JP2014125675A - ナノ結晶軟磁性合金及びこれを用いた磁性部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のナノ結晶軟磁性合金の組成を選択的に改良し、ピン止め作用などによる磁化反転の障壁となる粗大結晶粒相の抑制や鉄損を改善する。
【解決手段】 Fe100-x-y-zCux-dAgSiここで、x、d、y、zは原子%で、1.2≦x≦1.6、0.005≦d<0.1、10≦y≦20、0<z≦10、10≦y+z≦24により表される合金薄帯を巻き取ったもので、平均結晶粒径60nm以下の微細結晶粒が非晶質母相中に体積分率で30%以上分散した組織からなり、80A/mでの磁束密度B80と800A/mでの磁束密度B800との比B80/B800が0.92以上であり、且つ残留磁束密度BrとB80との比Br/B80が0.9未満であるナノ結晶軟磁性合金である。
【選択図】 図10

Description

本発明は、高飽和磁束密度と低保磁力及び低鉄損を備えたナノ結晶軟磁性合金とこれを用いた磁性部品に関する。
各種のリアクトル、チョークコイル、パルスパワー磁性部品、トランス、モータ又は発電機の磁心、電流センサ、磁気センサ、アンテナ磁心、電磁波吸収シート等に用いる軟磁性材としては、珪素鋼、フェライト、Co基非晶質軟磁性合金、Fe基非晶質軟磁性合金及びFe基ナノ結晶軟磁性合金がある。珪素鋼は安価で磁束密度が高いが、高周波では損失が大きく、かつ薄くしにくい。フェライトは飽和磁束密度が低いので、動作磁束密度が大きなハイパワー用途では磁気飽和しやすい。Co基非晶質軟磁性合金は高価な上に、飽和磁束密度が1
T以下と低いので、ハイパワー用に使用すると部品が大きくなり、また熱的に不安定であるため経時変化により損失が増加する。Fe基非晶質軟磁性合金は飽和磁束密度が1.5T程度とまだ低く、また保磁力も十分低いとは言えない。
Fe基ナノ結晶軟磁性合金の中に特許文献1に開示されたものがある。このものは、組成式:Fe100-x-y-zCuxByXz(但し、XはSi,S,C,P,Al,Ge,Ga,Beからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、x,y及びzはそれぞれ原子%で、0.1≦x≦3、10≦y≦20、0<z≦10、及び10<y+z≦24の条件を満たす数である。)により表され、平均粒径60 nm以下の結晶粒を非晶質母相中に30体積%以上分散した組織を有し、もって1.7 T以上の高い飽和磁束密度を有するFe基ナノ結晶軟磁性合金である。
国際公開WO2007/032531号公報
特許文献1のFe基ナノ結晶軟磁性合金によれば高い飽和磁束密度と低い保磁力を得ることができるため安定的な量産体制が求められている。例えば、量産する場合は、長時間の製造が行われることから冷却能力が高い装置が使用される。この合金は超急冷後の薄帯の時点で所定量の初期微結晶粒を析出させておくものである。しかし、冷却能力の向上により初期微結晶粒の析出量が不足した領域が広がることが分かった。この領域ではクラスタリングによる核が不足している分、熱処理による粒成長が盛んに起こり結果的に粗大結晶粒相を形成してしまう。粗大結晶粒相は薄帯の表面近くに形成され磁気的に硬質となる。そのため、磁気飽和性が悪くなり飽和磁束密度が下がってしまうことがある。また、現象として磁壁の移動を妨げる、いわゆるピン止め作用が働く結果となり、ヒステリス損失の増加にもつながる。
特許文献1に開示されたFe基ナノ結晶軟磁性合金においては、粗大結晶粒相を抑制する手段として、熱処理において初期微結晶粒が成長する温度帯を急速昇温で通過させることにより粒成長を抑制することが行われている。しかしながら、急速昇温は磁性部品側の適応性(例えばコアの大きさ等)や熱処理炉等の設備側の制約も出てくるので多少やり難さがあった。このようなことからも上記ピン止め等の問題を解消することが望まれていた。
そこで本発明の目的は、合金組成の改良により、ピン止め作用などによる磁化反転の障壁となる粗大結晶粒相の抑制や鉄損を改善したナノ結晶軟磁性合金及びこれを用いた磁性部品を提供することである。
本発明は、Fe-Cu-B-Si系のナノ結晶軟磁性合金(以下、ナノ結晶合金あるいは単に合金と言うことがある。)において、Cuの含有量を低減し、極微量で且つ適量範囲のAgを添加することにより、粗大結晶粒相の形成を抑制できることを知見し本発明に想到した。即ち、本発明は、Fe100-x-y-zCux-dAgSiここで、x、d、y、zは原子%で、0.8≦x≦1.6、0.005≦d<0.1、10≦y≦20、0<z≦10、10≦y+z≦24により表される合金薄帯を巻き取ったもので、平均結晶粒径60nm以下の微細結晶粒が非晶質母相中に体積分率で30%以上分散した組織からなり、80A/mでの磁束密度B80と800A/mでの磁束密度B800との比B80/B800が0.92以上であり、且つ残留磁束密度BrとB80との比Br/B80が0.9未満であることを特徴とするナノ結晶軟磁性合金である。
上記B80/B800は、好ましくは0.94以上であり、Br/B80は、好ましくは0.8未満、より好ましくは0.7未満、最も好ましくは0.6未満である。よって、より飽和性が高く、より角形性の増加を抑えることができる。
