ところで、こうしたエンジンを搭載した車両では、冷間時などエンジンの冷却水温が低い状態で停止すると、壁面に付着した燃料で浄化触媒周辺の雰囲気が燃料リッチとなり、次回のエンジン始動時にエミッションが悪化する場合がある。
本発明の車両は、エンジンを始動する際のエミッションの悪化を抑制することを主目的とする。
本発明の車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の第1の車両は、
排気を浄化する浄化触媒を有し走行用の動力を出力する多気筒のエンジンと、前記エンジンの間欠運転を伴って走行するよう前記エンジンを制御する制御手段と、を備えるハイブリッド車であって、
前記制御手段は、前記エンジンの冷却水温が予め定められた所定温度より低い状態で前記エンジンを停止するときには、前記エンジンの一部の気筒における燃料噴射が停止された後に前記エンジンの残余の気筒における燃料噴射が停止されるよう前記エンジンを制御することを特徴とする。
この本発明の第1の車両では、エンジンの冷却水温が予め定められた所定温度より低い状態でエンジンを停止するときには、エンジンの一部の気筒における燃料噴射が停止された後にエンジンの残余の気筒における燃料噴射が停止されるようエンジンを制御する。エンジンの一部の気筒における燃料噴射を停止して燃料リッチの度合いを緩和した後に残余の気筒における燃料噴射を停止することにより、浄化触媒の雰囲気が燃料リッチになることを抑制して、エミッションの悪化を抑制することができる。
こうした本発明の第1の車両において、前記制御手段は、前記エンジンの残余の気筒における燃料噴射を停止した状態で前記エンジンのスロットルバルブの開度を一旦大きくした後に前記スロットルバルブの開度が小さくなるよう前記エンジンを制御するものとすることもできる。こうすれば、エンジンの残余の気筒における燃料噴射を停止したときに直ちにスロットルバルブの開度を小さくするものに比して、より多くの空気を排気側に供給することができ、浄化触媒の雰囲気が燃料リッチになることをさらに抑制することができる。
本発明の第2の車両は、
排気を浄化する浄化触媒を有し走行用の動力を出力するエンジンと、前記エンジンの間欠運転を伴って走行するよう前記エンジンと前記モータとを制御する制御手段と、を備える車両であって、
前記制御手段は、前記エンジンの冷却水温が予め定められた所定温度より低い状態で前記エンジンを停止するときには、前記エンジンにおける燃料噴射を停止した状態で前記エンジンのスロットルバルブの開度を一旦大きくした後に前記スロットルバルブの開度が小さくなるよう前記エンジンを制御することを特徴とする。
この本発明の第2の車両では、エンジンの冷却水温が予め定められた所定温度より低い状態でエンジンを停止するときには、エンジンにおける燃料噴射を停止した状態でエンジンのスロットルバルブの開度を一旦大きくした後にスロットルバルブの開度が小さくなるようエンジンを制御する。これにより、エンジンにおける燃料噴射を停止したときにスロットルバルブの開度を大きくすることなく開度を小さくするものに比して、より多くの空気を排気側に供給することができ、浄化触媒の雰囲気が燃料リッチになることをさらに抑制することができる。
エンジンの残余の気筒における燃料噴射を停止した状態でエンジンのスロットルバルブの開度を一旦大きくした後にスロットルバルブの開度が小さくなるようエンジンを制御する態様の本発明の第1,第2の車両において、前記制御手段は、前記エンジンを停止する際に前記エンジンのスロットルバルブの開度を一旦大きくするときには、空燃比がリッチであるほど前記スロットルバルブの開度が大きくなる傾向に前記スロットルバルブの開度を大きくするものとすることもできる。これにより、空燃比がリッチであるほどより多くなる傾向の量の空気を排気側に供給することができ、浄化触媒の雰囲気が燃料リッチになることをより適正に抑制することができる。
また、エンジンの残余の気筒における燃料噴射を停止した状態でエンジンのスロットルバルブの開度を一旦大きくした後にスロットルバルブの開度が小さくなるようエンジンを制御する態様の本発明の第1,第2の車両において、前記制御手段は、前記エンジンを停止する際に前記エンジンのスロットルバルブの開度を一旦大きくした後に前記エンジンの回転数が所定回転数以下になったときに、前記スロットルバルブの開度が小さくなるよう前記エンジンを制御するものとすることもできる。こうすれば、吸気管負圧を確保することができ、エンジンを停止する際のショックの発生を抑制することができる。
