JP4364716B2 - 電源アダプターのハウジング - Google Patents

電源アダプターのハウジング Download PDF

Info

Publication number
JP4364716B2
JP4364716B2 JP2004137391A JP2004137391A JP4364716B2 JP 4364716 B2 JP4364716 B2 JP 4364716B2 JP 2004137391 A JP2004137391 A JP 2004137391A JP 2004137391 A JP2004137391 A JP 2004137391A JP 4364716 B2 JP4364716 B2 JP 4364716B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
component
power adapter
housing
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004137391A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005320365A (ja
Inventor
哲也 相原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
Priority to JP2004137391A priority Critical patent/JP4364716B2/ja
Publication of JP2005320365A publication Critical patent/JP2005320365A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4364716B2 publication Critical patent/JP4364716B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、電源アダプターのハウジングに関するものである。更に詳しくは、特定の樹脂組成物を使用することにより、IEC60335−1規格のボールプレッシャー試験に合格できる耐熱性、並びに良好な耐衝撃特性および成形性を併せ持つ電源アダプターのハウジングに関する。また本発明のかかるハウジングに特に好適に利用される樹脂組成物に関する。
電源アダプターは、交流電圧を所定量の直流電圧に変換する電源装置のことであり、OA機器や家電製品などの、その内部に電源回路を有していない機器で使用されている。近年、パソコンおよび携帯端末装置などの電子機器の増加に伴い、電源アダプターはその使用数量の飛躍的な増加傾向と共に、小型軽量化の傾向にある。そのハウジングとしては、安全性の観点から難燃性が必要とされる。難燃性以外にも内部のトランスおよびコンデンサなどの電源回路部品からの発熱に対する耐熱性が必要とされる。かかる耐熱性として、IEC60335−1規格で規定されるボールプレッシャ−試験に合格する性能が重要視されている。かかる難燃性と耐熱性とを満足する樹脂材料として、従来難燃性変性ポリフェニレンエーテル樹脂が使用されていた。
しかしながら、近年、環境への配慮が重視され、ハロゲン系難燃剤の使用が好まれない場合が増加している。一方で、携帯型の電子・電気機器製品が増加し、これらの機器の小型軽量化が更に進んでいる。その結果、ハロゲン系難燃剤を含まずかつ薄肉でも良好な難燃性、薄肉成形品での良好な落下衝撃性、薄肉成形品でボールプレッシャー試験に合格する耐熱性、および良好な成形性を有する樹脂材料、並びにかかる特性を有する電源アダプターのハウジングが求められている。該材料の候補の1つとしてリン酸エステルで難燃化された芳香族ポリカーボネート樹脂材料がある。
芳香族ポリカーボネート、リン酸エステル、ポリテトラフルオロエチレン(以下“PTFE”と称する場合がある)、およびシリコーンとアクリルとの複合ゴムからなる樹脂組成物、並びに該樹脂組成物が難燃性、耐衝撃性、および耐熱性に優れることは公知である(特許文献1参照)。
芳香族ポリカーボネート、リン酸エステル、PTFE、スルホン酸金属塩、およびアクリルシェルのコア−シェルポリマーからなる樹脂組成物は公知である(特許文献2参照)。該樹脂組成物はある程度良好な熱安定性を有するが、バッテリーパックの如き薄肉成形をするには耐熱性に劣る(特許文献3参照)。
芳香族ポリカーボネート、ビスフェノールAポリ(ジフェニルホスフェート)、PTFE、アクリル系多層構造重合体の如き耐衝撃性改良剤、および紫外線吸収剤からなるポリカーボネート樹脂組成物は公知である(特許文献4参照)。
芳香族ポリカーボネート、2種以上のアクリレートゴムからなるコア−シェル状弾性重合体、およびカーボンブラックからなる樹脂組成物、並びに該樹脂組成物は漆黒性、耐衝撃性、およびリサイクル性のバランスに優れることは公知である(特許文献5参照)。
しかしながら、上記のいずれの文献も電源アダプターのハウジングおよびそのための樹脂材料に関し、十分な知見を開示するものではなかった。
芳香族ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールAポリ(ジフェニルホスフェート)、PTFE、およびグラフトポリマー、更に加えてPTFEおよびペンタエリスリトールテトラステアレートの特定割合からなる樹脂組成物、並びに該樹脂組成物が小型変圧器を含む電気機器ケーシング他の幅広い用途に利用可能であることは公知である(特許文献6参照)。
しかしながら、かかる文献も未だ電源アダプターのハウジングが求められる特性を十分に把握し、該ハウジングおよぴ該ハウジングに適した材料に関し十分な知見を開示するものではなかった。
特開平9−286911号公報 特開平10−306208号公報 特開2001−123056号公報 特開2000−169686号公報 特開2003−096286号公報 特表2002−540276号公報
本発明の課題は、IEC60335−1規格で規定されるボールプレッシャ−試験に合格し、さらに難燃性、耐衝撃性、および成形性に優れた電源アダプターのハウジングを提供することにある。本発明者はかかる目的を達成すべく鋭意検討を実施した。ハロゲン系難燃剤に代わる難燃剤としては、リン酸エステル系難燃剤が良好な難燃性を有し、環境への影響が比較的少ない点で適切と判断し検討を行った。しかしながら該難燃剤は可塑化効果があり組成物の耐熱性や耐衝撃性を低下させる。更に耐衝撃性改良のためにゴム質重合体を配合すると更に組成物の耐熱性は低下する。したがって芳香族ポリカーボネート、リン酸エステル、およびゴム質重合体からなる組成物において、上記のポールプレッシャー試験は厳しい試験であるといえる。このような状況の中、本発明者はかかる樹脂組成物におけるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量がボールプレッシャー試験に与える効果を究明し、かかる制御によって該試験における耐熱性を改良できることを見出した。その結果、上記課題を解決し肉厚の薄いハウジングに対しても好適な樹脂材料および該材料からなるハウジングの提供を可能とする本発明に到達した。
本発明は、(1)(A)芳香族ポリカーボネート87〜98.88重量部、(B)リン酸エステル1〜6重量部、(C)ゴム成分量が40〜90重量%でありポリオルガノシロキサン成分を含有しないゴム質重合体0.1〜5重量部、(D)フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン0.01〜1重量部、および(E)脂肪酸エステル0.01〜1重量部の合計100重量部からなる樹脂組成物より形成され、IEC 60335−1規格で規定されるボールプレッシャ−試験に合格する電源アダプターのハウジングにかかるものである。かかる構成(1)によれば、上記課題を解決し近年の要求に合致した電源アダプターのハウジングが提供される。
本発明のより好適な態様は、(2)上記樹脂組成物は、(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、更に0.01〜2重量部の(F)カーボンブラックを含んでなる樹脂組成物である上記構成(1)の電源アダプターのハウジングである。本発明は、カーボンブラックの配合により黒色化された場合でも、良好な黒色を呈しかつ上記の厳しい試験に合格する電源アダプターハウジングを提供するものである。
本発明の好適な態様の1つは、(3)上記樹脂組成物中の(B)リン酸エステルが下記一般式(I)で示されるリン酸エステルオリゴマーであることを特徴とする上記構成(1)〜(2)の電源アダプターのハウジングである。かかる構成(3)によれば、よりポールプレッシャー試験における耐熱性の良好な電源アダプターのハウジングが提供される。
Figure 0004364716
(ここでR1、R2、R3およびR4は各々独立した炭素数6〜12のアリール基であり、R5およびR6はメチル基または水素、R7およびR8はメチル基を表し、m1およびm2は0〜2の整数を示し、a、b、cおよびdはそれぞれ独立して0または1であり、またnは1から5の整数である。)
本発明の好適な態様の1つは、(4)上記樹脂組成物中の(C)ゴム質重合体が、平均粒子径100〜400nmのブタジエンゴムを45〜85重量%含んでいることを特徴とする上記構成(1)〜(3)の電源アダプターのハウジングである。かかる構成(4)によれば、ボールプレッシャー試験における耐熱性を損なうことなく、良好な耐衝撃性を有する電源アダプターのハウジングが提供される。
本発明の好適な態様の1つは、(5)上記(A)芳香族ポリカーボネートは、その粘度平均分子量が22,500〜25,000の範囲であり、ハウジングの肉厚が1.7〜2.7mmの範囲であることを特徴とする上記構成(1)〜(4)の電源アダプターのハウジングである。かかる構成(5)によれば、かかる比較的薄肉であって、かつ良好な難燃性、耐衝撃性、およびボールプレッシャー試験における耐熱性を併せ持つ電源アダプターのハウジングが提供される。
また本発明の別の態様は、(6)(A)芳香族ポリカーボネート87〜98.88重量部、(B)リン酸エステル1〜6重量部、(C)ゴム成分量が40〜90重量%でありポリオルガノシロキサン成分を含有しないゴム質重合体0.1〜5重量部、(D)フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン0.01〜1重量部、および(E)脂肪酸エステル0.01〜1重量部の合計100重量部からなる樹脂組成物であり、その好適な態様は(7)更に該合計100重量部を基準として、0.01〜2重量部の(F)カーボンブラックを含んでなる樹脂組成物であり、(8)かかる(A)芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量が22,500〜25,000の範囲であり、(9)かかる(B)リン酸エステルが下記一般式(I)で示されるリン酸エステルオリゴマーであり、更に(10)かかるゴム質重合体が、平均粒子径100〜400nmのブタジエンゴムを45〜85重量%含んでいることを特徴とするものである。
