JP2014103833A - ブラシモータ及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動が低減されたブラシモータ及び電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】ブラシモータ及び電動パワーステアリング装置において、隙間寸法αは、開口部18Fにおけるブラシ4とブラシホルダ18との間の間隔である。隙間寸法βは、ピグテール6とスリット18Hとの間隔である。寸法Lは、ブラシホルダ18の内部空間で整流子に対向する底部の中央位置MFから開口端部18cまでの長さである。寸法lは、中央位置MFからスリット18Hのスリット端部18Eに最も近いピグテール6の表面までの長さである。そして、隙間寸法α、隙間寸法β、寸法L及び寸法lは所定の関係を満たす。
【選択図】図8
【解決手段】ブラシモータ及び電動パワーステアリング装置において、隙間寸法αは、開口部18Fにおけるブラシ4とブラシホルダ18との間の間隔である。隙間寸法βは、ピグテール6とスリット18Hとの間隔である。寸法Lは、ブラシホルダ18の内部空間で整流子に対向する底部の中央位置MFから開口端部18cまでの長さである。寸法lは、中央位置MFからスリット18Hのスリット端部18Eに最も近いピグテール6の表面までの長さである。そして、隙間寸法α、隙間寸法β、寸法L及び寸法lは所定の関係を満たす。
【選択図】図8
Description
本発明は、ブラシモータの構造、特に、ブラシモータのブラシに関する。また、本発明は、ブラシモータが搭載された電動パワーステアリング装置に関する。
ブラシモータは、整流子にブラシを当接させてコイルに通電し、電磁力により回転子を回転させるものである。一般に、ブラシは角柱状であり、ブラシの長手方向が、整流子の回転軸方向と平行に配置されている。このブラシの配置は、電機子コイルに多くの電流を流すのに有利なためである。
特許文献1に記載の技術には、各ピグテールの他端部と接続された導体の各接続部及びブラシが、ベースの中心点を通り径方向に延びた中心線の線対称位置に配置されており、各ブラシ間のブラシ音のばらつき及びブラシ音の低減を可能にすると記載されている。
ところでブラシモータは、通電及び整流子との摩擦により、ブラシが発熱する。このため、ブラシホルダは、ブラシの発熱による膨張を考慮してブラシとの間にある隙間の隙間寸法が設定されている。そのため、回転子が回転を始めるとき、又は回転子の回転方向が変化するときに、ブラシと整流子との間の摩擦力でブラシホルダの内部でブラシが移動し、ブラシがブラシホルダを叩くため、作動音(叩き音)及び振動が発生する。この作動音及び振動は、静粛性が求められる場所においては低減されることが望まれる。また、近年ブラシモータは、パワーステアリング装置に適用されている。パワーステアリング装置は、車両のステアリングホイールの操舵により回転子の回転方向が変化することが多く、ドライバーは操舵に伴う音に敏感なため、ブラシがブラシホルダを叩く作動音を低減する必要がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動が低減されたブラシモータ及び電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、ブラシモータは、整流子とコアとを含む回転子と、前記整流子の半径方向と直交するように、かつ前記整流子の周方向に向かって配置されている複数のブラシと、前記複数のブラシを前記整流子の半径方向に向かってそれぞれ開口する開口部に収納する複数のブラシホルダと、前記整流子の回転軸方向における前記ブラシホルダの側面のスリットを貫通して、前記ブラシの側面にそれぞれ接続される導体のピグテールと、を含み、前記開口部における前記ブラシと前記ブラシホルダとの間の間隔としての隙間寸法をαとし、前記ピグテールと前記スリットとの間隔としての隙間寸法をβとし、前記整流子に対向する前記ブラシホルダの底部の中央位置から前記開口部までの寸法をLとし、前記中央位置から前記スリットの端部に最も近い前記ピグテールの表面までの寸法をlとしたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
1>(β/α)×(L/l) ・・・(1)
1>(β/α)×(L/l) ・・・(1)
