JP2014110256A - 太陽電池セルの製造方法および太陽電池セル - Google Patents
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Abstract
【課題】基板にダメージが入るのを抑制し、かつ微細な形状を安定して形成することによって、太陽電池セルの特性の低下を抑制できるとともに太陽電池セルの特性のばらつきを抑えることが可能な太陽電池セルの製造方法および太陽電池セルを提供する。
【解決手段】第2のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の照射領域の径が第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の加工部の径よりも小さく、第2のパルスレーザ光は照射領域が加工部のエッジを含むように照射される太陽電池セルの製造方法とその方法により製造された太陽電池セルである。
【選択図】図1
【解決手段】第2のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の照射領域の径が第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の加工部の径よりも小さく、第2のパルスレーザ光は照射領域が加工部のエッジを含むように照射される太陽電池セルの製造方法とその方法により製造された太陽電池セルである。
【選択図】図1
Description
本発明は、太陽電池セルの製造方法および太陽電池セルに関する。
太陽光エネルギを電気エネルギに直接変換する太陽電池セルは、近年、特に地球環境問題の観点から次世代のエネルギ源としての期待が高まっている。太陽電池セルとしては、化合物半導体を使ったもの、および有機材料を使ったものなど、様々な種類があるが、近年の主流は、シリコン結晶を用いたものである。
その中で、一般的な太陽電池セルは、太陽光を受ける受光面にn型不純物拡散領域用のn電極が設けられ、裏面にはp型不純物拡散領域用のp電極が設けられた構造の両面電極型太陽電池セルである。両面電極型太陽電池セルにおいて、受光面側に設けられたn電極は電流の取り出しのために必要である。しかしながら、基板の受光面側のn電極の下方の部分には太陽光が入射しないため、n電極の下方部分では発電しない。したがって、n電極の電極面積が大きい場合には、両面電極型太陽電池セルの変換効率が低下することになる。このような、両面電極型太陽電池セルの受光面側の電極による損失はシャドウロスと呼ばれており、両面電極型太陽電池セルの受光面側の電極パターンを微細にして、シャドウロスを低減する開発が行なわれている。
これに対し、受光面に電極がなく、p電極およびn電極の両方を裏面に形成した構造の裏面電極型太陽電池セルも存在している。裏面電極型太陽電池セルにおいては、基板の受光面側に電極が存在しないために、電極によるシャドウロスがなく、入射してくる太陽光のほぼ全てを基板内に取り込むことができるため、原理的には高変換効率を実現可能である。しかしながら、裏面電極型太陽電池セルは、不純物拡散領域をパターニングして基板の裏面に形成する必要があることから、製造プロセスが、両面電極型太陽電池セルよりも複雑化してしまう。製造プロセスの複雑化は、必然的に製造コストを増加させると共に、量産性を低下させるため、商業用として大量生産することが難しくなる。
そこで、たとえば特許文献1には、エッチングペーストを使用して基板の裏面に拡散領域を形成する裏面電極型太陽電池セルの製造方法が開発されている。太陽電池セルの変換効率は、キャリアの表面再結合によるロスの低減と密接に関連しているため、裏面電極型太陽電池セルにおいて、高い変換効率を実現するためには、n電極とp電極の細線化が求められている。
しかしながら、特許文献1に記載の裏面電極型太陽電池セルの製造方法においては、特に細線化が求められるn型不純物拡散領域をたとえば250μm以下といった線幅にするために、エッチングペーストを極細で塗布することは、塗布幅のばらつきが±30μm程度存在するため困難である。
また、従来技術のフォトリソグラフィを用いた裏面電極型太陽電池セルの製造方法においては、n電極とp電極の細線化および狭ピッチ化は可能であるが、マスクが高価であること、工程数が増加すること、およびレジストの材料費が高価であることなどの理由により、製造コストが増加するとともに、量産性が低下する。
また、たとえば特許文献2に示されるように、レーザ光をビームエキスパンダにより広げて大面積化し、シリンドリカルレンズ等で直線状に集光させて加工物に照射する加工装置が開発されている。
しかしながら、特許文献2に示される加工装置からのレーザ光の照射を利用して不純物拡散領域等のパターニングを行なった場合には、レーザ光の照射に起因する熱的な影響によってシリコン結晶等からなる基板にダメージが入ってしまい、太陽電池セルの特性が低下することがあった。
基板にダメージが入るのを抑制するため、レーザ光としては短パルスのレーザ光を照射することが考えられるが、短パルスのレーザ光を複数重ね合わせて照射する必要がある。そのため、不純物拡散領域のような微細な形状を安定して形成するのが困難であり、ひいては、太陽電池セルの特性にばらつきが生じてしまうという問題があった。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、基板にダメージが入るのを抑制し、かつ微細な形状を安定して形成することによって、太陽電池セルの特性の低下を抑制できるとともに太陽電池セルの特性のばらつきを抑えることが可能な太陽電池セルの製造方法および太陽電池セルを提供することにある。
