JP2014116563A - リアクトル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リアクトル本体1は、磁性体を主材料とするコア3を樹脂モールド成形体4で包み込み、その樹脂モールド成形体4の外表にコイル5を巻回することで構成し、支持体2は、リアクトル本体1に合わせた寸法の収容空間を有するバスタブ状に形成されており、これらリアクトル本体1と支持体2とを複数本の固定具6で連結する。この固定具6のうち少なくとも一本は、可撓性固定具62とする。
【選択図】図1
Description
(全体構成)
図1に示すリアクトルは、巻線を利用して交流成分に対して誘導性リアクタンスを与える受動素子であり、インバータ回路、アクティブフィルタ回路、直流昇圧回路等に使用されている。このリアクトルは、リアクトル本体1と、リアクトル本体1を固定する支持体2を有する。
コア3の主材料は、例えばフェライトが挙げられる。このコア3は、環形状を有し、その断面は略矩形である。例えば、コア3は、環中心の空隙部分が視認可能な方向から見ると、平行に配設された同長の2本の直線部分31とこれらの端部を繋ぐ2つの半円形からなる角丸長方形状を有している。
このリアクトルは車両等の熱変化の大きい環境に設置される。熱変化が大きいと、樹脂モールド成形体4と金属製の支持体2との線膨張率の違いにより、リアクトル本体1と支持体2とのギャップが変化する。より詳細には、主に、樹脂モールド成形体4の胴周りと支持体2の内壁面とのギャップが変化する。
以上のように、本実施形態に係るリアクトルは、樹脂モールド成形体4に複数の取り付け端子を設け、その固定具6のうちの少なくとも一本は、可撓性固定具62とした。この可撓性固定具62は、例えば、変形基点となる屈曲部621を有するように構成すればよい。これにより、樹脂モールド成形体4と支持体2との間に線膨張の違いによるギャップ変化が発生しても、可撓性固定具62が其のギャップ変化を吸収するように変形するため、固定具6に対する引張り応力や圧縮応力の残存を抑制でき、樹脂モールド成形体4や支持体2に其の応力が伝達して破壊に繋がることを防止することができる。
(構成)
第2の実施形態に係るリアクトルは、可撓性固定具62と不撓性固定具63の形成態様の変形例である。第1の実施形態においては、可撓性固定具62は根元から突出先端までを金属を露出させた状態で配置した。また、不撓性固定具63は、ボルト穴61周りのカラーを除き、全てを樹脂モールド成形体4と一体にモールド成形した。その他、可撓性固定具62と不撓性固定具63は、次のようにして形成することもできる。
解析ソフトを用いて、本実施形態のリアクトルに対して各方向から加振したときの応力分布を解析した。
以上のように、本実施形態のリアクトルにおいて、可撓性固定具62は、振動に対する塑性変形が抑制される固定部626を一部に有するようにした。固定部626の形成箇所としては、振動に起因する応力が集中しやすい箇所である。例えば、固定部626は、樹脂モールド成形体4から突出する可撓性固定具62の突出基端となる根元625である。
(構成)
第1及び2の実施形態に係るリアクトルは、可撓性固定具62の塑性変形により樹脂モールド成形体4と支持体2との間に生じるギャップ変化を吸収し、樹脂モールド成形体4に引張り力や圧縮力が及ぶのを阻止している。要するに、本発明に係るリアクトルは、樹脂モールド成形体4と支持体2との連結機構においてギャップ変化を吸収している。第3の実施形態に係るリアクトルは、樹脂モールド成形体4と支持体2との連結機構におけるギャップ変化の吸収態様の変形例である。
このリアクトルにおいては、固定具6の穴部64に支持体2の隆起部22を嵌め込み、固定具6の穴部64側からボルト8を挿入して、当該穴部64の縁がフランジ81に押し付けられるまで、支持体2のボルト穴21にボルト8をねじ込むことで、リアクトル本体1を支持体2に連結する。すなわち、隆起部22とボルト8が穴部64に対する挿通物である。
このように、本実施形態に係るリアクトルは、固定具6に穴部64が形成され、支持体2には当該穴部64よりも小径の隆起部22が形成されている。そして、樹脂モールド成形体4と支持体2とは、支持体2の隆起部22が固定具6の穴部64に嵌め込まれることで、穴部64と隆起部22とを相対移動可能にしつつ連結する。この態様によっても、固定具6にはギャップ変化に伴う引張り応力や圧縮応力を残存させず、樹脂モールド成形体4や支持体2に其の応力が伝達して破壊に繋がることを防止することができる。
