JP2014120432A - 正極合材及び全固体型リチウム硫黄電池 - Google Patents

正極合材及び全固体型リチウム硫黄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、硫黄の持つ優れた物性を最大限に活かし、優れた充放電容量を有する全固体型リチウム硫黄電池の正極合材層に好適に用いることができる正極合材を提供することを目的とする。また、上記正極合材を含む正極合材層を備えた全固体型リチウム硫黄電池を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の正極合材は、リチウムに対して2.4V以上の自然電位を有するイオン伝導性物質(A)、硫黄又はその放電生成物(B)及び導電材(C)を含み、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材層に用いることを特徴とする。また、本発明の全固体型リチウム硫黄電池は、本発明の正極合材を含む正極合材層、固体電解質層、負極及び集電体を備えることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、正極合材及び全固体型リチウム硫黄電池に関する。
硫黄は、理論容量が約1672mAh/gと非常に高いことが知られており、硫黄を正極活物質として使用したリチウム硫黄電池の研究が盛んに行われている。
リチウム硫黄電池は、電解質として液体電解質を用いた液体型リチウム硫黄電池と、固体電解質を用いた全固体型リチウム硫黄電池とに大別される。
液体型リチウム硫黄電池においては、リチウムイオンと硫黄との反応により生成した多硫化リチウムが電解質溶液中に溶け出し、電池の充放電容量や寿命に悪影響を与えることが問題となっていた。
一方、全固体型リチウム硫黄電池は、硫化リチウムが電解質溶液に溶け出す問題が生じないため、電池の充放電容量の維持や長寿命化に適している。また、可燃性の有機溶媒を含まないため液漏れや発火のおそれがなく安全性を確保できる点や、セパレータが不要である点等、全固体型リチウム硫黄電池の持つ優れた特性に注目が集まっている。
全固体型リチウム硫黄電池の正極合材層中においては、下記式(1)に示す可逆反応のうち、放電時には右向きの反応が、充電時には左向きの反応が、それぞれ優位に進行している。
S+2Li+2e ⇔ LiS (1)
しかしながら、全固体型リチウム硫黄電池では、負極、固体電解質層及び正極合材層が実質的に溶媒を含有せず、また、正極活物質として正極合材層に含まれる硫黄が電気絶縁性であるため、正極合材層における電子伝導性及びリチウムイオン伝導性が非常に低い。このため、充放電に際して上記式(1)に示す反応の反応性が乏しく、十分な充放電容量を確保することができないという課題があった。
この課題を解決する方法として、正極合材に含まれるイオン伝導性物質(固体電解質)として、導電率の高いイオン伝導性物質を用いることが提案されている(特許文献1)。この理由は、導電率の高いイオン伝導性物質を用いることにより、リチウムイオンが負極から固体電解質層を介して正極合材層中の反応界面まで移動する際の抵抗が小さくなる結果、充放電特性が向上すると考えられているからである。
特開2012−160415号公報
しかしながら、従来の正極合材層を備えた全固体型リチウム硫黄電池では、充放電容量が未だ不十分であり、硫黄の持つ優れた物性を活かしきれていないとの課題があった。
本発明は、硫黄の持つ優れた物性を最大限に活かし、優れた充放電容量を有する全固体型リチウム硫黄電池の正極合材層に好適に用いることができる正極合材を提供することを目的とする。また、上記正極合材を含む正極合材層を備えた全固体型リチウム硫黄電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、全固体型リチウム硫黄電池に用いる正極合材に用いるイオン伝導性物質(固体電解質)について種々検討したところ、従来、イオン伝導性物質は高い導電率を有することが好ましいと考えられていた知見とは別に、イオン伝導性物質の自然電位が充放電特性に影響を与え、特に、イオン伝導性物質としてリチウムに対して特定の自然電位を有するイオン伝導性物質(A)を用いることにより、硫黄、電子及びリチウムイオンが反応界面で反応する際の抵抗を小さくすることができるため、上記式(1)で示す反応の反応性が向上し、その結果、全固体型リチウム硫黄電池の充放電容量が向上するとの新たな知見を得、この知見に基づき本発明を完成した。
即ち、本発明の正極合材は、リチウムに対して2.4V以上の自然電位を有するイオン伝導性物質(A)、硫黄又はその放電生成物(B)及び導電材(C)を含み、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材層に用いることを特徴とする。
