JP4759711B2 - 防汚性窯業製品とその製造方法 - Google Patents

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本発明は、高耐久性の撥水撥油防汚性被膜が表面に形成された窯業製品に関するものである。詳しくは、撥水撥油防汚機能が要求される食器や花器、衛生陶器、碍子、タイル等の窯業製品に関するものである。
一般にフッ化炭素基含有クロロシラン系の吸着剤と非水系の有機溶媒よりなる化学吸着液を用い、液相で化学吸着して単分子膜状の撥水性化学吸着膜を形成できることはすでによく知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このような溶液中での化学吸着単分子膜の製造原理は、基材表面の水酸基などの活性水素とクロロシラン系の吸着剤のクロロシリル基との脱塩酸反応を用いて単分子膜を形成することにある。
特開平04−132637号公報
しかしながら、従来の化学吸着膜は吸着剤と基材表面との化学結合のみを用いているため、耐摩耗性に乏しいという課題があった。また、クロロシラン系界面活性剤を用いた方法では、製膜時に塩酸が多量に発生するため、製造は、特別な脱塩酸設備を備えた隔離された場所で行わなければならないという課題があった。
本発明は、撥水撥油防汚機能が要求される食器や花器、衛生陶器、碍子、タイル等の窯業製品において、耐摩耗性および耐候性等の耐久性、水滴離水性(滑水性ともいう)、防汚性の向上を目的とする。また、窯業製品上に撥水撥油防汚膜を形成する際、塩酸を発生させずに(あるいはほんの少量の塩酸の発生で)、耐摩耗性および耐候性等の耐久性、および水滴離水性(滑水性ともいう)、防汚性に優れた被膜を形成することを目的とする。なお、本発明でいう窯業製品には、陶磁器製品、セラミックス製品、またはほうろう製品が含まれる。具体的には、衛生陶磁器(例えば便器、洗面器、風呂等)、食器(例えば、茶碗、皿、どんぶり、湯呑、コップ、瓶、コーヒー沸かし容器、鍋、すり鉢、カップ等)、花器(水盤、植木鉢、一輪差し等)、水槽(養殖用水槽、鑑賞用水槽等)、化学実験器具(乳鉢、バット等)、建材(瓦、タイル等)、ほうろう製品(食器、洗面器、鍋、ヤカン等)、電磁調理器用セラミックス製トッププレート等が含まれる。
前記目的を達成するため、第1番目の発明の防汚性窯業製品は、高耐久性の撥水撥油防汚被膜が形成された窯業製品であって、前記撥水撥油防汚性被膜を、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質(A)ポリシロキサン結合よりなる網目状のシリカ(B)(以下、シロキサン基を主成分とする物質という。)を含む複合膜を少なくとも1層含めて構成しておくことを要旨とする。
前記第1番目の発明の防汚性窯業製品によれば、従来の化学吸着膜の摩耗に弱いという欠点を改良して、耐摩耗性且つ耐候性等の耐久性、および離水性に優れた被膜を形成した防汚性窯業製品を提供できる。なお、このとき、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を、シロキサン基を主成分とする物質よりなるシリカ膜中で前記シリル基を介して前記シリカ膜および/または窯業製品表面に結合固定しておくと、耐久性を向上させる上で都合がよい。
さらに、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質とを、それぞれシリル基およびシロキサン基を介して互いに/または個々に窯業製品表面に結合固定させておくと、耐久性を大幅に向上させる上で都合がよい。また、複合膜に含まれるフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質の分子組成比を、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐久性を大幅に向上させる上で都合がよい。
また、複合膜の水に対する接触角を95±10度に制御しておくと離水性を向上する上で都合がよい。
さらにまた、下地の窯業製品が、表面にアルカリバリア膜(特開平08−325037号公報参照)が形成された窯業製品であると耐久性を上げる上で都合がよい。
前記目的を達成するため、第2番目の発明の防汚性窯業製品は、高耐久性の撥水撥油防汚性被膜が形成された窯業製品であって、前記被膜を、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む下層複合膜と、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を含む上層膜との2層構造にしておくことを要旨とする。
前記した第2番目の発明の防汚性窯業製品によれば、前記第1番目の発明の窯業製品の初期水滴接触角をより大きくでき、第1番目の発明の窯業製品に比べさらに耐久性能を向上させた防汚性窯業製品を提供できる。
なお、このとき、前記下層複合膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質が、シロキサン基を主成分とする物質よりなるシリカ膜中で前記シリル基を介して前記シリカ膜および/または窯業製品表面に結合固定し、前記上層膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質がシリル基を介して前記下層複合膜に含まれるシロキサン基に結合固定しておくと、耐久性を向上させる上で都合がよい。
また、前記下層複合膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を、それぞれシリル基およびシロキサン基を介して互いにまたは個々に窯業製品表面に、または互いに/または個々にアルカリバリア膜を形成した窯業製品表面に結合固定し、前記上層膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質がシリル基を介して前記下層複合膜に含まれるシロキサン基に結合固定しておくと、耐久性を向上させる上でさらに都合がよい。
さらに、下層複合膜に含まれるフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質の分子組成比が、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐久性を大幅に向上させる上で都合がよい。
また、下地複合膜の水に対する接触角を95±10度に制御しておくと上層膜の形成密度を向上する上で都合がよい。
さらにまた、上層膜の水に対する接触角が105±10度になるように制御しておくと、耐久性能を向上する上で都合がよい。
さらにまた、下地の窯業製品が、食器や花器、衛生陶器、碍子、タイル、電磁調理器用セラミックス製トッププレート等の窯業製品であると防汚機能を付与する上で好ましい。特に、電気絶縁碍子の場合には、表面での漏電の防止も図れるので都合がよい。また、電磁調理器用セラミックス製トッププレートの場合、あらかじめ表面に微細な突起(0.5〜2mm程度)を複数個設けておいた上で本発明の防汚性被膜を形成しておくと、被膜が直接鍋底に接触することがないので、耐久性を向上させる上で都合がよい。
第3番目の発明の防汚性窯業製品の製造方法は、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質(C)クロロシリル基、クロロシリル基とシラン基、またはクロロシリル基とシロキサン基のみを含む物質(D)(以下、クロロシリル基を主成分とする物質という。)とを非水系有機溶媒混合希釈して作成した複合膜形成溶液を窯業製品表面に接触させて反応させ被膜を形成する工程と、被膜の形成された窯業製品を水素を含み実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程とを少なくとも含むことを要旨とする。
前記第3番目の発明の防汚性窯業製品の製造方法によれば、従来の化学吸着膜の摩耗に弱いという欠点を改良して、耐久性、離水性に優れた(水に対する転落角が極めて低い)被膜を形成した防汚性窯業製品の製造方法を提供できる。
なお、このとき、実質的に酸素を含まない雰囲気として、窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用い、300〜450℃で焼成を行うと、被膜を酸化せずに耐摩耗性を向上させる上で都合がよい。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質と、クロロシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、耐久性に優れ、且つ離水性に優れた防汚性窯業製品を製造出来て都合がよい。
さらに、焼成時、窯業製品を立てるか、立てた状態でつり下げるか、あるいは被膜形成面を上にして保持焼成すると、被膜表面を傷つけることがなくて都合がよい。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3(nは整数)を用い、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリル基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:1〜6:1にすると、高耐久、高離水性を確保する上で都合がよい。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると、耐久性を上げる上で都合がよい。
第4番目の発明の防汚性窯業製品の製造方法は、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質とを非水系有機溶媒混合希釈して作成した複合膜形成溶液を窯業製品表面に接触させて反応させ被膜を形成する工程と、前記窯業製品表面の余分な溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程とを少なくとも含むことを要旨とする。
前記した第4番目の発明の防汚性窯業製品の製造方法によれば、従来の化学吸着膜の摩耗に弱いという欠点を改良して、耐摩耗性且つ耐候性等の耐久性、および離水性に優れた(滑水性が高い、すなわち水滴転落角が極めて低い)被膜を形成した防汚性窯業製品の製造方法を提供できる。
なお、このとき、実質的に酸素を含まない雰囲気として、窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用い、300〜450℃(より好ましくは400±20℃)で焼成を行うと、被膜の耐摩耗性を向上させる上で都合がよい。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質と、クロロシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、耐久性に優れた且つ離水性に優れた防汚性窯業製品を製造出来て都合がよい。
さらに、焼成時、窯業製品を起てるか、立てた状態でつり下げるか、あるいは被膜形成面を上にして保持焼成すると、被膜を傷つけることがなくて都合がよい。
さらにまた、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄する方法を用いると、廃液処理の面で環境汚染を少なくできて都合がよい。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3(nは整数)を用い、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリル基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:1〜6:1にすると、高耐久性、高離水性を確保する上で都合がよい。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると、撥水撥油防汚膜の耐久性を上げる上で都合がよい。
第5番目の発明の窯業製品の製造方法は、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質とを非水系有機溶媒で混合希釈して作成した下層複合膜形成溶液を窯業製品表面に接触させて反応させ下層複合膜を形成する工程と、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質を非水系有機溶媒で混合希釈して上層膜形成溶液を作成する工程と、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面に前記上層膜形成溶液を接触させて反応させ上層膜を形成する工程と、下層複合膜及び上層膜が形成された窯業製品を実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程とを少なくとも含むことを要旨とする。
前記第5番目の発明の窯業製品の製造方法によれば、前記第2番目の発明の窯業製品の製造方法に比べ、より耐摩耗性、耐候性に優れた被膜を形成した防汚性窯業製品の製造方法を提供できる。
なお、このとき、実質的に酸素を含まない雰囲気として、窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成を行うと、被膜を酸化せずに耐久性を向上させる上で都合がよい。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質と、クロロシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐摩耗性、耐候性に優れた撥水撥油防汚性窯業製品を製造できて都合がよい。
さらに、焼成時、窯業製品を立てるか、つり下げるか、あるいは被膜形成面を上にして保持焼成すると、被膜表面を傷つける恐れが少なくて都合がよい。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3(nは整数)を用い、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリル基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:3〜5:1にすると、高耐久性を確保する上で都合がよい。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると、耐久性を上げる上で都合がよい。
第6番目の発明の窯業製品の製造方法は、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質とを非水系有機溶媒で混合希釈して作成した複合膜形成溶液を窯業製品表面に接触させて反応させ下層複合膜を形成する工程と、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面の余分な溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質を非水系有機溶媒で混合希釈して作成した上層膜形成溶液を、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面に接触させて反応させ上層膜を形成する工程と、前記上層膜が形成された窯業製品表面の余分な溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程と少なくとも含むことを要旨とする。
前記第6番目の発明の窯業製品の製造方法によれば、前記第3番目の発明の窯業製品の製造方法に比べ、より耐摩耗性、耐候性に優れた防汚性窯業製品の製造方法を提供できる。
なお、このとき、実質的に酸素を含まない雰囲気として、窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成を行うと、被膜の耐摩耗性、耐候性を向上させる上で都合がよい。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質と、クロロシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐摩耗性、耐候性に優れた撥水撥油防汚性窯業製品を製造できて都合がよい。
さらに、焼成時、窯業製品を立てるか、つり下げるか、あるいは被膜形成面を上にして保持焼成すると、被膜表面を傷つける恐れが少なくて都合がよい。
また、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄する方法を用いると、廃液処理の面で環境汚染を少なくできて都合がよい。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3(nは整数)を用い、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリル基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:3〜5:1にすると、高耐久性を確保する上で都合がよい。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると、耐久性を上げる上で都合がよい。
第7番目の発明の窯業製品の製造方法は、少なくとも窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質(E)アルコキシシリル基、アルコキシシリル基とシラン基、またはアルコキシ基とシロキサン基のみを含む物質(F)(以下、アルコキシシリル基を主成分とする物質という。)とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作成した複合膜形成溶液を接触反応させ被膜を形成する工程と、前記被膜の形成された窯業製品を実質的に水素を含み酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程を含むことを要旨とする。
