JP2014117190A - 浮遊細胞培養のための装置、モジュール及び方法 - Google Patents

浮遊細胞培養のための装置、モジュール及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014117190A
JP2014117190A JP2012272462A JP2012272462A JP2014117190A JP 2014117190 A JP2014117190 A JP 2014117190A JP 2012272462 A JP2012272462 A JP 2012272462A JP 2012272462 A JP2012272462 A JP 2012272462A JP 2014117190 A JP2014117190 A JP 2014117190A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
solution
fiber membrane
permeable hollow
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012272462A
Other languages
English (en)
Inventor
Nozomi Shibuya
望 渋谷
Kazuo Morishita
和男 森下
Tatsunobu Fukushima
達伸 福島
Koji Kusaka
孝司 日下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP2012272462A priority Critical patent/JP2014117190A/ja
Publication of JP2014117190A publication Critical patent/JP2014117190A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

【課題】浮遊細胞を効率的に高密度で培養するための技術の提供。
【解決手段】ガス透過性中空糸膜及び溶液透過性中空糸膜が配設された培養領域と、前記ガス透過性中空糸膜の端部が集結されてなるガス導入口と、前記溶液透過性中空糸膜の端部が集結されてなる溶液導入口と、を備えた細胞培養用モジュールと、前記ガス導入口に空気を連続的に供給可能なガス供給部と、前記溶液導入口に培地を連続的に供給可能な培地供給部と、を含んでなる浮遊細胞培養装置を提供する。この浮遊細胞培養装置では、前記ガス供給部及び前記培地供給部により前記ガス透過性中空糸膜及び前記溶液透過性中空糸膜を介して前記培養領域に空気と培地を連続供給することで、浮遊細胞を効率的に高密度で培養できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、浮遊細胞培養のための装置、モジュール及び方法に関する。より詳しくは、浮遊細胞を効率的に高密度で培養するための装置等に関する。
培養細胞を用いた薬理効果、毒性、安全性等の評価試験系は、動物実験に代替する試験方法として重要である。しかしながら、細胞、特に初代細胞を生体外で長期間培養することは必ずしも容易ではない。また、培養細胞を用いた評価試験系では、生体内と同様の機能を保持した細胞を用いる必要があるが、本来の機能を維持しつつ細胞を効率よく分化増殖させることも容易ではない。
生体外で細胞を効率的に培養するためには、培養細胞に栄養と空気(酸素)を補給する必要がある。そのための技術としては、従来から中空糸膜を用いて培養液を供給・排出する方法が知られている(特許文献1〜3)。
本発明者らは、接着系細胞を生体外で効率的に培養するため、メッシュ状に配置した中空糸膜と、足場材料となるナノファイバー層とを組み合わせた細胞培養用モジュールを開発している(特許文献4〜7)。このモジュールでは、ナノオーダーの繊維径を有するナノファイバー層が生体内類似の環境を創出し、中空糸膜が該環境に培地(培養液)と空気(酸素)を補給するとともに、培養細胞からの代謝老廃物の除去を行う。
一方、非接着系細胞の培養は、従来、シャーレやフラスコなどの容器を用いた浮遊培養によって行われている。
特開平4−341176号公報 特開2004−166717号公報 特開2000−189189号公報 特開2009−100号公報 特開2010−148496号公報 特開2010−148497号公報 特開2011−239756号公報