本発明は、基板の表面上に被覆膜を形成する工程と、被覆膜にパルスレーザ光を移動させながら照射することによって被覆膜の一部を除去する工程とを含み、被覆膜の一部を除去する工程は、被覆膜に第1のパルスレーザ光を照射することにより被覆膜の一部を除去する工程と、被覆膜に第2のパルスレーザ光を照射することにより被覆膜の他の一部を除去する工程とを含み、第2のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の照射領域の直径は、第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の加工部の直径よりも小さく、第2のパルスレーザ光は、照射領域が加工部のエッジを含むように照射される太陽電池セルの製造方法である。このような構成とすることによって、基板にダメージが入るのを抑制し、かつ微細な形状を安定して形成することによって、太陽電池セルの特性の低下を抑制できるとともに太陽電池セルの特性のばらつきを抑えることが可能となる。
また、本発明は、基板の表面上に拡散防止マスク層を形成する工程と、拡散防止マスク層にパルスレーザ光を照射することによって拡散防止マスク層の一部を除去する工程と、拡散防止マスク層の除去部分から基板に不純物を拡散する工程とを含み、拡散防止マスク層の一部を除去する工程は、拡散防止マスク層に第1のパルスレーザ光を照射することにより拡散防止マスク層の一部を除去する工程と、拡散防止マスク層に第2のパルスレーザ光を照射することにより拡散防止マスク層の他の一部を除去する工程とを含み、第2のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の照射領域の直径は、第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の加工部の直径よりも小さく、第2のパルスレーザ光は、照射領域が加工部のエッジを含むように照射される太陽電池セルの製造方法である。このような構成とすることによって、基板にダメージが入るのを抑制し、かつ微細な形状を安定して形成することによって、太陽電池セルの特性の低下を抑制できるとともに太陽電池セルの特性のばらつきを抑えることが可能となる。
本発明によれば、基板にダメージが入るのを抑制し、かつ微細な形状を安定して形成することによって、太陽電池セルの特性の低下を抑制できるとともに太陽電池セルの特性のばらつきを抑えることが可能な太陽電池セルの製造方法および太陽電池セルを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
図1(a)〜図1(l)に、本発明の太陽電池セルの製造方法の一例である実施の形態の裏面電極型太陽電池セルの製造方法の製造工程を図解する模式的な断面図を示す。まず、図1(a)に示すように、基板1の裏面上に基板1の裏面を被覆する拡散防止マスク層2を形成するとともに、基板1の受光面上に基板1の受光面を被覆する拡散防止マスク層3を形成する。
基板1としては、たとえば、n型またはp型の単結晶または多結晶のシリコンからなるシリコン基板などの半導体基板を用いることができる。ここで、基板1としてシリコン基板を用いる場合には、所望の厚さにスライスされたシリコンウエハのスライスダメージを除去するため、片面につき10〜20μm程度の厚さをフッ酸と硝酸の混酸若しくは水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液でエッチングしたものを用いることができる。基板1の大きさおよび形状は、特に限定されないが、厚さを100〜300μmとし、外形を1辺100〜150mmの擬似四角形の表面を有するものとすることができる。また、基板1におけるn型不純物またはp型不純物の不純物濃度は、たとえば、1×1015個/cm3以上1×1016個/cm3とすることができる。
拡散防止マスク層2および拡散防止マスク層3としては、それぞれ、たとえば、酸化物層および窒化物層の少なくとも一方を用いることができる。酸化物層としては、たとえば酸化シリコン層などを用いることができる。また、窒化物層としては、たとえば窒化シリコン層などを用いることができる。したがって、拡散防止マスク層2および拡散防止マスク層3としては、たとえば、酸化シリコン層の単層、窒化シリコン層の単層、または酸化シリコン層と窒化シリコン層との積層体などを用いることができる。
拡散防止マスク層2の厚さおよび拡散防止マスク層3の厚さは、特に限定されないが、たとえば、それぞれ200nm以上400nm以下の厚さとすることができる。
拡散防止マスク層2および拡散防止マスク層3の形成方法も特に限定されないが、たとえば、常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法、プラズマCVD法、スチーム酸化法、またはSOG(Spin on Glass)の塗布・焼成などを用いることができる。
次に、図1(b)に示すように、拡散防止マスク層2に、パルスレーザ光4を移動させながら照射することによって、図1(c)に示すように、拡散防止マスク層2の一部を除去して、拡散防止マスク層2に開口部5を形成する。ここで、拡散防止マスク層2の開口部5は、後述する工程で、不純物拡散領域を形成する領域に相当する。
図2および図3に、実施の形態におけるパルスレーザ光4の照射方法の一例について図解する模式的な平面図を示す。まず、図2に示すように、第1のパルスレーザ光4aを第1の方向43aに移動させながら照射する。第1のパルスレーザ光4aの1パルス当たりの照射により、第1のパルスレーザ光4aの照射領域に対応する拡散防止マスク層2の部分が円形状に除去されて、円形状の開口部である加工部42が形成される。なお、第1の方向43aは、図1の紙面の法線方向に相当する。
第1のパルスレーザ光4aの1パルスの照射により形成される拡散防止マスク層2の円形状の開口部である加工部42の直径はd1となっている。加工部42の直径d1の大きさは円形状の加工部42の中心を通り、かつ第1の方向43aと垂直な方向である第2の方向43bに伸長する仮想線と、加工部42の周縁との交点であるエッジ部41間の距離に相当する。
