JP4157863B2 - 弾性クローラ - Google Patents

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Description

本発明は、各種のクローラ走行装置に使用される弾性クローラに関する。
クローラ走行装置はコンバイン等の農業機械、バックホー等の建設作業機械等に幅広く用いられている。これらのクローラ走行装置には無端状の弾性クローラが装着され、この弾性クローラは、周方向において一定間隔おきに並ぶ複数の駆動突起が内周面に形成されたクローラ本体と、このクローラ本体の外周面に所定のラグパターンで形成されたラグ群と、クローラ本体の内部に周方向に沿って埋設された抗張体とを備えている。上記ラグをクローラ本体に形成する配列に関しては、例えば図9(a)に示すように、ラグの長さを長短変化させてその長さの長いラグと短いラグとが千鳥状に配列されたものや、図9(b)に示すように、中途部で屈曲させた単一の屈曲ラグが配列されたもの等、種々の配列パターンが採用されている。さらに、トラクション性能の向上、ラグ間の排泥性の向上のために、図9(c)に示すように、回転方向前方側に凸となる山形状に形成された中央部と回転方向後方側に凸となる湾曲状に形成された側部とで構成されたラグが配列されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−98898号公報
しかしながら、図9(a)に示した長短のラグを備える弾性クローラでは、周方向において、長ラグ、長ラグ、小ラグ、小ラグ、・・・といった周期が生じており、長ラグから次ぎの長ラグまでの間隔が長く、駆動突起の左右を転動する転輪が、長ラグから長ラグへ移るまでに、短ラグの周方向領域を必ず越えていかなければならない。その一方で、長ラグの周辺部と短ラグの周辺部との間には、クローラ本体の剛性差が存在する。したがって、上記転輪が、長ラグ領域、短ラグ領域を周期的に越えていくことで、これらの剛性差により、当該転輪の下方への落ち込み量の差が生じ、転輪の上下動となる。そして、この転輪の上下動が、クローラ走行装置の振動源となる。また、図9(b)や図9(c)に示した屈曲ラグ、湾曲ラグを備える弾性クローラでは、上記のような長短のラグの剛性差はないものの、隣接する当該屈曲ラグ間、湾曲ラグ間に広い隙間が存在する。左右ラグに少しでもまたがった芯金等の幅方向補強体がある場合、転輪が片方のラグにくることで当該芯金を介して両側のラグで支えることとなり転輪の落ち込みは少ないが、同弾性クローラには幅方向補強体(芯金)がないので、前記隙間に転輪がくると転輪の下方への落ち込みが生じる。したがって、上記と同様にこれがクローラ走行装置の振動源となる。上述のように発生した振動源は、弾性クローラ走行装置を装備した作業機械に伝播し、乗り心地が悪くなるという問題があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、クローラ走行装置の振動を抑制し、乗り心地を向上することができる弾性クローラを得ることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、周方向において一定間隔おきに並ぶ複数の駆動突起が内周面に形成されたクローラ本体と、このクローラ本体の外周面に所定のラグパターンで形成されたラグ群と、前記クローラ本体の内部に周方向に沿って埋設された抗張体と、を備えている弾性クローラにおいて、前記ラグ群は、周方向において所定間隔おきに千鳥状に配置された複数のメインラグと、このメインラグよりも幅方向に短く、周方向で隣接する前記メインラグ間において転輪接地領域の幅方向中央部の左右両側に配置され、且つ、周方向で互いにずれた状態で配置された複数の補助ラグとから構成され、これらメインラグと補助ラグとが、クローラ本体の周期的な剛性差が生じないように周方向で交互に配置され