前記第7番目の発明の窯業製品の製造方法によれば、従来の化学吸着膜の摩耗に弱いという欠点を改良して、塩酸の発生を伴わない耐久性、離水性に優れた(水滴転落角が極めて低い)防汚性窯業製品の製造方法を提供できる。
なお、このとき、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄すると環境汚染を少なくできて都合がよい。
また、実質的に酸素を含まない雰囲気として窒素ガスまたは爆発限界以下の水素を含む窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成すると被膜の酸化を防止し、膜強度を向上する上で都合がよい。
さらに、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と、アルコキシシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと離水性を制御する上で都合がよい。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2−(CHSi(OA)、または[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはアルキル基)を用い、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物、あるいはアルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:10〜10:1にすると高耐久、高離水性を確保する上で都合がよい。
また、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると、耐久性を上げる上で都合がよい。
なお、ここで、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、被膜形成時の反応速度を向上でき、シラノール縮合触媒を用いた場合に比べより短時間で防汚性窯業製品を製造できて都合がよい。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(通常1:9〜9:1で使用可能であるが、1:1程度が好ましい。)して用いると、シラノール縮合触媒のみ、あるいはケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を単独で用いた場合に比べさらに製膜時間を短縮できて都合がよい。
第8番目の発明の窯業製品の製造方法は、 窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作成した複合膜形成溶液を接触反応させ被膜を形成する工程と、前記窯業製品表面の余分な複合膜形成溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程を含むことを要旨とする。
前記第8番目の発明の窯業製品の製造方法によれば、前記第2番目の発明の方法に比べてより光沢性を保持した防汚性窯業製品の製造方法を提供できる。
なお、このとき、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄すると環境汚染を少なくできて都合がよい。
また、実質的に酸素を含まない雰囲気として窒素ガスまたは爆発限界以下の水素を含む窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成すると膜強度を向上する上で都合がよい。
さらに、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と、アルコキシシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、離水性を制御する上で都合がよい。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2−(CHSi(OA)、または[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはアルキル基)を用い、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物、あるいはアルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:10〜10:1にすると高耐久、高離水性を確保する上で都合がよい。
また、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると耐久性を上げる上で都合がよい。
なお、ここで、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、被膜形成時の反応速度を向上でき、シラノール縮合触媒を用いた場合に比べより短時間で防汚性窯業製品を製造できて都合がよい。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(通常1:9〜9:1で使用可能であるが、1:1程度でよい。)して用いると、シラノール縮合触媒のみ、あるいはケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を単独で用いた場合に比べさらに製膜時間を短縮できて都合がよい。
前記目的を達成するため、第9番目の発明の窯業製品製造方法は、窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作成した複合膜形成溶液を接触反応させ下層複合膜を形成する工程と、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作製した上層膜形成溶液を接触反応させ上層膜を形成する工程と、下層複合膜及び上層膜が形成された窯業製品を実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程を含むことを要旨とする。
前記第9番目の発明の窯業製品の製造方法によれば、前記第7番目の発明の窯業製品の製造方法に比べ、より耐摩耗性、耐候性に優れた防汚性窯業製品の製造方法を提供できる。
なお、このとき、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄すると環境への負荷を少なくできて都合がよい。
さらに、実質的に酸素を含まない雰囲気として窒素ガスまたは爆発限界以下の水素を含む窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成すると、耐摩耗性、耐候性に優れた撥水撥油防汚性窯業製品を製造できて都合がよい。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と、アルコキシシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐摩耗性、耐候性に優れた撥水撥油防汚性窯業製品を製造できて都合がよい。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2(CHSi(OA)、または[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはアルキル基)を用い、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物、あるいはアルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)を用いると、高耐久性を確保する上で都合がよい。
なお、下層複合膜を形成する工程のみを複数回繰り返し、上層膜形成工程を省いた場合でも、離水性に優れ且つ高耐久性を確保する上では実用上問題はない。
また、下層複合膜を形成する工程を複数回繰り返した後、上層膜形成工程を行うと、初期撥水性に優れ且つ高耐久性を確保する上で都合がよい。
さらにまた、下地窯業製品として、あらかじめ表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると、耐候性を確保する上で都合がよい。
なお、ここで、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、被膜形成時の反応速度を向上でき、シラノール縮合触媒を用いた場合に比べより短時間で防汚性窯業製品を製造できて都合がよい。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(通常1:9〜9:1で使用可能であるが、1:1程度でよい。)して用いると、シラノール縮合触媒のみ、あるいはケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を単独で用いた場合に比べさらに製膜時間を短縮できて都合がよい。
第10番目の発明の窯業製品の製造方法は、窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作成した複合膜形成溶液を接触反応させ下層複合膜を形成する工程と、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面の余分な溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作製した上層膜形成溶液を接触反応させ上層膜を形成する工程と、前記上層膜が形成された窯業製品表面の余分な溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、下層複合膜及び上層膜が形成された窯業製品を実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程を含むことを要旨とする。
前記第10番目の発明の窯業製品の製造方法によれば、前記第8番目の発明の窯業製品の製造方法に比べ、より耐摩耗性、耐候性に優れた防汚性窯業製品の製造方法を提供できる。
なお、このとき、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄すると環境への負荷を少なくできて都合がよい。
さらに、実質的に酸素を含まない雰囲気として窒素ガスまたは爆発限界以下の水素を含む窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成すると、被膜表面が耐摩耗性、耐候性に優れた撥水撥油防汚性窯業製品を製造できて都合がよい。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と、アルコキシシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1にしておくと、耐摩耗性、耐候性に優れた撥水撥油防汚性窯業製品を製造できて都合がよい。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2−(CHSi(OA)、または[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはアルキル基)を用い、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物、あるいはアルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)を用いると、高耐久性を確保する上で都合がよい。
なお、下層複合膜を形成する工程のみを複数回繰り返し、上層膜形成工程を省いても、離水性に優れ且つ高耐久性を確保する上で都合がよい。
また、下層複合膜を形成する工程を複数回繰り返した後、上層膜形成工程を行うと、初期撥水性に優れ且つ高耐久性を確保する上で問題はない。
さらにまた、下地窯業製品として、あらかじめ表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると、耐候性を確保する上で都合がよい。
また、下地窯業製品として食器や花器、衛生陶器、碍子、タイル等の窯業製品を用いると、撥水防汚膜の機能を発揮させる上で都合がよい。
なお、ここで、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、被膜形成時の反応速度を向上でき、シラノール縮合触媒を用いた場合に比べより短時間で防汚性窯業製品を製造できて都合がよい。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(通常1:9〜9:1で使用可能であるが、1:1程度でよい。)して用いると、シラノール縮合触媒のみ、あるいはケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を単独で用いた場合に比べさらに製膜時間を短縮できて都合がよい。
以上説明したように、本発明の防汚性窯業製品では、窯業製品表面に、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質(シリカ)を含む複合膜を形成することにより、耐候性、および耐摩耗性が極めて高く、高性能の離水特性や防汚特性を示す食器や花器、衛生陶器、碍子、タイル等の防汚性窯業製品を提供できる効果がある。
さらに、碍子の場合には、表面汚れや塩害等による電気絶縁性能の劣化を防止できる効果もある。また、電磁調理器用セラミックス製トッププレートの場合、あらかじめ表面に微細な突起(0.5〜2mm程度)を複数個設けておいた上で本発明の防汚性被膜を形成しておくと、被膜が直接鍋底に接触することがないので、耐久性を向上させる効果がある。
また、本発明の撥水撥油防汚窯業製品では、アルコキシシラン系の界面活性剤とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を用い、窯業製品表面に、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質(シリカ)を含む複合膜を少なくとも1層含む防汚膜を形成することにより、耐候性、および耐摩耗性が極めて高く、高性能の離水特性を示す撥水撥油防汚窯業製品を全く塩酸を発生させることなく製造提供できる効果がある。
本発明は、高耐久性で且つ高離水性(水滴転落角が小さい)の食器や花器、衛生陶器、碍子、タイル等の窯業製品を提供するものである。
第1番目の発明の防汚性窯業製品は、高耐久性の撥水撥油防汚被膜が形成された窯業製品であって、前記撥水撥油防汚性被膜を、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を少なくとも1層形成した窯業製品である。
前記第1番目の発明の防汚性窯業製品では、従来の化学吸着膜の摩耗に弱いという欠点を改良して、耐摩耗性且つ耐候性等の耐久性、および離水性に優れた被膜を形成した防汚性窯業製品を提供できる。なお、このとき、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を、シロキサン基を主成分とする物質よりなるシリカ膜中で前記シリル基を介して前記シリカ膜および/または窯業製品表面に結合固定しておくことで、被膜の耐摩耗、耐候性等の耐久性を大幅に向上できる作用がある。
さらに、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質とを、それぞれシリル基およびシロキサン基を介して互いに/または個々に窯業製品表面に結合固定させておくと、耐久性を大幅に向上させる上で都合がよい。また、複合膜に含まれるフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質の分子組成比を、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、さらに耐久性を向上できる作用がある。
また、複合膜の水に対する接触角を95±10度に制御しておくと、水滴撥水性を保ちながら水滴転落性等の離水性を向上できる作用がある。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると、耐候性を向上できる作用がある。一方、電磁調理器用セラミックス製トッププレートの場合、あらかじめ表面に微細な突起(0.5〜2mm程度)を複数個設けておくと、被膜が直接鍋底に接触することがないので、本発明の防汚性被膜の耐久性を向上できる作用がある。
第2番目の発明の防汚性窯業製品は、高耐久性の撥水撥油防汚性被膜が形成された窯業製品であって、前記撥水撥油防汚性被膜を、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む下層複合膜と、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を含む上層膜を形成した窯業製品である。
前記第2番目の発明の防汚性窯業製品によれば、前記第1番目の発明の窯業製品の初期水滴接触角をより大きくでき、第1番目の発明の窯業製品に比べさらに耐久性能を向上できる作用がある。
なお、このとき、前記下層複合膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を、シロキサン基を主成分とする物質よりなるシリカ膜中で前記シリル基を介して前記シリカ膜および/または窯業製品表面に結合固定し、前記上層膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質をシリル基を介して前記下層複合膜に含まれるシロキサン基に結合固定しておくと、耐久性を向上できる作用がある。
また、前記下層複合膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を、それぞれシリル基およびシロキサン基を介して互いに/または個々に窯業製品表面に結合固定し、前記上層膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質がシリル基を介して前記下層複合膜に含まれるシロキサン基に結合固定しておくと、耐久性を向上できる作用がある。
