JP2014104990A - 漆模様ガラス容器および漆模様ガラス容器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】漆塗膜を備えた漆模様ガラス容器、およびそのような漆模様ガラス容器の製造方法であって、漆塗膜が、生漆100重量部に対して、ポリオール化合物を100〜1000重量部の範囲内の値、イソシアネート化合物を100〜900重量部の範囲内の値、シランカップリング剤を1〜20重量部の範囲内の値、でそれぞれ配合してなる塗料組成物の熱硬化物であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
例えば、漆塗膜の密着性、超音波洗浄性、耐アルカリ性等が向上した金属素材の樹脂漆処理方法が提案されている(特許文献1参照)。
より具体的には、金属からなる素材表面を、合成樹脂と漆との混合割合が合成樹脂60〜90重量%に対して、漆10〜40重量%の合成樹脂−漆含有処理剤を用いて処理する第1工程と、漆および合成樹脂の混合割合が漆50〜90重量%に対して、合成樹脂10〜50重量%の漆−合成樹脂含有処理剤を用いて処理する第2工程と、を含む漆系塗料の製造方法である。
より具体的には、メラミン樹脂を硬化させてなる漆器素地表面に、ウレタン樹脂下塗り層、および焼き付けた漆塗膜を、順次に形成してなる漆器である。
より具体的には、ガラス器の表面を、サンドブラスト処理や弗化水素処理により、不透明な摺ガラスに加工した後、当該ガラス器の任意箇所に、アクリル樹脂塗料100重量部に対して、シランカップリング剤を1〜5重量部の割合で配合してなる塗料により、所望模様を描き、次いで、加熱ゲル化させるとともに、有機顔料を蒔いて着色させ、さらに朱合漆を塗布してなるガラス製品である。
より具体的には、生漆又は精製漆の油性成分に対して、水分が5〜15重量%となるように、含水率を調整した後に、所定粒径のビーズを用いてなる媒体撹拌ミルによって、油中水滴型エマルションに含まれる水滴の粒径を50〜150μmに微細化する微細化工程を含む漆系塗料の製造方法が開示されている。
その上、いずれも形成された漆塗膜に重ねて、その上方に、所定接着剤を介して、金属箔層を形成しようとしても、当該金属箔層が、漆塗膜から剥離しやすいという問題も見られた。
すなわち、本発明によれば、ガラス表面に対する密着性等に優れるばかりか、良好な表面装飾性を有する漆塗膜を備えた漆模様ガラス容器、およびそのような漆模様ガラス容器の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、所定の漆模様用塗料を用いることによって、アクリル樹脂等からなる下塗り層を省略したような場合であっても、ガラス表面に対する密着性等に優れるばかりか、良好な表面装飾性を有する漆塗膜を備えた漆模様ガラス容器を得ることができる。
また、所定の漆模様用塗料に由来した漆塗膜によれば、実質的に単層であっても、所定の密着性や装飾性、さらには良好な強靭性(耐擦傷性)が得られるため、製造工程が簡略化されるとともに、漆塗膜としての装飾層の薄膜化を図ることもできる。
その上、所定の漆模様用塗料に由来した漆塗膜によれば、良好な指紋隠ぺい性を得ることができ、漆模様ガラス容器の使用時の良好な外観性を維持することができる。
なお、従来は、塗料組成物中に、シランカップリング剤を相当量添加すると、硬化塗膜の硬度や機械的強度が著しく低下する一方、離型性や撥水性が発現し、別塗料を重ね塗りした場合に、はじきやすくなる現象が生じたり、指紋隠ぺい性が低下したりすることが知られていた。しかしながら、本発明によれば、生漆を含む塗料組成物において、配合成分やその比率等を考慮することにより、これらの問題を生じさせることなく、ガラス容器の表面に対する密着性や強靭性に優れるとともに、表面装飾性や指紋隠ぺい性に優れた漆塗膜を備えた漆模様ガラス容器を提供できるようになったものである。
このようなアルキッド樹脂(例えば、イソシアネート化合物と反応して硬化する、イソシアネート硬化型アルキッド樹脂)をさらに配合することにより、ガラス表面や、後加工される金属箔等に対する密着性にさらに優れるとともに、イソシアネート化合物との硬化反応の制御が容易になり、その上、比較的安価な漆模様ガラス容器を得ることができる。
このようなイソシアネート化合物を用いることにより、ガラス表面や、後加工される金属箔等に対するに対する密着性にさらに優れるとともに、ポリオール化合物等との硬化反応の制御が容易になり、さらには、比較的安価な漆模様ガラス容器を得ることができる。
このようなシランカップリング剤を用いることにより、比較的少量の添加であっても、ガラス表面のみならず、後加工される金属箔等に対する密着性がさらに向上するとともに、塗料組成物の安定性を向上させることができる。
このような金属箔層を、所定の接着剤を介して間接的、または直接的に漆塗膜の後加工として形成することにより、さらに装飾性に優れた漆模様ガラス容器を得ることができる。
このような艶消し剤を含有することにより、さらに装飾性や手触り感に優れた漆塗膜を有する漆模様ガラス容器を得ることができる。
すなわち、所定の漆模様用塗料を用いて、ガラス容器の表面に対して塗装することによって、アクリル樹脂等からなる下塗り層を形成することなく、ガラス表面に対する密着性や強靭性に優れるばかりか、良好な表面装飾性や指紋隠ぺい性を有する漆塗膜を備えた漆模様ガラス容器を効率的に得ることができる。
