JP5691240B2 - 細胞培養用モジュール - Google Patents
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Description
さらに、従来用いられている細胞培養用モジュールは、用いる細胞培養足場材料を容器中の培養液に浸した状態で使用するものであるため、特に多検体、他条件の同時培養において多くの培養スペースが必要であった。このことから、モジュールをコンパクト化することが望まれていた。
本発明の細胞培養用モジュールは、中空糸膜がメッシュ状に配置された中空糸膜メッシュと、前記中空糸膜メッシュと接する、ナノファイバーの集合体からなるナノファイバー層とを有する細胞培養足場材料が、2枚のカバーの間に液密に配置されている。また、本発明の細胞培養用モジュールは、前記カバーにおける前記ナノファイバー層に対応する位置に、培養細胞を注入する細胞注入口と、該細胞注入口以外の開口とが形成され、前記細胞注入口と開口がシートで塞がれている。以下、本発明の細胞培養用モジュールの実施形態の一例を示して詳細に説明する。
平板21、22としては、足場材料10を挟んでしっかりと固定するのに適した強度を有するものであればよく、例えば、アクリル板が挙げられる。
シート23としては、細胞注入口21a、22a、および開口21b、22bを密封でき、かつ必要に応じて顕微鏡、チューブ等の接続、注射針の刺し込み等が可能なものであればよく、例えば、シリコンゴムからなるシートが挙げられる。
細胞注入口21a、22aの形状は特に限定されず、穴あけ加工の容易さの点から、円形状が好ましい。
細胞注入口21a、22aの大きさは特に限定されず、それぞれが開口21b、22bと独立して形成され、培養細胞の注入が可能な範囲であればよい。例えば、細胞注入口21a、22aの形状が円形状である場合、その直径は500μm以上5mm以下が好ましい。
開口21b、22bの形状は特に限定されず、穴あけ加工の容易さの点から、円形状が好ましい。
また、開口21b、22bの大きさは特に限定されず、それぞれが細胞注入口21a、22aと独立して形成される範囲であればよい。例えば、開口21b、22bの形状が円形状である場合、その直径はモジュール1の大きさにも依るが、1mm以上でナノファイバー層の短辺を上限とすることが好ましい。
平板31、32、シート33は、平板21、22、シート23と同じものを用いることができる。
細胞注入口21a、22aと細胞注入口31a、32aの形状および大きさは、同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。また、開口21bおよび開口22bと開口31bおよび開口32bの形状および大きさは、同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
底枠41および上枠44の材質としては、ポッティング樹脂との接着性が充分に得られるものであればよく、例えば、シリコンゴム等が挙げられる。
また、角枠42の材質としては、シリコンゴムが好ましい。角枠42の材質がシリコンゴムであれば、下底20と上蓋30により型枠40に固定された足場材料10を挟んだ後、それらをクリップ等で固定する際に、高い圧力が加わってもモジュール1が破損することを抑制しやすい。
足場材料10は、図3(A)〜(C)に示すように、中空糸膜11a、11b(11)がメッシュ状に配置された中空糸膜メッシュ12と、ナノファイバーの集合体からなるナノファイバー層15と、中空糸膜13a、13b(13)がメッシュ状に配置された中空糸膜メッシュ14とが、この順に積層されている。
なお、中空糸膜11が多層膜である場合の膜厚は、各層の膜厚の総和(全層の膜厚)である。
中空糸膜11の内径は、10μm以上2995μm以下が好ましい。
物質選択透過性を有する中空糸膜を用いることにより、特定の物質を培養細胞に供給したり、特定の代謝老廃物を培養細胞から除去したりすることができる。また、培養液中の特定成分、化学物質、薬物等の被験物質を培養細胞に効率的に供給することや、老廃物や代謝物を系外に排出させてこれらをモニタリングすることが可能となる。
物質選択透過性を有する中空糸膜としては、前記精密ろ過膜や限外ろ過膜を挙げることができ、さらに、膜素材そのものに物質選択透過性を有する中空糸膜や、中空部分に選択透過性を有する物質が充填された多孔質中空糸膜を挙げることができる。
