JP6249213B2 - 薄膜硫黄被覆活性炭、正極合材及び全固体型リチウム硫黄電池 - Google Patents

薄膜硫黄被覆活性炭、正極合材及び全固体型リチウム硫黄電池 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜硫黄被覆活性炭、正極合材及び全固体型リチウム硫黄電池に関する。
硫黄は、理論容量が約1672mAh/gと非常に高いことが知られており、硫黄を正極活物質として使用したリチウム硫黄電池の研究が盛んに行われている。リチウム硫黄電池は、電解質として液体電解質を用いた液体型リチウム硫黄電池と、固体電解質を用いた全固体型リチウム硫黄電池とに大別される。
液体型リチウム硫黄電池においては、リチウムイオンと硫黄との反応により生成した多硫化リチウムが電解質溶液中に溶け出し、電池の充放電容量や寿命に悪影響を与えることが問題となっていた。この問題を改善するために、硫黄がコーティングされた多孔性導電材を含むカソード電極を用いた液体型リチウム硫黄電池が開示されている(特許文献1)。
一方、全固体型リチウム硫黄電池は、多硫化リチウムが電解質溶液に溶け出す問題が生じないため、電池の充放電容量の維持や長寿命化に適している。また、可燃性の有機溶媒を含まないため液漏れや発火のおそれがなく安全性を確保できる点や、セパレータが不要である点からは、液体型リチウム硫黄電池よりも全固体型リチウム硫黄電池が好ましい。
しかしながら、従来の全固体型リチウム硫黄電池では、正極活物質である硫黄が電気絶縁性であるため、硫黄粒子、あるいは硫黄膜の内部は、リチウムイオン伝導性及び電子伝導性が乏しく、十分に電池反応(酸化還元反応)が起こらないという課題があった。特許文献2では、上記課題を鑑み、絶縁体である硫黄を全固体電池の正極活物質として活用すべく、メソ孔内に硫黄が配置されたアセチレンブラックなどのメソポーラス炭素を有するメソポーラス炭素複合材料を開示している。
特開2003−197196号公報 特開2010−95390号公報
しかしながら、特許文献2に開示された材料を用いた正極合材層を備えた全固体型リチウム硫黄電池では、正極合材層当たりの放電容量が不十分であり、硫黄の持つ優れた物性を活かしきれていないとの課題があった。
本発明は、硫黄の持つ優れた物性を最大限に活かし、優れた放電容量とレート特性を有する全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に好適に用いることができる薄膜硫黄被覆活性炭を提供することを目的とする。また、薄膜硫黄被覆活性炭を含む正極合材、及び、正極合材を含む正極合材層を備えた全固体型リチウム硫黄電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の末、BET比表面積が1800m/g以上の活性炭を膜厚0.2〜1.4nmの硫黄で被覆した薄膜硫黄被覆活性炭が、驚くべきことに、優れた放電容量とレート特性を有する全固体型リチウム硫黄電池に好適に用いられることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の薄膜硫黄被覆活性炭は、BET比表面積が1800m/g以上の活性炭を膜厚0.2〜1.4nmの硫黄で被覆した、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材用薄膜硫黄被覆活性炭である。
本発明の薄膜硫黄被覆活性炭において、膜厚は0.5〜1.0nmであることが好ましい。
本発明の薄膜硫黄被覆活性炭は、硫黄で被覆した後、60℃以上で加熱処理されたものであることが好ましく、100℃以上で加熱処理されたものであることがより好ましい。
本発明の正極合材は、本発明の薄膜硫黄被覆活性炭及び固体電解質を含む、全固体型リチウム硫黄電池に用いる正極合材である。
本発明の全固体型リチウム硫黄電池は、本発明の正極合材を含む正極合材層、固体電解質層、負極及び集電体を備えた全固体型リチウム硫黄電池である。
本発明の薄膜硫黄被覆活性炭は、BET比表面積が1800m/g以上の活性炭を膜厚0.2〜1.4nmの硫黄で被覆しているため、硫黄内部の電子及びリチウムイオンの拡散が起こりやすいとの特性を有する。そのため、薄膜硫黄被覆活性炭を全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に用いることにより、正極合材層当たりの放電容量が大きく、レート特性に優れる全固体型リチウム硫黄電池を提供することができる。また、本発明の正極合材は、薄膜硫黄被覆活性炭を用いているため、放電容量が大きい正極合材層を形成するのに好適である。更に、本発明の全固体型リチウム硫黄電池は、本発明の正極合材を用いた正極合材層を備えるため、放電容量に優れる。
本発明の全固体型リチウム硫黄電池の実施形態の一例を模式的に表した断面図である。
<<薄膜硫黄被覆活性炭>>
まず、本発明の薄膜硫黄被覆活性炭について説明する。
本発明の薄膜硫黄被覆活性炭は、BET比表面積が1800m/g以上の活性炭を膜厚0.2〜1.4nmの硫黄で被覆した、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材用薄膜硫黄被覆活性炭である。
<活性炭>
活性炭は、電子伝導体として用いられるものであり、BET比表面積が1800m/g以上である。BET比表面積が1800m/g未満であると、活性炭を被覆する硫黄の量が少なくなり、正極合材中の硫黄の含有量が低くなるからである。BET比表面積は、2400m/g以上が好ましく、2900m/g以上がより好ましい。なお、BET比表面積の上限は、特に限定されないが、例えば、3500m/gである。
本明細書において、BET比表面積とは、Brenauer−Emmet−Telle(BET)法により求めた比表面積をいい、具体的には、活性炭のサンプルを液体窒素温度下において、サンプルに窒素ガスを吸着して得られる窒素吸着等温線を用いて求めた比表面積をいう。BET比表面積を求めるための測定装置としては、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル株式会社製、BELSORP−miniII)を用いることができる。
活性炭の含有量は、特に限定されないが、薄膜硫黄被覆活性炭中、7〜50重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。活性炭の含有量が7重量%未満であると、硫黄の膜厚が厚くなり硫黄内部の拡散抵抗が高くなり放電容量が低下する場合があり、一方、活性炭の含有量が50重量%を超えると、薄膜硫黄被覆活性炭中の硫黄の含有量が少なくなり正極合材中の硫黄の含有量が少なくなる場合があるからである。
<硫黄>
本発明の薄膜硫黄被覆活性炭において、硫黄は正極活物質として用いられ、活性炭を被覆する膜となる。硫黄としては、単体の硫黄のみに限定されず、硫黄含有化合物を用いることができる。硫黄含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、Li、Li、Li等の多硫化リチウムや硫化リチウム(LiS)等を用いることができる。これらの化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良く、更には単体の硫黄と併用しても良い。
硫黄の膜厚は、0.2〜1.4nmである。膜厚が0.2nmより薄いと、薄膜硫黄被覆活性炭中の硫黄の含有量が少なくなり正極合材中の硫黄の含有量が少なくなる場合がある。また、1.4nmを超えると、硫黄内部の拡散抵抗が大きくなり放電容量が低下したり、レート特性が悪化したりする場合がある。硫黄の膜厚は、0.5〜1.0nmであることが好ましい。なお、硫黄の膜厚は、薄膜硫黄被覆活性炭中に占める活性炭及び硫黄のそれぞれの重量、並びに、活性炭のBET比表面積と硫黄の比重に基づいて算出すればよい。