さらに、下層複合膜に含まれるフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質の分子組成比を、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐久性を大幅に向上できる作用がある。
また、下地複合膜の水に対する接触角を95±10度に制御しておくと上層膜の形成密度を向上できる作用がある。
さらにまた、上層膜の水に対する接触角を105±10度になるように制御しておくと、初期撥水性および耐久性能を向上できる作用がある。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると耐候性を向上できる作用がある。
第3番目の発明の防汚性窯業製品の製造方法は、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質とを非水系有機溶媒混合希釈して作成した複合膜形成溶液を窯業製品表面に接触させて反応させ被膜を形成する工程と、被膜の形成された窯業製品を実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程とを少なくとも含む。
前記第3番目の発明の防汚性窯業製品の製造方法によれば、従来の化学吸着膜の摩耗に弱いという欠点を改良し、耐久性、離水性に優れた(水に対する転落角が極めて低い)被膜を形成した防汚性窯業製品を製造提供できる作用がある。
なお、このとき、実質的に酸素を含まない雰囲気として、窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用い、300〜450℃で焼成を行うと、被膜を酸化せずに耐摩耗性を向上できる作用がある。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質と、クロロシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、耐久性に優れ、且つ離水性に優れた防汚性窯業製品を製造向上できる作用がある。
さらに、焼成時、窯業製品を立てるか、立てた状態でつり下げるか、あるいは被膜形成面を上にして保持焼成すると、被膜表面を傷つけることなく焼成できる作用がある。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3(nは整数)を用い、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリル基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:1〜6:1にすると、高耐久、高離水性共に向上できる作用がある。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると耐久性を向上できる作用がある。
第4番目の発明の防汚性窯業製品の製造方法は、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質とを非水系有機溶媒混合希釈して作成した複合膜形成溶液を窯業製品表面に接触させて反応させ被膜を形成する工程と、前記窯業製品表面の余分な溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程とを少なくとも含む。
前記した第4番目の発明の防汚性窯業製品の製造方法には、耐摩耗性且つ耐候性等の耐久性、および離水性に優れた(滑水性が高い、すなわち水滴転落角が極めて低い)被膜を形成した防汚性窯業製品を製造出来る作用がある。
なお、このとき、実質的に酸素を含まない雰囲気として、窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用い、300〜450℃(より好ましくは400±20℃)で焼成を行うと、被膜の耐摩耗性を大幅に向上できる作用がある。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質と、クロロシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、耐久性に優れた且つ離水性に優れた防汚性窯業製品を製造できる作用がある。
さらに、焼成時、窯業製品を起てるか、立てた状態でつり下げるか、あるいは被膜形成面を上にして保持焼成すると、被膜を傷つけずに焼成できる作用がある。
さらにまた、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水を用いて洗浄する方法を用いると、廃液処理の面で環境汚染を少なくできる作用がある。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3(nは整数)を用い、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリル基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:1〜6:1にすると、高耐久性、高離水性を向上できる作用がある。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると耐久性を向上できる作用がある。
第5番目の発明の窯業製品の製造方法は、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質とを非水系有機溶媒で混合希釈して下層作成した複合膜形成溶液を窯業製品表面に接触させて反応させ下層複合膜を形成する工程と、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質を非水系有機溶媒で混合希釈して上層膜形成溶液を作成する工程と、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面に前記上層膜形成溶液を接触させて反応させ上層膜を形成する工程と、下層複合膜及び上層膜が形成された窯業製品を実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程とを少なくとも含む。
前記第5番目の発明の窯業製品の製造方法を用いれば、前記第3番目の発明の窯業製品の製造方法に比べ、より耐摩耗性、耐候性に優れた被膜を形成した防汚性窯業製品を製造できる作用がある。
なお、このとき、実質的に酸素を含まない雰囲気として、窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成を行うと、被膜を酸化せずに耐久性を向上できる作用がある。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質と、クロロシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐摩耗性、耐候性共に優れた撥水撥油防汚性窯業製品を製造できる作用がある。
さらに、焼成時、窯業製品を起てるか、立てた状態でつり下げるか、あるいは被膜形成面を上にして保持焼成すると、被膜を傷つけずに焼成できる作用がある。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3(nは整数)を用い、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリル基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:3〜5:1にすると、高耐久性を向上できる作用がある。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると耐久性を向上できる作用がある。
第6番目の発明の窯業製品の製造方法は、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質とを非水系有機溶媒で混合希釈して作成した下層複合膜形成溶液を窯業製品表面に接触させて反応させ下層複合膜を形成する工程と、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面の余分な溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、乾燥雰囲気中でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質を非水系有機溶媒で混合希釈して上層膜形成溶液を作成する工程と、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面に前記上層膜形成溶液を接触させて反応させ上層膜を形成する工程と、前記上層膜が形成された窯業製品表面の余分な溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程と少なくとも含むことを要旨とする。
前記第6番目の発明の窯業製品の製造方法によれば、前記第4番目の発明の窯業製品の製造方法に比べ、より耐摩耗性、耐候性に優れた防汚性窯業製品の製造方法を提供できる。
なお、このとき、実質的に酸素を含まない雰囲気として、窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成を行うと、被膜の耐摩耗性、耐候性を向上できる作用がある。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質と、クロロシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐摩耗性、耐候性をさらに向上できる作用がある。
さらに、焼成時、窯業製品を立てるか、つり下げるか、あるいは被膜形成面を上にして保持焼成すると、被膜表面を傷つけること無く焼成できる作用がある。
また、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄する方法を用いると、廃液処理の面で環境汚染を少なくできる作用がある。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3(nは整数)を用い、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリル基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:3〜5:1にすると、高耐久性を向上できる作用がある。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると耐久性を向上できる作用がある。
第7番目の発明の窯業製品の製造方法は、少なくとも窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作成した複合膜形成溶液を接触反応させ被膜を形成する工程と、前記被膜の形成された窯業製品を実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程を含むことを要旨とする。
前記第7番目の発明の窯業製品の製造方法によれば、従来の化学吸着膜の摩耗に弱いという欠点を改良して、塩酸の発生を伴わない耐久性、離水性に優れた(水滴転落角が極めて低い)防汚性窯業製品の製造方法を提供できる。
なお、このとき、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄すると環境汚染を少なくできる作用がある。
また、実質的に酸素を含まない雰囲気として窒素ガスまたは爆発限界以下の水素を含む窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成すると被膜の酸化を防止し、膜強度を向上できる作用がある。
さらに、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と、アルコキシシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと離水性をさらに向上できる作用がある。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2−(CHSi(OA)、または[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはアルキル基)を用い、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物、あるいはアルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:10〜10:1にすると耐久、離水性を向上できる作用がある。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると耐久性を向上できる作用がある。
なお、ここで、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、被膜形成時の反応速度を向上でき、シラノール縮合触媒を用いた場合に比べより短時間で防汚性窯業製品を製造でき作用がある。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(通常1:9〜9:1で使用可能であるが、1:1程度でよい。)して用いると、シラノール縮合触媒のみ、あるいはケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を単独で用いた場合に比べさらに製膜時間を短縮できる作用がある。
第8番目の発明の窯業製品の製造方法は、 窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作成した複合膜形成溶液を接触反応させ被膜を形成する工程と、前記窯業製品表面の余分な複合膜形成溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程を含む。
前記第8番目の発明の窯業製品の製造方法を用いれば、前記第7番目の発明の方法に比べてより表面光沢性に優れた防汚性窯業製品を製造提供でき作用がある。
なお、このとき、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水を用いて洗浄すると環境汚染を少なくできる作用がある。
また、実質的に酸素を含まない雰囲気として窒素ガスまたは爆発限界以下の水素を含む窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成すると膜強度を向上できる作用がある。
さらに、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と、アルコキシシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくことは、離水性を容易に制御できる作用がある。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2−(CHSi(OA)、または[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはアルキル基)を用い、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物、あるいはアルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)を用い、混合時の分子組成比を1:10〜10:1にすると耐久・離水性を同時に向上できる作用がある。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると耐久性を向上できる作用がある。
なお、ここで、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、被膜形成時の反応速度を向上でき、シラノール縮合触媒を用いた場合に比べより短時間で防汚性窯業製品を製造できる作用がある。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(通常1:9〜9:1で使用可能であるが、1:1程度でよい。)して用いると、シラノール縮合触媒のみ、あるいはケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を単独で用いた場合に比べさらに製膜時間を短縮できる作用がある。
第9番目の発明の窯業製品製造方法は、窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作成した複合膜形成溶液を窯業製品に接触反応させ下層複合膜を形成する工程と、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作製した上層膜形成溶液を接触反応させ上層膜を形成する工程と、下層複合膜及び上層膜が形成された窯業製品を実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程を含む。
前記第9番目の発明の窯業製品の製造方法によれば、前記第7番目の発明の窯業製品の製造方法に比べ、より耐摩耗性、耐候性に優れた防汚性窯業製品を製造提供できる作用がある。
なお、このとき、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄すると環境への負荷を少なくできる作用がある。