シャーレやフラスコを用いた、中空糸膜を使用しない従来の浮遊細胞培養では、培地交換を頻繁に行う必要があり、培地交換の際のコンタミネーションを引き起こすおそれもある。また、従来の浮遊細胞培養では、細胞の変質を引き起こすことなく安定的に高密度な培養を行うことが難しかった。
上記課題解決のため、本発明は、ガス透過性中空糸膜及び溶液透過性中空糸膜が配設された培養領域と、前記ガス透過性中空糸膜の端部が集結されてなるガス導入口と、前記溶液透過性中空糸膜の端部が集結されてなる溶液導入口と、を備えた細胞培養用モジュールと、前記ガス導入口に空気を連続的に供給可能なガス供給部と、前記溶液導入口に培地を連続的に供給可能な培地供給部と、を含んでなる浮遊細胞培養装置を提供する。
この浮遊細胞培養装置では、前記ガス供給部及び前記培地供給部により前記ガス透過性中空糸膜及び前記溶液透過性中空糸膜を介して前記培養領域に空気と培地を連続供給することで、浮遊細胞を効率的に高密度で培養できる。
この浮遊細胞培養装置は、前記細胞培養用モジュールが、前記溶液導入口と反対側の前記溶液透過性中空糸膜の端部が集結されてなる溶液排出口を備え、前記培地供給部が、前記溶液導入口から導入され前記溶液排出口から排出される前記培地を、前記溶液導入口に再供給するよう構成されることが好ましい。
この浮遊細胞培養装置は、前記細胞培養用モジュールの振とう装置と連設されることが好ましい。さらに、前記培養領域において、前記ガス透過性中空糸膜及び/又は前記溶液透過性中空糸膜が、前記培地の撹拌を促進するように固定されていることが好ましい。
また、本発明は、ガス透過性中空糸膜及び溶液透過性中空糸膜が配設された培養領域を備え、該培養領域内において、前記ガス透過性中空糸膜及び/又は前記溶液透過性中空糸膜が、前記培地の撹拌を促進するように固定されている浮遊細胞培養用モジュールを提供する。
この浮遊細胞培養用モジュールでは、培養領域内において培地が効率的に撹拌されるため、細胞の変性や壊死を防止して、高密度な培養を行うことができる。
さらに、本発明は、ガス透過性中空糸膜及び溶液透過性中空糸膜が配設され、浮遊細胞が導入された培養領域と、前記ガス透過性中空糸膜の端部が集結されてなるガス導入口と、前記溶液透過性中空糸膜の端部が集結されてなる溶液導入口と、を備えた細胞培養用モジュールの前記ガス導入口と前記溶液導入口にそれぞれ空気と培地を連続的に供給する手順を含む、浮遊細胞培養方法をも提供する。
この浮遊細胞培養方法では、前記手順において、前記溶液導入口から導入され、前記溶液導入口と反対側の前記溶液透過性中空糸膜の端部が集結されてなる溶液排出口から排出される前記溶媒を、前記溶液導入口に再供給して循環させることが好ましい。また、前記手順において、前記培養領域中に気層を維持することが好ましい。
本発明において、培養対象となる「細胞」は、非接着系細胞(浮遊細胞)あるいは浮遊化された接着系細胞であれば特に限定されない。シングルセルのまま増殖する細胞でも、スフェロイド化して増殖する細胞でもよい。例えば、血球由来である、赤血球、白血球、造血幹細胞等;チャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO細胞)、心筋細胞、iPS細胞、軟骨細胞などが挙げられる。細胞の由来種も限定されない。また、培養に用いられる「培地」は、細胞の種類に応じて決定され、当該細胞の培養液として通常用いられるものであればよい。
本発明により、浮遊細胞を効率的に高密度で培養するための技術が提供される。
本発明の第一実施形態に係る浮遊細胞培養装置の構成を説明する模式図である。 本発明の第一実施形態に係る浮遊細胞培養装置の細胞培養用モジュール1aの構成を説明する模式図である。 本発明の第二実施形態に係る浮遊細胞培養装置の細胞培養用モジュール1bの構成を説明する模式図である。 浮遊細胞培養実験の結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
1.第一実施形態に係る浮遊細胞培養装置
図1は、本発明の第一実施形態に係る浮遊細胞培養装置の構成を説明する模式図である。浮遊細胞培養装置は、細胞培養用モジュール1、培地供給部21及びガス供給部31を含んでなる。また、浮遊細胞培養装置は、細胞培養用モジュール1を振とうし、細胞培養用モジュール1内の培地を撹拌する振とう装置(不図示)を含む。図2は、本発明の第一実施形態に係る浮遊細胞培養装置の細胞培養用モジュール1(1a)の構成を説明する模式図である。
(1)細胞培養用モジュール
