッドからなる、バリア性塗膜が知られている。例えば、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂を用いて、これを金属アルコキシドの加水分解物を含有する塗膜形成剤を用いたゾルゲル法によるガスバリア性塗膜が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
上記技術はまず、アルコキシシランを有機溶媒中、少量の水と触媒により加水分解させる(該加水分解物は同時に一部脱水縮合する)。次いで、かかる加水分解生成物(および/または縮合物)とPVA樹脂水溶液とを混合し、塗工液を得る。そして、かかる塗工液を基材フィルム等に塗布し、溶媒を除去して塗膜を得るものである。
しかしながら、かかる塗膜形成剤のガスバリア性はまだまだ満足のいくものはなかった。
特開2009−221372号公報
本発明は、PVA系樹脂と金属アルコキシドを用いた有機/無機ハイブリッドからなるガスバリア性に優れた塗膜、及びかかる塗膜を得るための塗膜形成剤を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、金属アルコキシドの加水分解生成物(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)から得られるものであって、膜厚2〜9μmでの酸素透過度が0.1〜10cc/m・day・atmである塗膜を見出し、本発明を完成した。
本発明の塗膜形成剤は、塗膜形成剤を製造する工程中の金属アルコキシドの加水分解反応を10〜40℃で行うことによって、得ることができる。
本発明の塗膜は、極めて酸素ガスバリア性が高いことから、食品包装用フィルムや液晶表示素子の基盤などの電子部材関連材料として有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
<金属アルコキシドの加水分解生成物(A)について>
本発明で用いる金属アルコキシドの加水分解生成物(A)は、金属アルコキシドを加水分解することにより、アルコキシ基が水酸基に置換されたものである。かかる生成物は、分子間で脱水縮合反応する性質を有するため、通常、加水分解生成物が脱水縮合物を含有する。
次に上記の金属アルコキシドについて説明する。
本発明において、金属アルコキシドとしては、通常ゾル−ゲル法に用いられるものを用いればよい。かかる金属としては、マグネシウムやカルシウムなどの2価金属、チタンやアルミニウムなどの3価金属、ケイ素やジルコニウムなどの4価金属が挙げられ、中でも4価金属が好ましく、特にケイ素が好ましい。また、アルコキシ基としては、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基等が挙げられ、好ましくは、エトキシ基である。
本発明においては、金属アルコキシドとして、アルコキシシランを使用することが好ましい。かかるアルコキシシランとして、アルコキシ基が1個結合したもの、2個結合したもの、3個結合したもの、4個結合したものが挙げられる。
アルコキシ基が1個結合したアルコキシシランとしては、ビニルジメチルエトキシシランなどが挙げられる。
また、アルコキシ基が2個結合したアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシランなどのジアルキルジアルコキシシラン;ジアリールジアルコキシシラン;3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ジアルコキシシラン;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有ジアルコキシシラン;3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有ジアルコキシシラン;ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルメチルジエトキシシラン等のアルケニル基含有ジアルコキシシラン;3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルエチルジエトキシシランなどのエポキシ基含有ジアルコキシシラン類などのジアルコキシシランが挙げられる。
また、アルコキシ基が3個結合したアルコキシシランとしては、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン類、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン類、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン等のアミノ基含有トリアルコキシシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有トリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン等のアルケニル基含有トリアルコキシシラン;2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有トリアルコキシシラン;(グリシジルオキシアルキル)トリアルコキシシラン(例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有トリアルコキシシラン;γ−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基を有するトリアルコキシシラン;等のトリアルコキシシランが挙げられる。
さらに、アルコキシ基が4個結合したアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシランが挙げられる。
上記のアルコキシシランの中でも、2個以上のアルコキシ基を有するものが好ましく、4個であることがより好ましい。また、アルコキシ基が4個結合したアルコキシシランの中でもテトラメトキシシランが最も好ましい。なお、アルコキシ基の個数が1〜3個の場合、ケイ素原子にはさらにアルキル基(メチル基等)、アリール基(フェニル基等)、ハロゲン原子(塩素原子等)等が結合する。