エンジンのスロットルバルブの開度を一旦大きくした後にエンジンの回転数が所定回転数以下になったときにスロットルバルブの開度が小さくなるようエンジンを制御する態様の本発明の第1,第2の車両において、前記所定回転数は、前記エンジンのフリクションが小さいときより前記エンジンのフリクションが大きいときのほうが高いものとすることもできる。エンジンのフリクションが大きいときには、エンジンのフリクションが小さいときより燃料噴射を停止した後におけるエンジンの回転数の低下速度が速い。そのため、スロットルバルブの開度を一旦大きくした後、エンジンのフリクションに拘わらず、常に同じ回転数でスロットルバルブの開度を小さくすると、エンジンのフリクションが大きいときには吸気管負圧を確保することができなくなり、エンジンを停止する際のショックの発生を充分に抑制できない場合がある。したがって、所定回転数を、エンジンのフリクションが小さいときよりエンジンのフリクションが大きいときのほうが高いものとすることにより、エンジンのフリクションに拘わらず、吸気管負圧を確保することができ、エンジンを停止する際のショックの発生をより適正に抑制することができる。この場合において、前記所定回転数は、前記エンジンを潤滑する潤滑媒体の温度が低くなるほど高くなる傾向の回転数であるものとすることもできるし、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度が低くなるほど高くなる傾向の回転数であるものとすることもできる。エンジンを潤滑する潤滑媒体の温度が低くなるほどエンジンのフリクションが大きくなると考えられる。また、エンジンを冷却する冷却媒体の温度は、エンジンを潤滑する潤滑媒体の温度を反映していると考えられるため、エンジンを冷却する冷却媒体の温度が低くなるほどエンジンのフリクションが大きくなると考えられる。したがって、所定回転数を、潤滑媒体の温度が低くなるほど高くなる傾向の回転数としたり、冷却媒体の温度が低くなるほど高くなる傾向の回転数とすることにより、吸気管負圧を確保することができ、エンジンを停止する際のショックの発生をより適正に抑制することができる。
そして、本発明の第1,第2の車両において、車軸に連結された駆動軸に動力を入出力可能なモータと、前記エンジンの出力軸に動力を入出力可能なジェネレータと、前記駆動軸と前記エンジンの出力軸と前記ジェネレータの回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、前記モータおよび前記ジェネレータと電力のやり取りが可能なバッテリと、を備えるものとすることもできる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は本発明の第1実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2はエンジン22の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な4気筒の内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号が図示しない入力ポートを介して入力されている。例えば、エンジンECU24には、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温Tw,燃焼室内に取り付けられた圧力センサ143からの筒内の圧力,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124の開度を検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からの吸入空気量,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,排気系に取り付けられた空燃比センサ135aからの空燃比AFなどが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号が図示しない出力ポートを介して出力されている。例えば、エンジンECU24からは、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。なお、エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算したり、クランクポジションセンサ140により検出されたクランクポジションを基準角度からの角度としてクランク角CAを計算したり、エアフローメータ148からの吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて負荷率(エンジン22の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLを演算したりしている。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやり取りを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、例えばリチウム二次電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやり取りを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に冷間時にエンジン22の運転を停止する際の動作について説明する。