JP2014118045A - 弾性クローラ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弾性クローラは、ゴムによる無端帯状のクローラ本体4と、クローラ本体に埋め込まれた複数の芯金2と、クローラ本体の外周側表面から突出する複数のラグ13,14と、を備える。クローラ本体は、内周側表面に周方向に延びる、クローラ式走行装置の転輪が走行する1対の転輪走行帯12を備えている。芯金は、周方向に隣り合うラグの間に配される。ラグは、外周側から内周側に投影したとき、隣り合う芯金の間において転輪走行帯に重なる。外周側表面の周方向に隣り合うラグの間に、幅方向両側に延び、ラグの直近に比べて盛り上がる肉盛部16が設けられている。肉盛部は、その表面に、全体としてクローラ本体の幅方向に延びた溝18又は複数のゴム突起21Cを備える。
【選択図】図1
Description
クローラ本体は、その内周側表面に周方向に延びる、クローラ式走行装置の転輪が走行する1対の転輪走行帯を備えている。芯金は、内周側から外周側に投影したとき、周方向に隣り合うラグの間に配されている。
外周側表面の周方向に隣り合うラグの間には、クローラ本体の幅方向両側に延びた、クローラ本体に連続し当該隣り合うラグの直近に比べて外周側に盛り上がる肉盛部が設けられている。
転輪が走行する「転輪走行帯」の範囲は、装着されるクローラ式走行装置の転輪の大きさ、形状等によりその範囲が変わるが、ここでは、弾性クローラの設計時に、内周側表面におけるクローラ式走行装置の転輪の走行が予定される範囲をいうものとする。したがって、弾性クローラの内周側表面を一巡する平滑な幅が広い帯状の面が存在する場合、転輪の走行が予定される帯状部分のみが転輪走行帯に相当する。
弾性クローラがサイプを備える場合、サイプを、幅方向において肉盛部の一方端から他方端まで延びたものとするのが好ましい。
サイプを幅方向に真っ直ぐ延びたものとすることができる。
弾性クローラがゴム突起を備える場合、ゴム突起は、周方向および幅方向のいずれにも複数列が並ぶ。ゴム突起は、円形、楕円形、長円形、または多角形の断面形状を有するものが好ましい。
弾性クローラ1は、多数の芯金2,2,2、1対の抗張体3,3および無端帯状のクローラ本体4により形成される。
芯金2は、金属等の硬質材料によって形成される。芯金2は、内周側から見たときに、全体として細長く略矩形の板状である(図1,2)。「内周側」とは、弾性クローラ1がクローラ式走行装置に装着されたときの内側をいう。芯金2は、その長手方向中程に、所定の間隔を有して一方の表面から突出する1対の突起部11,11を備える。突起部11,11は、クローラ式走行装置が走行するときに、クローラ式走行装置の転輪が弾性クローラ1から脱落しないように転輪を案内するためのものである。
なお、弾性クローラ1およびクローラ本体4の「周方向」とは、クローラ式走行装置に装着された弾性クローラ1が走行時に循環する方向であり、「幅方向」とは弾性クローラ1における、埋め込まれた略矩形の芯金2の長手方向と一致する方向である。以下、「周方向」、「幅方向」は特に説明がされた場合を除きこれらの方向をいうものとする。
クローラ本体4は、ゴムによって形成されている。クローラ本体4は、突起部11,11が突出する側における突起部11,11に対して幅方向外方の表面に、一定の幅を有する転輪走行帯12,12が形成されている。転輪走行帯12は、弾性クローラ1を装着す
るクローラ式走行装置が走行するときに、転輪が転動(走行)する部分である。幅方向両側の転輪走行帯12,12は、内周側から見たときに幅方向におけるそれぞれの外方端の距離D1が、芯金2の長さL1以下(D1≦L1)に設計されるのが好ましい。
長ラグ13および短ラグ14は、いずれも突出元に比べて突出端面(接地面)の幅が狭く、幅方向に直交する断面の形状が台形である(図3(a)参照)。長ラグ13は、幅方向に、一方の端から他方の端まで直線状に延びる。短ラグ14は、その接地面15が、接地側から投影したときに幅方向両側においていずれも幅方向内方から転輪走行帯12,12に重なる位置、またはこの位置よりも幅方向外方であって、かつ幅方向両側のクローラ本体4端に達する手前まで直線状に延びている。短ラグ14は、幅方向の長さが長ラグ13より短い。長ラグ13および短ラグ14の形状は、幅方向の中央に対して面対称である。
サイプ18の底の長さL2が芯金2の長さL1以上に設定されたとき、サイプ18の底の長さL2は、D1≦L1の場合、幅方向両側の転輪走行帯の外方端距離D1よりも大きい(L2≧D1)。