本発明において、「被覆する」とは、BET法により比表面積を測定する際に、窒素ガスが吸着する部分に硫黄が付着することをいう。
<薄膜硫黄被覆活性炭の製造方法>
薄膜硫黄被覆活性炭は、例えば、下記の方法により製造することができる。
硫黄溶液にBET比表面積が1800m/g以上の活性炭を浸漬し、活性炭を硫黄で被覆する工程(a)、及び、工程(a)で得られた硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離する工程(b)を含む、薄膜硫黄被覆活性炭の製造方法により製造することができる。この方法によれば、簡便に薄膜硫黄被覆活性炭を製造することができる。
硫黄溶液としては、硫黄を溶媒に溶解させたものを使用することができ、溶媒としては、硫黄を溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、二硫化炭素等を用いることができる。これらの溶媒は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの溶媒のうち、使用温度における硫黄の溶解度が、1〜10重量%であるものを用いることが好ましい。使用温度における硫黄の溶解度が1重量%未満である溶媒を用いると、活性炭を被覆する硫黄の量が少なくなる場合があるからである。また、使用温度における硫黄の溶解度が10重量%を超える溶媒を用いると、硫黄が溶媒に極めて溶解しやすく、相対的に活性炭へ吸着しにくくなるため、かえって活性炭を被覆する硫黄の量が少なくなる場合があるからである。これらのことを考慮すると、硫黄(単体硫黄又は硫黄含有化合物)の種類により使用温度における硫黄の溶解度が異なるため一概には言えないが、溶媒としてシクロヘキサンを用いることが好ましい。硫黄溶液としては、硫黄の溶解度を上げるために加温した溶媒に硫黄を溶解させて得た硫黄溶液を用いても良いし、溶媒に硫黄を溶解させて得た硫黄溶液を加温したものを用いても良い。
工程(a)においては、必要に応じて、超音波処理、撹拌処理等の処理を行っても良い。超音波処理は、活性炭の二次粒子の分散を目的に行うものであり、その条件は特に限定されないが、例えば、発振周波数20〜50Hzの条件下、1〜500分間行うことができる。撹拌処理は、特に限定されないが、例えば、マグネチックスターラー、メカニカルスターラー、振とう機等を用いて、使用する溶媒の融点より高く、沸点以下の温度範囲で10分間〜500時間の条件で行うことができる。これらの処理を行うことより、活性炭をより均一に硫黄で被覆することができる。
工程(b)における、工程(a)で得られた硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離する方法としては、特に限定されないが、濾過、遠心分離、デカンテーション等の公知の方法を用いることができる。濾過としては、特に限定されないが、例えば、自然濾過、吸引濾過(減圧濾過)、加圧濾過、遠心濾過等を採用することができる。
工程(a)及び工程(b)に加えて、工程(b)において分離された、硫黄で被覆された活性炭を加熱処理する工程(c)を行っても良い。工程(c)を行うことにより、硫黄で被覆された活性炭に残存する溶媒をより確実に除去することができる。また、活性炭を被覆する硫黄を活性炭により強固に密着させることができ、固体界面の抵抗(硫黄と活性炭との間の抵抗)を低減することができる。なお、工程(c)においては、複数回の加熱処理を、温度条件を変えながら段階的に行っても良い。
工程(c)における、硫黄で被覆された活性炭の加熱処理は、特に限定されないが、例えば、アルゴン、窒素、空気等の雰囲気下、1秒間〜50時間行うことができる。また、硫黄が昇華しない条件で、減圧して行っても良い。加熱処理(工程(c)において、複数回の加熱処理を温度条件を変えながら段階的に行う場合には、最後の加熱処理)の温度は、特に限定されないが、60℃以上とすることが好ましく、100℃以上とすることがより好ましい。温度が60℃未満であると、上述の界面抵抗低減効果を享受することができない場合がある。加熱処理の温度の上限は特に限定されないが、250℃とすることが好ましい。その理由は、温度を250℃より高くしても、上述の界面抵抗低減効果はそれ以上向上しないため、加熱に要するエネルギーが無駄になるからである。なお、加熱処理は、従来公知の乾燥装置を用いて行えばよく、具体的には、例えば、定温乾燥機、送風乾燥機、減圧乾燥機、赤外線乾燥機等を用いて行えばよい。
本製造方法において、活性炭の種類と量、溶媒の種類と量、硫黄溶液の濃度と温度、活性炭の硫黄溶液への浸漬時間、撹拌条件等を調整することにより硫黄の膜厚を制御することができる。例えば、硫黄の膜厚を厚くするためには、初めは温度を高くして硫黄溶液の濃度を高めておき、活性炭の被覆に伴い硫黄溶液の濃度が低下するに従い、硫黄の飽和濃度を超えないように注意しながら、徐々に温度を下げて行くと良い。
本発明の薄膜硫黄被覆活性炭は、BET比表面積が1800m/g以上の活性炭を膜厚0.2〜1.4nmの硫黄で被覆しているため、硫黄内部の電子及びリチウムイオンの拡散が起こりやすいとの特性を有する。そのため、薄膜硫黄被覆活性炭を全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に用いることにより、正極合材層当たりの放電容量が大きく、レート特性に優れる全固体型リチウム硫黄電池を提供することができる。
本発明の薄膜硫黄被覆活性炭は、60℃以上で加熱処理されたことが好ましく、100℃以上で加熱処理されたことがより好ましい。その理由は、加熱処理によって、活性炭を被覆する硫黄が活性炭により強固に密着し、固体界面の抵抗(界面抵抗)が低減するため、薄膜硫黄被覆活性炭を含む正極合材を用いた全固体型リチウム硫黄電池が、正極合材層当たりの放電容量及びレート特性に優れるとの効果がより顕著となるためである。
<<正極合材>>
次に、本発明の正極合材について説明する。
本発明の正極合材は、本発明の薄膜硫黄被覆活性炭及び固体電解質を含む、全固体型リチウム硫黄電池に用いるものであり、正極合材層を形成するための材料である。
正極合材における薄膜硫黄被覆活性炭の含有量は、特に限定されないが、40〜80重量%であることが好ましい。含有量が40重量%未満であると、正極合材中の硫黄の含有量が低くなり、正極合材層当たりの放電容量が小さくなる場合があり、一方、含有量が80重量%を超えると、固体電解質の含有量が下がることにより正極合材層中のリチウムイオン伝導率が低下し、正極合材層当たりの放電容量が小さくなる場合がある。
<固体電解質>
固体電解質としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖及びポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種を含む高分子化合物等の高分子固体電解質を用いることができる。また、硫化物系固体電解質及び/又は酸化物系固体電解質等の無機固体電解質を用いることができる。硫化物系固体電解質としては、例えば、リン及び硫黄のうち少なくとも1種とリチウムとを含む無機固体電解質を好適に用いることができる。より具体的には、例えば、LiS−P、LiS−P−P、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiSiO等を用いることができる。酸化物系固体電解質としては、例えば、リン及び酸素のうち少なくとも1種とリチウムとを含む無機固体電解質を好適に用いることができる。より具体的には、例えば、LiO−P、LiO−SiO、LiO−Nb、LiO−P−SiO、LiO−SiO−B、LiO−Al−GeO−P、LiO−Al−TiO−P等を用いることができる。これらの固体電解質は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
