JP5283606B2 - 細胞培養足場材料および細胞培養用モジュール - Google Patents
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Description
ナノファイバーを用いた足場材料において、培養細胞への栄養と空気(酸素)の供給、および培養細胞からの代謝老廃物の回収を高い効率で行うことができれば、優れた動物実験代替法になると期待される。しかしながら、特許文献6および7の方法では、細胞の成育に必要な栄養や空気(酸素)を補給することが考慮されておらず、細胞を効率的に培養することが困難なことがあった。
また、本発明の細胞培養用モジュールは、前記細胞培養足場材料を用いた細胞培養用モジュールである。
また、本発明の細胞培養用モジュールは、前記細胞培養足場材料を用いていることにより、優れた効率で細胞培養を行うことができる。
本発明の細胞培養足場材料は、中空糸膜がメッシュ状に配置された複数の中空糸膜メッシュと、ナノファイバー層とからなり、前記ナノファイバー層が前記中空糸膜メッシュ間に配置された積層体を有する足場材料である。以下、本発明の細胞培養足場材料の実施形態の一例を示して詳細に説明する。
本実施形態の細胞培養足場材料1(以下、「足場材料1」という。)は、図1(A)〜(C)に示すように、中空糸膜11a、11b(11)がメッシュ状に配置された中空糸膜メッシュ10と、ナノファイバーの集合体からなるナノファイバー層20と、中空糸膜31a、31b(31)がメッシュ状に配置された中空糸膜メッシュ30とを、この順に積層した積層体を有している。
なお、中空糸膜11が多層膜である場合の膜厚は、各層の膜厚の総和(全層の膜厚)である。
中空糸膜11の内径は、中空糸膜の外径と膜厚によるため一概には言えないが、通常は10μm以上とする。
物質選択透過性を有する中空糸膜を用いることにより、特定の物質を培養細胞に供給したり、特定の代謝老廃物を培養細胞から除去したりすることができる。また、培養液中の特定成分、化学物質、薬物等の被験物質を培養細胞に効率的に供給することや、老廃物や代謝物を系外に排出させてこれらをモニタリングすることが可能となる。
物質選択透過性を有する中空糸膜としては、前記精密ろ過膜や限外ろ過膜を挙げることができ、さらに、膜素材そのものに物質選択透過性を有する中空糸膜や、中空部分に選択透過性を有する物質が充填された多孔質中空糸膜を挙げることができる。
また、培養液等の液体が中空糸膜の中空部分に入り込んで該中空部を閉塞することを防止しやすい。
また、中空糸膜メッシュ10には、2種類以上の中空糸膜を用いることもできる。例えば、栄養の供給を行う精密ろ過膜、ガスの供給を行うガス分離膜、培養細胞への特定成分の供給あるいは培養細胞からの特定の代謝老廃物の排出を行う物質選択透過性を有する中空糸膜を、任意に組み合わせて用いることができる。
具体的には、例えば、中空糸膜11aとして精密ろ過膜、中空糸膜11bとしてガス分離膜を用いることにより、中空糸膜11aにより培養細胞に栄養を供給し、中空糸膜11bにより培養細胞にガスを供給することができる(態様(2))。
ポッティング樹脂は、充分な接着性を有するものであればよく、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等の各種の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が挙げられる。
足場材料1においては、中空糸膜メッシュ10、30の形態は、中空糸膜を介する栄養や気体の供給、代謝老廃物の除去に応じて選択すればよく、足場材料1をモジュール化する際のポート部の設計にも依存する。
足場材料1では、中空糸膜メッシュ10の中空糸膜11aと中空糸膜メッシュ30の中空糸膜31aは同一種類の中空糸膜であることが好ましい。同様に、中空糸膜メッシュ10の中空糸膜11bと中空糸膜メッシュ30の中空糸膜31bは同一種類の中空糸膜であることが好ましい。このような形態とすることで、足場材料1をモジュール化する際に、中空糸膜11aおよび中空糸膜31aと、中空糸膜11bおよび中空糸膜31bとをそれぞれ集結させて同一のポート部に繋ぐことで、中空糸膜を介して排出された老廃物等をオンラインで分析しながら細胞培養を行うことが容易になる。