すなわち、所定の漆模様用塗料を用いて、ガラス容器表面に塗装するとともに、金属箔層を、接着剤層を介して間接的、または接着剤層を介さずに直接的に形成することによって、密着性や耐久性ばかりでなく、装飾性にさらに優れた漆塗膜を備えた漆模様ガラス容器を効率的に得ることができる。
第1の実施形態は、図1(a)〜(b)に例示されるように、漆塗膜12を備えてなる漆模様ガラス容器10であって、漆塗膜12が、生漆100重量部に対して、ポリオール化合物を100〜1000重量部の範囲内の値、イソシアネート化合物を100〜900重量部の範囲内の値、シランカップリング剤を1〜20重量部の範囲内の値、でそれぞれ配合してなる塗料組成物の熱硬化物であることを特徴とする漆模様ガラス容器10である。
以下、適宜図面を参照しながら、第1の実施形態の漆模様ガラス容器について、具体的に説明する。
(1)形状等
図1(b)に示すガラス容器14の形状は特に制限されるものではなく、化粧ビンや薬用ビン等のガラス容器における用途に対応させて、ボトルネック型の円筒状ガラス容器、ボトルネック型の矩形状のガラス容器、ボトルネック型の四角柱状のガラス容器、ボトルネック型の異形のガラス容器等が挙げられる。
すなわち、基本的には、キャップ(図示せず)と螺合するネジ口14aと、内容物の収容部となる胴体14bと、から構成されているガラス容器14である。
そして、このようなガラス容器を構成するガラスの種類についても特に制限されるものでなく、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス、リン酸塩ガラス、アルミノ珪酸塩ガラス等が挙げられる。
すなわち、図2(a)〜(b)が、それぞれボトルネック型の矩形状のガラス容器であって、ねじ口キャップ(図示せず)と、栓蓋という相違点はあるものの、所定間隔(例えば、5〜20mm)で平行配置してなる前面ガラス壁および背面ガラス壁と、所定間隔(例えば、20〜100mm)で平行配置してなる、一対の側面ガラス壁と、を有している。
また、図2(c)〜(d)が、それぞれボトルネック型の円筒状ガラス容器の変形例であって、漆塗膜の色が異なるものの、円筒形状のガラスビンの上方部分の直径を、下方部分の直径よりも順次大きくするとともに、最上部では、再び、直径を小さくして、側面視した場合に、全体として、なす型となる形状のガラス容器である。
また、図3(a)〜(b)に示すように、ガラス容器14の表面に対して、表面処理として、シランカップリング剤処理層16、またはケイ酸化炎処理層18が、それぞれ形成してあることが好ましい。
この理由は、このような表面処理が施してあることにより、漆模様ガラス容器10a〜10bにおけるガラス表面に対して、漆塗膜12が、さらに良好な密着性を示すとともに、ひいては、漆塗膜12の優れた耐久性や機械的強度を得ることができるためである。
一方、ケイ酸化炎処理の場合には、図3(b)に示すように、ナノメーターレベルのシリカ粒子からなる不連続薄膜層(例えば、50〜1000nm)として、ケイ酸化炎処理層18を形成し、漆模様ガラス容器10bにおけるガラス容器14の表面と、漆塗膜12との間の密着性を著しく向上させることができる。
すなわち、沸点が20〜150℃の範囲である、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン等のケイ素含有化合物を含む燃料ガスに由来した火炎(ケイ酸化炎)を、ガラス容器の表面に対して、例えば、1〜60秒間、全面的または部分的に吹き付けることによって、表面の濡れ指数を70dyn/cm以上の値とすることができる。
(1)形態
また、図1(b)等に示すように、漆模様ガラス容器10におけるガラス容器14の表面に、所定の塗料組成物からなる漆塗膜12を設けることを特徴とする。
この理由は、全面的な漆塗膜12、あるいは文字、図形、記号等からなるパターン化された漆塗膜12を、ガラス容器14の表面に形成することによって、漆器等に見える漆模様ガラス容器10を得ることができるためである。
なお、粘接着剤層を介することなく、ガラス容器14の表面に、漆塗膜12を直接的に形成したとしても、良好な密着性が得られるため、さらに、漆器等に見える漆模様ガラス容器10を提供することができる。
その上、粘接着剤層を省略することができることから、当該粘接着剤層が劣化した場合における、漆塗膜の浮きに起因した空気侵入の影響を排除することができる。
塗料組成物としては、生漆100重量部に対して、ポリオール化合物を100〜1000重量部の範囲内の値、イソシアネート化合物を100〜900重量部の範囲内の値、シランカップリング剤を1〜20重量部の範囲内の値、でそれぞれ配合してなる熱硬化性組成物であることを特徴とする。
すなわち、生漆と、ポリオール化合物やイソシアネート化合物との間で、相溶性に優れているため、ポリオール化合物およびイソシアネート化合物との反応物であるポリウレタン化合物が、生漆の接着剤の機能を果たし、漆塗膜として、所定の漆模様を現出しながら、ガラス容器の表面に対して、強固に接着することができる。
そして、所定量のシランカップリング剤を配合することによって、生漆やポリオール化合物と、イソシアネート化合物との間の反応を阻害することなく、ガラス表面に対する密着性や、漆塗膜上にさらに装飾層を形成する場合の、当該装飾層の密着性を著しく向上させることができる。
以下、塗料組成物の各配合成分や配合量につき、具体的に説明する。