第1のパルスレーザ光4aのパルス幅は、100ps(ピコ秒)以下であることが好ましい。この場合には、第1のパルスレーザ光4aの照射領域における基板1の部分の熱による溶融変形などの基板1に対する熱ダメージの発生をより効果的に抑制することができる。
第1のパルスレーザ光4aの波長は、100nm以上1000nm以下であることが好ましい。この場合には、拡散防止マスク層2のパターニングをより高精度に、かつより高効率で行なうことができるとともに、基板1の熱による溶融変形などの基板1における熱ダメージの発生をより効果的に抑えることができる。
第1のパルスレーザ光4aのパルス周波数は、10kHz以上300kHz以下であることが好ましい。この場合には、加工速度とレーザのスキャンの安定性とを両立することができる。
次に、図3に示すように、第2のパルスレーザ光4bを第1の方向43aに移動させながら照射する。第2のパルスレーザ光4b照射により、第2のパルスレーザ光4bの照射領域に対応する領域であって、円形状の開口部として既に存在する加工部42以外の領域の拡散防止マスク層2の部分が除去される。
ここで、第2のパルスレーザ光4bは、以下の(i)および(ii)の2つの要件を満たすように照射される。
(i)第2のパルスレーザ光4bの1パルス当たりの円形状の照射領域44の直径d2が第1のパルスレーザ光4aの1パルス当たりの円形状の加工部42の直径d1よりも小さい。
(ii)第2のパルスレーザ光4bの照射領域44が、第1のパルスレーザ光4aの1パルス当たりの円形状の加工部42のエッジ41を含む。
一般に、パルスレーザ光の1パルス当たりの照射領域の形状は、特別な整形をしない限り、円形状となっている。そのため、特別な整形をしていないパルスレーザ光の1パルス当たりの照射によって形成される加工部の形状も円形状となる。たとえば、パルスレーザ光の照射によって直線状の加工部を形成する場合には、図2および図3に示すように、パルスレーザ光の円形状の照射領域の一部を重ね合わせることにより行なわれる。
パルスレーザ光の照射による加工形状および加工速度は、1パルス当たりのパルスレーザ光の照射による加工形状、パルスレーザ光のパルス周波数、およびガルバノスキャナの走査速度などにより決まる。
たとえば、パルスレーザ光の照射によって高速で加工するためには、パルスレーザ光の1パルス当たりの照射による加工形状を大きく、かつガルバノスキャナの走査速度を速くする必要がある。
一方、パルスレーザ光の照射領域を重ね合わせた場合には、パルスレーザ光が同一箇所に複数回照射されることになるため、当該箇所においては、基板へのダメージが大きくなる。そのため、基板へのダメージを小さくするためには、パルスレーザ光が重ね合わされる領域の面積を小さくする必要がある。しかしながら、この場合には、パルスレーザ光の照射領域の直径を小さくし、かつガルバノスキャナの走査速度を速くする必要がある。
また、パルスレーザ光の照射による加工部のエッジの直線性を高くするためには、パルスレーザ光の照射領域の直径を小さくし、かつ照射領域を重ね合わせた領域の面積を大きくする必要がある。そのため、基板へのダメージが少なくなるように、パルスレーザ光の照射による加工を高速で行なった場合には、パルスレーザ光の1パルス当たりの照射によって形成される加工部のエッジの直線性が低下し、パルスレーザ光の照射領域の重ね合わせが困難になるという課題があった。
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、第1のパルスレーザ光4aと第2のパルスレーザ光4bとを、上記のように照射することによって、基板1にダメージが入るのを抑制することができ、かつ拡散防止マスク層2に開口部5を安定して微細な形状に形成することができることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
ここで、第2のパルスレーザ光4bの1パルス当たりの円形状の照射領域44の直径d2は、第1のパルスレーザ光4aの1パルス当たりの円形状の加工部42の直径d1の1/2以下であることが好ましい。この場合には、加工部のエッジのばらつきを1/2以下に低減することができる。
また、第1のパルスレーザ光4aの1パルス当たりの照射により形成された円形状の加工部42の直径d1に対する第2のパルスレーザ光4bの1パルス当たりの照射領域44の直径d2の比率(d2/d1)と、第1のパルスレーザ光4aの移動速度v1に対する第2のパルスレーザ光4bの移動速度v2の比率(v2/v1)とが同じであることが好ましい。この場合には、第1のパルスレーザ光4aの1パルス当たりの照射により形成された円形状の加工部42と第2のパルスレーザ光4bの照射領域44との重ね合わせ率を一定にすることができるため、加工ダメージの安定性を保つことができる。なお、本明細書において、「同じ」とは、完全に同一である場合だけでなく、実質的に同一である場合も含む。
次に、図1(d)に示すように、拡散防止マスク層2の開口部5から基板1の裏面にn型不純物を拡散して、n型不純物拡散層6を形成する。n型不純物拡散層6の形成は、たとえば、n型不純物としてのリンを含むPOCl3を用いた気相拡散、またはリンを含む溶剤をスピンコートまたは印刷して高温でアニールする塗布拡散などにより行なうことができる。
なお、n型不純物拡散層6中のn型不純物濃度が1×1017個/cm3以上1×1019個/cm3となるように、気相拡散によりn型不純物拡散層6を形成する場合には、たとえば800℃以上900℃以下の温度で30分以上60分以下の時間、n型不純物を拡散することが好ましい。また、基板1の受光面側の拡散防止マスク層3を形成せずに、基板1の受光面側にもn型不純物を拡散してFSF(フロントサーフェスフィールド)を形成してもよい。