さらに、実質的に酸素を含まない雰囲気として窒素ガスまたは爆発限界以下の水素を含む窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成すると、耐摩耗性、耐候性に優れた撥水撥油防汚性窯業製品を製造できる作用がある。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と、アルコキシシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜5:1にしておくと、耐摩耗性、耐候性に優れた撥水撥油防汚性窯業製品を製造できる作用がある。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2(CHSi(OA)、または[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはアルキル基)を用い、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物、あるいはアルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)を用いると、高耐久性を向上できる作用がある。
なお、下層複合膜を形成する工程のみを複数回繰り返し、上層膜形成工程を省いた場合でも、離水性に優れ且つ高耐久性を確保する上で、実用上は問題ない。
また、下層複合膜を形成する工程を複数回繰り返した後、上層膜形成工程を行うと、初期撥水性に優れ且つ高耐久性を向上できる作用がある。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると耐久性を向上できる作用がある。
なお、ここで、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、被膜形成時の反応速度を向上でき、シラノール縮合触媒を用いた場合に比べより短時間で防汚性窯業製品を製造できる作用がある。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(通常1:9〜9:1で使用可能であるが、1:1程度でよい。)して用いると、シラノール縮合触媒のみ、あるいはケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を単独で用いた場合に比べさらに製膜時間を短縮できる作用がある。
第10番目の発明の窯業製品の製造方法は、窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作成した複合膜形成溶液を窯業製品表面に接触反応させ下層複合膜を形成する工程と、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面の余分な溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、前記下層複合膜が形成された窯業製品表面にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とシラノール縮合触媒とを非水系有機溶媒で混合希釈して作製した上層膜形成溶液を接触反応させ上層膜を形成する工程と、前記上層膜が形成された窯業製品表面の余分な溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程と、下層複合膜及び上層膜が形成された窯業製品を実質的に酸素を含まない雰囲気中で焼成する工程を含む。
前記第10番目の発明の窯業製品の製造方法では、前記第8番目の発明の窯業製品の製造方法に比べ、より耐摩耗性、耐候性に優れた防汚性窯業製品を製造提供できる作用がある。。
なお、このとき、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄すると環境への負荷を少なくできる作用がある。
さらに、実質的に酸素を含まない雰囲気として窒素ガスまたは爆発限界以下の水素を含む窒素ガスを用い、300乃至450℃で焼成すると、被膜表面が耐摩耗性、耐候性に優れた撥水撥油防汚性窯業製品を製造できる作用がある。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と、アルコキシシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1にしておくと、耐摩耗性、耐候性に優れた撥水撥油防汚性窯業製品を製造できる作用がある。
さらにまた、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2−(CHSi(OA)、または[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはアルキル基)を用い、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物、あるいはアルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)を用いると、高耐久性を向上できる作用がある。
なお、下層複合膜を形成する工程のみを複数回繰り返し、上層膜形成工程を省いても、離水性に優れ且つ高耐久性を確保する上では問題ない。
また、下層複合膜を形成する工程を複数回繰り返した後、上層膜形成工程を行うと、初期撥水性に優れ且つ高耐久性を向上できる作用がある。
さらにまた、下地の窯業製品として、表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いると耐久性を向上できる作用がある。
なお、ここで、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、被膜形成時の反応速度を向上でき、シラノール縮合触媒を用いた場合に比べより短時間で防汚性窯業製品を製造できる作用がある。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(通常1:9〜9:1で使用可能であるが、1:1程度でよい。)して用いると、シラノール縮合触媒のみ、あるいはケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を単独で用いた場合に比べさらに製膜時間を短縮できる作用がある。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず、第1番目の発明である食器や花器、衛生陶器、碍子、タイル等の防汚性窯業製品について製造方法(第3および第4番目の発明)と共に説明する。
例えば、乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。)でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSiCl3(nは正数)と、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリルキ基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)を、非水系の水をほとんど含まない有機溶媒(例えば、ヘキサデカン)にそれぞれ0.01M/Lの濃度になるように溶解して(この場合、前者と後者の分子組成比1:1になる)複合膜形成溶液を作成する。
次に、食器や花器、衛生陶器、碍子、タイル等の窯業製品(例えばタイル3)をよく洗浄し、乾燥後、表面に前記複合膜形成溶液を塗布し1、2時間反応させる。
このとき、タイル3表面は水酸基すなわち活性水素を多数含み、且つ吸着水で被われているので、前記タイル3表面で二つの物質のSiCl3基と前記水酸基や吸着水とが脱塩酸反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質が混合反応した状態で−SiO−結合を介して前記タイル3表面に結合する。
すなわち、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質は、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1に変化して前記−SiO−結合を介して、タイル3表面やシロキサン基を主成分とする物質2と結合し、一方、クロロシリル基を主成分とする物質は、シロキサン基を主成分とする物質2に変化して前前記−SiO−結合介して、タイル3表面やフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1と結合する。
その後、表面の余分な複合膜形成溶液を洗浄除去する(第4番目の発明、有機溶媒を用いてふき取り除去しても良い。)と、数ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2を含み、且つ露出している水酸基4や内部の水酸基4’を多数含む複合膜5(可視光に対する透過率は、99%以上)を前記タイル3表面に形成できる。(図1(a))
なお、前記洗浄工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させる(第3番目の発明)か、あるいは布等でふき取ると、数十ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2を含み、且つ水酸基を多数含む複合膜(可視光に対する透過率は、98%以上)が前記タイル表面に形成できた。この場合、洗浄した場合に比べ厚さが厚くなり、表面光沢性は洗浄除去した場合に比べ劣るが、利点は、より耐久性を向上できることにある。
その後、前記複合膜(洗浄したもの、あるいは溶媒を蒸発させた、又はふき取ったものでも良い。)が形成されたそれぞれのタイルを300〜450℃、30〜120分程度の条件で加熱処理を行うと、膜中に残っていた水酸基4が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜6に変化する。その結果、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2よりなる耐摩耗性で且つ耐候性が高い撥水撥油性の複合膜7となり、高耐久性防汚性タイルを製造できる(図1(b))。
なお、300〜450℃で焼成時、雰囲気ガスとして3%の水素(爆発限界は4%。)を含む窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても被膜が酸化することなく焼成できる。
このときの防汚性タイル3の水に対する接触角は、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2の組成に依存するので、組成を変えれば、95±10度に制御できる。また、0.02mlの水滴に対する転落角は35度以下に制御できる。
なお、複合膜形成溶液の溶媒を蒸発させて被膜を形成する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、低いほど早く蒸発除去できるので都合がよいが、取扱いの上では50〜150℃程度がよい。
一方、非水系の有機溶媒で洗浄する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、高いほど安定しているが、取扱いの上では150〜350℃程度がよい。
また、複合膜形成溶液のフッ化炭素基と炭化水素基とロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質の分子組成比を変えて、複合膜に含まれるフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2の分子組成比を、好ましくは1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質100%で作成した被膜の場合に比べて大幅に耐摩耗性を向上できる。
参考として、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質がCF3(CF2(CHSiClであり、クロロシリル基を主成分とする物質がSiClであり、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質が100%の被膜(比較例1)と、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質の組成が2:1の場合のタイル3表面の被膜(実施例1)の耐摩耗試験における接触角変化の結果を図2に比較して示す。
一方、複合膜形成溶液のフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質1とクロロシリル基を主成分とする物質2の分子組成比を1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、水に対する接触角を95±10度(1:1〜6:1の場合は、100±5度)に制御でき、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質100%で作成した被膜(接触角は約110度)の場合に比べて大幅に水滴離水性能を向上(水滴転落角度を小さく)できる。
参考として、各種実験で得た水滴に対する接触角(他の物質を用いて得たデータも含めている。)と転落角(離水性能に関係する。)の関係を図3に示す。
なお、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質として、一般には、以下のような物質が挙げられる。
CF3(CF2n(R)mSiXpCl3-p
(但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは0、1または2)
さらに、具体的には、以下に示す(1)-(7)が挙げられる。
(1) CF3CH2O(CH215SiCl3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29 SiCl3
(4) CF3COO(CH215SiCl3
(5) CF3(CF27(CH22SiCl3
(6) CF3(CF25(CH22SiCl3
(7) CF3(CF2764SiCl3
また、クロロシリル基を主成分とする物質として、SiClやSiHCl3、SiH2Cl2、Cl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)、あるいはクロロシリルキ基を主成分とする物質の代わりにSi(OCHやSi(OCで表される化合物を用いることが可能である。
さらに、Si(OCHやSi(OCの代わりに、SiH(OCH3、SiH2(OCH2、または(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)や、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)も使用できる。
なお、このとき、Si(OCHやSi(OC、(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)は、脱塩酸反応はしないが、フッ化炭素基およびクロロシリル基を含む化学吸着剤が反応して発生する塩酸が触媒となり、基材表面とシロキサン結合を形成する。
また、上記クロロシラン系の化学吸着剤の代わりに、全てのクロロシリル基をイソシアネート基に置き換えたイソシアネート系の化学吸着剤、例えば下記に示す(1)-(5)が挙げられる。
(1) CF3(CH2rSiXp(NCO)3-p
(2) CF3(CH2rSiXp(NCO)3-p
(3) CF3(CH2sO(CH2tSiXp(NCO)3-p
(4) CF3(CH2uSi(CH32(CH2vSiXp(NCO)3-p
(5) CF3 COO(CH2wSiXp(NCO)3-p
(但し、好ましい範囲としてrは1〜25、sは0〜12、tは1〜20、uは0〜12、vは1〜20、wは1〜25を示す。)
さらに、前記の吸着剤に加えて、下記に示す(1)-(7)の具体的吸着化合物が挙げられ、いずれも実施の形態2にも同様に使用できる。
(1) CF3CH2O(CH215Si(NCO)3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(NCO)3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29Si(NCO)3
(4) CF3COO(CH215Si(NCO)3
(5) CF3(CF27(CH22Si(NCO)3
(6) CF3(CF25(CH22Si(NCO)3
(7) CF3(CF2764Si(NCO)3
なお、この場合は、塩酸が発生しないメリットがある。
さらに、非水系溶媒としては、水を含まない炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒を用いることが可能であるが、特に沸点が50〜300℃のものが使用に適している。
具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、ノナン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等を挙げることができる。
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭硝子社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加しても良い。
さらにまた、実施の形態1に置いて、タイルの代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜や酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等をアルカリバリア膜として数ナノメートル乃至数十ミクロン程度の厚みで形成したタイルを用いると、下地タイルからのアルカリ成分溶出を削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できる。 (一般の窯業製品でも同様である。さらに、電磁調理器用セラミックス製トッププレートの場合、あらかじめ表面に微細な突起(0.5〜2mm程度)を複数個設けておくと、被膜が直接鍋底に接触することがないので、本発明の防汚性被膜の耐久性をより一層向上できる。)
ここで、焼成時、実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても微量の不純物酸素を水素で除去でき、被膜の酸化を完全に防止できる。
