JP2014114455A - 撥水撥油性複合膜形成溶液とそれを用いた撥水撥油性複合膜の製造方法とその方法を用いて製造した撥水撥油性複合膜 - Google Patents

撥水撥油性複合膜形成溶液とそれを用いた撥水撥油性複合膜の製造方法とその方法を用いて製造した撥水撥油性複合膜 Download PDF

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Abstract

【課題】自動車や建物の窓用あるいは電磁調理器のトッププレートにおいて、耐摩耗性および耐候性、水滴離水性、防汚性に優れた撥水撥油防汚被膜を、膜を形成する際、塩酸を発生させずに(あるいは大幅に減少できる)、撥水撥油性複合膜形成溶液を提供する。
【解決手段】(1)CF3(CF2)n(CH2)2Si(OA)3、[CF3(CF2)n(CH2)2]2Si(OA)2、または[CF3(CF2)n(CH2)2]3SiOA(nは、1〜22の整数、Aはアルキル基)と(2)Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、(CH3O)3Si(OSi(OCH3)2)mOCH3(但し、mは整数)、SiH(OC2H5)3、SiH2(OC2H5)2、または(C2H5O)3Si(OSi(OC2H5)2)mOC2H5(但し、mは整数)と(3)非水系有機溶媒を含み(4)シラノール縮合触媒または(5)酸触媒を含む撥水撥油性複合膜形成溶液。
【選択図】図1

Description

本発明は、高耐久性の撥水撥油性複合膜形成溶液とそれを用いた撥水撥油性複合膜の製造方法とそれを用いた撥水撥油性複合膜形成溶液に関するものである。詳しくは、撥水撥油防汚機能が要求される自動車や建物の窓用ガラス板あるいは電磁調理器のトッププレート用ガラス板の撥水処理に用いる撥水撥油性複合膜形成溶液に関するものである。さらに、それを用いた撥水撥油性複合膜の製造方法とその方法を用いて製造した撥水撥油性複合膜に関するものである。
一般にフッ化炭素基含有クロロシラン系の吸着剤と非水系の有機溶媒よりなる化学吸着液を用い、液相で化学吸着して単分子膜状の撥水性化学吸着膜を形成できることはすでによく知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このような溶液中での化学吸着単分子膜の製造原理は、基材表面の水酸基などの活性水素とクロロシラン系の吸着剤のクロロシリル基との脱塩酸反応を用いて単分子膜を形成することにある。
特開平02−258032号 公報
しかしながら、従来の化学吸着膜は吸着剤と基材表面との化学結合のみを用いているため、耐摩耗性に乏しいという課題があった。また、クロロシラン系界面活性剤を用いた方法では、製膜時に塩酸が多量に発生するため、製造は、特別な脱塩酸設備を備えた隔離された場所で行わなければならないという課題があった。
本発明は、撥水撥油防汚機能が要求される自動車や建物の窓用ガラス板あるいは電磁調理器のトッププレートにおいて、耐摩耗性および耐候性等の耐久性、水滴離水性(滑水性ともいう)、防汚性の向上を目的とする。また、ガラス板上に撥水撥油防汚膜を形成する際、塩酸を発生させずに(あるいは大幅に減少できる)、耐摩耗性および耐候性等の耐久性、および水滴離水性(滑水性ともいう)、防汚性(汚れ防止や付着物の剥離性)に優れた撥水撥油性複合膜を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、第1番目の発明は、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とアルコキシシシリル基を主成分とする物質と非水系有機溶媒を含むことを特徴とする撥水撥油性複合膜形成溶液を提供することを要旨とする。
フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とアルコキシシシリル基を主成分とする物質を合わせて用いると、クロロシリル基が加水分解して発生する塩酸がアルコキシシシリル基の脱アルコール反応の触媒として働き製膜時間を短縮する上で都合がよい。また、アルコキシシシリル基を主成分とする物質を合わせて用いることにより、全てクロロシリル基を含む物質を用いる場合に比べて、クロロシリル基が加水分解して発生する塩酸を低減できて好都合である。
なお、このとき、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とアルコキシシシリル基を主成分とする物質の分子組成比が、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐久性を大幅に向上させる上でさらに都合がよい。
第2番目の発明は、第1番目の発明において、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3(nは整数)を用い、アルコキシシシリル基を主成分とする物質としてSi(OCH、Si(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を用いることを特徴とする撥水撥油性複合膜形成溶液を提供する。
第3番目の発明は、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質と非水系有機溶媒を含むことを特徴とする撥水撥油性複合膜形成溶液を提供することを要旨とする。
フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質を合わせて用いると、クロロシリル基が加水分解して発生する塩酸がアルコキシシシリル基の脱アルコール反応の触媒として働き製膜時間を短縮する上で都合がよい。また、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシシリル基を主成分とする物質を合わせて用いることにより、全てクロロシリル基を含む物質を用いる場合に比べて、クロロシリル基が加水分解して発生する塩酸を大幅に低減できて好都合である。
なお、このとき、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質の分子組成比が、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐久性を大幅に向上させる上でさらに都合がよい。
第4番目の発明は、第3番目の発明において、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2(CHSi(OA)、または[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはアルキル基)を用い、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)を用いることを特徴とする撥水撥油性複合膜形成溶液を提供する。
第5番目の発明は、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒または酸触媒を含むことを特徴とする撥水撥油性複合膜形成溶液を提供することを要旨とする。
第6番目の発明は、第5番目の発明において、少なくとも酸触媒が有機酸であることを特徴とする撥水撥油性複合膜形成溶液を提供する。
フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシシリル基を主成分とする物質の脱アルコール反応触媒として有機酸を用いると、安価で、クロロシリル基を含む物質を用いる場合に比べて、クロロシリル基が加水分解して発生する塩酸を全く発生させずに被膜を形成できて好都合である。
なお、このとき、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシシリル基を主成分とする物質の分子組成比が、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐久性を大幅に向上させる上でさらに都合がよい。
第7番目の発明は、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2(CHSi(OA)、または[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはアルキル基)を用い、アルコキシシシリル基を主成分とする物質としてSi(OCH、Si(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を用いることを特徴とする撥水撥油性複合膜形成溶液である。この様な物質を用いれば、クロロシリル基を全く含まないので、塩酸が発生することは皆無であり、製造においては都合がよい。
第8番目の発明は、第1乃至7の発明の撥水撥油性複合膜形成溶液に基材を接触反応させて表面に撥水撥油性複合膜を形成することを特徴とする撥水撥油防汚性複合膜の製造方法を提供することを要旨とする。
第9番目の発明は、第8の発明の製造方法を用いて作成されたことを特徴とする撥水撥油防汚性複合膜を提供するものである。
第1乃至6の発明の撥水撥油性複合膜形成溶液を用いて作成した撥水撥油防汚性複合膜は、シロキサン結合の網目構造の中にフッ化炭素基が突き出た構造となり、撥水性能の耐久性を向上する上で、好都合である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず、第1番目の発明である自動車や建物の窓用ガラス板、あるいは電磁調理器のトッププレートに用いる撥水撥油防汚性ガラス板について製造方法(第3および第4番目の発明)と共に説明する。
例えば、乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。)でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSiCl3(nは正数)と、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリルキ基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を、非水系の水をほとんど含まない有機溶媒(例えば、ヘキサデカン)にそれぞれ0.01M/Lの濃度になるように溶解して(この場合、前者と後者の分子組成比1:1になる)複合膜形成溶液を作成する。
次に、風冷強化された自動車窓用ガラス板(建物窓用ガラス板あるいは電磁調理器の耐熱トッププレート用ガラス板を用いても同様であった。)をよく洗浄し、乾燥後、自動車の外側となる面に前記複合膜形成溶液を塗布し1、2時間反応させる。
このとき、ガラス基板表面は水酸基すなわち活性水素を多数含み、且つ吸着水で被われているので、前記ガラス板表面で二つの物質のSiCl3基と前記水酸基や吸着水とが脱塩酸反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質が混合反応した状態で−SiO−結合を介して前記ガラス板表面に結合する。
すなわち、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質は、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1に変化して前記−SiO−結合を介して、ガラス板3表面やシロキサン基を主成分とする物質2と結合し、一方、クロロシリル基を主成分とする物質は、シロキサン基を主成分とする物質2に変化して前前記−SiO−結合介して、ガラス板3表面やフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1と結合する。
その後、表面の余分な複合膜形成溶液を洗浄除去する(第4番目の発明、有機溶媒を用いてふき取り除去しても良い。)と、数ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2を含み、且つ露出している水酸基4や内部の水酸基4’を多数含む複合膜5(可視光に対する透過率は、99%以上)を前記ガラス板3表面に形成できる。(図1(a))
なお、前記洗浄工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させる(第3番目の発明)か、あるいは布等でふき取ると、数十ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2を含み、且つ水酸基を多数含む複合膜(可視光に対する透過率は、98%以上)が前記ガラス板表面に形成できた。この場合、洗浄した場合に比べ厚さが厚くなり、透明性は洗浄除去した場合に比べ劣るが、利点は、より耐久性を向上できることにある。
