JP2014120372A - 全固体電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも、正極層と負極層との間の短絡をより抑制することが可能な全固体電池を提供する。
【解決手段】正極層、固体電解質層、及び負極層を含む全固体電池であって、前記正極層の面積が前記固体電解質層の面積よりも小さく、且つ前記正極層の外周縁が全周にわたって凹凸形状を有する、全固体電池。
【選択図】図9

Description

本発明は、全固体電池及びその製造方法に関する。
近年、二次電池は、パソコン、ビデオカメラ、及び携帯電話等の電源として、あるいは自動車や電力貯蔵用の電源として、なくてはならない重要な構成要素となってきている。
二次電池の中でも特にリチウムイオン二次電池は、他の二次電池よりも容量密度が高く、高電圧での動作が可能という特徴を有している。そのため、小型軽量化を図りやすい二次電池として情報関連機器や通信機器に使用されており、近年、低公害車としての電気自動車やハイブリッド自動車用の高出力且つ高容量のリチウムイオン二次電池の開発が進められている。
リチウムイオン二次電池またはリチウム二次電池には、正極層及び負極層と、これらの間に配置されるリチウム塩を含む電解質とが備えられ、電解質は、非水系の液体又は固体によって構成される。電解質に非水系の液体電解質が用いられる場合には、電解液が正極層の内部へと浸透するため、正極層を構成する正極活物質と電解質との界面が形成されやすく、性能を向上させやすい。ところが、広く用いられている電解液は可燃性であるため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止等の安全性を確保するためのシステムを搭載する必要がある。これに対し、液体電解質を固体電解質に変えて、電池を全固体化した全固体電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられており、開発が進められている。
固体電解質層が正極層と負極層との間に配設される全固体電池では、イオン伝導抵抗を低減すること等を目的として、正極層、固体電解質層、及び負極層を合わせ、それらを比較的高い圧力でプレスすることがある。
このような全固体電池に関する技術として、正極層と負極層との短絡を防止するために、正極活物質及び固体電解質からなる正極合材に、または正極活物質からなる正極材に固体電解質を積層した後、加圧成形して正極部材を得る工程と、負極活物質及び固体電解質からなる負極合材に、または負極活物質からなる負極材に固体電解質を積層した後、加圧成形して負極部材を得る工程と、上記各工程で得られた正極部材と負極部材とを、それぞれの固体電解質同士を合わせて加圧成形する工程とを具備する全固体電池の製造方法が開示されている(特許文献1)。
特開2012−69248号公報
特許文献1によれば、固体電解質を貫く正極層と負極層との短絡をある程度防止することは可能であるが、依然として短絡が生じることがあった。全固体電池の性能向上のために高充填密度を狙って、正極層、固体電解質層、及び負極層を含む積層体を高圧でプレスする場合があるが、このプレスの際に、正極層の外周縁と接する固体電解質層の外周部に応力が集中し、固体電解質層の外周部が破損し、その破損した部位を介して、正極層と負極層とで短絡が発生し得ることが分かった。
したがって、従来よりも、正極層と負極層との間の短絡をより抑制することが可能な全固体電池及びその製造方法が望まれている。
本発明は、正極層、固体電解質層、及び負極層を含む全固体電池であって、
前記正極層の面積が前記固体電解質層の面積よりも小さく、且つ前記正極層の外周縁が全周にわたって凹凸形状を有する、全固体電池である。
本発明はまた、正極層、固体電解質層、及び負極層を含む全固体電池の製造方法であって、
(A)固体電解質層を提供する工程;
(B)正極層を提供する工程であって、前記正極層の面積が前記固体電解質層の面積よりも小さく、且つ前記正極層の外周縁が全周にわたって凹凸形状を有する、工程;
(C)負極層を提供する工程;並びに
(D)前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層を含む積層体をプレスして電極体を形成する工程、
を含む、製造方法である。
本発明によれば、従来よりも、正極層と負極層との間の短絡をより抑制することが可能な全固体電池を提供することができる。