本発明の好適な態様の1つは、(11)上記樹脂組成物はペレットの形態を有し、かつその用途が電源アダプターのハウジング用である上記構成(6)〜(10)の樹脂組成物である。
以下、本発明の各成分の詳細、各成分の量、およびその他の成分などについて説明する。
<(A)成分:芳香族ポリカーボネート>
本発明の(A)成分として用いる芳香族ポリカーボネートは、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
二価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンなどを挙げることができる。その他1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの二価の脂肪族アルコールを共重合することも可能である。上記の各種二価フェノールから得られる芳香族ポリカーボネートの中でも、ビスフェノールAの単独重合体を特に好ましく挙げることができる。かかる芳香族ポリカーボネートは、耐衝撃性が優れる点で好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応させて芳香族ポリカーボネートを製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によって芳香族ポリカーボネートを製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。また、3官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート、芳香族又は脂肪族(脂環族を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート、二官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート、二官能性カルボン酸及び二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネートでもよい。
分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン等が使用できる。このような多官能性化合物を含む場合、その割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%である。また、溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。なお、かかる割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
一方、脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましく、その具体例としては、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸並びにシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。二官能性アルコールとしては脂環族ジオールが好適であり、例えば、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノール等が例示される。さらに、ポリオルガノシロキサン単位を共重合したポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
(A)成分は、二価フェノール成分の異なるポリカーボネート、分岐成分を含有するポリカーボネート、各種のポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体等を2種以上混合したものであってもよい。さらに、製造法の異なるポリカーボネート、末端停止剤の異なるポリカーボネート等を2種以上混合したものを使用することもできる。
界面重縮合法による反応は、通常、二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤及び有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物又はピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために、トリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。通常、反応温度は0〜40℃、反応時間は10分〜5時間が好ましく、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類の具体例としては、単官能フェノール類を用いるのが好ましい。かかる単官能フェノール類としては、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール等が好ましいが、この他にも、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノール、トリアコンチルフェノール等を挙げることができる。これらの末端停止剤は単独で使用しても2種以上併用してもよい。
溶融エステル交換法による反応は、二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、通常、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコール又はフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコール又はフェノールの沸点等により異なるが、ほぼ120〜350℃の範囲である。反応後期には反応系を1.33×10〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコール又はフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
カーボネートエステルとしては、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基等のエステルが挙げられ、中でもジフェニルカーボネートが好ましい。
反応には重合触媒を用いることができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物;等の触媒を用いることができる。さらに、アルカリ(土類)金属のアルコキシド類、アルカリ(土類)金属の有機酸塩類、ホウ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、アンチモン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類等の通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。これらの触媒は単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。重合触媒は、通常、原料の二価フェノール1モルに対し1×10−9〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−8〜5×10−6当量の範囲で使用される。
溶融エステル交換法では、得られる重合体中のフェノール性末端基を減少する目的で、重縮反応の後期あるいは終了後に、2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート、2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることもできる。また、溶融エステル交換法では、触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活剤の使用量は、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合が好ましい。重合後の芳香族ポリカーボネートに対しては0.01〜500ppm、好ましくは0.01〜300ppm、より好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用される。好適な失活剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のホスホニウム塩、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等のアンモニウム塩等が挙げられる。
本発明の(A)成分の芳香族ポリカーボネートとしては、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネートの使用も可能である。使用済みの製品としては防音壁、ガラス窓、透光屋根材、および自動車サンルーフなどに代表される各種グレージング材、風防や自動車ヘッドランプレンズなどの透明部材、水ボトルなどの容器、並びに光記録媒体などが好ましく挙げられる。これらは多量の添加剤や他樹脂などを含むことがなく、目的の品質が安定して得られやすい。殊に自動車ヘッドランプレンズや光記録媒体などは上記の粘度平均分子量のより好ましい条件を満足するため好ましい態様として挙げられる。尚、上記のバージン原料とは、その製造後に未だ市場において使用されていない原料である。
芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は、好ましくは18,000〜26,000、より好ましくは22,000〜25,500、更に好ましくは22,500〜25,000である。粘度平均分子量が22,500〜25,000の範囲においては、ポールプレッシャー試験における耐熱性がより改良され、耐衝撃性が改良され、かつ成形加工性も比較的良好である。したがって肉厚の薄い(例えば1.7〜2.7mm)電源アダプターのハウジングに特に適した材料、並びに該材料から形成された肉厚の薄いハウジングが提供される。尚、かかる粘度平均分子量は(A)成分全体として満足すればよく、分子量の異なる2種以上の混合物によりかかる範囲を満足するものを含む。
本発明でいう粘度平均分子量はまず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
<(B)成分:リン酸エステル>
本発明の(B)成分で難燃剤として使用されるリン酸エステルは、芳香族ポリカーボネートに対して難燃性を発揮することが公知である各種のリン酸エステルが使用できる。中でもより好適には上記一般式(I)で示されるものである。尚、上記一般式(I)においてアリール基とは、芳香族化合物のベンゼン環の水素原子1個を除いた残基をいう。好ましくは芳香族炭化水素のベンゼン環の水素原子1個を除いた残基である。アリール基としては例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、およびナフチル基などを挙げることができる。