その後、前記複合膜(洗浄したもの、あるいは溶媒を蒸発させた、又はふき取ったものでも良い。)が形成されたそれぞれのガラス板を300〜450℃、30〜120分程度の条件で加熱処理を行うと、膜中に残っていた水酸基4が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜6に変化する。その結果、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2よりなる耐摩耗性で且つ耐候性が高い撥水撥油性の複合膜7となり、高耐久性撥水撥油防汚性ガラス板を製造できる(図1(b))。
なお、300〜450℃で焼成時、雰囲気ガスとして3%の水素(爆発限界は4%。)を含む窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても被膜が酸化することなく焼成できる。
このときの撥水撥油防汚性ガラス板の水に対する接触角は、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2の組成に依存するので、組成を変えれば、95±10度に制御できる。また、0.02mlの水滴に対する転落角は35度以下に制御できる。
なお、複合膜形成溶液の溶媒を蒸発させて被膜を形成する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、低いほど早く蒸発除去できるので都合がよいが、取扱いの上では50〜150℃程度がよい。
一方、非水系の有機溶媒で洗浄する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、高いほど安定しているが、取扱いの上では150〜350℃程度がよい。
また、複合膜形成溶液のフッ化炭素基と炭化水素基とロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質の分子組成比を変えて、複合膜に含まれるフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2の分子組成比を、好ましくは1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質100%で作成した被膜の場合に比べて大幅に耐摩耗性を向上できる。
参考として、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質がCF3(CF2(CHSiClであり、クロロシリル基を主成分とする物質がSiClであり、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質が100%の被膜(比較例1)と、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質の組成が2:1の場合の被膜(実施例1)の耐摩耗試験における接触角変化の結果を図2に比較して示す。
一方、複合膜形成溶液のフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質1とクロロシリル基を主成分とする物質2の分子組成比を1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、水に対する接触角を95±10度(1:1〜6:1の場合は、100±5度)に制御でき、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質100%で作成した被膜(接触角は約110度)の場合に比べて大幅に水滴離水性能を向上(水滴転落角度を小さく)できる。
参考として、各種実験で得た水滴に対する接触角(他の物質を用いて得たデータも含めている。)と転落角の関係を図3に示す。
なお、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質として、一般には、以下のような物質が挙げられる。
CF3(CF2n(R)mSiXpCl3-p
(但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは0、1または2)
さらに、具体的には、以下に示す(1)-(7)が挙げられる。
(1) CF3CH2O(CH215SiCl3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29 SiCl3
(4) CF3COO(CH215SiCl3
(5) CF3(CF27(CH22SiCl3
(6) CF3(CF25(CH22SiCl3
(7) CF3(CF2764SiCl3
また、クロロシリル基を主成分とする物質として、SiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリルキ基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OCで表される化合物を用いることが可能である。
さらに、Si(OCHやSi(OCの代わりに、SiH(OCH3、SiH2(OCH2、または(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)や、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)も使用できる。
なお、このとき、Si(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)は、脱塩酸反応はしないが、フッ化炭素基およびクロロシリル基を含む化学吸着剤が反応して発生する塩酸が触媒となり、基材表面とシロキサン結合を形成する。
また、上記クロロシラン系の化学吸着剤の代わりに、全てのクロロシリル基をイソシアネート基に置き換えたイソシアネート系の化学吸着剤、例えば下記に示す(1)-(5)が挙げられる。
(1) CF3(CH2rSiXp(NCO)3-p
(2) CF3(CH2rSiXp(NCO)3-p
(3) CF3(CH2sO(CH2tSiXp(NCO)3-p
(4) CF3(CH2uSi(CH32(CH2vSiXp(NCO)3-p
(5) CF3 COO(CH2wSiXp(NCO)3-p
(但し、好ましい範囲としてrは1〜25、sは0〜12、tは1〜20、uは0〜12、vは1〜20、wは1〜25を示す。)
さらに、前記の吸着剤に加えて、下記に示す(1)-(7)の具体的吸着化合物が挙げられ、いずれも実施の形態2にも同様に使用できる。
(1) CF3CH2O(CH215Si(NCO)3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(NCO)3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29Si(NCO)3
(4) CF3COO(CH215Si(NCO)3
(5) CF3(CF27(CH22Si(NCO)3
(6) CF3(CF25(CH22Si(NCO)3
(7) CF3(CF2764Si(NCO)3
なお、この場合は、塩酸が発生しないメリットがある。
さらに、非水系溶媒としては、水を含まない炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒を用いることが可能であるが、特に沸点が50〜300℃のものが使用に適している。
具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等を挙げることができる。
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加しても良い。
さらにまた、実施の形態1において、一般の下地ガラス板の代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜や酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等をアルカリバリア膜として数ナノメートル乃至数十ミクロン程度の厚みで形成したガラス板を用いると、下地ガラス板からのアルカリ成分溶出を削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できる。
ここで、焼成時、実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても微量の不純物酸素を水素で除去でき、被膜の酸化を完全に防止できる。
なお、自動車以外で、建物窓用ガラス板や電磁調理器のトッププレート用ガラス板に用いる場合は、必要する耐摩耗性あるいは防汚性に応じて、適宜表面エネルギーを調整して用いればよい。
(実施の形態2)
次に、第2番目の発明である自動車の窓(建物の窓用ガラス板あるいは電磁調理器のトッププレートも同様である。)に用いる撥水撥油防汚性ガラス板について製造方法(第5および第6番目の発明)と共に説明する。
前記実施の形態1において、表面の余分な複合膜形成溶液を洗浄除去し(第4番目の発明の途中)、あるいは前記洗浄工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させるか、あるいは布等でふき取って(第3番目の発明の途中)複合膜(実施の形態2では下層複合膜となる。)を形成後、さらにもう1層、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1を含む上層膜を形成する(第5および第6番目の発明)。
例えば、乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。)でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSiCl3(nは正数)を用い、非水系の水をほとんど含まない有機溶媒(例えば、ヘキサデカン)に0.01M/Lの濃度になるように溶解して上層膜形成溶液を作成する。
次に、下層複合膜の形成された自動車窓用ガラス板を、自動車の外側となる面に前記上層膜形成溶液を塗布し1、2時間反応させる。
このとき、下層複合膜5の形成された自動車窓用ガラス板3の表面は、図1(a)に示すように、水酸基4、4’すなわち活性水素が多数残っている。そこで、前記ガラス板表面でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質のクロロシリル基(−SiCl3)基と前記表面に露出した水酸基4とが脱塩酸反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1’が−SiO−結合を介して前記ガラス板表面に結合する。
すなわち、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質は、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1’に変化して前記−SiO−結合を介して、ガラス板3表面で露出している水酸基4と結合して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1を含む被膜になる。
その後、表面の余分な上層膜形成溶液を洗浄除去する(第6番目の発明、有機溶媒を用いてふき取り除去しても良い。)と、数ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2よりなる下層複合膜と、前記下層複合膜表面に結合したフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1よりなる上層膜8よりなる2層構造の被膜を製造できる。
その後、さらに前記2層構造の被膜(洗浄したもの、あるいは蒸発又はふき取ったものでも良い。)が形成されたそれぞれのガラス板を300〜450℃、30〜120分程度の条件で加熱処理を行うと、膜内部に残っているSiOH基の水酸基4’が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜6’に変化する。その結果、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2よりなる下層複合膜7’とフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1よりなる上層膜8は、耐摩耗性、耐候性の高い撥水撥油性の2層膜9となり、水滴の接触角がおおむね110度の高耐久性の撥水撥油防汚性ガラス板を製造できる(図1(c))。この膜は、2層構造でも、可視光に対する透過率はほぼ99%以上である。