ナノファイバー層20は、表面に凹凸のない基材上で、エレクトロスピニング(電界紡糸)により形成されたものであることが好ましい。前記基材上でエレクトロスピニングにより形成することで、均一で斑のないナノファイバー層20となる。ナノファイバー層20が均一であれば、培養細胞を均一に接着させやすいため、培養効率が向上する。前記基材は、特に制限されず、表面に凹凸がなく、エレクトロスピニングにより表面にナノファイバー層20を形成できるものであればよく、例えば、アルミ箔等が挙げられる。
また、溶剤に不溶なポリマーであっても、レーザーエレクトロスピニング法を適用する場合は熱可塑性ポリマーを用いることができる。レーザーエレクトロスピニング法に適用できる熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
ナノファイバーの単繊維の直径は、以下のようにして測定することができる。ナノファイバー、またはその集合体(ナノファイバー層20)の表面を電子顕微鏡により観察し、得られた電子顕微鏡写真中の任意の20本のナノファイバー表面の幅を計測し、その平均をナノファイバーの単繊維の直径とする。電子顕微鏡としては、走査型電子顕微鏡(SEM)が好ましい。観察倍率は5000倍〜5万倍であることが好ましい。観察倍率が5000倍以上であれば、ナノファイバーの直径の決定が容易になる。また、単繊維の直径を求める際には、画像解析ソフトを用いることが好ましい。画像解析ソフトによって得られるナノファイバーの単繊維の直径は、画像解析のための画質調整、画像解析ソフトの種類等によって若干変動があるが、その差は通常の実験誤差の範囲内である。
生理活性物質としては、機能性ポリマー、アミノ酸、タンパク質、糖鎖、ビタミン類等が挙げられる。特に、細胞培養に有効な生理活性物質、例えば細胞の増殖、分化、機能発現に重要な役割を有する生理活性物質の総称であるサイトカインを用いると効果的である。サイトカインとしては、インターロイキン、増血因子、増殖因子等が挙げられる。また、細胞−細胞外マトリックス、細胞−細胞間の接着に関与するインテグリン、カドヘリン等の細胞接着基質を用いることも効果的である。また、薬剤や化学物質等の被験物質をナノファイバー層20に吸着または固定することにより、細胞培養試験を行うことも可能である。
また、中空糸膜メッシュ上にナノファイバー層を形成して該ナノファイバー層上に細胞を接着させる場合に比べ、ナノファイバー層を中空糸膜メッシュ間に配置することで、ナノファイバー層に接着させた培養細胞と中空糸膜との距離が近くなるため、培養細胞への栄養やガスの供給や、細胞培養からの代謝老廃物の除去をより高い効率で行うことができ、培養細胞のネクローシスが減少して細胞培養の効率が向上する。
以下、本発明の細胞培養足場材料の製造方法の一例として、前述の足場材料1の製造方法について説明する。
ナノファイバー層20は、均一で斑のないナノファイバー層が得られやすく、製造効率が高い点から、前述の表面に凹凸のない基材上で、エレクトロスピニング(電界紡糸)により形成することが好ましい。
以下、エレクトロスピニング法を用いたナノファイバー層20の製造について簡単に説明する。エレクトロスピニング法の基本的な装置構成は、ノズル、ターゲット、直流高圧電源からなる。この装置において、ノズルに紡糸原液を供給しつつ高電圧を印加すると、紡糸原液に電気的反発力が生じる。このとき、ノズルとターゲットの間に基材を設置しておくことで、紡糸原液がターゲットに向かって噴射され、紡糸条件が適当な場合に基材上にナノオーダーの繊維からなる層、すなわちナノファイバー層を得ることができる。
ポリマーは、エレクトロスピニングが容易である点から、前述の溶剤可溶性のポリマーを用いることが好ましい。また、熱可塑性ポリマーを用いる場合は、レーザーエレクトロスピニング法を適用することも可能である。
用いるポリマーの分子量は特に限定されないが、分子量が低すぎると曳糸性が低下するおそれがあり、分子量が高すぎると粘度が高くなって紡糸が困難になるおそれがある。
また、ポリマーの溶解性が低い場合であっても、ポリマー濃度を低く調節することによりエレクトロスピニングを可能にすることもできる。また、添加剤を加える等して、紡糸原液の表面張力や導電性を調整することも可能である。