(B)成分として好ましくは一般式(I)においてm1およびm2が0、a、b、c、およびdが1、R1、R2、R3、およびR4がフェニル基、並びにR5およびR6がメチル基である態様である。かかるビスフエノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステルはリン含有量が高いため、それを含む樹脂組成物は難燃性が良好であり、成形時の流動性も良好である。更にかかるリン酸エステルはその構造上耐加水分解性も良好であるため、それを含む樹脂組成物は長期の品質保持性にも優れる。
更に本発明のより好適なB成分は、上記一般式(I)のリン酸エステルであってその酸価が0.2mgKOH/g以下であり、また下記一般式(II)で示されるリン酸エステル化合物(以下“ハーフエステル”と称することがある)含有量が1.5重量%以下のものである。
Figure 0004364716
(ここでR1、R2、R3およびR4は各々独立した炭素数6〜12のアリール基であり、R5およびR6はメチル基または水素、R7およびR8はメチル基を表し、m1およびm2は0〜2の整数を示し、aおよびbはそれぞれ独立して0または1である。)
B成分の酸価は、より好ましくは0.15mgKOH/g以下であり、更に好ましくは0.1mgKOH/g以下であり、特に好ましくは0.05mgKOH/g以下である。かかる酸価の下限は実質的に0とすることも可能であり、実用上0.01mgKOH/g以上が好ましい。一方、ハーフエステルの含有量は1.1重量%以下がより好ましく、0.9重量%以下が更に好ましい。下限としては実用上0.1重量%以上が好ましく、0.2重量%以上がより好ましい。酸価が0.2mgKOH/gを超える場合、またはハーフエステル含有量が1.5mgを超える場合には、成形時の熱安定性に劣るようになり、芳香族ポリカーボネートの分解に伴いボールプレッシャー試験における耐熱性が低下しやすくなる。更にかかる場合には樹脂組成物の耐加水分解性が低下する。
本発明のB成分は、好ましくはその100重量%中縮合度nのそれぞれの割合がn=0の成分0.1〜3重量%、より好ましくは0.5〜2.5重量%、n=1の成分81〜98.5重量%、より好ましくは86.5〜98.5重量%、n=2の成分1〜12重量%、より好ましくは1〜9重量%、およびn≧3の成分1.5重量%以下、より好ましくは1重量%以下の割合からなり、かつn=0の成分を除いて算出される重量平均縮合度Nが1.01〜1.10、好ましくは1.01〜1.09、より好ましくは1.01〜1.07である。かかる分布を有するB成分は、樹脂組成物の耐熱性と耐衝撃性との両立に優れる。尚、上記各n成分とは、所定の二価フェノールおよび一価フェノールから合成される成分をいい、反応副生物などを含まない。例えば一価フェノールとしてフェノールを使用する場合n=0の成分はトリフェニルホスフェートである。
上記B成分は異なる2種以上のリン酸エステルを、B成分の条件を満足するように混合することも可能である。
<(C)成分:ゴム質重合体>
本発明において使用する(C)成分のゴム成分量が40〜90重量%であるゴム質重合体とは、ガラス転移温度が10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下であるゴム成分と、該ゴム成分と共重合可能な単量体成分とを共重合した重合体で、そのゴム成分量が40〜90重量%であるものをいう。ゴム成分としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(例えば、スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、並びにアクリル・ブタジエンゴム(アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルとブタジエンとの共重合体)など)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体など)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(例えばエチレン・メタクリレート共重合体、およびエチレン・ブチルアクリレート共重合体など)、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、エチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー(例えば、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体など)、アクリルゴム(例えば、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、およびブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体など)である。中でもより好適であるのは、衝撃特性効果がより発現しやすいポリブタジエン、またはジエン系共重合体であり、特にポリブタジエンが好ましい。
但し、本発明の(C)成分は、ポリオルガノシロキサン成分を含有しない。該成分に起因する漆黒性の不足は、電源アダプターのハウジングに要求される特性を全て満足しないことになるためである。すなわち、漆黒性の不足を補うためのカーボンブラックの過剰な配合は、耐衝撃性の低下をもたらすようになる。
これらのゴム質重合体100重量%中のゴム量は、40〜90重量%、好ましくは50〜87重量%、更に好ましくは65〜85重量%である。ゴム成分量が40重量%未満では衝撃特性の改良効果が十分ではなく、90重量%を超えると樹脂組成物中の分散が悪く、またブロッキング等の生産上の問題も発生するため好ましくない。また、かかるゴム質重合体の重量平均ゴム粒子径は100〜400nmが好ましく、より好ましくは130〜380nm、特に好ましくは150〜360nmである。かかる好適なゴム粒子径においては、耐衝撃性およぴ成形品外観により優れるようになる。ゴム粒子径の分布は単一の分布であるものおよび2山以上の複数の山を有するもののいずれもが使用可能であり、更にそのモルフォロジーにおいてもゴム粒子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の周りにオクルード相を含有することによりサラミ構造を有するものであってもよい。より好適なゴム質重合体は、ゴム粒子が単一の分布を有し、かつサラミ構造を有しない単一の相をなすものである。尚、ゴム粒子の重量平均粒子径は、電子顕微鏡観察画像から画像解析装置を用いて各ゴム粒子の画像面積から該面積に相当する直径を算出し、かかる各ゴム粒子の直径からその重量平均を算出することにより求めることができる。かかる画像解析において計測するゴム粒子の数は400以上500以下である。かかる範囲は精度および簡便性とを両立する。
(C)成分においてゴム成分に共重合される単量体成分としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物などが好適に挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、およびビニルナフタレンなどが挙げられ、特にスチレンが好ましい。シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、およびベンジル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。尚、(メタ)アクリレートの表記はメタクリレートおよびアクリレートのいずれをも含むことを示し、(メタ)アクリル酸エステルの表記はメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいずれをも含むことを示す。特に好適な(メタ)アクリル酸エステル化合物としてはメチルメタクリレートを挙げることができる。
芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物があげられる。
ゴム質重合体としてより具体的には、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン)樹脂、MB(メチルメタクリレート−ブタジエン)樹脂、MABS(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン)樹脂、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム)樹脂、SB(スチレン−ブタジエン)樹脂、MA(メチルメタクリレート−アクリルゴム)樹脂、およびMAS(メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン)樹脂などが例示される。尚、上記のメチルメタクリレート(M)は、メチルメタクリレートを主成分とすることを意味し、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートなどの他のアルキル(メタ)アクリレートエステルを少量(これらとメチルメタクリレートとの合計100モル%中、好ましくは20モル%以下)含有してもよい。
上記の中でもより好適なゴム質重合体は、ABS樹脂、MBS樹脂、MB樹脂、およびMABS樹脂などの、ゴム成分がポリブタジエンもしくはジエン系共重合体からなるグラフト重合体樹脂であり、なかでもABS樹脂、MBS樹脂、およびMB樹脂が好ましい。かかるABS樹脂、MBS樹脂、およびMB樹脂は少量の添加においても良好な耐衝撃性を有する薄肉成形品を与えることから、耐熱性が重要な電源アダプターのハウジング用途には好適である。
上記例示のゴム質重合体はいずれもゴム成分からなる重合体のコアに上記単量体からなるポリマー鎖が結合したコア−シェルタイプのグラフト共重合体であることが好ましい。かかるグラフト共重合体は、1段反応によるグラフト反応、および2段以上の多段反応によるグラフト反応のいずれで製造されてもよい。グラフト共重合体においてグラフトされたポリマー鎖の割合(ゴム成分の重量に対するかかるグラフトポリマー鎖の重量の割合)、すなわちグラフト率(重量%)は好ましくは5〜100重量%、より好ましくは15〜66重量%、更に好ましくは25〜55重量%である。
更に上記例示のゴム質重合体におけるグラフト重合体樹脂は、通常ゴム成分に該ゴム成分と共重合可能な単量体成分が共重合したグラフト共重合体と、該ゴム成分にグラフトしていない単量体成分の重合体(以下、“遊離の重合体”と略称する)との混合物であることが知られている。本発明におけるゴム質重合体もかかる遊離の重合体を含有してもよい。かかる遊離の重合体の割合は、グラフト共重合体との合計100重量%中、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。
<(D)成分:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン>