細胞培養用モジュール1aは、細胞培養の場となり、液密な空間とされた培養領域11と、培養領域11に配設された溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145とを含んでなる。溶液透過性中空糸膜123は、培養領域11への培地の供給路及び排出路となる。溶液透過性中空糸膜123の一端は、集結されて溶液導入口12を形成している。また、溶液透過性中空糸膜123のもう一端は、集結されて溶液排出口13を形成している。ガス透過性中空糸膜145は、培養領域11への酸素を含む空気の供給路となる。ガス透過性中空糸膜145の一端は、集結されてガス導入口14を形成している。また、ガス透過性中空糸膜145のもう一端は、集結されてガス排出口15を形成している。図2中符号16は、培養領域11内への培養細胞の導入口である。
[溶液透過性中空糸膜の特徴]
溶液透過性中空糸膜123には、精密ろ過膜、限外ろ過膜等を使用できる。溶液透過性中空糸膜123は、培養領域11において、供給された培地に接触し得る位置、好ましくは培地内に浸漬され得る位置に配設される。
溶液透過性中空糸膜123を構成する基材ポリマーは、中空糸膜状に成形できるものであればよい。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスルフォン、ポリアリルスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテート、ポリフッ化ビニリデン、これらの2種類以上を混合した混合物等が挙げられる。
溶液透過性中空糸膜123として物質選択透過性を有する中空糸膜を用いることにより、特定の物質を細胞に供給でき、化学物質及び薬物等の被験物質を細胞に効率的に供給できる。また、物質選択透過性を有する中空糸膜を用いることにより、特定の代謝老廃物を細胞から除去でき、老廃物や代謝物を系外に排出させてモニタリングすることが可能となる。物質選択透過性を有する中空糸膜としては、上述の精密ろ過膜や限外ろ過膜を用いることができ、さらに膜素材そのものに物質選択透過性を有する中空糸膜や、中空部分に選択透過性を有する物質が充填された多孔質中空糸膜を挙げることができる。
[ガス透過性中空糸膜の特徴]
ガス透過性中空糸膜145には、ガス分離膜等を使用できる。ガス透過性中空糸膜145は、培養領域11において、溶液透過性中空糸膜123により供給された培地に接触し得る位置、好ましくは培地内に浸漬され得る位置に配設される。
ガス透過性中空糸膜145を構成する基材ポリマーは、溶液透過性中空糸膜123と同様であってよい。
ガス透過性中空糸膜145としてガス分離膜を用いることにより、細胞に空気、酸素及びその他のガス(以下、これらを総称して単に「空気」という)を効率的かつ選択的に供給できる。ガス供給は多孔質中空糸膜を用いて行ってもよく、この場合、ガス分離機能を有する非多孔性の膜基材を、多孔性の膜基材で支持した中空糸膜が好ましい。上述のような中空糸膜は、例えば、特公平3−44811に記載の方法で得ることができる。
多孔質中空糸膜を用いる場合、培地中に気泡を発生させることなく空気を供給できるような孔径(ポアサイズ)のものを使用することが好ましい。培地中で気泡が発生すると細胞が障害されるおそれがあるためである。十分にポアサイズが小さい多孔質中空糸膜を用いてバブルレスに空気の供給を行うことで、細胞の変性や壊死を抑制でき、また培地が中空糸膜の中空に入り込んでこれを閉塞することも防止できる。
[溶液透過性中空糸膜・ガス透過性中空糸膜の共通事項]
溶液透過性中空糸膜123同士及びガス透過性中空糸膜145同士の間隔は、1μm〜2000μmとされる。該間隔は、好ましくは10μm〜500μm、より好ましくは20μm〜300μmとされる。溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145を上記の所定間隔で配置することにより、中空糸膜間に培地の流れを生じさせることができる。そして、これによって、細胞への培地及び空気の供給効率を高めるとともに、振とう装置による培地の撹拌効果を高めることができる。
溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145の本数は、細胞へ十分な培地及び空気を供給するため、培養領域11に供給される培地の液量10mlあたり長さ1cm〜15cmの中空糸膜が10本〜100本とされる。中空糸膜の本数は、好ましくは培養液量10mlあたり長さ3cm〜12cmの中空糸膜が20本〜100本、より好ましくは長さ5cm〜10cmの中空糸膜が50本〜100本とされる。
溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145は、一方向に中空糸膜を上記の間隔及び本数で平行に配置した束状(バンドル状)のものとできる。また、溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145は、複数の中空糸膜を格子状(メッシュ状)に配置したものであってもよい。メッシュの形態としては、例えば、一方向に中空糸膜を上記の間隔及び本数で平行に配置したシートに、直行方向に中空糸膜を同様に配置したシートを積層したものが挙げられる。メッシュを構成するシートの層数は、特に制限されず、例えば2層〜10層とされる。
溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145の外径は、50μm〜3000μmが好ましく、100μm〜2000μmがより好ましい。外径が50μm以上であれば、充分な大きさの中空部分を確保できる。このため、液体及び気体を送流する際の差圧を小さくでき、培地及び空気の供給あるいは代謝老廃物の除去等を充分に行うことができる。また、外径が3000μm以下であれば、単位体積あたりの中空糸膜の表面積をより大きくすることができる。このため、細胞への培地及び空気の供給を効率的に行うことができる。
溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145の内径は、10μm〜2995μmが好ましい。
溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145の膜厚は、5μm〜500μmが好ましい。膜厚が5μm以上であれば、液体及び気体を送流する際の加圧によって中空糸膜が破壊されることを防止しやすい。また、膜厚が500μm以下であれば、ろ過抵抗が小さくなるため、培地及び空気の供給あるいは代謝老廃物の除去等の効率が向上する。なお、ガス透過性中空糸膜145を多層膜とする場合、膜厚は、各層の膜厚の総和(全層の膜厚)である。
溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145は、親水化処理されていることが好ましい。中空糸膜を親水化処理することにより、細胞への培地等の液体成分の供給が容易になり、また中空糸膜表面への細胞接着の抑制も容易になる。中空糸膜を親水化処理する方法としては、例えば、中空糸膜をエチレン−ビニルアルコール共重合体等の親水性高分子や、グリセリン、エタノールで処理する方法が挙げられる。
なお、溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145は、それぞれ2種類以上の中空糸膜を組み合わせて用いることもできる。
[導入排出口]
溶液導入口12及び溶液排出口13は、培養領域11の内部に配設された溶液透過性中空糸膜123の両端を外部に突出させて集結させることによって形成されている。また、ガス導入口14及びガス排出口15は、培養領域11の内部に配設されたガス透過性中空糸膜145の両端を外部に突出させて集結させることによって形成されている。
細胞培養用モジュール1aは、通常用いられるフラスコ(例えば容量25ml)に溶液導入口12及び溶液排出口13並びにガス導入口14及びガス排出口15となる開口を穿設し、該開口に溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145の端部を挿通させて結束し封止することによって得られる。この際、溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145は、培養領域11において、少なくともその一部が培地に接触するような位置、好ましくは培地内に浸漬されるような位置に、接着剤やバンド等で固定される。なお、細胞導入口16は、培養領域11へ連絡する開口と蓋によって構成される。
(2)培地供給部
培地供給部21は、細胞培養用モジュール1aの溶液導入口12に接続される。培地供給部21は、溶液透過性中空糸膜123を介して培養領域11内に培地を連続的に供給する。培地供給部21による培地供給は、断続的に行われてもよいが、細胞を高密度で培養するためには連続的に行われることが好ましい。
培養領域11内の培地は、溶液透過性中空糸膜123を介して溶液排出口13から排出される。培地供給部21は、溶液排出口13に接続され、溶液排出口13から排出される培地を溶液導入口12に再供給し、培養領域11内に培地を循環供給する。