また、n型不純物拡散層6を形成する方法は、上記の方法に限定されず、たとえば、基板1の裏面にリンを含む溶剤をスピンコートまたは印刷した後に、たとえば150℃以上200℃以下の温度で乾燥処理を行ない、その後、800℃以上900℃以下の温度に設定されたチューブ炉にて熱処理を行なうことによって、基板1の裏面にn型不純物拡散層6を形成してもよい。
次に、図1(e)に示すように、拡散防止マスク層2、拡散防止マスク層3、およびリンの拡散によって形成されたPSG(リンシリケートグラス)層(図示せず)を除去する。ここで、拡散防止マスク層2、拡散防止マスク層3およびPSG層は、たとえば、濃度が50%程度のフッ酸を用いたエッチングなどにより除去することができる。
次に、図1(f)に示すように、基板1の裏面上に基板1の裏面を被覆する拡散防止マスク層7を形成するとともに、基板1の受光面上に基板1の受光面を被覆する拡散防止マスク層8を形成する。
ここで、拡散防止マスク層7および拡散防止マスク層8の形成は、たとえば、水蒸気雰囲気のチューブ炉にて基板1の裏面および受光面の熱酸化処理を行ない、基板1の裏面および受光面をそれぞれ覆う酸化膜を形成することによって行なうことができる。このとき、たとえば図1(f)に示すように、基板1の裏面上に形成される拡散防止マスク層7においては、n型不純物拡散層6上に形成される部分が、他の部分と比べて、局所的に厚くなる。これは、基板1の裏面において、n型不純物拡散層6が形成されている領域と、n型不純物拡散層6が形成されていない領域とで、酸化膜の形成速度が異なるためである。すなわち、基板1の裏面のn型不純物拡散層6の領域上に形成される酸化膜の形成速度は基板1の裏面の他の領域上に形成される酸化膜の形成速度よりも大きくなる。
次に、図1(g)に示すように、拡散防止マスク層7の一部を除去することによって、拡散防止マスク層7の一部に開口部9を形成し、開口部9から基板1の裏面を露出させる。
拡散防止マスク層7の一部を除去して開口部9を形成する方法は、たとえば、拡散防止マスク層7の厚い部分が残るとともに、拡散防止マスク層7の薄い部分が除去されるようにエッチング時間などの条件を適宜調節した拡散防止マスク層7のエッチングなどにより行なうことができる。
次に、図1(h)に示すように、拡散防止マスク層7の開口部9から基板1の裏面にp型不純物を拡散して、p型不純物拡散層11を形成する。p型不純物拡散層11は、たとえば、少なくとも開口部9を埋設するように、ボロンを含む溶剤10をスピンコートまたは印刷した後、150℃以上200℃以下の温度で乾燥処理を行ない、その後、800℃以上900℃以下の温度に設定されたチューブ炉にて熱処理を行なうことによって形成することができる。
また、p型不純物拡散層11を形成する方法は、上記の方法に限定されず、たとえば、p型不純物拡散層11中のp型不純物濃度が1×1018個/cm3以上1×1019個/cm3となるように、p型不純物としてのボロンを含むBBr3を用いて、900℃以上1000℃以下の温度で30分以上60分以下の時間、拡散防止マスク層7の開口部9から基板1の裏面にボロンを気相拡散することにより行なうこともできる。
次に、図1(i)に示すように、拡散防止マスク層7、拡散防止マスク層8、およびボロンの拡散によって形成されたBSG(ボロンシリケートグラス)層(図示せず)を除去する。
次に、図1(j)に示すように、基板1の裏面上に基板1の裏面を被覆するパッシベーション層12を形成するとともに、基板1の受光面上に基板1の受光面を被覆する反射防止層13を形成する。
ここで、基板1の裏面にパッシベーション層12を形成した後に、パッシベーション層12をテクスチャエッチングマスクとして、基板1の受光面のテクスチャエッチングを行ない、テクスチャ構造(図示せず)を形成し、その後、基板1の受光面のテクスチャ構造上に反射防止層13を形成することが好ましい。この場合には、基板1の受光面のテクスチャ構造によって、基板1に入射する太陽光量が増加するため、裏面電極型太陽電池セルの特性を向上させることができる。
また、基板1のテクスチャエッチングは、たとえば、数%の水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム溶液に数%のイソプロピルアルコールを含有したアルカリ溶液を70〜80℃に加熱した溶液を用いて、基板1の受光面をエッチングすることなどにより行なうことができる。
パッシベーション層12および反射防止層13としては、それぞれ、たとえば、酸化物層および窒化物層の少なくとも一方を用いることができる。酸化物層としては、たとえば酸化シリコン層などを用いることができる。また、窒化物層としては、たとえば窒化シリコン層などを用いることができる。したがって、パッシベーション層12および反射防止層13としては、たとえば、酸化シリコン層の単層、窒化シリコン層の単層、または酸化シリコン層と窒化シリコン層との積層体などを用いることができる。
ここで、酸化シリコン層としては、たとえば、スチーム酸化法、常圧CVD法、SOGの塗布・焼成により形成された厚さ300nm以上800nm以下のものを用いることができる。また、窒化シリコン層としては、たとえば、プラズマCVD法または常圧CVD法で形成された厚さ60nm以上100nmのものを用いることができる。
次に、図1(k)に示すように、パッシベーション層12にコンタクトホール14を形成して、コンタクトホール14から、n型不純物拡散層6およびp型不純物拡散層11の表面を露出させる。
コンタクトホール14の形成方法は、特に限定されず、たとえばエッチングペーストをパッシベーション層12上に塗布した後に加熱することによって、パッシベーション層12の一部のみを除去する方法などを用いることもできるが、上述した拡散防止マスク層2に開口部5を形成した方法と同様に、第1のパルスレーザ光4aと第2のパルスレーザ光4bとを照射する方法を用いることが好ましい。この場合には、上述したように、基板1にダメージが入るのを抑制することができ、かつパッシベーション層12にコンタクトホール14を安定して微細な形状に形成することができる。
