JP2014105824A - 車輪支持用軸受ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】外輪1aの肉厚を大きくする事なく、外輪軌道4、4の表層部の圧縮応力を高められる構造を実現する。
【解決手段】前記外輪1aを、それぞれが筒状である、最内部外輪素子14と、最外部外輪素子15とを、径方向に積層する状態で組み合わせて成るものとする。このうちの最外部外輪素子15は、前記最内部外輪素子14に対し、焼き嵌めで外嵌する。これにより、この焼き嵌めに伴う前記最外部外輪素子15の径方向収縮力を、前記最内部外輪素子14に加える事に基づいて、前記圧縮応力を高める。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に利用する車輪支持用軸受ユニットの改良に関し、特に、外輪軌道の転がり疲れ寿命の延長や圧痕対策に関するものである。
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に、車輪支持用軸受ユニットが使用されている。図5は、この様な車輪支持用軸受ユニットの従来構造の1例として、特許文献1に記載されたものを示している。この車輪支持用軸受ユニットは、外輪1と、ハブ2と、複数個の転動体3、3とを備える。このうちの外輪1は、内周面に複列の外輪軌道4、4を、外周面に懸架装置を構成するナックルに固定する為の静止側フランジ5を、それぞれ有する。又、前記ハブ2は、ハブ本体6の軸方向内端部(軸方向に関して「内」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向中央側となる、各図の右側を言う。これに対して、車両の幅方向外側となる、各図の左側を、軸方向に関して「外」と言う。本明細書全体で同じ。)に、内輪7を外嵌固定して成る。この様なハブ2は、その外周面のうちで、前記両外輪軌道4、4と対向する部分に複列の内輪軌道8、8を、前記外輪1の内径側から軸方向外側に突出した部分に車輪を支持固定する為の回転側フランジ9を、それぞれ有する。又、前記各転動体3、3は、前記両外輪軌道4、4と前記両内輪軌道8、8との間に、両列毎に複数個ずつ、保持器10、10により保持した状態で転動自在に設けられている。
又、前記外輪1の内周面と前記ハブ2の外周面との間に存在する円筒状の内部空間の軸方向両端開口部のうち、軸方向外側の開口部をシールリング11により塞ぐと共に、軸方向内側の開口部を組み合わせシールリング12により塞いでいる。これにより、前記内部空間に封入した潤滑用のグリースが外部に漏洩する事を防止すると共に、外部からこの内部空間内に、塵芥、雨水、泥水等の異物が侵入する事を防止している。尚、図示の例では、前記各転動体3、3として玉を使用しているが、重量の嵩む自動車用の転がり軸受ユニットの場合には、玉に代えて、円すいころを使用する場合もある。
上述の様な車輪支持用軸受ユニットを構成する各部材のうち、前記外輪1は、通常、炭素量0.3〜0.7重量%の中炭素鋼に熱間鍛造を施して大まかな形状を得た後、完成形状に近い状態になるまで切削加工され、その後、高周波熱処理を施して前記両外輪軌道4、4の表層部に硬化層を設け、最後に、これら両外輪軌道4、4や、前記両シール装置11、12の嵌合面である、前記外輪1の軸方向両端部内周面等の必要箇所に、研削加工を施して完成する。尚、前記両外輪軌道4、4の表層部に前記硬化層を設ける理由は、これら両外輪軌道4、4の転がり疲れ寿命を向上させる為である。即ち、これら両外輪軌道4、4の表層部に前記硬化層を形成すると、前記各転動体3、3との転がり接触に基づく弾性変形を抑える事で転がり疲れ寿命を向上させられる。これに加えて、前記硬化層の金属組織が、マルテンサイト変態により、僅かとは言え膨張する。これに対し、前記硬化層の周囲に存在する非硬化部分には、マルテンサイト変態による膨張が起こらない為、前記硬化層が、この非硬化部分により抑え付けられて、この硬化層に残留圧縮応力が発生する。この様な残留圧縮応力の存在は、前記両外輪軌道4、4にピーリングや圧痕を生じにくくして、これら両外輪軌道4、4の転がり疲れ寿命を確保する上で有利に働く。