溶液排出口13から排出される培地は系外に廃棄されてもよいが、効率的な培養を行うためには、系内において代謝老廃物を除去しながら循環されることが好ましい。培地を系外に排出する場合には、溶液排出口13に分析装置を接続し、培地に含まれる細胞の産生物あるいは代謝老廃物をオンラインで分析してもよい。これにより、例えば、被験物質を投与した際の細胞のストレス応答などを経時的に評価できる。
培地供給部21には従来公知の構成を採用できる。培地供給部21は、例えば、培地を貯留する容器、送液ポンプ、代謝老廃物を除去するフィルタ、チューブなどによって構成される。
(3)ガス供給部
ガス供給部31は、細胞培養用モジュール1aのガス導入口14に接続される。ガス供給部31は、ガス透過性中空糸膜145を介して培養領域11内に酸素を含む空気を連続的に供給する。ガス供給部31による空気供給は、断続的に行われてもよいが、細胞を高密度で培養するためには連続的に行われることが好ましい。
ガス供給部31は従来公知の構成を採用できる。ガス供給部31は、例えば、空気を貯留するタンク、エアポンプ、チューブなどによって構成される。図1中符号32はガス導入口14に送気される空気の湿度を調整するための貯水容器であり、符号33は空気中の細かいゴミを除去するためのフィルタである(符号35も同様)。
培養領域11内の空気は、ガス透過性中空糸膜145を介してガス排出口15から排出される。図1中符号34は、ガス透過性中空糸膜145の内空に培地が入り込んでガス排出口15から排出されてきた場合に該培地をトラップするための回収容器である。
(4)振とう装置
細胞培養用モジュール1aを振とうし、細胞培養用モジュール1内の培地を撹拌する振とう装置には、シーソー式又はレシプロ式(水平横揺れ式)の振とう器などの細胞培養用モジュール1aを載置して使用する振とう器を使用できるが、これらに限定されない。
振とう装置による培地の撹拌は、培養領域11内の浮遊細胞を障害しない程度の強度で緩やかに行うことが好ましい。例えば細胞培養用モジュール1aを通常用いられる容量25mlのT字フラスコで構成する場合、培地10mlに対して10rpm〜30rpmの速度、好ましくは10rpm〜20rpmの速度で振とうさせる。振とう速度が大きすぎる場合、培地の液面が波立って泡立ち、細胞を障害するおそれがある。
一方、振とう速度が小さすぎる場合、培地の撹拌が不十分となり、細胞への栄養及び酸素の供給あるいは細胞からの老廃物の除去が不十分となり、細胞の成長・分裂を阻害するおそれがある。上述のように、細胞培養用モジュール1aでは、溶液透過性中空糸膜123同士及びガス透過性中空糸膜145同士の間隔を所定距離とすることにより、中空糸膜間に培地の流れを生じさせ、振とう装置による培地の撹拌効果を高めている。このため、細胞の成長又は分裂の低下を引き起こすことなく、細胞を高密度に培養することができる。また、高密度培養下での細胞の変性や壊死も抑制できる。
培地の撹拌を一層促進するため、細胞の培養は、培養領域11内に気層を維持した状態で行うことが好ましい。気層は、例えば、培地供給部21による溶液排出口13から溶液導入口12への培地の再循環量を調節することによって、培養領域11内に形成できる。
(5)その他
細胞培養用モジュール1aには、上記の培地供給部21及びガス供給部31以外に、栄養や酸素の供給又は代謝老廃物の除去のためにチューブ等が接続される開口、あるいは顕微鏡による細胞観察等のための窓などが設けられていてもよい。これにより、より多くの条件を独立に制御しながら細胞の培養を行うことができる。
また、本実施形態に係る細胞培養装置には、細胞培養用モジュール1aから適宜培地を採取するためのサンプリング装置や、サンプリングした培地中又は培地供給部21により循環供給される培地中の成分、被験物質及び細胞の代謝老廃物等の濃度等を経時的に測定するモニター装置を連設してもよい。
2.変形例
図3は、本発明の第二実施形態に係る浮遊細胞培養装置の細胞培養用モジュール1(1b)の構成を説明する模式図である。細胞培養用モジュール1bは、円筒状の外形とされている点で、フラスコ状の外形とされた第一実施形態に係る細胞培養用モジュール1a(図2参照)と異なっている。
細胞培養用モジュール1bは、通常用いられる円筒チューブ(例えば容量50ml)に溶液導入口12及び溶液排出口13並びにガス導入口14及びガス排出口15となる開口を穿設し、該開口に溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145の端部を挿通させて結束し封止することによって得られる。溶液透過性中空糸膜123及びガス透過性中空糸膜145は、培養領域11において、少なくともその一部が培地に接触するような位置、好ましくは培地内に浸漬されるような位置に固定される。