固体電解質の含有量は、特に限定されないが、正極合材中、20〜60重量%であることが好ましい。含有量が20重量%未満であると、正極合材層中のリチウムイオン伝導率が低下し、正極合材層当たりの放電容量が小さくなったり、レート特性が悪くなったりする場合があり、含有量が60重量%を超えると、正極合材中の硫黄の含有量が低くなり、正極合材層当たりの放電容量が小さくなる場合がある。
正極合材は、必要に応じて、バインダー、溶媒等の任意成分を含んでいても良い。
<バインダー>
バインダーとしては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等を用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのバインダーは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。バインダーの含有量は、特に限定されないが、正極合材中、0.01〜10重量%であることが好ましい。
<溶媒>
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。溶媒の含有量は、特に限定されないが、正極合材中、10〜99重量%であることが好ましい。溶媒を含有する正極合材を用いることにより、正極合材層を作製しやすくすることができる。溶媒は、正極合材層の作製後、乾燥により除去される。
<正極合材の作製方法>
正極合材は、薄膜硫黄被覆活性炭及び固体電解質、更には、必要に応じてバインダーや溶媒等の任意成分を混合することにより得ることができる。これらを混合する方法としては、特に限定されず従来公知の方法を用いることができるが、例えば、遊星ボールミル(フリッチュ社製)、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、コスモス(川崎重工業社製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、ナノソニックミル(井上製作所社製)、ニーダー(井上製作所社製)、スーパーマスコロイダー(増幸産業社製)、ナノメック・リアクター(テクノアイ社製)、コーネルデスパ(浅田鉄工所社製)、プラネタリミキサ(浅田鉄工所社製)等を用いて混合する方法が挙げられる。また、正極合材の作製においては、各成分を混合した後、加熱処理を行ってもよい。正極合材に含まれる硫黄、活性炭及び固体電解質の接触界面を強固にすることができ、界面抵抗を低減することができるからである。加熱処理は、上述した薄膜硫黄被覆活性炭の製造方法における工程(c)の加熱処理条件と同様の条件で行えばよい。
このような加熱処理は、正極合材の作製に用いる薄膜硫黄被覆活性炭として、上述した薄膜硫黄被覆活性炭の製造方法において工程(c)を行うことなく製造した薄膜硫黄被覆活性炭を用いる場合に行うのが特に好適である。正極合材の作製時に加熱処理を行う効果、即ち、正極合材に含まれる硫黄、活性炭及び固体電解質の界面抵抗低減の効果を特に顕著に享受することができるからである。
<<全固体型リチウム硫黄電池>>
次に、本発明の全固体型リチウム硫黄電池について、図面を参照しながら説明する。
本発明の全固体型リチウム硫黄電池は、本発明の正極合材を含む正極合材層、固体電解質層、負極及び集電体を備えた全固体型リチウム硫黄電池である。
本明細書において、「全固体型」とは、電解質として高分子固体電解質及び/又は無機固体電解質を用いたものであり、負極、固体電解質層及び正極合材層に実質的に溶媒を含有しないものをいう。また、本明細書において、「実質的に溶媒を含有しない」とは、溶媒が微量に残存しても良いことを意味する。
図1は、本発明の全固体型リチウム硫黄電池の実施形態の一例を模式的に表した断面図である。図1に示すように、全固体型リチウム硫黄電池10は、負極2、固体電解質層3、正極合材層4が順に積層され、その両側に集電体(負極集電体1、正極集電体5)が配置された構造を備える。以下、集電体(負極集電体、正極集電体)、負極、固体電解質層、正極合材層のそれぞれについて順に説明する。
<集電体>
集電体としては、特に限定されないが、例えば、Al、Cu、Ni、ステンレス等を用いることができる。負極集電体としては、リチウムと合金を作り難い点、及び、薄膜に加工しやすい点から、Cuを用いることが好ましい。正極集電体としては、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlを用いることが好ましい。
<負極>
負極としては、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を負極活物質として含んでいるものであれば、特に限定されるものではない。ここで、リチウムイオンを吸蔵放出する材料としては、例えば、金属リチウム、リチウム合金、金属酸化物、金属硫化物、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物質等が挙げられる。リチウム合金としては、例えば、アルミニウム、シリコン、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム等とリチウムとの合金が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物等が挙げられる。金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物やチタン硫化物等が挙げられる。リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物質としては、例えば、黒鉛、コークス、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素等が挙げられる。
負極を得る方法としては、特に限定されないが、リチウムイオンを吸蔵放出する材料をプレスする方法、リチウムイオンを吸蔵放出する材料と溶媒とを含む負極前駆体分散液を負極集電体に塗布、乾燥後プレスする方法等が挙げられる。負極前駆体分散液に含まれる溶媒としては、上述の正極合材に用いられるものと同様のものを用いることができる。なお、溶媒は負極前駆体分散液の塗布を助けるために使用され、塗布後は乾燥により除去される。
<固体電解質層>
固体電解質層は、固体電解質を加圧成形する方法、固体電解質を溶媒に分散させた後塗布・乾燥させる方法等により得ることができる。これらの方法により固体電解質層を得る際、固体電解質層の界面抵抗の低減、及び、緻密性の向上を目的に、任意のタイミングで加熱処理を行っても良い。固体電解質を加圧成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、負極集電体と正極集電体とで固体電解質を挟み込んでプレスする方法、加圧成形機の治具でプレスする方法等が挙げられる。固体電解質を溶媒に分散させた後塗布・乾燥させる方法により固体電解質層を得る場合には、乾燥後の固体電解質層を上記と同様の方法でプレスしてもよい。
<正極合材層>