ところで、近年、扁平タイヤの普及が進み、この扁平タイヤとホイールとを組み合わせて構成した車輪が縁石に乗り上げた場合等に、このホイールを介して、車輪支持用軸受ユニットに大きな衝撃が加わる事が多くなっている。一方、上述の図5に示した車輪支持用軸受ユニットの場合には、懸架装置を構成するナックルの支持孔内に外輪全体を圧入した状態で使用される車輪支持用軸受ユニットと異なり、前記外輪1の外周面全体が前記ナックルによりバックアップされる(この外輪1全体が補強される)状態では使用されない。この為、上述の様な大きな衝撃が加わる事に伴い、前記各軌道4、8に前記各転動体3、3による圧痕が生じる可能性は、比較的肉厚が大きい前記ハブ2の外周面に形成された前記両内輪軌道8、8に比べて、比較的肉厚が小さい前記外輪1の内周面に形成された前記両外輪軌道4、4の方が、大きくなる。これら両外輪軌道4、4に圧痕が生じると、軸受寿命が大幅に低下する為、好ましくない。この様な圧痕を生じにくくする為には、前記両外輪軌道4、4の表層部の圧縮応力を大きくすれば良い。ここで、この圧縮応力の一種である、前記残留圧縮応力を大きくする方法の1つとして、前記硬化層の深さを必要量確保しつつ、この硬化層の周囲の非硬化部分の肉厚を大きくする方法が挙げられる。但し、近年の車輪支持用軸受ユニットの軽量化の要請に伴い、前記外輪1の薄肉化が進んでいる実情に鑑みると、上述の様に非硬化部分の肉厚を大きくする手段は、採用し難い。
特開2005−214229号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、外輪の肉厚を大きくする事なく、外輪軌道の表層部の圧縮応力を大きくできる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の車輪支持用軸受ユニットは、外輪と、ハブと、複数個の転動体とを備える。
このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を、外周面に静止側フランジを、それぞれ有し、使用時にこの静止側フランジを懸架装置の一部(一般的には、ナックル)に結合固定した状態で回転しない。
又、前記ハブは、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪を支持固定した状態で、この車輪と共に回転する。
又、前記各転動体は、前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられている。
特に、本発明の車輪支持用軸受ユニットに於いては、前記外輪は、それぞれが筒状である複数の外輪素子を、径方向に積層する状態で組み合わせて成る。
又、前記両外輪軌道は、前記各外輪素子のうち最も内径側に位置する最内部外輪素子に設けられている。
又、前記静止側フランジは、前記各外輪素子のうち最も外径側に位置する最外部外輪素子に設けられている。
又、前記各外輪素子のうちで前記最内部外輪素子以外の外輪素子は、それぞれ自身の内径側に隣接する外輪素子に対し、焼き嵌めで外嵌されている。
上述の様な本発明の車輪支持用軸受ユニットを実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記最外部外輪素子の軸方向両端部を、それぞれこの最外部外輪素子の内径側に隣接する外輪素子の軸方向両端縁よりも軸方向に突出した突出筒部とする。そして、これら両突出筒部に、それぞれ前記外輪の軸方向端部開口の少なくとも一部分を塞ぐ、シールリング、シールドリング、カバー等の塞ぎ部材を嵌合支持する。
又、本発明を実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記最内部外輪素子を、内周面に前記両外輪軌道を有する金属製の内方素子と、この内方素子の外周面の全周に固定された外方素子とから成るものとする。これと共に、この外方素子を、前記内方素子を構成する金属よりも融点の低い金属の鋳造品であって、鋳造時の溶融金属の固化に伴い、前記内方素子の外周面に固定されたものとする。又は、前記外方素子を、合成樹脂の射出成形品であって、射出成形時の溶融樹脂の固化に伴い、前記内方素子の外周面に固定されたものとする。
上述の様に構成する本発明の車輪支持用軸受ユニットの場合、外輪を組み立てるべく、複数の外輪素子のうち、最内部外輪素子以外の外輪素子を、それぞれ自身の内径側に隣接する外輪素子に対して焼き嵌めで外嵌すると、これら各外輪素子の冷却に伴う径方向収縮力が、それぞれ前記最内部外輪素子に加わる。この結果、この最内部外輪素子の内周面に設けた複列の外輪軌道の表層部に、圧縮応力が付与される。従って、本発明によれば、前記外輪の肉厚を大きくする事なく、前記両外輪軌道の表層部の圧縮応力を大きくできる。