通常、周方向に並ぶラグ間に外方への盛り上がりを設けた場合には、盛り上がりがない場合に比べてラグ間の排土性が悪くなり、その結果トラクション性能が低下する。しかし、弾性クローラ1では、肉盛部16にサイプ18が設けられていることにより、スプロケットおよびアイドラを通過するときにサイプ18の開口側の幅W1が変化(増加(W1+Δ、Δ>0))し、同時に隣り合うサイプ18,18の間が振動することにより、ラグ(長ラグ13および短ラグ14)間で排土を促す。弾性クローラ1は、それまでに保持されたラグ間の土を、スプロケットおよびアイドラの順に(またはこれらの逆の順に)通過する二度の機会で取り除くことができ、再び接地したときに元のトラクション性能を得ることができる。
弾性クローラ1Bにおける肉盛部16Bのサイプ18Bを除く他の構成は、弾性クローラ1と同じであり、図4,5において弾性クローラ1におけると同じ符合を付し、その説明を省略する。
なお、弾性クローラ1Bは、その1対の転輪走行帯12,12におけるそれぞれの外方端の距離D1が芯金2の長さL1以下(D1≦L1)に設計されるのが好ましく、幅方向におけるサイプ18Bの底の直線長さL2と芯金2の長さL1とがL2≧L1となるように設計されるのが好ましい点で、弾性クローラ1と同じである。
また、弾性クローラ1Bは、サイプ18Bがジグザグ形状であるため、クローラ式走行装置が旋回するときにおいても排土が促される。ジグザグ形状は、直線の組み合わせ、曲線の組み合わせ、および直線と曲線との組み合わせで形成される。
弾性クローラ1Cは、その肉盛部16Cの形態を除く構成が弾性クローラ1と同じであり、図6〜8において弾性クローラ1におけると同じ符合を付し、その説明を省略する。
肉盛部16Cは、その平滑な表面部分の幅方向における範囲(幅方向の長さL2)が、芯金2の全長に重なってさらに外方に拡がる(L2≧L1)ように形成するのが好ましい。肉盛部16Cは、接地側から投影したときに、幅方向の最も外方に位置するゴム突起21C,…,21Cの突出端面が、(a)芯金2における幅方向の端よりさらに外方に位置する、(b)幅方向の端に重なる、または(c)幅方向外方において幅方向の端に接する、のいずれかに該当するように配されるのが好ましい。
図8(b)を参照して、弾性クローラ1Cは、スプロケットおよびアイドラを通過するときに周方向に隣り合うゴム突起21D,21Dの突出端における距離D2が変化(増加(D2+Δ、Δ>0))し、同時にそれぞれのゴム突起21Cが振動することによりラグ(長ラグ13および短ラグ14)間で排土を促す。弾性クローラ1Cは、排土性が良好なことから、装着するクローラ式走行装置が柔らかな地面を走行するときでも、トラクションの低下を防ぐことができる。
き排土を促す。
図9は他の弾性クローラ1Dを接地側から見た図、図10は図9におけるF−F矢視断面図である。
弾性クローラ1Dは、肉盛部16Dから外周側突出するゴム突起21Dの断面形状が正方形である点で、弾性クローラ1Cと異なる。ゴム突起21Dは、それ自体の形状が正四角柱である。ゴム突起21Dは、幅方向に12列が並び、周方向に2列が並ぶ。各列においてゴム突起21Dは真っ直ぐに並ぶ。ゴム突起21Dは、幅方向両側の最も外側の周方向に並ぶそれぞれ2つが、接地側から投影したときに幅方向において芯金2よりも外方に位置する。芯金2の幅方向外方の端は、いずれのゴム突起21Dの突出端面とも投影視において重ならない。ゴム突起21Dが芯金2の幅方向外方の端よりもさらに外側に設けられた場合には、芯金2の幅方向外方の端とゴム突起21Dの突出端面とを重ね合わせる実益が小さい。
弾性クローラ1Dは、ゴム突起21Dの形態等を除き弾性クローラ1Cと略同じであり、図9,10において弾性クローラ1Cにおけると同じ符合を付し、その説明を省略する。
ゴム突起21Dの断面形状を、正五角形、正六角形等の正多角形、矩形としてもよい。
表1は、上述した弾性クローラ1,1B,1C,1Dの排土性を、肉盛部16,16B,16C,16Dを有しない弾性クローラ7と比較したものである。
比較に用いた弾性クローラ7(比較例)は、肉盛部16,16B,16C,16Dを有しない点を除き、弾性クローラ1,1B,1C,1Dと同一の構成であり、同一の構成部分については、図11,12において、弾性クローラ1,1B,1C,1Dにおける符合と同じ符合を付す。
泥付着指数は、耕耘された田における弾性クローラ7(比較例)の泥付着量を基準値の100とし、他の弾性クローラ1,…,1D,7と走行した田との組み合わせにおける複数人による泥付着量の基準値と比較した評価を平均した。泥付着指数は、数値が小さいほど泥土の付着が少ないことを示す。
表1から、弾性クローラ1,1B,1C,1Dは、耕耘前の田および耕耘された田のいずれを走行する場合であっても、肉盛部16,16B,16C,16Dを有しない弾性クローラ7に比べて泥の付着が少なく、排土性が良好なことがわかる。
弾性クローラ1C,1Dでは、ゴム突起21C,21Dを少なくとも高さ1〜10mm、かつ互いの間隔を3〜30mmとすれば(実施例7〜12)、ゴム突起21C,21Dによる泥土の付着防止効果が得られる。