生漆は、ウルシ科のウルシノキやブラックツリーから採取した樹液を加工した、ウルシオールを主成分とする天然樹脂である。
具体的には、採取した樹液を濾過して、不純物等を除去したものを、生漆とすることができる。
また、ポリオール化合物としては、後述するイソシアネート化合物と反応して、ウレタン結合を生成できる多価アルコール化合物であれば該当するが、より具体的には、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、含フッ素ポリオール、ラクトンポリオール、ポリエ−テルポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、アクリルポリオールは、ヒドロキシル基含有アクリルモノマーと、他のエチレン性不飽和モノマーとを、共重合して得られるポリオール化合物である。
また、含フッ素ポリオールは、少なくともヒドロキシル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーと、フルオロオレフィンモノマーとを共重合して得られるポリオール化合物、あるいは、フルオロオレフィンモノマーを重合させて得られるヒドロキシル基を有しないフッ素ポリマーに、アクリルポリオール化合物を混合して得られるポリオール化合物である。
また、ポリエ−テルポリオールは、エーテル基を分子内に有するポリオール化合物である。
また、ポリカーボネートポリオールは、ポリカーボネート骨格を分子内に有するポリオール化合物である。
さらに、芳香族ポリオールは、芳香族環構造を分子内に有するポリオール化合物である。
その上、ポリエステルポリオールを配合すれば、比較的安価でかつ耐久性に優れた漆模様ガラス容器を得ることができるという利点もある。
この理由は、かかるポリオール化合物の配合量が、100重量部未満の値になると、イソシアネート化合物との硬化性が著しく低下したり、得られる漆塗膜の密着性や機械的強度が著しく低下したりする場合があるためである。
一方、かかるポリオール化合物の配合量が、生漆100重量部に対して、1000重量部を超えた値になると、イソシアネート化合物との硬化性を制御することが困難となったり、得られる漆塗膜の装飾性や機械的強度が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、生漆100重量部に対して、ポリオール化合物の配合量を150〜800重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、200〜600重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
すなわち、図4の横軸に、ポリオール化合物の配合量(重量部)がとってあり、縦軸に、密着性(相対値)がとって示してある。
そして、実線が初期の密着性に関する特性曲線を表しており、点線が60℃、90%RHの高温高湿度環境下に24時間放置した後の密着性に関する特性曲線を表わしている。
これらの特性曲線から理解されるように、ポリオール化合物の配合量が過度に少ない場合、例えば、100重量部未満になると、密着性が初期においても悪い一方、ポリオール化合物の配合量が相当多い場合、例えば、1000重量部を超えた場合にも、初期においても密着性が悪い傾向が見られた。
そして、高温高湿度環境下に24時間放置した場合、その傾向がさらに顕著となる傾向が見られた。
したがって、ポリオール化合物の配合量を、生漆100重量部に対して、所定量(100〜1000重量部)とすることによって、初期のみならず、高温高湿度試験後においても、それなりに良好な密着性が得られることが理解される。
また、塗料組成物中に、所定量のアルキッド樹脂(上述したポリエステルポリオールとの差別化のためには、数平均分子量は10万超である。)、例えば、水酸基価が30〜200mgKOH/gの範囲内の値であって、イソシアネート化合物と反応して、硬化するアルキッド樹脂(イソシアネート硬化型アルキッド樹脂)を配合することが好ましい。
この理由は、かかるアルキッド樹脂を配合することによって、塗料組成物の液安定性を損なうことなく、イソシアネート化合物と反応して、漆塗膜のガラス表面に対する密着性、あるいは、漆塗膜の硬度や機械的強度を著しく向上させることができるためである。
そして、アルキッド樹脂、ポリエステルポリオール、およびイソシアネート化合物を反応させてなる、ウレタン基濃度が300〜5,000当量/106であるウレタン変性アルキッド樹脂であれば、上述したポリオール化合物等を含めて、後述するイソシアネート化合物との反応が可能であることから、より好ましいイソシアネート硬化型アルキッド樹脂である。
この理由は、かかるアルキッド樹脂の配合量が、10重量部未満の値になると、イソシアネート化合物との硬化性が著しく低下したり、得られる漆塗膜の密着性や機械的強度が向上しなかったりする場合があるためである。
一方、かかるアルキッド樹脂の配合量が、生漆100重量部に対して、800重量部を超えた値になると、イソシアネート化合物との硬化性を制御することが困難となったり、得られる漆塗膜の装飾性や機械的強度が逆に著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、生漆100重量部に対して、アルキッド樹脂の配合量を100〜700重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、200〜600重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
