JP6429056B1 - 軟磁性金属粉末、圧粉磁心および磁性部品 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]Cuを含むFe系ナノ結晶合金から構成される軟磁性金属粒子を複数含む軟磁性金属粉末であって、
軟磁性金属粒子は、コア部と、コア部の周囲を取り囲む第1のシェル部と、を有し、
コア部の面積を100%とした場合に、コア部に存在するCu結晶子の面積率をAとし、第1のシェル部の面積を100%とした場合に、第1のシェル部に存在するCu結晶子の面積率をBとした時に、2.0≦A−B≦20.0であることを特徴とする軟磁性金属粉末である。
被覆部は、P、Si、BiおよびZnからなる群から選ばれる1つ以上の化合物を含むことを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の軟磁性金属粉末である。
1.軟磁性金属粉末
1.1.軟磁性金属粒子
1.1.1.コア部
1.1.2.第1のシェル部
1.1.3.第2のシェル部
1.2.被覆部
2.圧粉磁心
3.磁性部品
4.圧粉磁心の製造方法
4.1.軟磁性金属粉末の製造方法
4.2.圧粉磁心の製造方法
本実施形態に係る軟磁性金属粉末は、図1に示すように、複数の軟磁性金属粒子2を含む。なお、軟磁性金属粒子2の形状は特に制限されないが、通常、球形である。
本実施形態では、軟磁性金属粒子は、Cuを含むFe系ナノ結晶合金から構成される。Fe系ナノ結晶合金は、Fe系アモルファス合金、または、初期微結晶が非晶質中に存在するナノヘテロ構造を有するFe系合金を熱処理することにより、非晶質中にナノメートルオーダーの微結晶が析出した合金である。本実施形態では、非晶質中に、Feからなる結晶子(Fe結晶子)およびCuからなる結晶子(Cu結晶子)が分散している。なお、Cuは、Fe系ナノ結晶合金において、0.1原子%以上含まれていることが好ましい。
コア部2aは、軟磁性金属粒子2の中心を含む領域であり、図2に示すように、Fe結晶子(図示省略)およびCu結晶子3aが非晶質5中に均一に分散している領域である。本実施形態では、コア部2aにおけるCu結晶子3aの存在状態を、面積率を用いて表す。コア部におけるCu結晶子の面積率は、コア部の面積を100%とした場合に、コア部中でCu結晶子が占める面積割合として算出される。換言すれば、コア部におけるCu結晶子の面積率は、コア部におけるCu結晶子の濃度を表している。
第1のシェル部2bは、コア部2aの周囲を取り囲む領域である。第1のシェル部2bにおいてもコア部2aと同様に、図2に示すように、Cu結晶子3bが非晶質5中に分散して存在している。
本実施形態では、軟磁性金属粒子2が第2のシェル部2cを有していてもよい。第2のシェル部2cは、図1および2に示すように、第1のシェル部2bの周囲を覆うように形成されている。
本実施形態では、軟磁性金属粒子は被覆部を有する被覆粒子であってもよい。被覆粒子1においては、被覆部10が、図3に示すように、軟磁性金属粒子2の表面を覆うように形成されている。したがって、軟磁性金属粒子2が第2のシェル部2cを有している場合には、被覆部10は第2のシェル部2cの表面を覆うように形成され、軟磁性金属粒子2が第2のシェル部2cを有していない場合には、第1のシェル部2bの表面を覆うように形成されている。
本実施形態に係る圧粉磁心は、上述した軟磁性金属粉末から構成され、所定の形状を有するように形成されていれば特に制限されない。本実施形態では、軟磁性金属粉末と結合剤としての樹脂とを含み、当該軟磁性金属粉末を構成する軟磁性金属粒子同士が樹脂を介して結合することにより所定の形状に固定されている。また、当該圧粉磁心は、上述した軟磁性金属粉末と他の磁性粉末との混合粉末から構成され、所定の形状に形成されていてもよい。
本実施形態に係る磁性部品は、上記の圧粉磁心を備えるものであれば特に制限されない。たとえば、所定形状の圧粉磁心内部に、ワイヤが巻回された空芯コイルが埋設された磁性部品であってもよいし、所定形状の圧粉磁心の表面にワイヤが所定の巻き数だけ巻回されてなる磁性部品であってもよい。本実施形態に係る磁性部品は、耐電圧性が良好であるため、電源回路に用いられるパワーインダクタに好適である。
続いて、上記の磁性部品が備える圧粉磁心を製造する方法について説明する。まず、圧粉磁心を構成する軟磁性金属粉末を製造する方法について説明する。
本実施形態に係る軟磁性金属粉末は、公知の軟磁性金属粉末の製造方法と同様の方法を用いて得ることができる。具体的には、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、回転ディスク法等を用いて製造することができる。また、単ロール法等により得られる薄帯を機械的に粉砕して製造してもよい。これらの中では、所望の磁気特性を有する軟磁性金属粉末が得られやすいという観点から、ガスアトマイズ法を用いることが好ましい。