また、このナノ結晶軟磁性合金は、飽和磁束密度が1.7T以上、保磁力が6.5A/m以下、且つ1.5T、50Hzでの鉄損が0.27W/Kg以下を得ることができる。
また、本発明の磁性部品は、上記ナノ結晶軟磁性合金を用いてなることを特徴とする。
本発明によれば、Fe-Cu-B-Si系のナノ結晶軟磁性合金を冷却能力の高い量産機で製造した場合でも、適度な初期微結晶粒の析出を実現しながら巻取りが可能であり、粗大結晶粒相の抑制とピン止め現象を解消して鉄損を低減した合金となる。よって、高飽和磁束密度と低保磁力を備えたまま、低鉄損のナノ結晶軟磁性合金を提供できる。
液体急冷法による時間の経過と冷却過程を説明する図である。 Agを添加した実施例における熱処理前の組織観察(TEM)写真である。 Agを添加していない比較例における熱処理前の組織観察(TEM)写真である。 Agを添加していない別の比較例の熱処理前の組織観察(TEM)写真である。 図2の熱処理後の組織観察(TEM)写真で、(A)は母相を含む全体像、(B)は表面近傍の拡大像である。 同じく図3の熱処理後の組織観察(TEM)写真である。 同じく図4の熱処理後の組織観察(TEM)写真である。 CuとAgの総量1.25原子%の組成で、Ag無しの場合とAg量が0.01原子%の場合の夫々のB-H曲線である。 CuとAgの総量1.25原子%の組成で、Ag無しの場合とAg量が0.05原子%の場合の夫々のB-H曲線である。 CuとAgの総量1.30原子%の組成で、Ag無しの場合とAg量が0.05原子%の場合の夫々のB-H曲線を示し、(A)は全体図、(B)は一部拡大図である。 CuとAgの総量1.40原子%の組成で、Ag無しの場合とAg量が0.05原子%の場合の夫々のB-H曲線である。
先ず本発明の経緯と概要について説明する。
FeとAgの混合熱は大きな正の値となるため液相でもほとんど混合しない状態にある。従って、Fe-Cu-B-Si系ナノ結晶合金においてCuと同様に初期微結晶粒の核を形成するクラスタリングの作用があると言え、Cuの他にAgを添加することにより初期微結晶粒の析出が促進されることが考えられる。特許文献1によればAgを含む各種元素をFeの5原子%以下の割合で置換することにより微結晶粒の生成を促進できるとあり、0.5原子%含ませた例が実施例に記載されている。但し、Agを用いた例は開示されていない。そこで本発明者らは、Agを0.5原子%だけ含ませた当該合金の作製を試みた。しかしその結果は、クラスタリングの促進作用よりも液相に混合しないことによる脆化の作用が強く量産は困難であることが分かった。ただ、本発明者らは、CuとAgのバランスをとればCuを介してFeの液相にAgが溶け込むとの感触を得てさらに検討を進めた。その結果、Cuの他に極微量のAgを添加し、いわばCuの一部をAgで置換することにより、AgによるCuクラスタリングの促進の相乗作用がみられ、なお且つピン止め現象の抑制作用があることを知見し本発明に想到した。
本発明のナノ結晶軟磁性合金は、液体急冷法の1種である単ロール法を用いて製造され得るが、その冷却過程は大きく3段階に分けられる。図1は液体急冷法による時間の経過と冷却過程(相状態の変化)を示している。1次冷却過程では、溶湯は高速で回転するロールに接触して冷却され、液相と固相(ロール)の接触により冷却速度は 105〜107℃/s と極めて速く短時間で冷却され過冷却状態となる。そのためランダムな原子配列であるアモルファス状態にある。その後、2次冷却過程に入ると、合金が固相と固相の接触により冷却速度は103〜105℃/s程度になる。このときCuはFe-Bのいずれの元素とも非固溶であるため、2次冷却過程においてCuが拡散できるだけの温度と時間があれば、Cu原子同士が凝集してCuクラスタリングを起こし初期微結晶粒の核が存在することになる。その後、3次冷却過程では薄帯温度が100〜300℃程度になったときロールから剥離させるので、固相と気相の接触となり冷却速度は大幅に落ちる。以上によって初期微結晶粒を有する合金薄帯が製造される。
ここで、2次冷却過程のときAgは、Cuがクラスタリングを起こす温度よりも400〜500℃だけ高い温度領域で析出を開始し、Cuクラスタリングの促進作用を与える。即ち、Cuがクラスターを作る際には、Cuは拡散、凝集してある種の異相を形成する必要があるが、Cuクラスターはある程度の原子数が集まらないと、このような異相状態になり難い。しかし、AgはCuに比べて溶湯に混ざり難いため、より少ない量で同様の異相状態を形成しクラスターの核が早くに生じる。このためAgの異相にCuが集まることにより、少ないCu量でCuクラスタリングが進行する。但し、AgはCu量に対し極微量であるため核の成長までは起こし難く、より均質な分布を助ける作用があると考えている。以上によりAgによる初期の核生成が一様に起きた後に、本格的なCuクラスタリングが起こり初期微結晶粒が形成される。そのため、従来は過飽和状態となるように含有していたCu量を0.1〜0.5原子%程度減らすことができる。一方、Agの添加量は0.005原子%以上、0.1原子%未満の極微量でも脆化を抑えることができ、且つ合金薄帯の巻取りが可能である。熱処理後は、ナノ結晶粒の平均粒径の微細化が広い範囲で実現し粗大結晶粒相の生成が抑えられる。