この構造により、ピグテールがブラシの動きを制約することができる。このため、ブラシとブラシホルダの隙間は従来よりも狭くする必要がなく、ブラシの組み立て挿入性又はブラシと整流子との追従性を損なうことがない。その結果、ブラシモータは、ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動を低減することができる。
本発明の望ましい態様として、前記回転子が回転を始めるとき又は前記回転子の回転方向が変化するときに、前記ブラシと前記開口部とが接触する前に前記ピグテールと前記スリットとが接触することが好ましい。
これにより、ブラシがブラシホルダを叩く前に、ピグテールがブラシの動きを制約する。その結果、ブラシモータは、ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動を低減することができる。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、ブラシモータは、整流子とコアとを含む回転子と、前記整流子の半径方向と直交するように、かつ前記整流子の周方向に向かって配置されている複数のブラシと、前記複数のブラシを前記整流子の半径方向に向かってそれぞれ開口する開口部に収納する複数のブラシホルダと、前記整流子の回転軸方向における前記ブラシホルダの側面のスリットを貫通して、前記ブラシの側面にそれぞれ接続される導体のピグテールと、を含み、前記回転子が回転を始めるとき又は前記回転子の回転方向が変化するときに、前記ブラシと前記開口部とが接触する前に前記ピグテールと前記スリットとが接触することを特徴とする。
この構造により、ブラシがブラシホルダを叩く前に、ピグテールがブラシの動きを制約する。その結果、ブラシモータは、ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動を低減することができる。
本発明の望ましい態様として、前記ブラシは、前記ブラシホルダの内部に挿入されている前記整流子の周方向の側面に、前記整流子と対向する側に向けて細くなる段部を備えることが好ましい。
この構造により、開口部におけるブラシとブラシホルダとの間の間隔の隙間寸法が広がり、ピグテールがブラシの動きを制約する。このため、ブラシとブラシホルダの隙間は従来よりも狭くする必要がなく、ブラシの組み立て挿入性又はブラシと整流子との追従性を損なうことがない。その結果、ブラシモータは、ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動を低減することができる。
本発明の望ましい態様として、前記ブラシは、前記段部よりも前記整流子と対向する側に前記ピグテールが固定されていることが好ましい。
この構造により、ピグテールが整流子寄りとなり、ピグテールがブラシの動きを制約する。このため、ブラシとブラシホルダの隙間は従来よりも狭くする必要がなく、ブラシの組み立て挿入性又はブラシと整流子との追従性を損なうことがない。その結果、ブラシモータは、ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動を低減することができる。
本発明の望ましい態様として、前記ブラシは、前記ブラシホルダの内部に挿入されている前記整流子の周方向の側面に、前記整流子と対向する側に向けて細くなる傾斜面のテーパー部を備えることが好ましい。
この構造により、開口部におけるブラシとブラシホルダとの間の間隔の隙間寸法が広がり、ピグテールがブラシの動きを制約する。このため、ブラシとブラシホルダの隙間は従来よりも狭くする必要がなく、ブラシの組み立て挿入性又はブラシと整流子との追従性を損なうことがない。その結果、ブラシモータは、ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動を低減することができる。
本発明の望ましい態様として、前記ブラシは、前記整流子と対向する側に向けて細くなる前記テーパー部の開始位置よりも、前記整流子と対向する側に前記ピグテールが固定されていることが好ましい。
この構造により、ピグテールが整流子寄りとなり、ピグテールがブラシの動きを制約する。このため、ブラシとブラシホルダの隙間は従来よりも狭くする必要がなく、ブラシの組み立て挿入性又はブラシと整流子との追従性を損なうことがない。その結果、ブラシモータは、ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動を低減することができる。