すなわち、図5の横軸に、イソシアネート硬化型アルキッド樹脂の配合量(重量部)が採ってあり、縦軸に、密着性(相対値)が採って示してある。
そして、実線が初期の密着性に関する特性曲線を表しており、点線が60℃、90%RHの高温高湿度環境下に24時間放置した後の密着性に関する特性曲線を表わしている。
これらの特性曲線から理解されるように、イソシアネート硬化型アルキッド樹脂の配合量が過度に少ない場合、例えば、10重量部未満の場合、密着性が初期においても悪い一方、イソシアネート硬化型アルキッド樹脂の配合量が相当多い場合、例えば、800重量部を超えた場合にも、初期においても密着性が悪い傾向が見られた。
そして、高温高湿度環境下に24時間放置した場合、その状況がさらに顕著となる傾向が見られた。
したがって、イソシアネート硬化型アルキッド樹脂の配合量を、生漆100重量部に対して、所定量(10〜800重量部)とすることによって、初期のみならず、高温高湿度試験後においても、それなりに良好な密着性が得られることが理解される。
また、イソシアネート化合物としては、好適には、芳香族ポリイソシアネート化合物および脂肪族ポリイソシアネート化合物、あるいは、いずれか一方が使用可能である。
かかる芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアナートメチル)ベンゼン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニレンエーテル−4,4′−ジイソシアネート、およびナフタレンジイソシアネート等の少なくとも一種が挙げられる。
そして、特に、2,4−トリレンジイソシアネートや2,6−トリレンジイソシアネートを用いると、ガラス表面に対する密着性にさらに優れるとともに、ポリオール化合物等との硬化反応の制御が容易になり、さらには、比較的安価な漆模様ガラス容器を得ることができる。
この理由は、かかるイソシアネート化合物の配合量が、100重量部未満の値になると、ポリオール化合物との硬化性が著しく低下したり、得られる漆塗膜の密着性や機械的強度が著しく低下したりする場合があるためである。
一方、かかるイソシアネート化合物の配合量が、900重量部を超えた値になると、ポリオール化合物との硬化性を制御することが困難となったり、得られる漆塗膜の装飾性や機械的強度が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、生漆100重量部に対して、イソシアネート化合物の配合量を300〜700重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、400〜600重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、シランカップリング剤の種類については適宜変更することができるが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−グリシドキシプロピルジエトキシメチルシラン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
この理由は、かかるエポキシシランカップリング剤であれば、比較的少量の添加であっても、ガラス表面のみならず、後加工される金属箔等に対する漆塗膜の密着性が向上するとともに、漆成分との反応が抑制され、塗料組成物の安定性を向上させることができるためである。
この理由は、かかるシランカップリング剤の配合量が、1重量部未満の値になると、配合効果が得られず、ガラス表面に対する密着性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかるシランカップリング剤の配合量が、20重量部を超えた値になると、塗料組成物の安定性が低下し、ひいては、ガラス表面に対する密着性や漆塗膜の機械的強度が著しく低下する場合があるためである。
したがって、生漆100重量部に対して、シランカップリング剤の配合量を3〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、4〜8重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
すなわち、図6の横軸に、シランカップリング剤の配合量(重量部)が採ってあり、縦軸に、密着性(相対値)が採って示してある。
そして、実線が初期の密着性に関する特性曲線を表しており、点線が60℃、90%RHの高温高湿度環境下に24時間放置した後の密着性に関する特性曲線を表わしている。
これらの特性曲線から理解されるように、シランカップリング剤の配合量が、例えば、1重量部未満の過度に少ない場合には、密着性が初期においても悪い一方、シランカップリング剤の配合量が、例えば、4重量部以上の所定値以上になると、密着性評価について飽和し、良好な密着性が維持される傾向が見られた。
そして、高温高湿度環境下に24時間放置した場合、その状況がさらに顕著となる傾向が見られた。
したがって、シランカップリング剤の配合量を、生漆100重量部に対して、所定量(1〜20重量部)とすることによって、初期のみならず、高温高湿度試験後においても、それなりに良好な密着性が得られることが理解される。