又、請求項2に記載した発明の場合には、最外部外輪素子の軸方向両端部に1対の突出筒部を設けた分だけ、この最外部外輪素子の軸方向寸法が、その内径側に隣接する外輪素子の軸方向寸法よりも大きくなっている。従って、その分、前記最外部外輪素子を焼き嵌めで外嵌する際の、この最外部外輪素子の冷却に伴う径方向収縮力を大きくでき、延いては、前記両外輪軌道の表層部の圧縮応力を大きくできる。
更に、請求項2に記載した発明の場合には、前記両突出筒部に、それぞれ前記外輪の軸方向端部開口の少なくとも一部分を塞ぐ塞ぎ部材を嵌合支持している為、これら両塞ぎ部材によって、前記各外輪素子同士の嵌合部に対する、雨水や泥水の侵入防止を図れる。
又、請求項3に記載した発明の場合には、最内部外輪素子を造るべく、内方素子の外径側で外方素子を鋳造又は射出成形する際に、この内方素子に対して、この外方素子の固化に伴う径方向収縮力を加えられる。従って、その分、前記内方素子の内周面に設けた複列の外輪軌道の表層部の圧縮応力を大きくできる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、半部断面図。 同第2例を示す、半部断面図。 同第3例を示す、半部断面図。 同第4例を示す、半部断面図。 従来構造の1例を示す、断面図。
[実施の形態の第1例]
図1は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて本発明の特徴は、外輪1aの構造にある。本例の場合、対象となる車輪支持用軸受ユニットが駆動輪用であって、ハブ2aを構成するハブ本体6aの径方向中心部に駆動軸を係合させる為のスプライン孔13を設けている点を除き、その他の部分の構造及び作用は、前述の図5に示した従来構造の場合とほぼ同様である。この為、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合、前記外輪1aは、それぞれが筒状である、最内部外輪素子14と、最外部外輪素子15とを、径方向に積層する状態で組み合わせて成る。そして、このうちの最内部外輪素子14の内周面に複列の外輪軌道4、4を、前記最外部外輪素子15の外周面に静止側フランジ5を、それぞれ設けている。本例の場合、前記最外部外輪素子15は、前記最内部外輪素子14に対し、焼き嵌めで外嵌している。そして、この状態で、この最内部外輪素子14の軸方向両端面を、前記最外部外輪素子15の内周面の軸方向両端寄り部分に係止した1対の止め輪16、16により抑え付けている。これにより、自動車の旋回時に作用する横力によって、前記両外輪素子14、15同士の嵌合面に軸方向の滑りが生じ、これら両外輪素子14、15同士が軸方向にずれ動くのを防止している。尚、前記最内部外輪素子14の軸方向両端面のうちの何れか一方の端面は、前記止め輪16の側面に突き当てる代わりに、前記最外部外輪素子15の内周面に形成した段差面に突き当てる構成とする事もできる。
又、本例の場合、前記最外部外輪素子15の軸方向両端部で、前記最内部外輪素子14の軸方向両端縁よりも軸方向に突出した部分を、1対の突出筒部17a、17bとしている。そして、このうちの軸方向外側の突出筒部17aに、シールリング11を内嵌固定すると共に、軸方向内側の突出筒部17bに、組み合わせシールリング12を構成するシールリングを内嵌固定している。これにより、前記両外輪素子14、15同士の嵌合部に、外部から雨水や泥水が侵入するのを防止している。尚、本例の場合には、前記シールリング11と、前記組み合わせシールリング12を構成するシールリングとが、それぞれ特許請求の範囲に記載した塞ぎ部材に相当する。
又、本例の場合、前記最外部外輪素子15は、外周面に前記静止側フランジ5を形成する為、機械的強度が強く、しかも熱間或いは冷間鍛造(温間鍛造を含む)で成形し易く、更には軸受の焼き嵌め温度の上限値である120℃以上に加熱可能である(120℃を超えて或る程度の温度まで加熱しても、硬さ等の機械的性質が低下しない)、中炭素鋼により造っている。これに対し、前記最内部外輪素子14は、内周面に前記両外輪軌道4、4を形成する為、これら両外輪軌道4、4の転がり疲れ寿命を確保し易い、軸受鋼により造っている。又、前記最内部外輪素子14を造る際に、この軸受鋼には、硬さ等の機械的性質を向上させる為の焼入れ・焼戻し処理を施す。尚、この様な焼入れ・焼戻し処理を施した後の軸受鋼を120℃以上に加熱すると、この軸受鋼の硬さ等の機械的性質が低下する可能性がある。この為、前記焼き嵌めを行う際の、前記最外部外輪素子15の加熱温度は、120℃以下に抑えるか、仮に120℃以上の温度であっても、前記焼き嵌め後の熱伝導により、前記最内部外輪素子14を構成する軸受鋼の温度が120℃以上にならない温度に規制する事が好ましい。