(構成)
第4の実施形態に係るリアクトルは、第3の実施形態に係るリアクトルの変形例であり、挿通物はボルト8である。図11に示すように、支持体2に隆起部22は設けず、固定具6の穴部64の内周面とボルト8の外周面との間に遊間7を設け、ボルト8の頭部と固定具6の穴部64の縁との間に皿バネ9を介在させることで、穴部64の縁を押さえ込むものである。
まず、このリアクトルにおいては、ボルト8が有する頭部が皿バネ9を押さえ、皿バネ9が其の押圧力を受けて穴部64の縁を押さえ込んでいるため、穴部64から隆起部22が脱落することはない。すなわち、皿バネ9は、ボルト8の頭部の下面から圧力を受け、その圧力を穴部64の縁に伝えるものであれば、形状、素材、及び弾性力に限定はなく、例えばウェーブワッシャーも皿バネ9の一種である。
このように、本実施形態に係るリアクトルは、固定具6に穴部64が形成され、支持体2には当該穴部64よりも小径のボルト8がねじ込まれる。そして、樹脂モールド成形体4と支持体2とは、穴部64とボルト8とが相対移動可能にしつつ連結する。この態様によっても、固定具6にはギャップ変化に伴う引張り応力や圧縮応力が残存せず、樹脂モールド成形体4や支持体2に其の応力が伝達して破壊に繋がることを防止することができる。
第3の実施形態に係るフランジ81及び第4の実施形態に係る皿バネ9は、リテーナとして機能するものである。そのため、フランジ81や皿バネ9が不存在であっても、ギャップの拡大及び縮小する方向については、固定具6と支持体2とは遊間7の範囲内で相対移動可能であり、線膨張の違いによるギャップ変化を吸収できることはいうまでもない。
図13に示すように、第6の実施形態に係るリアクトルでは、支持体2の縁には、ギャップが拡大及び縮小する方向と直交するように延びる長板12が固定されている。長板12は、両端が支持体2の縁に固定されている。固定具6は、長板12の胴体部分によって支持体2に押さえつけられることで、支持体2と連結される。換言すると、固定具6は、長板12と支持体2の縁との間に固定具6は差し込まれている。長板12の下面には、粗面化や凹凸の形成により抵抗部12aが形成されており、固定具6との摩擦係数を増加させ、ガタツキを防止している。
第7の実施形態に係るリアクトルは、第6の実施形態の変形例である。図14に示すように、第6の実施形態に係るリアクトルでは、長板12の代わりに、支持体2に鈎状部13を設ける。鈎状部13は、支持体2の縁面から連続して立ち上がり、樹脂モールド成形体4側に直角に折れ曲がっている。固定具6は、鈎状部13と支持体2の縁面との間に形成される空間に差し込まれることで支持体2と連結する。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。
2 支持体
21 ボルト穴
22 隆起部
3 コア
31 直線部分
31a 磁性体ブロック
32 スペーサ
4 樹脂モールド成形体
41 第1分離体
42 第2分離体
43 エッジ
44 境界部
45 根元被覆部
46 陥没領域
5 コイル
6 固定具
61 ボルト穴
62 可撓性固定具
621 屈曲部
621a 基端側屈曲部
621b 締結側屈曲部
622 基端側水平部
623 締結側水平部
624 垂直部
625 根元
626 固定部
63 不撓性固定具
64 穴部
7 遊間
8 ボルト
81 フランジ
9 皿バネ
10 ネジ部
11 ナット
12 長板
13 鈎状部
13a 抵抗部
G ギャップ
Claims (20)
- 磁性体からなるコアと、
前記コアを包み込む樹脂モールド成形体と、
前記樹脂モールド成形体を介して前記コアに巻回されるコイルと、
前記樹脂モールド成形体に設けられる複数の固定具と、
前記固定具を介して前記樹脂モールド成形体と固定される支持体と、
を備え、
前記複数の固定具のうち少なくとも一本は、可撓性固定具であること、
を特徴とするリアクトル。 - 前記可撓性固定具は、変形基点となる屈曲部を有すること、
を特徴とする請求項1記載のリアクトル。 - 前記可撓性固定具は、変形基点となる2連の屈曲部を有し、前記樹脂モールド成形体から外方へ水平に突出した後、二度の屈曲を経て再び外方へ水平に延びていること、
を特徴とする請求項2記載のリアクトル。 - 前記可撓性固定具以外に、不撓性固定具を備えること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のリアクトル。 - 前記不撓性固定具は、前記樹脂モールド成形体と一体の樹脂で被覆されて形成されていること、
