JP2014118754A - 分割式アーチ形カルバートおよびその施工方法 - Google Patents

分割式アーチ形カルバートおよびその施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クレーンで支持せずとも自立可能であり、作業性よく組立施工することが可能な分割式アーチ形カルバートおよびその施工方法の提供。
【解決手段】基礎11の上面に載置される底面を有する底版部2と、底版部2上に垂直に設けられた直壁部3と、直壁部3の上端からアーチ状に延設されたアーチ部4とを有する側壁部材1であり、直壁部3の高さBが底版部2の幅Aの2倍以上であり、アーチ部4の頂点部に、アーチ部4の主筋4bに固定された鉄筋5が突出させて設けられ、当該側壁部材1の重心から基礎11の上面へ下ろした垂線の足が底版部2の底面内に位置する一対の側壁部材1を、アーチ部4の頂点同士が対向するように配置し、アーチ部4の頂点部から突出させた鉄筋5同士を配力筋13を用いて緊結し、アーチ部4の頂点部間の凹部12に現場打ちコンクリート14を打設する。
【選択図】図5

Description

本発明は、下水道用、排水路用、地下河川用、地下道用や共同溝用等に利用されるアーチ形カルバートに関し、より詳しくは、工場内で分割生産されたプレキャストコンクリート製品を現場にて組立施工する分割式アーチ形カルバートおよびその施工方法に関する。
従来、分割式アーチ形カルバートは、例えば特許文献1に記載のように、2列に配置されたフーチングに具備された縦方向の凹部の中に、コンクリート・リブの形をした要素をそれぞれ対向配置することによって構築される。対向列にある要素は自立することがなく、それぞれ別々のクレーンによって位置決めされるが、対向する要素が正しく整合され、かつ路頂とフーチングの両方で片寄りされると、両クレーンはそれらの要素を開放することができる。
また、特許文献2には、同様に2列に配置された基礎の凹部の中に左右一対の円弧版のそれぞれの基端が配置され、他端側の連結端同士が頂点部にて互いに連結されたものが記載されている。なお、特許文献2には記載されていないが、この場合も、円弧板は自立しないため、2つのクレーンによって位置決めしながら、円弧版の連結端同士を突き合わせるようにして、頂点部を互いに連結させる必要がある。
特開平6−57770号公報 特開2000−104495号公報
上記のように、従来の分割式アーチ形カルバートの施工の際は、自立しない一対の要素または円弧板を2つのクレーンを用いてそれぞれ支持する必要があり、作業性が悪い。また、このような分割式アーチ形カルバートは、工場から現場までトラックやトレーラー等の運搬車両により運搬することになるが、運搬車両には幅および高さの制約があるため、従来の分割式アーチ形カルバートでは嵩張ってこれらの制約をクリアすることが難しい。
そこで、本発明においては、トラックやトレーラー等の運搬車両の幅および高さの制約を容易にクリアでき、かつ、クレーンで支持せずとも自立可能であり、作業性よく組立施工することが可能な分割式アーチ形カルバートおよびその施工方法を提供することを目的とする。
本発明の分割式アーチ形カルバートは、基礎上面に載置される底面を有する底版部と、底版部上に垂直に設けられた直壁部と、直壁部の上端からアーチ状に延設されたアーチ部とを有する側壁部材であり、直壁部の高さが、アーチ部が直壁部の上端からアーチ状に延設される方向の底版部の水平方向の長さの2倍以上であり、当該側壁部材の重心から基礎上面へ下ろした垂線の足が底版部の底面内に位置する側壁部材を含むものである。
本発明の分割式アーチ形カルバートによれば、側壁部材はその重心から基礎上面へ下ろした垂線の足が底版部の底面内に位置するため、この側壁部材を基礎上面に載置した際に自立し、作業性良く施工することが可能となる。また、側壁部材は、アーチ部が底版部上に垂直に底版部の水平方向の長さの2倍以上の高さに設けられた直壁部の上端から延設されているため、底版部の幅を小さくしても、上記重心の位置を底版部の底面内に位置させることができ、底版部の幅が小さいことで、トラックやトレーラー等の運搬車両の幅および高さの制約を容易にクリアすることが可能となる。
本発明の分割式アーチ形カルバートの施工方法は、基礎上面に載置される底面を有する底版部と、底版部上に垂直に設けられた直壁部と、直壁部の上端からアーチ状に延設されたアーチ部とを有する側壁部材であり、直壁部の高さが、前記アーチ部が前記直壁部の上端からアーチ状に延設される方向の底版部の水平方向の長さの2倍以上であり、アーチ部の頂点部に、アーチ部の主筋に固定された鉄筋が突出させて設けられ、当該側壁部材の重心から基礎上面へ下ろした垂線の足が底版部の底面内に位置する一対の側壁部材を、アーチ部の頂点同士が対向するように配置すること、アーチ部の頂点部から突出させた鉄筋同士を配力筋を用いて緊結すること、アーチ部の頂点部間に現場打ちコンクリートを打設することを含むことを特徴とする。
本発明の分割式アーチ形カルバートの施工方法によれば、一対の側壁部材をアーチ部の頂点同士が対向するように基礎上面に配置し、アーチ部の頂点部から突出させた鉄筋同士を配力筋を用いて緊結し、アーチ部の頂点部間に現場打ちコンクリートを打設することで、基礎上面に載置すると自立する一対の側壁部材を強固に一体化して分割式アーチ形カルバートを構築することができる。