図3はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるエンジン停止時制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図4はエンジンECU24により実行されるエンジン停止時燃料カット制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。これらのルーチンは、運転しているエンジン22を自動停止させる自動停止条件が成立したとき、例えばバッテリ50の残容量(SOC)がバッテリ50の充電を要しない所定残容量以上で且つ要求動力がエンジン停止用に設定されたエンジン停止動力未満になったときや図示しないモータ走行スイッチがオンされてモータ運転モードによる走行が指示されたときなどに実行される。まずは、エンジン停止時制御ルーチンについて説明し、続いて、エンジン停止時燃料カット制御ルーチンについて説明する。なお、図3に例示したエンジン停止時制御ルーチンが実行されているときには、エンジン22の点火制御については停止されるようエンジンECU24により制御されており、車両が走行している最中では、モータMG1から出力するトルク(トルク指令Tm1*)に対する反力としてのトルクと要求トルクTr*との和のトルクを減速ギヤ35のギヤ比Grで除したトルクがモータMG2から出力されるよう制御される。即ち、モータMG2のトルク指令Tm2*としては、次式(1)により計算される。ここで、モータMG1のトルク指令Tm1*はエンジン停止時制御ルーチンにおけるエンジン回転数低下時制御やエンジン停止時調整制御で設定されるものが用いられる。式(1)中の「ρ」は動力分配統合機構30のギヤ比ρ(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)である。
Tm2*=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (1)
図3のエンジン停止時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、エンジン22の回転数Neやクランク角CAを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクポジションセンサ140により検出されたクランクポジションに基づいて算出された回転数NeをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、クランク角CAは、クランクポジションセンサ140により検出されたクランクポジションを基準角度からの角度として算出したクランク角CAをエンジンECU24から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したエンジン22の回転数Neとクランク角CAとに基づいてエンジン22を停止する目標値としての目標クランク角CAtagを設定すると共に(ステップS110)、入力したエンジン22の回転数Neとクランク角CAとに基づいて初期値としてのエンジン22の目標回転数Ne*を設定する(ステップS120)。ここで、目標クランク角CAtagは、次にエンジン22を始動するときにショックが小さくなるなどエンジン22の始動性が良好となるクランク角CAとして予め設定されたクランク角(例えば、ある気筒の圧縮行程の上死点から90度前など)であり、実施例では、エンジン22は4気筒であるから、クランク角CAのサイクルとしての720度のうちに180度毎に設定することができる。実施例では、エンジン22の回転数Neとクランク角CAと4つの目標値との関係を予め定めてマップとしてROM74に記憶しておき、エンジン22の回転数Neとクランク角CAが与えられるとマップから得られる目標値を目標クランク角CAtagとして設定するものとした。
こうして目標クランク角CAtagと初期値としての目標回転数Ne*を設定すると、エンジン22の回転数Neが値0に至るまで(ステップS170)、エンジン22の回転数Neとクランク角CAと入力する処理(ステップS130)、エンジン22の回転数Neの減少量として予め設定された回転数勾配dneでエンジン22の回転数Neが小さくなるよう前回の目標回転数Ne*(前回Ne*)から回転数勾配dneを減じたものをエンジン22の目標回転数Ne*として設定する処理(ステップS140)、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させるための比例項と積分項とを用いたフィードバック制御における関係式(式(2)参照)を用いてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する処理(ステップS150)、設定したトルク指令Tm1*をモータECU40に送信する処理(ステップS160)、を繰り返す。