本発明で使用する(D)成分のフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとは、燃焼時の溶融滴下を防止し難燃性を更に向上させるためのものである。尚、以下ポリテトラフルオロエチレンを単にPTFEと称することがある。フィブリル形成能を有するPTFEの分子量は極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1000万、より好ましく200万〜900万である。かかるPTFEは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中での分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物を使用することも可能である。
かかるフィブリル形成能を有するPTFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)のテフロン(登録商標)6J、ダイキン化学工業(株)のポリフロンMPA FA500、およびF−201Lなどを挙げることができる。PTFEの水性分散液の市販品としては、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製のフルオンD−1、D−2、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)30Jなどを代表として挙げることができる。
混合形態のPTFEとしては、(1)PTFEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法(特開昭60−258263号公報、特開昭63−154744号公報などに記載された方法)、(2)PTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法(特開平4−272957号公報に記載された方法)、(3)PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に除去する方法(特開平06−220210号公報、特開平08−188653号公報などに記載された方法)、(4)PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する単量体を重合する方法(特開平9−95583号公報に記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、更に該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法(特開平11−29679号などに記載された方法)により得られたものが使用できる。これらの混合形態のPTFEの市販品としては、三菱レイヨン(株)の「メタブレン A3000」(商品名)、およびGEスペシャリティーケミカルズ社製 「BLENDEX B449」(商品名)などを挙げることができる。
混合形態におけるPTFEの割合としては、PTFE混合物100重量%中、PTFEが1〜60重量%が好ましく、より好ましくは5〜55重量%である。PTFEの割合がかかる範囲にある場合は、PTFEの良好な分散性を達成することができる。
<(E)成分:脂肪酸エステル>
(E)成分の脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数としては、3〜32の範囲、より好適には5〜30の範囲である。かかる一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール〜ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられる。本発明の脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。
一方、脂肪族カルボン酸は炭素数3〜32であることが好ましく、特に炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸が好ましい。該脂肪族カルボン酸としては、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、イコサン酸、およびドコサン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中でも脂肪族カルボン酸は、炭素原子数14〜20であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。特にステアリン酸およびパルミチン酸が好ましい。
ステアリン酸やパルミチン酸など上記の脂肪族カルボン酸は通常、動物性油脂(牛脂および豚脂など)や植物性油脂(パーム油など)などの天然油脂類から製造されるため、これらの脂肪族カルボン酸は、通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。したがって本発明のD−1成分の製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなる脂肪族カルボン酸、殊にステアリン酸やパルミチン酸が好ましく使用される。
本発明の脂肪酸エステルは、部分エステルおよび全エステル(フルエステル)のいずれであってもよい。しかしながら部分エステルでは通常水酸基価が高くなり高温時の樹脂の分解などを誘発しやすいことから、より好適にはフルエステルである。本発明のD成分における酸価は、20以下(実質的に0を取り得る)であることが好ましい。またD成分の水酸基価は、0.1〜30の範囲がより好ましい。更にヨウ素価は、10以下(実質的に0を取り得る)が好ましい。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
脂肪酸エステルの市販品としては、例えばLicowax E、Licolub WE1、Licolub WE4、およびLicolub WE40(以上Clariant社製、商品名)、リケマールSL−900、リケマールHT−10、リケマールAZ−01、リケスターEW−440A、およびリケスターEW−400(以上理研ビタミン(株)製、商品名)、並びにLoxiol VPG861およびCetiol G20S(以上Cognis社製、商品名)などが例示でき、いずれも利用可能である。
<(F)成分:カーボンブラックについて>
(F)成分のカーボンブラックは、特に製造方法、原料種等に制限はなく、例えばオイルファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ランプブラック、ローラーブラック、およびディスクブラック等のいずれも使用できる。また、カーボンブラックのストラクチャー、粒径、比表面積、着色力、DBP吸油量、揮発分、およびpHなどの特性についても特に制限はないが、ストラクチャーが顕著に発達したものは成形加工性や成形品の表面外観に不利となる場合があるため、好ましいのは樹脂用の着色剤として使用されるオイルファーネスブラックやチャンネルブラックである。またかかる好ましいカーボンブラックにおいてもHCC、HCF、MCF、LFF、およびRCFなどいずれのタイプも使用可能であるが、より好ましいのはHCF、MCF、およびLFFである。またpH値は7以下であるものがより好適であり、2〜6の範囲が更に好ましい。(F)成分のカーボンブラックは単独でまたは2種以上併用して使用することができる。
またかかる(F)成分の原料形態も特に制限されるものでなく、カーボンブラックの粉体形態のほか、バインダー樹脂によって顆粒化された形態、および他の樹脂中に高濃度で溶融混練したマスターバッチの形態など各種の態様のものが使用可能である。
<各成分の含有量について>
本発明の電源アダプターのハウジングを形成する樹脂組成物は、上記の(A)芳香族ポリカーボネート87〜98.88重量部、(B)リン酸エステル1〜6重量部、(C)ゴム質重合体、(D)フィブリル形成能を有するPTFE、および(E)脂肪酸エステル0.01〜1重量部の合計100重量部からなる。更に好適には該樹脂組成物は、更に(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、0.01〜2重量部の(F)カーボンブラックをその必須成分として含有する。
かかる(A)成分の量は、(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、好ましくは88〜98重量部、更に好ましくは89〜97重量部である。(A)成分が、87重量部未満になると、耐熱性と衝撃強度が低下し、電源アダプターのハウジング用としては不適である。
(B)成分の量は、(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、好ましくは2〜6重量部、更に好ましくは3〜5重量部である。(B)成分の量が1重量部未満では難燃性が不十分となり、6重量部を超えると耐熱性の低下が大きくなることから電源アダプターのハウジング材料としては不適である。
(C)成分の量は、(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、好ましくは1〜5重量部、更に好ましくは2〜4.5重量部である。(C)成分の量が0.1重量部未満では衝撃強度が著しく低下し、5重量部を超えると難燃性及び耐熱性の低下が発生することから電源アダプターのハウジング用途としては不適である。
(D)成分の量は、(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、好ましくは0.05〜0.7重量部、更に好ましくは0.1〜0.5重量部である。(D)成分の量が0.01重量部未満では燃焼時の溶融滴下の防止性能が十分でなく、1重量部を超えると、流動性の低下や分散不良による成形品の外観不良が発生することから不適である。
(E)成分の量は、(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、好ましくは0.1〜0.8重量部、更に好ましくは0.2〜0.7重量部である。(E)成分の量が0.01重量部未満では離型性が不十分であり残留する歪みの影響でボールプレッシャー試験における耐熱性が低下しやすく、1重量部を超えると難燃性が著しく低下することから電源アダプターのハウジング用途としては不適である。
(F)成分の量は、(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.05〜1重量部、更に好ましくは0.1〜0.6重量部である。
<その他の成分について>
本発明の電源アダプターのハウジングは、上記含有量の(A)成分〜(E)成分、より好適には上記含有量の(A)成分〜(F)成分から実質的になる樹脂組成物より形成される。しかしながら下記に示すその他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で少量含むことができる。これらの中での熱安定剤、およびカーボンブラック以外の着色剤は好ましく使用される。
