JP2014106306A - メッキ造形物の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ボトム(基板表面と接触している側)の幅が、ボトムと対向するトップの幅よりも大きい、基板と安定して密着可能なメッキ造形物の形成方法を提供すること。
【解決手段】基板上に下層膜と、ポジ型ホトレジスト組成物からなる上層膜とからなる複合膜を形成し、露光後の下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rを、露光後の上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rより大とする。溶解速度Rの溶解速度Rに対する比R/Rは1より大きく100以下であるのが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、メッキ造形物の形成方法に関する。
現在、ホトファブリケーションが精密微細加工技術の主流となっている。ホトファブリケーションとは、ホトレジスト組成物を被加工物表面に塗布してホトレジスト層を形成し、ホトリソグラフィー技術によってホトレジスト層をパターニングし、パターニングされたホトレジスト層(ホトレジストパターン)をマスクとして化学エッチング、電解エッチング、又は電気メッキを主体とするエレクトロフォーミング等を行って、半導体パッケージ等の各種精密部品を製造する技術の総称である。
また、近年、電子機器のダウンサイジングに伴い、半導体パッケージの高密度実装技術が進み、パッケージの多ピン薄膜実装化、パッケージサイズの小型化、フリップチップ方式による2次元実装技術、3次元実装技術に基づいた実装密度の向上が図られている。このような高密度実装技術においては、接続端子として、例えば、パッケージ上に突出したバンプ等の突起電極(実装端子)や、ウェーハ上のペリフェラル端子から延びる再配線と実装端子とを接続するメタルポスト等が基板上に高精度に配置される。
上記のようなホトファブリケーションにはホトレジスト組成物が使用されるが、そのようなホトレジスト組成物としては、酸発生剤を含む化学増幅型ホトレジスト組成物が知られている(特許文献1、2等を参照)。化学増幅型ホトレジスト組成物は、放射線照射(露光)により酸発生剤から酸が発生し、加熱処理により酸の拡散が促進されて、組成物中のベース樹脂等に対し酸触媒反応を起こし、そのアルカリ溶解性が変化するというものである。
このような化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物は、例えばメッキ工程によるバンプやメタルポストの形成等に用いられている。具体的には、化学増幅型ホトレジスト組成物を用いて、支持体となる基板上に所望の膜厚のホトレジスト層を形成し、所定のマスクパターンを介して露光し、現像して、バンプやメタルポストを形成する部分が選択的に除去(剥離)されたホトレジストパターンを形成する。そして、この除去された部分(非レジスト部)に銅等の導体をメッキによって埋め込んだ後、その周囲のホトレジストパターンを除去することにより、メッキ造形物であるバンプやメタルポストを形成することができる。
特開平9−176112号公報 特開平11−52562号公報
上記のメッキ工程によるメッキ造形物の形成において、形成されるメッキ造形物は、ボトム(基板表面と接触している側)の幅が、ボトムと対向するトップの幅よりも大きいことが望まれる。そうすることにより、メッキ造形物の底面と、基板との接触面積が増加し、メッキ造形物と基板とが安定して密着可能になるためである。
しかし、特許文献1、2等に開示されるような、従来から知られる化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を用いて、メッキ造形物形成用のホトレジストパターンを形成する場合に、非レジスト部において開口部(トップ側)の幅よりも、非レジスト部のボトムの幅のほうが大きい非レジスト部を備えるホトレジストパターンを形成することは困難である。このため、特許文献1、2等に開示されるような化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を用いる場合、基板と安定して密着可能なメッキ造形物を形成しにくい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ボトム(基板表面と接触している側)の幅が、ボトムと対向するトップの幅よりも大きい、基板と安定して密着可能なメッキ造形物の形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、基板上に下層膜と、ポジ型ホトレジスト組成物からなる上層膜とからなる複合膜を形成し、露光後の下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rを、露光後の上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rより大とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
本発明の態様は、
基板上に下層膜を形成する下層膜形成工程と、
下層膜上にポジ型ホトレジスト組成物を塗布して上層膜を形成する上層膜形成工程と、
下層膜と上層膜とからなる複合膜を選択的に露光する露光工程と、
露光後の複合膜をアルカリ現像液により現像して複合膜のパターンを得る現像工程と、
複合膜のパターン中の複合膜が除去された箇所にメッキを施すメッキ工程と、を含み、
露光後の下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rが、露光後の上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rより大である、メッキ造形物の形成方法である。
本発明によれば、ボトム(基板表面と接触している側)の幅が、ボトムと対向するトップの幅よりも大きい、基板と安定して密着可能なメッキ造形物の形成方法を提供することができる。
本発明のメッキ造形物の形成方法の概略を示す図である。
本発明に係るメッキ造形物の形成方法では、基板上に下層膜と上層膜とからなる複合膜を形成する。複合膜は、選択的に露光された後に、アルカリ現像液により現像されるが、露光後の下層膜の前記アルカリ現像液に対する溶解速度Rが、露光後の上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rより大である。以下、上層膜と、下層膜と、具体的なメッキ造形物の形成方法とについて説明する。
≪上層膜≫
上層膜は、後述する下層膜上にポジ型ホトレジスト組成物を塗布して形成される。上層膜の形成に用いられるポジ型ホトレジスト組成物は、露光後の下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rが、露光後の上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rより大である限り特に限定されない。上層膜形成用のポジ型ホトレジスト組成物は、メッキ造形物の形成時のマスク用に使用されている種々のポジ型レジスト組成物から適宜選択することができる。
ポジ型ホトレジスト組成物(以下、単に「ホトレジスト組成物」という。)のうち好適なものとしては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する酸発生剤(A)と、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(B)と、有機溶剤(S)とを含有するものが挙げられる。
<酸発生剤(A)>
酸発生剤(A)は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物であり、光により直接又は間接的に酸を発生する化合物であれば特に限定されない。酸発生剤(A)としては、以下に説明する、第一〜第五の態様の酸発生剤が好ましい。以下、ホトレジスト組成物において好適に使用される酸発生剤(A)のうち好適なものについて、第一から第五の態様として説明する。
酸発生剤(A)における第一の態様としては、下記一般式(a1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014106306
上記一般式(a1)中、X1aは、原子価gの硫黄原子又はヨウ素原子を表し、gは1又は2である。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。R1aは、X1aに結合している有機基であり、炭素数6〜30のアリール基、炭素数4〜30の複素環基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、又は炭素数2〜30のアルキニル基を表し、R1aは、アルキル、ヒドロキシ、アルコシキ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコシキカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールチオカルボニル、アシロキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリール、複素環、アリールオキシ、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキレンオキシ、アミノ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。R1aの個数はg+h(g−1)+1であり、R1aはそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。また、2個以上のR1aが互いに直接、又は−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−NR2a−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、若しくはフェニレン基を介して結合し、X1aを含む環構造を形成してもよい。R2aは炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。