本発明の正極合材において、上記イオン伝導性物質(A)は、LiSとMとの複合化物(ここで、MはP、Si、Ge、B及びAlからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも一つであり、x及びyは、独立して、Mの種類に応じて決定される化学量論比を与える整数を表わす)であり、その組成比(モル比)がLiS:M=75:25〜20:80であることが好ましい。
また、上記イオン伝導性物質(A)は、LiSとPとの複合化物であり、その組成比(モル比)がLiS:P=75:25〜20:80であることや、LiSとSiSとの複合化物であり、その組成比(モル比)がLiS:SiS=50:50〜30:70であること、がより好ましい。
本発明の全固体型リチウム硫黄電池は、本発明の正極合材を含む正極合材層、固体電解質層、負極及び集電体を備えることを特徴とする。
本発明の正極合材は、リチウムに対して特定の自然電位を有するイオン伝導性物質(A)を含有するため、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材層として用いた場合に硫黄、電子及びリチウムイオンが反応界面で反応する際の抵抗が小さく、充放電特性に優れた全固体型リチウム硫黄電池を提供することができる。
また、本発明の全固体型リチウム硫黄電池は、本発明の正極合材を含む正極合材層を備えるため、充放電特性に優れる。
本発明の全固体型リチウム硫黄電池の実施形態の一例を模式的に表した断面図である。
<<正極合材>>
まず、本発明の正極合材について説明する。
本発明の正極合材は、リチウムに対して2.4V以上の自然電位を有するイオン伝導性物質(A)、硫黄又はその放電生成物(B)及び導電材(C)を含み、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材層に用いることを特徴とする。
<イオン伝導性物質(A)>
上記イオン伝導性物質(A)は、本発明の正極合材に固体電解質として含まれるものであり、リチウムに対して2.4V以上の自然電位を有する。
イオン伝導性物質(A)としてこのような自然電位を有するものを用いることにより、上述した通り、正極合材中で、硫黄、電子及びリチウムイオンが反応界面で反応する際の抵抗を小さくすることができ、全固体型リチウム硫黄電池の充放電容量を向上させることができる。
上記イオン伝導性物質(A)は、リチウムに対して2.4V以上の自然電位を有するものであれば特に限定されず、その具体例としては、LiSとMとの複合化物(ここで、MはP、Si、Ge、B及びAlからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも一つであり、x及びyは、独立して、Mの種類に応じて決定される化学量論比を与える整数を表わす)が挙げられる。上記LiSとMとの複合化物は、リチウム塩やリチウム窒化物を更に含んでいてもよい。
これらのイオン伝導性物質(A)は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明において、「複合化物」とは、単に所定の成分が混合されたものではなく、所定の成分が混合されたものに機械的、熱的又は化学的なエネルギーが加えられ、所定の成分の全部又は一部に化学反応が生じたものをいう。
また、本明細書において、「複合化する」とは、単に所定の成分を混合することではなく、所定の成分を混合したものに機械的、熱的又は化学的なエネルギーを加えることにより、所定の成分の全部又は一部に化学反応を生じさせることをいう。
上記LiSとMとの複合化物としては、1種のMのみが複合化された複合化物を用いても良いし、2種以上のMが同時に複合化された複合化物を用いても良い。
上記LiSとMとの複合化物の具体例としては、例えば、LiSとPとの複合化物、LiSとSiSとの複合化物、LiSとGeSとの複合化物、LiSとBとの複合化物、LiSとAlとの複合化物等が挙げられる。
これらの中では、LiSとPとの複合化物、及び、LiSとSiSとの複合化物が好ましい。その理由は、これらの複合化物が非晶質の状態で高い導電率を有するためである。
上記リチウム塩としては特に限定されないが、例えば、LiPO、LiSiO、LiO、LiI、LiBH等が挙げられる。
また、上記リチウム窒化物としては特に限定されないが、例えば、LiN等が挙げられる。
上記イオン伝導性物質(A)が上記LiSとMとの複合化物である場合、その組成比(モル比)は、イオン伝導性物質(A)がリチウムに対して2.4V以上の自然電位を有する限り特に限定されないが、LiS:M=75:25〜5:95であることが好ましい。上記LiSとMとの複合化物において、LiSのモル比が75を超えると、イオン伝導性物質(A)のリチウムに対する自然電位が2.4Vよりも低くなり、充放電特性が低下する。また、LiSのモル比が5未満であると、リチウムイオンの伝導性が著しく低下し、充放電反応が十分に起こらないことがある。