なお、前記洗浄除去する工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させるか、あるいは布等でふき取る(第5番目の発明)と、洗浄した場合に比べ厚さが厚い数十ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1よりなる上層膜(2層構造でも可視光に対する透過率は、98%以上)が前記ガラス板表面に形成できる。なお、この場合には、被膜の膜厚が厚くなり、透明性は洗浄除去した場合に比べ劣るが、実用上は全く問題が無く、より耐久性を向上できる。
このときの撥水撥油防汚性ガラス板の水に対する初期接触角は、最表面の上層膜の物性で決まり、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質として、例えば、CF3(CF2(CHSiCl3(nは正数)を用いた場合、おおむね105±10度に制御できる。また、0.02mlの水滴に対する転落角はほぼ45度以下に制御できる。
なお、上層膜形成溶液の溶媒を蒸発させて上層膜を形成する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、低いほど早く蒸発除去できるので都合がよいが、取扱いの上では50〜150℃程度がよい。
一方、非水系の有機溶媒で洗浄する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、高いほど安定しているが、取扱いの上では150〜350℃程度がよい。
参考として、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiClを用いた場合の2層構造の被膜の(実施例2)の耐摩耗試験における接触角変化の結果を図2に比較して示す。
また、水滴の転落角は、20マイクロリットルの水滴の場合、およそ45度であり、実施の形態1に比べ、接触角が大きくなる分、大きくなる(図3参照)欠点があるが、耐摩耗性はさらに大幅に向上できる。
なお、上層膜形成用のフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質として、一般には、以下のような物質が挙げられる。
CF3(CF2n(R)mSiXpCl3-p
(但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは0、1または2)
さらに、具体的には、以下に示す(1)-(7)が挙げられる。
(1) CF3CH2O(CH215SiCl3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29 SiCl3
(4) CF3COO(CH215SiCl3
(5) CF3(CF27(CH22SiCl3
(6) CF3(CF25(CH22SiCl3
(7) CF3(CF2764SiCl3
また、上記クロロシラン系の化学吸着剤の代わりに、全てのクロロシリル基をイソシアネート基に置き換えたイソシアネート系の化学吸着剤、例えば下記に示す(1)-(5)が挙げられる。
(1) CF3(CH2rSiXp(NCO)3-p
(2) CF3(CH2rSiXp(NCO)3-p
(3) CF3(CH2sO(CH2tSiXp(NCO)3-p
(4) CF3(CH2uSi(CH32(CH2vSiXp(NCO)3-p
(5) CF3 COO(CH2wSiXp(NCO)3-p
(但し、好ましい範囲としてrは1〜25、sは0〜12、tは1〜20、uは0〜12、vは1〜20、wは1〜25を示す。)
さらに、前記の吸着剤に加えて、下記に示す(1)-(7)の具体的吸着化合物が挙げられる。
(1) CF3CH2O(CH215Si(NCO)3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(NCO)3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29Si(NCO)3
(4) CF3COO(CH215Si(NCO)3
(5) CF3(CF27(CH22Si(NCO)3
(6) CF3(CF25(CH22Si(NCO)3
(7) CF3(CF2764Si(NCO)3
なお、この場合は、塩酸が発生しないメリットがある。
さらに、非水系溶媒としては、水を含まない炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒を用いることが可能であるが、特に沸点が50〜300℃のものが使用に適している。
具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等を挙げることができる。
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加しても良い。
さらにまた、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、一般のガラス板の代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜や酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等をアルカリバリア膜として数ナノメートル乃至数十ミクロン程度の厚みで形成したガラス板を用いると、ガラス板からのアルカリ成分溶出を削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できる。
ここで、焼成時、実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても微量の不純物酸素を水素で除去でき、被膜の酸化を完全に防止できる。
なお、自動車以外で、建物窓用ガラス板や電磁調理器のトッププレート用ガラス板に用いる場合は、必要する耐摩耗性あるいは防汚性に応じて、適宜表面エネルギーを調整して用いればよい。
(実施の形態3)
さらに、第1番目の発明である自動車や建物の窓用ガラス板あるいは電磁調理器のトッププレートに用いるガラス板について、他の製造方法(第7及び第8番目の発明)と共に説明する。
例えば、乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)でフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSi(OA)3(nは正数、Aは、メチル基、エチル基等のアルキル基)と、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物、あるいはアルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)とを、非水系の水をほとんど含まない有機溶媒(例えば、ヘキサデカン)にそれぞれ0.01M/Lの濃度になるように溶解して(この場合、前者と後者の分子組成比1:1になる)、さらにシラノール縮合触媒を0.0001M/Lの濃度になるように添加溶解して複合膜形成溶液を作成する。
次に、風冷強化された自動車窓用ガラス板(建物窓用ガラス板あるいは電磁調理器の耐熱トッププレート用ガラス板を用いても同様であった。)をよく洗浄し、乾燥後、自動車の外側となる面に前記複合膜形成溶液を塗布し1〜2時間反応させる。
このとき、ガラス基板表面は水酸基すなわち活性水素を多数含み、且つ吸着水で被われているので、前記ガラス板表面で二つの物質の−Si(OA)3基と前記水酸基や吸着水とが、シラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質が混合反応した状態で−SiO−結合を介して前記ガラス板表面に結合する。
すなわち、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質は、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11に変化して前記−SiO−結合を介して、ガラス板13表面やシロキサン基を主成分とする物質12と結合し、一方、アルコキシシリル基を主成分とする物質は、シロキサン基を主成分とする物質12に変化して前前記−SiO−結合介して、ガラス板13表面やフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1と結合する。
その後、表面の余分な複合膜形成溶液を洗浄除去する(第8番目の発明、有機溶媒を用いてふき取り除去しても良い。)と、数ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12を含み、且つ露出している水酸基14や内部の水酸基14’を多数含む複合膜15(可視光に対する透過率は、99%以上)を前記ガラス板13表面に形成できる。(図4(a))
なお、前記洗浄除去する工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させるか、あるいは布等でふき取る(第7番目の発明)と、数十ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12を含み、且つ水酸基を多数含む複合膜15(可視光に対する透過率は、98%以上)が前記ガラス板13表面に形成できた。この場合、洗浄した場合に比べ厚さが厚くなり、透明性は洗浄除去した場合に比べ劣るが、利点は、より耐久性を向上できることにある。
その後、前記複合膜(洗浄したもの。あるいは溶媒を蒸発させた、又はふき取ったものでも良い。)が形成されたそれぞれのガラス板を300〜450℃、30〜120分程度の条件で加熱処理を行うと、膜中に残っていた水酸基14,14’が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜16に変化する。その結果、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12よりなる耐摩耗性で且つ耐候性が高い撥水撥油性の複合膜17となり、高耐久性撥水撥油防汚ガラス板を製造できる(図4(b))。
このときの撥水撥油防汚ガラス板の水に対する接触角は、物質11と物質12の組成に依存するので、組成を変えれば、ほぼ95±10度に制御できる。また、0.02mlの水滴に対する転落角は35度以下に制御できる。
なお、複合膜形成溶液の溶媒を蒸発させて被膜を形成する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、低いほど早く蒸発除去できるので都合がよいが、取扱いの上では40〜300℃程度がよい。
一方、非水系の有機溶媒で洗浄する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、高いほど安定しているが、取扱いの上では300〜350℃程度がよい。
なお、前記2つの製造方法において、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄すると、製造における環境負荷を低減出来る。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と、アルコキシシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1にしておくと、耐久性と離水性を同時に向上出来る。
さらにまた、複合膜形成溶液のフッ化炭素基と炭化水素基とロシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質の分子組成比を変えて、複合膜に含まれるフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12の分子組成比を、好ましくは1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質100%で作成した被膜の場合に比べて大幅に耐摩耗性を向上できる。