(A)成分〜(F)成分以外の成分としては、(B)成分以外の難燃剤(例えば、有機スルホン酸金属塩系難燃剤および有機シリコーン系難燃剤など)、チャー形成化合物(例えば、ノボラック型フェノール樹脂およびピッチ類とホルムアルデヒドとの縮合物など)、強化用の無機フィラー、核剤(例えば、ステアリン酸ナトリウムおよびエチレン−アクリル酸ナトリウムなど)、熱安定剤、酸化防止剤(例えば、ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤など)、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、流動改質剤、抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタンおよび微粒子酸化亜鉛など)、(E)成分以外の滑剤、(F)成分以外の着色剤(各種染料および顔料など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、赤外線吸収剤、並びにフォトクロミック剤などが例示される。
無機フィラーとしては、衝撃強度への影響が少ない平均粒子径が100μm以下の物が好ましく使用される。具体的には、タルク、ワラストナイト、マイカ、クレー、モンモンリロナイト、スメクタイト、カオリン、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらの無機フィラーは1種もしくは2種以上を併用して含むものであってもよい。
熱安定剤としてはリン系熱安定剤が挙げられ、ホスファイト化合物およびホスフェート化合物が好ましく使用される。ホスファイト化合物としては、例えばトリデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファイト化合物が挙げられる。これらのうち安定性が良好なトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましく使用される。
更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス (4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
一方、熱安定剤として使用されるホスフェート化合物としては、例えばトリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート等が挙げられ、なかでもトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートが好ましい。
更にその他のリン系熱安定剤としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−ビフェニレンジホスホナイト等のホスホナイト化合物も、安定性の観点から好ましく使用することができる。
前記リン系熱安定剤は、1種もしくは2種以上を併用してよい。リン系熱安定剤は、本発明の(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、好ましくは0.001〜0.5重量部、より好ましくは0.005〜0.3重量部の範囲である。
フェノール系酸化防止剤としては、具体的には例えばトリエチレングリコール−ビス(3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい添加量の範囲は、(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、好ましくは0.0001〜0.5重量部、より好ましくは0.001〜0.3重量部である。
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収剤として公知のベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、環状イミノエステル系化合物、並びにシアノアクリレート系化合物などが例示される。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンが例示され、ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、および2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]などが例示され、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノールが例示され、環状イミノエステル系化合物としては、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)が例示され、シアノアクリレート系化合物としては、1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパンが例示される。更に公知のヒンダードアミン系の光安定剤を使用することも可能である。さらに上記紫外線吸収剤および光安定剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/または光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。上記紫外線吸収剤および光安定剤は、1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。これら紫外線吸収剤および光安定剤の添加量は、(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、好ましくは0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部である。
また帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、および無水マレイン酸ジグリセライドなどが挙げられる。
<樹脂組成物の製造について>
本発明の電源アダプターのハウジングを形成する樹脂組成物の製造には、任意の方法が採用される。例えば(A)成分〜(E)成分(好ましくは更に(F)成分)、および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、および押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合(いわゆるドライブレンド)した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより得られた予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、溶融混練後の組成物をペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。予備混合する方法としては例えば、(A)成分のパウダーの一部と(C)成分、(D)成分、および(E)成分などの添加剤とをドライブレンドして、パウダーで希釈された添加剤のマスターバッチを作成する方法が挙げられる。更に一成分を独立に溶融押出機の途中から供給する方法なども挙げられる。これら溶融混練に際しての加熱温度は、通常250〜300℃の範囲で選ばれる。
尚、配合成分に液状のものがある場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。かかる液注装置、または液添装置は加温装置が設置されているものが好ましく使用される。特に本発明の(B)成分は縮合度nの分布によっては固体状でなく液状となる。したがって押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用する方法が採用される。そのため、本発明で使用される押出機は、液体注入用の原料供給口を持つものが好ましく使用できる。また、かかるリン酸エステルの添加は、通常の押出機のバレルに設けたフィード口から、ギアポンプ等の公知の液体運搬装置で押出機内の吐出圧以上の圧力で供給する。なお、かかる供給時のリン酸エステルは50℃〜100℃、好ましくは60℃〜90℃、更に好ましくは70℃〜80℃の温度に加熱されたものを用いる。50℃以下ではリン酸エステルの粘度が高すぎて定量精度の高い添加が難しく、100℃以上では、長期の製造においてリン酸エステルの揮発、分解、または劣化を引き起こす場合がある。
また押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化することができる。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。得られたペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
<電源アダプターのハウジングの成形>
本発明の電源アダプターのハウジングは、上記の樹脂組成物を射出成形して製造することができる。通常、上記方法で得られたペレットを乾燥した後射出成形機に供給し、射出成形する。乾燥は通常、箱型乾燥機およびホッパードライヤーなどの熱風乾燥機が使用され、温度80〜120℃、より好ましく90〜110℃で5時間以上の処理を行い乾燥することが好ましい。かかる射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。また射出成形においては、通常の成形方法だけでなくガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、射出圧縮成形、射出プレス成形、インサート成形、インモールド成形、局所高温金型成形(断熱金型成形を含む)、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などを使用することができる。
本発明の電源アダプターのハウジングは、ハロゲン系難燃剤を含有することなく、比較的肉厚の薄い場合にもIEC60335−1規格で規定されるボールプレッシャ−試験に合格する耐熱性を有し、更に難燃性および耐衝撃性に優れ、加えて形状安定性や生産性にも優れている。したがって、近年小型軽量化や携帯機器への付属の増加の傾向にある電源アダプターに好適である。したがって本発明の電源アダプターハウジングは、ノート型パソコン、携帯型のバソコン周辺機、ナビゲーション装置、携帯型テレビ、並びに充電装置における電源アダプターを製造するのに好適に利用される。したがって本発明の奏する工業的効果は極めて大である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下に実施例をあげて更に説明する。評価項目および組成物中の各成分の記号は下記の内容を意味する。
[実施例1〜10、比較例1〜10]
(難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造)
尚、以後の説明は、後述する原材料の符号に基づく。