本発明の分割式アーチ形カルバートによれば、側壁部材を基礎上面に載置した際に自立するため、作業性良く施工することが可能となり、側壁部材を自立させるために複数のクレーンを用いることは不要となる。また、側壁部材は底版部の幅を小さくすることができ、トラックやトレーラー等の運搬車両の幅および高さの制約を容易にクリアすることが可能となる。
本発明の実施の形態における分割式アーチ形カルバートを構成する側壁部材の正面図である。 本発明の実施の形態における分割式アーチ形カルバートの施工方法を示す工程図である。 本発明の実施の形態における分割式アーチ形カルバートの施工方法を示す工程図である。 本発明の実施の形態における分割式アーチ形カルバートの施工方法を示す工程図である。 本発明の実施の形態における分割式アーチ形カルバートの施工方法を示す工程図である。 (a),(b)はそれぞれ側壁部材をトラックやトレーラー等の運搬車両の荷台上に積載した例を示し、(a)は荷台を平面視した図、(b)は側面視した図である。
図1は本発明の実施の形態における分割式アーチ形カルバートを構成する側壁部材の正面図、図2〜図5は本発明の実施の形態における分割式アーチ形カルバートの施工方法を示す工程図である。
図1において、本発明の実施の形態における分割式アーチ形カルバート10(図5参照。)を構成する側壁部材1は、基礎11(図5参照。)の上面に載置される底面2aを有する底版部2と、底版部2上に垂直に設けられた直壁部3と、直壁部3の上端からアーチ状に延設されたアーチ部4とを有する。なお、直壁部3の高さBは、底版部2の幅(アーチ部4のアーチ状と同じ平面(図1の面)内の水平幅、要するに、アーチ部4が直壁部3の上端からアーチ状に延設される方向の底版部2の水平方向の長さ)Aの2倍以上となっている。また、アーチ部4のアーチ状に沿った長さCは、底版部2の幅Aの4倍以上となっている。
また、アーチ部4の頂点部には、後述するように一対の側壁部材1をアーチ部4の頂点同士が対向するように配置した後に現場打ちコンクリート14を打設するための凹部12(図5参照。)を形成する切欠部4aが設けられている。この切欠部4aには、アーチ部4の主筋4bに固定された鉄筋5がループ状に突出させて設けられている。このループ状の鉄筋5は、対向配置された側壁部材1同士を緊結するためのものである。
そして、この側壁部材1では、側壁部材1の重心Gから基礎11の上面へ下ろした垂線の足が底版部2の底面2a内に位置するように、底版部2の幅A、直壁部3の高さBおよびアーチ部4の長さCが調整されている。したがって、この側壁部材1を水平な基礎11の上面に載置すると、側壁部材1は基礎11上に自立する。
次に、本発明の実施の形態における分割式アーチ形カルバート10の施工方法について説明する。まず、図2に示すように、一方の側壁部材1を基礎11の上面に載置する。このとき、側壁部材1は前述のように自立しているが、転倒防止金具6を用いて基礎11と底版部2とを固定しても良い。
次に、図3に示すように、他方の側壁部材1(図3の左側)を、両方の側壁部材1のアーチ部4の頂点同士が対向するように、基礎11の上面に載置する。このとき、右側の側壁部材1を転倒防止ワイヤー7を用いて固定しても良い。そして、両方の側壁部材1のアーチ部4の頂点同士を当接させると、両方のループ状の鉄筋5が正面からみて重なり合うので、この重なり合った部分に配力筋13を挿入し、鉄筋5と緊結する。
その後、アーチ部4の頂点部間に形成された凹部12に現場打ちコンクリート14を打設する。また、両方の側壁部材1の底版部2から転倒防止金具6を除去し、底版部2間に現場打ちコンクリート15を打設する。
以上のように、本実施形態における分割式アーチ形カルバート10は、側壁部材1がその重心から基礎10の上面へ下ろした垂線の足が底版部2の底面2a内に位置するため、この側壁部材1を基礎10の上面に載置した際に自立し、作業性良く施工することが可能となる。したがって、側壁部材1を自立させるために複数のクレーンを用いることは不要となり、簡単な転倒防止金具6や転倒防止ワイヤー7等を用いるだけで良い。
なお、本実施形態における分割式アーチ形カルバートでは、側壁部材1を自立させるために複数のクレーンを用いることは不要であるが、側壁部材1を所定の位置へ設置するためにクレーンを用いても良い。
上記分割式アーチ形カルバート10について、内空幅Bおよび高さHにおける側壁部材1の底版部2の幅A、直壁部3の高さBおよびアーチ部4の長さCの例を表1に示した。また、図6の(a),(b)はそれぞれ側壁部材1をトラックやトレーラー等の運搬車両の荷台20上に積載した例を示している。なお、(a)は荷台20を平面視した図、(b)は側面視した図である。
Figure 2014118754
表1に示す側壁部材1は、すべて直壁部3の高さBが底版部2の幅Aの2倍以上、アーチ部4の長さCが底版部2の幅Aの4倍以上となっている。これらの側壁部材1は、直壁部3の高さBが底版部2の幅Aに比べて2倍以上長いことで、重心Gが直壁部3に近接しており、アーチ部4の長さCが長くても底版部2の幅Aが小さくて済む。表1の例のものでは、底版部2の幅Aはすべて1mであり、トラックやトレーラー等の運搬車両の幅および高さの制約を容易にクリアすることが可能となっている。
本発明の分割式アーチ形カルバートは、下水道用、排水路用、地下河川用、地下道用や共同溝用等に利用されるアーチ形カルバートとして有用である。
1 側壁部材
2 底版部
2a 底面
3 直壁部
4 アーチ部
4a 切欠部
4b 主筋
5 鉄筋
10 分割式アーチ形カルバート
11 基礎
12 凹部
13 配力筋
14,15 現場打ちコンクリート