2aは下記一般式(a2)で表される構造である。
Figure 2014106306
上記一般式(a2)中、X4aは炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数8〜20の複素環化合物の2価の基を表し、X4aは炭素数1〜8のアルキル、炭素数1〜8のアルコキシ、炭素数6〜10のアリール、ヒドロキシ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。X5aは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−NR2a−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、又はフェニレン基を表す。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。h+1個のX4a及びh個のX5aはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R2aは前述の定義と同じである。
3a−はオニウムの対イオンであり、下記一般式(a17)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオン又は下記一般式(a18)で表されるボレートアニオンが挙げられる。
Figure 2014106306
上記一般式(a17)中、R3aは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。jはその個数を示し、1〜5の整数である。j個のR3aはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2014106306
上記一般式(a18)中、R4a〜R7aは、それぞれ独立にフッ素原子又はフェニル基を表し、該フェニル基の水素原子の一部又は全部は、フッ素原子及びトリフルオロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
上記一般式(a1)で表される化合物中のオニウムイオンとしては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム、2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、オクタデシルメチルフェナシルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウム、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、又は4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、等が挙げられる。
上記一般式(a1)で表される化合物中のオニウムイオンのうち、好ましいオニウムイオンとしては下記一般式(a19)で表されるスルホニウムイオンが挙げられる。
Figure 2014106306
上記一般式(a19)中、R8aはそれぞれ独立に水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアリール、アリールカルボニル、からなる群より選ばれる基を表す。X2aは、上記一般式(a1)中のX2aと同じ意味を表す。
上記一般式(a19)で表されるスルホニウムイオンの具体例としては、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウムが挙げられる。
上記一般式(a17)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンにおいて、R3aはフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、好ましい炭素数は1〜8、さらに好ましい炭素数は1〜4である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル等の直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐アルキル基;さらにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクヘキシル等のシクロアルキル基等が挙げられ、アルキル基の水素原子がフッ素原子に置換された割合は、通常、80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%である。フッ素原子の置換率が80%未満である場合には、上記一般式(a1)で表されるオニウムフッ素化アルキルフルオロリン酸塩の酸強度が低下する。
特に好ましいR3aは、炭素数が1〜4、且つフッ素原子の置換率が100%の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基であり、具体例としては、CF、CFCF、(CFCF、CFCFCF、CFCFCFCF、(CFCFCF、CFCF(CF)CF、(CFCが挙げられる。R3aの個数jは、1〜5の整数であり、好ましくは2〜4、特に好ましくは2又は3である。
好ましいフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンの具体例としては、[(CFCFPF、[(CFCFPF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[(CFCFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCFCFPF、[((CFCFCFPF、[(CFCFCFCFPF、又は[(CFCFCFPFが挙げられ、これらのうち、[(CFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[((CFCFCFPF、又は[((CFCFCFPFが特に好ましい。
上記一般式(a18)で表されるボレートアニオンの好ましい具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C)、テトラキス[(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート([B(CCF)、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(CBF)、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C)BF)、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート([B(C)等が挙げられる。これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C)が特に好ましい。
酸発生剤(A)における第二の態様としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物、並びにトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレ−ト等の下記一般式(a3)で表されるハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
Figure 2014106306
上記一般式(a3)中、R9a、R10a、R11aは、それぞれ独立にハロゲン化アルキル基を表す。
また、酸発生剤(A)における第三の態様としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、並びにオキシムスルホネ−ト基を含有する下記一般式(a4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014106306
上記一般式(a4)中、R12aは、1価、2価、又は3価の有機基を表し、R13aは、置換若しくは未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、又は芳香族性化合物基を表し、nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
上記一般式(a4)中、芳香族性化合物基とは、芳香族化合物に特有な物理的・化学的性質を示す化合物の基を示し、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基や、フリル基、チエニル基等のヘテロアリール基が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等を1個以上有していてもよい。また、R13aは、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。特に、R12aが芳香族性化合物基であり、R13aが炭素数1〜4のアルキル基である化合物が好ましい。
上記一般式(a4)で表される酸発生剤としては、n=1のとき、R12aがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基のいずれかであって、R13aがメチル基の化合物、具体的にはα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリル、〔2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロキシチオフェン−3−イリデン〕(o−トリル)アセトニトリル等が挙げられる。n=2のとき、上記一般式(a4)で表される酸発生剤としては、具体的には下記式で表される酸発生剤が挙げられる。