図1は、従来の全固体電池の製造方法を表した断面模式図である。 図2は、図1の正極層、固体電解質層、及び負極層を含む積層体を上面から見たときの、固体電解質上に配置された正極層1の上面模式図である。 図3は、図2の点線で囲った部分を拡大した模式図であって、プレスによる正極層1の外周縁の変形方向を表した上面模式図である。 図4は、図3を側面からみた断面模式図であり、プレスによる正極層の外周縁の変形方向を表した断面模式図である。 図5は、プレスによって正極層の外周縁に応力が集中し固体電解質層の外周部が破損して、その破損した部位を介して正極層と負極層とが短絡した状態を表す断面模式図である。 図6は、プレスによって正極層の外周縁に応力が集中し固体電解質層2の外周部が破損して、その破損した部位を介して正極集電体と負極層とが短絡した状態を表す断面模式図である。 図7は、本発明に係る全固体電池の一例を表した断面模式図である。 図8は、本発明に係る全固体電池に含まれる正極層の凹凸形状を例示した上面模式図である。 図9は、本発明に係る全固体電池に含まれる正極層の凹凸形状を例示した上面模式図である。 図10は、本発明に係る全固体電池に含まれる正極層の凹凸形状を例示した上面模式図である。 図11は、本発明に係る全固体電池に含まれる正極層の凹凸形状を例示した上面模式図である。 図12は、本発明に係る全固体電池に含まれる正極層の凹凸形状を例示した上面模式図である。 図13は、本発明に係る全固体電池に含まれる正極層の凹凸形状を例示した上面模式図である。 図14は、外周縁に凹凸形状を有する正極層をプレスしたときの、正極層の変形方向を模式的に表した上面模式図である。 図15は、外周縁に凹凸形状を有する正極層をプレスしたときの、正極層の変形方向を模式的に表した上面模式図である。 図16は、本願における正極層及び固体電解質層の大きさの関係を説明する上面模式図である。
上記のように、従来、全固体電池の性能向上に必要なプレスによる密度向上工程において、正極層及び負極層の電極端部において圧力が高くなりやすく、絶縁層である固体電解質層が破損し、固体電解質層が破損箇所を介して正極層と負極層が短絡し、電池として機能しない不具合が発生することがある。
図1に、一般的な全固体電池の製造方法を示す。正極層1、固体電解質層2、及び負極層3を積層し、並びに図示しないが、正極層1に接するように正極集電体4、及び負極層3に接するように負極集電体5を積層し、これらをラミネート等の電池ケース6に入れて冷間静水等方圧プレス(CIP)等のプレス方法を用いて、プレス成形することが行われている。白抜き矢印は圧力が等方的に加わることを表している。以下の図面において正極集電体4及び負極集電体5を図示しないものがあるが、図示の有無にかかわらず正極集電体4及び負極集電体5は含まれていても含まれていなくてもよい。
図2に、図1の正極層1、固体電解質層2、及び負極層3を含む積層体を上面から見たときの、固体電解質2上に配置された正極層1の上面模式図を示す。図3は、図2の点線で囲った部分を拡大した上面模式図であって、プレスによる正極層1の外周縁の変形方向を表した模式図である。図4は、図3を側面からみた断面模式図であり、プレスによる正極層1の外周縁の変形方向を表した模式図である(電池ケース6は図示せず)。図3及び4において、正極層1はプレス時に、矢印の向きの外側に向かって変形し得る。
図3及び4に示すように、正極層1、固体電解質層2、及び負極層3を含む積層体をプレスすると、プレス応力により正極層1の外周縁が変形するが、変形方向は矢印で示した外側であり、逃げ代が一方向のみである。特に、負極層3に固体電解質層2をプレスした後に、固体電解質層2よりも面積が小さい正極層1を固体電解質層2上にプレスするときに、正極層1は大きく変形しやすい。
このとき、プレスの際に正極層1の外周縁と接する固体電解質層2の外周部に応力が集中し、固体電解質層2の外周部が破損し、その破損した部位を介して正極層1と負極層3とで短絡が発生することがあった。図5は、プレスによって正極層の外周縁に応力が集中し固体電解質層2の外周部が破損して、その破損した部位を介して正極層1と負極層3とが短絡した状態を表す断面模式図である。
また、正極集電体4が固体電解質層2を突き抜けて負極層3と短絡することもあった。図6は、プレスによって正極層の外周縁に応力が集中し固体電解質層2の外周部が破損して、その破損した部位を介して正極集電体4と負極層3とが短絡した状態を表す断面模式図である。
本発明は、正極層、固体電解質層、及び負極層を含む全固体電池であって、正極層の面積が固体電解質層の面積よりも小さく、且つ正極層の外周縁が全周にわたって凹凸形状を有する、全固体電池を対象とする。