尚、本例を実施する場合、前記最内部外輪素子14は、例えば機械構造用鋼製で、且つ、前記両外輪軌道4、4の表層部に高周波熱処理による硬化層を形成したものとする事もできる。この場合、この硬化層を形成する為の高周波熱処理は、前記最外部外輪素子15を前記最内部外輪素子14に焼き嵌めで外嵌する前の状態、即ち、この最内部外輪素子14単体の状態で行う。この理由は、高周波熱処理による焼入れ温度が、応力除去温度である550℃よりも高温(900℃程度)である為、先に焼き嵌めで外嵌してから高周波熱処理を行うと、この際の焼入れ温度によって、焼き嵌めにより付与した前記両外輪軌道4、4の表層部の圧縮応力が失われる為である。尚、これら両外輪軌道4、4部分の靭性を確保すると共に、前記硬化層に於ける残留圧縮応力を十分に確保する観点より、前記最内部外輪素子14のうちで、前記硬化層の周囲に、非硬化部分を残す事が好ましい。つまり、前記硬化層を、前記最内部外輪素子14の外周面や軸方向両端面にまで達しない状態で形成する事が好ましい。
上述の様に構成する本例の車輪支持用軸受ユニットの場合、前記外輪1aを組み立てるべく、前記最外部外輪素子15を前記最内部外輪素子14に対して焼き嵌めで外嵌すると、この最外部外輪素子15の冷却に伴う径方向収縮力が、前記最内部外輪素子14に加わる。この結果、この最内部外輪素子14の内周面に設けた複列の外輪軌道4、4の表層部に圧縮応力が付与される。即ち、本例の構造によれば、前記外輪1aの肉厚を大きくする事なく、前記両外輪軌道4、4の表層部の圧縮応力を大きくできる。特に、本例の場合には、前記最外部外輪素子15の軸方向両端部に1対の突出筒部17a、17bを設けた分だけ、この最外部外輪素子15の軸方向寸法が、前記最内部外輪素子14の軸方向寸法よりも大きくなっている。従って、その分、前記最外部外輪素子15を焼き嵌めで外嵌する際の、この最外部外輪素子15の冷却に伴う径方向収縮力を大きくでき、延いては、前記両外輪軌道4、4の表層部の圧縮応力を大きくできる。
更に、本例の場合には、前記最内部外輪素子14を構成する、焼入れ・焼戻し処理を施された軸受鋼の線膨張係数(12.5×10-6-1)が、前記最外部外輪素子15を構成する中炭素鋼の線膨張係数(11.3×10-6-1)よりも大きい。この為、運転に伴う温度上昇時に、前記最内部外輪素子14が、前記最外部外輪素子15よりも大きく熱膨張する傾向となる。この結果、前記最内部外輪素子14が前記最外部外輪素子15により抑え付けられて、前記両外輪軌道4、4の表層部の圧縮応力が、より大きくなると言った効果を得られる。
[実施の形態の第2例]
図2は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、外輪1bを、最内部外輪素子14aの外周面と、最外部外輪素子15aの内周面との間に、円筒状の中間部外輪素子18を挟持した、三相構造としている。本例の場合、この中間部外輪素子18は、前記最外部外輪素子15aと同様の中炭素鋼製であり、前記最内部外輪素子14aに対し、焼き嵌めで外嵌している。又、前記最外部外輪素子15aは、前記中間部外輪素子18に対し、焼き嵌めで外嵌している。そして、この状態で、この中間部外輪素子18及び前記最内部外輪素子14aの軸方向両端面を、前記最外部外輪素子15aの内周面の軸方向両端寄り部分に係止した1対の止め輪16、16により抑え付けている。
上述の様に構成する本例の車輪支持用軸受ユニットの場合には、前記中間部外輪素子18を焼き嵌め外嵌する際の、この中間部外輪素子18の冷却に伴う径方向収縮力と、前記最外部外輪素子15aを焼き嵌め外嵌する際の、この最外部外輪素子15aの冷却に伴う径方向収縮力とを、それぞれ前記最内部外輪素子14aに加えられる。即ち、本例の場合には、この最内部外輪素子14aに加えられる径方向収縮力を、上述した第1例の場合よりも大きくできる。従って、その分、前記最内部外輪素子15aの内周面に設けた複列の外輪軌道4、4の表層部の圧縮応力を大きくできる。