Claims (4)

  1. 基礎上面に載置される底面を有する底版部と、前記底版部上に垂直に設けられた直壁部と、前記直壁部の上端からアーチ状に延設されたアーチ部とを有する側壁部材であり、
    前記直壁部の高さが、前記アーチ部が前記直壁部の上端からアーチ状に延設される方向の前記底版部の水平方向の長さの2倍以上であり、
    当該側壁部材の重心から前記基礎上面へ下ろした垂線の足が前記底版部の底面内に位置する側壁部材
    を含む分割式アーチ形カルバート。
  2. 前記アーチ部のアーチ状に沿った長さが、前記アーチ部が前記直壁部の上端からアーチ状に延設される方向の前記底版部の水平方向の長さの4倍以上である請求項1記載の分割式アーチ形カルバート。
  3. 前記側壁部材は、前記アーチ部の頂点部に、前記アーチ部の主筋に固定された鉄筋が突出させて設けられたものである請求項1または2に記載の分割式アーチ形カルバート。
  4. 基礎上面に載置される底面を有する底版部と、前記底版部上に垂直に設けられた直壁部と、前記直壁部の上端からアーチ状に延設されたアーチ部とを有する側壁部材であり、前記直壁部の高さが、前記アーチ部が前記直壁部の上端からアーチ状に延設される方向の前記底版部の水平方向の長さの2倍以上であり、前記アーチ部の頂点部に、前記アーチ部の主筋に固定された鉄筋が突出させて設けられ、当該側壁部材の重心から前記基礎上面へ下ろした垂線の足が前記底版部の底面内に位置する一対の側壁部材を、前記アーチ部の頂点同士が対向するように配置すること、
    前記アーチ部の頂点部から突出させた鉄筋同士を配力筋を用いて緊結すること、
    前記アーチ部の頂点部間に現場打ちコンクリートを打設すること
    を含む分割式アーチ形カルバートの施工方法。
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