Figure 2014106306
また、酸発生剤(A)における第四の態様としては、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩が挙げられる。この「ナフタレン環を有する」とは、ナフタレンに由来する構造を有することを意味し、少なくとも2つの環の構造と、それらの芳香族性が維持されていることを意味する。このナフタレン環は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。ナフタレン環に由来する構造は、1価基(遊離原子価が1つ)であっても、2価基(遊離原子価が2つ)以上であってもよいが、1価基であることが望ましい(ただし、このとき、上記置換基と結合する部分を除いて遊離原子価を数えるものとする)。ナフタレン環の数は1〜3が好ましい。
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のカチオン部としては、下記一般式(a5)で表される構造が好ましい。
Figure 2014106306
上記一般式(a5)中、R14a、R15a、R16aのうち少なくとも1つは下記一般式(a6)で表される基を表し、残りは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、水酸基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表す。あるいは、R14a、R15a、R16aのうちの1つが下記一般式(a6)で表される基であり、残りの2つはそれぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。
Figure 2014106306
上記一般式(a6)中、R17a、R18aは、それぞれ独立に水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、R19aは、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表す。l及びmは、それぞれ独立に0〜2の整数を表し、l+mは3以下である。ただし、R17aが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。また、R18aが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
上記R14a、R15a、R16aのうち上記一般式(a6)で表される基の数は、化合物の安定性の点から好ましくは1つであり、残りは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。この場合、上記2つのアルキレン基は、硫黄原子を含めて3〜9員環を構成する。環を構成する原子(硫黄原子を含む)の数は、好ましくは5〜6である。
また、上記アルキレン基が有していてもよい置換基としては、酸素原子(この場合、アルキレン基を構成する炭素原子とともにカルボニル基を形成する)、水酸基等が挙げられる。
また、フェニル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
これらのカチオン部として好適なものとしては、下記式(a7)、(a8)で表されるもの等を挙げることができ、特に下記式(a8)で表される構造が好ましい。
Figure 2014106306
このようなカチオン部としては、ヨ−ドニウム塩であってもスルホニウム塩であってもよいが、酸発生効率等の点からスルホニウム塩が望ましい。
従って、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のアニオン部として好適なものとしては、スルホニウム塩を形成可能なアニオンが望ましい。
このような酸発生剤のアニオン部としては、水素原子の一部又は全部がフッ素化されたフルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンである。
フルオロアルキルスルホン酸イオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状でも分岐状でも環状でもよく、発生する酸の嵩高さとその拡散距離から、炭素数1〜10であることが好ましい。特に、分岐状や環状のものは拡散距離が短いため好ましい。また、安価に合成可能なことから、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等を好ましいものとして挙げることができる。
アリールスルホン酸イオンにおけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であって、アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。特に、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。好ましいものの具体例として、フェニル基、トルエンスルホニル基、エチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基等を挙げることができる。
上記フルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンにおいて、水素原子の一部又は全部がフッ素化されている場合のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。このようなものとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホネート、パ−フルオロブタンスルホネート、パーフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロベンゼンスルホネート等が挙げられる。
これらの中でも、好ましいアニオン部として、下記一般式(a9)で表されるものが挙げられる。
Figure 2014106306
上記一般式(a9)において、R20aは、下記一般式(a10)、(a11)で表される基や、下記式(a12)で表される基である。
Figure 2014106306
上記一般式(a10)中、xは1〜4の整数を表す。また、上記一般式(a11)中、R21aは、水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表し、yは1〜3の整数を表す。これらの中でも、安全性の観点からトリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートが好ましい。
また、アニオン部としては、下記一般式(a13)、(a14)で表される窒素を含有するものを用いることもできる。
Figure 2014106306
上記一般式(a13)、(a14)中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは3〜5、最も好ましくは炭素数3である。また、Y、Zは、それぞれ独立に少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
のアルキレン基の炭素数、又はY、Zのアルキル基の炭素数が小さいほど有機溶剤への溶解性も良好であるため好ましい。
また、Xのアルキレン基又はY、Zのアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。該アルキレン基又はアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、より好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩として好ましいものとしては、下記式(a15)、(a16)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014106306
また、酸発生剤(A)における第五の態様としては、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、ニトロベンジルトシレ−ト、ジニトロベンジルトシラート、ニトロベンジルスルホナート、ニトロベンジルカルボナート、ジニトロベンジルカルボナート等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールトリメシラート、ピロガロールトリトシラート、ベンジルトシラート、ベンジルスルホナート、N−メチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−トリクロロメチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−フェニルスルホニルオキシマレイミド、N−メチルスルホニルオキシフタルイミド等のスルホン酸エステル類;N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシナフタルイミド等のトリフルオロメタンスルホン酸エステル類;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等のオニウム塩類;ベンゾイントシラート、α−メチルベンゾイントシラート等のベンゾイントシレート類;その他のジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、フェニルジアゾニウム塩、ベンジルカルボナート等が挙げられる。
この酸発生剤(A)は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、酸発生剤(A)の含有量は、ホトレジスト組成物の全質量に対し、0.1〜10質量%とすることが好ましく、0.5〜3質量%とすることがより好ましい。酸発生剤(A)の使用量を上記の範囲とすることにより、良好な感度を備え、均一な溶液であって、保存安定性に優れるホトレジスト組成物を調製しやすい。