正極合材層は、例えば、正極集電体に正極合材を担持させる方法、正極合材を加圧成形する方法等により得ることができる。正極集電体に正極合材を担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば、加圧成型する方法、有機溶媒等を用いてペースト化した正極合材を正極集電体に塗布、乾燥後プレスする等して固着する方法等が挙げられる。正極合材を正極集電体に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。正極合材を加圧成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、負極集電体及び固体電解質層と、正極集電体との間に正極合材を挟み込んでプレスする方法、加圧成形機の治具でプレスする方法等が挙げられる。これらの方法により正極合材層を得る際、正極合材層の界面抵抗の低減、及び、緻密性の向上を目的に、任意のタイミングで加熱処理を行っても良い。
全固体型リチウム硫黄電池は、上述の負極集電体、負極、固体電解質層、正極合材層、正極集電体のほか、セパレータ等を有していても良い。全固体型リチウム硫黄電池の形状は、特に限定されないが、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型等が挙げられる。
<全固体型リチウム硫黄電池の作製方法>
全固体型リチウム硫黄電池の作製方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法等が挙げられる。まず、負極集電体と正極集電体とで固体電解質を挟み込んでプレスし、固体電解質層を作製する。次に、一旦、正極集電体を取り除き、固体電解質層の片側に正極合材を堆積し、その両端を集電体(固体電解質層側に負極集電体、正極合材側に正極集電体)で挟み込んでプレスし、固体電解質層の一方の面に正極合材層と正極集電体とを積層し、固体電解質層のもう一方の面に負極集電体を積層する。最後に、一旦、負極集電体を取り除き、固体電解質層の正極合材層側と反対側に負極を入れ、さらに、負極側に負極集電体を入れてプレスし、固体電解質層の他方の面に負極と負極集電体とを積層する。また、上記のように一層ずつプレスしても良いし、二層以上を堆積させて、複数層をまとめてプレスして積層させても良い。
<全固体型リチウム硫黄電池の用途>
全固体型リチウム硫黄電池の用途としては、特に限定されないが、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等、高いエネルギー密度が要求される電気製品に好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
1.使用原料
以下の実施例及び比較例においては、以下の材料を使用した。
1−1.正極活物質
硫黄(Aldrich社製、比重2g/cm
1−2.活性炭
活性炭A(関西熱化学社製、BET比表面積:3000m/g)
活性炭B(関西熱化学社製、BET比表面積:2500m/g)
活性炭C(クラレケミカル社製YP−80F、BET比表面積:1900m/g)
活性炭D(関西熱化学社製、BET比表面積:1500m/g)
1−3.負極材料
リチウムシート(フルウチ化学社製、厚さ0.25mm)
インジウムシート(フルウチ化学社製、厚さ0.30mm)
1−4.薄膜硫黄被覆活性炭作製用の有機溶媒
シクロヘキサン(和光純薬工業社製、試薬特級)
1−5.固体電解質作製用の原料
硫化リチウム(フルウチ化学社製、LiS)
五硫化二りん(Aldrich社製、P
2.固体電解質の作製
(合成例1)固体電解質Aの作製
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス(美和製作所社製、MDB−1KP型)内で、LiSとPを40:60のモル比で合計2.0gとなるように秤量し、乳鉢で混合したものと4mmΦのジルコニアボール180gとを容量80mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理して、固体電解質Aを作製した。
(合成例2)固体電解質Bの作製
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス(美和製作所社製、MDB−1KP型)内で、LiSとPを80:20のモル比で合計2.0gとなるように秤量し、乳鉢で混合したものと4mmΦのジルコニアボール180gとを容量80mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理して、固体電解質Bを作製した。
3.全固体型リチウム硫黄電池の作製方法
下記の電池作製は、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
ポリカーボネート製の円筒管治具(内径10mmΦ、外径23mmΦ、高さ20mm)の下側から負極集電体としてSUS304製の円筒治具(10mmΦ、高さ10mm)を差し込み、ポリカーボネート製の円筒管治具の上側から固体電解質A又はB70.0mgを入れて、さらに正極集電体としてSUS304製の円筒治具(10mmΦ、高さ15mm)をポリカーボネート製の円筒管治具の上側から差し込んで固体電解質A又はBを挟み込み、200MPaの圧力で1分間プレスすることにより直径10mmΦ、厚さ約0.6mmの固体電解質層を作製した。
次に、上側から差し込んだSUS304製の円筒治具(正極集電体)を一旦抜き取り、ポリカーボネート製の円筒管内の固体電解質層の上に正極合材7.5mgを入れ、再び上側からSUS304製の円筒治具(正極集電体)を差し込み、200MPaの圧力で3分間プレスすることで、直径10mmΦ、厚さ約0.1mmの正極合材層を形成した。
次に、下側から差し込んだSUS304製の円筒治具(負極集電体)を抜き取り、負極としてリチウムシートを穴あけポンチで直径8mmΦに打ち抜いたものとインジウムシートを穴あけポンチで直径9mmΦに打ち抜いたものを重ねてポリカーボネート製の円筒管治具の下側から入れて、再び下側からSUS304製の円筒治具(負極集電体)を差し込み、80MPaの圧力で3分間プレスすることでリチウム−インジウム合金負極を形成した。
以上のようにして、下側から順に、負極集電体、リチウム−インジウム合金負極、固体電解質層、正極合材層、正極集電体が積層された全固体型リチウム硫黄電池を作製した。
4.評価方法
下記の実施例及び比較例においては、以下の評価を実施した。
(a)BET比表面積
自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル株式会社製、BELSORP−mini II)を用いて測定し、BET法により測定した。
(b)放電容量
充放電試験装置(アスカ電子社製、ACD−M01A)を用いて、0.20mA(0.25mA/cm)の電流値で、カットオフ電圧を0.5〜2.5Vとして充放電を繰り返し、2サイクル目の放電容量を測定した。
測定した放電容量を、正極合材中の薄膜硫黄被覆活性炭(比較例2〜4、6、7、9〜11にあっては、硫黄と活性炭の混合物)に含まれる硫黄の重量(g)で除して得た数値を硫黄当たりの放電容量とし、正極合材層の重量(0.015g)で除して得た数値を正極合材層当たりの放電容量とした。
なお、下記表1において、硫黄当たりの放電容量が、理論容量である約1672mAh/gよりも高くなっている実施例がいくつか存在するが、これは、正極合材中の固体電解質A又はBに残存する硫化リチウム(LiS)の一部も正極活物質として働いているためと考えられる。