本発明の望ましい態様として、前記複数のブラシを支持するバネを前記ブラシホルダの底部に備えることが好ましい。
この構造により、ブラシホルダからブラシが出る方向の力が付勢され、整流子に押し付けることができる。そして、整流子に対向するブラシホルダの底部の中央位置が、バネの弾性力の支点となり、整流子の周方向にブラシが揺動しても、ブラシと整流子との追従性を損なうことがない。
本発明の望ましい態様として、前記ピグテールは、少なくとも前記スリットの端部に対向する表面に補強部材を備えることが好ましい。
この構造により、ピグテールがスリットの端部に当接しても、ピグテールの導体の断線の可能性を低減することができる。このため、ブラシがブラシホルダを叩く前に、ピグテールがブラシの動きを制約しても、通電の信頼性を確保することができる。その結果、ブラシモータは、ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動を低減することができる。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、電動パワーステアリング装置は、前記ブラシモータにより補助操舵トルクを得ることを特徴とする。
この構造により、ピグテールがブラシの動きを制約することができる。このため、ブラシとブラシホルダの隙間は従来よりも狭くする必要がなく、ブラシの組み立て挿入性又はブラシと整流子との追従性を損なうことがない。その結果、ブラシモータは、ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動を低減することができる。これにより、振動及び作動音が低減された電動パワーステアリング装置が提供される。
本発明によれば、ブラシがブラシホルダを叩く作動音及び振動が低減されたブラシモータ及び電動パワーステアリング装置を提供することができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための形態(以下、実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るブラシモータを備える電動パワーステアリングの構成図である。まず、図1を用いて、本実施形態に係るブラシモータを備える電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering)の概要を説明する。図1に示すように、電動パワーステアリング装置100は、ステアリングホイール101の操作によりステアリングシャフト102に発生する操舵トルクをトルク検出手段であるトルクセンサ110で検出し、その検出信号に基づいて、ECU(Electric Control Unit)50がブラシモータ(以下、必要に応じてモータという)1を駆動制御して補助操舵トルクを発生させて、ステアリングホイール101の操舵力を補助する。なお、車速センサは、車両に備えられ、CAN(Controller Area Network)通信により車速信号をECU50に入力する。
図1は、実施形態1に係るブラシモータを備える電動パワーステアリングの構成図である。まず、図1を用いて、本実施形態に係るブラシモータを備える電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering)の概要を説明する。図1に示すように、電動パワーステアリング装置100は、ステアリングホイール101の操作によりステアリングシャフト102に発生する操舵トルクをトルク検出手段であるトルクセンサ110で検出し、その検出信号に基づいて、ECU(Electric Control Unit)50がブラシモータ(以下、必要に応じてモータという)1を駆動制御して補助操舵トルクを発生させて、ステアリングホイール101の操舵力を補助する。なお、車速センサは、車両に備えられ、CAN(Controller Area Network)通信により車速信号をECU50に入力する。
本実施形態に係るブラシモータ1を備える電動パワーステアリング装置100は、ブラシモータ1とECU50とが直接接続されて一体となっている、機電一体型の装置である。しかし、本実施形態に係るブラシモータ1は、ブラシモータとECUとが別体であり機電一体型ではない電動パワーステアリング装置にも適用することができる。