上記イオン伝導性物質(A)としては、LiSとPの複合化物がより好ましく、この場合、その組成比(モル比)はLiS:P=75:25〜5:95であることが好ましく、LiS:P=75:25〜20:80であることがより好ましく、LiS:P=65:35〜30:70であることがさらに好ましい。また、上記イオン伝導性物質(A)としては、LiSとSiSの複合化物もより好ましく、この場合、その組成比(モル比)はLiS:SiS=75:25〜5:95であることが好ましく、LiS:SiS=50:50〜30:70であることがより好ましい。
上述の組成比(モル比)を有する複合化物をイオン伝導性物質(A)として正極合材に含有させることにより、全固体型リチウム硫黄電池の充放電特性をさらに向上させることができる。
上記LiSと上記Mとの複合化物を得る方法としては、例えば、遊星ボールミルを用いて、自転速度150〜500rpm、公転速度200〜1000rpm(自転と逆回転)で0.5〜10時間処理する方法等が挙げられる。
なお、LiSと上記Mとが複合化したものか、又は、LiSと上記Mとが単に混合しただけのものかは、ラマン分光法により確認することができる。例えば、LiSとPとの複合化物の場合、複合化に使用した原料であるP由来の300cm−1のピークが消失するか、又は、400cm−1付近の主ピークに対して相対的に小さくなることから、LiSとPとが複合化したことを確認することができる。
上記正極合材中の上記イオン伝導性物質(A)の含有量は、特に限定されないが、上記正極合材中の硫黄又はその放電生成物(B)100重量部に対して、10〜500重量部であることが好ましく、20〜200重量部であることがより好ましい。
上記含有量が10重量部未満であると、正極へ移動可能なリチウムイオンの量が減少し、十分な充放電容量が得られないことがあり、500重量部を超えると、硫黄又はその放電生成物(B)及び導電材(C)の正極合材に占める割合が小さくなり、正極合材当たりの充放電容量を低下させる。
<硫黄又はその放電生成物(B)>
本発明の正極合材は、上記硫黄又はその放電生成物(B)を正極活物質として含有する。
上記硫黄としては、単体の硫黄等を用いることができる。
上記硫黄の放電生成物としては特に限定されないが、例えば、Li、Li、Li等の多硫化リチウムや、硫化リチウム(LiS)等を用いることができる。これらの化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良く、更には単体の硫黄と併用しても良い。
上記硫黄又はその放電生成物(B)の含有量は、特に限定されないが、正極合材に対し、10〜90重量%であることが好ましく、25〜80重量%であることがより好ましい。
上記硫黄又はその放電生成物(B)の含有量が10重量%未満であると、十分な充放電容量が得られないことがあり、90重量%を超えると、イオン伝導性物質(A)及び導電材(C)の正極合材に占める割合が小さくなり、充放電効率が低下することがある。
<導電材(C)>
本発明の正極合材は、上記導電材(C)を電子伝導体として含有する。
上記導電材(C)としては特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック、活性炭、中空シェル構造を有するカーボンブラック(以下、ケッチェンブラック(商標)ともいう)、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン等が挙げられる。
これらの中では、導電性に優れ、かつ、BET比表面積が大きいことから、アセチレンブラック、ケッチェンブラック及び活性炭が好ましい。
上記中空シェル構造を有するカーボンブラックとは、導電性カーボンブラックの一種であり、空隙率は60〜80%程度の中空シェル状の構造を持つものをいう。ここで「中空シェル構造」とは、黒鉛結晶が薄く寄り集まって粒子形態の外殻を形成し、外殻の内側に空隙を有する構造をいう。上記中空シェル構造を有するカーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック(ライオン社製)等が挙げられる。
上記導電材(C)のBET比表面積は、特に限定されないが、10m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがより好ましい。
上記BET比表面積が10m/g未満であると、正極合材内の電子伝導性が不十分となり、充放電効率が低下することがある。
本明細書において、BET比表面積とは、Brenauer−Emmet−Telle(BET)法により求めた比表面積をいい、具体的には、導電性カーボンのサンプルを液体窒素温度下において、サンプルに窒素ガスを吸着して得られる窒素吸着等温線を用いて求めた比表面積をいう。
上記BET比表面積を求めるための測定装置としては、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル株式会社製、BELSORP−mini II)を用いることができる。