<樹脂(B)>
酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(B)としては、特に限定されず、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する任意の樹脂を用いることができる。その中でも、ノボラック樹脂(B1)、ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)、及びアクリル樹脂(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。
[ノボラック樹脂(B1)]
ノボラック樹脂(B1)としては、下記一般式(b1)で表される構成単位を含む樹脂を使用することができる。
Figure 2014106306
上記一般式(b1)中、R1bは、酸解離性溶解抑制基を示し、R2b、R3bは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
上記R1bで表される酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(b2)、(b3)で表される基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、ビニルオキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラフラニル基、又はトリアルキルシリル基であることが好ましい。
Figure 2014106306
上記一般式(b2)、(b3)中、R4b、R5bは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、R6bは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を表し、R7bは、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を表し、oは0又は1を表す。
上記直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。また、上記環状のアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
ここで、上記一般式(b2)で表される酸解離性溶解抑制基として、具体的には、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、イソブトキシエチル基、tert−ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基等が挙げられる。また、上記一般式(b3)で表される酸解離性溶解抑制基として、具体的には、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。また、上記トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリ−tert−ブチルジメチルシリル基等の各アルキル基の炭素数が1〜6のものが挙げられる。
[ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)]
ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)としては、下記一般式(b4)で表される構成単位を含む樹脂を使用することができる。
Figure 2014106306
上記一般式(b4)中、R8bは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R9bは、酸解離性溶解抑制基を表す。
上記炭素数1〜6のアルキル基は、例えば炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、環状のアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記R9bで表される酸解離性溶解抑制基としては、上記一般式(b2)、(b3)に例示したものと同様の酸解離性溶解抑制基を用いることができる。
さらに、ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)は、物理的、化学的特性を適度にコントロールする目的で他の重合性化合物を構成単位として含むことができる。このような重合性化合物としては、公知のラジカル重合性化合物や、アニオン重合性化合物が挙げられる。また、このような重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基及びエステル結合を有するメタクリル酸誘導体類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有アクリル酸エステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチル等のジカルボン酸ジエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレン等のビニル基含有芳香族化合物類;酢酸ビニル等のビニル基含有脂肪族化合物類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有重合性化合物類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド結合含有重合性化合物類;等を挙げることができる。
[アクリル樹脂(B3)]
アクリル樹脂(B3)としては、下記一般式(b5)〜(b7)で表される構成単位を含む樹脂を使用することができる。
Figure 2014106306
上記一般式(b5)〜(b7)中、R10b〜R17bは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、フッ素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のフッ素化アルキル基を表し(ただし、R11bが水素原子であることはない)、Xは、それが結合している炭素原子とともに炭素数5〜20の炭化水素環を形成し、Yは、置換基を有していてもよい脂肪族環式基又はアルキル基を表し、pは0〜4の整数を表し、qは0又は1を表す。
なお、上記直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。また、フッ素化アルキル基とは、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されたものである。
上記R11bとしては、高コントラストで、解像度、焦点深度幅等に優れる上層膜を形成しやすい点から、炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが好ましく、上記R13b、R14b、R16b、R17bとしては、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
上記Xは、それが結合している炭素原子とともに炭素数5〜20の脂肪族環式基を形成する。このような脂肪族環式基の具体例としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。特に、シクロヘキサン、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基(さらに置換基を有していてもよい)が好ましい。
さらに、上記Xの脂肪族環式基が、その環骨格上に置換基を有する場合、該置換基の例としては、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、酸素原子(=O)等の極性基や、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。極性基としては特に酸素原子(=O)が好ましい。
上記Yは、脂肪族環式基又はアルキル基であり、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。特に、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基(さらに置換基を有していてもよい)が好ましい。
さらに、上記Yの脂肪族環式基が、その環骨格上に置換基を有する場合、該置換基の例としては、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、酸素原子(=O)等の極性基や、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。極性基としては特に酸素原子(=O)が好ましい。
また、Yがアルキル基である場合、炭素数1〜20、好ましくは6〜15の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが好ましい。このようなアルキル基は、特にアルコキシアルキル基であることが好ましく、このようなアルコキシアルキル基としては、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基等が挙げられる。
上記一般式(b5)で表される構成単位の好ましい具体例としては、下記式(b5−1)〜(b5−33)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2014106306
Figure 2014106306
Figure 2014106306
上記式(b5−1)〜(b5−33)中、R18bは、水素原子又はメチル基を表す。
上記一般式(b6)で表される構成単位の好ましい具体例としては、下記式(b6−1)〜(b6−24)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2014106306