また、極微量のAgにより、いわゆるピン止めサイトの生成が抑制され、磁壁の移動速度を低減し、渦電流損失を抑えると共にヒステリシス損失も減少し、結果、鉄損を低減できる。
次に、合金組成および製造方法などを説明する。
[1]合金組成
本発明の合金組成は、一般式:Fe100-x-y-zCux-dAgSiここで、x、d、y、zは原子%で、0.8≦x≦1.6、0.005≦d<0.1、10≦y≦20、0<z≦10、10≦y+z≦24により表される組成を有する。勿論、上記組成は不可避的不純物を含んでも良い。1.7T以上の飽和磁束密度Bsを有するためには、bcc-Feの微細結晶(ナノ結晶)を有する組織となる必要があり、そのためにはFe含有量が高いことが必要である。具体的には、Fe含有量は75原子%以上が必要であり、好ましくは77原子%以上、より好ましくは78原子%以上である。
この合金は、高いFe含有量でも安定的に非晶質相が得られるFe-B-Si系を基本組成とし、これにFeと非固溶の核生成元素であるCu及びAgを含有させている。
Cu単体では1.0原子%以下であると初期微結晶粒の析出量が少なく、3原子%を超えると軟磁気特性が悪化する傾向にある。しかし、本発明では、Cuと共にAgを複合添加することでCu量を減らすことができる。よって、CuとAgの総量xは0.8≦x≦1.6としている。
AgはCuクラスタリングを促進するために添加する元素である。Ag量が0.1原子%を超えると脆化し易くなり薄帯の巻取りが困難になる等製造上の問題が生じる。0.005原子%未満であるとAgの効果が得られない。よって、Ag量dは0.005≦d<0.1としている。好ましくは0.01〜0.05原子%であり、より好ましくは0.01〜0.04原子%、最も好ましくは0.01〜0.03原子%である。
B(ボロン)は非晶質相の形成を促進する元素である。B量が10原子%未満であると非晶質相を主相とする合金薄帯を得るのが困難であり、22原子%を超えると得られる合金薄帯の飽和磁束密度が1.7T未満となる。従って、B量yは10≦y≦22としている。好ましくは11〜20原子%であり、より好ましくは12〜18原子%であり、最も好ましくは12〜17原子%である。
Siの添加により結晶磁気異方性の大きいFe-Bが析出する温度が高くなるため、熱処理温度を高くできる。高温の熱処理を施すことにより微結晶粒の割合が増え、飽和磁束密度が増加し、B-H曲線の角形性が改善され、薄帯表面の変質又は変色を抑えることもできる。Si量zは0原子%でも良いが、1原子%以上であると薄帯の表面に酸化物層が形成され、内部の酸化を十分に抑制できる。また、Si量zが10原子%を超えるとBsが1.7 T未満となる。好ましくは2〜9原子%であり、より好ましくは3〜8原子%であり、最も好ましくは4〜7原子%である。
なお、Siの他にP、S、C、Al、Ge、Ga及びBeをzの範囲内で用いることができる。これらの元素の含有により磁歪及び磁気特性を調整できる。
Feの一部をNi、Mn、Co、V、Cr、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWから選ばれた少なくとも一種の元素Dで置換しても良い。元素Dの量は好ましくは0.01〜10原子%であり、より好ましくは0.01〜3原子%であり、最も好ましくは0.01〜1.5原子%である。D元素のうち、Ni、Mn、Co、V及びCrはB濃度の高い領域を表面側に移動させる効果を有し、表面に近い領域から母相に近い組織とし、もって軟磁性合金薄帯の軟磁気特性(透磁率、保磁力等)を改善する。またCu及びB、Si等のメタロイド元素とともに熱処理後も残留する非晶質相に優先的に入るため、Fe含有量の高い微結晶粒の成長を抑制し、微結晶粒の平均粒径を低下させ、もって飽和磁束密度Bs及び軟磁気特性を改善できる。
特にFeの一部をFeに固溶するCo又はNiで置換すると、添加し得るCu量が増やせて結晶組織の微細化が促進され、軟磁気特性が改善される。Niの含有量は0.1〜2原子%が好ましく、0.5〜1原子%がより好ましい。Niの含有量が0.1原子%未満ではハンドリング性(切断や巻回の加工性)の向上効果が不十分であり、2原子%を超えるとBs、B80及びHcが低下する。Coの含有量も0.1〜2原子%が好ましく、0.5〜1原子%がより好ましい。
また、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWも同様にCu及びメタロイド元素とともに熱処理後も残留する非晶質相に優先的に入るため、飽和磁束密度Bs及び軟磁気特性の改善に寄与する。一方、原子量の大きいこれらの元素が多すぎると、単位重量当たりのFeの含有量が低下して軟磁気特性が悪化する。これらの元素は総量で3原子%以下とするのが好ましい。特にNb及びZrの場合、含有量は合計で2.5原子%以下が好ましく、1.5原子%以下がより好ましい。Ta及びHfの場合、含有量は合計で1.5原子%以下が好ましく、0.8原子%以下がより好ましい。
さらに、Feの一部をRe、Y、Zn、As、In、Sn、Sb、白金族元素、Bi、N、O、及び希土類元素から選ばれた少なくとも一種の元素で置換しても良い。これらの元素の含有量は総量で5原子%以下が好ましく、2原子%以下がより好ましい。特に高い飽和磁束密度を得るためには、これらの元素の総量は1.5原子%以下が好ましく、1.0原子%以下がより好ましい。