本発明によれば、正極層の外周縁が凹凸形状を有することで、正極層の外周縁においてプレス時の応力を緩和することができ、固体電解質層の破損を抑制し、正極層と負極層との短絡を従来よりも低減させた全固体電池を得ることができる。
以下、本発明に係る全固体電池を、図面を参照しながら説明する。
図7に、本発明に係る全固体電池の一例を表した断面模式図を示す。本発明に係る全固体電池100は、正極層1、負極層3、及びこれらの間に配置される固体電解質層2を含む電極体10を有する。
正極層1には正極集電体4が電気的に接続され得、負極層3には負極集電体5が電気的に接続され得る。正極層1、固体電解質層2、負極層3、正極集電体4、及び負極集電体5を、集電体または引き出し電極を外部に引き出しつつ電池ケース6で覆って、全固体電池100を構成することができる。
図8に、本発明に係る全固体電池100に含まれる正極層1を例示する上面模式図を示す。図8に例示するように、正極層1は、外周縁の全周にわたって凹凸形状を有する。
本願においては、図8に示すように、隣接する凸部間の外側の頂点同士を結んだ点線と両側の凸部で囲まれた斜線部分が凹部31であり、隣接する凹部間の内側の頂点同士を結んだ点線と両側の凹部で囲まれた部分が凸部32である。図13のような円盤状の正極層の場合も同様に、隣接する凸部間の外側の頂点同士を結んだ点線と両側の凸部で囲まれた斜線部分が凹部31であり、隣接する凹部間の内側の頂点同士を結んだ点線と両側の凹部で囲まれた部分が凸部32である。上記の点線及び斜線は説明のために表示したものであり、他の凹部及び凸部の点線及び斜線の表示は省略して示す。図9〜12においても、外周縁の全周にわたって凹凸形状を有する正極層の上面模式図を示すが、同様である。
正極層の外周縁が凹凸形状を有することによって、プレス時に正極層に応力が加わったときの正極層の逃げ代を形成することができる。図14及び15に、外周縁に凹凸形状を有する正極層をプレスしたときの、正極層の変形方向を模式的に表した上面図を示す。従来の正極層の変形方向を表した図3では、プレス時の正極層の変形方向は、矢印で表すように外側に向けた一方向のみでありプレスによる正極層の変形部分11が大きくなり得るが、図14及び15に示した正極層の場合、正極層の外周部の変形方向は、矢印で表すように、外側、横、斜め方向を含む様々な方向であり逃げ代が多く、プレスによる正極層の変形部分11の変形量を抑えることができる。これにより、プレス時の正極層の外周縁への応力集中を低減し、固体電解質層の破損を防止することができ、正極層と負極層との短絡を抑制することができる。
本願において凹凸形状とは、図8に例示したものに限られず、外周部が逃げ代を有する凹凸形状、特に凹部を有する形状を意味する。図9〜13にも、本発明に係る全固体電池に含まれる正極層の凹凸形状を例示した上面模式図を示す。凹凸形状には、限定されるものではないが、例えば、図8に示すような矩形の正極層の外周縁に凹部31及び凸部32を有する形状、図9に示すような円形の正極層の外周縁に凹部31及び凸部32を有する形状、図10に示すような折れ線形状、図11に示すような折れ線形状、図12に示すような波形形状、及び図13に示すような円形の正極層の外周縁に凹部31及び凸部32を不均一な間隔及び大きさで有する形状、またはそれらを組み合わせた形状が含まれる。
凹凸形状は、正極層の外周縁の全周にわたって形成されるが、凹凸形状を一様にまたは多様に全周にわたって有してもよい。例えば、図8〜13に示す凹凸形状を順番にまたはランダムに外周縁の全周にわたって有してもよい。また、凹凸が等間隔でまたは不均一な間隔で、外周縁の全周にわたって有してもよい。凹凸形状は、好ましくは、外周縁の全周にわたって実質的に一様に形成される。
また、本発明に係る全固体電池に含まれる正極層1の面積は、固体電解質層2よりも面積が小さい。図16は、図9に例示した正極層及び固体電解質層の大きさの関係を説明する上面模式図である。図16に示すように外周縁に凹凸を有する正極層1の面積は固体電解質層2の面積よりも小さく、且つ本発明に係る全固体電池において、正極層1は、正極層1の外周が全て固体電解質層2の面内に入るように配置される。
本発明に係る全固体電池において、固体電解質層2の面積は、好ましくは負極層3の面積と同じかそれより大きい。すなわち、本発明においては、図7に示すように固体電解質層2及び負極層3を接して含む全固体電池を形成したとき、好ましくは、固体電解質層2の面積は負極層3の面積と同等かそれよりも大きく、負極層3は、負極層3の外周が全て固体電解質層2の外周と同じか、固体電解質層2の面内に入るようにして組み込まれている。