ノズルとターゲットの距離は、用いるポリマーの種類や物性や印加電圧により異なるため一概には言えないが、10〜1000mmであることが好ましく、30mm〜500mmであることがより好ましい。前記距離が10mm以上であれば、放電が生じにくくなる。また、前記距離が1000mm以下であれば、ノズルからの紡糸原液の噴射性が向上する。
また、ターゲットの形状は、均一なナノファイバー層20が得られやすい点から、平板状、ロール状が好ましい。
まず、中央に開口41aを有する底枠41(図2(A))の四隅に、シリコンゴム板等からなる角枠42をポッティング樹脂により固定する(図2(B))。
次いで、形成した中空糸膜メッシュ30の上に、ナノファイバー層20を設置し、ポッティング樹脂により該ナノファイバー層20の四隅を角枠42に固定する(図3(B))。
中空糸膜メッシュ10の上側には、上枠44をポッティング樹脂で固定し、足場材料1が型枠40に固定された状態とする(図4(A))。
また、細胞培養ディッシュやプレートを用いた通常の培養では、細胞培養ディッシュやプレート上での平面的な細胞培養しか行えないのに対し、本発明の細胞培養足場材料はナノファイバー層を有しているため、細胞が該ナノファイバー層の内部にまで入り込んで三次元的に付着増殖できる。そのため、培養された細胞形態が生体内の形態に近く、医薬品、化学物質、化粧品等の物質の薬効試験、毒性試験、安全性試験等において、評価の信頼性がより高い細胞が得られる。
例えば、中空糸膜メッシュとナノファイバー層の積層数は特に限定されず、中空糸膜メッシュ、ナノファイバー層、中空糸膜メッシュ、ナノファイバー層、中空糸膜メッシュがこの順に積層された細胞培養足場材料であってもよく、これ以上の数が積層された細胞培養足場材料であってもよい。
また、中空糸膜メッシュのメッシュ状の形態も足場材料1における中空糸膜11a(31a)と中空糸膜11b(31b)とが直交する形態には限定されない。例えば、ナノファイバー層に接着させた培養細胞に対する、栄養やガスの供給や代謝老廃物の排出の効率が低くなりすぎない範囲であれば、中空糸膜11a(31a)と中空糸膜11b(31b)とが直交していなくてもよい。また、縦方向と、該縦方向となす角がα(0°<α<90°)、β(−90°<β<0°)の斜め2方向(例えば縦方向に対して±60°の2方向)との3方向に、中空糸膜をそれぞれ平行に配置してメッシュ状とした中空糸膜メッシュであってもよい。この場合、ナノファイバー層の形状もそれに合わせて六角形にすることが好ましい。また、該足場材料を固定する型枠についても、六角形のものを用いることが好ましい。
また、エレクトロスピニングを行う装置において、ノズルとターゲットの間に中空糸膜メッシュを配置し、該中空糸膜メッシュ上にナノファイバー層を形成し、該ナノファイバー層の上にさらに中空糸膜メッシュを形成する方法であってもよい。
また、ナノファイバー層の形成方法は、エレクトロスピニングには限定されず、湿式紡糸、溶融紡糸等の方法を用いてもよい。例えば、ナノファイバーを溶媒中に分散させた混合液を、中空糸膜メッシュ上に滴下してナノファイバー層を形成した後に、その上に別の中空糸膜メッシュを形成する方法であってもよい。また、前記混合液中に中空糸膜メッシュを配置した後、または中空糸膜メッシュが浸漬された溶媒中にナノファイバーを分散した後に、溶媒を除去してナノファイバー層を形成し、その後、形成したナノファイバー層を別の中空糸膜メッシュを用いて挟む方法であってもよい。
本発明の細胞培養用モジュールは、前述の細胞培養足場材料を用いたモジュールである。
細胞培養用モジュールは、例えば、本発明の細胞培養足場材料を、容器中に液密に封入することにより得ることができる。さらに、細胞培養用モジュールにおいて、中空糸膜メッシュの中空糸膜の両端を集結させ、それらの中空糸膜の開口端にポート部を設け、該ポート部を外部機器に繋げることにより、中空糸膜から排出された老廃物や代謝物等を外部機器に導入することが可能となり、オンラインでの分析が可能になる。
モジュール100は、図5(A)および図5(B)に示すように、型枠40に固定された足場材料1が、下底50と上蓋60で挟まれ、液密に封入されている。
平板51、52としては、足場材料1を挟んでしっかりと固定するのに適した強度を有するものであればよく、例えば、アクリル板が挙げられる。