なお、タイル以外では、必要する耐摩耗性あるいは防汚性に応じて、適宜表面エネルギーを調整して用いればよい。
(実施の形態2)
次に、第2番目の発明である防汚性窯業製品(例えばタイル)について製造方法(第5および第6番目の発明)と共に説明する。
前記実施の形態1において、表面の余分な複合膜形成溶液を洗浄除去し(第4番目の発明の途中)、あるいは前記洗浄工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させるか、あるいは布等でふき取って(第3番目の発明の途中)複合膜(実施の形態2では下層複合膜となる。)を形成後、さらにもう1層、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1を含む上層膜を形成する(第5および第6番目の発明)。
例えば、乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。)でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSiCl3(nは正数)を用い、非水系の水をほとんど含まない有機溶媒(例えば、ヘキサデカン)に0.01M/Lの濃度になるように溶解して上層膜形成溶液を作成する。
次に、下層複合膜の形成されたタイル3表面に前記上層膜形成溶液を塗布し1、2時間反応させる。
このとき、下層複合膜5の形成されたタイル3の表面は、図1(a)に示すように、水酸基4、4’すなわち活性水素が多数残っている。そこで、前記タイル3表面でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質のクロロシリル基(−SiCl3)基と前記表面に露出した水酸基4とが脱塩酸反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1’が−SiO−結合を介して前記タイル3表面に結合する。
すなわち、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質は、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1’に変化して前記−SiO−結合を介して、タイル3表面で露出している水酸基4と結合して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1を含む被膜になる。
その後、表面の余分な上層膜形成溶液を洗浄除去する(第6番目の発明、有機溶媒を用いてふき取り除去しても良い。)と、数ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2よりなる下層複合膜と、前記下層複合膜表面に結合したフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1よりなる上層膜8よりなる2層構造の被膜をタイル3表面に形成できる。
その後、さらに前記2層構造の被膜(洗浄したもの、あるいは蒸発又はふき取ったものでも良い。)が形成されたそれぞれのタイル3を300〜450℃、30〜120分程度の条件で加熱処理を行うと、膜内部に残っているSiOH基の水酸基4’が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜6’に変化する。その結果、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2よりなる下層複合膜7’とフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1よりなる上層膜8は、耐摩耗性、耐候性の高い撥水撥油性の2層膜9となり、水滴の接触角がおおむね110度の高耐久性の防汚性タイル3を製造できる(図1(c))。この膜は、2層構造でも、可視光に対する透過率はほぼ99%以上であるので、下地タイルの表面光沢が失われることはない。
なお、前記洗浄除去する工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させるか、あるいは布等でふき取る(第5番目の発明)と、洗浄した場合に比べ厚さが厚い数十ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1よりなる上層膜(2層構造でも可視光に対する透過率は、98%以上)が前記タイル3表面に形成できる。なお、この場合には、被膜の膜厚が厚くなり、表面光沢性は洗浄除去した場合に比べ劣るが、実用上は全く問題が無く、より耐久性を向上できる。
このときの防汚性タイルの水に対する初期接触角は、最表面の上層膜の物性で決まり、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質として、例えば、CF3(CF2(CHSiCl3(nは正数)を用いた場合、おおむね105±10度に制御できる。また、0.02mlの水滴に対する転落角はほぼ45度以下に制御できる。
なお、上層膜形成溶液の溶媒を蒸発させて上層膜を形成する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、低いほど早く蒸発除去できるので都合がよいが、取扱いの上では50〜150℃程度がよい。
一方、非水系の有機溶媒で洗浄する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、高いほど安定しているが、取扱いの上では150〜350℃程度がよい。
参考として、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiClを用いた場合の2層構造の被膜の(実施例2)の耐摩耗試験における接触角変化の結果を図2に比較して示す。
また、水滴の転落角は、20マイクロリットルの水滴の場合、およそ45度であり、実施の形態1に比べ、接触角が大きくなる分、大きくなる(図3参照)欠点があるが、耐摩耗性はさらに大幅に向上できる。
なお、上層膜形成用のフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基のみを主成分とする物質として、一般には、以下のような物質が挙げられる。
CF3(CF2n(R)mSiXpCl3-p
(但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは0、1または2)
さらに、具体的には、以下に示す(1)-(7)が挙げられる。
(1) CF3CH2O(CH215SiCl3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29 SiCl3
(4) CF3COO(CH215SiCl3
(5) CF3(CF27(CH22SiCl3
(6) CF3(CF25(CH22SiCl3
(7) CF3(CF2764SiCl3
また、上記クロロシラン系の化学吸着剤の代わりに、全てのクロロシリル基をイソシアネート基に置き換えたイソシアネート系の化学吸着剤、例えば下記に示す(1)-(5)が挙げられる。
(1) CF3(CH2rSiXp(NCO)3-p
(2) CF3(CH2rSiXp(NCO)3-p
(3) CF3(CH2sO(CH2tSiXp(NCO)3-p
(4) CF3(CH2uSi(CH32(CH2vSiXp(NCO)3-p
(5) CF3 COO(CH2wSiXp(NCO)3-p
(但し、好ましい範囲としてrは1〜25、sは0〜12、tは1〜20、uは0〜12、vは1〜20、wは1〜25を示す。)
さらに、前記の吸着剤に加えて、下記に示す(1)-(7)の具体的吸着化合物が挙げられる。
(1) CF3CH2O(CH215Si(NCO)3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(NCO)3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29Si(NCO)3
(4) CF3COO(CH215Si(NCO)3
(5) CF3(CF27(CH22Si(NCO)3
(6) CF3(CF25(CH22Si(NCO)3
(7) CF3(CF2764Si(NCO)3
なお、この場合は、塩酸が発生しないメリットがある。
さらに、非水系溶媒としては、水を含まない炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒を用いることが可能であるが、特に沸点が50〜300℃のものが使用に適している。
具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、ノナン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等を挙げることができる。
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭硝子社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加しても良い。
さらにまた、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、タイルの代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜や酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等をアルカリバリア膜として数ナノメートル乃至数十ミクロン程度の厚みで形成したタイルを用いると、タイルからのアルカリ成分溶出を削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できる。(一般の窯業製品でも同様)
ここで、焼成時、実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても微量の不純物酸素を水素で除去でき、被膜の酸化を完全に防止できる。
なお、この方法では、製造する窯業製品の目的に合わせて、適宜表面エネルギーを調整して用いることが可能である。
(実施の形態3)
さらに、第1番目の発明である防汚性窯業製品(例えばタイル)について、他の製造方法(第7及び第8番目の発明)と共に説明する。
まずはじめに、乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)でフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSi(OA)3(nは正数、Aは、メチル基、エチル基等のアルキル基)と、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物、あるいはアルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)とを、非水系の水をほとんど含まない有機溶媒(例えば、ヘキサデカン)にそれぞれ0.01M/Lの濃度になるように溶解して(この場合、前者と後者の分子組成比1:1になる)、さらにシラノール縮合触媒を0.0001M/Lの濃度になるように添加溶解して複合膜形成溶液を作成する。
次に、下地タイル13をよく洗浄し、表面に前記複合膜形成溶液を塗布し1〜2時間反応させる。
このとき、タイル13表面は水酸基すなわち活性水素を多数含み、且つ吸着水で被われているので、前記タイル13表面で二つの物質の−Si(OA)3基と前記水酸基や吸着水とが、シラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質が混合反応した状態で−SiO−結合を介して前記タイル13表面に結合する。
すなわち、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質は、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11に変化して前記−SiO−結合を介して、タイル13表面やシロキサン基を主成分とする物質12と結合し、一方、アルコキシシリル基を主成分とする物質は、シロキサン基を主成分とする物質12に変化して前前記−SiO−結合介して、タイル13表面やフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11と結合する。
その後、表面の余分な複合膜形成溶液を洗浄除去する(第8番目の発明、有機溶媒を用いてふき取り除去しても良い。)と、数ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12を含み、且つ露出している水酸基14や内部の水酸基14’を多数含む複合膜15(可視光に対する透過率は、99%以上)を前記タイル13表面に形成できる。(図4(a))
なお、前記洗浄除去する工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させるか、あるいは布等でふき取る(第7番目の発明)と、数十ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12を含み、且つ水酸基を多数含む複合膜15(可視光に対する透過率は、98%以上)が前記タイル13表面に形成できた。この場合、洗浄した場合に比べ厚さが厚くなり、表面光沢性は洗浄除去した場合に比べ劣るが、利点は、より耐久性を向上できることにある。
その後、前記複合膜(洗浄したもの。あるいは溶媒を蒸発させた、又はふき取ったものでも良い。)が形成されたそれぞれのタイルを300〜450℃、30〜120分程度の条件で加熱処理を行うと、膜中に残っていた水酸基14,14’が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜16に変化する。その結果、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12よりなる耐摩耗性で且つ耐候性が高い撥水撥油性の複合膜17となり、高耐久性撥水撥油防汚タイル13を製造できる(図4(b))。
このときの撥水撥油防汚タイルの水に対する接触角は、物質11と物質12の組成に依存するので、組成を変えれば、ほぼ95±10度に制御できる。また、0.02mlの水滴に対する転落角は35度以下に制御できる。
なお、複合膜形成溶液の溶媒を蒸発させて被膜を形成する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、低いほど早く蒸発除去できるので都合がよいが、取扱いの上では40〜300℃程度がよい。
一方、非水系の有機溶媒で洗浄する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、高いほど安定しているが、取扱いの上では300〜350℃程度がよい。
なお、前記2つの製造方法に置いて、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄すると、製造における環境負荷を低減出来る。
また、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質と、アルコキシシリル基を主成分とする物質の分子混合比を、1:10〜10:1にしておくと、耐久性と離水性を同時に向上出来る。
さらにまた、複合膜形成溶液のフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質の分子組成比を変えて、複合膜に含まれるフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12の分子組成比を、好ましくは1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質100%で作成した被膜の場合に比べて大幅に耐摩耗性を向上できる。
参考として、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基のみを主成分とする物質がCF3(CF2(CHSi(OA)であり、アルコキシシリル基を主成分とする物質がSi(OA)であり、シラノール触媒としてジブチル錫ジアセチルアセトナートを用いた場合、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質の組成が2:1の場合のタイル表面の被膜(実施例3)と、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質のみの(100%)のタイル表面の被膜(比較例2)との耐摩耗試験における接触角変化の結果を図5に比較して示す。
なお、複合膜形成溶液のフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質11とアルコキシシリル基を主成分とする物質12の分子組成比を1:10〜10:1(より好ましくは1:1〜6:1)にしておくと、水に対する接触角を95±10度(1:1〜6:1の場合は、100±5度)に制御でき、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質100%で作成した被膜(接触角は約110度)の場合に比べて大幅に水滴離水性能を向上(水滴転落角度を小さく)できる。
なお、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基のみを主成分とする物質として、一般には、以下のような物質が挙げられる。
CF3(CF2n(R)mSiXp(OA)3-p
(但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基、pは0、1または2)
より具体的には、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2(CHSi(OA)、あるいは[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)が上げられる。