また、必要に応じて、シンナーをさらに配合し、塗料組成物の塗布性を向上させることが好ましい。
より具体的には、塗料組成物の全体量(100重量%)に対し、シンナーの配合量を30〜70重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるシンナーの配合量が、30重量%未満の値になると、粘度が過度に高くなって、取り扱い性が低下したり、均一な厚さの漆塗膜を形成することが困難となったりする場合があるためである。
一方、かかるシンナーの配合量が、70重量%を超えた値になると、粘度が過度に低くなって、乾燥に過度に時間がかかったり、シンナーが残留し、漆塗膜の密着性や機械的強度が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、塗料組成物の全体量(100重量%)に対し、シンナーの配合量を40〜60重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、45〜55重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、シンナーの種類としては、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の一種単独、あるいは二種以上の組み合わせであることが好ましい。
また、漆塗膜の黒色性を向上させる場合には、カーボンブラック、墨、鉄分、黒色酸化鉄等の黒色顔料や黒色化剤を、着色剤として、配合することが好ましい。
一方、漆塗膜の赤色性を向上させる場合には、ベンガラ、赤色酸化鉄、クロムバーミリオン、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、鉛丹、アゾ系顔料、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、レーキ顔料、アゾレーキ、インジゴイド等の赤色顔料を配合することが好ましい。
そして、これら着色剤の配合量を、通常、塗料組成物の全体量(100重量%)に対し、0.5〜20重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、塗料組成物中に、艶消し剤を配合することも好ましい。
すなわち、艶消し剤を所定量配合することによって、さらに装飾性や手触り感に優れた漆塗膜を有する漆模様ガラス容器を得ることができるためである。また、艶消し剤を配合することにより、漆塗膜の表面に適度な凹凸が形成され、上方に、金属箔等の第2の装飾層を形成した場合に、より均一かつ強固に密着させることができる。
ここで、かかる艶消し剤としては、シリカ粒子、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、含水ケイ酸アルミニウム、有機ポリマー粒子(ポリエチレン粒子)等の一種単独、あるいは二種以上の組み合わせであることが好ましい。
また、かかる艶消し剤の配合量を、生漆100重量部に対して、1.0〜400重量部の範囲内の値とすることが好ましく、10〜350重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜300重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
その他、塗料組成物中に、相溶化剤、難燃剤、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維、金属フィラー等)、安定剤(脂肪酸金属塩、酸化防止剤等)、滑剤、分散剤、発泡剤、抗菌剤等をさらに含むことも好ましい。
また、塗料組成物の粘度(測定温度:25℃)を10〜1、000mPa・secの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる塗料組成物の粘度が、10mPa・sec未満の値になると、
漆成分や着色剤等が沈殿しやすくなって、均一な組成の漆塗膜を形成することが困難となる場合があるためである。
一方、かかる塗料組成物の粘度が、1、000mPa・secを超えた値になると、粘度が過度に高くなって、取り扱いが困難となったり、均一な厚さの漆塗膜を形成することが困難となったりする場合があるためである。
したがって、かかる塗料組成物の粘度を20〜200mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましく、30〜100mPa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、より簡易な粘度制御法として、イワタカップ(NK−2)を使用してなる落下時間を制御することも好ましい。
その場合、落下時間を1〜60秒の範囲内の値とすることが好ましく、5〜30秒の範囲内の値とすることがより好ましく、8〜20秒の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図7(a)に示すように、漆塗膜12の上に、オーバーコート層(OC層)20が設けてあることが好ましい。
すなわち、漆模様ガラス容器10cにおける漆塗膜12の外側に、当該漆塗膜12を保護するためのオーバーコート層20として、熱硬化性樹脂層または光硬化性樹脂層が設けてあることが好ましい。