本発明に係る全固体電池において、固体電解質層は2層以上の固体電解質層を含んでもよい。この場合、正極層及び負極層の間の短絡をより防止しやすくなる。
本発明において、固体電解質層に含まれる固体電解質材料としては、全固体電池の固体電解質として利用可能な材料を用いることができる。例えば、Li2S−SiS2、LiI−Li2S−SiS2、LiI−Li2S−P25、LiI−Li2S−B23、Li3PO4−Li2S−Si2S、Li3PO4−Li2S−SiS2、LiPO4−Li2S−SiS、LiI−Li2S−P25、LiI−Li3PO4−P25、若しくはLi2S−P25等の硫化物系非晶質固体電解質、Li2O−B23−P25、Li2O−SiO2、Li2O−B23、若しくはLi2O−B23−ZnO等の酸化物系非晶質固体電解質、Li1.3Al0.3Ti0.7(PO43、Li1+x+yxTi2-xSiy3-y12(Aは、AlまたはGa、0≦x≦0.4、0<y≦0.6)、[(B1/2Li1/21-zz]TiO3(Bは、La、Pr、Nd、またはSm、CはSrまたはBa、0≦z≦0.5)、Li5La3Ta212、Li7La3Zr212、Li6BaLa2Ta212、若しくはLi3.6Si0.60.44等の結晶質酸化物、Li3PO(4-3/2w)w(w<1)等の結晶質酸窒化物、またはLiI、LiI−Al23、Li3N、若しくはLi3N−LiI−LiOH等を用いることができる。硫化物系非晶質固体電解質が、優れたリチウムイオン伝導性を有する点で好ましく用いられる。また、本発明の固体電解質として、リチウム塩を含むポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、またはポリアクリロニトリル等の半固体のポリマー電解質も使用することができる。
本発明において、正極層及び負極層に含まれる活物質材料としては、全固体電池の電極活物質として利用可能な材料を用いることができる。活物質材料として、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/32、Li1+xMn2-x-yy4(Mは、Al、Mg、Co、Fe、Ni、及びZnから選ばれる1種以上の金属元素)で表される組成の異種元素置換Li−Mnスピネル、チタン酸リチウム(LixTiOy)、リン酸金属リチウム(LiMPO4、MはFe、Mn、Co、またはNi)、酸化バナジウム(V25)及び酸化モリブデン(MoO3)等の遷移金属酸化物、硫化チタン(TiS2)、グラファイト及びハードカーボン等の炭素材料、リチウムコバルト窒化物(LiCoN)、リチウムシリコン酸化物(LixSiyz)、リチウム金属(Li)、リチウム合金(LiM、Mは、Sn、Si、Al、Ge、Sb、またはP)、リチウム貯蔵性金属間化合物(MgxMまたはNySb、MはSn、Ge、またはSb、NはIn、Cu、またはMn)等、並びにこれらの誘導体が挙げられる。
本発明において、正極活物質と負極活物質には明確な区別はなく、2種類の充放電電位を比較して、充放電電位が貴な電位を示すものを正極に、卑な電位を示すものを負極に用いて、任意の電圧の電池を構成することができる。
正極層は、所望により、全固体電池に使用可能な公知の固体電解質を含むことができる。そのような固体電解質としては、固体電解質層に含有させることが可能な上記固体電解質を例示することができる。正極層に固体電解質を含有させる場合、正極活物質と固体電解質との混合比率は、特に限定されないが、好ましくは正極活物質:固体電解質の体積比率が40:60〜90:10である。
正極層に硫化物固体電解質を含有させる場合、正極活物質と硫化物固体電解質との界面に高抵抗層が形成され難くすることにより、電池抵抗の増加を防止しやすい形態にする観点から、正極活物質は、イオン伝導性酸化物で被覆されていることが好ましい。正極活物質を被覆するリチウムイオン伝導性酸化物としては、例えば、一般式LixAOy(Aは、B、C、Al、Si、P、S、Ti、Zr、Nb、Mo、Ta又はWであり、x及びyは正の数である。)で表される酸化物を挙げることができる。具体的には、Li3BO3、LiB2、Li2CO3、LiAlO2、Li4SiO4、Li2SiO3、Li3PO4、Li2SO4、Li2TiO3、Li4Ti512、Li2Ti25、Li2ZrO3、LiNbO3、Li2MoO4、Li2WO4等を例示することができる。また、リチウムイオン伝導性酸化物は、複合酸化物であってもよい。