回転数勾配dneは、動力分配統合機構30やモータMG1,MG2を含む駆動系の共振回転数帯(例えば、300〜500rpm)をエンジン22の回転数Neが比較的迅速に通過して小さくなるよう設定された勾配である。式(2)中、右辺第1項の「kp」は比例項のゲインであり、右辺第2項の「ki」は積分項のゲインである。なお、トルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、モータMG1からトルク指令Tm1*に相当するトルクが出力されるようインバータ41の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御する。このように、比例項と積分項とを用いたフィードバック制御を行なうことにより、回転数勾配dneで減少する目標回転数Ne*でエンジン22を回転させながら停止させることができる。
Tm1*=kp・(Ne*-Ne)+ki・∫(Ne*-Ne)dt (2)
続いて、図4のエンジン停止時燃料カット制御ルーチンについて説明する。図4のエンジン停止時燃料カット制御ルーチンが実行されると、エンジンECU24のCPU24aは、エンジン22の冷却水温Twと閾値Twrefとを比較する処理を実行する(ステップS200)。ここで、閾値Twrefは、空燃比がリッチとなって浄化装置134の機能が低下して、次回エンジン22を始動するときにエミッションが悪化することが推定される温度の上限であるものとした。したがって、ステップS200は、次回エンジン始動時にエミッションが悪化することが推定されるか否かを判断する処理となっている。
エンジン22の冷却水温Twが閾値Twrefより高いときには(ステップS200)、エンジン22の負荷率KLが所定率KLref(例えば、20%など)未満になったときに全気筒について燃料噴射を停止させる通常燃料カット制御を実行して(ステップS210)、本ルーチンを終了する。ここで、所定率KLrefは、残余の気筒について燃料噴射をする際にショックの発生しずらい負荷率の上限として予め定めた値を用いるものとした。こうした制御により、エンジン22の全気筒における燃料噴射を停止することができる。
エンジン22の冷却水温Twが閾値Tref以下であるときには(ステップS200)、エンジン22の全気筒のうち2気筒について燃料噴射を停止してその後負荷率KLが所定率KLrefになったときに残余の気筒について燃料噴射を停止する2気筒燃料カット制御を実行して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。
図5は、エンジン22を停止している際のエンジン22の回転数Ne,空燃比AF,負荷率KL,スロットル開度,燃料噴射量の時間変化の一例を示す説明図である。図中、破線はエンジン22の冷却水温Twが閾値Trefより高くステップS210の通常燃料カット制御を実行した場合の時間変化であり、実線はエンジン22の冷却水温Twが閾値Tref以下でありステップS220の2気筒燃料カット制御を実行した場合の時間変化である。図示するように、アクセルペダル83がオフされて自動停止条件が成立すると(時間t1)、エンジン22の冷却水温Twが閾値Tref以下であるときには、2気筒燃料カット制御を実行して、排気側に供給する空気量を多くすることにより、空燃比が燃料リッチになることを抑制している。これにより、エミッションの悪化を抑制することができる。また、負荷率KLが所定率KLref未満となったときに(時間t2)、残余の気筒についても燃料停止するから、ショックの発生を抑制することができる。
以上説明した第1実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の冷却水温Twが閾値Tref以下であるときには、エンジン22の全気筒のうち2気筒について燃料噴射を停止してその後負荷率KLが所定率KLrefになったときに残余の気筒について燃料噴射を停止する2気筒燃料カット制御を実行するから、浄化触媒の雰囲気が燃料リッチになることを抑制して、エミッションの悪化を抑制することができる。
第1実施例のハイブリッド自動車20では、図4のステップS210,S220の処理を実行したら、本ルーチンを終了するものとしたが、ステップS220の処理を実行した後に、スロットル開度を一旦大きくした後にスロットル開度が小さくなるようスロットルバルブ124を制御するものとしてもよい。こうすれば、エンジンの残余の気筒における燃料噴射を停止したときに直ちにスロットルバルブの開度を小さくするものに比して、より多くの空気を排気側に供給することができ、浄化触媒の雰囲気が燃料リッチになることをさらに抑制することができる。