この理由は、このようにオーバーコート層20を設けることにより、漆模様ガラス容器10cの全体として、装飾性が向上するとともに、さらに良好な耐久性を得ることができるためである。
そして、メラミン樹脂等に、ポリオール化合物、例えば、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂、ヒドロキシル基含有エポキシ樹脂、ヒドロキシル基含有ポリエステル樹脂、ヒドロキシル基含有ウレタン樹脂等を反応させて構成したポリオール変性ホルムアルデヒド系樹脂(アクリル系メラミン樹脂と称する場合がある。)を使用することがより好ましい。
この理由は、このようなポリオール変性ホルムアルデヒド系樹脂を使用することにより、ガラス表面に対する密着力をさらに向上させるとともに、平滑性や薄膜性をより向上させることができるためである。
すなわち、下方から第1のオーバーコート層および第2のオーバーコート層を含んでなり、当該第2のオーバーコート層の硬度を、第1のオーバーコート層の硬度よりも大きくすることが好ましい。
この理由は、このように複合層から構成することによって、第1のオーバーコート層により、漆模様ガラス容器におけるハードコート性を向上させることができるとともに、第2のオーバーコート層により、下地層との間の密着性をさらに向上させることができるためである。
また、図7(b)に示すように、漆模様ガラス容器10dにおけるガラス容器14の表面に設けた漆塗膜12を第1の装飾層としたときに、当該漆塗膜12の上方に、第2の装飾層22を重ねて設けることも好ましい。
すなわち、かかる第2の装飾層22として、金属箔層、ホットスタンプ層、紫外線硬化性樹脂層、熱硬化性樹脂層、および熱可塑性樹脂層の少なくとも一層を設けることが好ましい。
この理由は、このように第2の装飾層22をさらに設けて漆模様ガラス容器10dを構成することにより、漆模様ガラス容器10dの全体として、装飾性や耐久性をさらに向上させることができるためである。
そして、このような金属箔層を設ける場合、漆塗膜の表面に、接着剤を介して間接的に、あるいは、接着剤を介さず直接的に形成してあることが好ましい。
すなわち、金属箔層を、接着剤を介して間接的に設ける場合、ホットスタンプ法を容易に適用することができる。
一方、金属箔層を、接着剤を介さずに、直接的に設ける場合、漆塗膜を半硬化状態として、すなわち、完全硬化前の状態において、金属箔層を積層し、その後、後加熱することによって、接着剤を使用することなく、金属箔層を、漆塗膜に対して、強固に積層することができる。
第2の実施形態は、漆塗膜を備えてなる漆模様ガラス容器の製造方法であって、生漆100重量部に対して、ポリオール化合物を100〜1000重量部の範囲内の値、イソシアネート化合物を100〜900重量部の範囲内の値、シランカップリング剤を1〜20重量部の範囲内の値、でそれぞれ配合してなる塗料組成物を準備する工程と、塗料組成物を、ガラス容器に対して、スプレー塗装または静電塗装する工程と、塗料組成物を200℃以下で加熱硬化させ、漆塗膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする漆模様ガラス容器の製造方法である。
以下、図8に示す漆模様ガラス容器の製造フロー図に沿って、第2の実施形態である漆模様ガラス容器の製造方法を具体的に説明する。
図8中、S1で表わされる工程が、第1工程であって、第1の実施形態で説明したように、所定ガラス容器を準備する工程である。
すなわち、このようなガラス容器としては、例えば、ブローアンドブロー方式や、プレスアンドブロー方式や、ワンプレス法等によって、安定的に製造し、それを供することができる。
具体的には、背面ガラス壁の容器外側に該当する箇所に、表面処理として、シランカップリング剤を塗布したり、所定ケイ素含有化合物に由来したケイ酸化炎を吹付け処理してあることが好ましい。
次いで、図8中、S3で表わされる工程が、第2工程であって、準備したガラス容器の所定場所に対して、塗料組成物を、公知方法で、塗装する工程である。
したがって、塗料組成物を効率的かつ均一に塗布することができることから、スプレー塗装または静電塗装を実施することが好ましい。
次いで、図8中、S4で表わされる工程が、第3工程であって、塗布した塗料組成物を加熱処理によって硬化させ、漆塗膜とする工程である。
したがって、塗料組成物を加熱処理して、熱硬化させるに際して、通常、加熱温度を200℃以下とすることが好ましいが、80〜180℃の範囲内の値とすることがより好ましく、100〜150℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、加熱処理時間は、加熱温度や加熱方法にもよるが、通常、1〜180分の範囲内の値とすることが好ましく、10〜120分の範囲内の値とすることがより好ましく、15〜60分の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
但し、後述するように、漆塗膜を半硬化状態として、金属箔層等を直接的に積層する場合には、25〜70℃の範囲内の温度として、1〜120分の加熱時間とすることが好ましい。
(1)第2の装飾層の形成工程
また、任意工程ではあるが、図8中、S5で表わされる工程が、漆塗膜の上に、第2の装飾層を重ねて形成する工程である。
すなわち、ガラス容器の前面ガラス壁の外側に、第2の装飾層として、金属箔等からなるホットスタンプ層、紫外線硬化性樹脂層、熱硬化性樹脂層、および熱可塑性樹脂層の少なくとも一層を設けることが好ましい。