正極活物質を被覆する複合酸化物としては、上記リチウムイオン伝導性酸化物の任意の組み合わせを採用することができ、例えば、Li4SiO4−Li3BO3、Li4SiO4−Li3PO4等を挙げることができる。
また、正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆する場合、イオン伝導性酸化物は、正極活物質の少なくとも一部を被覆してればよく、正極活物質の全面を被覆していても良い。また、正極活物質を被覆するイオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、0.1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがより好ましい。なお、イオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて測定することができる。
正極層、固体電解質層、及び負極層はそれぞれ、バインダーを含んでもよい。バインダーの材料としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ニトリルゴム、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、水素添加ブチレンゴム、ポリスチレン、スチレンブタジエンゴム、スチレンブタジエンラテックス、多硫化ゴム、ニトロセルロース、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等が望ましいが、特に制限されない。
正極層及び負極層はそれぞれ、所望により導電助材粒子を含んでもよい。導電助材粒子としては、特に制限されるものではなく、黒鉛、カーボンブラック等を用いることができる。バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ニトリルゴム、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレンブタジエンゴム、スチレンブタジエンラテックス、多硫化ゴム、ニトロセルロース、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等が望ましいが、特に制限されない。
本発明に係る全固体電池に含まれる固体電解質層の厚みは、好ましくは5μm〜50μm、より好ましくは10〜20μmであることができ、このような厚みで固体電解質層としての機能を有しつつ、固体電解質層を貫通する正極層及び負極層の間の短絡をより防止することができる。
本発明に係る全固体電池に含まれる正極層の厚みは、好ましくは1μm〜1mm、より好ましくは5μm〜100μmにすることができる。
本発明に係る全固体電池に含まれる負極層の厚みは、好ましくは1μm〜1mm、より好ましくは5μm〜100μmにすることができる。
正極集電体4の材料としては、導電性を有し正極集電体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばSUS、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、およびカーボン等を挙げることができ、SUS及びアルミニウムが好ましい。さらに、正極集電体4の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状等を挙げることができ、中でも箔状が好ましい。
負極集電体5の材料としては、導電性を有し負極集電体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばSUS、銅、ニッケル、およびカーボン等を挙げることができ、SUS及び銅が好ましい。さらに、負極集電体5の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状等を挙げることができ、中でも箔状が好ましい。
正極集電体4及び負極集電体5の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば10〜500μm程度の厚みの金属箔を用いることができる。
全固体電池を包む電池ケースとしては、全固体電池で使用可能な公知のラミネートフィルム等を用いることができる。そのようなラミネートフィルムとしては、樹脂製のラミネートフィルムや、樹脂製のラミネートフィルムに金属を蒸着させたフィルム等を例示することができる。
全固体電池100は、円筒型、角型、ボタン型、コイン型、または扁平型等、所望の形状をとることができ、これらに限定されるものではない。