次に、本発明の第2実施例のハイブリッド自動車120について説明する。ハイブリッド120は、図4に例示したエンジン停止時燃料カット制御ルーチンに代えて図6に例示するエンジン停止時スロットル制御ルーチンを実行する点を除いて、第1実施例のハイブリッド自動車20と同一の構成,制御となっている。よって、ハイブリッド自動車120については、ハイブリッド自動車20と同一の構成,制御については同一の符号を付し、説明を省略する。
図6はエンジンECU24により実行されるエンジン停止時スロットル制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、運転しているエンジン22を自動停止させる自動停止条件が成立したとき、例えばバッテリ50の残容量(SOC)がバッテリ50の充電を要しない所定残容量以上で且つ要求動力がエンジン停止用に設定されたエンジン停止動力未満になったときや図示しないモータ走行スイッチがオンされてモータ運転モードによる走行が指示されたときなどに実行される。なお、図6に例示したエンジン停止時スロットル制御ルーチンが実行されているときには、エンジン22の燃料噴射制御,点火制御については停止されるようエンジンECU24により制御されている。
図6のエンジン停止時スロットル制御ルーチンが実行されると、エンジンECU24のCPU24aは、エンジン22の冷却水温Twと閾値Twrefとを比較する処理を実行する(ステップS300)。冷却水温Twが閾値Twrefより高いときには、スロットル開度を所定開度TArefにする通常停止時スロットル制御を実行して(ステップS310)、本ルーチンを終了する。所定開度TArefは、エンジン22の回転を停止する際のショックの発生を抑制できる程度にエンジン22の吸気管負圧を確保することができる開度として予め定めたスロットル開度を用いるものとした。これにより、エンジン22の回転を停止する際のショックの発生を抑制することができる。
冷却水温Twが閾値Twref以下であるときには(ステップS300)、続いて、エンジン22の回転数Neと所定回転数Nref(例えば、1200rpm,1300rpmなど)とを比較する(ステップS320)。ここで、所定回転数Nrefは、後述するようにスロットル開度を大きくした後にスロットル開度を所定開度TAref2としたときにエンジン22の回転を停止する際のショックの発生を抑制できる程度にエンジン22の吸気管負圧を確保することができる回転数として予め定めた回転数を用いるものとした。
エンジン22の回転数が所定回転数Nrefより高いときには(ステップS320)、空燃比センサ135aからの空燃比AFに基づいてスロットル開度の目標値を設定し、スロットル開度が目標値となるようスロットルバルブ124を制御する冷間停止時スロットルバルブ制御を実行して(ステップS330)、本ルーチンを終了する。ここで、スロットル開度の目標値は、例えば、空燃比センサ135aからの空燃比AFが小さくなるほど(燃料リッチであるほど)スロットル開度の目標値が直線上に大きくなるように設定したり、空燃比AFが小さくなるほどスロットル開度の目標値がステップ状に大きくなるよう設定するものなど、空燃比センサ135aからの空燃比AFが小さいほど(燃料リッチであるほど)大きくなる傾向に設定するものとした。これにより、より多くの空気を排気側に供給することができ、浄化触媒の雰囲気が燃料リッチになることを抑制することができ、次回エンジン22の始動時のエミッションの悪化を抑制することができる。
エンジン22の回転数が所定回転数Nref以下となったときには(ステップS320)、スロットル開度を所定開度TArefより若干小さい開度TAref2にする通常停止時スロットル制御を実行して(ステップS310)、本ルーチンを終了する。これにより、エンジン22の回転を停止する際のショックの発生を抑制できる程度にエンジン22の吸気管負圧を確保することができ、エンジン22の回転を停止する際のショックの発生を抑制することができる。
図7は、エンジン22を停止している際のエンジン22の回転数Ne,燃料カットを行っているときに値1に設定されると共に燃料カットを行っていないときに値0に設定される燃料カットフラグ、スロットル開度,吸気管圧、燃料カット後に排気側に供給される空気の総量の時間変化の一例を示す説明図である。図中、破線はエンジン22の冷却水温Twが閾値Trefより高いとき場合の時間変化であり、実線はエンジン22の冷却水温Twが閾値Tref以下である場合の時間変化である。図示するように、アクセルペダル83がオフされて自動停止条件が成立すると(時間t21)、エンジン22の冷却水温Twが閾値Tref以下であるときには、スロットル開度が一旦大きくなるよう(時間t22)、スロットルバルブ124を制御する。これにより、燃料カット後に排気側に供給される空気量を多くすることができ、空燃比が燃料リッチになることを抑制して、エミッションの悪化を抑制することができる。また、エンジン22の回転数Neが所定回転数Nref以下になったときに(時間t23)スロットル開度を所定開度TArefより若干小さい開度TAref2にするから、エンジン22の回転を停止するとき(時間t24)におけるショックの発生を抑制することができる。