[2]製造方法
(1)
合金溶湯
合金溶湯は、Fe100-x-y-zCux-dAgSiここで、x、d、y、zは原子%で、0.8≦x≦1.6、0.005≦d<0.1、10≦y≦20、0<z≦10、10≦y+z≦24により表される組成を有する。
(2)
溶湯の急冷
合金溶湯の急冷は単ロール法により行うことができる。溶湯温度は合金の融点より50〜300℃高いのが好ましく、例えば初期微結晶粒が析出した厚さ数十μmの薄帯を製造する場合、約1300〜1400℃の溶湯をノズルから冷却ロール上に噴出させるのが好ましい。単ロール法における雰囲気は、合金が活性な金属を含まない場合は大気又は不活性ガス(Ar、窒素等)であり、活性な金属を含む場合は不活性ガス(Ar、He、窒素等)又は真空である。表面に酸化皮膜を形成するためには、溶湯の急冷を酸素含有雰囲気(例えば大気)中で行うのが好ましい。
初期微結晶粒の生成は、上述したように薄帯の冷却速度と時間に密接に関連する。そのため、初期微結晶粒の体積分率を制御するのは重要である。初期微結晶粒の体積分率を制御する手段の一つは、冷却ロールの周速の制御である。ロールの周速が速くなると初期微結晶粒の体積分率が低減し、遅くなると増加する。ロールの周速は15〜50 m/sが好ましく、20〜40 m/sがより好ましく、25〜35
m/sが最も好ましい。
ロールの材質は、高熱伝導率の純銅、又はCu-Be、Cu-Cr、Cu-Zr、Cu-Zr-Cr等の銅合金が適している。大量生産の場合、又は厚い及び/又は広幅の薄帯を製造する場合、ロールは水冷式が好ましい。ロールの水冷は体積分率に影響するので、ロールの冷却能力(冷却速度と言っても良い)を鋳造当初から終了まで維持することが有効である。量産ラインにおいては、ロールの冷却能力は冷却水の温度に相関しており、冷却水を所定の温度以上に保つのが効果的である。
(3)
ロール上の薄帯位置
初期微結晶粒の体積分率はロールの冷却能力(ロール材質や冷却水路構造、冷却水量等)が一要因となり、製造装置毎に適宜定量化することが好ましい。
また、所定の体積分率を得るためには、ロール幅に対して適切な薄帯幅を設定することが好ましい。ロール幅に対して薄帯幅が50%を超えるような広幅の薄帯では、ロール全体の温度上昇が顕著となるので好ましくない。また、逆にロール幅に対し極端に小さい薄帯幅は急冷バランスが崩れるので避けるべきである。
(4)
ギャップ調整
単ロール法を用いた薄帯の鋳造では、板厚、断面形状、表面起伏などの制御をパドル制御で行うことができる。パドルの制御には、ノズルとロール間の距離(=ギャップ)を制御したり、出湯圧力、溶湯の自重を調節する方法が有効である。ただし圧力に関する出湯圧力の制御と溶湯の自重制御は、溶湯の残量、溶湯温度などのパラメータにより変化するため定量化が困難である。一方、ギャップ制御はロールとノズル間距離をモニタリングし、常にフィードバックをかけることで比較的簡単に制御できる。従って、ギャップ制御により合金薄帯の板厚、断面形状、表面起伏等を調整するのが好ましい。一般に、ギャップが広いほど湯流れが良く、薄帯を厚くしたりパドルの崩壊を防いだりするのに有効である。しかし、ギャップが広すぎると薄帯は中央部が厚く端部が薄い断面形状を呈し、板厚差による冷却速度の差によって初期微結晶粒の析出量に差が生じる。生産上はほぼギャップを300μm以下、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下で適宜調整し、断面形状を矩形に近づけることが有効である。尚、ギャップ間隔を狭くすると、板厚差は抑制できるが、パドルが崩壊し易くなるという問題が生じるので注意が必要である。生産性の観点からギャップの下限は100μmにすることが良い。
(5)
剥離温度
薄帯とロールとの間にノズルから不活性ガス(窒素等)を吹き付けることにより、薄帯をロールから剥離する。薄帯の剥離温度(冷却時間に相関する)も初期微結晶粒の体積分率に影響する。薄帯の剥離温度は不活性ガスを吹き付けるノズルの位置(剥離位置)を変えることにより調整でき、一般に170〜350℃であり、好ましくは200〜340℃であり、より好ましくは250〜330℃である。剥離温度が170℃未満であると、急冷し過ぎて合金組織がほぼ非晶質となる。一方、剥離温度が350℃超であると、結晶化が進み過ぎ脆くなりすぎる。適正な冷却速度であると、薄帯の表面域は急冷によりCu量が減って初期微結晶粒が生成されないが、内部では冷却速度が比較的遅いために初期微結晶粒が多く析出する。
剥離した薄帯は、同期する巻取り機により直接リールに巻取りされることが多い。ただ薄帯の内部はまだ比較的高温であるので、さらなる結晶化を防止するために、巻き取る前に薄帯を十分に冷却することは望ましい。例えば、剥離した薄帯に不活性ガス(窒素等)を吹き付けて、実質的に室温まで冷却した後巻き取ることもできる。
[3]初期微結晶合金の薄帯
(1) 組織