上記導電材(C)の含有量は、特に限定されないが、硫黄又はその放電生成物(B)100重量部に対して、5〜200重量部であることが好ましく、10〜100重量部であることがより好ましい。上記導電材(C)の含有量が10重量部未満であると、正極へ移動可能な電子の量が減少し十分な放電容量が得られないことがあり、200重量部を超えると、イオン伝導性物質(A)及び硫黄又はその放電生成物(B)の正極合材に占める割合が小さくなり、充放電効率が低下することがある。
本発明の正極合材は、必要に応じて、導電率が0.1mS/cm以上である固体電解質(D)、バインダー、溶媒等の任意成分を含んでいても良い。
<固体電解質(D)>
上記固体電解質(D)は、導電率が0.1mS/cm以上であり、本発明の正極合材に任意に含まれる。また、後述する固体電解質層の作製に用いられる。
本発明の正極合材は、イオン伝導性物質(A)、硫黄又はその放電生成物(B)及び導電材(C)を含むものであるが、さらに導電率が0.1mS/cm以上である固体電解質(D)を含むことが好ましい。導電率が0.1mS/cm以上の固体電解質(D)を正極合材に含有させることにより、正極合材内のイオン伝導性が向上し、全固体型リチウム硫黄電池の充放電特性をさらに改善できる場合があるためである。
上記固体電解質(D)の具体例としては、導電率が0.1mS/cm以上であるものであれば特に限定されないが、リチウム塩、リチウム硫化物、リチウム酸化物、リチウム窒化物等が挙げられる。
上記固体電解質(D)は、リチウム塩、リチウム硫化物又はこれらの組合せであることが好ましい。その理由は、導電率が高く、粒界抵抗が小さいためである。
上記リチウム塩としては、特に限定されないが、例えば、LiBH、LiI等が挙げられる。
上記リチウム硫化物としては、特に限定されないが、例えば、上記Mと複合化されたもの、具体的には、上記LiSとMとの複合化物等が挙げられる。
上記リチウム酸化物としては、特に限定されないが、例えば、LiO、Li等が挙げられる。
上記リチウム窒化物としては、特に限定されないが、例えば、LiN等が挙げられる。
これらの固体電解質(D)は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記固体電解質(D)の含有量は、特に限定されないが、上記正極合材に対し、5〜40重量%であることが好ましい。
<バインダー>
上記バインダーとしては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等を用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
これらのバインダーは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記バインダーの含有量は、特に限定されないが、上記正極合材中に、0.01〜10重量%含有されていることが好ましい。
<溶媒>
上記溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記溶媒の含有量は、特に限定されないが、上記正極合材中に、10〜99重量%含有されていることが好ましい。
上記溶媒を含有する正極合材を用いることにより、正極合材層を作製しやすくすることができる。上記溶媒は、正極合材層を作製する際、乾燥により除去される。
<正極合材の作製方法>
本発明の正極合材は、イオン伝導性物質(A)、硫黄又はその放電生成物(B)及び導電材(C)、更には、必要に応じて固体電解質(D)、バインダー、溶媒等の任意成分を混合することにより得ることができる。
これらを混合する方法としては、特に限定されず従来公知の方法を用いることができるが、例えば、遊星ボールミル(フリッチュ社製)、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、コスモス(川崎重工業社製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、ナノソニックミル(井上製作所社製)、ニーダー(井上製作所社製)、スーパーマスコロイダー(増幸産業社製)、ナノメック・リアクター(テクノアイ社製)、コーネルデスパ(浅田鉄工所社製)、プラネタリミキサ(浅田鉄工所社製)等を用いて混合する方法が挙げられる。
上記正極合材の作製においては、各成分を混合した後、加熱処理を行ってもよい。
この理由は、正極合材に含まれるイオン伝導性物質(A)、硫黄又はその放電生成物(B)及び導電材(C)の接触界面を強固にすることができ、界面抵抗を低減することができるからである。
上記加熱処理は、特に限定されないが、例えば、アルゴン、窒素、空気等の雰囲気下、80〜250℃、好ましくは100〜200℃の条件で、1秒間〜10時間行うことができる。