以上説明した第2実施例のハイブリッド自動車120では、冷却水温Twが閾値Twref以下であるとき、エンジン22の回転数が所定回転数Nrefより高いときには、空燃比センサ135aからの空燃比AFに基づいてスロットル開度の目標値を設定し、スロットル開度が目標値となるようスロットルバルブ124を制御する冷間停止時スロットルバルブ制御を実行することにより、エミッションの悪化を抑制することができる。また、エンジン22の回転数が所定回転数Nref以下となったときには、スロットル開度を所定開度TArefより若干小さい所定開度TAref2にする通常停止時スロットル制御を実行することにより、エンジン22の回転を停止する際のショックの発生を抑制できる程度にエンジン22の吸気管負圧を確保することができ、エンジン22の回転を停止する際のショックの発生を抑制することができる。
第1,第2実施例のハイブリッド自動車20,120では、冷間停止時スロットル制御では、スロットル開度の目標値を空燃比センサ135aからの空燃比AFが小さいほど大きくなる傾向に設定するものとしたが、スロットル開度を一旦大きくすればよいから、空燃比がリッチな状態を解消可能な空気量を排気に供給可能なスロットル開度として予め定められたスロットル開度となるようスロットルバルブ124を制御するものとしてもよい。
次に、本発明の第3実施例のハイブリッド自動車520について説明する。ハイブリッド自動車520は、エンジン22を潤滑する潤滑オイルの温度(以下、オイル温度という)Toilを検出するオイル温度センサを備えている点、図3に例示するエンジン停止時制御ルーチンに代えて図8に例示するエンジン停止時制御ルーチンを実行する点、図4に例示したエンジン停止時燃料カット制御ルーチンに代えて図9に例示するエンジン停止時スロットル制御ルーチンを実行する点を除いて、第1実施例のハイブリッド自動車20と同一の構成,制御となっている。よって、ハイブリッド自動車520については、ハイブリッド自動車20と同一の構成,制御については同一の符号を付し、説明を省略する。なお、オイル温度センサにより検出されたオイル温度ToilはエンジンECU24に入力されているものとする。
図8はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるエンジン停止時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。なお、図8に例示したエンジン停止時制御ルーチンが実行されているときには、車両が走行している最中では、モータMG2のトルク指令Tm2*は、上述した式(1)により計算されるものとした。
図8のエンジン停止時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、モータMG1のトルク指令Tm1*としてエンジン22の回転数Neを比較的迅速に減少させるためのトルクとして予め定めたトルクTspを設定し(ステップS400)、設定したトルク指令Tm1*をモータECU40に送信する(ステップS410)。トルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、モータMG1からトルク指令Tm1*に相当するトルクが出力されるようインバータ41の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御する。こうした処理により、エンジン22の回転数Neは減少するが、ステップS400の処理でトルク指令Tm1*に予め定めたトルクTspを設定するため、エンジン22のフリクションの大きさによってエンジン22が低下する速度は異なるものとなる。
続いて、図3のエンジン停止時制御ルーチンのステップS100の処理と同様の処理でエンジン22の回転数Neを入力する処理を実行し(ステップS420)、エンジン22の回転数Neと値0とを比較し(ステップS430)、エンジン22の回転数Neが値0に至るまで、ステップS400〜S430の処理を繰り返す。そして、エンジン22の回転数Neが値0に至ったときに(ステップS430)、本ルーチンを終了する。こうした処理により、エンジン22の回転を停止することができる。