尚、これらの金属アルコキシドは単独で用いることも可能であるが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、金属原子がケイ素以外の金属アルコキシドについても、ケイ素を他の金属に置き換え、アルコキシ基として、上記アルコキシシランについて例示したものが用いられる。かかるアルコキシシラン以外の金属アルコキシドとしては、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネートなどのトリアルコキシアルミネート類等のアルミニウムアルコキシド;ジエチルジエトキシチタネートなどのジアルコキシチタネート、トリメトキシチタネートなどのトリアルコキシチタネート、エチルトリメトキシチタネートなどのアルキルトリアルコキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネートなどのアリールトリアルコキシチタネート等のトリアルコキシチタネート類、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネートなどのテトラアルコキシチタネート類等のチタンアルコキシドなどが挙げられる。
上記の金属アルコキシドを加水分解する方法は公知の方法が用いられるが、一般的にはかかる金属アルコキシドが溶解しうる溶媒に溶解して加水分解する。
溶媒としては、通常メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜4の脂肪族低級アルコール類が用いられ、好ましくは、メタノール、エタノールである。
金属アルコキシド溶液の濃度は、溶媒100重量部に対して通常30〜1500重量%であり、好ましくは50〜1000重量%である。かかる量が少なすぎた場合は加水分解反応が進行し難くなる傾向があり、多すぎた場合は加水分解反応速度が大きくなり、得られる塗膜の分子構造が3次元化し、低密度となる傾向がある。
金属アルコキシドを加水分解させるためには、触媒および水を用いて、通常攪拌しながら行う。
かかる触媒としては、酸触媒、塩基触媒が挙げられ、酸触媒としては、有機酸触媒と無機酸触媒、塩基触媒としては、アミン触媒のような有機塩基触媒と無機塩基触媒が挙げられる。通常、無機酸触媒としては、塩酸、フッ酸等、硫酸、硝酸等が挙げられ、有機酸触媒としては、酢酸、蟻酸、クエン酸、シュウ酸等が挙げられる。また、アミン触媒としてはN,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等が挙げられ、無機塩基触媒としては、水酸化ナトリウム等が挙げられる。緻密な構造が得られる点から好ましくは無機酸触媒であり、より好ましくは硝酸、塩酸である。
かかる触媒の量は、全金属アルコキシドのアルコキシ基の総モル量に対して通常0.001〜0.3モル%、好ましくは0.002〜0.2モル%、特に好ましくは0.003〜0.1モル%であるである。かかる量が少なすぎた場合、加水分解反応が進行しにくくなる傾向があり、多すぎた場合、加水分解反応速度が大きくなり得られる塗膜においてポーラスな構造(3次元ネットワーク化して密度の低い構造)が形成されやすく、塗膜のガスバリア性が低下する傾向がある。
また、水の量は金属アルコキシドに対して通常0.8〜2モル%、好ましくは1〜1.5モル%である。かかる量が少なすぎた場合、加水分解反応が進行しにくくなり、多すぎた場合、加水分解反応速度が大きくなり得られる塗膜においてポーラスな構造が形成されやすく、塗膜のガスバリア性に劣る傾向がある。
触媒と水を金属アルコキシドの溶液に配合する方法は特に限定されないが、触媒と水を混合した混合物を一括して配合する方法、水を配合した後に触媒を配合する方法、触媒を配合した後に水を配合する方法が挙げられる。中でも、触媒と水を混同した混合物を一括して配合する方法が好ましい。
金属アルコキシドの加水分解反応を行う際の温度は通常10〜40℃で、より好ましくは10〜30℃で、更に好ましくは10〜20℃ある。かかる温度が高すぎた場合、加水分解反応が活発に起こりすぎて、同時に生成する金属アルコキシドの加水分解物の縮合物の構造が環状や分岐状になり、分子構造が複雑になると推測される。そのため、塗膜にした際に、分子間に隙間が生じやすくなり、結果として塗膜のガスバリア性が低下する傾向がある。また、かかる温度が低すぎた場合は、反応が進行しにくくなるという傾向がある。
また、反応時間はスケールにより異なるが、通常0.01〜50時間、好ましくは0.1〜10時間、特に好ましくは、0.5〜2時間である。かかる時間が長すぎた場合、高粘度化あるいはゲル化し塗工液の塗工性が低下する傾向があり、短すぎた場合、反応が不十分となり塗膜のガスバリア性が低下する傾向がある。
このようにして金属アルコキシドの加水分解生成物(A)(および縮合物)の溶液が得られる。本発明においてはかかる溶液をそのまま用いることが好ましい。場合によっては脱液し、得られた金属アルコキシドの加水分解生成物(A)(および縮合物)を後述する変性PVA系樹脂(B)溶液に配合したり、脱液したものを再度溶媒に溶解して用いてもよい。
(PVA系樹脂(B)成分)
本発明のPVA系樹脂としては、未変性のPVA及び変性PVAのいずれでもよい。変性PVAとしては、アセトアセチル化PVA、オキシアルキレン基含有PVA、側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVA、カルボン酸変性PVA等が挙げられる。中でも側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVAが特に好ましい。
かかるPVA系樹脂(B)のケン化度は、通常、80〜100モル%、好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは99〜100モル%である。かかるケン化度が低すぎると塗膜のバリア性が低下する傾向がある。
また、かかるPVA系樹脂(B)の4重量%水溶液の粘度としては2.5〜100mPa・s(20℃)が好ましく、更には3〜70mPa・s(20℃)、特には5〜60mPa・s(20℃)が好ましい。該粘度が低すぎると塗膜にクラックが生じやすくなる傾向があり、高すぎると塗工時の作業性が低下する傾向がある。
尚、上記粘度はJIS K6726に準じて測定されるものである。
PVA系樹脂(B)はビニルエステル系モノマーを重合し、更にそれをケン化して製造される。ビニルエステル系モノマーとしては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、トリフロロ酢酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられ、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルである。経済的な点から、特に好ましくは酢酸ビニルが用いられる。これらは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