さらに、具体的には、以下に示す(1)〜(18)があげられる。
(1) CF3CH2O(CH215Si(OCH3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(OCH3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29 Si(OCH3
(4) CF3COO(CH215Si(OCH3
(5) CF3(CF27(CH22Si(OCH3
(6) CF3(CF25(CH22Si(OCH3
(7) CF3(CF2764Si(OCH3
(8) CF3CH2O(CH215Si(OC3
(9) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(OC3
(10) CF3(CH26Si(CH32(CH29 Si(OC3
(11) CF3COO(CH215Si(OC3
(12) CF3(CF27(CH22Si(OC3
(13) CF3(CF25(CH22Si(OC3
(14) CF3(CF2764Si(OC3
(15)[CF3(CF2(CH222Si(OCH32
(16)[CF3(CF2(CH222Si(OC22
(17)[CF3(CF2(CH22SiOCH3
(18)[CF3(CF2(CH22SiOC2
が上げられる。
また、アルコキシシリル基を主成分とする物質として、Si(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物を用いることが可能である。
さらに、アルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)も使用できる。なお、これらの物質を添加すれば、基材表面と脱塩酸反応して少量の塩酸を生じるので、実質的に助触媒として働き、さらに製膜速度を速める効果がある。
さらにまた、シラノール縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が利用可能である。さらに具体的には、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートを用いることが可能である。
なお、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、反応時間を2倍程度早くでき、製膜時間を半分程度に短縮できる。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(1:9〜9:1)して用いると、さらに反応時間を数倍程度早くでき、製膜時間を数分の一に短縮できる。
さらに、非水系溶媒としては、水を含まない炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒を用いることが可能であるが、特に沸点が40〜300℃のものが使用に適している。
具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、ノナン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等を挙げることができる。
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒の365LIVE(大和化学工業(株)製品)や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭硝子社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を少量添加しても良い。
さらにまた、実施の形態1に置いて、タイルの代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜や酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等をアルカリバリア膜として数ナノメートル乃至数十ミクロン程度の厚みで形成したタイルを用いると、下地タイルからのアルカリ成分溶出を削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できる。(一般の窯業製品でも同様。)
ここで、焼成時、実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても微量の不純物酸素を水素で除去でき、被膜の酸化を完全に防止できる。
なお、この方法でも、製造する窯業製品の目的に合わせて、適宜表面エネルギーを調整して用いることが可能である。
(実施の形態4)
また、第2番目の発明である窯業製品について、もう一つの製造方法(第9及び第10番目の発明)と共に説明する。
前記実施の形態3において、下地タイル表面の余分な複合膜形成溶液を洗浄除去し(第10番目の発明の途中)、あるいは前記洗浄工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させるか、あるいは布等でふき取って(第9番目の発明の途中)、複合膜(本実施の形態4では下層複合膜となる。)を形成後、さらにもう1層、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11を含む上層膜を形成する。
例えば、乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)でフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSi(OA)3(nは正数)を用い、非水系の水をほとんど含まない有機溶媒(例えば、ヘキサデカン)に0.01M/Lの濃度になるように溶解し、さらにシラノール縮合触媒を0.0001M/Lの濃度になるように添加溶解して上層膜形成溶液を作成する。
次に、実施の形態3と同様の方法で形成され、まだ焼成されてない下層複合膜の形成されたタイル13表面に、前記上層膜形成溶液を塗布し1乃至2時間反応させる。
このとき、下層複合膜15の形成されたタイル13の表面は、図4(a)に示すように、水酸基14、14’すなわち活性水素が多数残っている。そこで、前記タイル13表面でフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質のアルコキシシリル基(−Si(OA)3)基と前記表面に露出した水酸基14とがシラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11’が−SiO−結合を介して前記タイル13表面に結合する。
すなわち、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質は、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11’に変化して前記−SiO−結合を介して、タイル13表面で露出している水酸基14と結合して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11を含む被膜になる。
その後、表面の余分な上層膜形成溶液を洗浄除去する(有機溶媒を用いてふき取り除去しても良い。第10番目の発明。)と、数ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12よりなる下層複合膜と、前記下層複合膜表面に結合したフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11よりなる上層膜18よりなる2層構造の被膜19を製造できる。
その後、さらに前記2層構造の被膜(洗浄したもの、あるいは蒸発又はふき取ったものでも良い。)が形成されたそれぞれのタイル13を300〜450℃、(より好ましくは、400±20℃が良い。)30〜120分程度の条件で加熱処理を行うと、膜内部に残っているSiOH基の水酸基14’が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜16’に変化する。その結果、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11とシロキサン基を主成分とする物質12よりなる下層複合膜17’とフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11よりなる上層膜18は、耐摩耗性、耐候性の高い撥水撥油性の2層膜19となり、水滴の接触角がおおむね105±5度の高耐久性の撥水撥油防汚タイルを製造できる(図4(c))。この膜は、2層構造でも、可視光に対する透過率はほぼ98%以上であるので、下地表面の光沢を損なうことはない。
なお、前記洗浄除去する工程を省き、前記非水系有機溶媒を蒸発させるか、あるいは布等でふき取る(第9番目の発明)と、洗浄した場合に比べ厚さが厚い数十ナノメートル厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質11よりなる上層膜(2層構造でも可視光に対する透過率は、98%以上)が前記タイル表面に形成できる。なお、この場合には、被膜の膜厚が厚くなり、表面光沢性は洗浄除去した場合に比べ劣るが、実用上は全く問題が無く、より耐久性を向上できる。
このときの撥水撥油防汚タイルの水に対する初期接触角は、最表面の上層膜の物性で決まり、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、例えば、CF3(CF2(CHSi(OA)3(nは正数)を用いた場合、おおむね105±10度に制御できる。また、0.02mlの水滴に対する転落角はほぼ45度以下に制御できる。
なお、上層膜形成溶液の溶媒を蒸発させて上層膜を形成する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、低いほど早く蒸発除去できるので都合がよいが、取扱いの上では40〜300℃程度がよい。
一方、非水系の有機溶媒で洗浄する場合には、複合膜形成溶液に用いる非水系の溶媒の沸点は、高いほど安定しているが、取扱いの上では300〜350℃程度がよい。
なお、前記2つの製造方法に置いて、有機溶媒で洗浄する代わりに、洗剤と水で洗浄すると、製造における環境負荷を低減出来る。
参考として、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)を用いた場合の2層構造のタイル表面の被膜の(実施例4)の耐摩耗試験における接触角変化の結果を実施例3および比較例2の結果と共に図5に示す。
また、水滴の転落角は、20マイクロリットルの水滴の場合、およそ45度であり、実施例4の結果に比べ接触角が大きくなる分、水滴の転落角が大きくなる欠点がある(図3参照)が、耐摩耗性はさらに大幅に向上できる。
なお、上層膜形成用のフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、一般には、以下のような物質が挙げられる。
CF3(CF2n(R)mSiXp(OA)3-p
(但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基、pは0、1または2)
より具体的には、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、CF3(CF2(CHSi(OA)3、[CF3(CF2(CHSi(OA)、あるいは[CF3(CF2(CHSiOA(nは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)が上げられる。
さらに、具体的には、以下に示す(1)〜(18)が上げられる。
(1) CF3CH2O(CH215Si(OCH3
(2) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(OCH3
(3) CF3(CH26Si(CH32(CH29 Si(OCH3
(4) CF3COO(CH215Si(OCH3
(5) CF3(CF27(CH22Si(OCH3
(6) CF3(CF25(CH22Si(OCH3
(7) CF3(CF2764Si(OCH3
(8) CF3CH2O(CH215Si(OC3
(9) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(OC3
(10) CF3(CH26Si(CH32(CH29 Si(OC3
(11) CF3COO(CH215Si(OC3
(12) CF3(CF27(CH22Si(OC3
(13) CF3(CF25(CH22Si(OC3
(14) CF3(CF2764Si(OC3
(15)[CF3(CF2(CH222Si(OCH32
(16)[CF3(CF2(CH222Si(OC22
(17)[CF3(CF2(CH22SiOCH3
(18)[CF3(CF2(CH22SiOC2
が上げられる。
また、アルコキシシリル基を主成分とする物質として、Si(OA)4、SiH(OA)3、SiH2(OA)2、または(AO)3Si(OSi(OA)2OA(但し、mは整数、Aはメチル基又はエチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)で表される化合物を用いることが可能である。
さらに、アルコキシシリル基を主成分とする物質の代わりに、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、またはCl3Si(OSiCl2Cl(但し、mは整数)も使用できる。なお、これらの物質を添加すれば、基材表面と脱塩酸反応して少量の塩酸を生じるので、実質的に助触媒として働き、さらに製膜速度を速める効果がある。
さらにまた、シラノール縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が利用可能である。さらに具体的には、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートを用いることが可能である。
なお、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、反応時間を2倍程度早くでき、製膜時間を短縮できる。
また、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(1:9〜9:1)して用いると、さらに反応時間を数倍程度早くでき、製膜時間を数分の一に短縮できる
さらに、非水系溶媒としては、水を含まない炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒を用いることが可能であるが、特に沸点が50〜300℃のものが使用に適している。
具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、ノナン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、オクタン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等を挙げることができる。
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒の365LIVE(大和化学工業(株)製品)や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭硝子社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を少量添加しても良い。
また、下層複合膜を形成する工程のみを複数回繰り返し、上層膜形成工程を行わなくとも、耐久性が高く且つ撥水撥油特性にかなり優れた窯業製品を提供できる。
さらにまた、実施の形態1に置いて、タイルの代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜や酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等をアルカリバリア膜として数ナノメートル乃至数十ミクロン程度の厚みで形成したタイルを用いると、下地タイルからのアルカリ成分溶出を削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できる。(一般の窯業製品でも同様)
ここで、焼成時、実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても微量の不純物酸素を水素で除去でき、被膜の酸化を完全に防止できる。
なお、この方法でも、製造する窯業製品の目的に合わせて、適宜表面エネルギーを調整して用いることが可能である。
以下、本発明の具体的な実施例を比較例とともに説明する。なお、以下の実施例においては、とくに記載していない限り分子組成比はモル比を意味する。
乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。これ以上になると、被膜形成物質が加水分解して被膜が白濁した。)でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3と、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClを、非水系有機溶媒である水をほとんど含まない5%クロロホルム含有ジメチルシリコーン溶液に、それぞれ0.02M/Lと0.01M/Lの濃度(2:1)になるように溶解して、複合膜形成溶液を作成した。
次に、窯業製品の代表例である陶器製のタイルをよく洗浄し、乾燥後、乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。これ以上になると、被膜形成物質が加水分解して被膜が白濁した。)で表面に前記複合膜形成溶液を塗布し、室温で1〜2時間放置反応させた。