本発明はまた、正極層、固体電解質層、及び負極層を含む全固体電池の製造方法であって、(A)固体電解質層を提供する工程;(B)正極層を提供する工程であって、前記正極層の面積が前記固体電解質層の面積よりも小さく、且つ前記正極層の外周縁が全周にわたって凹凸形状を有する、工程;(C)負極層を提供する工程;並びに(D)前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層を含む積層体をプレスして電極体を形成する工程、を含む、製造方法を対象とする。
本発明に係る方法は、固体電解質層2を提供する工程(A)及び正極層1を提供する工程(B)を含む。正極層1の面積は固体電解質層2の面積よりも小さく、且つ正極層1の外周縁が全周にわたって、凹凸形状を有する。
本願においては、図8及び図13を参照して説明したように、隣接する凸部間の外側の頂点同士を結んだ点線と両側の凸部で囲まれた部分が凹部31であり、隣接する凹部間の内側の頂点同士を結んだ点線と両側の凹部で囲まれた部分が凸部32である。
工程(B)にて提供される正極層1において、隣接する凸部間の外側の頂点同士を結んだ点線から垂直に降ろしたときに最も深い箇所を凹部31の深さ41とすると、凹部31の平均深さ41は、好ましくは1〜300μmであり、より好ましくは10〜100μmである。このような深さで凹部を形成することにより、正極面積を大きく得つつ、プレス時の逃げ代をより効率良く得ることができる。
工程(B)にて提供される正極層1において、隣接する凸部間の外側の頂点同士を結んだ点線の長さを凹部31の幅51とすると、凹部31の平均幅51は、好ましくは2〜600μmであり、より好ましくは20〜200μmである。このような幅で凹部31を形成することにより、正極面積を大きく得つつ、プレス時の逃げ代をより効率良く得ることができる。
工程(B)にて提供される正極層1において、凸部32に対する凹部31の平均面積割合は好ましくは50〜300%であり、より好ましくは200〜300%である。このような割合で凹部を形成することにより、正極面積を大きく得つつ、プレス時の逃げ代をより効率良く得ることができる。
工程(B)にて提供される正極層1において、隣接する凹部間の外側の頂点同士を結んだ線の長さを凹部31の形成間隔61とすると、凹部31の平均形成間隔61は、好ましくは1〜300μmであり、より好ましくは10〜100μmである。このような割合で凹部を形成することにより、正極面積を大きく得つつ、プレス時の逃げ代をより効率良く得ることができる。
その他の凹凸形状に関する説明は、上記と同様である。
正極層1及び固体電解質層2の面積の差は、プレス後に、正極層1の外周縁が固体電解質層3の外周縁の外側にはみ出して負極層3との間の短絡が生じないような差であればよく、例えば、正極層1の面積が、固体電解質層2の面積の50〜99%、または76〜97%である。
本発明に係る方法はさらに負極層3を提供する工程(C)を含む。固体電解質層2は、好ましくは負極層3と同じかそれよりも大きい面積を有し、より好ましくは、負極層3の面積と実質的に同じ面積を有する。なお、各図面に図示しないが、正極層1、固体電解質層2、及び負極層3は、PETフィルム等の基材を有してもよい。
本発明に係る方法はさらに、正極層1、固体電解質層2、及び負極層3を含む積層体をプレスして電極体10を形成する工程(D)を含む。このときのプレス圧力は、所望の電池特性が得られるように電極体10を圧密化することができる圧力で行うことができ、好ましくは1.5〜900MPaであり、より好ましくは390〜600MPaである。本発明に係る方法においては、正極層1が外周縁に凹凸を有するため、上記プレス時の固体電解質層2の破損を防止し、正極層1及び負極層3の短絡を防止することができる。
好ましくは、電極体を形成する工程(D)は、固体電解質層2及び負極層3を積層してプレスして固体電解質層2及び負極層3を含む成形体を成形する工程、並びに成形体の固体電解質層2に接するようにして正極層1を積層し、プレスする工程を含む。このようにプレスすることにより、固体電解質層2及び負極層3の間の界面抵抗を低減することができ、また、固体電解質層2を緻密化してからその上に正極層1をプレス成形するため、固体電解質層2の破損をより防止しやすくなる。
固体電解質層2及び負極層3を積層してプレスするときのプレス圧力は、固体電解質層2及び負極層3を圧密化することができる圧力で行うことができ、好ましくは1.5〜900MPaであり、より好ましくは390〜600MPaである。また、固体電解質層2及び負極層3を含む成形体の固体電解質層2に接するようにして正極層1を積層してプレスするときのプレス圧力は、所望の電池特性が得られるように電極体10を圧密化することができる圧力で行うことができ、好ましくは1.5〜900MPaであり、より好ましくは390〜600MPaである。