前記各メインラグが、前記クローラ本体の幅方向一方の縁部から前記駆動突起の形成領域を幅方向に超えて幅方向他方側へ延び、同幅方向他方側の他のメインラグとこれに周方向で隣接する補助ラグとの間に配置されていることを特徴とする。
上記本発明の弾性クローラによれば、千鳥状のメインラグとこのメインラグ間で周方向に互いにずれた状態の補助ラグとが、クローラ本体の周期的な剛性差が生じないように周方向で交互に配置されているので、メインラグ間の隙間が補助ラグで補強されて、クローラ本体の周期的な剛性差がなくなる。したがって、駆動突起の左右を転動する転輪が、従来のように剛性の高い領域、剛性の低い領域を周期的に移っていくようなことがなく、転輪の上下動(転輪の変位差)が低減される。これにより、クローラ走行装置の振動源がなくなり、乗り心地を向上することができる。また、メインラグ間に補助ラグが存在することから、メインラグ間の隙間に石等の突起部が入り難く、当該メインラグ間におけるクローラ本体の外周面の損傷を防止することができる。さらに、メインラグの存在により軟弱地における牽引性能を損なうことがない。
上記ラグの配置には、横一文字に配置されたものなどがあるが、メインラグ及び補助ラグのうち少なくとも一方が、クローラ本体の幅方向外側に向かうに従ってクローラ回転方向後方に傾斜していることが好ましい。この場合、弾性クローラの幅方向外側への排土性が発揮されることになるので、トラクション性能と排土性とが両立したバランスの良い走行性能を達成することができる。また、メインラグと補助ラグとを異なる角度で傾斜させれば、ラグ間に詰まった泥土がより排出され易くなり排土性を向上することができる。
上記の本発明において、メインラグが、駆動突起の形成領域をクローラ本体の幅方向で跨ぐように配置されていることが好ましく、この場合メインラグ周辺のクローラ本体の剛性が大きくなることから、牽引性能が向上する。また、メインラグが、駆動突起の両側にくる転輪の転輪接地領域と重なり合うように配置されていることで、転輪がメインラグの上を通過することになり、転輪の下方への落ち込みが少なくなり当該転輪の上下動が低減され、上記振動の抑制効果が大きくなる。
上記の本発明において、メインラグが、隣接する補助ラグとクローラ本体の幅方向で重なり合うように配置された弾性クローラとすることで、メインラグのクローラ本体の幅方向対称位置に補助ラグが存在し、クローラ本体の幅方向の剛性差が少なくなることから、左右の転輪の上下動の差が減少し振動の抑制効果が高まる。さらに、メインラグをクローラ本体の幅方向中央部において隣接する他のメインラグと周方向で重なるように配置してもよく、この場合には転輪がメインラグ上を通過した際の転輪の下方への力が、クローラ本体の幅方向へより広く分散される。これにより、転輪の上下動が減少することから振動がさらに抑制される。
また、上記の本発明において、メインラグ及び補助ラグのうち少なくとも一方が、周方向に向かって延設された突出部を有するとともに、周方向で隣接するメインラグと補助ラグとの対向壁面間が、前記クローラ本体の幅方向外側に向かうに従って広がっていることが好ましい。この場合、メインラグ、補助ラグのうち少なくとも一方に周方向に向かって延設された突出部が設けられているので、振動が低減され、又メインラグの先端部の耐摩耗向上にもなり、さらに周方向で隣接するメインラグと補助ラグとの対向壁面間が、クローラ本体の幅方向外側に向かうに従って広がっているので、高い排土性を得ることができる。
また、メインラグ及び補助ラグが、転輪接地領域と重なり合い、かつ、周方向で隣接するメインラグと補助ラグとは、転輪接地領域において互いに幅方向で重なり合うように配置されていることが好ましい。このようにすることで、転輪接地領域において、メインラグと補助ラグとが、周方向に連続して転輪を支承し続けることができるので、転輪の下方への落ち込みが極めて少なくなり振動の発生を効果的に抑制することができる。