圧粉磁心は、上記の軟磁性金属粉末を用いて製造する。具体的な製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。まず、被覆部を形成した軟磁性金属粒子を含む軟磁性金属粉末と、結合剤としての公知の樹脂とを混合し、混合物を得る。また、必要に応じて、得られた混合物を造粒粉としてもよい。そして、混合物または造粒粉を金型内に充填して圧縮成形し、作製すべき圧粉磁心の形状を有する成形体を得る。得られた成形体に対して、たとえば50〜200℃で熱処理を行うことにより、樹脂が硬化し軟磁性金属粒子が樹脂を介して固定された所定形状の圧粉磁心が得られる。得られた圧粉磁心に、ワイヤを所定回数だけ巻回することにより、インダクタ等の磁性部品が得られる。
まず、表1に示す組成を有する軟磁性合金から構成され、平均粒子径D50が表1に示す値である粉末を準備した。準備した粉末に対して、表1に示す条件で熱処理を行い、軟磁性金属粒子が、Cuを含むFe系ナノ結晶合金から構成された粉末を得た。なお、実験例1については、2段階目の熱処理を行わなかった。実験例4および8の試料に対して、軟磁性金属粒子の表面近傍においてSTEM−EELSのスペクトル分析を行い、Cuについてマッピングをおこなった。結果を図5に示す。
実験例7の試料において、熱処理条件を表2に示す条件とした以外は、実験例7と同様にして軟磁性金属粉末を作製し、実験例7と同様の評価を行った。また、得られた粉末を用いて、実験例7と同様にして圧粉磁心を作製し、実験例7と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
実験例1および7の試料において、粉末の平均粒子径D50を表3に示す値とした以外は、実験例1および7と同様にして軟磁性金属粉末を作製し、実験例1および7と同様の評価を行った。また、得られた粉末を用いて、実験例1および7と同様にして圧粉磁心を作製し、実験例1および7と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実験例7の試料において、表4に示す組成を有するコーティング材を用いて被覆部を形成した以外は、実験例7と同様にして軟磁性金属粉末を作製し、実験例7と同様の評価を行った。また、得られた粉末を用いて、実験例7と同様にして圧粉磁心を作製し、実験例7と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
表5〜8に示す組成を有する軟磁性合金から構成され、平均粒子径D50が表5〜8に示す値である粉末に対して、表5〜8に示す条件で2段階の熱処理を行い、Cu結晶子の分散状態を変化させた以外は、実験例1〜10と同様にして、軟磁性金属粉末を作製し、実験例1〜10と同様の評価を行った。また、得られた粉末を用いて、実験例1〜10と同様にして圧粉磁心を作製し、実験例1〜10と同様の評価を行った。結果を表5〜8に示す。
10…被覆部
2…軟磁性金属粒子
2a…コア部
3a…Cu結晶子
5…非晶質
2b…第1のシェル部
3b…Cu結晶子
5…非晶質
2c…第2のシェル部
Claims (7)
- Cuを含むFe系ナノ結晶合金から構成される軟磁性金属粒子を複数含む軟磁性金属粉末であって、
前記軟磁性金属粒子は、コア部と、前記コア部の周囲を取り囲む第1のシェル部と、を有し、
前記コア部の面積を100%とした場合に、前記コア部に存在するCu結晶子の面積率をAとし、前記第1のシェル部の面積を100%とした場合に、前記第1のシェル部に存在するCu結晶子の面積率をBとした時に、A−Bが2.0≦A−B≦20.0であることを特徴とする軟磁性金属粉末。 - A/Bが100以下であることを特徴とする請求項1に記載の軟磁性金属粉末。
- 前記軟磁性金属粒子全体のFe結晶子の平均結晶子径が、1.0nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の軟磁性金属粉末。
- 前記軟磁性金属粒子は、前記第1のシェル部の周囲を取り囲む第2のシェル部を有し、前記第2のシェル部はCuまたはCu酸化物を含む層であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の軟磁性金属粉末。
- 前記軟磁性金属粒子の表面は被覆部により覆われており、
前記被覆部は、P、Si、BiおよびZnからなる群から選ばれる1つ以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の軟磁性金属粉末。 - 請求項1から5のいずれかに記載の軟磁性金属粉末から構成される圧粉磁心。
- 請求項6に記載の圧粉磁心を備える磁性部品。
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