また、中空糸膜メッシュ12には、2種類以上の中空糸膜を用いることもできる。例えば、栄養の供給を行う精密ろ過膜、ガスの供給を行うガス分離膜、培養細胞への特定成分の供給あるいは培養細胞からの特定の代謝老廃物の排出を行う物質選択透過性を有する中空糸膜を、任意に組み合わせて用いることができる。
中空糸膜11aの間隔d1(図4(A))は、0.05〜5mmが好ましく、0.05〜1mmがより好ましい。前記間隔d1は、中空糸膜11aの外径以上で、5mm以下であれば、栄養やガスの供給や代謝老廃物の除去がナノファイバー層15に接着した細胞全体に均一に行えるため、細胞培養の効率が向上する。中空糸膜11bの間隔d2(図4(A))は、同様の理由から、0.05〜5mmが好ましく、0.05〜1mmがより好ましい。
中空糸膜メッシュ12における中空糸膜11からなるシートの層数は特に制限されず、2〜10層が好ましい。この例では、シートは2層(中空糸膜11aからなる層と中空糸膜11bからなる層)である。
具体的には、例えば、中空糸膜11aとして精密ろ過膜、中空糸膜11bとしてガス分離膜を用いることにより、中空糸膜11aにより培養細胞に栄養を供給し、中空糸膜11bにより培養細胞にガスを供給することができる(態様(2))。
中空糸膜メッシュ12における中空糸膜11a、11bは、メッシュ状となっている部分以外の部分をポッティング樹脂により固定することで、位置を固定することができる。ポッティング樹脂は、前述のポッティング樹脂を用いることができる。
足場材料10においては、中空糸膜メッシュ12、14の形態は、中空糸膜を介する栄養や気体の供給、代謝老廃物の除去に応じて選択すればよく、足場材料10をモジュール化する際のポート部の設計にも依存する。
足場材料10では、中空糸膜メッシュ12の中空糸膜11aと中空糸膜メッシュ14の中空糸膜13aは同一種類の中空糸膜であることが好ましい。同様に、中空糸膜メッシュ12の中空糸膜11bと中空糸膜メッシュ14の中空糸膜13bは同一種類の中空糸膜であることが好ましい。このような形態とすることで、足場材料10をモジュール化する際に、中空糸膜11aおよび中空糸膜13aと、中空糸膜11bおよび中空糸膜13bとをそれぞれ集結させて同一のポート部に繋ぐことで、中空糸膜を介して排出された老廃物等をオンラインで分析しながら細胞培養を行うことが容易になる。
中空糸膜メッシュ12と中空糸膜メッシュ14における中空糸膜11bと中空糸膜13bの間隔d3(図4(B))は、0.5〜1000μmが好ましく、1.0〜50μmがより好ましい。前記間隔d3が0.5μm以上1000μm以下であれば、栄養やガスの供給や代謝老廃物の除去がナノファイバー層15に接着した細胞全体に均一に行えるため、細胞培養の効率が向上する。
ナノファイバー層15は、基材上で、エレクトロスピニング(電界紡糸)により形成されたものであることが好ましい。前記基材は、特に制限されず、エレクトロスピニングにより表面にナノファイバー層15を形成できるものであればよく、例えば、アルミ箔等が挙げられる。
また、溶剤に不溶なポリマーであっても、レーザーエレクトロスピニング法を適用する場合は熱可塑性ポリマーを用いることができる。レーザーエレクトロスピニング法に適用できる熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
ナノファイバーの単繊維の直径は、以下のようにして測定することができる。ナノファイバー、またはその集合体(ナノファイバー層15)の表面を電子顕微鏡により観察し、得られた電子顕微鏡写真(図9(B))中の任意の20本のナノファイバー表面の幅を計測し、その平均をナノファイバーの単繊維の直径とする。電子顕微鏡としては、走査型電子顕微鏡(SEM)が好ましい。観察倍率は5000倍〜5万倍が好ましい。観察倍率が5000倍以上であれば、ナノファイバーの直径の決定が容易になる。また、単繊維の直径を求める際には、画像解析ソフトを用いることが好ましい。画像解析ソフトによって得られるナノファイバーの単繊維の直径は、画像解析のための画質調整、画像解析ソフトの種類等によって若干変動があるが、その差は通常の実験誤差の範囲内である。
生理活性物質としては、機能性ポリマー、アミノ酸、タンパク質、糖鎖、ビタミン類等