ステアリングホイール101に連結されたステアリングシャフト102は、運転者の操舵力が入力される入力軸102aと、入力された操舵力を出力する出力軸102bとを有する。本実施形態において、入力軸102a及び出力軸102bは、鉄等の磁性材料から形成されている。入力軸102aと出力軸102bとの間には、トルクセンサ110及び減速装置111が設けられる。
ステアリングシャフト102の出力軸102bに伝達された運転者の操舵力は、操舵機構に伝達される。具体的には、出力軸102bに伝達された運転者の操舵力は、ユニバーサルジョイント104を介してロアシャフト105に伝達され、さらにユニバーサルジョイント106を介してピニオンシャフト107に伝達される。ピニオンシャフト107に伝達された前記操舵力は、ステアリングギヤ108を介してタイロッド109に伝達され、操舵輪を転舵させる。
ステアリングギヤ108は、ピニオンシャフト107に連結されたピニオン108aと、ピニオン108aに噛み合うラック108bとを有するラックアンドピニオン形式として構成される。このようなステアリングギヤ108によって、ピニオン108aに伝達された回転運動をラック108bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト102の出力軸102bには、補助操舵トルクを出力軸102bに伝達する補助操舵機構103が連結されている。補助操舵機構103は、出力軸102bに連結された減速装置111と、減速装置111に連結されかつ補助操舵トルクを発生させるブラシモータ1とを備えている。なお、ステアリングシャフト102及びトルクセンサ110及び減速装置111によりステアリングコラムが構成されており、ブラシモータ1は、前記ステアリングコラムの出力軸102bに補助操舵トルクを与える。すなわち、本実施形態における電動パワーステアリング装置100は、コラムアシスト方式となっている。
トルクセンサ110は、ステアリングホイール101を介して入力軸102aに伝達された運転者の操舵力を操舵トルクとして検出するものである。ブラシモータ1の駆動を制御するECU50には、電源(例えば車載のバッテリ)115から電力が供給される。
図2は、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置が備える減速装置の一例を説明する正面図である。図2は、一部を断面として示してある。減速装置111はウォーム減速装置である。ブラシモータ1の軸12にスプライン結合したウォーム121は、玉軸受122と、ホルダ125に保持された玉軸受123とで回転自在に減速装置ハウジング120に保持されている。ウォーム121の一部に形成されたウォーム歯121aは、減速装置ハウジング120に回転自在に保持されたウォームホイール124に形成されているウォームホイール歯124aに噛み合っている。ブラシモータ1の回転力は、ウォーム121を介してウォームホイール124に伝達され、ウォームホイール124を回転させる。ウォーム121及びウォームホイール124によって、ブラシモータ1のトルクが増加され、図1に示すステアリングコラムの出力軸102bに補助操舵トルクが与えられる。次に、ブラシモータ1の構成を説明する。
図3は、実施形態1に係るモータの側面図である。図4は、図3のA−A断面の矢視図である。図4に示すように、ブラシモータ1は、整流子(コンミテータ)3とコア13とを含む回転子2と、複数のブラシ4と、複数のブラシ4をそれぞれ保持する複数のブラシ保持手段5と、複数のブラシ4にそれぞれ接続される導体のピグテール6(導線)と、を備えている。図5は、実施形態1に係るブラシモータのブラシの配置を説明する概略図である。また、図5では整流子3を省いた状態のブラシモータ1のブラシ保持手段5を記載してある。
回転子2とブラシ4とは、磁性材料で形成された略円筒形のハウジング7内に収められている。なお、回転子2は、整流子3と、コア13と、コイル14とを備えている。ハウジング7の一端には、この端部を閉塞するようにハウジング7と一体に底部7aが設けられている。底部7aに対して反対側の一端には、開口部が設けられている。この開口部は、フランジ8により閉塞される。なお、回転子2を形成する磁性材料としては、例えばSPCC(Steel Plate Cold Commercial)等の一般的な鋼材や、電磁軟鉄等が適用できる。