その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図3は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、対象となる車輪支持用軸受ユニットを、前述の図5に示した従来構造と同様、従動輪用としている。この為、ハブ2を構成するハブ本体6の径方向中心部には、駆動軸を係合させる為のスプライン孔を設けていない。
又、本例の場合には、外輪1cを構成する最内部外輪素子14bを、内周面に複列の外輪軌道4、4を有する内方素子19と、この内方素子19の外周面の全周に固定された外方素子20とから成る、2相構造としている。本例の場合、前記内方素子19は、中炭素鋼、炭素工具鋼、浸炭鋼のうちから選択される、何れか1種の鋼により造っている。この内方部材19は、外周面の軸方向中間部で、少なくとも前記両外輪軌道4、4の転走部(各転動体3、3が転がり接触する部分)と径方向に重畳する部分を含む範囲に、全周に亙る凹部21を設けている。これにより、前記内方部材19の肉厚を、全体的にほぼ均一にしている。又、前記外方素子20は、前記内方素子19を構成する金属よりも融点の低い金属(例えば、錫、ホワイトメタル、Y合金、アルミニウム合金)の鋳造品であって、前記凹部21内に固定している。即ち、前記外方素子20は、この凹部21内で鋳造し、この鋳造の際の溶融金属の固化に伴って、この凹部21内に固定している。
尚、本例の場合、前記凹部21内で前記外方素子20を鋳造する作業は、前記両外輪軌道4、4の表層部に硬化層を形成する前の状態と、形成した後の状態との、どちらの状態で行っても良い。但し、硬化層を形成した後の状態で行う場合には、前記外方素子20の鋳造に伴って、前記内方部材19を構成する鋼のうち、前記硬化層に対応する部分の温度が、応力除去温度である550℃以上とならない様にする必要がある。従って、前記外方素子20を構成する金属としては、この様な要求に応えられる融点を有するものを選択する必要がある。
又、本例の場合、上述の様な構成を有する最内部外輪素子14bの軸方向両端面は、最外部外輪素子15bの内周面の軸方向内端寄り部分に形成した段差面22と、この内周面の軸方向外端寄り部分に係止した止め輪16とにより、抑え付けている。更に、本例の場合には、前記最外部外輪素子15bの軸方向内側の突出筒部17bに、塞ぎ部材である、金属板製のカバー23を内嵌固定する事により、前記外輪1cの軸方向内端開口を塞いでいる。これにより、この外輪1cの軸方向内端開口を通じて、外部から前記両外輪素子14b、15b同士の嵌合部に、雨水や泥水が侵入するのを防止している。
上述の様に構成する本例の車輪支持用軸受ユニットの場合には、前記最内部外輪素子14bを造るべく、前記内方素子19の凹部21内で前記外方素子20を鋳造する際に、この内方素子19に対して、この外方素子20の固化に伴う径方向収縮力を加えられる。従って、その分、前記内方素子19の内周面に設けた複列の外輪軌道4、4の表層部の圧縮応力を大きくできる。
その他の構成及び作用は、前述の図1に示した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
尚、本発明(請求項3に対応する発明)を実施する場合には、前記外方素子20を、合成樹脂の射出成形品であって、射出成形時の溶融樹脂の固化に伴い、前記内方素子19の凹部21内に固定されるものとする事もできる。この場合も、この凹部21内で前記外方素子20を射出成形する際に、前記内方素子19に対して、この外方素子20の固化に伴う径方向収縮力を加えられる。従って、その分、前記内方素子19の内周面に設けた複列の外輪軌道4、4の表層部の圧縮応力を大きくできる。
[実施の形態の第4例]
図4は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、外輪1dを構成する最外部外輪素子15cの外周面の軸方向中間部に凹部24を形成すると共に、この凹部24内にピアノ線の如き高強度のワイヤ25を強く巻き付けて(締め付けて)いる。これにより、前記最外部外輪素子15cを介して、最内部外輪素子14に対し、縮径方向の荷重を付与している。そして、この事に基づいて、前記最内部外輪素子14の内周面に設けた複列の外輪軌道4、4の表層部の圧縮応力を、更に大きくしている。