Figure 2014106306
上記式(b6−1)〜(b6−24)中、R18bは、水素原子又はメチル基を表す。
上記一般式(b7)で表される構成単位の好ましい具体例としては、下記式(b7−1)〜(b7−15)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2014106306
Figure 2014106306
上記式(b7−1)〜(b7−15)中、R18bは、水素原子又はメチル基を表す。
さらに、アクリル樹脂(B3)は、上記一般式(b5)〜(b7)で表される構成単位に対して、さらにエーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含む共重合体からなる樹脂であることが好ましい。
上記エーテル結合を有する重合性化合物としては、エーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体等のラジカル重合性化合物を例示することができ、具体例としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記エーテル結合を有する重合性化合物は、好ましくは、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートである。これらの重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、アクリル樹脂(B3)には、物理的、化学的特性を適度にコントロールする目的で他の重合性化合物を構成単位として含めることができる。このような重合性化合物としては、公知のラジカル重合性化合物や、アニオン重合性化合物が挙げられる。
このような重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基及びエステル結合を有するメタクリル酸誘導体類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチル等のジカルボン酸ジエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレン等のビニル基含有芳香族化合物類;酢酸ビニル等のビニル基含有脂肪族化合物類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有重合性化合物類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド結合含有重合性化合物類;等を挙げることができる。
また、重合性化合物としては、酸非解離性の脂肪族多環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、ビニル基含有芳香族化合物類等を挙げることができる。酸非解離性の脂肪族多環式基としては、特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基等が、工業上入手しやすい等の点で好ましい。これらの脂肪族多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
酸非解離性の脂肪族多環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、具体的には、下記式(b8−1)〜(b8−5)の構造のものを例示することができる。
Figure 2014106306
上記式(b8−1)〜(b8−5)中、R19bは、水素原子又はメチル基を表す。
上記樹脂(B)の中でも、アクリル樹脂(B3)を用いることが好ましい。このようなアクリル樹脂(B3)の中でも、上記一般式(b5)で表される構成単位と、(メタ)アクリル酸から誘導された構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類から誘導された構成単位と、芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステル類から誘導された構成単位とを有する共重合体であり、必要に応じて、酸非解離性の脂肪族多環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル類から誘導された構成単位を含む共重合体であることが好ましい。
このような共重合体としては、下記一般式(b9)で表される共重合体であることが好ましい。
Figure 2014106306
上記一般式(b9)中、R20bは、水素原子又はメチル基を表し、R21bは、炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、Xは上記と同義であり、R22bは、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシアルキル基を表し、R23bは、炭素数6〜12のアリール基を表し、R24bは酸非解離性の脂肪族多環式基を表す。酸非解離性の脂肪族多環式基としては、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基等が好ましい。酸非解離性の脂肪族多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
さらに、上記一般式(b9)で表される共重合体において、s、t、u、v、wはそれぞれの構成単位のモル比を表し、sは5〜45モル%であり、tは10〜65モル%であり、uは5〜25モル%であり、vは5〜25モル%であり、wは0〜45モル%であるのが好ましい。wは5〜40モル%であるのがより好ましい。
樹脂(B)のポリスチレン換算質量平均分子量は、好ましくは10000〜600000であり、より好ましくは20000〜400000であり、さらに好ましくは30000〜300000である。このような質量平均分子量とすることにより、上層膜の十分な強度を保持でき、さらにはメッキ時のプロファイルの膨れや、クラックの発生を防ぐことができる。
また、樹脂(B)は、分散度が1.05以上の樹脂であることが好ましい。ここで、分散度とは、質量平均分子量を数平均分子量で除した値のことである。このような分散度とすることにより、所望とするメッキに対する応力耐性や、メッキ処理により得られる金属層が膨らみやすくなるという問題を回避できる。
樹脂(B)の含有量は、ホトレジスト組成物の全質量に対して5〜60質量%とすることが好ましい。
<アルカリ可溶性樹脂(C)>
上層膜の形成に使用されるホトレジスト組成物は、クラック耐性を向上させるため、さらにアルカリ可溶性樹脂(C)を含有することが好ましい。ここで、アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、2.38質量%のTMAH水溶液に1分間浸漬した際、0.01μm以上溶解するものをいう。アルカリ可溶性樹脂(C)としては、ノボラック樹脂(C1)、ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)、及びアクリル樹脂(C3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
[ノボラック樹脂(C1)]
ノボラック樹脂(C1)は、例えばフェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
付加縮合反応時の触媒は、特に限定されるものではないが、例えば酸触媒では、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸等が使用される。
なお、o−クレゾールを使用すること、樹脂中の水酸基の水素原子を他の置換基に置換すること、あるいは嵩高いアルデヒド類を使用することにより、ノボラック樹脂の柔軟性を一層向上させることが可能である。
ノボラック樹脂(C1)の質量平均分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、1000〜50000であることが好ましい。
[ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)]
ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)を構成するヒドロキシスチレン系化合物としては、p−ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレン等が挙げられる。
さらに、ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)は、ヒドロキシスチレン系化合物とスチレン系化合物との共重合体とすることが好ましい。このようなスチレン樹脂を構成するスチレン系化合物としては、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)の質量平均分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、1000〜50000であることが好ましい。
[アクリル樹脂(C3)]
アクリル樹脂(C3)としては、エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位、及びカルボキシル基を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含むことが好ましい。