このとき、タイル表面は水酸基すなわち活性水素を多数含み、且つ吸着水で被われているので、前記タイル表面で二つの物質の≡SiCl基と前記水酸基や吸着水とが脱塩酸反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質が混合した状態で前記タイル表面に結合した。
フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質は、前記シリル基を介して、タイル表面やシロキサン基を主成分とする物質と結合し、シロキサン基を主成分とする物質は、シロキサン基を介して、タイル表面やフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質と結合した。
その後、表面の余分な複合膜形成溶液をエタノールで洗浄除去すると、略5nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜が前記タイル表面に形成できた。
なお、洗浄せずに前記非水系有機溶媒を蒸発させる(この場合、60乃至100℃でタイルを加熱すると、溶媒の蒸発を早めることが可能であり、蒸発時間を短縮できた。)と、略30nm厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を、前記タイル表面に形成できた。また、ふき取った場合には、略10nm厚みとなった。
その後、複合膜が形成されたそれぞれのタイルを実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガス中で400℃30分程度の加熱処理を行うと、−SiCl3基が吸着水と反応して生成された≡SiOH基の大部分が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜に変化して、耐摩耗性、且つ耐候性の高いフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質よりなる撥水撥油性の複合膜となり、250℃以下で焼成した場合に比べおよそ3倍の高耐久撥水撥油防汚性のタイルを製造できた。
また、400℃30分の焼成時、雰囲気ガスとして3%の水素(爆発限界は4%。)を含む窒素ガスを用いると、炉扉開閉時に炉内へ多少の酸素混入があっても被膜が酸化することなく焼成できた。
なお、このとき、防汚性タイルの水に対する接触角は、洗浄の有無に関わらず、略103度であった。
また、0.02mlの水滴の転落角は略30度であった。さらに、摩耗試験では、加重500g/4cmの条件下で、水に対する接触角は、往復6000回のこすりに対して95度以上を維持できた。さらにまた、あらかじめタイル表面にアルカリバリア膜を形成したタイルを用いれば、さらに耐水性を向上できた。
さらにまた、タイルの代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜(酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等でも良い。)をアルカリバリア膜として約十ミクロン程度の厚みで形成したタイルを用いると、タイルからのアルカリ成分溶出を相当削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できた。(一般の窯業製品でも同様)
ここで、クロロシリルキ基を主成分とする物質であるSiClの代わりに、Si(OCHやSi(OCで表される化合物を用いてもほぼ同様の結果が得られた。
なお、このとき、Si(OCHやSi(OCは、脱塩酸反応はしないが、フッ化炭素基およびクロロシリル基を含む化学吸着剤が反応して発生する塩酸が触媒となり、基材表面とシロキサン結合を形成する。
さらに、SiClの代わりに、SiH(OCH3、SiH2(OCH2、または(CHO)3Si(OSi(OCH2OCH(但し、mは整数)や、SiH(OC3、SiH2(OC2、または(CO)3Si(OSi(OC2OC(但し、mは整数)も使用できた。
(比較例1)
実施例1において、クロロシリル基を主成分とする物質SiClを除き同様の条件で防汚性タイルを試作した。基本性能である水に対する接触角を測定すると、112度であった。
また、水滴の転落角は、0.02mlの水滴で、当初略50度であった。さらに、摩耗試験を行った。加重500g/4cmの条件下での耐摩耗性評価結果を、実施例1と共に図2に示す。
実用性を考慮した上で離水性能が最も好都合な接触角95度(図3参照)で見ると、往復2800回までしか耐えられなかった。また、図2から明らかなように、接触角が95度となる点で比較すると、実施例1のタイルに比べ1/2以下の耐摩耗性しか得られなかった。
以上の実験より、従来技術で製造した防汚性タイルは、本発明の製造方法を用いて製造した防汚性タイルに比べ、水に対する接触角は110度以上と高いが、そのため離水性能が劣るという欠点があることが確かめられた。また、耐摩耗性も劣ることが確認できた。
実施例1において、タイル表面の余分な複合膜形成溶液をエタノールで洗浄除去して、略5nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む下層複合膜を形成した後、引き続いて、以下の工程を追加して2層構造の撥水撥油膜を形成した。
追加した工程を以下に示す。
すなわち、あらかじめ乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。これ以上になると、被膜形成物質が加水分解して被膜が白濁した。)で、フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSiCl3を用い、非水系有機溶媒である水をほとんど含まない5%クロロホルム含有ジメチルシリコーン溶液に、0.01M/Lの濃度になるように溶解して、上層膜形成溶液を作成しておいた。
次に、下層複合膜の形成されたタイルを準備し、表面に前記複合膜形成溶液を乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。これ以上になると、被膜形成物質が加水分解して被膜が白濁した。)で塗布し、室温で1〜2時間放置反応させた。
このとき、タイル表面の下層複合膜はある程度水酸基すなわち活性水素が露出しているので、前記タイル表面でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質の≡SiCl基と前記水酸基とが脱塩酸反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質が前記タイル表面に前記シリル基を介して結合した。
その後、表面の余分な上層膜形成溶液をエタノールで洗浄除去すると、略7nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を下層とし、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を含む被膜を上層膜とした2層構造の被膜を前記タイル表面に形成できた。
なお、洗浄せずに前記非水系有機溶媒を蒸発させる(この場合、60乃至100℃でタイルを加熱すると、溶媒の蒸発を早めることが可能であり、蒸発時間を短縮できた。)と、略50nm厚みの2層構造の被膜を前記タイル表面に形成できた。
また、ふき取った場合には、略20nm厚みとなった。
以下、実施例1と同様に、2層構造の被膜が形成されたそれぞれのタイルを実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば窒素ガスあるいは爆発限界以下の水素を混ぜた窒素ガス中で400℃30分程度の加熱処理を行うと、膜中に残っていた≡SiOH基の大部分が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜に変化して、実施例1に比べ、さらに撥水性が高く且つ耐摩耗性、耐候性の高いフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む下層複合膜とフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を含む上層膜よりなる、2層構造の被膜が形成された高耐久性防汚性タイルを製造できた。なお、この場合も250℃以下で焼成した場合に比べ、5倍以上の高耐久撥水撥油防汚性のタイルを製造できた。しかしながら、470℃以上で加熱した場合には、酸素を含まない雰囲気中であっても被膜は分解してしまった。
なお、このときも、防汚性タイルの水に対する接触角は、洗浄の有無に関わらず、略110±3度以内であった。
また、0.02mlの水滴の転落角は略45度であった。さらに、摩耗試験では、加重500g/4cmの条件下で、水に対する接触角は、往復9000回のこすりに対して95度以上を維持できた。加重500g/4cmの条件下での耐摩耗性評価結果を、実施例1および比較例1と共に図2に示す。
さらにまた、あらかじめタイル表面にアルカリバリア膜を形成したタイルを用いれば、さらに耐水性を向上できた。
乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)でフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CH Si(OCH と、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OCH を、非水系有機溶媒である水をほとんど含まない5%クロロホルム含有ジメチルシリコーン溶液に、それぞれ0.02M/Lと0.01M/Lの濃度(2:1)になるように溶解し、さらにシラノール縮合触媒としてジブチル錫ジアセチルアセトナートを0.0001M/Lの濃度になるように添加溶解して、複合膜形成溶液を作成した。
次に、タイルをよく洗浄し、乾燥後、乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)で表面に前記複合膜形成溶液を塗布し、室温で1〜2時間放置反応させた。
このとき、タイル表面は水酸基すなわち活性水素を多数含み、且つ吸着水で被われているので、前記タイル表面で二つの物質の≡SiOA基と前記水酸基や吸着水とがシラノール縮合触媒下で脱アルコール反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質が混合した状態で前記タイル表面に結合した。
このとき、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質は、前記シリル基を介して、タイル表面やシロキサン基を主成分とする物質と結合し、シロキサン基を主成分とする物質は、シロキサン基を介して、タイル表面やフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質と結合した。
その後、表面の余分な複合膜形成溶液をエタノールで洗浄除去すると、略5nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜が前記タイル表面に形成できた。
なお、洗浄せずに前記非水系有機溶媒を蒸発させる(この場合、60〜100℃でタイルを加熱すると、溶媒の蒸発を早めることが可能であり、蒸発時間を短縮できた。)と、略30nm厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を、前記タイル表面に形成できた。また、単に布でふき取った場合には、略10nm厚みとなった。
その後、複合膜が形成されたそれぞれのタイルを実質的に酸素を含まない雰囲気、例えば窒素ガス、あるいは爆発限界以下の水素を含む窒素ガス中で400℃20分程度の加熱処理を行うと、≡SiOA基が吸着水と反応して生成された≡SiOH基の大部分が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜に変化して、耐摩耗性、且つ耐候性の高いフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質よりなる撥水撥油性の複合膜となり、250℃で焼成した場合に比べおよそ3倍の高耐久性で且つ撥水撥油防汚性のタイルを製造できた。
なお、400℃30分の焼成時、雰囲気ガスとして3%の水素(爆発限界は4%。)を含む窒素ガスを用いると、炉内へ多少の酸素混入があっても被膜が酸化することなく焼成できた。
なお、このとき、複合膜の光透過率は、洗浄の有無基関わらず、波長400〜700nmの光に対して99%以上であった。また、撥水撥油防汚タイルの水に対する接触角は、洗浄の有無に関わらず、略103度であった。
また、0.02mlの水滴の転落角は略30度であった。さらに、摩耗試験では、加重500g/4cmの条件下で、水に対する接触角は、往復6000回のこすりに対して96度以上を維持できた。
さらにまた、タイルの代わりに、ゾルゲル法やCVD法等を用いて形成したシリカ膜(酸化チタン膜、あるいはポリシラザンを用いて形成した窒化シリコン膜等でも良い。)をアルカリバリア膜として約十ミクロン程度の厚みで形成したタイルを用いると、タイルからのアルカリ成分溶出を相当削減でき、耐候、耐水性をさらに向上できた。(一般の窯業製品でも同様)
(比較例2)
実施例3において、アルコキシシリル基を主成分とする物質Si(OA)を除き同様の条件で撥水撥油防汚タイルを試作した。基本性能である水に対する接触角を測定すると、112度であった。
また、水滴の転落角は、0.02mlの水滴で、当初略50度であった。さらに、摩耗試験を行った。加重500g/4cmの条件下での耐摩耗性評価結果を、実施例3、4の結果と共に図5に示す。
実用性を考慮した上で離水性能が最も好都合な接触角95度(図3参照)で見ると、往復2800回までしか耐えられなかった。また、図から明らかなように、接触角が95度となる点で比較すると、実施例4のタイルに比べ1/2以下の耐摩耗性しか得られなかった。
以上の実験より、アルコキシシリル基を主成分とする物質Si(OA)を除き製造した撥水撥油防汚タイルは、実用性が全くないわけではないが、アルコキシシリル基を主成分とする物質Si(OA)を添加して製造した撥水撥油防汚タイルに比べ、水に対する接触角は105度以上と高い故に離水性能が劣るという欠点があることが確かめられた。また、耐摩耗性も劣ることが確認できた。
実施例3において、タイル表面の余分な複合膜形成溶液をエタノールで洗浄除去して、略5nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む下層複合膜を形成した後、引き続いて、以下の工程を追加して2層構造の撥水撥油膜を形成した。
追加した工程を以下に示す。
すなわち、あらかじめ乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)で、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質としてCF3(CF2(CHSi(OA)3を用い、非水系有機溶媒である水をほとんど含まない5%クロロホルム含有ジメチルシリコーン溶液に、0.01M/Lの濃度になるように溶解し、さらにシラノール縮合触媒としてジブチル錫アセテートを0.0001M/Lの濃度になるように添加溶解して、上層膜形成溶液を作成しておいた。
次に、下層複合膜の形成されたタイルを準備し、さらに前記下層複表面に、前記複合膜形成溶液を乾燥雰囲気中(湿度50%以下が良い。)で塗布し、室温で1〜2時間放置反応させた。
このとき、タイル表面の下層複合膜の表面にはある程度水酸基すなわち活性水素が露出しているので、前記タイル表面でフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質の≡SiOA基と前記水酸基とがシラノール触媒の存在下で脱アルコール反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質が前記タイル表面に前記シリル基を介して結合した。
その後、表面の余分な上層膜形成溶液をエタノールで洗浄除去すると、略7nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を下層とし、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を含む被膜を上層膜とした2層構造の被膜を前記タイル表面に形成できた。
なお、洗浄せずに前記非水系有機溶媒を蒸発させる(この場合、60乃至100℃でタイルを加熱すると、溶媒の蒸発を早めることが可能であり、蒸発時間を短縮できた。)と、略50nm厚みの2層構造の被膜を前記タイル表面に形成できた。
また、布でふき取った場合には、略20nm厚みとなった。
以下、実施例3と同様に、2層構造の被膜が形成されたそれぞれのタイルを実質的に酸素を含まない雰囲気である窒素ガスまたは爆発限界以下の水素を含む窒素ガス中で400℃20分程度の加熱処理を行うと、膜中に残っていた≡SiOH基の大部分が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜に変化して、実施例3に比べ、耐摩耗性が1.5倍と高く、且つ撥水性と耐候性に優れたフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む下層複合膜とフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質を含む上層膜よりなる、2層構造の被膜が形成された高耐久性撥水撥油防汚タイルを製造できた。なお、この場合も250℃で焼成した場合に比べ、5倍以上の高耐久性で且つ撥水撥油防汚性のタイルを製造できた。
なお、撥水撥油防汚タイルの水に対する接触角は、洗浄の有無に関わらず、略105±3度以内であった。
また、0.02mlの水滴の転落角は略45度であった。さらに、摩耗試験では、加重500g/4cmの条件下で、水に対する接触角は、往復9000回のこすりに対して95度以上を維持できた。さらにまた、あらかじめタイル表面にアルカリバリア膜を形成したタイルを用いれば、さらに耐水性を向上できた。