その他の構成及び作用は、前述の図1に示した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
尚、上述の様なワイヤ25によって前記圧縮応力を大きくする構成は、前述の図2〜3に示した第2〜3例にも適用可能である。
本発明を実施する場合で、前述の図1に示した第1例の様に、最内部外輪素子14を軸受鋼(線膨張係数12.5×10-6-1)製とし、最外部外輪素子15を中炭素鋼(線膨張係数11.3×10-6-1)製とする場合、著しい寒冷地で使用すると、前記軸受鋼と前記中炭素鋼との線膨張係数の差が、複列の外輪軌道4、4の表層部に付与した圧縮応力を低下させる方向に働く可能性がある。この様な事態を回避する為には、例えば、前記最内部外輪素子14を中炭素鋼製とし、全体を調質処理で硬度を上昇させた後、前記両外輪軌道4、4の表層部に高周波熱処理で硬化層を設ければ良い。
又、本発明を実施する場合には、外輪を構成する外輪素子の個数を、4個以上とする事もできる。
更に、本発明を実施する場合には、外輪を構成する複数の外輪素子のうち、径方向に隣接する1対の外輪素子同士を、焼き嵌めにより嵌合した後、溶接する事もできる。但し、軸受鋼は溶接には向かない為、前記両外輪素子同士をレーザ溶接等により溶接する場合には、これら両外輪素子を、それぞれ中炭素鋼等の溶接に向いた材料により造るのが好ましい。
1、1a〜1d 外輪
2、2a ハブ
3 転動体
4 外輪軌道
5 静止側フランジ
6、6a ハブ本体
7 内輪
8 内輪軌道
9 回転側フランジ
10 保持器
11 シールリング
12 組み合わせシールリング
13 スプライン孔
14、14a、14b 最内部外輪素子
15、15a〜15c 最外部外輪素子
16 止め輪
17a、17b 突出筒部
18 中間部外輪素子
19 内方素子
20 外方素子
21 凹部
22 段差面
23 カバー
24 凹部
25 ワイヤ

Claims (3)

  1. 外輪と、ハブと、複数個の転動体とを備え、
    このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を、外周面に静止側フランジを、それぞれ有し、使用時にこの静止側フランジを懸架装置の一部に結合固定した状態で回転しないものであり、
    前記ハブは、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪を支持固定した状態で、この車輪と共に回転するものであり、
    前記各転動体は、前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられており、
    車輪支持用軸受ユニットに於いて、
    前記外輪は、それぞれが筒状である複数の外輪素子を、径方向に積層する状態で組み合わせて成るものであり、
    前記両外輪軌道は、前記各外輪素子のうち最も内径側に位置する最内部外輪素子に設けられており、
    前記静止側フランジは、前記各外輪素子のうち最も外径側に位置する最外部外輪素子に設けられており、
    前記各外輪素子のうちで前記最内部外輪素子以外の外輪素子は、それぞれ自身の内径側に隣接する外輪素子に対し、焼き嵌めで外嵌されている事を特徴とする、
    車輪支持用軸受ユニット。
  2. 前記最外部外輪素子の軸方向両端部を、それぞれこの最外部外輪素子の内径側に隣接する外輪素子の軸方向両端縁よりも軸方向に突出した突出筒部としており、
    これら両突出筒部に、それぞれ前記外輪の軸方向端部開口の少なくとも一部分を塞ぐ塞ぎ部材を嵌合支持している、
    請求項1に記載した車輪支持用軸受ユニット。
  3. 前記最内部外輪素子は、内周面に前記両外輪軌道を有する金属製の内方素子と、この内方素子の外周面の全周に固定された外方素子とから成るものであり、
    この外方素子は、前記内方素子を構成する金属よりも融点の低い金属の鋳造品であって鋳造時の溶融金属の固化に伴い前記内方素子の外周面に固定されたもの、又は、合成樹脂の射出成形品であって射出成形時の溶融樹脂の固化に伴い前記内方素子の外周面に固定されたものである、
    請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した車輪支持用軸受ユニット。
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