参考として、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基のみを主成分とする物質がCF3(CF2(CHSi(OA)であり、アルコキシシリル基を主成分とする物質がSi(OA)であり、シラノール触媒としてジブチル錫ジアセチルアセトナートを用いた場合、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質の組成が2:1の場合の被膜(実施例5)と、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質のみの(100%)の被膜(実施例6)との耐摩耗試験における接触角変化の結果を図5に比較して示す。
なお、複合膜形成溶液のフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質11とアルコキシシリル基を主成分とする物質12の分子組成比を1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、水に対する接触角を95±10度(1:1〜6:1の場合は、100±5度)に制御でき、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質100%で作成した被膜(接触角は約110度)の場合に比べて大幅に水滴離水性能を向上(水滴転落角度を小さく)できる。
なお、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基のみを主成分とする物質として、一般には、以下のような物質が挙げられる。
CF3(CF2n(R)mSiXp(OA)3-p
(但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基、pは0、1または2)
より具体的には、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2(CHSi(OA)、あるいは[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)が上げられる。
さらに、具体的には、以下に示す(1)〜(18)があげられる。
(1) CF3CH2O(CH215Si(OCH3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(OCH3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29 Si(OCH3
(4) CF3COO(CH215Si(OCH3
(5) CF3(CF27(CH22Si(OCH3
(6) CF3(CF25(CH22Si(OCH3
(7) CF3(CF2764Si(OCH3
(8) CF3CH2O(CH215Si(OC3
(9) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(OC3
(10) CF3(CH26Si(CH32(CH29 Si(OC3
(11) CF3COO(CH215Si(OC3
(12) CF3(CF27(CH22Si(OC3
(13) CF3(CF25(CH22Si(OC3
(14) CF3(CF2764Si(OC3
(15)[CF3(CF2(CH222Si(OCH32
(16)[CF3(CF2(CH222Si(OC22
(17)[CF3(CF2(CH22SiOCH3
(18)[CF3(CF2(CH22SiOC2
が上げられる。
また、アルコキシシリル基を主成分とする物質として、Si(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物を用いることが可能である。
さらに、アルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)も使用できる。なお、これらの物質を添加すれば、基材表面と脱塩酸反応して少量の塩酸を生じるので、実質的に助触媒として働き、さらに製膜速度を速める効果がある。
さらにまた、シラノール縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が利用可能である。さらに具体的には、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートを用いることが可能である。
なお、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、反応時間を2倍程度早くでき、製膜時間を半分程度に短縮できる。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(1:9〜9:1)して用いると、さらに反応時間を数倍程度早くでき、製膜時間を数分の一に短縮できる。
さらに、非水系溶媒としては、水を含まない炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒を用いることが可能であるが、特に沸点が40〜300℃のものが使用に適している。
具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、ノナン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等を挙げることができる。
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒の365LIVE(大和化学工業(株)製品)や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭硝子社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を少量添加しても良い。
さらにまた、実施の形態3において、一般のガラス板の代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜や酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等をアルカリバリア膜として数ナノメートル乃至数十ミクロン程度の厚みで形成したガラス板を用いると、下地ガラス板からのアルカリ成分溶出を削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できる。
さらにまた、下地ガラス板としてフロートガラスを用い、スズを含む面に被膜を形成すると、耐摩耗性を向上出来る。
ここで、焼成時、実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても微量の不純物酸素を水素で除去でき、被膜の酸化を完全に防止できる。
なお、自動車以外で、建物窓用ガラス板や電磁調理器のトッププレート用ガラス板に用いる場合は、必要する耐摩耗性あるいは防汚性に応じて、組成比を変え適宜表面エネルギーを調整して用いればよい。
(実施の形態4)
また、第2番目の発明である自動車や建物の窓用ガラス板あるいは電磁調理器のトッププレートに用いるガラス板について、もう一つの製造方法(第9及び第10番目の発明)と共に説明する。
前記実施の形態3において、表面の余分な複合膜形成溶液を洗浄除去し(第10番目の発明の途中)、あるいは前記洗浄工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させるか、あるいは布等でふき取って(第9番目の発明の途中)、複合膜(本実施の形態4では下層複合膜となる。)を形成後、さらにもう1層、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11を含む上層膜を形成する。
例えば、乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)でフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSi(OA)3(nは正数)を用い、非水系の水をほとんど含まない有機溶媒(例えば、ヘキサデカン)に0.01M/Lの濃度になるように溶解し、さらにシラノール縮合触媒を0.0001M/Lの濃度になるように添加溶解して上層膜形成溶液を作成する。
次に、自動車の外側となる面に実施の形態3と同様の方法で形成され、まだ焼成されてない下層複合膜の形成された自動車窓用ガラス板表面に、前記上層膜形成溶液を塗布し1乃至2時間反応させる。
このとき、下層複合膜15の形成された自動車窓用ガラス板13の表面は、図4(a)に示すように、水酸基14、14’すなわち活性水素が多数残っている。そこで、前記ガラス板表面でフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質のアルコキシシリル基(−Si(OA)3)基と前記表面に露出した水酸基14とがシラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11’が−SiO−結合を介して前記ガラス板表面に結合する。
すなわち、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質は、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11’に変化して前記−SiO−結合を介して、ガラス板13表面で露出している水酸基14と結合して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11を含む被膜になる。
その後、表面の余分な上層膜形成溶液を洗浄除去する(有機溶媒を用いてふき取り除去しても良い。第10番目の発明。)と、数ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12よりなる下層複合膜と、前記下層複合膜表面に結合したフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11よりなる上層膜18よりなる2層構造の被膜19を製造できる。
その後、さらに前記2層構造の被膜(洗浄したもの、あるいは蒸発又はふき取ったものでも良い。)が形成されたそれぞれのガラス板を300〜450℃、(より好ましくは、400±20℃が良い。)30〜120分程度の条件で加熱処理を行うと、膜内部に残っているSiOH基の水酸基14’が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜16’に変化する。その結果、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12よりなる下層複合膜17’とフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11よりなる上層膜18は、耐摩耗性、耐候性の高い撥水撥油性の2層膜19となり、水滴の接触角がおおむね105±5度の高耐久性の撥水撥油防汚ガラス板を製造できる(図4(c))。この膜は、2層構造でも、可視光に対する透過率はほぼ98%以上である。
なお、前記洗浄除去する工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させるか、あるいは布等でふき取る(第9番目の発明)と、洗浄した場合に比べ厚さが厚い数十ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11よりなる上層膜(2層構造でも可視光に対する透過率は、98%以上)が前記ガラス板表面に形成できる。なお、この場合には、被膜の膜厚が厚くなり、透明性は洗浄除去した場合に比べ劣るが、実用上は全く問題が無く、より耐久性を向上できる。
このときの撥水撥油防汚ガラス板の水に対する初期接触角は、最表面の上層膜の物性で決まり、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、例えば、CF3(CF2(CHSi(OA)3(nは正数)を用いた場合、おおむね105±10度に制御できる。また、0.02mlの水滴に対する転落角はほぼ45度以下に制御できる。
なお、上層膜形成溶液の溶媒を蒸発させて上層膜を形成する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、低いほど早く蒸発除去できるので都合がよいが、取扱いの上では40〜300℃程度がよい。
一方、非水系の有機溶媒で洗浄する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、高いほど安定しているが、取扱いの上では300〜350℃程度がよい。
なお、前記2つの製造方法において、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄すると、製造における環境負荷を低減出来る。