また、変性ポリビニルアルコールは、ビニルエステル系モノマーと他の不飽和単量体との重合体をケン化して製造されたり、ポリビニルアルコールを後変性したりして製造される。
上記で他の不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
また、後変性の方法としては、PVAをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
また、PVA系樹脂(B)して、側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂を用いることが好ましく、かかる側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(ア)ビニルエステル系モノマーと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)ビニルエステル系モノマーとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)ビニルエステル系モノマーと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)ビニルエステル系モノマーとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
本発明では、上記の側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂が好ましく用いられる。かかるPVA系樹脂は、水とアルコールの混合溶媒であっても、溶解するため好ましい。
また、本発明で使用されるポリビニルアルコール系樹脂(B)は、2種以上のPVA系樹脂のブレンド物であってもよく2種以上のPVA系樹脂としては、構造単位が異なるもの、ケン化度が異なるもの、分子量が異なるものなどを挙げることができる。
本発明における金属アルコキシドの加水分解生成物(A)とPVA系樹脂(B)の配合比は、PVA系樹脂(B)の重量に対する、金属アルコキシドの加水分解生成物(A)が有する金属の量(金属モル数換算)にて0.005〜0.12モル/g、好ましくは0.008〜0.06モル/g、特に好ましくは0.012〜0.04モル/gである。
かかる値が小さすぎた場合は得られた塗膜の強度が低下する傾向があり、大きすぎた場合は耐水性不足によってガスバリア性が低下する傾向がある。
<塗膜形成剤の製造方法>
本発明の塗膜形成剤は、通常、あらかじめ調整した上記の金属アルコキシドの加水分解生成物(A)の溶液と、PVA系樹脂(B)溶液を混合することにより得られる。
PVA系樹脂(B)溶液の溶媒は通常水であるが、本願発明の効果を損なわない範囲(例えば25重量%以下)にてメタノール、エタノール等炭素数1〜4の低級アルコールや、アセトン等の有機溶媒を含有していてもよい。
本発明の塗膜形成剤の総量に対する、金属アルコキシドの加水分解生成物(A)およびPVA系樹脂(B)の量((A)+(B)の量)は、仕込み量に換算して通常1〜40重量%、好ましくは5〜40重量%である。かかる値が大きすぎた場合、粘度が高すぎて塗工時の厚み制御性が低下する傾向があり、小さすぎた場合、溶媒が多量となり乾燥に時間がかかる傾向がある。
本発明の塗膜形成剤において、(A)成分と(B)成分を混合した後の攪拌時間は、スケールにより異なるが通常0.5時間〜3時間、好ましくは1時間〜2時間である。かかる時間が短すぎた場合は塗膜形成剤の均一性が低下する傾向があり、長すぎた場合は生産効率が低下する傾向がある。
<塗膜の製造方法>
本発明の塗膜形成剤を基材上に塗布した後、溶媒を除去することにより塗膜が得られる。
かかる基材は通常、熱可塑性樹脂で構成されたフィルムであり、好ましくはポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびナイロン系樹脂であり、特に好ましくはポリエステル系樹脂である。
これらの樹脂は、単独又は二種以上組み合わせてもよい。また、基材は単層であってもよく、複数の層で構成された積層フィルムおよびそれらの延伸フィルムであってもよい。
本発明の塗膜形成剤には、必要に応じて、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、補強剤、着色剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤、滑剤(例えば、シリカ系微粉末、アルミナ系微粉末などの無機滑剤、ポリエチレン系微粉末、アクリル系微粉末などの有機滑剤など)、炭化水素系重合体(スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、クマロンインデン樹脂などのクマロン樹脂、フェノール樹脂、ロジン又はその誘導体やそれらの水添樹脂など)、ワックス類(高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸又はその塩、高級脂肪酸エステル、鉱物系、植物系などの天然ワックス、ポリエチレンなどの合成ワックスなど)などを添加してもよい。これらの添加剤は、単独又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、基材の表面には、コロナ放電やグロー放電などの放電処理、クロム酸処理などの酸処理、焔処理などの表面処理を施してもよい。
基材の厚みは、包装適性、機械的強度、可撓性などを考慮して適宜選択でき、通常0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μmである。
本発明の塗膜形成剤の塗布方法としては、通常、公知の方法、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、フローコーティング法、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法、これらを組み合わせた方法などが採用できる。
塗布後、溶媒を除去して塗膜が得られる。
溶媒除去工程は特に限定されず公知の方法を採用すればよい。例えば常温自然乾燥や加熱乾燥があり、加熱温度は通常40〜200℃、好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは80〜150℃である。乾燥時間は通常0.5秒〜20時間、好ましくは1分〜15時間である。
乾燥後の塗膜の厚みは、通常0.05〜20μm、好ましくは0.1〜15μmである。かかる厚みが高すぎた場合、塗膜のクラックが発生し易くなる。
