JP2014110318A - 電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セラミック電子部品10は、コンデンサ素子20を含み、このコンデンサ素子20は、セラミック素子本体22とセラミック素子本体22の表面に形成された外部電極36,38を有する。コンデンサ素子20は、セラミック素子本体22と外部電極36,38とを覆うように防水処理膜40が形成されている。さらに、防水処理膜40を覆うようにシランカップリング処理膜42が形成されている。
【選択図】図1
Description
また、特許文献1に記載の処理剤はFを官能基に持つため、撥水性に加えて撥油性も発現する。そのため、実装用の電極上にシランカップリング処理がなされた場合、セラミック電子部品を基板に実装する場合、一般的に使用されている有機フラックスを弾いてしまうため、実装性が低下するという問題を有していた。このため、高撥水の付与には限界があった。
さらに、特許文献1に記載の処理剤であるパーフルオロアルキルアルキルシラン系の撥水処理剤は、高撥水性を有するものの、この処理剤の製造過程で米国の環境規制であるPFOA(パーフルオロオクタン酸),PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸塩)物質に該当することから、その使用が困難であるという問題を有していた。
また、この発明にかかる電子部品では、基体の少なくとも1つの表面の一部、基体の少なくとも1つの表面に形成された外部電極の表面の一部および外部電極の表面と基体の少なくとも1つの表面との境界部の全体に、連続したシリコーンレジンを含む膜が形成されていることが好ましい。
さらに、この発明にかかる電子部品では、外部電極の表面と基体の表面との境界部の全体に、シリコーンレジンを含む膜が形成されていることが好ましい。
また、この発明にかかる電子部品では、基体の少なくとも1つの表面に形成された外部電極の表面の全体に、シリコーンレジンを含む膜が形成されていることが好ましい。
さらにまた、この発明にかかる電子部品では、シリコーンレジンを含む膜の表面にシランカップリング処理が施され、シランカップリング処理膜が形成されていることが好ましい。
また、この発明にかかる電子部品では、基体の少なくとも1つの表面の一部、基体の少なくとも1つの表面に形成された外部電極の表面の一部および外部電極の表面と基体の少なくとも1つの表面との境界部の全体に、連続したシリコーンレジンを含む膜が形成されていると、高い耐マイグレーション性を有することができる。
さらに、この発明にかかる電子部品では、外部電極の表面と基体の表面との境界部の全体に、シリコーンレジンを含む膜が形成されていると、より高い耐マイグレーション性を有することができる。
また、この発明にかかる電子部品では、基体の少なくとも1つの表面に形成された外部電極の表面の全体に、シリコーンレジンを含む膜が形成されていると、さらなる耐マイグレーション性を有することができる。
さらにまた、この発明にかかる電子部品では、シリコーンレジンを含む膜の表面にシランカップリング処理が施されていると、粘度の高いシリコーンレジンを含む膜がシランカップリング処理膜により被覆されるので、たとえば、自動実装機により基板へ電子部品を実装する際に、自動実装機のアームに電子部品が付着することによる吸着エラーあるいは持ち帰りエラーを抑制することができる。
実験例1では、コンデンサ素子20に防水処理膜40を形成することによる効果を評価した。
実験例1では、以下に示す実施例1ないし実施例7ならびに比較例1および比較例2のセラミック電子部品を製造し、それらのセラミック電子部品についてイオンマイグレーションの発生の有無を評価するために結露サイクル試験を行い、また、シリコーンレジンを含む防水処理膜が形成されたセラミック電子部品のはんだ濡れ性を評価した。
実施例1ないし実施例7において得られた防水処理膜40が形成されたセラミック電子部品の側面(LT面)をW方向に1/2の位置まで研磨し、収束イオンビーム加工(FIB加工)にて観察断面を得た。図6は、実施例1において得られたコンデンサ素子20の観察断面をSIM画像で示す。Snめっきの表面に防水処理膜40が形成されていることがわかる。なお、このセラミック電子部品には、FIB加工のための導電膜であるDEPO膜が形成されている。このように実施例1ないし実施例7において得られた防水処理膜40が形成されたコンデンサ素子20の表面をフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で分析したところ、すべてにおいて、シリコーンレジンを含む防水処理膜40の形成されていることが確認された。
実施例1ないし実施例7において得られたセラミック電子部品を基板にはんだ実装した後、結露サイクル試験を実施した。結露サイクル試験の条件として、試験に用いるセラミック電子部品を、−30℃の低温の環境下で1時間保持し、その後、温度25℃、湿度90%の高温高湿の環境下で1時間かけて保持し(1WV(本試験においては25V))、最後に、温度25℃で1.5時間かけて除湿をして乾燥を行った。そして、これを1サイクルとし、低温と高温高湿とを交互に、48サイクル実施した。また、比較例1および比較例2により得られたセラミック電子部品についても、同様に結露サイクル試験を行った。評価基準は、マイクロスコープにより100倍で観察することにより、試験後にセラミック電子部品の表面に白色または黒色のイオンマイグレーションによる生成物が存在したことが確認された場合、NGと判断した。なお、波長分散型X線分光器(WDX)にてイオンマイグレーションによる生成物を分析すると、SnまたはNiまたはCuを検出することができるので、イオンマイグレーションによる生成物であることを確認することができる。なお、各実施例および比較例において、結露サイクル試験に用いたサンプル数は、それぞれ36個とした。