参考として、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)を用いた場合の2層構造の被膜の(実施例7)の耐摩耗試験における接触角変化の結果を実施例5および6の結果と共に図5に示す。
また、水滴の転落角は、20マイクロリットルの水滴の場合、およそ45度であり、実施例5の結果に比べ接触角が大きくなる分、水滴の転落角が大きくなる欠点がある(図3参照)が、耐摩耗性はさらに大幅に向上できる。
なお、上層膜形成用のフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、一般には、以下のような物質が挙げられる。
CF3(CF2n(R)mSiXp(OA)3-p
(但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基、pは0、1または2)
より具体的には、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2(CHSi(OA)、あるいは[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)が上げられる。
さらに、具体的には、以下に示す(1)〜(18)が上げられる。
(1) CF3CH2O(CH215Si(OCH3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(OCH3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29 Si(OCH3
(4) CF3COO(CH215Si(OCH3
(5) CF3(CF27(CH22Si(OCH3
(6) CF3(CF25(CH22Si(OCH3
(7) CF3(CF2764Si(OCH3
(8) CF3CH2O(CH215Si(OC3
(9) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(OC3
(10) CF3(CH26Si(CH32(CH29 Si(OC3
(11) CF3COO(CH215Si(OC3
(12) CF3(CF27(CH22Si(OC3
(13) CF3(CF25(CH22Si(OC3
(14) CF3(CF2764Si(OC3
(15)[CF3(CF2(CH222Si(OCH32
(16)[CF3(CF2(CH222Si(OC22
(17)[CF3(CF2(CH22SiOCH3
(18)[CF3(CF2(CH22SiOC2
が上げられる。
また、アルコキシシリル基を主成分とする物質として、Si(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物を用いることが可能である。
さらに、アルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)も使用できる。なお、これらの物質を添加すれば、基材表面と脱塩酸反応して少量の塩酸を生じるので、実質的に助触媒として働き、さらに製膜速度を速める効果がある。
さらにまた、シラノール縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が利用可能である。さらに具体的には、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートを用いることが可能である。
なお、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、反応時間を2倍程度早くでき、製膜時間を短縮できる。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(1:9〜9:1)して用いると、さらに反応時間を数倍程度早くでき、製膜時間を数分の一に短縮できる
さらに、非水系溶媒としては、水を含まない炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒を用いることが可能であるが、特に沸点が50〜300℃のものが使用に適している。
具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、オクタン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等を挙げることができる。
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒の365LIVE(大和化学工業(株)製品)や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭硝子社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を少量添加しても良い。
また、下層複合膜を形成する工程のみを複数回繰り返し、上層膜形成工程を行わなくとも、耐久性が高く且つ撥水撥油特性にかなり優れたガラス板を提供できる。
さらにまた、実施の形態4において、一般のガラス板の代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜や酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等をアルカリバリア膜として数ナノメートル乃至数十ミクロン程度の厚みで形成したガラス板を用いると、下地ガラス板からのアルカリ成分溶出を削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できる。
さらにまた、下地ガラス板としてフロートガラスを用い、スズを含む面に被膜を形成すると、耐摩耗性を向上出来る。
ここで、焼成時、実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても微量の不純物酸素を水素で除去でき、被膜の酸化を完全に防止できる。
なお、自動車以外で、建物窓用ガラス板や電磁調理器のトッププレート用ガラス板に用いる場合は、必要する耐摩耗性あるいは防汚性に応じて、適宜表面エネルギーを調整して用いればよい。
(実施の形態5)
次に、第11番目の発明である高耐久性の撥水撥油防汚性被膜が形成されたガラス板を窓ガラスとして装着した自動車であって、前記撥水撥油防汚性被膜が、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を少なくとも1層含んでおり、水に対する接触角が95±10度に制御されている自動車、および第12番目の発明である高耐久性の撥水撥油防汚性被膜が形成されたガラス板を窓ガラスとして装着した自動車であって、前記被膜が、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を少なくとも1層含む下層複合膜とフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を含む上層膜との複層膜であり、上層膜の水に対する接触角が105±5度に制御されている自動車について説明する。
自動車の雨天運転時の視認性を向上するためには、撥水撥油防汚性ガラスの水滴離水性、すなわち水に対する転落角は、低いほどよい。
一方、自動車の耐久性を考慮すると、窓ガラス表面に形成される撥水撥油防汚膜の耐摩耗性は高い方がよいが、多少の劣化は防ぎ得ない。
また、撥水撥油防汚膜の可視光(波長400〜700nmの光)に対する透過率が悪いと、夜間運転時の視認性が劣化してしまう。一方、被膜の厚みが、波長に近いと光の干渉が生じてしまう。
したがって、安全運転性能の向上をめざせば、膜厚は可視光の波長以下、出来れば一桁以上薄方がよい。可視光透過率は高い程よい。
以上の4点を考慮すると、膜厚は略100nm以下で、光透過率は波長400〜700nmの光に対して97%以上が望ましい。
さらに、摩耗や光による劣化、さらに防汚性を考慮すれば、図2、3より、水滴に対する初期接触角は95±10度、性能をより長く保つためには、より好ましくは100±5度程度に制御しておくべきであると結論される。
すなわち、実施の形態1で作成された窓ガラスを装着した自動車を製造すれば、上記条件を満たすことはほぼ可能であり、雨天時の安全運転に格別の効果を長期間に亘り発揮する自動車を提供できる。
一方、実施の形態2で作成された窓ガラスを装着した自動車を製造すれば、当初の水滴接触角はおよそ110度となり、上記条件の内、離水性能は当初多少不満足であるが、いずれ使用に伴って劣化して、最適値の95±10度になる。したがって、105度まで劣化するまでの劣化期間が耐久時間に加算されて、結果として耐用年数が大幅に長くなり、産業上の価値は大きい。
ここで、焼成時、実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても微量の不純物酸素を水素で除去でき、被膜の酸化を完全に防止できる。
また、実施の形態3で作成された窓ガラスを装着した自動車を製造しても、同様に上記条件を満たすことはほぼ可能であり、雨天時の安全運転に格別の効果を長期間に亘り発揮する自動車を提供できる。
一方、実施の形態4で作成された窓ガラスを装着した自動車を製造すれば、当初の水滴接触角はおよそ107度となり、上記条件の内、離水性能は当初多少不満足であるが、いずれ使用に伴って劣化して、最適値の95±10度になる。したがって、105度まで劣化するまでの劣化期間が耐久時間に加算されて、結果として耐用年数が大幅に長くなり、産業上の価値は大きい。
(実施の形態6)
なお、建物窓用ガラス板や電磁調理器のトッププレート用ガラス板に用いる場合は、実施の形態1乃至4において、必要する耐摩耗性あるいは防汚性に応じて適宜組成比を変え表面エネルギーを調整して用いればよい。また、撥水撥油防汚性被膜が形成されたトッププレートの耐熱性を向上させるためには、あらかじめ耐熱ガラス板の表面に微細な突起(好ましくは0.3〜1mm)を設けておくとよい。この場合、直接鍋底が被膜に接触することがないので、鍋底からの熱輻射や熱伝導を和らげて、トッププレートの耐熱性を向上出来るのみならず、耐摩耗性も向上できる。
以下、本発明の具体的な実施例を比較例とともに説明する。なお以下の実施例においては、とくに記載していない限り分子組成比はモル比を意味する。
乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。これ以上になると、被膜形成物質が加水分解して被膜が白濁した。)でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3と、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClを、非水系有機溶媒である水をほとんど含まない5%クロロホルム含有ジメチルシリコーン溶液に、それぞれ0.02M/Lと0.01M/Lの濃度(2:1)になるように溶解して、複合膜形成溶液を作成した。
次に、風冷強化された自動車窓用ガラス板(建物窓用ガラス板あるいは電磁調理器の耐熱強化トッププレート用ガラス板でも同様に取り扱いできた。)をよく洗浄し、乾燥後、乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。これ以上になると、被膜形成物質が加水分解して被膜が白濁した。)で自動車の外側となる面に前記複合膜形成溶液を塗布し、室温で1〜2時間放置反応させた。
このとき、ガラス基板表面は水酸基すなわち活性水素を多数含み、且つ吸着水で被われているので、前記ガラス板表面で二つの物質の≡SiCl基と前記水酸基や吸着水とが脱塩酸反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質が混合した状態で前記ガラス板表面に結合した。
フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質は、前記シリル基を介して、ガラス板表面やシロキサン基を主成分とする物質と結合し、シロキサン基を主成分とする物質は、シロキサン基を介して、ガラス板表面やフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質と結合した。
その後、表面の余分な複合膜形成溶液をエタノールで洗浄除去すると、略5nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜が前記ガラス板表面に形成できた。