その後、図1(l)に示すように、n型不純物拡散層6の表面に接触するn電極15を形成するとともに、p型不純物拡散層11の表面に接触するp電極16を形成することによって、実施の形態の裏面電極型太陽電池セルが完成する。
n電極15およびp電極16は、たとえば、銀ペーストを塗布した後に、500℃以上600℃以下の温度で焼成することなどにより形成することができる。
図4に、上記のようにして製造された実施の形態の裏面電極型太陽電池セルの裏面の模式的な平面図を示す。なお、図4においては、説明の便宜のため、パッシベーション層12については図示されていない。
図4に示すように、実施の形態の裏面電極型太陽電池セルの基板1の裏面には、帯状のn型不純物拡散層6と、帯状のp型不純物拡散層11とが交互に配置されている。そして、n型不純物拡散層6の表面の一部にn電極15が設置されており、p型不純物拡散層11の表面の一部にp電極16が設置されている。また、実施の形態の裏面電極型太陽電池セルは、基板1の裏面に、パルスレーザ光の照射跡を有している。
上述した実施の形態においては、パルスレーザ光の照射による加工が、上記の(i)および(ii)の2つの要件を満たすように、第1のパルスレーザ光4aと第2のパルスレーザ光4bとを照射することにより行なわれている。
したがって、実施の形態においては、パルスレーザ光4の照射による加工時に基板1にダメージが入るのを抑制することができるため、基板1のダメージに起因する裏面電極型太陽電池セルの特性の低下を抑制することができる。
また、実施の形態においては、パルスレーザ光4の照射による加工時に加工対象物を安定して微細な形状に形成することができるため、裏面電極型太陽電池セルの特性にばらつきが発生するのを抑えることができる。
以上の理由により、実施の形態の裏面電極型太陽電池セルの製造方法によれば、基板1にダメージが入るのを抑制し、かつ微細な形状を安定して形成することによって、裏面電極型太陽電池セルの特性の低下を抑制できるとともに、裏面電極型太陽電池セルの特性のばらつきを抑えることが可能となる。
なお、上記において、基板は、単結晶シリコンおよび多結晶シリコン等の種類に限定されるものではない。また、n型とp型の導電型が入れ替わっていてもよい。また、本発明は、基板の裏面のみに電極が形成された裏面電極型太陽電池セルに限定されるものではなく、基板の受光面と裏面とにそれぞれ電極が形成された両面電極型太陽電池セルにも適用することができる。ただし、裏面電極型太陽電池セルは、基板の片方の表面のみに両極性の電極を形成する必要があるため、両面電極型太陽電池セルと比較して、本発明を用いた微細形状の形成による効果は大きいと考えられる。
<実施例1>
まず、図1(a)に示すように、ダメージ層をエッチングにより除去した厚さ120μmのn型単結晶シリコンからなる基板1の裏面および受光面に拡散防止マスク層2,3を形成した。拡散防止マスク層2,3としては、具体的には、厚さ100nmの酸化シリコン膜をウエット酸化法で形成した。
まず、図1(a)に示すように、ダメージ層をエッチングにより除去した厚さ120μmのn型単結晶シリコンからなる基板1の裏面および受光面に拡散防止マスク層2,3を形成した。拡散防止マスク層2,3としては、具体的には、厚さ100nmの酸化シリコン膜をウエット酸化法で形成した。
次に、図1(b)に示すように、基板1の裏面の拡散防止マスク層2にパルスレーザ光4を移動させながら照射することによって、図1(c)に示すように、拡散防止マスク層2の一部を除去して、拡散防止マスク層2に開口部5を形成した。ここで、拡散防止マスク層2に対するパルスレーザ光4の照射は、以下のようにして行なった。
まず、第1の位置と第2の位置との間を移動することができる1軸ステージ上に基板1を設置した。次に、基板1を1軸ステージ上の第1の位置に配置し、レーザ発振器から、パルスレーザ光4を発振した。レーザ発振器から発振されたパルスレーザ光4の波長は355nmであり、パルス幅は10ps程度であり、パルス周波数は200kHzであった。
そして、レーザ発振器から発振されたパルスレーザ光4を、第1のパルスレーザ光4aと、第2のパルスレーザ光4bとに分岐させ、その後、ビームエクスパンダによって、第1のパルスレーザ光4aおよび第2のパルスレーザ光4bのビーム径を調整した。
次に、ビームエクスパンダによりビーム径を調整された第1のパルスレーザ光4aは、ガルバノスキャナおよびf−θレンズを通して、第1の位置に照射された。また、ビームエクスパンダによりビーム径を調整された第2のパルスレーザ光4bは、ガルバノスキャナおよびf−θレンズを通して、第2の位置に照射された。
そして、1軸ステージ上の第1の位置に配置されている基板1の裏面上の拡散防止マスク層2の第1のパルスレーザ光4aの1パルス当たりの円形状の加工部(開口部)の直径d1が120μmになるようにビームエクスパンダの倍率を調整し、ガルバノスキャナの走査速度(第1のパルスレーザ光4aの移動速度)を16.8m/sとして、図2に示すように、第1の方向43aに直線状に第1のパルスレーザ光4aを移動させながら照射することによって、拡散防止マスク層2を帯状に除去した。
次に、1軸ステージ上の第1の位置から第2の位置に基板1を移動し、第2のパルスレーザ光4bの1パルス当たりの円形状の照射領域の直径d2が50μmになるようにビームエクスパンダの倍率を調整し、ガルバノスキャナの走査速度(第2のパルスレーザ光4bの移動速度)を7m/sとして、図3に示すように、第1の方向43aに直線状に第2のパルスレーザ光4bを移動させながら照射することによって、拡散防止マスク層2を帯状に除去した。ここで、第2のパルスレーザ光4bは、第2のパルスレーザ光4bの1パルス当たりの円形状の照射領域44が、第1のパルスレーザ光4aの1パルス当たりの円形状の加工部42のエッジ41を含むようにして照射された。