図14は他の弾性クローラ1Eを接地側から見た図である。
弾性クローラ1Eは、図6,7に示される弾性クローラ1Cにおけるゴム突起21Cの配列を変えたものである。弾性クローラ1Eでは、複数のゴム突起21C,…,21Cが、周方向には各列が真っ直ぐに並び、幅方向では隣り合う列でスパンが半分ずれた7つの列が真っ直ぐに並んでいる。
ところで、例えば、特許文献1,2に記載された、接地側から投影したときにラグと芯金とが重なる弾性クローラは、ラグと芯金とが重なる部分の剛性が高いことから、クローラ式走行装置に装着されたときに、転輪走行帯と転輪との間に挟まった小石等で芯金上のゴムが破壊されるいわゆる虫くい現象が発生しやすい。これを防止するために、周方向に隣り合う芯金の間にラグを配して周方向における剛性の高低の程度を軽減させることが考えられるが、芯金埋設部周囲のゴム量が減少するので、スプロケットおよびアイドラに弾性クローラが掛けまわったとき、芯金近傍に応力が集中し、外周側にゴム亀裂が入りやすく耐久性上の問題が生じる。
これに対して、上述した弾性クローラ1,1B,1C,1D,1Eでは、隣り合う芯金2,2間の転輪走行帯12,12の接地側には(投影したときに)必ずラグ(長ラグ13および短ラグ14)が存在し、かつ芯金2の外周投影面上表面に肉盛部16,16B,16C,16Dが形成されている。そのため、クローラ式走行装置のスプロケットまたはアイドラを通過するとき、芯金2近傍に応力が集中し、外周側にゴム亀裂が入る現象が緩和される。
上述の実施形態において、肉盛部に設けられ幅方向に延びるものであれば、直線的なサイプ18、ジグザグ状のサイプ18Bに換えて、種々の形態によるサイプを採用することができる。例えば、直線の組み合わせ、曲線の組み合わせ、または直線と曲線との組み合わせによる形状で形成されて前記幅方向にジグザグに延びた形態等である。サイプ18,18Bの数は、弾性クローラ1,1Bの大きさに応じて、または大きさとは無関係に変更することができる。
Dに換えて、種々の形状、大きさのゴム突起を採用することができ、その数および配列も種々のものを採用することができる。
その他、弾性クローラ1,1B,1C,1D,1E、および弾性クローラ1,1B,1C,1D,1Eの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
2 芯金
4 クローラ本体
12 転輪走行帯
13 長ラグ(ラグ)
14 短ラグ(ラグ)
16,16B,16C,16D 肉盛部
17 溝(ラグの直近)
18,18B サイプ(細い溝)
21C,21D ゴム突起
Claims (7)
- ゴムにより無端帯状に形成されたクローラ本体と、
前記クローラ本体の周方向に間隔を有して前記クローラ本体に埋め込まれた複数の芯金と、
前記クローラ本体の外周側表面から突出し前記周方向に間隔を有する複数のラグと、を備え、
前記クローラ本体は、その内周側表面に前記周方向に延びる、クローラ式走行装置の転輪が走行する1対の転輪走行帯を備え、
前記芯金は、内周側から外周側に投影したとき、前記周方向に隣り合う前記ラグの間に配され、
前記ラグは、外周側から内周側に投影したとき、隣り合う前記芯金の間において前記転輪走行帯に重なり、
前記外周側表面の前記周方向に隣り合う前記ラグの間には、前記クローラ本体の幅方向両側に延びた、前記クローラ本体に連続し当該隣り合う前記ラグの直近に比べて前記外周側に盛り上がる肉盛部が設けられ、
前記肉盛部は、その表面に、全体として前記クローラ本体の幅方向に延びた溝であるサイプ、または前記外周側に突出する複数のゴム突起を備えた
ことを特徴とする弾性クローラ。 - 前記肉盛部は、外周側から内周側に投影したとき、前記幅方向においてその両端のいずれも前記芯金の両端よりも外方に位置する
請求項1に記載の弾性クローラ。 - 前記サイプが、前記幅方向において前記肉盛部の一方端から他方端まで延びた
請求項1または請求項2に記載の弾性クローラ。 - 前記サイプが、前記幅方向に真っ直ぐ延びたものである
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の弾性クローラ。 - 前記サイプが、直線の組み合わせ、曲線の組み合わせ、または直線と曲線との組み合わせによる形状で形成されて前記幅方向にジグザグに延びたものである
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の弾性クローラ。 - 複数の前記ゴム突起が、前記周方向および前記幅方向のいずれにも複数列並ぶ
請求項1または請求項2に記載の弾性クローラ。 - 前記ゴム突起が、円形、楕円形、長円形、または多角形の断面形状を有する
請求項1、請求項2および請求項6のいずれか1項に記載の弾性クローラ。
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