なお、洗浄せずに前記非水系有機溶媒を蒸発させる(この場合、60乃至100℃でガラス板を加熱すると、溶媒の蒸発を早めることが可能であり、蒸発時間を短縮できた。)と、略30nm厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を、前記ガラス板表面に形成できた。また、ふき取った場合には、略10nm厚みとなった。
その後、複合膜が形成されたそれぞれのガラス板を実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガス中で400℃30分程度の加熱処理を行うと、−SiCl3基が吸着水と反応して生成された≡SiOH基の大部分が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜に変化して、耐摩耗性、且つ耐候性の高いフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質よりなる撥水撥油性の複合膜となり、250℃以下で焼成した場合に比べおよそ3倍の高耐久性で且つ撥水撥油防汚性のガラス板を製造できた。
また、400℃30分の焼成時、雰囲気ガスとして3%の水素(爆発限界は4%。)を含む窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても被膜が酸化することなく焼成できた。
なお、このとき、複合膜の光透過率は、洗浄の有無基関わらず、波長400〜700nmの光に対して98%以上であった。また、撥水撥油防汚性ガラス板の水に対する接触角は、洗浄の有無に関わらず、略103度であった。
また、0.02mlの水滴の転落角は略30度であった。さらに、摩耗試験では、加重500g/4cmの条件下で、水に対する接触角は、往復6000回のこすりに対して95度以上を維持できた。さらにまた、あらかじめガラス板表面にアルカリバリア膜を形成したガラス板を用いれば、さらに耐水性を向上できた。
さらにまた、一般のガラス板の代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜(酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等でも良い。)をアルカリバリア膜として約十ミクロン程度の厚みで形成したガラス板を用いると、ガラス板からのアルカリ成分溶出を相当削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できた。
ここで、クロロシリルキ基を主成分とする物質であるSiClの代わりに、Si(OCHやSi(OCで表される化合物を用いてもほぼ同様の結果が得られた。
なお、このとき、Si(OCHやSi(OCは、脱塩酸反応はしないが、フッ化炭素基およびクロロシリル基を含む化学吸着剤が反応して発生する塩酸が触媒となり、基材表面とシロキサン結合を形成する。
さらに、SiClの代わりに、SiH(OCH3、SiH2(OCH2、または(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)や、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)も使用できた。
(比較例1)
実施例1において、クロロシリル基を主成分とする物質SiClを除き同様の条件で撥水撥油防汚性ガラス板を試作した。基本性能である水に対する接触角を測定すると、112度であった。
また、水滴の転落角は、0.02mlの水滴で、当初略50度であった。さらに、摩耗試験を行った。加重500g/4cmの条件下での耐摩耗性評価結果を、実施例1と共に
に示す。
実用性を考慮した上で離水性能が最も好都合な接触角95度(図3参照)で見ると、往復2800回までしか耐えられなかった。また、図2から明らかなように、接触角が95度となる点で比較すると、実施例1のガラスに比べ1/2以下の耐摩耗性しか得られなかった。
以上の実験より、従来技術で製造した撥水撥油防汚性ガラス板は、本発明の製造方法を用いて製造した撥水撥油防汚性ガラス板に比べ、水に対する接触角は110度以上と高いが、そのため離水性能が劣るという欠点があることが確かめられた。また、耐摩耗性も劣ることが確認できた。
実施例1において、表面の余分な複合膜形成溶液をエタノールで洗浄除去して、略5nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む下層複合膜を形成した後、引き続いて、以下の工程を追加して2層構造の撥水撥油膜を形成した。
追加した工程を以下に示す。
すなわち、あらかじめ乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。これ以上になると、被膜形成物質が加水分解して被膜が白濁した。)で、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3を用い、非水系有機溶媒である水をほとんど含まない5%クロロホルム含有ジメチルシリコーン溶液に、0.01M/Lの濃度になるように溶解して、上層膜形成溶液を作成しておいた。
次に、下層複合膜の形成された自動車窓用ガラス板を準備し、自動車の外側となる面に、前記複合膜形成溶液を乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。これ以上になると、被膜形成物質が加水分解して被膜が白濁した。)で塗布し、室温で1〜2時間放置反応させた。
このとき、ガラス板表面の下層複合膜はある程度水酸基すなわち活性水素が露出しているので、前記ガラス板表面でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質の≡SiCl基と前記水酸基とが脱塩酸反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質が前記ガラス板表面に前記シリル基を介して結合した。
その後、表面の余分な上層膜形成溶液をエタノールで洗浄除去すると、略7nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を下層とし、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を含む被膜を上層膜とした2層構造の被膜を前記ガラス板表面に形成できた。
なお、洗浄せずに前記非水系有機溶媒を蒸発させる(この場合、60乃至100℃でガラス板を加熱すると、溶媒の蒸発を早めることが可能であり、蒸発時間を短縮できた。)と、略50nm厚みの2層構造の被膜を前記ガラス板表面に形成できた。
また、ふき取った場合には、略20nm厚みとなった。
以下、実施例1と同様に、2層構造の被膜が形成されたそれぞれのガラス板を実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガス中で400℃30分程度の加熱処理を行うと、膜中に残っていた≡SiOH基の大部分が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜に変化して、実施例1に比べ、さらに撥水性が高く且つ耐摩耗性、耐候性の高いフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む下層複合膜とフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を含む上層膜よりなる、2層構造の被膜が形成された高耐久性撥水撥油防汚性ガラス板を製造できた。なお、この場合も250℃以下で焼成した場合に比べ、5倍以上の高耐久性で且つ撥水撥油防汚性のガラス板を製造できた。
なお、このときも、2層構造の被膜の光透過率は、洗浄の有無基関わらず、波長400〜700nmの光に対して98%以上であった。また、撥水撥油防汚性ガラス板の水に対する接触角は、洗浄の有無に関わらず、略110±3度以内であった。
また、0.02mlの水滴の転落角は略45度であった。さらに、摩耗試験では、加重500g/4cmの条件下で、水に対する接触角は、往復9000回のこすりに対して95度以上を維持できた。さらにまた、あらかじめガラス板表面にアルカリバリア膜を形成したガラス板を用いれば、さらに耐水性を向上できた。
実施例1で作成したガラス板と同条件で作成した撥水撥油防汚性ガラス板を乗用車のフロント窓ガラス(ウインドシールドともいう、傾斜角略45度)、サイド窓ガラス(傾斜角略70度)、リア窓ガラス(傾斜角略30度)として装着し、雨天走行実験を試みた。
まず、停車中の雨水滴の付着状況を確認したが、直径5mm程度以上の水滴の付着は、リアガラスで多少認められたが、それ以外ではほとんど無かった。
次に、走行実験を試みたが、まずスピードが、45Km/時の場合、雨水滴の付着状況を確認した。直径5mm程度以上の水滴の付着は、サイド窓ガラス、リア窓ガラスともほとんど無かった。また、フロント窓ガラスでは、走行時、雨水滴が連続して多量に付着したが、直径5mm程度以上の水滴は上後方方向にゆっくり移動し、その後飛散して視界を妨げるほどには残らなかった。さらに速度を上げて60Km/時になると、直径5mm程度以上の水滴は上後方方向に瞬時に移動してほぼ完全に除去された。
なお、走行実験中ドアミラーを用い、サイド窓ガラス板を透して後方の視界状況を確認したが、雨水滴による視界のゆがみや視認性の劣化はほとんど感じられなかった。
また、晴天時、被膜の有無による視認性を比較してみたが、被膜の透明度が、波長400〜700nmの光に対して97%以上であったため、被膜なしの自動車に比べ視認性の劣化は全く感じられなかった。
以上の実験より、本発明の自動車が、雨天時の安全運転に格別の効果を発揮することが確認できた。
(比較例2)
比較例1で試作した撥水撥油防汚性ガラス板を、実施例3で使用した自動車に装着し直し、同様の走行実験を行った。
まず、停車中の雨水滴の付着状況を確認比較したが、直径5mm程度以上の水滴の付着は、サイド窓ガラスでは、ほとんど無かったが、フロント窓ガラス、及びリア窓ガラスでは、多数残っていた。すなわち、実施例3に比べ離水性能がやや劣っていた。
次に、走行実験を試みたが、まずスピードが、45Km/時の場合の雨水滴の付着状況を確認した。直径5mm程度以上の水滴の付着は、サイド窓ガラス、リア窓ガラスともほとんど無かったが、フロント窓ガラスでは、走行時、雨水滴が連続して多量に付着し、ワイパーを駆けないと運転が出来ないほどの視界不良であった。すなわち、実施例3に比べ離水性能がかなり劣っていた。
さらに速度を上げて60Km/時になると、直径5mm程度以上の水滴は上後方方向にゆっくり移動して飛散し、ほぼワイパーを駆けなくても運転が出来るレベルであったが、実施例2に比べ離水性能はかなり劣っていた。
なお、走行実験中ドアミラーを用い、サイド窓ガラス板を透して後方の視界状況を確認したが、雨水滴による視界のゆがみや視認性の劣化はほとんど感じられず、実施例3とほぼ同等の結果であった。
また、晴天時、被膜の有無による視認性を比較してみたが、被膜の透明度が、波長400〜700nmの光に対して98%以上であったため、被膜なしの自動車に比べ視認性の劣化は全く感じられず、実施例3とほぼ同等であった。
以上の実験より、従来の撥水撥油防汚性ガラス板(比較例1で作製)を装着した自動車の窓ガラスでは、第7番目の発明の撥水撥油防汚性ガラス板(実施例1で作製)を装着した自動車の窓ガラスに比べ、水に対する接触角は110度以上と高いが、そのため離水性能が劣るという欠点があることが確かめられた。また、耐摩耗性も劣ることが確認できた。
実施例2で試作した撥水撥油防汚性ガラス板を、実施例3および比較例2で使用した自動車に装着し直し、同様の走行実験を行った。
まず、停車中の雨水滴の付着状況を確認比較したが、直径5mm程度以上の水滴の付着は、サイド窓ガラスでは、ほとんど無かったが、フロント窓ガラス、及びリア窓ガラスでは、多数残っていた。すなわち、比較例2と同様であり、実施例3に比べると離水性能がやや劣っていた。
次に、走行実験を試みたが、まずスピードが、45Km/時の場合の雨水滴の付着状況を確認した。直径5mm程度以上の水滴の付着は、サイド窓ガラス、リア窓ガラスともほとんど無かったが、フロント窓ガラスでは、走行時、雨水滴が連続して多量に付着し、ワイパーを駆けないと運転が出来ないほどの視界不良であった。すなわち、比較例2と同様であり、実施例3に比べ離水性能がかなり劣っていた。
さらに速度を上げて60Km/時になると、直径5mm程度以上の水滴は上後方方向にゆっくり移動して飛散し、ほぼワイパーを駆けなくても運転が出来るレベルであったが、比較例2と同様であり、実施例3に比べ離水性能はかなり劣っていた。