上記エーテル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体等を例示することができる。上記エーテル結合を有する重合性化合物は、好ましくは、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレートである。これらの重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カルボキシル基を有する重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基及びエステル結合を有する化合物;等を例示することができる。上記カルボキシル基を有する重合性化合物は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。これらの重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル樹脂(C3)の質量平均分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、50000〜800000であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(C)の含有量は、上記樹脂(B)とアルカリ可溶性樹脂(C)との合計を100質量部とした場合、0〜80質量部が好ましく、0〜60質量部がより好ましい。アルカリ可溶性樹脂(C)の含有量を上記の範囲とすることによりクラック耐性を向上させ、現像時の膜減りを防ぐことができる傾向がある。
<酸拡散制御剤(D)>
ホトレジスト組成物は、形成されるパターンの形状や引き置き安定性等の向上のため、さらに酸拡散制御剤(D)を含有することが好ましい。酸拡散制御剤(D)としては、含窒素化合物(D1)が好ましく、さらに必要に応じて、有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(D2)を含有させることができる。
[含窒素化合物(D1)]
含窒素化合物(D1)としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリベンジルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3,−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、8−オキシキノリン、アクリジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、2,4,6−トリ(2−ピリジル)−S−トリアジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
含窒素化合物(D1)は、上記樹脂(B)及び上記アルカリ可溶性樹脂(C)の合計質量100質量部に対して、通常0〜5質量部の範囲で用いられ、0〜3質量部の範囲で用いられることが特に好ましい。
[有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(D2)]
有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(D2)のうち、有機カルボン酸としては、具体的には、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が好適であり、特にサリチル酸が好ましい。
リンのオキソ酸又はその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸及びそれらのエステルのような誘導体;ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体;ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体;等が挙げられる。これらの中でも、特にホスホン酸が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(D2)は、上記樹脂(B)及び上記アルカリ可溶性樹脂(C)の合計質量100質量部に対して、通常0〜5質量部の範囲で用いられ、0〜3質量部の範囲で用いられることが特に好ましい。
また、塩を形成させて安定させるために、有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(D2)は、上記含窒素化合物(D1)と同等量を用いることが好ましい。
<有機溶剤(S)>
ホトレジスト組成物は、有機溶剤(S)を含有する。有機溶剤(S)の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来よりポジ型ホトレジスト組成物に使用されている有機溶剤から適宜選択して使用することができる。
有機溶剤(S)の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル、モノフェニルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサン等の環式エーテル類;蟻酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶剤(S)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ホトレジスト組成物は、固形分濃度が10〜55質量%、好ましくは30〜55質量%となる範囲で、有機溶剤(S)を含むのが好ましい。
<その他の成分>
ホトレジスト組成物は、可塑性を向上させるため、さらにポリビニル樹脂を含有していてもよい。ポリビニル樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリヒドロキシスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニル安息香酸、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルフェノール、及びこれらの共重合体等が挙げられる。ポリビニル樹脂は、ガラス転移点の低さの点から、好ましくはポリビニルメチルエーテルである。
また、ホトレジスト組成物は、下層膜との接着性を向上させるため、さらに接着助剤を含有していてもよい。
また、ホトレジスト組成物は、塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させるため、さらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤の具体例としては、BM−1000、BM−1100(いずれもBMケミー社製)、メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183(いずれも大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−135、フロラードFC−170C、フロラードFC−430、フロラードFC−431(いずれも住友スリーエム社製)、サーフロンS−112、サーフロンS−113、サーフロンS−131、サーフロンS−141、サーフロンS−145(いずれも旭硝子社製)、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428(いずれも東レシリコーン社製)等の市販のフッ素系界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、ホトレジスト組成物は、現像液に対する溶解性の微調整を行うため、酸、酸無水物、又は高沸点溶媒をさらに含有していてもよい。
酸及び酸無水物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、安息香酸、桂皮酸等のモノカルボン酸類;乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ桂皮酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、シリンギン酸等のヒドロキシモノカルボン酸類;シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸類;無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス無水トリメリタート、グリセリントリス無水トリメリタート等の酸無水物;等を挙げることができる。
また、高沸点溶媒の具体例としては、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセタート等を挙げることができる。
また、ホトレジスト組成物は、感度を向上させるため、増感剤をさらに含有していてもよい。
<ホトレジスト組成物の調製>
ホトレジスト組成物の調製は、上記各成分を通常の方法で混合、撹拌するだけでよく、必要に応じ、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散機を用いて分散、混合してもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
≪下層膜≫
基板上に形成される下層膜は、アルカリ現像液に可溶であって、露光後の下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rが、露光後の上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rより大である限り特に限定されない。下層膜は好ましくは、アルカリ可溶性樹脂を含む膜形成材料か、ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布して形成される。以下、アルカリ可溶性樹脂を含む膜形成材料と、ポジ型ホトレジスト組成物とについて順に説明する。
<アルカリ可溶性樹脂を含む膜形成材料>
アルカリ可溶性樹脂を含む膜形成材料は、アルカリ可溶性樹脂を含む組成物であって、所望する厚さの下層膜を形成可能であるものであれば特に限定されない。アルカリ可溶性樹脂を含む膜形成材料は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上層膜の形成に使用されるポジ型ホトレジスト組成物に含まれる、その他の成分や有機溶剤(S)を含んでいてもよい。