本発明に係る方法はまた、(E)正極集電体4及び負極集電体5を提供する工程、並びに(F)正極層1に正極集電体4をプレスする工程、及び負極層3に負極集電体5をプレスする工程をさらに含むことができる。このときのプレス圧力は、集電体と電極層とを圧着しつつ、電極層を圧密化することができる圧力で行うことができ、好ましくは1.5〜900MPaであり、より好ましくは390〜600MPaである。
本発明に係る方法において、工程(E)及び(F)を、工程(D)よりも前に行ってもよい。
さらに、工程(E)及び(F)を、工程(D)よりも前に行いつつ、工程(F)にて、正極層1及び正極集電体4を積層してプレスし、固体電解質層2、負極層3、及び負極集電体5を積層してプレスし、正極層1及び正極集電体4のプレス成形体と、固体電解質層2、負極層3、及び負極集電体5のプレス成形体とを、工程(D)にてプレス成形してもよい。このようにプレスすることにより、固体電解質層2及び負極層3の間の界面抵抗を低減することができ、また、固体電解質層2を圧密化してからその上に正極層1をプレス成形するため、固体電解質層2の破損をより防止しやすくなる。
正極層1及び正極集電体4を積層してプレスするときのプレス圧力は、上記同様に好ましくは1.5〜900MPaであり、より好ましくは390〜600MPaである。また、固体電解質層2、負極層3、及び負極集電体5を積層してプレスするときのプレス圧力は、負極集電体5と負極層3とを圧着しつつ、固体電解質層2及び負極層3を圧密化することができる圧力で行うことができ、好ましくは1.5〜900MPaであり、より好ましくは390〜600MPaである。正極層1及び正極集電体4のプレス成形体と、固体電解質層2、負極層3、及び負極集電体5のプレス成形体とを、工程(D)にてプレスするときのプレス圧力は、所望の電池特性が得られるように電極体10を圧密化することができる圧力で行うことができ、好ましくは1.5〜900MPaであり、より好ましくは390〜600MPaである。
本発明に係る方法において、プレス方法は、特に限定されるものではなく、市販の加圧成型装置を用いて行うことができ、一軸プレス、冷間静水等方圧プレス(CIP)、またはホットプレス等の方法が挙げられる。プレス方法の好ましい態様として等方加圧することができる冷間静水等方圧プレス(CIP)が挙げられる。例えば、負極集電体、負極層、固体電解質層、正極層、及び正極集電体を含む積層体を、正極集電体及び負極集電体を引き出してラミネート等の包装材に入れ、冷間静水等方圧プレス(CIP)にて加圧成型することができる。
工程(F)のプレス工程において、正極集電体4及び負極集電体5の配置前に、カーボンスプレーを正極層1及び負極層3の面にコーティングして集電体と電極層との接触性を向上してから、プレスしてもよい。
プレス前の固体電解質層の厚みは、15〜250μmが好ましく、30〜100μmがより好ましい。プレス前の固体電解質層の厚みが上記範囲にあることにより、プレス後の固体電解質層の厚みを、好ましくは5μm〜50μm、より好ましくは10〜20μmにすることができ、固体電解質層を貫通する正極層及び負極層の間の短絡を防止することができる。
プレス前の正極層の厚みは、1.5〜3000μmが好ましく、7.5〜300μmがより好ましい。プレス前の正極層の厚みが上記範囲にあることにより、プレス後の正極層の厚みを、好ましくは1μm〜1mm、より好ましくは5μm〜100μmにすることができる。
プレス前の負極層の厚みは、1.5〜3000μmが好ましく、7.5〜300μmがより好ましい。プレス前の負極層の厚みが上記範囲にあることにより、プレス後の負極層の厚みを、好ましくは1μm〜1mm、より好ましくは5μm〜100μmにすることができる。
工程(A)、(B)、及び(C)で提供される正極層、固体電解質層、及び負極層は、それぞれ、基材上に形成して準備することができる。正極層、固体電解質層、及び負極層の基材上への形成は、スラリー塗工プロセス、ブラスト法、エアロゾルデポジション法、コールドスプレー法、スパッタリング法、気相成長法、または溶射法等を用いて行うことができ、スラリー塗工プロセスが簡便なプロセスで正極層、固体電解質層、及び負極層を得ることができ、好ましく用いられる。