このように、本発明に係る浮遊細胞培養用モジュールは、フラスコやチューブ、シャーレなどの既存の容器を利用して容易に構成することが可能である。
細胞培養用モジュール1bにおける振とう装置による培地の撹拌も、培養領域11内の浮遊細胞を障害しない程度の強度で緩やかに行うことが好ましい。例えば細胞培養用モジュール1bを通常用いられる容量50mlの円筒チューブ(内径50mm)で構成する場合、培地40mlに対して10rpm〜30rpmの速度、好ましくは10rpm〜20rpmの速度で振とうさせる。
以下の細胞培養装置、細胞及び培地を用いて培養を行った。
図1に示した構成を有する細胞培養装置を準備した。
[細胞培養用モジュール1]
T字フラスコ(25ml)内にガス透過性中空糸膜(三菱レイヨン、MHF膜)と溶液透過性中空糸膜(三菱レイヨン、EX膜)をそれぞれ60本ずつメッシュ状に配置し、アクリル系接着剤で固定した。フラスコ上面に穴を開け、ガス透過性中空糸膜及び溶液透過性中空糸膜への培地及び空気供給用のポートを作成し、シリコンチューブを接続した。培地液量(培養容量)は10mlとした。
[細胞培養用モジュール2]
ポリカーボネート製の円筒容器(60ml)を用いて同様に作成した。培地液量(培養容量)は30mlとした。
[培地供給部]
培地を貯留する容器(培地貯留量40ml)からペリスタポンプ(流量8ml/hr)で培地を循環供給した。
[ガス供給部]
エアポンプ(流量3L/hr)で空気を保湿しながら供給した。フィルタには0.2μm孔径のものを用いた。
[細胞]
急性前骨髄性白血病患者由来の好中球性の前骨髄球(前駆体)(DSファーマバイオメディカル社)HL−60細胞を用いた。凍結された細胞を解凍し、洗浄等を行った後、104〜105cells/2mLの密度で細胞懸濁液を調製し、播種した。
[培地]
Hc細胞用培地を用いた。該培地は、D-MEM/F-12(Invitrogen)500mlにFetal Bovine Serum、Hyclone 10%、炭酸水素ナトリウム、ペニシリン、硫酸ストレプトマイシン、Human-acidic FGF(コスモバイオ)を添加して調製した。
細胞を播種した細胞培養用モジュール1又は細胞培養用モジュール2を含む細胞培養装置および、振とう機をCO2インキュベーター内に設置し、モジュールを振とうさせながら、培地とCO2インキュベーター内のエアを供給することにより、培養を開始した。比較のため、加工前のT字フラスコ(25ml)にも細胞を播種し、CO2インキュベーター内に静置して培養を行った。
培養開始後所定の日数経過後に、培地をサンプリングし、顕微鏡下で細胞の形態観察と細胞数のカウントを行った。結果を図4に示す。図中、丸印(黒塗り)は細胞培養用モジュール1、丸印(白塗り)は細胞培養用モジュール2の結果を示す。また、四角印(黒塗り)は、比較用フラスコの結果を示す。
細胞培養用モジュール1では、培養8日目で5×106cells/mLの細胞密度まで細胞増殖が進み、細胞の異常な形態変化も確認されなかった。同様に、細胞培養用モジュール2でも、5×106cells/mLの高密度な培養下でも、細胞の異常な形態変化は観察されなかった。一方、比較用フラスコでは、3×106cells/mLの細胞密度で、細胞の異常な形態変化が観察され、細胞の変性が認められた。
また、細胞培養用モジュール1,2では、培地の循環供給を行っているため、5日以上培地交換を行うことなく、細胞を培養できた。一方、比較用フラスコでは、培地を1日〜2日置きに交換する必要があった。
以上の結果から、本発明に係る細胞培養装置によれば、培地交換を頻繁に行うことなく、また細胞を変性させることなく、高密度に培養できることが示された。
本発明に係る浮遊細胞培養装置等によれば、浮遊細胞を効率的に高密度で培養できる。従って、本発明は、医薬品や化学物質、化粧品等の物質の薬理効果や毒性、安全性評価のための、動物実験に代替する培養細胞評価系の構築に有用である。また、本発明は、再生医療のための細胞製剤の製造にも利用できる。
1:細胞培養用モジュール、11:培養領域、12:溶液導入口、123:溶液透過性中空糸膜、13:溶液排出口、14:ガス導入口、145:ガス透過性中空糸膜、15:ガス排出口、16:細胞導入口、21:培地供給部、31:ガス供給部、32:貯水容器、33,35:フィルタ、34:回収容器