ハウジング7の内側面には、ハウジング7の内部に収納された回転子2のコア13に対向するように、4個のマグネット9が互いに極性を逆にして配置され、マグネットホルダ10により固定されている。4個のマグネット9の表面にはマグネット飛散防止カバー11が取り付けられる。マグネット飛散防止カバー11は、4個のマグネット9を押さえることにより、4個のマグネット9の万一の飛散を防止する。
回転子2は、軸12によって中心を貫かれている。回転子2は、軸12と固定されている。回転子2のコア13部分は、複数のスロット(溝)を有する。コイル14は、前記スロットに巻回されている。コア13は、磁性材料を用いて形成される。コア13は、例えば、磁性材料としてケイ素鋼板を用い、これを積層して形成される。整流子3は、絶縁体で形成された円柱状の絶縁部の側面に、導電体で形成された複数の導電部15が等間隔で平行に配置されているものである。コイル14の一端は、1つの導電部15に接続されており、他端は別の導電部15に接続されている。整流子3も、軸12によって中心を貫かれている。
ハウジング7の内側であって、フランジ8の略中央部分には軸受16が、底部7aの略中央部分には軸受17が、それぞれ設けられている。軸受16は、ハウジング7の内側に配置された軸12の一端を回転可能に支持し、軸受17は、軸12の他端を回転可能に支持している。軸12の回転軸は、図4に示すZrであり、軸12の中心軸に相当する。以下、軸12の回転軸及び中心軸をZrで表す。なお、軸12は、軸受16、17に支持されるので、軸受16、17の回転軸もZrとなる。また、軸12によって中心を貫かれている回転子2及び整流子3の回転軸もZrとなる。軸12には、ジョイント21が取り付けられ、ジョイント21に減速装置111のウォーム121がスプライン結合される。なお、軸12とウォーム121は弾性カップリングであってもよい。
実施形態1に係るブラシ4は略角柱、好ましくは四角柱状の形状である。ブラシ4の長手方向が、整流子3の回転軸Zr方向と平行に配置されて、ブラシ4の特定の面で整流子3と対向し、ブラシ4が整流子3と接する。このため、ブラシ4から整流子3へ、安定して電力を供給することができ、また、ブラシ4の摩耗状態も容易に予測できる。
ブラシ保持手段5は、ブラシホルダ18と、基板19とを備えている。ブラシ4は、接触抵抗が小さく機械的衝撃に耐えられる材料により構成される。例えば、ブラシ4は、黒鉛により構成される。ブラシ4は、底部を有する角筒状のブラシホルダ18の内部に摺動可能に収められている。ブラシホルダ18は、金属製であって、ブラシ4を整流子3の半径方向に向かって開口する、後述する開口部に収納するケースであり、ブラシ4の一部が前記開口部から突出した状態で保持する。そして、図5に示すように、ブラシホルダ18は、絶縁体で形成された基板19に固定部18aで固定されている。
図4に示すように、ブラシ4は、ブラシホルダ18の内側にある底部に設置されたバネ20によって整流子3へ向かう力、すなわち、ブラシホルダ18からブラシ4が出る方向の力が付勢され、整流子3に押し付けられる。バネ20として、つる巻バネを図示しているが、バネ20は板バネやその他の弾性体であってもよい。ブラシ4とブラシホルダ18とは、固定されておらず、ブラシ4がブラシホルダ18との間で摺動できるようにブラシ4とブラシホルダ18との間には間隔が設けられている。基板19は、フランジ8に固定され、軸12と直交するようにハウジング7内に収納される。したがって、基板19に固定されたブラシホルダ18に収められたブラシ4は、基板19と平行な面が軸12と直交する。
ブラシ4には、ピグテール6(導線)が電気的に接続されており、ピグテール6は、さらに基板19に埋設されたバスバーを経由して、電力供給部材22と電気的に接続される。なお、電力供給部材22は、ECU50の端子と接続され、ECU50により制御された電流値の電力をECU50から直接供給される。ブラシ4とピグテール6(導線)との接続のための固定の形態については後で詳しく説明する。
ブラシ4にピグテール6を通じてECU50から供給された電流は、ブラシ4と接触する整流子3の導電部15を通ってコイル14を流れ、整流子3の別の導電部15に至り、別のブラシ4に流入する。コイル14を電流が流れることによって磁界が発生し、この磁界と、マグネット9の磁界との相互作用により回転子2が回転する。