シート53としては、開口51a、52aを密封でき、かつ必要に応じてチューブ等を接続することができるものであればよく、例えば、シリコンゴムからなるシートが挙げられる。
また、開口51a、52aの大きさは特に限定されず、形状が円形状である場合、その直径は細胞培養用モジュールの大きさにも依るが、1mm以上でナノファイバー層の短辺を上限とすることが好ましい。
平板61、62、シート63は、平板51、52、シート53と同じものを用いることができる。
開口51aおよび開口52aと開口61aおよび開口62aの形状および大きさは、同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
ナノファイバー層20への培養細胞の接着は、足場材料1を下底50と上蓋60で挟んで固定する前に行うことも出来るし、固定した後、下底50もしくは上蓋60の開口部からシート53もしくはシート63に注射器を刺す等して行うことも出来る。
例えば、モジュール100において、中空糸膜11a、31aとしてガス分離膜である中空糸膜、中空糸膜11b、31bとして物質選択透過性を有する中空糸膜を用いた場合、中空糸膜11a、31aの片端より酸素を含むガスを供給しつつ、他方の端部より該ガスを排出させ、かつ中空糸膜11b、31bの片端より培養細胞の栄養を供給し、他方の端部より該培養細胞の老廃物や代謝物を排出させることができる。これにより、排出される成分をオンラインで分析することで、細胞を培養しながら連続的に細胞の生育状況を評価することも可能である。
また、モジュール100は、下底50と上蓋60を用いて足場材料1を液密に封入するため、足場材料1を容器中の培養液中に浸漬させるような形態に比べ、モジュールをコンパクト化することができる点でも好ましい。
尚、本発明の細胞培養用モジュールは、図5に例示したモジュール100には限定されない。
本実施例におけるナノファイバーの直径の測定方法は以下の通りである。
[ナノファイバー層の観察]
ナノファイバー層の観察には、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡JSM−6060Aを用いた。
ナノファイバーの単繊維の直径は、得られたSEM写真を画像解析ソフト((株)プラネトロン製、Image−Pro Plus ver.4.5.0.24)を用いて画像解析することによって求めた。SEM写真のスケールに対して、画像解析のスケールが合うように調整した後、SEM写真中の任意の20本のナノファイバーの表面の幅を求め、その平均値をナノファイバーの単繊維の直径とした。
[実施例1]
ナノファイバー層の形成は、カトーテック製のNEUナノファイバーエレクトロスピニングユニットを用いた。前記エレクトロスピニングユニットのドラム型のターゲットにアルミ箔を固定した。ナノファイバーを形成するポリマーとして、質量平均分子量(Mw)が約350000、アクリロニトリル含量が約97%のポリアクリロニトリル系重合体を用いた。このポリアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに10wt%になるように溶解して紡糸原液とした。この紡糸原液を18Gのノズル(ニードル)が取り付けられたシリンジ内に充填し、エレクトロスピニングを行ってアルミ箔上にナノファイバー層20Aを作製した。紡糸条件は、ターゲットである金属ドラムの周速度を1m/min、印加電圧を12kV、ノズル先端とターゲットの距離を100mmとし、紡糸時間を60分とした。
ナノファイバー層20AのSEM写真を図6(A)、(B)に示す。ナノファイバー層20の厚みは約5μmであった。また、ナノファイバーの直径は、約200nmであった。
底枠41(縦35mm×横35mm、枠部分の幅10mm)に、中空糸膜31aを2mm間隔で配置し、次いで該中空糸膜31aに対して直交する方向に沿って中空糸膜31bを2mm間隔で配置した中空糸膜メッシュ30を形成した。この際、中空糸膜31aと中空糸膜31bで構成されるメッシュ部分は約15mm×15mmになるように配置し、底枠外の中空糸膜の端部を仮止めした。
この型枠40に固定された細胞培養足場材料1Aの写真を図7に示す。
ナノファイバー層の作製において紡糸時間を120分に変更した以外は、実施例1と同様にしてナノファイバー層20Bを形成し、細胞培養足場材料1Bを形成した。