が挙げられる。特に、細胞培養に有効な生理活性物質、例えば培養細胞の増殖、分化、機能発現に重要な役割を有する生理活性物質の総称であるサイトカインを用いると効果的である。サイトカインとしては、インターロイキン、増血因子、増殖因子等が挙げられる。また、細胞−細胞外マトリックス、細胞−細胞間の接着に関与するインテグリン、カドヘリン等の細胞接着基質を用いることも効果的である。また、薬剤や化学物質等の被験物質をナノファイバー層15に吸着または固定することにより、細胞培養試験を行うことも可能である。
また、中空糸膜メッシュ上にナノファイバー層を形成して該ナノファイバー層上に培養細胞を接着させる場合に比べ、ナノファイバー層を中空糸膜メッシュ間に配置することで、ナノファイバー層に接着させた培養細胞と中空糸膜との距離が近くなるため、培養細胞への栄養やガスの供給や、細胞培養からの代謝老廃物の除去をより高い効率で行うことができ、培養細胞のネクローシスが減少して細胞培養の効率が向上する。
また、中空糸膜メッシュのメッシュ部分の形態も足場材料10における中空糸膜11a(13a)と中空糸膜11b(13b)とが直交する形態には限定されない。例えば、ナノファイバー層に接着させた培養細胞に対する、栄養やガスの供給や代謝老廃物の排出の効率が低くなりすぎない範囲であれば、中空糸膜11a(13a)と中空糸膜11b(13b)とが直交していなくてもよい。また、縦方向と、該縦方向となす角がα(0°<α<90°)、β(−90°<β<0°)の斜め2方向(例えば縦方向に対して±60°の2方向)との3方向に、中空糸膜をそれぞれ平行に配置してメッシュ状とした中空糸膜メッシュであってもよい。この場合、ナノファイバー層の形状もそれに合わせて六角形にすることが好ましい。また、該足場材料を固定する型枠についても、六角形のものを用いることが好ましい。
底枠41の枠部分43に、中空糸膜13aが一定の間隔で配置され、さらに中空糸膜13aと直交する方向に沿って中空糸膜13bが配置され、中空糸膜メッシュ14が形成されている(図5(A))。また、中空糸膜メッシュ14の上に、ナノファイバー層15が配置され、ポッティング樹脂により該ナノファイバー層15の四隅が角枠42に固定されている(図5(B))。
モジュール1において、中空糸膜メッシュの中空糸膜の両端を集結させたものの開口部をポート部に繋げ、中空糸膜から排出された老廃物や代謝物等を外部機器に導入することで、オンラインでの分析が可能になる。
例えば、モジュール1において、中空糸膜11a、13aとしてガス分離膜である中空糸膜、中空糸膜11b、13bとして物質選択透過性を有する中空糸膜を用いた場合、中空糸膜11a、13aの片端より酸素を含むガスを供給しつつ、他方の端部より該ガスを排出させ、かつ中空糸膜11b、13bの片端より培養細胞の栄養を供給し、他方の端部より該培養細胞の老廃物や代謝物を排出させることができる。これにより、排出される成分をオンラインで分析することで、培養細胞を培養しながら連続的に培養細胞の生育状況を評価することも可能である。また、下底20の開口21b、22bと、上蓋30の開口31b、31bに、チューブ等を接続し、該チューブから培養細胞に対して、中空糸膜11a、13aとは別の成分、条件の栄養を供給することもできる。
また、細胞培養用モジュールにおける細胞培養足場材料も前述の足場材料10には限定されず、中空糸膜メッシュ上にナノファイバー層が形成された細胞培養足場材料であってもよく、中空糸膜メッシュの中空糸膜間にナノファイバーを有する細胞培養足場材料であってもよい。また、エレクトロスピニング以外の湿式紡糸、溶融紡糸等の方法を用いてナノファイバー層を形成した細胞培養足場材料であってもよい。
以下、本発明の細胞培養用モジュール製造方法の一例として、前述の足場材料10を有するモジュール1の製造方法について説明する。
ナノファイバー層15は、均一で斑のないナノファイバー層が得られやすく、製造効率が高い点から、前述の表面に凹凸のない基材上で、エレクトロスピニング(電界紡糸)により形成することが好ましい。ただし、エレクトロスピニングには限定されず、湿式紡糸、溶融紡糸等の方法を用いてもよい。
ポリマーは、エレクトロスピニングが容易である点から、前述の溶剤可溶性のポリマーを用いることが好ましい。また、熱可塑性ポリマーを用いる場合は、レーザーエレクトロスピニング法を適用することも可能である。