初期微結晶合金は、平均粒径が30 nm以下の超微細な初期微結晶粒が非晶質母相中に0を超え、30体積%以下の割合で分散した組織を有する。初期微結晶粒の平均粒径が30 nm超であると、熱処理後の微結晶粒が粗大化し、軟磁気特性が劣化する。初期微結晶粒の平均粒径の下限は測定限界から0.5 nm程度であるが、1 nmが好ましく、2 nm以上がより好ましい。優れた軟磁気特性を得るためには、初期微結晶粒の平均粒径は5〜25 nmが好ましく、5〜20
nmがより好ましい。ただ、Ni含有組成では、初期微結晶粒の平均粒径は5〜15 nm程度が好ましい。初期微結晶合金における初期微結晶粒の体積分率は0を超えるものであるが、30体積%を超えると平均粒径も30 nm超となる傾向があり、薄帯は十分な靭性を有さず、後工程でのハンドリングが難しくなる。一方、初期微結晶粒がないと(完全に非晶質であると)、熱処理により粗大結晶粒ができ易い。初期微結晶粒の体積分率は5〜30%が好ましく、10〜25%がより好ましい。
初期微結晶粒間の平均距離(重心間の平均距離)が50 nm以下であると、微結晶粒の磁気異方性が平均化され、実効結晶磁気異方性が低下するので好ましい。平均距離が50 nmを超えると、磁気異方性の平均化の効果が薄れ、実効結晶磁気異方性が高くなり、軟磁気特性が悪化する。
(2) 熱処理方法
(a) 高温高速熱処理
本発明の初期微結晶合金の薄帯に施す熱処理の態様には、薄帯を100℃/分以上の昇温速度で最高温度(保持温度)まで加熱し、最高温度に1時間以下保持する高温高速熱処理がある。最高温度までの平均昇温速度は100℃/分以上が好ましい。300℃以上の高温域での昇温速度は磁気特性に大きな影響を与えるため、300℃以上での平均昇温速度は100℃/分以上が好ましい。但し、Agを含むことにより、粗大結晶粒相が減り、角形性が緩み磁化反転が起きやすくなるので、昇温速度を低減することもできる。熱処理の最高温度は(TX2−50)℃以上(TX2は化合物の析出温度である。)とするのが好ましく、具体的には430℃超えが好ましい。430℃未満であると、微結晶粒の析出及び成長が不十分である。最高温度の上限は500℃(TX2)以下であるのが好ましい。最高温度の保持時間が1時間超でも微結晶化はあまり変わらず、生産性が低い。保持時間は好ましくは30分以下であり、より好ましくは20分以下であり、最も好ましくは15分以下である。本合金にとって比較的高温での熱処理でも、短時間であれば結晶粒成長を抑制するとともに化合物の生成を抑えることができ、保磁力が低下し、低磁場での磁束密度が向上し、ヒステリシス損失が減少する。
(b) 低温低速熱処理
他の熱処理の態様として、薄帯を約350℃以上〜430℃以下の最高温度に1時間以上保持する低温低速熱処理がある。好ましくは410〜430℃である。量産性の観点から、保持時間は24時間以下が好ましく、4時間以下がより好ましい。保磁力の増加を抑制するため、平均昇温速度は0.1〜200℃/分が好ましく、0.1〜100℃/分がより好ましい。この熱処理により角形性の高いナノ結晶軟磁性合金を得ることもできる。
(c)
熱処理雰囲気
熱処理雰囲気は空気でもよいが、Si,Fe,B及びCuを表面側に拡散させることにより所望の層構成を有する酸化皮膜を形成するために、熱処理雰囲気の酸素濃度は6〜18%が好ましく、8〜15%がより好ましく、9〜13%が最も好ましい。熱処理雰囲気は窒素、Ar、ヘリウム等の不活性ガスと酸素との混合ガスが好ましい。熱処理雰囲気の露点は−30℃以下が好ましく、−60℃以下がより好ましい。
(d)
磁場中熱処理
磁場中熱処理により合金薄帯に良好な誘導磁気異方性を付与するために、熱処理温度が200℃以上である間(20分以上が好ましい)、昇温中、最高温度の保持中及び冷却中のいずれでも、軟磁性合金を飽和させるのに十分な強さの磁場を印加するのが好ましい。磁場強度は薄帯の形状に応じて異なるが、薄帯の幅方向(環状磁心の場合、高さ方向)及び長手方向(環状磁心の場合、円周方向)のいずれに印加する場合でも8 kA/m以上が好ましい。磁場は直流磁場、交流磁場、パルス磁場のいずれでも良い。磁場中熱処理により高角形比又は低角形比の直流ヒステリシスループを有する合金薄帯が得られる。磁場を印加しない熱処理の場合、合金薄帯は中程度の角形比の直流ヒステリシスループを有する。
(3)
表面処理
上記合金薄帯に、必要に応じてSiO2、MgO、Al2O3等の酸化物被膜を形成しても良い。表面処理を熱処理工程中に行うと酸化物の結合強度が上がる。必要に応じてこの薄帯からなる磁心に樹脂を含浸させても良い。
[4]ナノ結晶軟磁性合金の薄帯
熱処理後は、平均粒径60 nm以下の体心立方(bcc)構造の微結晶粒が30%以上の体積分率で非晶質母相中に分散した組織を有する。微結晶粒の平均粒径が60 nmを超えると軟磁気特性が低下する。微結晶粒の体積分率が30%未満では、非晶質の割合が多すぎ、飽和磁束密度が低い。熱処理後の微結晶粒の平均粒径は40
nm以下が好ましく、30 nm以下がより好ましい。微結晶粒の平均粒径の下限は一般に12 nmであり、好ましくは15 nmであり、より好ましくは18 nmである。また熱処理後の微結晶粒の体積分率は50%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。60 nm以下の平均粒径及び30%以上の体積分率で、Fe基非晶質合金より磁歪が低く軟磁性に優れた合金薄帯が得られる。同組成のFe基非晶質合金薄帯は磁気体積効果により比較的大きな磁歪を有するが、bcc-Feを主体とする微結晶粒が分散したナノ結晶軟磁性合金は磁気体積効果により生じる磁歪がはるかに小さく、ノイズ低減効果が大きい。