そして、基板1の第1の位置への移動、第1のパルスレーザ光4aの照射、基板1の第2の位置への移動、および第2のパルスレーザ光4bの照射をこの順に繰り返して行なうことによって、基板1の裏面の拡散防止マスク層2に、所定の間隔を空けて、帯状の開口部5を複数本形成した。
次に、図1(d)に示すように、拡散防止マスク層2の開口部5から基板1の裏面にn型不純物を拡散して、n型不純物拡散層6を形成した。具体的には、少なくとも拡散防止マスク層2の開口部5を埋設するように基板1の裏面側にリンを含む溶剤をスピンコートにより塗布し、150℃〜200℃程度で乾燥処理を行なった後、800℃〜900℃程度に設定したチューブ炉で熱拡散処理を行なって、n型不純物拡散層6を形成した。
次に、図1(e)に示すように、拡散防止マスク層2、拡散防止マスク層3、およびリンの拡散によって形成されたPSG層(図示せず)を、濃度が50%程度のフッ酸を用いたエッチングにより除去した。
次に、図1(f)に示すように、基板1の裏面上に拡散防止マスク層7を形成するとともに、基板1の受光面上に拡散防止マスク層8を形成した。具体的には、水蒸気雰囲気のチューブ炉に基板1を設置して、基板1の裏面および受光面の熱酸化処理を行ない、基板1の裏面および受光面にそれぞれ酸化膜を形成することによって行なった。このとき、たとえば図1(f)に示すように、基板1の裏面上に形成された拡散防止マスク層7のn型不純物拡散層6上に形成される部分が、他の部分と比べて、局所的に厚くなることが確認された。
次に、図1(g)に示すように、拡散防止マスク層7の一部を除去することによって、拡散防止マスク層7の一部に開口部9を形成し、開口部9から基板1の裏面を露出させた。具体的には、拡散防止マスク層7の厚い部分が残り、拡散防止マスク層7の薄い部分がすべて除去されるようなエッチング条件でエッチングを行なうことにより、拡散防止マスク層7に開口部9を形成した。
次に、図1(h)に示すように、拡散防止マスク層7の開口部9から基板1の裏面にp型不純物を拡散して、p型不純物拡散層11を形成した。具体的には、少なくとも開口部9を埋設するように、ボロンを含む溶剤10をスピンコートにより塗布した後、150℃以上200℃以下の温度で乾燥処理を行ない、その後、800℃以上900℃以下の温度に設定されたチューブ炉にて熱処理を行なうことによってp型不純物拡散層11を形成した。
次に、図1(i)に示すように、拡散防止マスク層7、拡散防止マスク層8、およびボロンの拡散によって形成されたBSG層(図示せず)を除去した。
次に、図1(j)に示すように、基板1の裏面上にパッシベーション層12を形成するとともに、基板1の受光面上に反射防止層13を形成した。具体的には、基板1の受光面上および裏面上にプラズマCVD法により窒化シリコン層を形成することにより、パッシベーション層12および反射防止層13を形成した。
次に、図1(k)に示すように、エッチングペーストをパッシベーション層12上に塗布した後に加熱して、パッシベーション層12の一部のみを除去することによって、パッシベーション層12にコンタクトホール14を形成した。
その後、図1(l)に示すように、コンタクトホール14から露出したn型不純物拡散層6の表面に接触するようにn電極15を形成するとともに、コンタクトホール14から露出したp型不純物拡散層11の表面に接触するようにp電極16を形成した。具体的には、n電極15およびp電極16は、コンタクトホール14を埋設するように銀ペーストを塗布した後に、500℃以上600℃以下の温度で焼成することによって形成された。以上の工程を経ることにより、実施例1の裏面電極型太陽電池セルを作製した。
<実施例2>
第2のパルスレーザ光4bの1パルス当たりの円形状の照射領域の直径d2が60μmになるようにビームエクスパンダの倍率を調整し、第2のパルスレーザ光4bの移動速度が8.4m/sとなるようにガルバノスキャナの走査速度を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の裏面電極型太陽電池セルを作製した。
第2のパルスレーザ光4bの1パルス当たりの円形状の照射領域の直径d2が60μmになるようにビームエクスパンダの倍率を調整し、第2のパルスレーザ光4bの移動速度が8.4m/sとなるようにガルバノスキャナの走査速度を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の裏面電極型太陽電池セルを作製した。
<実施例3>
第2のパルスレーザ光4bの1パルス当たりの円形状の照射領域の直径d2が80μmになるようにビームエクスパンダの倍率を調整し、第2のパルスレーザ光4bの移動速度が11.2m/sとなるようにガルバノスキャナの走査速度を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の裏面電極型太陽電池セルを作製した。
第2のパルスレーザ光4bの1パルス当たりの円形状の照射領域の直径d2が80μmになるようにビームエクスパンダの倍率を調整し、第2のパルスレーザ光4bの移動速度が11.2m/sとなるようにガルバノスキャナの走査速度を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の裏面電極型太陽電池セルを作製した。
<実施例4>
第2のパルスレーザ光4bの移動速度が6m/sとなるようにガルバノスキャナの走査速度を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の裏面電極型太陽電池セルを作製した。
第2のパルスレーザ光4bの移動速度が6m/sとなるようにガルバノスキャナの走査速度を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の裏面電極型太陽電池セルを作製した。
<実施例5>
