JP2014118539A - 金型腐食性に優れる超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)アクリロニトリル系成分とスチレン系成分とを共重合成分として含むスチレン系樹脂(A成分)5重量%〜100重量%および(B)芳香族ポリカーボネート系樹脂(B成分)95重量%〜0重量%よりなる樹脂成分100重量部に対し、(C)特定のアルキレンビス脂肪酸アミド(C成分)0.05〜10重量部を含有する超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明の好適な態様の1つは、(3)樹脂成分100重量部に対し、(D)A成分以外の衝撃改質剤(D成分)0.1〜50重量部を含有する上記構成(1)または(2)の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の1つは、(4)樹脂成分100重量部に対し、(E)難燃剤(E成分)1〜300重量部を含有する上記構成(1)〜(3)のいずれかの超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の1つは、(5)樹脂成分100重量部に対し、(F)フィブリル形成能を有する含フッ素滴下防止剤(F成分)0.05〜50重量部を含有する上記構成(1)〜(4)のいずれかの超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の1つは、(6)超臨界発泡成形に使用される超臨界流体が窒素である上記構成(1)〜(5)のいずれかの超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の1つは、(7)上記構成(1)〜(6)のいずれかの超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物からなる発泡成形品である。
本発明の好適な態様の1つは、(8)軽量化率が3%以上である、事務機、家庭用電化製品、電気電子機器、または車両に用いられる部品である上記構成(7)の発泡成形品である。
<A成分について>
本発明で使用するA成分は、アクリロニトリル系成分とスチレン系成分とを共重合成分として含むスチレン系熱可塑性樹脂である。さらに、ポリブタジエンなどのジエン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、アクリル系ゴム、及びポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離できないように相互に絡み合った構造を有している複合ゴム(以下IPN型ゴム)を含有することが好ましく、特にポリブタジエンなどのジエン系ゴムを含有することが好ましい。
還元粘度(ηsp/C)={(t/t0)−1}/0.5
還元粘度が0.2dl/gより小さいと衝撃が低下し、1.0dl/gを越えると流動性が悪くなる場合がある。
またグラフトされたシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の割合はジエン系ゴム成分に対して、グラフト率(重量%)で表して20〜200%が好ましく、より好ましくは20〜70%のものである。
本発明の樹脂組成物は、B成分として芳香族ポリカーボネート樹脂を含有することが好ましい。この芳香族ポリカーボネート樹脂の含有により、衝撃強度の改善が可能であり、良好な難燃性も発現可能となる。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
(1)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、ビスフェノールA成分が10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCF成分が5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPM成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用することもできる。これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
B成分の含有量は、A成分とB成分との合計100重量%中、95〜0重量%であり、好ましくは90〜50重量%、より好ましくは85〜67重量%である。B成分の含有量が95重量%を超えると成形加工時の流動性が不十分となる。
本発明で使用するアルキレンビス脂肪酸アミドとは、下記一般式(1)の構造を有する化合物である。(1)の構造を有するものとしては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられ、特に、エチレンビスステアリン酸アミドが好ましく使用される。
本発明で用いられるD成分としてはA成分以外の衝撃改質剤である。例えば、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)およびシリコーン・アクリル複合ゴム系グラフト共重合体などのコア−シェルグラフト共重合体樹脂、あるいはシリコーン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
D成分の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、0.1〜50重量部が好ましく、より好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部である。D成分の含有量が0.1重量部未満では所望の衝撃強度が得られない場合があり、逆に50重量部を超えると難燃性が不十分となる場合がある。