上記加熱処理は、従来公知の加熱装置を用いて行えばよく、具体的には、例えば、定温乾燥機、送風乾燥機、減圧乾燥機、赤外線乾燥機等を用いて行えばよい。
<<全固体型リチウム硫黄電池>>
次に、本発明の全固体型リチウム硫黄電池について、図面を参照しながら説明する。
上記全固体型リチウム硫黄電池は、本発明の正極合材を含む正極合材層、固体電解質層、負極及び集電体を備えた全固体型リチウム硫黄電池である。
本明細書において、「全固体型」とは、電解質として高分子固体電解質及び/又は無機固体電解質を用いたものであり、負極、固体電解質層及び正極合材層に実質的に溶媒を含有しないものをいう。
なお、本明細書において、「実質的に溶媒を含有しない」とは、溶媒が微量に残存しても良いことを意味する。
図1は、本発明の全固体型リチウム硫黄電池の実施形態の一例を模式的に表した断面図である。
図1に示すように、全固体型リチウム硫黄電池10は、負極2、固体電解質層3、正極合材層4が順に積層され、その両側に集電体(負極集電体1、正極集電体5)が配置された構造を備える。
以下、集電体(負極集電体、正極集電体)、負極、固体電解質層、正極合材層のそれぞれについて順に説明する。
<集電体>
上記集電体としては、特に限定されないが、例えば、Al、Cu、Ni、ステンレス等を用いることができる。
負極集電体としては、リチウムと合金を作り難い点、及び、薄膜に加工しやすい点から、Cuを用いることが好ましい。
正極集電体としては、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlを用いることが好ましい。
<負極>
上記負極としては、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を負極活物質として含んでいるものであれば、特に限定されるものではない。ここで、リチウムイオンを吸蔵放出する材料としては、例えば、金属リチウム、リチウム合金、金属酸化物、金属硫化物、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物質等が挙げられる。
上記リチウム合金としては、例えば、アルミニウム、シリコン、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム等とリチウムとの合金等が挙げられる。
上記金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物等が挙げられる。
上記金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物やチタン硫化物等が挙げられる。
上記リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物質としては、例えば、黒鉛、コークス、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素等が挙げられる。
上記負極を得る方法としては、特に限定されないが、上記リチウムイオンを吸蔵放出する材料をプレスする方法、上記リチウムイオンを吸蔵放出する材料と溶媒とを含む負極前駆体分散液を負極集電体に塗布、乾燥後プレスする方法等が挙げられる。
上記負極前駆体分散液に含まれる溶媒としては、上述の正極合材に用いられるものと同様のものを用いることができる。
なお、溶媒は負極前駆体分散液の塗布を助けるために使用され、塗布後は乾燥により除去される。
<固体電解質層>
固体電解質層としては、高分子固体電解質及び/又は無機固体電解質からなるものが挙げられる。
上記無機固体電解質からなる固体電解質層は、例えば、上記固体電解質(D)を加圧成形する方法、上記固体電解質(D)を溶媒に分散させた後塗布・乾燥させる方法等により得ることができる。
上記固体電解質(D)を加圧成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、負極集電体と正極集電体とで固体電解質(D)を挟み込んでプレスする方法、加圧成形機の治具でプレスする方法等が挙げられる。
上記固体電解質(D)を溶媒に分散させた後塗布・乾燥させる方法により固体電解質層を得る場合には、乾燥後の固体電解質層を上記と同様の方法でプレスしてもよい。
上記固体電解質(D)を分散させる溶媒としては、上述の正極合材に用いられるものと同様のものを用いることができる。
これらの方法により固体電解質層を得る際、固体電解質層の界面抵抗の低減、及び、緻密性の向上を目的に、任意のタイミングで加熱処理を行っても良い。
また、上記高分子固体電解質からなる固体電解質層としては、例えば、過塩素酸リチウムやリチウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド等のリチウム塩を含むポリエチレンオキシド系ポリマー等が挙げられる。
<正極合材層>
上記正極合材層は、例えば、正極集電体に上記正極合材を担持させる方法、上記正極合材を加圧成形する方法等により得ることができる。