次に、ブラシ4の配置について図5及び図6を用いて詳しく述べる。図6は、実施形態1に係るブラシモータのブラシとブラシホルダを説明する模式図である。また、図6ではブラシ4とブラシホルダ18が分解された状態のブラシモータ1を記載してある。
図5に示すように、ブラシ4は、回転軸Zrの周囲であって、整流子3の整流子表面3Hに当接するように、整流子表面3H(整流子3)の周方向に4つ均等に配置されている。これにより、ブラシ4は、互いに回転軸Zrを挟んで点対象の位置に配置されている。このため、4個のブラシ4が整流子3の整流子表面3Hを押圧する力のバランスが均一となり、ブラシ4と整流子3との接触によって生じるブラシ音のばらつきが低減される。なお、本実施形態のブラシ4は4個であるが、図6には、3個を省略してそのうちの1個のみを記載している。ブラシ4の個数は4個に限定されるものではない。
ピグテール6は、ブラシ4の側面のうち整流子3の回転軸Zr側に向く面に固定されている。つまり、ピグテール6は、略角柱、好ましくは四角柱状の形状であるブラシ4の側面のうち上述したコア13を向く面(ハウジング7の底部7aを向く面)と反対側の面に、固定されている。
ここで、整流子3の半径方向Rとは、整流子3の回転中心(回転軸Zr)を通り、かつ前記回転中心と直交する方向である。実施形態1において、半径方向Rは、整流子3の回転中心を通り、かつブラシホルダ18に対向するブラシ4の辺の中点Mを貫く方向となる。
ブラシホルダ18は、整流子3の半径方向Rに向かってそれぞれ開口する開口部を有し、この開口部からブラシ4を収納する。このため、ブラシ4の周方向幅BLは、ブラシホルダ18の内部空間の周方向の幅CLよりも小さい。ブラシモータ1は、ブラシ4への通電及び整流子3との摩擦により、ブラシ4が発熱する。このため、ブラシホルダ18の内部空間の周方向の幅CLは、ブラシ4の発熱による膨張を考慮して、ブラシ4との間にある隙間の隙間寸法を設定している。また、ブラシホルダ18にブラシ4を収納する組み立ての作業性、ブラシホルダ18内をブラシ4が移動するスライド性を考慮すると、ブラシホルダ18とブラシ4との間にある隙間の隙間寸法は、0にすることができない。
ブラシ4の周方向幅BLは、整流子3の半径方向Rと直交する平面を切ったブラシ4の断面と、整流子3の回転軸Zr方向と直交する平面との交線の長さ寸法である。ブラシホルダ18の内部空間の周方向の幅CLは、整流子3の半径方向Rと直交する平面を切ったブラシホルダ18の内部空間の断面と、整流子3の回転軸Zr方向と直交する平面との交線の長さ寸法である。
また、ブラシホルダ18は、ブラシ4を収納する場合、ピグテール6を通すスリット18Hが、整流子3の回転軸Zr側に向く面に設けられている。このように、ピグテール6がブラシ4の側面のうち整流子3の周方向側に向く面に固定されている場合と比較して、ピグテール6がブラシ4の側面のうち整流子3の回転軸Zr側に向く面に固定されていると、後述する整流子3の時計方向CW又は反時計方向CCWでブラシ4と整流子3とが接触する当接状態の変化を低減できる。その結果、ブラシ4と整流子3との接触によって生じるブラシ音のばらつきが小さくなり、整流子3の回転に伴う振動が小さくなる。
ブラシ4は、ブラシホルダ18の内側にある底部に設置されたバネ20によって整流子3へ向かう力、ブラシホルダ18からブラシ4が出る方向の力が付勢され、整流子3に押し付けられる。ブラシホルダ18は、スリット18Hを備えているので、ピグテール6の位置が整流子3の半径方向Rに沿って移動することが可能であり、ブラシ4が摩耗してピグテール6の位置が変化しても継続して通電可能にしている。このため、ピグテール6の移動を考慮して、スリット18Hと、ピグテール6との間には、隙間が必要になる。
バネ20は、ブラシ4を押圧するとともに、ブラシホルダ18内でブラシ4が中立姿勢を保つように支持する。このため、バネ20は、整流子3に対向するブラシホルダ18の底部の中央位置(後述する中央位置MF)が弾性力の支点となる。
図7は、実施形態1に係るブラシモータのブラシの配置を示す模式図である。図8は、実施形態1に係るブラシモータのブラシの形状及びブラシホルダ内におけるブラシの配置を示す模式図である。図9は、実施形態1に係るブラシモータのピグテールと、ブラシホルダのスリットの配置を説明する模式図である。図10は、比較例に係るブラシモータのブラシの形状及びブラシホルダ内におけるブラシの配置を示す模式図である。