第2のパルスレーザ光4bの移動速度が8m/sとなるようにガルバノスキャナの走査速度を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の裏面電極型太陽電池セルを作製した。
第2のパルスレーザ光4bの移動速度が8m/sとなるようにガルバノスキャナの走査速度を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の裏面電極型太陽電池セルを作製した。
<比較例>
拡散防止マスク層2に対するパルスレーザ光4の照射を以下のようにして行なったこと以外は実施例1と同様にして、比較例の裏面電極型太陽電池セルを作製した。
拡散防止マスク層2に対するパルスレーザ光4の照射を以下のようにして行なったこと以外は実施例1と同様にして、比較例の裏面電極型太陽電池セルを作製した。
具体的には、まず、レーザ発振器から発振されたパルスレーザ光4を、第1のパルスレーザ光4aと第2のパルスレーザ光4bとに分岐せず、ビームエクスパンダによりビーム径を調整し、ガルバノスキャナおよびf−θレンズを通して、拡散防止マスク層2に照射した。
ここで、パルスレーザ光4は、1パルス当たりの円形状の加工部(開口部)の直径が70μmとなるように、ビームエクスパンダによりビーム径が調整され、ガルバノスキャナの走査速度(パルスレーザ光4の移動速度)を9.8m/sとして、直線状にパルスレーザ光4を移動させながら拡散防止マスク層2に照射した。なお、比較例におけるパルスレーザ光4のビーム径は、実施例1における拡散防止マスク層2の帯状の開口部5の幅と同一の幅となるように調整されたものである。
次に、パルスレーザ光4の移動方向と垂直な方向に基板1を21μm移動させ、上記と同様にして、直線状にパルスレーザ光4を移動させながら拡散防止マスク層2に照射した。
その後、さらに、パルスレーザ光4の移動方向と垂直な方向に基板1を21μm移動させ、上記と同様にして、直線状にパルスレーザ光4を移動させながら拡散防止マスク層2に照射した。
以上の工程を経ることにより、基板1の裏面の拡散防止マスク層2に、所定の間隔を空けて、帯状の開口部5を3本形成した。
<評価>
表1に、上記のようにして作製された実施例1〜5および比較例の裏面電極型太陽電池セルの帯状のn型不純物拡散層6の線幅の平均値を示す。裏面電極型太陽電池セルの出力は、n型不純物拡散層6の面積が小さい方が高くなるため、表1に示すn型不純物拡散層6の線幅の平均値が小さい方が高出力の裏面電極型太陽電池セルを得ることができる。
表1に、上記のようにして作製された実施例1〜5および比較例の裏面電極型太陽電池セルの帯状のn型不純物拡散層6の線幅の平均値を示す。裏面電極型太陽電池セルの出力は、n型不純物拡散層6の面積が小さい方が高くなるため、表1に示すn型不純物拡散層6の線幅の平均値が小さい方が高出力の裏面電極型太陽電池セルを得ることができる。
また、パッシベーション層12に形成されるコンタクトホール14は、n型不純物拡散層6の線幅の内部に存在する必要があるため、n型不純物拡散層6の線幅の最小値が大きいほど、プロセスマージンが大きくなる。
表1に示すように、実施例1〜5と比較例の裏面電極型太陽電池セルを比較した場合には、n型不純物拡散層6の線幅の最小値は同一となっているが、線幅の平均値は、実施例1〜5の裏面電極型太陽電池セルの方が小さくなっているため、実施例1〜5の裏面電極型太陽電池セルは、比較例の裏面電極型太陽電池セルと比べて、より高出力になると考えられる。
また、実施例1〜5の裏面電極型太陽電池セルの製造方法においては、基板1にダメージが入るのを抑制することができ、かつn型不純物拡散層6を微細な形状に安定して形成することによって、裏面電極型太陽電池セルの特性の低下を抑制できるとともに、裏面電極型太陽電池セルの特性のばらつきを抑えることが可能となると考えられる。
<まとめ>
本発明は、基板の表面上に被覆膜を形成する工程と、被覆膜にパルスレーザ光を移動させながら照射することによって被覆膜の一部を除去する工程とを含み、被覆膜をパターニングする工程は、被覆膜に第1のパルスレーザ光を照射することにより被覆膜の一部を除去する工程と、被覆膜に第2のパルスレーザ光を照射することにより被覆膜の他の一部を除去する工程とを含み、第2のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の照射領域の直径は、第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の加工部の直径よりも小さく、第2のパルスレーザ光は、照射領域が加工部のエッジを含むように照射される太陽電池セルの製造方法である。このような構成とすることによって、基板にダメージが入るのを抑制し、かつ微細な形状を安定して形成することによって、太陽電池セルの特性の低下を抑制できるとともに太陽電池セルの特性のばらつきを抑えることが可能となる。
本発明は、基板の表面上に被覆膜を形成する工程と、被覆膜にパルスレーザ光を移動させながら照射することによって被覆膜の一部を除去する工程とを含み、被覆膜をパターニングする工程は、被覆膜に第1のパルスレーザ光を照射することにより被覆膜の一部を除去する工程と、被覆膜に第2のパルスレーザ光を照射することにより被覆膜の他の一部を除去する工程とを含み、第2のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の照射領域の直径は、第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の加工部の直径よりも小さく、第2のパルスレーザ光は、照射領域が加工部のエッジを含むように照射される太陽電池セルの製造方法である。このような構成とすることによって、基板にダメージが入るのを抑制し、かつ微細な形状を安定して形成することによって、太陽電池セルの特性の低下を抑制できるとともに太陽電池セルの特性のばらつきを抑えることが可能となる。