正極集電体に上記正極合材を担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば、正極合材を加圧成形する方法、有機溶媒等を用いてペースト化した正極合材を正極集電体に塗布、乾燥後プレスするなどして固着する方法等が挙げられる。
正極合材を加圧成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、固体電解質層と正極集電体との間に正極合材を挟み込んでプレスする方法、加圧成形機の治具でプレスする方法等が挙げられる。
正極合材を正極集電体に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。
これらの方法により正極合材層を得る際、正極合材層の界面抵抗の低減、及び、緻密性の向上を目的に、任意のタイミングで加熱処理を行っても良い。
上記全固体型リチウム硫黄電池は、上述の負極集電体、負極、固体電解質層、正極合材層、正極集電体のほか、セパレータ等を有していても良い。
上記全固体型リチウム硫黄電池の形状は、特に限定されないが、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型等が挙げられる。
<全固体型リチウム硫黄電池の作製方法>
上記全固体型リチウム硫黄電池の作製方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法等が挙げられる。
まず、負極集電体と正極集電体とで固体電解質を挟み込んでプレスし、固体電解質層を作製する。次に、固体電解質層の片側に正極合材を堆積し、その両端を集電体(固体電解質層側に負極集電体、正極合材側に正極集電体)で挟み込んでプレスし、固体電解質層の一方の面に正極合材層と正極集電体とを積層し、固体電解質層のもう一方の面に負極集電体を積層する。最後に、一旦、負極集電体を取り除き、固体電解質層の正極合材層側と反対側に負極を入れ、さらに、負極側に負極集電体を入れてプレスし、固体電解質層の他方の面に負極と負極集電体とを積層する。また、上記のように一層ずつプレスしても良いし、二層以上を堆積させて、複数層をまとめてプレスして積層させても良い。このような方法により、全固体型リチウム硫黄電池を作製することができる。
<全固体型リチウム硫黄電池の用途>
上記全固体型リチウム硫黄電池の用途としては、特に限定されないが、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等、高いエネルギー密度が要求される電気製品に好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
1.測定方法
後述する実施例及び比較例において、イオン伝導性物質(A)の自然電位及び導電率は、以下の方法により測定した。また、固体電解質(D)の自然電位及び導電率もイオン伝導性物質(A)と同様に測定した。
(自然電位の測定方法)
ポリカーボネート製の円筒管治具(内径10mmΦ、外径23mmΦ、高さ20mm)の下側からSUS304製の円筒治具(10mmΦ、高さ10mm)(以下、集電体2ともいう)を差し込み、ポリカーボネート製の円筒管治具の上側からイオン伝導性物質(A)100mgを入れて、さらにSUS304製の円筒治具(10mmΦ、高さ15mm)(以下、集電体1ともいう)をポリカーボネート製の円筒管治具の上側から差し込んでイオン伝導性物質(A)を挟み込み、200MPaの圧力で3分間プレスすることにより直径10mmΦ、厚さ約0.8mmのイオン伝導性物質(A)層を形成した。
次に、下側から差し込んだSUS304製の円筒治具(集電体2)を抜き取り、対極として厚さ0.25mmのリチウムシート(フルウチ化学社製)を穴あけポンチで直径8mmΦに打ち抜いたものと厚さ0.3mmのインジウムシート(フルウチ化学社製)を穴あけポンチで直径9mmΦに打ち抜いたものを重ねてポリカーボネート製の円筒管治具の下側から入れて、再び下側からSUS304製の円筒治具(集電体2)を差し込み、80MPaの圧力で3分間プレスすることでリチウム−インジウム合金負極を形成した。以上のようにして、下側から順に、集電体2、リチウム−インジウム合金負極、イオン伝導性物質(A)層、集電体1が積層された自然電位測定用の試料を作製した。
この試料を48時間放置し、その後、集電体1と集電体2の電位差を測定することで、自然電位を求めた。このとき、リチウム−インジウム合金負極はリチウムに対して+0.6Vの電位をもっているため、測定値に0.6Vを加えた値をイオン伝導性物質(A)のリチウムに対する自然電位とした。
(導電率の測定方法)