上記の通り、本発明によれば、クローラ本体の周期的な剛性差が生じないようにして転輪の上下動を低減したので、クローラ走行装置の振動が抑制され、乗り心地を向上することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。図1、図2は、本発明の第一実施形態に係る弾性クローラ1を示し、図3は、この弾性クローラ1を用いたクローラ式走行装置2を示している。図3に示すように、この場合のクローラ走行装置2は、農業機械や建設作業機械等に使用されるもので、走行機体の前後に設けられたスプロケット3、アイドラ4、及びこれらスプロケット3とアイドラ4との間に列設された複数の転輪5で構成される車輪群と、これら車輪に巻き掛けられた弾性クローラ1とで構成されている。
図2に示すように、本実施形態の弾性クローラ1は、幅方向に延びる芯金(補強体)が入っていない芯金レスとして構成されたものであり、複数の駆動突起6が形成されたクローラ本体7と、このクローラ本体7の外周面7aに所定のラグパターンで形成されたラグ群Rと、同クローラ本体7の内部に周方向に沿って埋設された抗張体26(メインスチールコード)とを備えている。さらに、この弾性クローラ1は、上記抗張体26の内周面側において駆動突起6の左右両側の転輪軌道に沿うように埋設された補強層27と、上記抗張体の接地側に埋設された二層のバイアススチールコードからなる補強コード28とを備えている。
このうち、クローラ本体7は、ゴム製の弾性体によってほぼ一定厚さの無端帯状に形成されており、このクローラ本体7の内周面7bにおける幅方向(図1の左右方向)中央部に、当該クローラ本体7よりも硬度の高いゴム製の弾性体からなる上記駆動突起6が突設されている。この駆動突起6は、周方向に一定間隔をおいてクローラ本体1の全周に渡って設けられており、この各駆動突起6に上記スプロケット3を係合させることにより、弾性クローラ1を回転方向Xに沿って駆動できるようになっている。また、抗張体は、周方向に沿って延設されたスチールコード等よりなるものである。クローラ走行装置2の転輪5は、クローラ本体7の幅方向に一定間隔をおいて同軸心状に一体化された左右一対の円形車輪部5A,5Aを有しており、この両車輪部5A,5Aは、その間で駆動突起6を跨いだ状態でクローラ本体7の内周面7bに当接するようになっている。なお、駆動突起7の内部に、硬質樹脂製又は金属製の補強部材を埋設することにしてもよい。
図1に示すように、本実施形態のラグ群Rは、周方向において所定間隔おきに千鳥状に配置されたメインラグ10と、周方向で隣接する当該メインラグ10間において、転輪接地領域Tの幅方向中央部の左右両側に配置され、周方向で互いにずれた状態で配置された補助ラグ11とから構成されている。上記メインラグ10は、クローラ本体7の縁部から同中央部を越えたところまで延びており、補助ラグ11は、クローラ本体7の縁部から同中央部の手前まで延びている。メインラグ10及び補助ラグ11は、それぞれ周方向に等ピッチで設けられており、このうち補助ラグ11は、当該補助ラグ11の回転方向後方側で隣接したメインラグ10よりも、当該補助ラグ11の回転方向前方側で隣接したメインラグ10の方へ寄ったところに配置されている。そして、このように配置されたメインラグ10と補助ラグ11とで、クローラ本体1の周期的な剛性差が生じないようになっている。また、クローラ本体7の外周面7aにおいて、メインラグ10が占める面積をA、補助ラグ11が占める面積をBとした場合、これらメインラグ10と補助ラグ11とは、0.3<B/A<0.8となるように構成されている。
なお、本実施形態の上記メインラグ10及び補助ラグ11は、それぞれ周方向に等ピッチで配置しているが、これらを周方向に異なるピッチでも配置してもよい。メインラグ(補助ラグ)を異なるピッチで配置するとは、あるメインラグ(補助ラグ)間の間隔と、その次のメインラグ(補助ラグ)間の間隔を変えることをいう。この場合、メインラグ間に設ける補助ラグは、当該メインラグとの関係において、クローラ本体の周期的な剛性差が生じないように設けられる。