図9はエンジンECU24により実行されるエンジン停止時スロットル制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、運転しているエンジン22を自動停止させる自動停止条件が成立したとき、例えばバッテリ50の残容量(SOC)がバッテリ50の充電を要しない所定残容量以上で且つ要求動力がエンジン停止用に設定されたエンジン停止動力未満になったときや図示しないモータ走行スイッチがオンされてモータ運転モードによる走行が指示されたときなどに実行される。なお、図9のエンジン停止時スロットル制御ルーチンが実行されているときには、エンジン22の燃料噴射制御,点火制御については停止されるようエンジンECU24により制御されているものする。また、図9のエンジン停止時スロットル制御ルーチンは、図6のエンジン停止時スロットル制御ルーチンのステップS300とステップS320との間にステップS315の処理を行なう点を除いて、図6のエンジン停止時スロットル制御ルーチンと同一の処理となっている。よって、図9のエンジン停止時スロットル制御ルーチンについては、図6のエンジン停止時スロットル制御ルーチンと同一の処理については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図9のエンジン停止時スロットル制御ルーチンが実行されると、エンジンECU24のCPU24aは、エンジン22の冷却水温Twと閾値Twrefとを比較する処理を実行し(ステップS300)、冷却水温Twが閾値Twrefより高いときには、スロットル開度を所定開度TArefにする通常停止時スロットル制御を実行して(ステップS310)、本ルーチンを終了し、冷却水温Twが閾値Twref以下であるときには(ステップS300)、エンジン22のオイル温度Toilに基づいてステップS320の処理で用いられる所定回転数Nrefを設定する(ステップS315)。所定回転数Nrefは、第3の実施例では、オイル温度Toilと所定回転数Nrefとの関係を予め定めて所定回転数設定用マップとしてROM74に記憶しておき、オイル温度Toinが与えられると記憶したマップから対応する所定回転数Nrefを導出して設定するものとした。図10に所定回転数設定用マップの一例を示す。所定回転数設定用マップでは、オイル温度Toilが低くなるほど高くなる傾向に所定回転数Nrefを設定するものとした。このように所定回転数Nrefを設定する理由については、後述する。
こうして所定回転数Nrefを設定したら、エンジン22の回転数Neと所定回転数Nrefとを比較して、エンジン22の回転数が所定回転数Nrefより高いときには(ステップS320)、空燃比センサ135aからの空燃比AFに基づいてスロットル開度の目標値を設定し、スロットル開度が目標値となるようスロットルバルブ124を制御する冷間停止時スロットルバルブ制御を実行して(ステップS330)、本ルーチンを終了し、エンジン22の回転数が所定回転数Nref以下となったときには(ステップS320)、スロットル開度を所定開度TArefより若干小さい開度TAref2にする通常停止時スロットル制御を実行して(ステップS310)、本ルーチンを終了する。このように、エンジン22を停止する際に、エンジン22のスロットル開度を空燃比AFに基づくスロットル開度にした後にスロットル開度を小さくすることにより、浄化触媒の雰囲気が燃料リッチになることを抑制して次回エンジン22の始動時のエミッションの悪化を抑制すると共に、エンジン22の回転を停止する際のショックの発生を抑制できる程度にエンジン22の吸気管負圧を確保してエンジン22の回転を停止する際のショックの発生を抑制することができる。
ここで、ステップS315において、オイル温度Toilが低くなるほど高くなる傾向に所定回転数Nrefを設定する理由について説明する。オイル温度Toilが低いときには、エンジン22のフリクションが比較的大きいため、燃料噴射を停止した後におけるエンジン22の回転数の低下速度が速い。そのため、スロットルバルブの開度を空燃比AFに基づく開度にした後で、エンジン22のフリクションに拘わらず、常に同じ所定回転数Nrefでスロットルバルブの開度を小さくすると、エンジンのフリクションが大きいときには吸気管負圧を確保することができなくなり、エンジンを停止する際のショックの発生を充分に抑制できない場合がある。したがって、所定回転数Nrefを、オイル温度Toilが低くなるほど高くなるよう設定したのは、エンジンのフリクションに拘わらず、吸気管負圧を確保することができ、より適正にエンジンを停止する際のショックの発生を抑制することができると考えられるからである。