この理由は、このように第2の装飾層を形成することにより、漆模様ガラス容器において、さらに良好な装飾性や耐久性を得ることができるためである。
すなわち、第2の装飾層を、接着剤を介して間接的に設ける場合、ホットスタンプ法等を容易に適用することができる。
一方、第2の装飾層を、接着剤を介さずに、直接的に設ける場合、漆塗膜を半硬化状態として、すなわち、完全硬化前の状態において、第2の装飾層を積層し、その後、後加熱することによって、接着剤を使用することなく、第2の装飾層を、漆塗膜に対して、強固に積層することができる。
また、これもまた任意工程ではあるが、図8中、S6で表わされる工程が、オーバーコート層(OC層)を設ける工程である。
すなわち、漆塗膜の上に、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂からなるオーバーコート層を設けることが好ましい。
この理由は、このようなオーバーコート層を設けることにより、漆塗膜の耐久性を高めたり、さらには、漆模様ガラス容器の全体として、装飾性を向上させたりすることができるためである。
そして、形成するオーバーコート層は、通常、無色透明であることが好ましいが、有色透明であっても、有色半透明であっても、さらには、有色不透明であっても、いずれも好適に使用することができる。
なお、オーバーコート層形成用樹脂として、熱硬化性樹脂を用いた場合、オーブンや赤外線を用いて、通常、50〜180℃の温度で、1〜120分の加熱時間とすることが好ましい。
1.漆模様ガラス容器の製造
(1)第1工程
まず、図1に示すボトルネック型の円筒形のガラス容器(高さ100mm、直径40mm、ボトルネック部高さ30mm、ボトルネック部直径20mm)を準備した。
次いで、下記配合組成(A)〜(F)からなる塗料組成物(粘度:約8000mPa・sec)を、準備したガラス容器の表面に対して、複数のスプレー装置を用いて、所定量スプレー塗布した。
(塗料組成物)
(A)生漆 :100重量部
(B)ポリオール化合物(ポリエステルポリオール) :300重量部
(C)イソシアネート反応型アルキッド樹脂 :250重量部
(水酸基価:60mgKOH/g)
(D)イソシアネート化合物(トリレンジイソシアネート) :500重量部
(E)シランカップリング剤 :5重量部
(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、以下、TYP1)
(F)シンナー(トルエン) :800重量部
次いで、塗布した塗料組成物を加熱硬化させることによって、漆塗膜を形成した。すなわち、加熱炉を用い、100℃、60分の条件で、加熱硬化させ、ガラス容器の表面に、厚さ20μmの漆塗膜を直接的に形成し、漆模様ガラス容器とした。
得られた漆模様ガラス容器につき、以下のようにして、漆塗膜の形成性、密着性、硬度性、および表面装飾性について評価を行った。それぞれ得られた結果を表1に示す。
得られた漆模様ガラス容器における漆塗膜の性状を目視観察し、以下の基準に準じて、漆塗膜の形成性を評価した。
◎:フクレや凹凸は観察されず、全体的に漆塗膜が均一な厚さに形成されている。
○:わずかなフクレや凹凸があるものの、全体的には漆塗膜が均一な厚さに形成されている。
△:フクレや凹凸が少々あるものの、漆塗膜が大まかには均一な厚さに形成されている。
×:フクレや凹凸が顕著にあって、漆塗膜が均一な厚さに形成されていない。
得られたガラス容器につき、JIS K 5600に基づいた碁盤目テ−プ法を実施し、100碁盤目あたりの漆塗膜のはがれ数から、下記基準に照らして密着性を評価した。
◎:はがれ数が0個/100碁盤目以下である。
○:はがれ数が3個以下/100碁盤目である。
△:はがれ数が10個以下/100碁盤目である。
×:はがれ数が10個超/100碁盤目である。
得られたガラス容器につき、JIS K 5400に基づいた鉛筆硬度を測定し、下記基準に照らして硬度性を評価した。
◎:硬度が3H以上である。
○:硬度が2H以上である。
△:硬度がH以上である。
×:硬度がH未満である。
得られたガラス容器につき、漆塗膜の上方に、エポキシ系接着剤を介して、厚さ100nmの所定幅の金箔文字を、ホットスタンプ印刷し、下記基準に照らして表面装飾性を評価した。
◎:所定幅が0.1mm以下であっても、均一かつ強固に転写することができる。
○:所定幅が0.5mm以下であっても、均一かつ強固に転写することができる。
△:所定幅が1mm以下であっても、均一かつ強固に転写することができる。
×:所定幅が1mm以下であっても、均一かつ強固に転写することができない。
得られたガラス容器につき、ロ紙(東洋濾紙製、No5)の粗面を用い、4ポンド/cm2の押圧下、複数回往復運動させた後、漆塗膜の外観変化を観察し、下記基準に照らして耐摩耗性を評価した。
◎:50回以上、往復運動させても、傷発生が観察されない。
○:20回以上、往復運動させても、傷発生が観察されない。
△:10回以上、往復運動させても、傷発生が観察されない。
×:10回未満の往復運動で、傷発生が観察される。
得られたガラス容器につき、指触した後、漆塗膜の外観を観察し、下記基準に照らして指紋隠ぺい性を評価した。
◎:指紋跡が全く観察されない。
○:指紋跡がほとんど観察されない。
△:指紋跡が少々観察される。
×:顕著な指紋跡が観察される。