本発明の樹脂組成物は、E成分として難燃剤を含有することが好ましい。かかる難燃剤としては、特に限定するものではなく、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、塩系難燃剤、シリコーン系難燃剤などの樹脂用難燃剤が使用可能であるが、その中でも、環境性能と難燃性能のバランスに優れたリン系難燃剤、特に有機リン酸エステル化合物が好ましい。
有機リン酸エステル化合物としては、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、およびホスファゼンオリゴマーなどが好適に例示される。更にリン酸エステルとしては、下記式(2)で示される化合物が好適である。
E成分の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、1〜300重量部が好ましく、より好ましくは10〜250重量部であり、50〜200重量部がさらに好ましい。E成分が上記範囲を超えて多すぎる場合には、組成物の耐熱性および物性低下を起こす場合がある。逆に、少なすぎる場合は、所望の難燃性を得られない場合がある。
本発明の樹脂組成物は、F成分としてフィブリル形成能を有する含フッ素滴下防止剤を含有することが好ましい。この含フッ素滴下防止剤の含有により、成形品の物性を損なうことなく、良好な難燃性を達成することができる。
本発明の樹脂組成物には本発明の効果を発揮する範囲において、その他の熱可塑性樹脂や充填材、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、発泡剤、染顔料等を配合することも出来る。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂などに代表される汎用プラスチックス、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)等に代表されるエンジニアリングプラスチックス、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドなどのいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックスと呼ばれるものを挙げることができる。
離型剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対して、0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.3重量部がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記各成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。好ましくは2軸押出機による溶融混練が好ましく、必要に応じて、任意の成分をサイドフィーダー等を用いて第2供給口より、溶融混合された他の成分中に供給することが好ましい。
該樹脂組成物は、スクリュー中間部にチェックリング(以下中間リングと記載する)、先端3点セットと中間リングの間に超臨界ガスの注入口、および外部機器として超臨界ガス発生および注入装置を設置した射出成形機において、ホッパー口からペレットを投入し、成形機スクリューの搬送ゾーン、圧縮ゾーンで加熱溶融させた後、計量ゾーン部分の加熱筒に具備された専用のガス注入口より窒素または二酸化炭素の超臨界ガスを導入することにより、超臨界発泡成形を行う。かかる超臨界発泡成形においては、金型コントロール側において必要に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成型、コアバック成形を採用することで、前記超臨界ガスの注入量だけでなく、その発泡倍率を制御することが可能である。また金型のランナーはコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することが可能であるが、後者のホットランナー方式の方が発泡倍率を制御しやすい点では好ましい。更に、成形機のノズルは、オープンノズル、シャットオフバルブいずれも使用可能であるが、金型にシャットオフ機能がない場合には後者のシャットオフバルブが好ましい。
本発明の成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。表面処理としては、ハードコート、撥水・撥油コート、親水性コート、帯電防止コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理を行うことができる。表面処理方法としては、液剤のコーティングの他、蒸着法、溶射法、およびメッキ法が挙げられる。蒸着法としては物理蒸着法および化学蒸着法のいずれも使用できる。物理蒸着法としては真空蒸着法、スパッタリング、およびイオンプレーティングが例示される。化学蒸着(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、および光CVD法などが例示される。
また、本発明の成形品の外観に意匠性を持たせるため、各種のインサート成形が可能であり、フィルムインサート成形、インモールド成形などが例示される。
Trexell製 超臨界ガス注入装置 SII−TRJ−10−A−MPD(使用ガス:窒素)を具備した日本製鋼所(株)製 射出成形機 J140AD−110H、および図1および2に示した腐食評価用金型および腐食評価用入れ子を使用し、表1に記載のシリンダー温度、金型温度にて、発泡成形または超臨界ガスを注入しない条件での一般成形を200ショット連続成形したあと、図1における符号2で示す腐食評価用入れ子を金型から抜き取り、該入れ子を設定温度65℃、湿度85%の恒温恒湿槽にて30分間の処理をした後の錆の発生状況を目視で判定した。なお、評価は以下のように行った。◎または○の評価であることが必要である。