Claims (8)

  1. ガス透過性中空糸膜及び溶液透過性中空糸膜が配設された培養領域と、前記ガス透過性中空糸膜の端部が集結されてなるガス導入口と、前記溶液透過性中空糸膜の端部が集結されてなる溶液導入口と、を備えた細胞培養用モジュールと、
    前記ガス導入口に空気を連続的に供給可能なガス供給部と、
    前記溶液導入口に培地を連続的に供給可能な培地供給部と、を含んでなる浮遊細胞培養装置。
  2. 前記細胞培養用モジュールが、前記溶液導入口と反対側の前記溶液透過性中空糸膜の端部が集結されてなる溶液排出口を備え、
    前記培地供給部が、前記溶液導入口から導入され前記溶液排出口から排出される前記培地を、前記溶液導入口に再供給する請求項1記載の浮遊細胞培養装置。
  3. 前記細胞培養用モジュールの振とう装置と連設された請求項1又は2記載の浮遊細胞培養装置。
  4. 前記培養領域において、前記ガス透過性中空糸膜及び/又は前記溶液透過性中空糸膜が、前記培地の撹拌を促進するように固定されている請求項3記載の浮遊細胞培養用装置。
  5. ガス透過性中空糸膜及び溶液透過性中空糸膜が配設された培養領域を備え、
    該培養領域内において、前記ガス透過性中空糸膜及び/又は前記溶液透過性中空糸膜が、前記培地の撹拌を促進するように固定されている浮遊細胞培養用モジュール。
  6. ガス透過性中空糸膜及び溶液透過性中空糸膜が配設され、浮遊細胞が導入された培養領域と、前記ガス透過性中空糸膜の端部が集結されてなるガス導入口と、前記溶液透過性中空糸膜の端部が集結されてなる溶液導入口と、を備えた細胞培養用モジュールの前記ガス導入口と前記溶液導入口にそれぞれ空気と培地を連続的に供給する手順を含む、浮遊細胞培養方法。
  7. 前記手順において、前記溶液導入口から導入され、前記溶液導入口と反対側の前記溶液透過性中空糸膜の端部が集結されてなる溶液排出口から排出される前記溶媒を、前記溶液導入口に再供給して循環させる請求項6記載の浮遊細胞培養方法。
  8. 前記手順において、前記培養領域中に気層を維持する請求項6又は7記載の浮遊細胞培養方法。
JP2012272462A 2012-12-13 2012-12-13 浮遊細胞培養のための装置、モジュール及び方法 Pending JP2014117190A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012272462A JP2014117190A (ja) 2012-12-13 2012-12-13 浮遊細胞培養のための装置、モジュール及び方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012272462A JP2014117190A (ja) 2012-12-13 2012-12-13 浮遊細胞培養のための装置、モジュール及び方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014117190A true JP2014117190A (ja) 2014-06-30