ポリカーボネート製の円筒管治具(内径10mmΦ、外径23mmΦ、高さ20mm)の下側からSUS304製の円筒治具(10mmΦ、高さ10mm)(以下、集電体2ともいう)を差し込み、ポリカーボネート製の円筒管治具の上側からイオン伝導性物質(A)100mgを入れて、さらにSUS304製の円筒治具(10mmΦ、高さ15mm)(以下、集電体1ともいう)をポリカーボネート製の円筒管治具の上側から差し込んでイオン伝導性物質(A)を挟み込み、200MPaの圧力で3分間プレスすることにより直径10mmΦ、厚さ約0.8mmのイオン伝導性物質(A)層を形成することで導電率測定用の試料を作製した。
この試料をソーラトロン社製、セルテストシステム1400にて交流インピーダンス測定により抵抗値を測定し、イオン伝導性物質(A)層の厚みと直径から導電率を算出した(印加電圧50mV、測定周波数1〜1,000,000Hz)。
2.正極合材の作製
(実施例1)
LiS(フルウチ化学株式会社製)とP(アルドリッチ社製)を75:25のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで、自然電位2.47V(vsLi)のイオン伝導性物質(A)を得た。
得られたイオン伝導性物質(A)(75LiS−25P)、硫黄又はその放電生成物(B)としての硫黄(アルドリッチ社製)、及び、導電材(C)としてのケッチェンブラック(比表面積1200m/g、ライオン株式会社製、EC600JD)を用い、その組成比(重量比)が50:40:10となるようにイオン伝導性物質(A)100mg、硫黄又はその放電生成物(B)80mg、導電材(C)20mgを秤量し、遊星ボールミル(Frilsch社製premium line P−7、公転半径0.07m、自転半径0.0235m、自転と公転の比=−2)にて5mmのジルコニアボール約40gとともに45mlのポットにて公転速度370rpmで2時間混合することにより、全固体型リチウム硫黄電池用の正極合材を得た。
(実施例2)
LiSとPを70:30のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで得た、自然電位2.55V(vsLi)のイオン伝導性物質(A)を使用したこと以外、実施例1と同様の操作により正極合材を得た。
(実施例3)
LiSとPを65:35のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで得た、自然電位2.57V(vsLi)のイオン伝導性物質(A)を使用したこと以外、実施例1と同様の操作により正極合材を得た。
(実施例4)
LiSとPを60:40のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで得た、自然電位2.59V(vsLi)のイオン伝導性物質(A)を使用したこと以外、実施例1と同様の操作により正極合材を得た。
(実施例5)
LiSとPを50:50のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで得た、自然電位2.49V(vsLi)のイオン伝導性物質(A)を使用したこと以外、実施例1と同様の操作により正極合材を得た。
(実施例6)
LiSとPを40:60のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで得た、自然電位2.52V(vsLi)のイオン伝導性物質(A)を使用したこと以外、実施例1と同様の操作により正極合材を得た。
(実施例7)
LiSとPを30:70のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで得た、自然電位2.45V(vsLi)のイオン伝導性物質(A)を使用したこと以外、実施例1と同様の操作により正極合材を得た。
(実施例8)
LiSとPを20:80のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで得た、自然電位2.43V(vsLi)のイオン伝導性物質(A)を使用したこと以外、実施例1と同様の操作により正極合材を得た。
(比較例1)
LiSとPを80:20のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで得た、自然電位2.35V(vsLi)のLiSとPとの複合化物を使用したこと以外、実施例1と同様の操作により正極合材を得た。
なお、実施例1〜8、及び、比較例1で得たLiS−P系複合化物の導電率、及び、リチウムに対する自然電位は表1に示す通りである。
Figure 2014120432
(実施例9)
LiSとSiSを50:50のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで得た、自然電位2.41V(vsLi)のイオン伝導性物質(A)を使用したこと以外、実施例1と同様の操作により正極合材を得た。
(実施例10)
LiSとSiSを45:55のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで得た、自然電位2.47V(vsLi)のイオン伝導性物質(A)を使用したこと以外、実施例1と同様の操作により正極合材を得た。