用いるポリマーの分子量は特に限定されないが、分子量が低すぎると曳糸性が低下するおそれがあり、分子量が高すぎると粘度が高くなって紡糸が困難になるおそれがある。
また、ポリマーの溶解性が低い場合であっても、ポリマー濃度を低く調節することによりエレクトロスピニングを可能にすることもできる。また、添加剤を加える等して、紡糸原液の表面張力や導電性を調整することも可能である。
の溶解性の向上等のために、複数の溶媒をブレンドして用いてもよい。
ノズルとターゲットの距離は、用いるポリマーの種類や物性や印加電圧により異なるため一概には言えないが、10〜1000mmが好ましく、30mm〜500mmがより好ましい。前記距離が10mm以上であれば、放電が生じにくくなる。また、前記距離が1000mm以下であれば、ノズルからの紡糸原液の噴射性が向上する。
また、ターゲットの形状は、均一なナノファイバー層15が得られやすい点から、平板状、ロール状が好ましい。
以上説明した方法によりナノファイバー層15が得られる。
次いで、形成した中空糸膜メッシュ14の上に、ナノファイバー層15を設置し、ポッティング樹脂により該ナノファイバー層15の四隅を角枠42に固定する(図5(B))。
中空糸膜メッシュ12の上側には、上枠44をポッティング樹脂で固定し、足場材料10が型枠40に固定された状態とする(図6(A))。
また、ナノファイバー層15への培養細胞の接着は、型枠40で固定した足場材料10を下底20と上蓋30で挟んで固定した後、細胞注入口のシートに注射器の針を刺し込んで注入する等して行うことができる。細胞注入口から培養細胞を注入すれば、下底20と上蓋30の開口の形状、該開口へのチューブ、顕微鏡等の接続状況に関わらず培養細胞の接着が可能である。また、下底20または上蓋30の一方の細胞注入口から培養細胞を注入する際、他方の細胞注入口や開口を利用して、細胞注入による与圧を調整することも可能である。なお、ナノファイバー層15への培養細胞の接着は、細胞注入口から培養細胞を注入する方法には限定されず、下底20と上蓋30で挟んで固定する前に行ってもよく、チューブ等を接続する前に下底20または上蓋30の開口から注射器等により行ってもよい。
以上の方法により、足場材料10が液密に封入されたモジュール1が得られる。
本実施例におけるナノファイバーの直径の測定方法は以下の通りである。
[ナノファイバー層の観察]
ナノファイバー層の観察には、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡JSM−6060Aを用いた。
ナノファイバーの単繊維の直径は、得られたSEM写真を画像解析ソフト((株)プラネトロン製、Image−Pro Plus ver.4.5.0.24)を用いて画像解析することによって求めた。SEM写真のスケールに対して、画像解析のスケールが合うように調整した後、SEM写真中の任意の20本のナノファイバーの表面の幅を求め、その平均値をナノファイバーの単繊維の直径とした。
ナノファイバー層の形成は、カトーテック製のNEUナノファイバーエレクトロスピニングユニットを用いた。前記エレクトロスピニングユニットのドラム型のターゲットにアルミ箔を固定した。ナノファイバーを形成するポリマーとして、質量平均分子量(Mw)が約350000、アクリロニトリル含量が約97%のポリアクリロニトリル系重合体を用いた。このポリアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに10wt%になるように溶解して紡糸原液とした。この紡糸原液を18Gのノズル(ニードル)が取り付けられたシリンジ内に充填し、エレクトロスピニングを行ってアルミ箔上にナノファイバー層15Aを作製した。紡糸条件は、ターゲットである金属ドラムの周速度を1m/min、印加電圧を12kV、ノズル先端とターゲットの距離を100mmとし、紡糸時間を60分とした。
ナノファイバー層15AのSEM写真を図7(A)、(B)に示す。ナノファイバー層15の厚みは約5μmであった。また、ナノファイバーの直径は、約200nmであった。
底枠41(縦35mm×横35mm、枠部分の幅10mm)に、中空糸膜13aを2mm間隔で配置し、次いで該中空糸膜13aに対して直交する方向に沿って中空糸膜13bを2mm間隔で配置した。この際、中空糸膜13aと中空糸膜13bで構成されるメッシュ部分は約15mm×15mmになるように配置し、底枠外の中空糸膜の端部を仮止めして中空糸膜メッシュ14を形成した(図5(A))。