図7は、整流子3側からみたブラシモータ1の部分図である。図7では、ブラシホルダ18は点線で示してある。ブラシ4は、整流子3の周方向に向かって配置されており、対向するブラシ4同士は、中心Cを対称点とした点対称となるように形成され、配置されている。ここで、中心Cとは、整流子3の回転軸Zrがブラシ保持手段5を構成する基板19の板面のうちブラシホルダ18を据え付ける面と交わる点を指す。隣り合うブラシ4同士は、中心Cを中心として中心角π/2radの間隔で配置されている。
上述した回転子2を回転させ、図7に示すブラシ4に接触している整流子3を回転させた場合に、ブラシ4の慣性力、及びブラシ4と整流子3との間の摩擦力により、ブラシ4と整流子3との接触部分を中心としてブラシ4をブラシホルダ18内で移動させようとする力がブラシ4に働く。そして、整流子3が時計方向CW又は反時計方向CCWに回転方向が変化することで、ブラシ4と、ブラシホルダ18の開口端部18cとが接触する可能性が高まる。例えば、図10に示す比較例に係るブラシモータでは、図7に示すブラシホルダ18内でブラシ4が移動し、ブラシ4がブラシホルダ18の開口端部18cを叩いた場合に発生する作動音(叩き音)が生じる可能性がある。
図8及び図10に示すように、比較例に係るブラシモータと、実施形態1に係るブラシモータ1とは、整流子3の半径方向Rでの、ピグテール6の固定位置が異なる。図10に示す比較例に係るブラシモータを説明し、その後、図8及び図9に示す実施形態1に係るブラシモータ1について説明する。なお、比較例に係るブラシモータと、実施形態1に係るブラシモータ1とで、同じ構成要素には同じ符号を付し、同じ符号を付した構成要素の説明は省略する。
ブラシホルダ18は、整流子3の半径方向Rに向かって開口する開口部18Fから、ブラシ4の一部が突出している。そこで、開口部18Fにおけるブラシ4とブラシホルダ18の開口側面4pとの間の間隔の隙間寸法をαとすると、隙間寸法αは下記式(2)で示される。
α=(CL−BL)/2 ・・・(2)
上述したスリット18Hは、ピグテール6を突出させている。そこで、スリット18Hにおける周方向に対向するスリット端部18Eと、ピグテール6との間の間隔の隙間寸法をβとすると、隙間寸法βは下記式(3)で示される。ここで、スリット18Hのスリット幅は、周方向に対向するスリット端部18E間の寸法として、HLとし、ピグテール6の周方向の最大の幅を周方向幅PLとする。
β=(HL−PL)/2 ・・・(3)
図10に示すように、バネ20は、整流子3に対向するブラシホルダ18の底部の中央位置MFが弾性力の支点となる。このため、整流子3が時計方向CW又は反時計方向CCWに回転方向が変化することで、ブラシ4がブラシホルダ18の内部で中央位置MFを中心に振り子のように揺動する。同様に、ピグテール6もスリット18Hのスリット幅HLの範囲で中央位置MFを中心に振り子のように揺動する。
ブラシホルダ18の開口端部18cと、ブラシホルダ18の底部における中央位置MFとの長さ(寸法)をLとしたとき、ブラシ4が隙間寸法αを揺動してブラシホルダ18の開口端部18cまで揺動する最大の角度θαは、下記式(4)で近似される。
θα=arctan(α/L) ・・・(4)
スリット18Hのスリット端部18Eに最も近いピグテール6の外周の表面と、ブラシホルダ18の底部における中央位置MFとの長さ(寸法)をlとしたとき、ピグテール6が隙間寸法βを揺動してスリット端部18Eまで揺動する最大の角度θβは、下記式(5)で近似される。
θβ=arctan(β/l) ・・・(5)
特許文献1に記載のような、図10に示す比較例のブラシモータは、ブラシホルダ18にブラシ4を収納する組み立ての作業性を考慮して、隙間寸法αと、隙間寸法βを同程度にすることが多い。この場合、図10に示す比較例のブラシモータでは、θα<θβとなる可能性が高く、ブラシ4がブラシホルダ18の開口端部18cを叩くため、作動音(叩き音)及び振動が発生する可能性がある。