Family

ID=51172624

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012272462A Pending JP2014117190A (ja) 2012-12-13 2012-12-13 浮遊細胞培養のための装置、モジュール及び方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014117190A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10898863B2 (en) 2015-12-15 2021-01-26 Toyobo Co., Ltd. Hollow-fiber membrane and hollow-fiber module for cell culture
CN113226510A (zh) * 2018-12-31 2021-08-06 瑞普利金公司 用于哺乳动物细胞培养灌注和澄清的疏水中空纤维过滤器

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63240774A (ja) * 1987-03-27 1988-10-06 Ube Ind Ltd バイオリアクタ−
JPH01222768A (ja) * 1988-03-01 1989-09-06 Ube Ind Ltd バイオリアクター
JPH03164165A (ja) * 1989-09-22 1991-07-16 Univ Strathclyde 細胞培養装置
US5081035A (en) * 1988-04-18 1992-01-14 The University Of Michigan Bioreactor system
JPH09511392A (ja) * 1994-02-09 1997-11-18 ユニシン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド 高性能細胞培養バイオリアクターおよび方法
JP2005333945A (ja) * 2004-05-31 2005-12-08 Toray Ind Inc 培養用中空糸モジュール及び培養装置及び細胞製剤の製造方法
US20090191631A1 (en) * 2006-07-10 2009-07-30 Reimhard Bornemann 3-D petri-dish for the culture and studies of cells

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63240774A (ja) * 1987-03-27 1988-10-06 Ube Ind Ltd バイオリアクタ−
JPH01222768A (ja) * 1988-03-01 1989-09-06 Ube Ind Ltd バイオリアクター
US5081035A (en) * 1988-04-18 1992-01-14 The University Of Michigan Bioreactor system
JPH03164165A (ja) * 1989-09-22 1991-07-16 Univ Strathclyde 細胞培養装置
JPH09511392A (ja) * 1994-02-09 1997-11-18 ユニシン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド 高性能細胞培養バイオリアクターおよび方法
JP2005333945A (ja) * 2004-05-31 2005-12-08 Toray Ind Inc 培養用中空糸モジュール及び培養装置及び細胞製剤の製造方法
US20090191631A1 (en) * 2006-07-10 2009-07-30 Reimhard Bornemann 3-D petri-dish for the culture and studies of cells

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10898863B2 (en) 2015-12-15 2021-01-26 Toyobo Co., Ltd. Hollow-fiber membrane and hollow-fiber module for cell culture
CN113226510A (zh) * 2018-12-31 2021-08-06 瑞普利金公司 用于哺乳动物细胞培养灌注和澄清的疏水中空纤维过滤器
US11680239B2 (en) 2018-12-31 2023-06-20 Repligen Corporation Filter for mammalian cell culture perfusion and clarification with hydrophobic hollow fiber

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6696206B2 (ja) ガス不透過性管を用いた細胞培養装置および細胞培養方法
US10717961B2 (en) Cell culture system and cell culture method
US6468792B1 (en) Process and device for culturing and/or treating cells
EP3237598B1 (en) T-cell culture double bag assembly
JP2016093149A (ja) 細胞培養装置および細胞培養方法
AU2011250989A1 (en) Cell-culture-bag
WO2011142670A1 (en) Cell-culture-bag
US9101857B2 (en) Gas scrubbed perfusion filter
WO2014034146A1 (ja) 細胞培養用モジュール
WO2010034468A1 (en) Membrane for cell expansion
JP5691240B2 (ja) 細胞培養用モジュール
JP5283606B2 (ja) 細胞培養足場材料および細胞培養用モジュール
JP6848273B2 (ja) 細胞培養装置
JP4668568B2 (ja) 培養容器、培養装置および細胞の培養方法
WO2016140213A1 (ja) 中空糸モジュールを用いた細胞培養方法
JP2014117190A (ja) 浮遊細胞培養のための装置、モジュール及び方法
JP6930068B2 (ja) 中空糸モジュールを用いる細胞培養方法
JP2015223111A (ja) 細胞の長期還流培養のための方法及び装置
JP2690144B2 (ja) 膜型細胞培養装置
JP2003180334A (ja) 三次元高密度細胞培養用モジュール
KR100575461B1 (ko) 생물 배양 장치 및 방법
JP2010148497A (ja) 細胞培養用モジュール
JPH0677517B2 (ja) 浮遊細胞培養装置
JPH06102013B2 (ja) バイオリアクタ−
US20120301923A1 (en) Dialysis fermenter-bioreactor with dialysis device

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20140711

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150904

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160524

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161220