この型枠40に固定された細胞培養足場材料10Aの写真を図8に示す。
ナノファイバー層の作製において紡糸時間を120分に変更した以外は、実施例1と同様にしてナノファイバー層15Bを形成し、細胞培養足場材料1Bを形成した。
ナノファイバー層15BのSEM写真を図9(A)、(B)に示す。ナノファイバー層15Bの厚みは約10μmであった。また、ナノファイバーの直径は、約200nmであった。
以下、本発明の細胞培養用モジュールを用いた細胞培養について説明する。
[実施例3]
実施例1で製造した細胞培養用モジュール1Aを用いて、ヒト胎児肝細胞(Hc細胞、大日本住友製薬社製)の培養を32日間行った。該培養は、中空糸膜11a、31aを含む培地循環回路を形成し、該回路を用いて細胞培養用モジュール100A内にCS−C培地(Cell Systems社製)を6.8mL/hrで連続的に供給しながら行った。供給する前記CS−C培地の交換時期は、培地のpH(pH指示薬)とグルコース濃度(測定試薬:グルコースCII−テストワコー、和光純薬工業社製)の測定結果から判断し、培養開始から15、25、27、29、および31日目にそれぞれ新しい培地に交換した。また、培養開始から19日目からは、エアポンプにより中空糸膜11b、31bから細胞培養用モジュール100Aに空気を供給(約1L/min)しつつ培養を行った。
32日間の培養における細胞密度の変化を図10に示す。細胞密度は、培地中のグルコース濃度の減少度合いから算出した。図10中の破線は、空気の供給の開始時点を示す。また、培養後の細胞用足場材料における細胞形態を位相差倒立顕微鏡(ECLIPSE−TE300、Nikon社製)により観察した顕微鏡写真を図11(観察倍率32倍)および図12(観察倍率56倍)に示す。なお、図11および図12における(A)および(B)は、同一の細胞培養足場材料におけるそれぞれ別の部分を観察した写真である。
実施例3の培養との比較対象として、細胞培養足場材料1Aを用いた静置培養を行った。
実施例1で製造した細胞培養足場材料1Aを、35mm培養ディッシュ内のCS−C培地(Cell Systems社製)中に入れ、ヒト胎児肝細胞(Hc細胞、大日本住友製薬社製)を22日間、静置培養した。該培養は、細胞培養足場材料1A内部への物質移動を良好にするために、ディッシュを振盪しながら行った。前記CS−C培地の交換時期は、培地のpH(pH指示薬)とグルコース濃度(測定試薬:グルコースCII−テストワコー、和光純薬工業社製)の測定結果から判断し、6日目までは2日間隔、7〜10日目は1日間隔、11〜14日目は18時間間隔、15〜23日目は12時間間隔で交換した。
31日間の静置培養における細胞密度の変化を図13に示す。細胞密度は、培地中のグルコース濃度の減少度合いから算出した。また、22日間の培養後の細胞用足場材料における細胞形態を位相差倒立顕微鏡(ECLIPSE−TE300、Nikon社製)により観察した顕微鏡写真を図14(観察倍率56倍)に示す。また、22日後の細胞用足場材料上の細胞をホルマリンで固定した後、細胞骨格と核を染色し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した顕微鏡写真を図15(観察倍率200倍)に示す。なお、図14および図15における(A)および(B)は、同一の細胞用足場材料におけるそれぞれ別の部分を観察した写真である。また、図15においては、左上が細胞骨格を観察した写真、右上が核を観察した写真、左下が細胞用足場材料を観察した写真、右下が細胞骨格および核を観察した写真である。
Claims (1)
- 中空糸膜がメッシュ状に配置された中空糸膜メッシュと、前記中空糸膜メッシュと接する、ナノファイバーの集合体からなるナノファイバー層とを有する細胞培養足場材料が、2枚のカバーの間に液密に配置され、
前記中空糸膜の両端側の部分は前記の2枚のカバーの外側にはみ出しており、
前記カバーにおける前記ナノファイバー層に対応する位置に、培養細胞を注入する細胞注入口と、該細胞注入口以外の開口とが形成され、前記細胞注入口と開口がシートで塞がれている細胞培養用モジュール。
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