(比較例1)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭A1000mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Aを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Aに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Aを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.990wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、800mgの硫黄が1000mgの活性炭Aを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は44.4wt%(表1)になる。用いた活性炭AのBET比表面積は3000m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚0.13nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、1589mg(収率88.3%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.0mgと合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、148mg(収率74.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例1)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭A600mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Aを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Aに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Aを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.892wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、820mgの硫黄が600mgの活性炭Aを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は57.7wt%(表1)になる。用いた活性炭AのBET比表面積は3000m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚0.23nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、1257mg(収率88.5%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.0mgと合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、143mg(収率71.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例2)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭A400mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Aを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Aに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Aを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.220wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、753mgの硫黄が400mgの活性炭Aを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は65.3wt%(表1)になる。用いた活性炭AのBET比表面積は3000m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚0.31nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、1005mg(収率87.2%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.0mgと合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、146mg(収率73.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例3)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭A300mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Aを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Aに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Aを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.951wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、781mgの硫黄が300mgの活性炭Aを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は72.2wt%(表1)になる。用いた活性炭AのBET比表面積は3000m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚0.43nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、951mg(収率88.0%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.0mgと合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、145mg(収率72.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例4)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭A200mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Aを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Aに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Aを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.196wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、758mgの硫黄が200mgの活性炭Aを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は79.1wt%(表1)になる。