を特徴とする請求項4記載のリアクトル。 - 前記不撓性固定具は、前記樹脂モールド成形体と一体の樹脂で形成されていること、
を特徴とする請求項4記載のリアクトル。 - 前記コアは、磁性体ブロックとスペーサとを交互に積層してなり、
前記可撓性固定具は、前記磁性体ブロックと前記スペーサの積層方向に変形容易に配設されるとともに、前記樹脂モールド成形体の一方の端にのみ設けられ、
前記不撓性固定具は、前記樹脂モールド成形体の他方の対向端にのみ設けられていること、
を特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載のリアクトル。 - 前記可撓性固定具は、変形が抑制される固定部を一部に有すること、
を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のリアクトル。 - 前記固定部は、前記樹脂モールド成形体と一体の樹脂で被覆されて形成されていること、
を特徴とする請求項8記載のリアクトル。 - 前記固定部は、前記樹脂モールド成形体から突出する前記可撓性固定具の突出基端となる根元であること、
を特徴とする請求項8又は9記載のリアクトル。 - 前記不撓性固定具は、
先端にボルトを挿入するためのボルト穴と、
前記ボルト穴の周囲の少なくとも一部を囲む樹脂のエッジで画成された、当該ボルト穴に通じる陥没領域と、
を有し、
前記支持体は、
ボルト穴が形成され、陥没領域と同寸法の隆起部を有し、
前記陥没領域に前記隆起部を嵌め込むと、前記不撓性固定具と前記支持体の双方のボルト穴が位置合わせされること、
を特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載のリアクトル。 - 磁性体からなるコアと、
前記コアを包み込む樹脂モールド成形体と、
前記樹脂モールド成形体を介して前記コアに巻回されるコイルと、
前記樹脂モールド成形体に設けられる複数の固定具と、
前記固定具を介して前記樹脂モールド成形体と連結される支持体と、
前記固定具を前記支持体に押さえ込むリテーナ部材と、
を備え、
前記固定具を前記支持体と前記リテーナ部材とで挟み込むことで、前記固定具を介して前記樹脂モールド成形体を前記支持体に連結するとともに、前記固定具を前記支持体に対し相対的に摺動可能とすること、
を特徴とするリアクトル。 - 前記固定具は、先端に設けられた穴部を備え、
前記支持体は、前記穴部よりも径の小さい、前記穴部への挿通部を備え、
前記支持体と前記樹脂モールド成形体とは、前記固定具の前記穴部と前記支持体の前記挿通部とに遊間を存在させつつ連結されること、
を特徴とする請求項12記載のリアクトル。 - 前記挿通部は、
前記支持体に形成され、前記固定具の前記穴部よりも小径の隆起部と、
前記隆起部にねじ込まれるボルトであること、
を特徴とする請求項13記載のリアクトル。 - 前記ボルトは、前記リテーナ部材として、前記固定具の前記穴部の径よりも長い突出長のフランジを有し、
前記ボルトを前記隆起部に挿入することで、前記フランジで前記穴部の縁を押さえ込むこと、
を特徴とする請求項14記載のリアクトル。 - 前記挿通部は、前記支持体にねじ込まれるネジ部であり、
前記リテーナ部材は、前記ネジ部に螺合するナットであること、
を特徴とする請求項13記載のリアクトル。 - 前記挿通部は、前記支持体にねじ込まれるボルトであり、
前記リテーナ部材として椀状の皿バネを更に備え、
前記ボルトの頭部と前記穴部の縁との間に前記皿バネを介挿することで、前記ボルトの頭部により前記皿バネを介して前記穴部の縁を押さえ込むこと、
を特徴とする請求項13記載のリアクトル。 - 前記リテーナ部材は、両端が前記支持体に固定された長板であり、
前記固定具は、前記長板の胴体部分によって前記支持体に押さえつけられること、
を特徴とする請求項12記載のリアクトル。 - 前記リテーナ部材は、前記支持体の縁面から立ち上がって折れ曲がった鈎状部であり、
前記固定具は、前記鈎状部と前記支持体の縁面とに囲まれる空間に差し込まれること、
を特徴とする請求項12記載のリアクトル。 - 前記支持体は金属製であること、
を特徴とする請求項1乃至19の何れかに記載のリアクトル。
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