(比較例2)
LiSとSiSを60:40のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合したものを遊星ボールミルにて、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理することで得た、自然電位2.32V(vsLi)のLiSとSiSとの複合化物を使用したこと以外、実施例1と同様の操作により正極合材を得た。
なお、実施例9、10、及び、比較例2で得たLiS−SiS系複合化物の導電率、及び、リチウムに対する自然電位は表2に示す通りである。
Figure 2014120432
3.全固体型リチウム硫黄電池の作製
ポリカーボネート製の円筒管治具(内径10mmΦ、外径23mmΦ、高さ20mm)の下側から負極集電体としてSUS304製の円筒治具(10mmΦ、高さ10mm)を差し込み、ポリカーボネート製の円筒管治具の上側から固体電解質(D)(80LiS−20Pを240℃で1時間焼成した複合化物)70mgを入れて、さらに正極集電体としてSUS304製の円筒治具(10mmΦ、高さ15mm)をポリカーボネート製の円筒管治具の上側から差し込んで固体電解質(D)を挟み込み、200MPaの圧力で3分間プレスすることにより直径10mmΦ、厚さ約0.6mmの固体電解質層を形成した。
次に、上側から差し込んだSUS304製の円筒治具(正極集電体)を一旦抜き取り、ポリカーボネート製の円筒管内の固体電解質層の上に実施例1〜10及び比較例1〜2で作製した正極合材を硫黄重量として3.75mgとなるように入れ、再び上側からSUS304製の円筒治具(正極集電体)を差し込み、200MPaの圧力で3分間プレスすることで、直径10mmΦ、厚さ約0.1mmの正極合材層を形成した。
次に、下側から差し込んだSUS304製の円筒治具(負極集電体)を抜き取り、負極として厚さ0.25mmのリチウムシート(フルウチ化学社製)を穴あけポンチで直径8mmΦに打ち抜いたものと厚さ0.3mmのインジウムシート(フルウチ化学社製)を穴あけポンチで直径9mmΦに打ち抜いたものを重ねてポリカーボネート製の円筒管治具の下側から入れて、再び下側からSUS304製の円筒治具(負極集電体)を差し込み、80MPaの圧力で3分間プレスすることでリチウム−インジウム合金負極を形成した。以上のようにして、下側から順に、負極集電体、リチウム−インジウム合金負極、固体電解質層、正極合材層、正極集電体が積層された全固体型リチウム硫黄電池を作製した。
4.評価方法
(充放電試験)
作製した全固体型リチウム硫黄電池を用い、充放電装置(ACD−M01A、アスカ電子株式会社製)にて0.64mA/cmの電流密度で充放電を繰り返した。10サイクル目の正極合材当たりの容量を表3に示す。
Figure 2014120432
5.結果と考察
上記実験例及び比較例より、リチウムに対して2.4V以上の自然電位を有するイオン伝導性物質(A)を含む正極合材を、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材層に用いることにより、充放電容量に優れた全固体型リチウム硫黄電池を得ることができることが分かった。
1 負極集電体
2 負極
3 固体電解質層
4 正極合材層
5 正極集電体
10 全固体型リチウム硫黄電池

Claims (5)

  1. リチウムに対して2.4V以上の自然電位を有するイオン伝導性物質(A)、硫黄又はその放電生成物(B)及び導電材(C)を含み、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材層に用いることを特徴とする正極合材。
  2. 前記イオン伝導性物質(A)は、LiSとMとの複合化物(ここで、MはP、Si、Ge、B及びAlからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも一つであり、x及びyは、独立して、Mの種類に応じて決定される化学量論比を与える整数を表わす)であり、その組成比(モル比)がLiS:M=75:25〜20:80である、請求項1記載の正極合材。
  3. 前記イオン伝導性物質(A)は、LiSとPとの複合化物であり、その組成比(モル比)がLiS:P=75:25〜20:80である、請求項2記載の正極合材。
  4. 前記イオン伝導性物質(A)は、LiSとSiSとの複合化物であり、その組成比(モル比)がLiS:SiS=50:50〜30:70である、請求項2記載の正極合材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の正極合材を含む正極合材層、固体電解質層、負極及び集電体を備えることを特徴とする全固体型リチウム硫黄電池。
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