得られたセラミック電子部品に対して、はんだ小球平衡法を用いてはんだ濡れ性を評価した。評価基準は、ゼロクロスが1s以上でNGと判断した。各実施例および各比較例において、評価に用いたサンプル数は、それぞれ100個とした。
実験例2では、セラミック電子部品に対してシランカップリング処理膜42を形成することによる効果を評価した。
実験例2では、以下に示す実施例8ないし実施例15ならびに比較例3ないし比較例9のセラミック電子部品を製造し、それらのセラミック電子部品についてイオンマイグレーションの発生の有無を評価するために結露サイクル試験を行い、また、自動実装機を用いて基板への実装不良について評価した。
コンデンサ素子20に対して、比較例3では実施例8で使用したシランカップリング剤を使用し、比較例4では実施例9で使用したシランカップリング剤を使用し、比較例5では実施例10で使用したシランカップリング剤を使用し、比較例6では実施例11で使用したシランカップリング剤を使用し、比較例7では実施例12で使用したシランカップリング剤を使用し、比較例8では実施例13で使用したシランカップリング剤を使用し、比較例9では実施例14で使用したシランカップリング剤を使用して、シランカップリング
処理膜42を形成したセラミック電子部品を得た。
実施例8ないし実施例15において得られたセラミック電子部品10の表面をフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で分析したところ、すべてにおいて、シリコーンレジンを含む防水処理膜40の形成されているこが確認された。また、実施例8ないし実施例14において得られたセラミック電子部品10の表面をX線光電子分光(XPS)で分析したところ、シランカップリング処理膜42が形成されていることが確認された。また、比較例3ないし比較例9において得られたセラミック電子部品の表面をX線光電子分光(XPS)で分析したところ、シランカップリング処理膜が形成されていることが確認された。
実施例8ないし実施例15において得られたセラミック電子部品を基板にはんだ実装した後、結露サイクル試験を実施した。結露サイクル試験の条件として、試験に用いるセラミック電子部品を、−30℃の低温の環境下で1時間保持し、その後、温度25℃、湿度90%の高温高湿の環境下で1時間かけて保持し(1WV(本試験においては25V))、最後に、温度25℃で1.5時間かけて除湿をして乾燥を行った。そして、これを1サイクルとし、低温と高温高湿とを交互に、48サイクル実施した。また、比較例3ないし比較例9により得られたセラミック電子部品についても、同様に結露サイクル試験を行った。評価基準は、マイクロスコープにより100倍で観察することにより、試験後にセラミック電子部品の表面に白色または黒色のイオンマイグレーションによる生成物が存在したことが確認された場合、NGと判断した。波長分散型X線分光器(WDX)にてイオンマイグレーションによる生成物を分析すると、SnまたはNiまたはCuを検出することができるので、イオンマイグレーションによる生成物であることを確認することができる。なお、各実施例および比較例において、結露サイクル試験に用いたサンプル数は、それぞれ36個とした。
自動実装機を用いて、基板への実装不良(たとえば、吸着エラーあるいは持ち帰りエラー)が生じた個数をカウントした。各実施例および各比較例において、評価に用いたサンプル数は、それぞれ1000個とした。
20 コンデンサ素子
22 セラミック素子本体
24、25 主面
26、27 側面
28、29 端面
30 セラミック層
32、34 内部電極
36、38 外部電極
40 防水処理膜
42 シランカップリング処理膜
Claims (5)
- 基体と前記基体の表面に形成された外部電極を有する電子部品において、
前記外部電極の表面と前記基体の表面との境界部にシリコーンレジンを含む膜が形成されていることを特徴とする電子部品。 - 前記基体の少なくとも1つの表面の一部、前記基体の少なくとも1つの表面に形成された前記外部電極の表面の一部および前記外部電極の表面と前記基体の少なくとも1つの表面との境界部の全体に、連続した前記シリコーンレジンを含む膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
- 前記外部電極の表面と前記基体の表面との境界部の全体に、前記シリコーンレジンを含む膜が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品。
- 前記基体の少なくとも1つの表面に形成された前記外部電極の表面の全体に、前記シリコーンレジンを含む膜が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品。
- 前記シリコーンレジンを含む膜の表面にシランカップリング処理が施され、シランカップリング処理膜が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子部品。
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