用いた活性炭AのBET比表面積は3000m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚0.63nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、839mg(収率87.6%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.0mgと合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、147mg(収率73.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例5)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭A150mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Aを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Aに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Aを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.283wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、740mgの硫黄が150mgの活性炭Aを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は83.1wt%(表1)になる。用いた活性炭AのBET比表面積は3000m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚0.82nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、777mg(収率87.3%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.0mgと合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、144mg(収率72.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例2)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと硫黄99.8mgと活性炭A20.2mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で1時間処理し、その後25℃で1時間加熱処理し、続いて合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを加えて、さらに遊星ボールミルで、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、146mg(収率73.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例6)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭A120mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Aを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Aに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Aを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.142wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、769mgの硫黄が120mgの活性炭Aを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は86.5wt%(表1)になる。用いた活性炭AのBET比表面積は3000m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚1.07nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、783mg(収率88.1%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.0mgと合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、148mg(収率74.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例3)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと硫黄103.8mgと活性炭A16.2mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で1時間処理し、その後25℃で1時間加熱処理し、続いて合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを加えて、さらに遊星ボールミルで、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、143mg(収率71.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例7)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭A100mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Aを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Aに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Aを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.200wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、757mgの硫黄が100mgの活性炭Aを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は88.3wt%(表1)になる。用いた活性炭AのBET比表面積は3000m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚1.26nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、759mg(収率88.6%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.0mgと合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、146mg(収率73.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例4)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと硫黄106.0mgと活性炭A14.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で1時間処理し、その後25℃で1時間加熱処理し、続いて合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを加えて、さらに遊星ボールミルで、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、145mg(収率72.