このように、千鳥状のメインラグ10とこのメインラグ10間で周方向に互いにずれた状態の補助ラグ11とが、クローラ本体7の剛性差が生じないように周方向で交互に配置されているので、メインラグ10間の隙間Sが補助ラグ11で補強されて、クローラ本体7の周方向における周期的な剛性差が無くなる。したがって、駆動突起6の左右を転動する転輪5が、従来のように剛性の高い領域、剛性の低い領域を周期的に移っていくようなことがなく、転輪5の上下動(転輪5の変位差)が低減される。これにより、クローラ走行装置2の振動源がなくなり、乗り心地を向上することができる。
さらに、メインラグ10間に補助ラグ11が存在することから、メインラグ10間の隙間Sに石等の突起物が入り難く、当該メインラグ10間におけるクローラ本体7の外周面7aの損傷を防止することができる。すなわち、従来技術の弾性クローラでは、転輪のエッジ部による応力集中で突起乗り上げ時にゴムが伸ばされ、カット傷を受けるが、本実施形態の弾性クローラ1では、補助ラグ11があるのでこれを防ぐことができる。また、クローラ本体7の端部から中央部を越えるとこまで延びたメインラグ10の存在により軟弱地における牽引性能を損なうことがない。
図1に示すようにメインラグ10及び補助ラグ11は、クローラ本体7の幅方向外側に向かうに従って回転方向X後方に傾斜している。このように傾斜したメインラグ10及び補助ラグ11によって、弾性クローラの幅方向外側への排土性が発揮されることになるので、トラクション性能と排土性とが両立したバランスの良い走行性能を達成することができる。なお、メインラグ10と補助ラグ11とを異なる角度で傾斜させてもよく、この場合、メインラグ10と補助ラグとの間の泥土が排出され易くなり排土性を向上することができる。
また、図1に示すように、メインラグ10が、駆動突起6の形成領域をクローラ本体7の幅方向で跨ぐように配置されており、これによってメインラグ10周辺のクローラ本体7の剛性が大きくなることから、牽引性能がさらに向上する。当該メインラグ10が、駆動突起6の両側にくる転輪5A、5Aの転輪接地領域Tと重なり合うように配置されており、このことから当該転輪5A,5Aがメインラグ10上を通過することになるので、転輪5A,5Aの下方への落ち込みが少なくなる。これにより、転輪5A、5Aの上下動がさらに低減され、振動の抑制効果が大きくなっている。
また、メインラグ10の一端部から他端部に亘る周方向範囲に、このメインラグ10のクローラ本体の幅方向対称位置にある補助ラグ11全体が入っている。このように、メインラグ10とこれに隣接する補助ラグ11とが、クローラ本体7の幅方向で重なるように配置されていることから、クローラ本体7の幅方向における剛性差が少なくなり、左右の転輪5A、5Aの変位差が減少する。これにより、振動の抑制効果をさらに高めることができる。また、メインラグ10が、クローラ本体7の幅方向中央部において周方向で重なるように配置されており、転輪の下方への力がクローラ本体7の幅方向へより広く分散される。これにより、クローラ本体7の剛性が平準化されて振動を低く抑えることができる。さらに、メインラグ10及び補助ラグ11のクローラ本体の幅方向中央部側の端部に、それぞれ周方向(回転方向前方)へ向かって延設された突出部12、13が形成されており、振動が低減されると共に、メインラグ10の先端部の耐摩耗が向上する。