このように、所定回転数Nrefを、オイル温度Toilが低くなるほど高くなるよう設定し、エンジン22の回転数Neが所定回転数Nrefになったときにスロットルバルブの開度を所定開度TAref2にすることにより、より適正にエンジン22を停止する際のショックの発生を抑制することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車520では、冷却水温Twが閾値Twref以下であるとき、エンジン22の回転数が所定回転数Nrefより高いときには、空燃比センサ135aからの空燃比AFに基づいてスロットル開度の目標値を設定し、スロットル開度が目標値となるようスロットルバルブ124を制御する冷間停止時スロットルバルブ制御を実行することにより、エミッションの悪化を抑制することができる。また、エンジン22の回転数が所定回転数Nref以下となったときには、スロットル開度を所定開度TArefより若干小さい所定開度TAref2にする通常停止時スロットル制御を実行することにより、エンジン22の回転を停止する際のショックの発生を抑制できる程度にエンジン22の吸気管負圧を確保することができ、エンジン22の回転を停止する際のショックの発生を抑制することができる。さらに、所定回転数Nrefを、オイル温度Toilが低くなるほど高くなるよう設定することにより、より適正にエンジン22を停止する際のショックの発生を抑制することができる。
第3実施例のハイブリッド自動車520では、ステップS315の処理で、所定回転数Nrefをオイル温度Toilが低くなるほど高くなる傾向に設定するものとしたが、所定回転数Nrefは、エンジン22のフリクションが大きくなるほど大きくなる傾向に設定すればよいから、例えば、エンジン22を冷却する冷却水の温度が低いほど高くなる傾向に設定するものとしてもよい。
第1〜第3の実施例のハイブリッド自動車20,120,520では、モータMG2の動力を駆動輪63a,63bが接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図11の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、モータMG2の動力を駆動輪63a,63bが接続された車軸とは異なる車軸(図11における車輪64a,64bが接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
第1〜第3の実施例のハイブリッド自動車20,120,520では、エンジン22からの動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bが接続されたリングギヤ軸32aに出力すると共にモータMG2からの動力をリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図12の変形例のハイブリッド自動車320に例示するように、駆動輪63a,63bが接続された駆動軸に変速機330を介してモータMGを取り付け、モータMGの回転軸にクラッチ329を介してエンジン22を接続する構成とし、エンジン22からの動力をモータMGの回転軸と変速機330とを介して駆動軸に出力すると共にモータMGからの動力を変速機330を介して駆動軸に出力するものとしてもよい。また、図13の変形例のハイブリッド自動車420に例示するように、エンジン22からの動力を変速機430を介して駆動輪63a,63bが接続された車軸に出力すると共にモータMGからの動力を駆動輪63a,63bが接続された車軸とは異なる車軸(図13における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。そして、モータMG1,MG2,動力分配統合機構30を備えずにエンジン22からの動力で走行可能な車両としても構わない。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、エンジンECU24ハイブリッド用電子制御ユニットが「制御手段」に相当する。
ここで、「エンジン」としては、エンジン22に限定されるものではなく、排気を浄化する浄化触媒を有し走行用の動力を出力する多気筒なものや、排気を浄化する浄化触媒を有し走行用の動力を出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22を運転制御したり、エンジン22の冷却水温Twが閾値Tref以下であるときには、エンジン22の全気筒のうち2気筒について燃料噴射を停止してその後負荷率KLが所定率KLrefになったときに残余の気筒について燃料噴射を停止する2気筒燃料カット制御を実行したり、冷却水温Twが閾値Twref以下であるとき、エンジン22の回転数が所定回転数Nrefより高いときには、空燃比センサ135aからの空燃比AFに基づいてスロットル開度の目標値を設定し、スロットル開度が目標値となるようスロットルバルブ124を制御するものに限定されるものではなく、エンジンの冷却水温が予め定められた所定温度より低い状態でエンジンを停止するときには、エンジンの一部の気筒における燃料噴射が停止された後にエンジンの残余の気筒における燃料噴射が停止されるようエンジンを制御するものや、エンジンの冷却水温が予め定められた所定温度より低い状態でエンジンを停止するときには、エンジンにおける燃料噴射を停止した状態でエンジンのスロットルバルブの開度を一旦大きくし
た後にスロットルバルブの開度が小さくなるようエンジンを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。