表1〜表2に示す組成で、(B)成分(リン酸エステル)を除く成分をドライブレンドして得られた混合物を押出機の第1供給口から供給した。かかる混合物は次の(i)の予備混合物と他の成分とをミキサーで混合して得た。すなわち、(i)は(D)成分(ポリテトラフルオロエチレン)と(A)芳香族ポリカーボネートとの混合物であって(D)成分がその10重量%となるようポリエチレン袋中で該袋全体を振り動かすことで均一に混合された混合物である。更に、(B)成分を80℃に加熱した状態で液注装置(富士テクノ工業(株)製HYM−JS−08)を用いてシリンダー途中の第2供給口から、各々所定の割合になるよう押出機に供給した。液注装置は一定量を供給する設定とし、その他の原料の供給量は計量器[(株)クボタ製CWF]により精密に計測された。押出は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30XSST)を使用し、スクリュー回転数150rpm、ベント吸引度3kPa、並びに吐出量20kg/hで溶融混練しペレットを得た。なお、押出し時の温度設定は、シリンダー温度260〜280℃(スクリュー根元部からダイス部に向かって)、ダイス温度280℃で実施した。
(I)評価項目
(1)電源アダプターのハウジング成形品の作製と特性評価
得られたペレットの一部は、100℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG−150U)により、図1〜図6に示す電源アダプターハウジング成形品(天板または底板部分はほぼ均一な肉厚であり、その平均肉厚は2.0mmである)を、シリンダー温度290℃、金型温度80℃で作製し、以下に示す評価を実施した。
(1−1)ボールプレッシャー試験
電源アダプターの下カバーのハウジング成形品の平坦部から20mm×20mm(厚み2mm)の正方形の角板を切り出し、IEC 60335−1に従い、ボールプレッシャー試験を実施した。なお、評価結果は凹み径の大きさと合否の判定で示す。
(1−2)面衝撃強度(破壊エネルギー)
面衝撃試験を行い、ハウジング成形品の衝撃強度の比較を行った。電源アダプターの下カバーのハウジング成形品の平坦部(厚み2mm)を40mm×40mmの大きさに切り出し、高側面衝撃試験機((株)島津製作所製 高側面衝撃試験機ハイドロショットHTM−1)にて、ポンチ直径12.7mm(先端半球の半径6.35mm)、下穴径25.4mm、平均打ち抜き速度7.0m/sで試験を行い、破壊に至るまでに要するエネルギー(破壊エネルギー)の測定と破壊の形態(延性破壊、脆性破壊)を測定した。実際に製品が落下した際の衝撃を考えると、破壊エネルギーが20J以上、破壊形態は延性破壊であるのが好ましい。破壊形態はn=5の試験で全数が延性破壊である場合は○、延性と脆性が混じる場合は△、全数が脆性破壊である場合は×とした。
(1−3)成形性(流動性、離型性)
上カバーのハウジング成形品に存在する薄肉(0.5mm)のリブ部分を観察し、完全充填されているか、離型不良による変形や白化が無いか確認を行った。なお、評価の判定は、問題ない場合は○、ショートショットや離型時の変形や白化が見られる場合は×とした。
(2)材料特性の評価
得られたペレットの一部は、100℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機[住友重機械工業(株)製SG−150U]により、シリンダー温度290℃、金型温度80℃で、以下に示す各試験用の試験片の作製および評価を実施した。
(2−1)難燃性
UL規格に従って作成した厚さ1.5mmの試験片を用いて試験を行った。試験結果に基づいてUL−94 V−0、V−1およびV−2の何れかの等級に評価した。
(2−2)耐衝撃性(シャルピー衝撃強さ)
ISO規格のISO−179に従って作成された厚み4mmの試験片に、ノッチを入れ、シャルピー衝撃試験を行った。
(2−3)成形性(流動性)
樹脂組成物の流動長を測定した。測定は流路厚2mm、流路幅8mmのアルキメデス型スパイラルフロー長を射出成形機[住友重機械工業(株)製SG150U]によりシリンダー温度280℃、金型温度70℃、射出圧力98MPaで行った。
(2−4)色相(L値)
カーボンブラックにて黒色に着色した熱可塑性組成物を成形したプレート(50mm×90mm、厚み2mm)の色相(L値)の測定を行い、成形品の黒味を比較した。色相(L値)の測定は、TC−1800MK−2(東京電色(株)製)を使用して測定した。電源アダプターなどの黒色成形品の場合、L値が15以下であるのが外観上好ましい。
(II)組成物中の各成分の記号
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
PC−1:ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量22,500のポリカーボネート樹脂粉末(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WP(商品名))
PC−2:ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量23,900のポリカーボネート樹脂粉末(帝人化成(株)製:パンライトL−1250WP(商品名))
PC−3:ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量19,700のポリカーボネート樹脂粉末(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WX(商品名))
(B)リン酸エステル
FR−1:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル(大八化学工業(株)製:CR−741(商品名))
FR−2:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル(旭電化工業(株)製:アデカスタブFP−700(商品名))
(C)ゴム質重合体
IM−1:乳化重合法により製造されたABS樹脂(CHEIL INDUSTRY INC.製:CHT(商品名);ポリブタジエンからなるゴム成分量が約58重量%、平均ゴム粒子径が310nm)
IM−2:メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエンコア−シェルグラフト共重合体樹脂(三菱レイヨン(株)製:メタブレンC−223A(商品名);ポリブタジエンからなるゴム成分量が約70重量%、平均ゴム粒子径が270nm)
IM−3:メチルメタクリレート−エチルアクリレート−ブタジエンコア−シェルグラフト共重合体樹脂(ロームアンドハ−ス(株)製;パラロイドEXL−2602(商品名)、ポリブタジエンからなるゴム成分量が約80重量%、平均ゴム粒子径が200nm)
(D)フィブリル形成能を有するPTFE
PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製;ポリフロンMPA FA500(商品名))
(E)脂肪酸エステル
RW−1:ステアリルステアレートを主成分とし、グリセリントリステアレート成分を含有する脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製:リケマールSL900(商品名))
(その他)
IM−4((C)成分の比較用):ポリオルガノシロキサンゴムとアクリレートゴムが相互に絡み合った構造を有する複合ゴム重合体にメチルメタクリレートを共重合した共重合体(三菱レーヨン(株)製:メタブレンS−2001(商品名)、複合ゴム重合体成分が約80重量%)
RW−2((E)成分の比較用):低分子量ポリエチレン(三井化学(株)製:ハイワックスHW405MP(商品名))
IRG:フェノール系熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals K.K.製:IRGANOX1076(商品名))
TMP:ホスフェート系熱安定剤(大八化学工業(株)製:TMP(商品名)、トリメチルホスフェート)
CB:カーボンブラックマスター(越谷化成工業(株)製:ロイヤルブラック904S(商品名、カーボンブラック40重量%および/PS樹脂60重量%からなる)
Figure 0004364716
Figure 0004364716
前記表から次のことが明らかである。表1および表2より、特定の種類と配合量からなる熱可塑性樹脂を使用して製造した電源アダプターのハウジングはIEC60335−1規格のボールプレッシャー試験に合格し、難燃性、衝撃特性、および成形性にも優れる良好な製品が提供可能である。比較例1および2に示すようにリン酸エステルの添加量が特定の配合量から外れるとボールプレッシャー試験で不合格となる。比較例3〜7に示す様に、ゴム質重合体の種類、添加量が所定の範囲から外れると、ボールプレッシャー試験での不合格、難燃性の低下、および黒味不足などの問題がある。また、ポリテトラフルオロエチレンや脂肪酸エステルについても、比較例8〜12に示す様に、添加量や種類が所定の範囲を外れると成形性や難燃性の悪化が見られ、電源アダプターハウジングとしては問題があるのが確認できる。加えて実施例3〜5の比較から、ボールプレッシャー試験における耐熱性(凹み径)は、芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量の影響を強く受け、該分子量が高いほど良好であることがわかる。
実施例において成形した電源アダプターのハウジング(上側ユニットと下側ユニットとを組み付けた状態)の正面図を示し、図面左側が交流電源側、図面右側が直流電源側である。 図1左側面(交流電線側)の側面図を示す(高さ28mm)。 図1右側面(直流電線側)の側面図を示す(高さ28mm)。 B−B’面における電源アダプターのハウジング上側ユニットを裏面より見た場合の断面図を示す。 B−B’面における電源アダプターのハウジング下側ユニットを裏面より見た場合の断面図を示す。 図1のA−A’面における断面図を示す(下側ユニットの高さ10mm、上側ユニットの高さ18mm、リブ7およびリブ15の高さ上面部31から21mm)。
符号の説明
1 電源アダプターのハウジング本体(上下組)
2 電源アダプターのハウジング上側ユニット
3 電源アダプターのハウジング下側ユニット
4 電源アダプターのハウジング本体の長さ(89.5mm)
5 電源アダプターのハウジング本体の長さ(49.5mm)
6 ハウジング上下ユニットの合せ面
7 上側ユニットのリブ(交流電線側)
8 上側ユニットのリブ(中央)
9 上側ユニットのリブ(直流電線側)
10 上側ユニットのリブ(直流電線部)
11 直流電線用口部
12 上側ユニットのリブ(直流電線部)
13 上側ユニットのリブ(直流電線側)
14 上側ユニットのリブ(中央)
15 上側ユニットのリブ(交流電線側)
16 交流電線用口部
17 下側ユニットのリブ(交流電線側)
18 下側ユニットのリブ(直流電線側)
19 下側ユニットのリブ(直流電線部)
20 下側ユニットのリブ(直流電線部)
21 下側ユニットのリブ(直流電線側)
22 下側ユニットのリブ(交流電線側)
23 下側ユニットのリブ(交流電線部)
24 下側ユニットのリブ(交流電線部)
31 上側ユニットの上面部
32 下側ユニットの底面部