ナノファイバー層20BのSEM写真を図8(A)、(B)に示す。ナノファイバー層20Bの厚みは約10μmであった。また、ナノファイバーの直径は、約200nmであった。得られた細胞培養足場材料の写真は省略する。
[実施例3]
実施例1で用いた型枠40に固定された細胞培養足場材料1Aを、2枚のアクリル板間にシリコンゴムからなるシートを配置した下底50と、下底50と同様に2枚のアクリル板間にシリコンゴムからなるシートを配置した上蓋60とで挟み、クリップで固定して細胞培養用モジュール100Aを得た。
細胞培養用モジュール100Aの写真を図9に示す。
この細胞培養用モジュール100Aは、本発明の細胞培養足場材料を用いているため、優れた効率で細胞培養を行うことができる。
[実施例4]
実施例3で製造した細胞培養用モジュール100Aを用いて、ヒト胎児肝細胞(Hc細胞、大日本住友製薬社製)の灌流培養を31日間行った。該培養は、中空糸膜11a、31aを含む培地循環回路を形成し、該回路を用いて細胞培養用モジュール100AにCS−C培地(Cell Systems社製)を4.0mL/hr〜6.8mL/hrで灌流させながら行った。灌流させる前記CS−C培地の交換時期は、培地のpH(pH指示薬)とグルコース濃度(測定試薬:グルコースCII−テストワコー、和光純薬工業社製)の測定結果から判断し、培養開始から13、22、27日目にそれぞれ新しい培地に交換した。また、培養開始から17日目からは、エアポンプにより中空糸膜11b、31bから細胞培養用モジュール100Aに空気を供給(約1L/min)しつつ培養を行った。
31日間の灌流培養における細胞密度の変化を図10に示す。細胞密度は、培地中のグルコース濃度の減少度合いから算出した。図10中の破線は、空気の供給の開始時点を示す。また、31日間の培養後の細胞用足場材料における細胞形態を位相差倒立顕微鏡(ECLIPSE−TE300、Nikon社製)により観察した顕微鏡写真を図11(観察倍率32倍)および図12(観察倍率56倍)に示す。なお、図11および図12における(A)および(B)は、同一の細胞培養足場材料におけるそれぞれ別の部分を観察した写真である。
実施例1で製造した細胞培養足場材料100Aを、35mm培養ディッシュ内のCS−C培地(Cell Systems社製)中に入れ、ヒト胎児肝細胞(Hc細胞、大日本住友製薬社製)を22日間、静置培養した。該培養は、細胞培養足場材料1A内部への物質移動を良好にするために、ディッシュを振盪しながら行った。前記CS−C培地の交換時期は、培地のpH(pH指示薬)とグルコース濃度(測定試薬:グルコースCII−テストワコー、和光純薬工業社製)の測定結果から判断し、6日目までは2日間隔、7〜10日目は1日間隔、11〜14日目は18時間間隔、15〜22日目は12時間間隔で交換した。
31日間の静置培養における細胞密度の変化を図13に示す。細胞密度は、培地中のグルコース濃度の減少度合いから算出した。また、22日間の培養後の細胞用足場材料における細胞形態を位相差倒立顕微鏡(ECLIPSE−TE300、Nikon社製)により観察した顕微鏡写真を図14(観察倍率56倍)に示す。また、22日後の細胞用足場材料上の細胞をホルマリンで固定した後、細胞骨格と核を染色し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した顕微鏡写真を図15に示す。なお、図14および図15における(A)および(B)は、同一の細胞用足場材料におけるそれぞれ別の部分を観察した写真である。また、図15においては、左上が細胞骨格を観察した写真、右上が核を観察した写真、左下が細胞用足場材料を観察した写真、右下が細胞骨格および核を観察した写真である。
Claims (2)
- 中空糸膜がメッシュ状に配置された複数の中空糸膜メッシュと、ナノファイバーの集合体からなるナノファイバー層とからなり、前記ナノファイバー層が前記中空糸膜メッシュ間に配置された積層体を有する細胞培養足場材料。
- 請求項1に記載の細胞培養足場材料を用いた細胞培養用モジュール。
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JP2010148496A (ja) | 2010-07-08 |
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