◎:特に変化なし
○:わずかに腐食あるいはヤニ状付着物が認められる。(入れ子表面積の10%未満)
△:腐食が認められる。(入れ子表面積の10%〜30%未満)
×:腐食が顕著に認められる。(入れ子表面積の30%以上)
(判定が困難な場合は◎〜○のような判定を可能とした)
尚、発泡成形は上記超臨界ガス注入装置から、成形機シリンダーに設けられた注入口より超臨界状態の窒素を注入し、加熱溶融された樹脂組成物と均一に混合されたものをキャビティー内に射出注入する方法で実施した。
流路厚2mm、流路幅8mmのアルキメデス型スパイラルフロー長を射出成形機[住友重機械工業(株)製SG150U]により測定した。測定はシリンダー温度260℃、金型温度70℃、射出圧力98MPaで行った。流動性は20cm以上であることが必要である。
30分間溶融混練を行い、ベントアップの有無を観察した。
MIRAGE社製電子比重計 MD−200S(商品名)を用いて、上記腐食試験において発泡成形により成形した成形品および超臨界ガスを注入しない条件での一般成形により成形した成形品の比重を測定し、下記式により算出した。
軽量化率(%)=100×{(一般成形品比重)−(発泡成形品比重)}/(一般成形品比重)
まず、表1に記載成分のうち、独立供給可能あるいは独立供給することにより安定して押出し可能な成分(ペレット形状の成分)を除いたA成分、C成分及びその他の成分をV型ブレンダーにて混合して混合物を作成した。スクリュー径30mmのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所TEX30α−38.5BW−3V]を用いて、V型ブレンダーにて混合した混合物、独立供給可能な成分あるいは独立供給することにより安定して押出し可能な成分およびその他の任意の成分を最後部の第1投入口より計量器を用いて所定の割合となるように供給し、真空ポンプを使用し3kPaの真空下において、シリンダー温度230℃で溶融押出ししてペレット化(AB−1〜AB−6)した。
(A成分)
A−1:ABS樹脂[CHEIL INDUSTRIES INC.製:CH−T(商品名)]
A−2:AS樹脂[日本A&L(株)製:BS−207(商品名)]
(B成分)
B−1:芳香族ポリカーボネート樹脂[帝人化成(株)製:パンライトL−1225WP(商品名)、ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量22,500の芳香族ポリカーボネート樹脂粉末]
(C成分)
C−1:エチレンビスステアリン酸アミド[花王(株)製:カオーワックスEB(商品名)]
(D成分)
D−1:コア−シェルグラフト共重合体[三菱レイヨン(株)製:メタブレンC−223A(商品名)]
D−2:コア−シェルグラフト共重合体[ダウ ケミカル製:パラロイドEXL−2 620(商品名)]
(E成分)
E−1:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル[大八化学工業(株)製:CR−741(商品名)]
(F成分)
F−1:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン[ダイキン工業(株)製:ポリフロンMPA FA500(商品名)]
(その他の成分)
G−1:リン系酸化防止剤[ADEKA(株)製:アデカスタブ260(商品名)]
G−2:硬化油系離型剤[川研ファインケミカル(株)製:K−3ワックス(商品名)]
G−3:フェノール系熱安定剤[Ciba Specialty Chemicals K.K.製:IRGANOX1076(商品名)]
G−4:エステル系離型剤[リケンビタミン(株)製:SL900(商品名)]
G−5:タルク[林化成(株)製:HST0.8(商品名)]
G−6:ワラストナイト[キンセイマテック(株)製:SH−1250(商品名)]
G−7:カーボンブラック[越谷化成工業(株)製:ROYAL BLACK 961S(商品名)]
2 腐食評価用入れ子(直径20mm、材質:NAK80)
3 ダイレクトゲート(直径2mm)
4 ガスベント(幅10mm、深さ0.03mm)
Claims (9)
- A成分がジエン系ゴムを共重合成分として含むスチレン系熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 樹脂成分100重量部に対し、(D)A成分以外の衝撃改質剤(D成分)0.1〜50重量部を含有する請求項1または2に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 樹脂成分100重量部に対し、(E)難燃剤(E成分)1〜300重量部を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 樹脂成分100重量部に対し、(F)フィブリル形成能を有する含フッ素滴下防止剤(F成分)0.05〜50重量部を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 超臨界発泡成形に使用される超臨界流体が窒素である請求項1〜5のいずれか1項に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物からなる発泡成形品。
- 軽量化率が3%以上である、事務機、家庭用電化製品、電気電子機器、または車両に用いられる部品である請求項7に記載の発泡成形品。
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