アルカリ可溶性樹脂を含む膜形成材料に含まれるアルカリ可溶性樹脂としては、前述のポジ型ホトレジスト組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂(C)と同様の樹脂を使用することができる。また、前述の酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(B)も使用でき、そのうち、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基を有する不飽和化合物に由来する構成単位を含む樹脂を、アルカリ可溶性樹脂として好適に使用できる。このような樹脂としては、前述の一般式(b9)で表される樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂を含む膜形成材料が有機溶剤(S)を含む場合、有機溶剤(S)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。アルカリ可溶性樹脂を含む膜形成材料の有機溶剤(S)の含有量は、下層膜を形成したときに、上層膜の1/10以下の膜厚の下層膜を形成できる程度に調整されていることが好ましい。
<ポジ型ホトレジスト組成物>
下層膜を形成するために使用されるポジ型ホトレジスト組成物としては、上層膜を形成するために使用されるポジ型ホトレジスト組成物と同様の組成物が使用される。
≪メッキ造形物の形成方法≫
本発明のメッキ造形物の形成方法では、基板上に、下層膜と上層膜とをこの順で積層して複合膜を形成する。形成された複合膜は、選択に露光された後、アルカリ現像液を用いて現像される。このようにして、複合膜のパターンが形成される。複合膜のパターンの複合膜が除去された箇所にメッキが施され、メッキ造形物が形成される。
また、露光後の下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rは、露光後の上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rより大であり、RのRに対する比R/Rは1より大きく100以下であるのが好ましい。本発明のメッキ造形物の形成方法では、このように溶解速度に差のある下層膜と上層膜とからなる複合膜を形成することで、露光及び現像により形成される複合膜のパターンを、複合膜が除去された箇所において、メッキ造形物のボトムに相当する部位の幅が、トップに相当する部位の幅よりも広いものとすることができる。これにより、本発明のメッキ造形物の形成方法によれば、ボトム(基板表面と接触している側)の幅が、ボトムと対向するトップの幅よりも大きい、基板と安定して密着可能なメッキ造形物の形成方法を提供することができる。
及びRを測定する際には、実際にメッキ造形物を形成する際と同様の、プリベーク条件と、露光条件と、現像条件とが採用される。R及びRの具体的な測定方法は以下の通りである。
まず、シリコン基板上に、下層膜を形成するための膜形成材料又は、上層膜を形成するためのポジ型ホトレジスト組成物を、塗布する。次いで、塗布膜をプリベークし、R及びR測定用の下層膜又は、上層膜を形成する。形成された、下層膜又は、上層膜を、露光した後、アルカリ現像液を用いて240秒間現像を行う。
240秒間の現像での、下層膜又は、上層膜の膜厚の減少量(nm)を測定し、現像時間1秒当たりの膜厚の減少量を、露光後の下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度R、及び露光後の上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rとする。
及びRを調整する方法は特に限定されない。Rを調整する方法としては、上層膜又は下層膜における、アルカリ可溶性であるがアルカリ現像液に対する溶解速度がそれほど速くないノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレンの含有量を調整する方法や、露光後の上層膜又は下層膜に含まれる樹脂が有するカルボキシル基やフェノール性水酸基のようなアルカリ可溶性基の量を調整する方法や、上層膜又は下層膜に含まれる樹脂成分の分子量を調整する方法が挙げられる。上層膜又は下層膜中のノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレンの含有量を増やすことで、上層膜又は下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度を下げることができる。露光後の上層膜又は下層膜に含まれる樹脂が有するカルボキシル基やフェノール性水酸基のようなアルカリ可溶性基の量の増減にともない、上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度も増減する。上層膜又は下層膜に含まれる樹脂成分の分子量が高くなると、上層膜又は下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度が下がる傾向がある。
また、プリベーク時の温度や、加熱時間を変えることによっても、上層膜又は下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度を調製することができる。プリベーク時の温度を上げるか時間を延長することにより、上層膜又は下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度が僅かに遅くなる傾向がある。加熱条件が厳しくなることにより、形成される膜が緊密化するためと思われる。
以下、本発明のメッキ造形物の形成方法について、図1を参照しながら、下層膜形成工程、上層膜形成工程、露光工程、現像工程、メッキ工程、及び複合膜除去工程の順に説明する。
<下層膜形成工程>
図1−iに示されるように、下層膜形成工程では、前述の下層膜形成用の膜形成材料を基板10上に塗布し、必要に応じて加熱により溶媒を除去することによって下層膜11を形成する。基板10の材料は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。基板10の下層膜11が形成される面の材料としては、例えば、シリコン、窒化シリコン、チタン、タンタル、パラジウム、チタンタングステン、銅、クロム、鉄、アルミニウム、及びガラス等が挙げられ、銅が好ましい。基板10の表面には配線パターンが形成されていてもよい。配線パターンの材料としては、例えば、銅、ハンダ、クロム、アルミニウム、ニッケル、金等が挙げられる。
膜形成材料の塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法等の方法を採用することができる。下層膜11を形成するための膜形成材料を塗布した後のプリベーク条件は、膜形成材料中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚等によって異なるが、通常は70〜150℃で、好ましくは80〜140℃で、1〜60分間程度である。
下層膜11の膜厚は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。下層膜形成工程で形成される下層膜11の膜厚Tの、後述する露光工程において露光される、下層膜11と上層膜12とからなる複合膜13の厚さTに対する比率T/Tは、0.02〜0.1であるのが好ましい。
<上層膜形成工程>
図1−iiに示されるように、上層膜形成工程では、下層膜形成工程で形成された下層膜11上に、前述のポジ型ホトレジスト組成物を塗布し、必要に応じて加熱により溶媒を除去することによって上層膜12を形成する。上層膜12を形成する際の、塗布方法と、プリベーク条件とは、下層膜形成工程と同様である。上層膜形成工程では、下層膜11と上層膜12との界面で、下層膜11と上層膜12とが混ざり合うミキシングが生じてもよい。
上層膜12の膜厚は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。上層膜12の膜厚は、上層膜をプリベークした後の複合膜の膜厚が1〜150μmとなるような厚さが好ましく、5〜120μmとなるような厚さがより好ましく、10〜100μmとなるような厚さが特に好ましい。
<露光工程>
図1−iiiに示されるように、露光工程では、下層膜11と上層膜12とからなる複合膜13を選択的に露光する。複合膜13を選択的に露光する方法は特に限定されないが、典型的には、所定のパターンのマスク14を介して露光光15を照射する方法が好ましい。露光光15としては、活性光線又は放射線、例えば波長が300〜500nmの紫外線又は可視光線が好ましい。
放射線の線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザー等を用いることができる。また、放射線には、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線、電子線、陽子線、中性子線、イオン線等が含まれる。放射線照射量は、本発明に係るホトレジスト組成物の組成やホトレジスト層の膜厚等によっても異なるが、例えば超高圧水銀灯使用の場合、50〜10000mJ/cmである。また、放射線には、酸を発生させるために、酸発生剤(A)を活性化させる光線が含まれる。
露光後は、公知の方法を用いて加熱することにより酸の拡散を促進させて、複合膜13の露光された部分のアルカリ現像液に対する溶解性を変化させる。
<現像工程>