実施例2〜4においては、塗料組成物中のシランカップリング剤(E)およびイソシアネート反応型アルキッド樹脂(C)の配合量を、表1に示すように変更したほかは、それぞれ実施例1と同様に、漆模様ガラス容器を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例5〜7においては、塗料組成物中のシランカップリング剤(E)の種類を、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(TYP2)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(TYP3)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(TYP4)としたほかは、それぞれ実施例1と同様に、漆模様ガラス容器を製造し、評価した。それぞれ得られた結果を表1に示す。
比較例1においては、塗料組成物中のシランカップリング剤(E)の配合量を、生漆100重量部に対して、0重量部、すなわち、配合しなかったほかは、実施例1と同様に、漆模様ガラス容器を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
評価2:密着性
評価3:硬度性
評価4:表面装飾性
評価5:耐擦傷性
評価6:指紋隠ぺい性
実施例8〜11においては、塗料組成物中のポリオール化合物(B)とイソシアネート化合物(D)の配合量を、表2に示すように変更したほかは、それぞれ実施例1と同様に、漆模様ガラス容器を製造し、評価した。それぞれ得られた結果を表2に示す。
実施例12〜13においては、塗料組成物中に、艶消し剤(G)としてのシリカ粒子を、生漆100重量部に対して、0.5重量部、3重量部としたほかは、それぞれ実施例1と同様に、漆模様ガラス容器を製造し、評価した。それぞれ得られた結果を表2に示す。
比較例2〜3においては、塗料組成物中のポリオール化合物(B)とイソシアネート化合物(D)の配合量を、表2に示すように変更したほかは、それぞれ実施例1と同様に、漆模様ガラス容器を製造し、評価した。それぞれ得られた結果を表2に示す。
評価2:密着性
評価3:硬度性
評価4:表面装飾性
評価5:耐擦傷性
評価6:指紋隠ぺい性
また、本発明の漆模様ガラス容器の製造方法によれば、ガラス容器の表面に、所定の漆を含有した塗料組成物からなる漆塗膜を設けることによって、密着性、装飾性、強靭性、硬度性、および指紋隠ぺい性等に優れた漆模様ガラス容器が効率的に得られるようになった。
12:漆塗膜(第1の装飾層)
14:ガラス容器
14a:ネジ口
14b:胴部
16:表面処理層(シランカップリング剤処理層)
18:表面処理層(ケイ酸化炎処理層)
20:オーバーコート層
22:第2の装飾層
Claims (8)
- 漆塗膜を備えた漆模様ガラス容器であって、
前記漆塗膜が、
生漆100重量部に対して、
ポリオール化合物を100〜1000重量部の範囲内の値、
イソシアネート化合物を100〜900重量部の範囲内の値、
シランカップリング剤を1〜20重量部の範囲内の値、
でそれぞれ配合してなる塗料組成物の熱硬化物であることを特徴とする漆模様ガラス容器。 - アルキッド樹脂をさらに含むとともに、当該アルキッド樹脂の配合量を、前記生漆100重量部に対して、10〜800重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の漆模様ガラス容器。
- 前記イソシアネート化合物が、トリレンジイソシアネート系化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の漆模様ガラス容器。
- 前記シランカップリング剤が、エポキシシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の漆模様ガラス容器。
- 前記漆塗膜の表面に、接着剤を介して間接的に、あるいは、接着剤を介さず直接的に、金属箔層が形成してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の漆模様ガラス容器。
- 前記塗料組成物が、艶消し剤をさらに含み、前記生漆100重量部に対して、当該艶消し剤の配合量を1.0〜400重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の漆模様ガラス容器。
- 漆塗膜を備えてなる漆模様ガラス容器の製造方法であって、
(A)生漆100重量部に対して、(B)ポリオール化合物を100〜1000重量部の範囲内の値、(C)イソシアネート化合物を100〜900重量部の範囲内の値、(D)シランカップリング剤を1〜20重量部の範囲内の値、でそれぞれ配合してなる塗料組成物を準備する工程と、
前記塗料組成物を、ガラス容器に対して、スプレー塗装または静電塗装する工程と、
前記塗料組成物を200℃以下で加熱硬化させ、漆塗膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする漆模様ガラス容器の製造方法。 - 前記漆塗膜の上に、接着剤を介して、金属箔層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の漆模様ガラス容器の製造方法。
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