なお、製造コストは高くなるが、下層複合膜を形成する工程を複数回繰り返した後、上層膜形成工程を行えば、さらに耐久性に優れたタイルが得られたことは言うまでもない。
さらに、下層複合膜を形成する工程のみを複数回繰り返し、上層膜形成工程を行わなくとも、撥水撥油特性にかなり優れたいタイルを製造できたことは言うまでもない。
なお、400℃30分の焼成時、雰囲気ガスとして3%の水素(爆発限界は4%。)を含む窒素ガスを用いると、炉内へ多少酸素混入があっても被膜が酸化することなく焼成できた。
さらに、実施例3及び4において、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物が利用できた。
具体的には、実施例3及び4において、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物(ジャパンエポキシレジン社のH3、またはチッソ社のサイラエースS340をそれぞれ触媒の代わりに同濃度で用いてみたが、同様の被膜を得るのに必要とする反応時間はそれぞれ30分まで短縮できた。
さらに、実施例3及び4において、上述のシラノール縮合触媒とケチミン化合物、又はアルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を1:9〜9:1で混合して用いると、さらにさらに反応時間を20〜3分まで短縮できた。
具体的には、実施例3及び4において、上述のシラノール縮合触媒濃度を半分にして、上述のケチミン化合物であるS340を等モル混合した場合(1:1)、同様の被膜を得るのに必要とする反応時間を10分まで短縮できた。
なお、利用できるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等がある。
また、利用できる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、あるいは酢酸、プロピオン酸、ラク酸、マロン酸等があり、ほぼ同様の効果があった。
乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。これ以上になると、被膜形成物質が加水分解して被膜が白濁した。)でフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質としてCF3−(CF2−(CH−SiCl3と、クロロシリル基を主成分とする物質としてSiClとを、非水系有機溶媒である水をほとんど含まない5%クロロホルム含有ジメチルシリコーン溶液に、それぞれ0.02M/Lと0.01M/Lの濃度(2:1)になるように溶解して、複合膜形成溶液を作成した。
次に、磁器製の皿をよく洗浄し、乾燥後、乾燥雰囲気中(湿度35%以下が良い。これ以上になると、被膜形成物質が加水分解して被膜が白濁した。)で表面に前記複合膜形成溶液を塗布し、室温で1〜2時間放置反応させた。
このとき、皿表面は水酸基すなわち活性水素を多数含み、且つ吸着水で被われているので、前記磁器製の皿表面で二つの物質の≡SiCl基と前記水酸基や吸着水とが脱塩酸反応して、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質が混合した状態で前記磁器製の皿表面に結合した。
フッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質は、前記シリル基を介して、磁器製の皿表面やシロキサン基を主成分とする物質と結合し、シロキサン基を主成分とする物質は、シロキサン基を介して、磁器製の皿表面やフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質と結合した。
その後、表面の余分な複合膜形成溶液をエタノールで洗浄除去すると、略5nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜が前記磁器製の皿表面に形成できた。
なお、洗浄せずに前記非水系有機溶媒を蒸発させる(この場合、60乃至100℃で磁器製の皿を加熱すると、溶媒の蒸発を早めることが可能であり、蒸発時間を短縮できた。)と、略30nm厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を、前記磁器製の皿表面に形成できた。また、ふき取った場合には、略10nm厚みとなった。
その後、複合膜が形成されたそれぞれの磁器製の皿を、さらに不活性ガスである窒素ガス中で400℃30分程度の加熱処理を行うと、被膜内の−SiCl3基が吸着水と反応して生成された≡SiOH基の大部分が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜に変化して、耐摩耗性で且つ耐水性の高いフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2よりなる撥水撥油性の複合膜となり、高耐久性で且つ水切り特性に優れた防汚性の磁器製の皿を製造できた。
なお、このとき、複合膜の光透過率は、洗浄の有無基関わらず、波長400〜700nmの光に対して98%以上であったので、下地の色調や光沢は、被膜形成前と全く変わりがなかった。また、防汚性磁器製の皿の水滴接触角は、洗浄工程の有無に関わらず、略104度(臨界表面エネルギーは12mN/m程度) であり、テフロン(登録商標)コート並み以上の撥油性が付与できた。
また、0.02mlの水滴の転落角は略30度であった。この数値は、食器を立て掛けると水滴がほぼ全て流れ落ちるレベルであり、水切り特性は抜群であった。さらに、摩耗試験では、加重500g/4cmの条件下で、水に対する接触角は、往復6000回のこすりに対して95度以上を維持できた。この条件は、布巾で表面を数十万回拭う条件に相当する。
なお、加熱処理を行う前に、もう一度同じ製膜工程を繰り返し、その後加熱処理を行うと、2層構造の防汚膜を形成できた。この場合、被膜の耐久性もさらに向上できたことはいうまでもない。
さらにまた、2層目の被膜形成時にフッ化炭素基と炭化水素基とクロロシリル基を主成分とする物質とクロロシリル基を主成分とする物質の組成比を4:1に変えて最表面層を形成したら、水に対する初期接触角を109度にできた。また、耐摩耗試験では、1.8倍の耐久性が得られた。
(比較例3)
実施例7において、クロロシリル基を主成分とする物質SiClを除き同様の条件で撥水撥油防汚磁器製の皿を試作した。すなわち、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質100%で作製した。この場合、基本性能である水に対する接触角を測定すると、112度であった。
また、水滴の転落角は、0.02mlの水滴で、当初略50度であった。
実用性を考慮した上で離水性能が最も好都合な接触角95度で見ると、往復2800回までしか耐えられなかった。
したがって、水に対する接触角は110度以上と極めて高いので、良好な防汚機能を磁器製の皿に付与できた。また、ある程度の耐久性もあった。
しかしながら、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜を形成した場合に比べて、耐久性に劣ることが確認できた。また、撥水性が高い、水滴転落角が高くなり、水切りが悪くなった。
一方、実施例7及び比較例3に置いて、通常の磁器製の皿の代わりに、ゾルゲル法を用いて表面にシリカ膜を約10ミクロンの厚みで形成した磁器製の皿を用いると、下地磁器製の皿からのアルカリ成分溶出を削減でき、耐候、耐水性を倍以上向上できた。(一般の窯業製品でも同様)
まず、磁器製の皿を用意し、よく洗浄して乾燥した。次に、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質として、例えば、CF3(CF27(CH22Si(Si(OC253)を59.7重量%、アルコキシシリル基を主成分とする物質としてSi(OC25を40重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチル錫オキサイド)を0.3重量%となるようそれぞれ秤量調整し、水をほとんど含まないシリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサン溶媒に総量で0.2重量%程度の濃度(好ましくい濃度は、0.05〜1%程度)になるように溶かして複合膜形成溶液とした。
この複合膜形成溶液を、普通の空気中で(相対湿度57%、別の実験では70%でも問題なかった。)で前記磁器製の皿表面に塗布し、溶媒を蒸発させた。このとき、磁器製の皿表面は水酸基が多数含まれているので、前記フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質の≡Si(OC25)基と前記磁器製の皿表面の水酸基や吸着水がシラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール(この場合は、脱C25OH)反応し、さらに、磁器製の皿表面の未反応のフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質も空気中の水分と脱アルコール反応して、磁器製の皿表面全面に亘り表面と化学結合して、略40nm厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2を含む複合膜を前記磁器製の皿表面に形成できた。
一方、表面の余分な複合膜形成溶液をエタノールで洗浄除去(第5番目の発明)すると、略5nm程度の厚みのフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2を含む複合膜が前記磁器製の皿表面に形成できた。また、ふき取った場合には、略15nm厚みとなった。
その後、複合膜が形成されたそれぞれの磁器製の皿を不活性ガスである窒素ガス中で400℃30分程度の加熱処理を行うと、−Si(OC25)基が吸着水と反応して生成された≡SiOH基の大部分が脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し網目状のシリカ膜に変化して、耐摩耗性、且つ離水性(滑水性ともいう)に優れたフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質1とシロキサン基を主成分とする物質2よりなる防汚性の複合膜となり、実施例7とほぼ同様の物性を有する高耐久性且つ水切り特性に優れた防汚性の磁器製の皿を製造できた。
なお、加熱処理を行う前に、もう一度同じ製膜工程を繰り返し、その後加熱処理を行うと、2層構造の防汚膜を形成できた。この場合、被膜の耐久性もさらに向上できたことはいうまでもない。
さらにまた、2層目の被膜形成時にフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質とアルコキシシリル基を主成分とする物質の組成比を変えて、例えば、1:0、すなわちフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする物質のみで最表面層を形成したら、水に対する初期接触角を111度にできた。また、耐摩耗試験では、1.7倍の耐久性が得られた。
実施例8において、アルコキシシリル基を主成分とする物質Si(OC25を除き、同様の条件で1層の撥水撥油防汚膜を形成した。基本性能である水に対する接触角を測定すると、111度であった。また、水切り特性能や耐久性は、実施例7や8に比べてやや劣るが、その他の物性値は、比較例3とほぼ同等であり、実用に供し得る防汚性の磁器製の皿を製造できた。
一方、実施例8及び9に置いて、磁器製の皿の代わりに、ゾルゲル法を用いて表面にシリカ膜を約10ミクロンの厚みで形成した磁器製の皿を用いると、下地磁器製の皿からのアルカリ成分溶出を削減でき、耐候、耐水性を倍以上向上できた。さらに、下地が電磁調理器用セラミックス製トッププレートの場合、防汚被膜形成前に、あらかじめトッププレート表面に微細な突起(0.5〜2mm程度)を複数個設けておくと、被膜が直接鍋底に接触することがなくなり、被膜の耐久性を向上できた。
本発明の防汚性タイルの製造工程を示したものであり、(a)は実施例1における被膜形成後のタイル表面、(b)は実施例1における焼成後の撥水撥油防汚膜が形成されたタイル表面、(c)は実施例2における2層構造の撥水撥油防汚膜が形成されたタイル表面をそれぞれ分子レベルまで拡大した断面概念図。 実施例1および2と比較例1で製作した防汚性タイルの耐摩耗性試験結果を比較して示した図。 本発明を行うに当たり、予備実験で得たデータをプロットしたものであり、水に対する接触角と転落角の関係を示した図。 本発明の撥水撥油防汚タイルの製造工程を示したものであり、(a)は実施例3における被膜形成後のタイル表面、(b)は実施例3における焼成後の撥水撥油防汚膜が形成されたタイル表面、(c)は実施例4における焼成後の2層構造の撥水撥油防汚膜が形成されたタイル表面をそれぞれ分子レベルまで拡大した断面概念図。 実施例3および4と比較例2で製作した撥水撥油防汚タイルの耐摩耗性試験結果を比較して示した図。
符号の説明
1、1’ フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質
2 シロキサン基を主成分とする物質2
3 陶器製のタイル
4、4’ 水酸基
5 水酸基4を多数含む複合膜
6 網目状のシリカ膜
6’ 網目状のシリカ膜
7 撥水撥油防汚性の複合膜
7’下層複合膜
8 上層膜
9 2層構造撥水撥油防汚性膜
11、11’ フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質
12 シロキサン基を主成分とする物質2
13 タイル
14、14’ 水酸基
15 水酸基4を多数含む複合膜
16 網目状のシリカ膜
16’ 網目状のシリカ膜
17 撥水撥油防汚性の複合膜
17’下層複合膜
18 上層膜
19 2層構造撥水撥油防汚性膜

Claims (10)

  1. 撥水撥油離水性の高耐久被膜が形成された窯業製品であって、前記撥水撥油離水性の高耐久被膜が、少なくともフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質(A)とポリシロキサン結合よりなる網目状のシリカ(B)とが混合されてできており、且つ水に対する接触角が95±10度に制御されている複合膜であり、前記複合膜を少なくとも1層含んでいることを特徴とする防汚性窯業製品。
  2. フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質(A)が、ポリシロキサン結合よりなる網目状のシリカ(B)よりなるシリカ膜中で前記シリル基を介して前記シリカ膜および/または窯業製品の表面に結合固定されていることを特徴とする請求項1に記載の防汚性窯業製品。
  3. フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質(A)とポリシロキサン結合よりなる網目状のシリカ(B)がそれぞれシリル基およびシロキサン基を介して互いに/または個々に窯業製品の表面に結合固定されていることを特徴とする請求項1に記載の防汚性窯業製品。
  4. 請求項1の複合膜を下層とし、さらにフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質(A)を含む上層膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防汚性窯業製品。
  5. 前記下層複合膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質(A)が、ポリシロキサン結合よりなる網目状のシリカ(B)よりなるシリカ膜中で前記シリル基を介して前記シリカ膜および/または窯業製品表面に結合固定されており、前記上層膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質(A)がシリル基を介して前記下層複合膜に含まれるシロキサン基に結合固定されてことを特徴とする請求項4に記載の防汚性窯業製品。
  6. 前記下層複合膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質(A)とポリシロキサン結合よりなる網目状のシリカ(B)が、それぞれシリル基およびシロキサン基を介して互いにまたは個々に窯業製品表面に結合固定されており、前記上層膜を構成するフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質(A)がシリル基を介して前記下層複合膜に含まれるシロキサン基に結合固定されてことを特徴とする請求項4に記載の防汚性窯業製品。
  7. 複合膜に含まれるフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする物質(A)とポリシロキサン結合よりなる網目状のシリカ(B)の分子組成比が、1:10〜10:1であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の防汚性窯業製品。
  8. 上層膜の水に対する接触角が105±10度に制御されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の防汚性窯業製品。
  9. 窯業製品として、あらかじめ表面にアルカリバリア膜が形成された窯業製品を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の防汚性窯業製品。
  10. 窯業製品が食器、花器、衛生陶器、碍子、タイル、および電磁調理器用セラミック製トッププレートであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の防汚性窯業製品。
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