図4は、参考例を示している。本参考例が上記第1実施形態と異なる主な点は、メインラグ15がクローラ本体7の幅方向中央部を越えないような長さで形成されており、このメインラグ15間に配置されている補助ラグ16の形状が上記第1実施形態の補助ラグ11とは異なっている点である。左右のメインラグ15は、それぞれ等ピッチで千鳥状に配置されており、隣接するメインラグ15間の補助ラグ16も同様に、等ピッチで千鳥状に配置されている。なお、メインラグ15の端部には周方向(回転方向前方)に向かって突出した突出部17が形成されているが、補助ラグ16にはこのような突出部は形成されていない。メインラグ15と回転方向前方で隣接する補助ラグ16とを1ブロックとすると、当該メインラグ15及び補助ラグ16は、当該1ブロックが、周方向に等ピッチで千鳥状となるように配置されており、周方向でクローラ本体7の剛性差が生じないようになっている。したがって、第1実施形態と同様に、転輪5の上下動が低減されてクローラ走行装置2の振動が抑制される。
図5は、本発明に係る第実施形態を示している。本実施形態が上記第1実施形態と異なる主な点は、メインラグ18と補助ラグ19の各端部に形成された突出部20、21が、周方向で互いに向き合うようにして設けられている点である。すなわち、メインラグ18の突出部20は、その端部から回転方向前方に向いて突出しており、補助ラグ19の突出部21は、その端部からラ回転方向後方に向いて突出している。また、当該メインラグ18と補助ラグ19との対向壁面18a、19aが、クローラ本体7の幅方向外側に向かうに従って広がっている。すなわち、補助ラグ19の一端部(クローラ本体の幅方向外側)の壁面19aからメインラグ18の壁面18aまでの周方向距離L1が、補助ラグ19の他端部に形成された突出部21の根本部壁面19aからメインラグ18の壁面18aまでの周方向距離L2よりも長くなっている。これにより、メインラグ18と補助ラグ19との間に入った泥土が排出され易くなることから、高い排土性を得ることができる。
なお、上記各実施形態に限定するものではなく、例えばラグを図6に示すような配置で設けてもよい。図6に示す弾性クローラ1では、クローラ本体7の内周面7bを転動する転輪5の転輪接地領域Tがクローラ本体7の片方(図6の左側:クローラ走行装置2の内側あるいは外側)に寄っており、メインラグ22及び補助ラグ23が、この転輪接地領域Tに対応するように配置されている。なお、当該転輪5は、クローラ本体7の内周面7bの幅方向片側に寄ったところに設けられた駆動突起部6を跨ぐように構成されたものである。また、メインラグ22は、クローラ本体7の幅方向の一端部の近傍から他端部の近傍に亘って形成された大ラグ22Aと、周方向で前記大ラグ22A間に配置されかつ前記一端部の近傍からクローラ本体中央部を少し越えるところまで形成された小ラグ22Bとからなっている。
そして、これら大、小ラグ22A、22Bは、千鳥状に配置されており、ともにクローラ本体7の外側に向かうに従って回転方向後方に傾斜している。これら大、小ラグ22A、22Bは、それぞれその端部に周方向(回転方向前方)に向かう突出部24、25を有している。大ラグ22Aと小ラグ22Bとの間の補助ラグ23は、クローラ本体7の幅方向中央部に配置された第1補助ラグ23Aと、クローラ本体7の縁部に配置された第2ラグ23Bとからなっている。このうち、第1補助ラグ23Aは、その長手方向中央部から両端部に向かうに従って窄まっており、第2補助ラグ23Bは、その長手方向中央部からクローラ本体7の幅方向におけるクローラ本体7の中央部側へ向かうに従って窄まり、かつ同中央部からクローラ本体7の縁部側へ直線的に延びている。また第1、第2補助ラグ23A、23Bは、それぞれ周方向に等ピッチで配置されている。そして、ラグ群Rは、図6に示すように大ラグ22A、第2補助ラグ23B、小ラグ22B、第1補助ラグ23A、・・という順番で配置されており、クローラ本体7の周方向における剛性差をなくしている。これにより、転輪5が通過する際の当該転輪5の上下動が低減されることから、本実施形態のような転輪5配置とした場合であっても、クローラ走行装置2の振動を効果的に抑制することができる。