Claims (5)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート87〜98.88重量部、(B)リン酸エステル1〜6重量部、(C)ゴム成分量が40〜90重量%でありポリオルガノシロキサン成分を含有しないゴム質重合体0.1〜5重量部、(D)フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン0.01〜1重量部、および(E)脂肪酸エステル0.01〜1重量部の合計100重量部からなる樹脂組成物より形成され、IEC 60335−1規格で規定されるボールプレッシャ−試験に合格する電源アダプターのハウジング。
  2. 上記樹脂組成物は、(A)成分〜(E)成分の合計100重量部を基準として、更に0.01〜2重量部の(F)カーボンブラックを含んでなる樹脂組成物である請求項1に記載の電源アダプターのハウジング。
  3. 上記樹脂組成物中の(B)リン酸エステルが下記一般式(I)で示されるリン酸エステルオリゴマーであることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の電源アダプターのハウジング。
    Figure 0004364716
    (ここでR1、R2、R3およびR4は各々独立した炭素数6〜12のアリール基であり、R5およびR6はメチル基または水素、R7およびR8はメチル基を表し、m1およびm2は0〜2の整数を示し、a、b、cおよびdはそれぞれ独立して0または1であり、またnは1から5の整数である。)
  4. 上記樹脂組成物中の(C)ゴム質重合体が、平均粒子径100〜400nmのブタジエンゴムを45〜85重量%含んでいることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電源アダプターのハウジング。
  5. 上記(A)芳香族ポリカーボネートは、その粘度平均分子量が22,500〜25,000の範囲であり、ハウジングの肉厚が1.7〜2.7mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電源アダプターのハウジング。
JP2004137391A 2004-05-06 2004-05-06 電源アダプターのハウジング Expired - Lifetime JP4364716B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004137391A JP4364716B2 (ja) 2004-05-06 2004-05-06 電源アダプターのハウジング