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例5)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭A50mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Aを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Aに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Aを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.166wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、764mgの硫黄が50mgの活性炭Aを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は93.9wt%(表1)になる。用いた活性炭AのBET比表面積は3000m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚2.55nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、716mg(収率87.9%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.0mgと合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、143mg(収率71.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例8)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭B150mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Bを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Bに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Bを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.051wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、788mgの硫黄が150mgの活性炭Bを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は84.0wt%(表1)になる。用いた活性炭BのBET比表面積は2500m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚1.05nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、822mg(収率87.7%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.0mgと合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、144mg(収率72.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例6)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと硫黄100.8mgと活性炭B19.2mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で1時間処理し、その後25℃で1時間加熱処理し、続いて合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを加えて、さらに遊星ボールミルで、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、143mg(収率71.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例9)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭C150mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Cを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Cに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Cを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.108wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、776mgの硫黄が150mgの活性炭Cを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は83.8wt%(表1)になる。用いた活性炭CのBET比表面積は1900m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚1.36nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、811mg(収率87.6%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.0mgと合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、148mg(収率74.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例7)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと硫黄100.6mgと活性炭C19.4mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で1時間処理し、その後25℃で1時間加熱処理し、続いて合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを加えて、さらに遊星ボールミルで、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、146mg(収率73.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例8)