なお、走行実験中ドアミラーを用い、サイド窓ガラス板を透して後方の視界状況を確認したが、雨水滴による視界のゆがみや視認性の劣化はほとんど感じられず、比較例2および実施例3とほぼ同等の結果であった。
また、晴天時、被膜の有無による視認性を比較してみたが、被膜の透明度が、波長400〜700nmの光に対して98%以上であったため、被膜なしの自動車に比べ視認性の劣化は全く感じられず、比較例2および実施例3とほぼ同等であった。
さらにまた、実施例1および2、比較例1の試験サンプルを用い、500g/4cmの条件で水滴接触角が95度間で劣化するまで摩耗耐久試験を行った。その結果(図2)、比較例1の試験サンプルでは、初期水滴接触角は113度であったが、2800回の往復摩耗で95度まで劣化した。これに対して、実施例1の試験サンプル時間では、6000回でほぼ95度になった。また、実施例2の試験サンプル時間では、9000回でも余裕を持って95度を維持できた。
以上の実験より、本実施例4(第8番目の発明)の自動車の窓ガラスでは、従来の撥水撥油防汚性ガラス板(比較例1で作製)を装着した自動車の窓ガラス(比較例2)に比べ、離水性能は同等であるが、耐摩耗性は3倍以上に優れていることが確認できた。また、実施例3に比べても、離水性能は多少劣るが、耐摩耗性は1.5倍以上に優れていることが確認できた。さらにまた、あらかじめガラス板表面にアルカリバリア膜を形成したガラス板を用いれば、さらに屋外耐久性を向上できた。
また、このことは、雨天時の運転で、走行中に風を直接受け、雨滴はほとんど飛散されてしまうが(すなわち、雨滴は、走行中の風で飛ばされるので、離水性はそれほど高くなくても良い。)、ワイパーブレードでこすられる(耐摩耗性が必要)ウインドシールド用ガラス板として適していることを示している。
一方、トッププレート用耐熱ガラス板に実施例1乃至4と同様の方法で撥水撥油防汚被膜を形成して電磁調理器に装着した後、汚れの焼き付き状態を観察のため、砂糖醤油を滴下して250度で焼き付けを10回試みたが、10回とも汚が焼き付くことは全くなかった。さらにまた、撥水撥油防汚性被膜が形成されたトッププレートの耐熱性を向上させる目的で、あらかじめ耐熱ガラス板の表面に微細な突起(好ましくは0.3〜1mm)を設けておくと、直接鍋底が被膜に接触することを防止でき、鍋底からの熱輻射を和らげて、トッププレートの耐熱性を向上出来るのみならず、耐摩耗性も向上できた。
乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)でフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3と、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OA)(Aは、アルキル基を表す。)を、非水系有機溶媒である水をほとんど含まない5%クロロホルム含有ジメチルシリコーン溶液に、それぞれ0.02M/Lと0.01M/Lの濃度(2:1)になるように溶解し、さらにシラノール縮合触媒としてジブチル錫ジアセチルアセトナートを0.0001M/Lの濃度になるように添加溶解して、複合膜形成溶液を作成した。
次に、量風冷強化された自動車窓用ガラス板(建物窓用ガラス板あるいは電磁調理器の耐熱トッププレート用ガラス板を用いても同様であった。)をよく洗浄し、乾燥後、乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)で自動車の外側となる面に前記複合膜形成溶液を塗布し、室温で1〜2時間放置反応させた。
このとき、ガラス基板表面は水酸基すなわち活性水素を多数含み、且つ吸着水で被われているので、前記ガラス板表面で二つの物質の≡SiOA基と前記水酸基や吸着水とがシラノール縮合触媒下で脱アルコール反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質が混合した状態で前記ガラス板表面に結合した。
このとき、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質は、前記シリル基を介して、ガラス板表面やシロキサン基を主成分とする物質と結合し、シロキサン基を主成分とする物質は、シロキサン基を介して、ガラス板表面やフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質と結合した。
その後、表面の余分な複合膜形成溶液をエタノールで洗浄除去すると、略5nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜が前記ガラス板表面に形成できた。
なお、洗浄せずに前記非水系有機溶媒を蒸発させる(この場合、60〜100℃でガラス板を加熱すると、溶媒の蒸発を早めることが可能であり、蒸発時間を短縮できた。)と、略30nm厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を、前記ガラス板表面に形成できた。また、単に布でふき取った場合には、略10nm厚みとなった。
その後、複合膜が形成されたそれぞれのガラス板を実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば窒素ガス、あるいは爆発限界以下の水素を含む窒素ガス中で400℃20分程度の加熱処理を行うと、≡SiOA基が吸着水と反応して生成された≡SiOH基の大部分が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜に変化して、耐摩耗性、且つ耐候性の高いフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質よりなる撥水撥油性の複合膜となり、250℃で焼成した場合に比べおよそ3倍の高耐久性で且つ撥水撥油防汚性のガラス板を製造できた。
なお、400℃30分の焼成時、雰囲気ガスとして3%の水素(爆発限界は4%。)を含む窒素ガスを用いると、炉内へ多少の酸素混入があっても被膜が酸化することなく焼成できた。
なお、このとき、複合膜の光透過率は、洗浄の有無基関わらず、波長400〜700nmの光に対して99%以上であった。また、撥水撥油防汚ガラス板の水に対する接触角は、洗浄の有無に関わらず、略103度であった。
また、0.02mlの水滴の転落角は略30度であった。さらに、摩耗試験では、加重500g/4cmの条件下で、水に対する接触角は、往復6000回のこすりに対して96度以上を維持できた。
さらにまた、一般のガラス板の代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜(酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等でも良い。)をアルカリバリア膜として約十ミクロン程度の厚みで形成したガラス板を用いると、ガラス板からのアルカリ成分溶出を相当削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できた。
なお、アルカリバリア膜を形成しない場合には、フロート硝子の錫を含む面が車外向きになるように窓ガラス板を成形し、錫を含む面の表面に撥水撥油防汚膜を形成したほうが、耐久性の高い被膜が得られた。
実施例5において、アルコキシシリル基を主成分とする物質Si(OA)を除き同様の条件で撥水撥油防汚ガラス板を試作した。基本性能である水に対する接触角を測定すると、112度であった。
また、水滴の転落角は、0.02mlの水滴で、当初略50度であった。さらに、摩耗試験を行った。加重500g/4cmの条件下での耐摩耗性評価結果を、実施例5、7と共に図5に示す。
実用性を考慮した上で離水性能が最も好都合な接触角95度(図3参照)で見ると、往復2800回までしか耐えられなかった。また、図から明らかなように、接触角が95度となる点で比較すると、実施例5のガラスに比べ1/2以下の耐摩耗性しか得られなかった。
以上の実験より、アルコキシシリル基を主成分とする物質Si(OA)を除き製造した撥水撥油防汚ガラス板は、実用性が全くないわけではないが、アルコキシシリル基を主成分とする物質Si(OA)を添加して製造した撥水撥油防汚ガラス板に比べ、水に対する接触角は105度以上と高い故に離水性能が劣るという欠点があることが確かめられた。また、耐摩耗性も劣ることが確認できた。
実施例5において、表面の余分な複合膜形成溶液をエタノールで洗浄除去して、略5nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む下層複合膜を形成した後、引き続いて、以下の工程を追加して2層構造の撥水撥油膜を形成した。
追加した工程を以下に示す。
すなわち、あらかじめ乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)で、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3を用い、非水系有機溶媒である水をほとんど含まない5%クロロホルム含有ジメチルシリコーン溶液に、0.01M/Lの濃度になるように溶解し、さらにシラノール縮合触媒としてジブチル錫アセテートを0.0001M/Lの濃度になるように添加溶解して、上層膜形成溶液を作成しておいた。
次に、下層複合膜の形成された自動車窓用ガラス板を準備し、さらに前記下層複表面に、前記複合膜形成溶液を乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)で塗布し、室温で1〜2時間放置反応させた。
このとき、ガラス板表面の下層複合膜の表面にはある程度水酸基すなわち活性水素が露出しているので、前記ガラス板表面でフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質の≡SiOA基と前記水酸基とがシラノール触媒の存在下で脱アルコール反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質が前記ガラス板表面に前記シリル基を介して結合した。
その後、表面の余分な上層膜形成溶液をエタノールで洗浄除去すると、略7nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を下層とし、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を含む被膜を上層膜とした2層構造の被膜を前記ガラス板表面に形成できた。
なお、洗浄せずに前記非水系有機溶媒を蒸発させる(この場合、60乃至100℃でガラス板を加熱すると、溶媒の蒸発を早めることが可能であり、蒸発時間を短縮できた。)と、略50nm厚みの2層構造の被膜を前記ガラス板表面に形成できた。
また、布でふき取った場合には、略20nm厚みとなった。
以下、実施例5と同様に、2層構造の被膜が形成されたそれぞれのガラス板を実質的に酸素を含まない雰囲気である窒素ガスまたは爆発限界以下の水素を含む窒素ガス中で400℃20分程度の加熱処理を行うと、膜中に残っていた≡SiOH基の大部分が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜に変化して、実施例5に比べ、耐摩耗性が1.5倍と高く、且つ撥水性と耐候性に優れたフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む下層複合膜とフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を含む上層膜よりなる、2層構造の被膜が形成された高耐久性撥水撥油防汚ガラス板を製造できた。なお、この場合も250℃で焼成した場合に比べ、5倍以上の高耐久性で且つ撥水撥油防汚性のガラス板を製造できた。
なお、このときも、2層構造の被膜の光透過率は、洗浄の有無基関わらず、波長400〜700nmの光に対して98%以上であった。また、撥水撥油防汚ガラス板の水に対する接触角は、洗浄の有無に関わらず、略105±3度以内であった。
また、0.02mlの水滴の転落角は略45度であった。さらに、摩耗試験では、加重500g/4cmの条件下で、水に対する接触角は、往復9000回のこすりに対して95度以上を維持できた。さらにまた、あらかじめガラス板表面にアルカリバリア膜を形成したガラス板を用いれば、さらに耐水性を向上できた。