また、例えば上記各実施形態のメインラグ及び補助ラグが、転輪接地領域と重なり合い、かつ、転輪接地領域で周方向に連続するように(隙間のないように)配置された弾性クローラとすれば、メインラグ及び補助ラグが、転輪接地領域において転輪を支承し続けることができる。これにより、転輪の下方への落ち込みが極めて少なくなり、クローラ走行装置の振動を極めて効果的に抑制することができる。なお、メインラグ、補助ラグの形状、配置は、上記各実施形態に限定するものではない。さらに、例えば図7や図8に示すように、クローラ走行装置40、50は、駆動輪である上部中央に配置されたスプロケット41、51と、前後一対のアイドラ42、52と、このアイドラ42,52間に列設された複数の転輪43,53との外周に上記弾性クローラ1を巻き掛けることによって構成してもよい。
第1実施形態の弾性クローラを接地側からみた平面図である。 同弾性クローラの幅方向断面図である。 クローラ走行装置の側面図である。 参考例の弾性クローラを接地側からみた平面図である。 実施形態の弾性クローラを接地側からみた平面図である。 他の実施形態の弾性クローラを接地側からみた平面図である。 他のクローラ走行装置の側面図である。 他のクローラ走行装置の側面図である。 (a)、(b)、(c)は、それぞれ従来の弾性クローラを接地側からみた平面図である。
符号の説明
1 弾性クローラ
5 転輪
6 駆動突起
7 クローラ本体
10 メインラグ
11 補助ラグ
12 突出部
T 転輪接地領域
X 回転方向

Claims (8)

  1. 周方向において一定間隔おきに並ぶ複数の駆動突起が内周面に形成されたクローラ本体と、このクローラ本体の外周面に所定のラグパターンで形成されたラグ群と、前記クローラ本体の内部に周方向に沿って埋設された抗張体と、を備えている弾性クローラにおいて、前記ラグ群は、周方向において所定間隔おきに千鳥状に配置された複数のメインラグと、このメインラグよりも幅方向に短く、周方向で隣接する前記メインラグ間において転輪接地領域の幅方向中央部の左右両側に配置され、且つ、周方向で互いにずれた状態で配置された複数の補助ラグとから構成され、これらメインラグと補助ラグとが、クローラ本体の周期的な剛性差が生じないように周方向で交互に配置され
    前記各メインラグが、前記クローラ本体の幅方向一方の縁部から前記駆動突起の形成領域を幅方向に超えて幅方向他方側へ延び、同幅方向他方側の他のメインラグとこれに周方向で隣接する補助ラグとの間に配置されていることを特徴とする弾性クローラ。
  2. 前記メインラグ及び前記補助ラグのうち少なくとも一方が、前記クローラ本体の幅方向外側に向かうに従ってクローラ回転方向後方に傾斜している請求項1に記載の弾性クローラ。
  3. 前記メインラグと前記補助ラグとは、異なる角度で傾斜している請求項2に記載の弾性クローラ。
  4. 前記メインラグが、前記転輪接地領域と重なり合うように配置されている請求項1〜3のいずれかに記載の弾性クローラ。
  5. 前記メインラグが、隣接する前記補助ラグと前記クローラ本体の幅方向で重なり合うように配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の弾性クローラ。
  6. 前記メインラグが、隣接する他のメインラグと前記クローラ本体の幅方向中央部近傍において周方向で重なり合うように配置されている請求項1〜5のいずれかに記載の弾性クローラ。
  7. 前記メインラグ及び前記補助ラグのうち少なくとも一方が、周方向に向かって延設された突出部を有するとともに、周方向で隣接するメインラグと補助ラグとの対向壁面間が、前記クローラ本体の幅方向外側に向かうに従って広がっている請求項1〜6のいずれかに記載の弾性クローラ。
  8. 前記メインラグ及び前記補助ラグが、前記転輪接地領域と重なり合い、かつ、周方向で隣接するメインラグと補助ラグとは、前記転輪接地領域において互いに幅方向で重なり合うように配置されている請求項1〜7のいずれかに記載の弾性クローラ。
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