硫黄1000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、60℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭D150mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭Dを分散させた。続いて、25℃で7日間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭Dに硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭Dを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.022wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.762wt%であるので、793mgの硫黄が150mgの活性炭Dを被覆したことになる。従って、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は84.1wt%(表1)になる。用いた活性炭DのBET比表面積は1500m/gなので、比重2g/cmの硫黄は膜厚1.76nmとなっている。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、831mg(収率88.1%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭119.9mgと合成例1で作製した固体電解質A80.1mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、143mg(収率71.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例9)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと硫黄100.8mgと活性炭D19.1mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で1時間処理し、その後25℃で1時間加熱処理し、続いて合成例1で作製した固体電解質A80.1mgを加えて、さらに遊星ボールミルで、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、142mg(収率71.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例10)
実施例2と同様の方法により薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.4mgと合成例2で作製した固体電解質B79.6mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、147mg(収率73.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例11)
実施例3と同様の方法により薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.4mgと合成例2で作製した固体電解質B79.6mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、145mg(収率72.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例12)
実施例4と同様の方法により薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.3mgと合成例2で作製した固体電解質B79.7mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、146mg(収率73.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例13)
実施例5と同様の方法により薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.3mgと合成例2で作製した固体電解質B79.7mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、143mg(収率71.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例14)
実施例7と同様の方法により薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭120.2mgと合成例2で作製した固体電解質B79.8mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、145mg(収率72.5%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例15〜19)
硫黄溶液から分離した、硫黄で被覆された活性炭の加熱処理温度を、それぞれ25℃、40℃、60℃、100℃、250℃とした点を除き、実施例6と同様にして正極合材を得た。
これらの正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例10)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと硫黄103.8mgと活性炭A16.2mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で1時間処理し、その後25℃で1時間加熱処理し、続いて合成例1で作製した固体電解質A80.0mgを加えて、さらに遊星ボールミルで、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、148mg(収率74.0%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例11)
加熱処理温度を160℃とした点を除き、比較例10と同様にして正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
比較例1〜11及び実施例1〜19における、活性炭の種類及びBET比表面積、硫黄被覆の有無、膜厚、硫黄で被覆された活性炭中の硫黄及び活性炭の重量比(比較例2〜4、6、7、9〜11を除く)、加熱処理温度、固体電解質の種類、正極合材組成、並びに、硫黄1g当たりの放電容量及び正極合材層1g当たりの放電容量を表1に示す。
Figure 0006249213
以上の結果から、本発明の薄膜硫黄被覆活性炭を全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に用いることにより、正極合材層当たりの放電容量が大きく、レート特性に優れる全固体型リチウム硫黄電池を得ることができることが明らかとなった。
1 負極集電体
2 負極
3 固体電解質層
4 正極合材層
5 正極集電体
10 全固体型リチウム硫黄電池

Claims (6)

  1. BET比表面積が1800m/g以上の活性炭を膜厚0.2〜1.4nmの硫黄で被覆した、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材用薄膜硫黄被覆活性炭。
  2. 膜厚は0.5〜1.0nmである、請求項1記載の薄膜硫黄被覆活性炭。
  3. 硫黄で被覆した後、60℃以上で加熱処理された、請求項1又は2に記載の薄膜硫黄被覆活性炭。
  4. 硫黄で被覆した後、100℃以上で加熱処理された、請求項3に記載の薄膜硫黄被覆活性炭。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜硫黄被覆活性炭及び固体電解質を含む、全固体型リチウム硫黄電池用正極合材。
  6. 請求項5記載の正極合材を含む正極合材層、固体電解質層、負極及び集電体を備えた全固体型リチウム硫黄電池。
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