基材は、固体電解質膜または活物質膜をその上に形成することができるものであれば特に制限されるものではなく、フィルム状の柔軟性を有する基材や硬質基材等を用いることができ、例えばテフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の基材を用いることができる。
スラリー塗工プロセスとしては、ダム式スラリーコーター、ドクターブレード法、グラビヤ転写法、リバースロールコータ等が挙げられ、正極材料、固体電解質材料、及び負極材料のスラリーを用いる。
スラリー塗工プロセスによって正極材料、固体電解質材料、及び負極材料のスラリーをそれぞれ、基材上に塗工及び乾燥して、正極層、固体電解質層、及び負極層を形成する場合、正極材料、固体電解質材料、及び負極材料のぞれぞれのスラリーの調製に用いる溶媒は、正極活物質、固体電解質、及び負極活物質の性能に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、例えば炭化水素系有機溶媒のヘプタン、トルエン、ヘキサン等が挙げられ、好ましくは脱水処理して水分含有量を低くした炭化水素系有機溶媒が用いられる。
本発明に係る方法においては、工程(A)、(B)、及び(C)にて基材から外した正極層、固体電解質層、及び負極層を提供してもよく、また、圧着面に基材が存在しないようにすれば、工程(A)〜(F)のいずれの工程で基材を取り外してもよい。
例えば、PETフィルム付きの負極層に、PETフィルム付きの固体電解質層を積層して積層体を形成し、積層体をプレスして成形体を形成した後に、固体電解質層側のPETフィルムを剥離し、固体電解質層とPETフィルム付きの正極層とを隣接するように積層して、正極層、固体電解質層、及び負極層を含む積層体を形成し、プレスした後に、負極層側のPETフィルムと正極層側のPETフィルムを剥離してもよい。
1 正極層
2 固体電解質層
3 負極層
4 正極集電体
5 負極集電体
6 電池ケース
10 電極体
11 プレスによる正極層の変形部分
31 凹部
32 凸部
41 凹部の深さ
51 凹部の幅
61 凹部の平均間隔
100 全固体電池

Claims (9)

  1. 正極層、固体電解質層、及び負極層を含む全固体電池であって、
    前記正極層の面積が前記固体電解質層の面積よりも小さく、且つ前記正極層の外周縁が全周にわたって凹凸形状を有する、全固体電池。
  2. 前記固体電解質層の面積が、前記負極層の面積と同じかそれよりも大きい、請求項1に記載の全固体電池。
  3. 前記固体電解質層が2層以上の固体電解質層を含む、請求項1または2に記載の全固体電池。
  4. 正極層、固体電解質層、及び負極層を含む全固体電池の製造方法であって、
    (A)固体電解質層を提供する工程;
    (B)正極層を提供する工程であって、前記正極層の面積が前記固体電解質層の面積よりも小さく、且つ前記正極層の外周縁が全周にわたって凹凸形状を有する、工程;
    (C)負極層を提供する工程;並びに
    (D)前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層を含む積層体をプレスして電極体を形成する工程、
    を含む、製造方法。
  5. 前記固体電解質層の面積が、前記負極層の面積と同じかそれよりも大きい、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記電極体を形成する工程(D)が、前記固体電解質層及び前記負極層を積層してプレスして前記固体電解質層及び前記負極層を含む成形体を成形する工程、並びに
    前記成形体の前記固体電解質層に接するようにして前記正極層を積層し、プレスする工程を含む、請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 固体電解質層を提供する工程(A)が2以上の固体電解質層を提供することを含む、請求項4〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. (E)正極集電体及び負極集電体を提供する工程、並びに
    (F)前記正極層に前記正極集電体をプレスする工程、及び前記負極層に前記負極集電体をプレスする工程、
    をさらに含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 工程(E)及び(F)が、工程(D)よりも前に行われる、請求項8に記載の製造方法。
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