本発明の塗膜形成剤から得られる塗膜は、金属アルコキシドの加水分解生成物(A)およびそれが縮合してできたポリマー及び/またはオリゴマー、及びPVA系樹脂を含有するものであり、膜厚2〜9μmでの酸素透過度が0.1〜10cc/m・day・atmであり、特には0.1〜5cc/m・day・atmである。
なお、本発明によると、膜の厚さが2〜9μmの範囲で酸素透過度の厚み依存性はほとんど認められない。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
実施例1
<金属アルコキシドの加水分解物(A)>
テトラエトキシシラン(信越化学社製『KBE−04』)12g、エタノール12g、2Nの硝酸0.8g、水0.8gを配合し、10℃で1時間撹拌し、テトラエトキシシランの加水分解物(A)を得た。
<PVA系樹脂(B)>
まず、酢酸ビニル1400部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン224部(8モル%対仕込み酢酸ビニル)、メタノール426部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.255モル%(対仕込み酢酸ビニル)を準備した。
次いで、還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応缶に、メタノールとAIBNの全量、および酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの10%を投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの残部(90%)を9時間かけて滴下し、酢酸ビニルの重合率が90%となった時点でm−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、上記メタノール溶液を濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して8ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。粘度上昇を確認後に水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して4ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの5当量添加し、濾別、メタノールで充分洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂を得た。
得られたPVA系樹脂のケン化度は、残存酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ98.5モル%であり、平均重合度は、JISK 6726に準じて分析を行ったところ300であった。また、1,2−ジオール構造単位の含有量は1H−NMR(内部標準物質;テトラメチルシラン)で測定して算出したところ8モル%であった。
得られたPVA系樹脂を、水に溶解して15重量%濃度のPVA系樹脂水溶液を得た。
<塗膜の作製>
上記の金属アルコキシドの加水分解生成物の溶液(A液)25.6gを30分かけて、上記1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂の水溶液(B液)20gに滴下して混合し、塗膜形成剤を得た。ついでコロナ処理されたPET(38μm)上にバーコーターを用いて該溶液をコートし、80℃で5分間乾燥させたところ、塗膜の厚みが3μmの透明で良好な積層体が得られた。
[ガスバリア性評価]
得られた積層体に対して、酸素透過度測定装置(OX−TRAN2/20、米国のMOCON社製)により、23℃及び80%RHの条件で酸素透過度を測定した。
かかる積層体の酸素透過度の測定値から、本発明の塗膜のみの酸素透過度を算出した。尚、PET(38μm)の酸素透過度の値は、31cc/m2・day・atmを用いた。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、金属アルコキシドの加水分解を20℃で行った以外は同様にして積層体を得て、実施例1と同様に評価し、塗膜のみの酸素透過度を算出した結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、金属アルコキシドの加水分解を30℃で行った以外は同様にして積層体を得て、実施例1と同様に評価し、塗膜のみの酸素透過度を算出した結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、金属アルコキシドの加水分解を35℃で行った以外は同様にして積層体を得て、実施例1と同様に評価し、塗膜のみの酸素透過度を算出した結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、金属アルコキシドの加水分解を75℃で行った以外は同様にして積層体を得て、実施例1と同様に評価し、塗膜のみの酸素透過度を算出した結果を表1に示す。
Figure 2014129450
テトラエトキシシランの加水分解を低温で行うと、酸素透過度が小さい塗膜が得られ、高温で行った場合は、酸素透過度が大きい塗膜となった。
本発明の塗膜はガスバリア性に優れるため、該塗膜を有する積層フィルムは食品包装用フィルムや液晶表示素子の基盤などの電子部材関連材料として有用である。

Claims (4)

  1. 金属アルコキシドの加水分解生成物(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有する塗膜形成剤から得られた塗膜であって、膜厚2〜9μmでの酸素透過度が0.1〜10cc/m・day・atmである塗膜。
  2. 金属アルコキシドの加水分解物(A)が、金属アルコキシドを10〜40℃で加水分解したものである請求項1記載の塗膜。
  3. 金属アルコキシドを10〜40℃で加水分解して得られた金属アルコキシドの加水分解物(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有する塗膜形成剤。
  4. ポリビニルアルコール系樹脂(B)が、下記の一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有するする請求項1又は2記載の塗膜形成剤。
    Figure 2014129450
    [一般式(1)において、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
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