[5]磁性部品
上記ナノ結晶軟磁性合金を用いた磁性部品は、飽和磁束密度が高いので、磁気飽和が問題となるハイパワーの用途に好適であり、例えばアノードリアクトル等の大電流用リアクトル、アクティブフィルタ用チョークコイル、平滑用チョークコイル、レーザ電源や加速器等に用いられるパルスパワー磁性部品、トランス、通信用パルストランス、モータ又は発電機の磁心、ヨーク材、電流センサ、磁気センサ、アンテナ磁心、電磁波吸収シート等が挙げられる。また、合金薄帯を複数積層して積層体となし、これらの積層体をさらに積層して一旦積層構造としたのち、ステップラップやオーバラップ状に巻いた変圧器用の鉄心としても適用できる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。尚、剥離温度、微結晶粒の平均粒径及び体積分率、磁気特性は下記の方法により求めた。
(1)剥離温度の測定
ノズルから吹き付ける窒素ガスにより冷却ロールから剥離するときの合金薄帯の温度を放射温度計(アピステ社製、型式:FSV-7000E)により測定し、剥離温度とした。
(2)
微結晶粒の平均粒径及び体積分率の測定
微結晶粒(初期微結晶粒も同じ)の平均粒径は、各試料の透過型電子顕微鏡(TEM)写真等から任意に選択したn個(30個以上)の微結晶粒の長径DL及び短径DSを測定し、Σ(DL+DS)/2nの式に従って平均することにより求めた。また各試料のTEM写真等に長さLtの任意の直線を引き、各直線が微結晶粒と交差する部分の長さの合計Lcを求め、各直線に沿った結晶粒の割合LL=Lc/Ltを計算した。この操作を5回繰り返し、LLを平均することにより微結晶粒の体積分率を求めた。ここで、体積分率VL=Vc/Vt(Vcは微結晶粒の体積の総和であり、Vtは試料の体積である。)は、VL≒Lc3/Lt3=LL 3と近似的に扱った。また、数密度(2次元的に観察したもの)については、各試料のTEM写真等から目視で確認できる単位面積当たりの微結晶粒の数を求めた。
(3)磁気特性の測定
120mm単板試料を直流磁化自動記録装置(メトロン技研社製)により、B-H曲線を求め、80 A/mにおける磁束密度
B80 、800 A/mにおける磁束密度
B800 、8000 A/m における磁束密度 B8000(ほぼ飽和磁束密度Bsと同じ)及び残留磁束密度Brを測定し、B80/B800、Br/B80を求めた。尚、ここでB800 をとったのは、本発明に係る合金ではこのB800領域の飽和性が悪くなる傾向にある。そこでB80/B800の比が1 に近いほど、この領域の飽和性が良いことを示す指標になるからである。
鉄損については、120mm単板試料を交流磁気特性評価装置(東英工業製)により、1.5 T、50 Hz における鉄損P、皮相電力S(励磁VA)の測定を行った。
(実施例1)
表1に示す組成についてCu量に対しAg量を変えたナノ結晶軟磁性合金の薄帯を下記により製造した。
各組成(原子%)を有する合金溶湯(1300℃)を銅合金製の冷却ロール(幅:168mm、周速:27m/s、冷却水の入口温度:約60℃、出口温度:約70℃)を用いて、大気中で超急冷し、250℃の薄帯温度でロールから剥離し、幅25mm、厚さ約12〜25μm、長さ約10000mの初期微結晶合金の薄帯を作製した。尚、厚さが異なるのはCu量が多いほど薄くして薄帯の冷却速度がほぼ同じになるように調整したためである。ただ、Ag量が0.1原子%の薄帯は、靭性が低く破断するため巻取りは困難であった。よって床に出しのまま製造した。
Ag量が0.1原子%未満の場合は、巻取りが行え最後まで製造ができた。出湯直後で巻取り前段階の薄帯は、曲げ半径0.5mmまで或いは密着するまで破断することなく180度曲げが可能であった。尚、任意箇所で初期微結晶粒の平均粒径と体積分率を測定した結果、各薄帯とも非晶質母相中に平均粒径30nm以下の初期微結晶粒が30%未満の割合で分散した組織を有することが確認された。
その後、それぞれの薄帯から採取した120mm単板試料を熱処理炉に投入し、約15分で430℃まで昇温した後、1時間保持する低温低速の熱処理を施し、ナノ結晶軟磁性合金の薄帯を作製した。
各試料について微結晶粒の平均粒径と体積分率を測定した。
また、Agが0.05原子%の実施例(No.6)と、Ag無しの比較例(No.5、7)については、熱処理前と熱処理後のロール面の組織観察(TEM)写真を示す。図2〜図4は熱処理前で、図2は実施例(No.6)、図3は比較例(No.7)、図4は比較例(No.5)である。また、図5〜図7は熱処理後を示し、図5は実施例(No.6)であり(A)は全体像、(B)は表面近傍の拡大像である。図6は比較例(No.7)、図7は比較例(No.5)を示している。(A)、(B)については図5と同様である。
測定結果を表1に示す。尚、*を付したものが実施例である。