なお、製造コストは高くなるが、下層複合膜を形成する工程を複数回繰り返した後、上層膜形成工程を行えば、さらに耐空性に優れたガラス板が得られたことは言うまでもない。
さらに、下層複合膜を形成する工程のみを複数回繰り返し、上層膜形成工程を行わなくとも、撥水撥油特性にかなり優れたいガラス板を製造出来たことは言うまでもない。
なお、400℃30分の焼成時、雰囲気ガスとして3%の水素(爆発限界は4%。)を含む窒素ガスを用いると、炉内へ多少酸素混入があっても被膜が酸化することなく焼成できた。
さらに、実施例5及び7において、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物が利用できた。
例えば、実施例5及び7において、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物(ジャパンエポキシレジン社のH3、およびチッソ社のサイラエースS340を用いてみたが、性能はほぼ同じであった。)を同じ濃度で用いた場合、反応時間を30分まで短縮できた。
さらに、実施例5及び7において、上述のシラノール縮合触媒とケチミン化合物、又はアルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を1:9〜9:1で混合して用いると、さらにさらに反応時間を20〜3分まで短縮できた。
例えば、実施例5及び7において、上述のシラノール縮合触媒濃度を半分にして、上述のケチミン化合物(例えば、S340)を等モル混合した場合(1:1)、反応時間を10分まで短縮できた。
なお、利用できるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等がある。
また、利用できる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、あるいは酢酸、プロピオン酸、ラク酸、マロン酸等があり、ほぼ同様の効果があった。
実施例5で作成したガラス板と同条件で作成した撥水撥油防汚ガラス板を乗用車のフロント窓ガラス(ウインドシールドともいう、傾斜角略45度)、サイド窓ガラス(傾斜角略70度)、リア窓ガラス(傾斜角略30度)として装着し、雨天走行実験を試みた。
まず、停車中の雨水滴の付着状況を確認したが、直径5mm程度以上の水滴の付着は、リアガラスで多少認められたが、それ以外ではほとんど無かった。
次に、走行実験を試みたが、まずスピードが、45Km/時の場合、雨水滴の付着状況を確認した。直径5mm程度以上の水滴の付着は、サイド窓ガラス、リア窓ガラスともほとんど無かった。また、フロント窓ガラスでは、走行時、雨水滴が連続して多量に付着したが、直径5mm程度以上の水滴は上後方方向にゆっくり移動し、その後飛散して視界を妨げるほどには残らなかった。さらに速度を上げて60Km/時になると、直径5mm程度以上の水滴は上後方方向に瞬時に移動してほぼ完全に除去された。
なお、走行実験中ドアミラーを用い、サイド窓ガラス板を透して後方の視界状況を確認したが、雨水滴による視界のゆがみや視認性の劣化はほとんど感じられなかった。
また、晴天時、被膜の有無による視認性を比較してみたが、被膜の透明度が、波長400〜700nmの光に対して98%以上であったため、被膜なしの自動車に比べ視認性の劣化は全く感じられなかった。
以上の実験より、本発明の自動車が、雨天時の安全運転に格別の効果を発揮することが確認できた。
なお、前記実施例1で作製した被膜を複数層形成したガラス板を装着して実験した場合にも、耐摩耗性が向上した他は、ほぼ同じ評価結果が得られた
実施例6で試作した撥水撥油防汚ガラス板を、実施例10で使用した自動車に装着し直し、同様の走行実験を行った。
まず、停車中の雨水滴の付着状況を確認比較したが、直径5mm程度以上の水滴の付着は、サイド窓ガラスでは、ほとんど無かったが、フロント窓ガラス、及びリア窓ガラスでは、多数残っていた。すなわち、実施例10に比べ離水性能がやや劣っていた。
次に、走行実験を試みたが、まずスピードが、45Km/時の場合の雨水滴の付着状況を確認した。直径5mm程度以上の水滴の付着は、サイド窓ガラス、リア窓ガラスともほとんど無かったが、フロント窓ガラスでは、走行時、雨水滴が連続して多量に付着し、ワイパーを駆けないと運転が出来ないほどの視界不良であった。すなわち、実施例4に比べ離水性能がかなり劣っていた。
さらに速度を上げて60Km/時になると、直径5mm程度以上の水滴は上後方方向にゆっくり移動して飛散し、ほぼワイパーを駆けなくても運転が出来るレベルであったが、実施例4に比べ離水性能はかなり劣っていた。
なお、走行実験中ドアミラーを用い、サイド窓ガラス板を透して後方の視界状況を確認したが、雨水滴による視界のゆがみや視認性の劣化はほとんど感じられず、実施例10とほぼ同等の結果であった。
また、晴天時、被膜の有無による視認性を比較してみたが、被膜の透明度が、波長400〜700nmの光に対して98%以上であったため、被膜なしの自動車に比べ視認性の劣化は全く感じられず、実施例10とほぼ同等であった。
以上の実験より、実施例6で作製した撥水撥油防汚ガラス板を装着した自動車の窓ガラスでは、実施例5で作製した撥水撥油防汚ガラス板を装着した自動車の窓ガラスに比べ、水に対する接触角は112度と高いが故に離水性能が劣るという欠点があることが確かめられた。また、耐摩耗性も劣ることが確認できた。
したがって、実施例6で作製した撥水撥油防汚ガラス板は、実用にならないわけではないが、総合性能は実施例5で作製した撥水撥油防汚ガラス板に比べ多少劣ることが判明した。
実施例7で試作した撥水撥油防汚ガラス板を、実施例10で使用した自動車に装着し直し、同様の走行実験を行った。
まず、停車中の雨水滴の付着状況を確認したが、直径5mm程度以上の水滴の付着は、リアガラスで多少認められたが、それ以外ではほとんど無かった。
次に、走行実験を試みたが、まずスピードが、45Km/時の場合、雨水滴の付着状況を確認した。直径5mm程度以上の水滴の付着は、サイド窓ガラス、リア窓ガラスともほとんど無かった。また、フロント窓ガラスでは、走行時、雨水滴が連続して少量付着したが、直径5mm程度以上の水滴は上後方方向にかなり速く移動し、その後飛散して視界を妨げるほどには残らなかった。さらに速度を上げて60Km/時になると、直径5mm程度以上の水滴は上後方方向に瞬時に移動してほぼ完全に除去された。
なお、走行実験中ドアミラーを用い、サイド窓ガラス板を透して後方の視界状況を確認したが、雨水滴による視界のゆがみや視認性の劣化はほとんど感じられなかった。
また、晴天時、被膜の有無による視認性を比較してみたが、被膜の透明度が、波長400〜700nmの光に対して97%以上であったため、被膜なしの自動車に比べ視認性の劣化は全く感じられなかった。
さらにまた、実施例5および6、7の試験サンプルを用い、500g/4cmの条件で水滴接触角が95度まで劣化するまで摩耗耐久試験を行った。その結果(図5)、実施例6の試験サンプルでは、初期水滴接触角は112度であったが、2900回の往復摩耗で95度まで劣化した。これに対して、実施例5の試験サンプル時間では、6000回でほぼ95度になった。また、実施例7の試験サンプル時間では、9000回でも余裕を持って95度を維持できた。
以上の実験より、本実施例12(第12番目の発明)の自動車の窓ガラス(実施例7で製作)では、実施例10(第11番目の発明)の自動車の窓ガラス(実施例5で製作)に比べ、離水性能はほぼ同等であるが、耐摩耗性は1.5倍以上に優れていることが確認できた。さらにまた、下地基板としてあらかじめガラス板表面にアルカリバリア膜を形成したガラス板を用いれば、さらに屋外耐久性を向上できた。また、下地基板としてフロートガラスを用いスズ面に被膜を形成した場合には、耐摩耗性を向上できた。
このことは、雨天時の運転で、走行中に風を直接受け、雨滴はほとんど飛散されてしまうが(すなわち、雨滴は、走行中の風で飛ばされるので、離水性はそれほど高くなくても良い。)、ワイパーブレードでこすられるウインドシールド用(耐摩耗性が必要)ガラス板として適していることを示している。
なお、本発明の方法を電磁調理器のトッププレート用ガラス板の製造に用いた場合には、下地ガラス基板を耐熱ガラスに代え、最表面の複合膜に含まれるフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質の分子組成比を、6:1〜10:1にしておくと、実施例5または7と同様の方法を用いて耐摩耗性で且つ防汚性に優れた実用性の高い水滴接触角で100〜105度程度の防汚膜を備えたトッププレートを製造できた。さらにまた、撥水撥油防汚性被膜が形成されたトッププレートの耐熱性を向上させる目的で、あらかじめ耐熱ガラス板の表面に微細な突起(好ましくは0.3〜1mm)を設けておくと、直接鍋底が被膜に接触することを防止でき、鍋底からの熱輻射を和らげて、トッププレートの耐摩耗性を向上出来るのみならず、耐熱性も向上できた。
本発明の撥水撥油防汚性ガラス板の製造工程を示したものであり、(a)は実施例1における被膜形成後のガラス板表面、(b)は実施例1における焼成後の撥水撥油防汚膜が形成されたガラス板表面、(c)は実施例2における2層構造の撥水撥油防汚膜が形成されたガラス板表面をそれぞれ分子レベルまで拡大した断面概念図。 実施例1および2と比較例1で製作した撥水撥油防汚性ガラス板の耐摩耗性試験結果を比較して示した図。 本発明を行うに当たり、予備実験で得たデータをプロットしたものであり、水に対する接触角と転落角の関係を示した図。 本発明の撥水撥油防汚ガラス板の製造工程を示したものであり、(a)は実施例5における被膜形成後のガラス板表面、(b)は実施例5における焼成後の撥水撥油防汚膜が形成されたガラス板表面、(c)は実施例7における焼成後の2層構造の撥水撥油防汚膜が形成されたガラス板表面をそれぞれ分子レベルまで拡大した断面概念図。 実施例5および6、7で製作した撥水撥油防汚ガラス板の耐摩耗性試験結果を比較して示した図。
1、1’ フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質
2 シロキサン基を主成分とする物質2
3 ガラス板
4、4’ 水酸基
5 水酸基4を多数含む複合膜
6 網目状のシリカ膜
6’ 網目状のシリカ膜
7 撥水撥油防汚性の複合膜
7’下層複合膜
8 上層膜
9 2層構造撥水撥油防汚性膜
11、11’ フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質
12 シロキサン基を主成分とする物質2
13 ガラス板
14、14’ 水酸基
15 水酸基4を多数含む複合膜
16 網目状のシリカ膜
16’ 網目状のシリカ膜
17 撥水撥油防汚性の複合膜
17’下層複合膜
18 上層膜
19 2層構造撥水撥油防汚性膜

Claims (5)

  1. 少なくとも
    (1)フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と(2)アルコキシシリル基を主成分とする物質と(3)非水系有機溶媒を含み(4)シラノール縮合触媒または(5)酸触媒を含み、(1)フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2(CHSi(OA)、または[CF3(CF2(CHSiOA(nは、1〜22の整数、Aはアルキル基)を用い、(2)アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OCH、Si(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を用いることを特徴とする撥水撥油性複合膜形成溶液。
  2. (1)フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と前記(2)アルコキシシリル基を主成分とする物質の分子組成比が1:3〜5:1であることを特徴とする請求項1記載の撥水撥油性複合膜形成溶液。
  3. 少なくとも(5)酸触媒が有機酸であることを特徴とする請求項1または2に記載の撥水撥油性複合膜形成溶液。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の撥水撥油性複合膜形成溶液に基材を接触反応させて表面に撥水撥油性複合膜を形成することを特徴とする撥水撥油防汚性複合膜の製造方法。
  5. 請求項4記載の方法を用いて作成されたことを特徴とする撥水撥油防汚性複合膜。

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