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004137391A JP4364716B2 (ja) 2004-05-06 2004-05-06 電源アダプターのハウジング

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005320365A JP2005320365A (ja) 2005-11-17
JP4364716B2 true JP4364716B2 (ja) 2009-11-18

Family

ID=35467864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004137391A Expired - Lifetime JP4364716B2 (ja) 2004-05-06 2004-05-06 電源アダプターのハウジング

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4364716B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2439105C2 (ru) * 2007-02-26 2012-01-10 Байер МатириальСайенс ЛЛСИ Огнезащитная ударостойкая термопластичная формовочная композиция
JP6363531B2 (ja) * 2015-02-20 2018-07-25 ダイセルポリマー株式会社 ポリカーボネート樹脂組成物
JP6961942B2 (ja) * 2015-04-16 2021-11-05 東洋紡株式会社 フレキシブル基板用透明フィルム及びフレキシブル回路基板
EP3827752B1 (en) * 2018-07-25 2024-04-24 FUJIFILM Corporation Ultrasound probe

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005320365A (ja) 2005-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4695442B2 (ja) 外観に優れたハウジング成形品
JP5749635B2 (ja) 黒色樹脂組成物および樹脂成形体
EP2581413B2 (en) Polycarbonate-based resin composition and molded article thereof
JP5301856B2 (ja) 外観に優れたポリカーボネート樹脂組成物
JP5592046B2 (ja) 帯電防止性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
JP2010144129A (ja) 難燃性樹脂組成物
JP5782547B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP5718701B2 (ja) ウエルド外観および表面硬度に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP2011001514A (ja) ガラス繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる電気・電子機器部品
JP5209536B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP5587655B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JPWO2018116607A1 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
JP2010070715A (ja) 難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP2007320980A (ja) 帯電防止性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
JP5134172B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP4255739B2 (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP5990097B2 (ja) 金型腐食性に優れる超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物
JP2006291009A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形体
JP4255735B2 (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP5736223B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP4364716B2 (ja) 電源アダプターのハウジング
JP2003277597A (ja) ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物
JP2012136558A (ja) 熱可塑性樹脂の金属粘着性を低減させる方法
JP2004002737A (ja) 難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP6039384B2 (ja) 金型腐食性に優れる超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090717

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090728

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090819

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120828

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4364716

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120828

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130828

Year of fee payment: 4