ナノ結晶軟磁性合金の軟磁気特性の発現には、微細結晶粒径が小さいことが非常に重要な要素として知られているが、それと同様に組織が均一で、且つナノ結晶粒が密に詰まっていることが重要となる。結晶粒径が多少大きくなった場合でも磁気的相関長の目安となる磁壁幅(数十nmあると言われている。)よりも小さい範囲内で他の結晶粒と近接している場合、それぞれの結晶粒の結晶磁気異方性は、他の結晶粒の作る磁場により影響を受け、実効的な結晶磁気異方性は低下する。一方、粗大化した結晶粒が孤立すると、その結晶粒内の結晶磁気異方性が独立して現れるため強い磁気異方性を示し、いわゆるピン止めサイトを形成し易くなる。ピン止めサイトについては後述するB-H曲線で示すが、Ag無しの場合に表れることが分かった。このような観点から熱処理前の組織を見ると、Agを添加した例の図2では、一つ一つの結晶粒径が小さく、且つ均質に分散していることが分かる。これに対し、Ag無しの図3、図4では、初期微結晶粒が凝集し粒径サイズがまばらになっていることが分かった。このようなことからも上述したようにAgは初期微結晶粒の均一な核生成を促す効果があることが確認された。
また、Agがあると板厚が薄い状態、すなわち冷却速度が速い場合でも初期微結晶粒が析出するのに対し、Agが無いものでは、板厚を厚くし冷却を遅くしないと、冷却過程における過冷却状態中のCuが過飽和に達さず、析出してこないことがある。その結果、部分的な結晶粒の凝集、成長が起きやすくなると考えている。
次に図5〜図7の組織観察結果から、熱処理後の組織は何れの合金組成でも最表面近傍では内部の母相組織よりも平均粒径が大きくなる傾向が見られる。Agを添加した図5とAgが無い図6、図7を比べると、例えば、表層から深さ0.5μmまでの領域の数密度は、図5では250 個/μm2、図6では160個/μm2、図7では150個/μm2程度であり、Ag入りのものでは表層近傍までナノ結晶粒の数密度が高いことが分かる。また、深さごとの結晶粒径のバラツキが少なく、細かい結晶も混ざっており、最大粒径も小さい。磁気特性が急激に悪化する80 nm 以上の結晶粒の割合は、ほぼ50% 以下であると言える。よって、内部組織は、Agを適量だけ添加したものが分布および平均粒径共に小さく、軟磁気特性の向上に貢献していると考えられる。軟磁気特性については後述する。
次に、表1の単板試料によりB-H曲線を求めた。磁束密度B80とB800、飽和磁束密度B8000及びBと、保磁力(Hc)及び1.5T、50Hzでの鉄損P(W/Kg)、皮相電力Sを測定した。以上の結果を表2に示す。
また、Agの有無によるB-H曲線を併記したものを図8〜図11に示す。図8はCuとAgの総量が1.25原子%の場合で、Ag無しの比較例(No.1)を点線で、Ag量が0.01原子%の実施例(No.2)を実線で示している。図9は同じく0.05原子%の実施例(No.3)、図10はCuとAgの総量が1.30原子%の場合で、Ag無しの比較例(No.5)を点線で、Ag量が0.05原子%の実施例(No6)を実線で示し、図11はCuとAgの総量が1.40原子%の場合で、Ag無しの比較例(No.7)を点線で、Ag量が0.05原子%の実施例(No.8)を実線で示している。
表2および図8〜図11から、Agの有無とB-H曲線の形状変化に関して以下のことが分かる。Cu量が1.25原子%を基準にして、Ag無しの比較例(No.1)では保磁力が180A/mと高い、対してAgを添加した場合、0.01原子%の微量でも保磁力は約6.5A/mまで減少し、磁束密度B80は1.6T以上となっている。さらに、Agを0.05原子%添加した場合も保磁力は5.5A/mまで減少し、B80は1.64Tとなった。
一方、Ag量が0.1原子%では、軟磁気特性自体は悪くないものの生産性の面で問題がある。即ち、比較例(No9)のように板厚をかなり薄くしても初期微結晶粒の析出が多くCuクラスタリングの助長効果が高く現れてくる。これは生産性の面からみると不安定であり、実際、薄帯は靭性が低く破断してしまい巻き取ることができなかった。Ag量が0.1原子%以上では、Ag単相の析出物も現れると考えられるので量産には適さない。
次に、Cu量が1.30原子%の場合もAg量が0.05原子%でも保磁力は5.5 A/mまで減少し、B80は1.62Tとなった。また、Ag量を0.02原子%、0.03原子%とした場合も同様に保磁力は6.0A/m以下、B80は1.65T以上となっている。また、皮相電力Sは、Ag入りの場合は概ね0.5VA/Kg以下に収まっている。尚、Cu量が1.4〜1.6原子%の場合についても、Ag量が0.05原子%だけでも保磁力は減少し、磁束密度B80は上昇することが確認された。
以上のことからAg量は0.1原子%未満であることが良く、0.01〜0.05原子%が好ましく微量でも効果が高い。このことからAg量の下限は、0.005原子%でも同様の効果が得られると考えている。
また、Agを入れていない比較例では、結晶粒が大きめで保磁力や鉄損にもその影響が出ており、実施例よりも低めの特性となった。尚、図8の比較例(No.1)の保磁力が高くなったのは、初期微結晶粒の析出が不足したため、粗大結晶粒相の領域が広がったことが原因であると考える。
以上より本発明のナノ結晶軟磁性合金は、1.7T以上の飽和磁束密度を維持し、且つ6.5A/m以下の保磁力と、1.5T、50Hzでの鉄損を0.26W/Kg以下にすることができている。