図1−ivに示されるように、現像工程では、露光された複合膜13を、アルカリ現像液を用いて現像することで、複合膜中の露光された部分を除去して複合膜13のパターンを形成する。現像工程では、下層膜11のアルカリ現像液に対する溶解速度が、上層膜12のアルカリ現像液に対する溶解速度よりも速いため、下層膜11では、上層膜12よりも幅広くアルカリ現像液により侵食される。このため、複合膜13が除去された箇所において、メッキ造形物のボトムに相当する部位の幅が、トップに相当する部位の幅よりも広い、複合膜13のパターンを形成できる。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナン等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液をアルカリ現像液として使用することもできる。
現像時間は、下層膜11及び上層膜12の組成や、複合膜13の膜厚等によっても異なるが、通常1〜30分間である。現像方法は、液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレー現像法等のいずれでもよい。
現像後は、流水洗浄を30〜90秒間行い、エアーガンや、オーブン等を用いて乾燥させる。このようにして、複合膜13のパターンを製造できる。
<メッキ工程>
図1−vに示されるように、メッキ工程では、複合膜13のパターン中の、前記複合膜が除去された箇所にメッキを施して、メッキ造形物16を形成する。メッキ処理方法は特に制限されず、従来から公知の各種方法を採用することができる。メッキ液としては、特にハンダメッキ、銅メッキ、金メッキ、ニッケルメッキ液が好適に用いられる。
<複合膜除去工程>
図1−viに示されるように、メッキ工程後に基板10上に残っている複合膜13のパターンは、必要に応じて、剥離液を用いて除去される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜7、及び比較例1〜3]
(下層膜及び上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度の測定)
表3に記載の組成の樹脂又は樹脂混合物を含み、PM(プロピレングリコールモノメチルアセテート)(溶剤)により、表3に記載の固形分濃度(質量%)に希釈された下層膜形成用の膜形成材料を調製した。なお、実施例7と比較例4とで用いた下層膜形成用の膜形成材料は、樹脂100質量部に対して2質量部の酸発生剤を含んでいる。
また、表1に記載の組成で固形分を含み、PM(溶剤)により表3に記載の固形分濃度(質量%)に希釈されたポジ型ホトレジスト組成物を調製した。ポジ型ホトレジスト組成物の組成は以下の通りである。
Figure 2014106306
実施例及び比較例では、酸発生剤として以下の化合物を用いた。
Figure 2014106306
実施例及び比較例では、防錆剤として以下の化合物を用いた
Figure 2014106306
実施例で用いた樹脂A(ノボラック樹脂)、樹脂B(ポリヒドロキシスチレン)、及び樹脂C〜Fについて、構成単位の比率と、質量平均分子量(Mw)とを、表2に示す。
Figure 2014106306
表2に記載の各構成単位の構造は以下の通りである。
Figure 2014106306
まず、2枚の銅基板上に、下層膜形成用の膜形成材料と、上層膜形成用のポジ型ホトレジスト組成物とを、それぞれ塗布した。次いで、下層膜形成用の塗布膜と、上層膜形成用の塗布膜とを、表3に記載の下層膜及び上層膜のプリベーク条件でプリベークして、R及びR測定用の下層膜と上層膜とを形成した。形成された下層膜と上層膜とからなる複合膜を、Ultratech Prisma GHI5452(ウルトラテック社製)を用いて露光量500mJ/cmで露光した。露光された下層膜と上層膜とを、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの濃度2.38質量%の水溶液を用いて240秒間現像を行った。現像時間と、現像時の膜厚の減少量とから、下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rと、上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rとを求めた。R及びRを表3に記す。
(メッキ造形物の形状の評価)
銅基板上に、下層膜形成用の膜形成材料を、スピンコーターにより塗布した後、表3に記載の条件でプリベークを行い、表3に記載の膜厚の下層膜を形成した。次いで、上層膜形成用のポジ型ホトレジスト組成物を、下層膜上にスピンコーターにより塗布した後、表3に記載の条件でプリベークを行い、膜厚20μmの下層膜と上層膜とからなる複合膜を形成した。形成された下層膜と上層膜とからなる複合膜を、開口径20μmのホールパターンのマスクと、Ultratech Prisma GHI5452(ウルトラテック社製)とを用いて露光量500mJ/cmで露光した。次いで、基板をホットプレート上に載置して85℃で3分間の露光後加熱(PEB)を行った。その後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの濃度2.38質量%の水溶液(現像液、NMD−3、東京応化工業株式会社製)を露光された複合膜に滴下した後に23℃で60秒間静置する操作を、計4回繰り返して行った。現像された複合膜の表面を流水洗浄した後に、窒素ブローして複合膜のパターンを得た。
形成された複合膜のパターンを、出力300W、圧力0.15torr、40℃の条件で60秒間、Oプラズマ処理した。次いで、陰極電流密度(ASD)10A/dmの条件で、複合膜のパターンの複合膜が除去された箇所に、10分間銅メッキを施した。その後、陰極電流密度(ASD)5A/dmの条件で、複合膜のパターンの複合膜が除去された箇所に、5分間錫−銀メッキを施した。メッキ後、メッキ造形物が形成された基板を60℃の剥離液(ST−120、東京応化工業株式会社製)に10分間浸漬し、基板から複合膜のパターンを剥離させた。形成されたメッキ造形物の形状を側面より走査型電子顕微鏡を用いて観察し、メッキ造形物の形状を評価した。メッキ造形物について、ボトム(基板表面と接触している側)の幅が、ボトムと対向するトップの幅より広く、矩形性が高いメッキ造形物が形成できる場合を◎、ボトムの幅がボトムと対向するトップの幅より広く、本願の課題は解消できるが、メッキ造形物のボトム側の形状が大きなテーパー形状になる場合を○と判定し、ボトムの幅がボトムと対向するトップの幅以下である場合を×と判定した。各実施例、及び比較例の、メッキ造形物の形状の評価結果を表3に記す。
Figure 2014106306
実施例1〜9によれば、下層膜と、ポジ型ホトレジスト組成物からなる上層膜とからなり、露光後の下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rが、露光後の上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rより大である複合膜を、露光及び現像して形成された複合膜のパターンにメッキを施して形成されたメッキ造形物は、ボトム(基板表面と接触している側)の幅が、ボトムと対向するトップの幅よりも広いことが分かる。また、特に、実施例1〜7のような複合膜を形成することにより、優れた形状のメッキ形成物が形成できることがわかる。
他方、比較例1〜3によれば、下層膜と、ポジ型ホトレジスト組成物からなる上層膜とからなり、露光後の下層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rが、露光後の上層膜のアルカリ現像液に対する溶解速度Rより小である複合膜を、露光及び現像して形成された複合膜のパターンにメッキを施して形成されたメッキ造形物は、ボトム(基板表面と接触している側)の幅が、ボトムと対向するトップの幅よりも狭いことが分かる。
[比較例4]
複合膜に変えて、実施例1において上層膜の形成に用いたポジ型ホトレジスト組成物を用いて、膜厚20μmのホトレジスト膜を形成することの他は、実施例1と同様にして、露光、現像、メッキ、及びホトレジストパターンの剥離を行い、メッキ造形物を形成した。形成されたメッキ造形物の形状を側面より走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、メッキ造形物の形状は、ボトム(基板表面と接触している側)の幅がボトムと対向するトップの幅よりも狭かった。
10 基板
11 下層膜
12 上層膜
13 複合膜
14 マスク
15 露光光
16 メッキ造形物

Claims (5)

  1. 基板上に下層膜を形成する下層膜形成工程と、
    前記下層膜上にポジ型ホトレジスト組成物を塗布して上層膜を形成する上層膜形成工程と、
    前記下層膜と前記上層膜とからなる複合膜を選択的に露光する露光工程と、
    露光後の前記複合膜をアルカリ現像液により現像して複合膜のパターンを得る現像工程と、
    前記複合膜のパターン中の前記複合膜が除去された箇所にメッキを施すメッキ工程と、を含み、
    前記露光後の下層膜の前記アルカリ現像液に対する溶解速度Rが、前記露光後の上層膜の前記アルカリ現像液に対する溶解速度Rより大である、メッキ造形物の形成方法。
  2. 前記溶解速度Rの前記溶解速度Rに対する比R/Rが1より大きく100以下である、請求項1に記載のメッキ造形物の形成方法。
  3. 前記露光工程において露光される前記複合膜の厚さTに対する、前記下層膜形成工程で形成された下層膜の厚さTの比率T/Tが、0.02〜0.1である、請求項1又は2に記載のメッキ造形物の形成方法。
  4. 前記下層膜は、アルカリ可溶性樹脂を含む膜形成材料か、ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布して形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメッキ造形物の形成方法。
  5. 前記メッキ工程後に、前記複合膜のパターンを除去する複合膜除去工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のメッキ造形物の形成方法。
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