また、本発明は、基板の表面上に拡散防止マスク層を形成する工程と、拡散防止マスク層にパルスレーザ光を照射することによって拡散防止マスク層の一部を除去する工程と、拡散防止マスク層の除去部分から基板に不純物を拡散する工程とを含み、拡散防止マスク層の一部を除去する工程は、拡散防止マスク層に第1のパルスレーザ光を照射することにより拡散防止マスク層の一部を除去する工程と、拡散防止マスク層に第2のパルスレーザ光を照射することにより拡散防止マスク層の他の一部を除去する工程とを含み、第2のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の照射領域の直径は、第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の加工部の直径よりも小さく、第2のパルスレーザ光は、照射領域が加工部のエッジを含むように照射される太陽電池セルの製造方法である。このような構成とすることによって、基板にダメージが入るのを抑制し、かつ微細な形状を安定して形成することによって、太陽電池セルの特性の低下を抑制できるとともに太陽電池セルの特性のばらつきを抑えることが可能となる。
ここで、本発明の太陽電池セルの製造方法において、第2のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の照射領域の直径は、第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の加工部の直径の1/2以下であることが好ましい。このような構成とすることにより、加工部のエッジのばらつきを1/2以下に低減することができる。
また、本発明の太陽電池セルの製造方法において、第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの照射により形成された円形状の加工部の直径に対する第2のパルスレーザ光の1パルス当たりの照射領域の直径の比率と、第1のパルスレーザ光の移動速度に対する第2のパルスレーザ光の移動速度の比率とが同じであることが好ましい。このような構成とすることにより、第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの照射により形成された円形状の加工部と第2のパルスレーザ光の照射領域との重ね合わせ率を一定にすることができるため、加工ダメージの安定性を保つことができる。
さらに、本発明は、上記のいずれかの太陽電池セルの製造方法により製造された太陽電池セルであって、基板にパルスレーザ光の照射跡を有する太陽電池セルである。このような構成とすることにより、特性の低下を抑制できるとともに、特性のばらつきを抑えることができる太陽電池セルとすることができる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、太陽電池セルの製造方法および太陽電池セルに利用することができ、特に、裏面電極型太陽電池セルの製造方法および裏面電極型太陽電池セルに好適に利用することができる。
1 基板、2,3 拡散防止マスク層、4 パルスレーザ光、4a 第1のパルスレーザ光、4b 第2のパルスレーザ光、5 開口部、6 n型不純物拡散層、7,8 拡散防止マスク層。
Claims (5)
- 基板の表面上に被覆膜を形成する工程と、
前記被覆膜にパルスレーザ光を移動させながら照射することによって前記被覆膜の一部を除去する工程とを含み、
前記被覆膜の一部を除去する工程は、前記被覆膜に第1のパルスレーザ光を照射することにより前記被覆膜の一部を除去する工程と、前記被覆膜に第2のパルスレーザ光を照射することにより前記被覆膜の他の一部を除去する工程とを含み、
前記第2のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の照射領域の直径は、前記第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の加工部の直径よりも小さく、
前記第2のパルスレーザ光は、前記照射領域が前記加工部のエッジを含むように照射される、太陽電池セルの製造方法。 - 基板の表面上に拡散防止マスク層を形成する工程と、
前記拡散防止マスク層にパルスレーザ光を照射することによって前記拡散防止マスク層の一部を除去する工程と、
前記拡散防止マスク層の除去部分から前記基板に不純物を拡散する工程とを含み、
前記拡散防止マスク層の一部を除去する工程は、前記拡散防止マスク層に第1のパルスレーザ光を照射することにより前記拡散防止マスク層の一部を除去する工程と、前記拡散防止マスク層に第2のパルスレーザ光を照射することにより前記拡散防止マスク層の他の一部を除去する工程とを含み、
前記第2のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の照射領域の直径は、前記第1のパルスレーザ光の1パルス当たりの円形状の加工部の直径よりも小さく、
前記第2のパルスレーザ光は、前記照射領域が前記加工部のエッジを含むように照射される、太陽電池セルの製造方法。 - 前記照射領域の直径は、前記加工部の直径の1/2以下である、請求項1または2に記載の太陽電池セルの製造方法。
- 前記加工部の直径に対する前記照射領域の直径の比率と、前記第1のパルスレーザ光の移動速度に対する前記第2のパルスレーザ光の移動速度の比率とが同じである、請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池セルの製造方法。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池セルの製造方法により製造された太陽電池セルであって、
前記基板に前記パルスレーザ光の照射跡を有する、太陽電池セル。
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