次に、B-H曲線に注目してみると、Ag無しの場合のB-H曲線は高磁束密度領域でカーブが膨らんでピン角となり、いわゆるピン止めサイトを形成していることが分かる。このピン止めサイトの領域は異方性が強く磁気的飽和性が悪くなる。組織の磁化過程に起因して現れていると考えられるが、この領域が存在することで減磁過程におけるH=0A/m以下の磁束密度の減少の仕方が異なる。即ち、図10に特徴的に表れているように、Ag入りの場合は減磁カーブが緩やかであるのに対し、Ag無しの場合はピン止角sから急峻に減少する。急峻な分だけ磁化過程における磁壁の移動速度が速くなることを意味する。渦電流損Peは、磁束密度Bと時間tの変化に比例(Pe∝dB/dt)するので移動速度dtが速く(小さく)なるほど渦電流損は増加する。これは結果的に鉄損の増大につながる。実際、1.5T、50Hzの鉄損は、Agを0.05原子%だけ入れた実施例(No.3)では0.23W/kgであるが、Agを入れない比較例(No.7)で0.32W/kg、比較例(No.5)で0.41W/kgと増加している。また、B-H曲線上では角形性に反映され、B80/B800は0.90以上と飽和性は高いが、Br/B80も0.9以上となり角形性の増加を抑えることができていない結果となっている。即ち、ピン止角が立ちピン止め作用が働いて磁壁の移動を妨げていると言える。
(実施例2)
表3に示す組成について実施例1と同様にナノ結晶軟磁性合金の薄帯を製造した。但し、熱処理を下記の高温高速の熱処理とした。即ち、それぞれの薄帯から採取した120mm単板試料を熱処理炉に投入し、300℃から保持温度までの昇温速度を変えて保持温度450℃で5分間保持する熱処理を施した。
尚、熱処理前の薄帯について、任意箇所で初期微結晶粒の平均粒径と体積分率を測定した結果、各薄帯とも非晶質母相中に平均粒径30nm以下の初期微結晶粒が30%未満の割合で分散した組織を有することが確認された。
次に、磁束密度B80とB800、飽和磁束密度B8000及びBと、保磁力(Hc)及び1.5T、50Hzでの鉄損P(W/Kg)、皮相電力Sを測定した。以上の結果を表4に示す。
表3、表4の結果より、Cu量とAg量の総量xが少ない場合でもAgを少量添加するだけで粗大結晶粒相の領域は少なくなり、平均結晶粒径が小さく深さによるバラツキもほとんど見られなくなっている。その結果、軟磁気特性も満足するものであった。一方、Agが無いものでは、製造過程での冷却能力の影響をそのまま受けて初期微結晶粒の析出が減り、表層から母相に渡り粗大結晶粒相が形成されたものと考えられる。
また、同じ昇温速度でもAgが微量にあるだけで保磁力は急激に低減し、磁束密度B80、B800、B8000と共に向上している。Br/B80も0.8以下となりピン止角が取れて、結果的に鉄損の低減効果が表れている。特に実施例(No.17)では昇温速度を遅くしても高速の場合と同等の結果が得られていることから熱処理設備などの制約の緩和が期待できる。逆にAgが無い場合の軟磁気特性は全てにおいて満足できるものではない。特に保磁力やBr/B80が非常に高く鉄損の測定は不可である。
本発明において、Cu量とAg量の比率は、上記実施例に限らず薄帯の靭性と磁気特性の兼ね合いで決めるのが良い。例えば、合金薄帯として使用する場合は、巻取り性やその後の薄帯のハンドリング性から極力靱性を有していることが好ましく、この場合にはAgを0.05原子%以下を目途とすることが良い。また、合金薄帯を粉砕して粉末が欲しい場合には、合金薄帯が脆化している方が良いので、この場合にはAgを0.05原子%超え、0.1原子%未満を目途とすることが良い。
尚、本発明はFe-B-Si系の非晶質母相中にCuクラスタリングを利用して効果的なナノ結晶組織を発現させることを趣旨とするものである。従い、このようなメカニズムを用いる限り上記実施例の組成に限らず、非晶質母相中に初期微結晶化し得る組成であれば良い。

Claims (4)

  1. Fe100-x-y-zCux-dAgSiここで、x、d、y、zは原子%で、0.8≦x≦1.6、0.005≦d<0.1、10≦y≦20、0<z≦10、10≦y+z≦24により表される合金薄帯を巻き取ったもので、平均結晶粒径60nm以下の微細結晶粒が非晶質母相中に体積分率で30%以上分散した組織からなり、80A/mでの磁束密度B80と800A/mでの磁束密度B800との比B80/B800が0.92以上であり、且つ残留磁束密度BrとB80との比Br/B80が0.9未満であることを特徴とするナノ結晶軟磁性合金。
  2. 飽和磁束密度が1.7T以上、保磁力が6.5A/m以下、且つ1.5T、50Hzでの鉄損が0.27W/Kg以下であることを特徴とする請求項1に記載のナノ結晶軟磁性合金。
  3. 平均結晶粒径30nm以下の初期微結晶粒が非晶質母相中に体積分率で30%未満の割合で分散した組織からなる初期微結晶合金を熱処理することにより得られることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノ結晶軟磁性合金。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のナノ結晶軟磁性合金を用いた磁性部品。


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