このため、図8に示す実施形態1に係るブラシモータ1は、隙間寸法α、隙間寸法βと、長さ寸法L及び長さ寸法lが下記式(6)に示す関係を満たしている。その結果、実施形態1に係るブラシモータ1は、上述した回転子2が回転を始めるとき、又は回転子2の回転方向が変化するときに、ブラシ4とブラシホルダ18の開口端部18cとが接触する前にピグテール6とスリット端部18Eとが接触する。これにより、実施形態1に係るブラシモータ1は、ブラシ4がブラシホルダ18の開口端部18cを叩く可能性を低減し、作動音(叩き音)及び振動を抑制することができる。
(β/L)<(α/l) ・・・(6)
上述したように、隙間寸法α、βの寸法を大きく変更するよりは、長さ寸法L、lを変更した方が、組み立ての作業性を考慮した設計自由度を高めることができる。図8に示すように、実施形態1に係るブラシモータ1は、比較例に示すブラシモータに比べ、ピグテール6が、ブラシ4における整流子3の半径方向Rで整流子3側となるように配置されている。これにより、長さ寸法lが長くなる。
これにより、図8に示す実施形態1に係るブラシモータ1は、隙間寸法α、隙間寸法βと、長さ寸法L及び長さ寸法lが下記式(7)に示す満たすことができる。
1>(β/α)×(L/l) ・・・(7)
以上説明したように、実施形態1に係るブラシモータ1及び電動パワーステアリング装置100において、隙間寸法αは、開口部18Fにおけるブラシ4とブラシホルダ18との間の間隔である。隙間寸法βは、ピグテール6とスリット18Hとの間隔である。寸法Lは、ブラシホルダ18の内部空間で整流子に対向する底部の中央位置MFから開口端部18cまでの長さである。寸法lは、中央位置MFからスリット18Hのスリット端部18Eに最も近いピグテール6の表面までの長さである。そして、隙間寸法α、隙間寸法β、寸法L及び寸法lは上述した式(7)の関係を満たす。その結果、図8及び図9に示す実施形態1に係るブラシモータ1は、θα>θβとなり、ブラシ4がブラシホルダ18の開口端部18cを叩く前に、ピグテール6がスリット端部18Eに当接する。このように、実施形態1に係るブラシモータ1は、上述した回転子2が回転を始めるとき、又は回転子2の回転方向が変化するときに、ブラシ4とブラシホルダ18の開口端部18cとが接触する前にピグテール6とスリット端部18Eとが接触する。ピグテール6は、可撓性の銅線、軟銅線、スズメッキ又はニッケルメッキされた銅線等の細線を芯線として束ねた導体であり、摩耗を考慮したブラシ4よりも柔軟性を有している。又は、ピグテール6は、可撓性の銅線、軟銅線、スズメッキ又はニッケルメッキされた銅線等の細線を芯線としてより合わせた導体であり、摩耗を考慮したブラシ4よりも柔軟性を有している。ピグテール6がスリット端部18Eに当接した音は、ブラシ4がブラシホルダ18の開口端部18cを叩くために生じる作動音(叩き音)よりも、音圧を下げ、振動を低減することができる。
ピグテール6は、導線を編み込んだ導電性の網線であることが望ましい。ピグテール6がスリット端部18Eに当接する可能性を考慮すると、ピグテール6は、導電性の網線にすることで、断線の可能性を低減することができる。
ピグテール6は、芯線の数を多くすることが望ましい。これにより、ピグテール6が硬くなり、ブラシ4の動きをより抑制することができる。
ブラシモータ1の作動音、振動が低減されるので、運転者が搭乗する車室内にあって静粛性が求められる電動パワーステアリング装置100にブラシモータ1を適用する場合、静粛性が確保できる。その結果、ブラシモータ1を電動パワーステアリング装置100に適用した場合には、車室内における作動音の低減が実現できる。ハンドル操作は、車両の方向を変更する場合のほか、路面状態に応じて車両の方向を一定にする場合にも行われる。したがって、電動パワーステアリング装置100にブラシモータ1を適用した場合におけるブラシモータ1の反転回数は多い。このため、叩き音が低減されることによって、電動パワーステアリング装置100の静粛性は大きく向上する。また、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置100は、コラムアシスト方式のように運転者が搭乗する車室内に配置される場合、静粛性は大きく向上する。
(ピグテール、スリットの配置の変形例)
図11は、実施形態1の変形例1に係るブラシモータのピグテールと、ブラシホルダのスリットの配置を説明する模式図である。図12は、実施形態1の変形例2に係るブラシモータのピグテールと、ブラシホルダのスリットの配置を説明する模式図である。図11及び図12に示すピグテール6以外の他の構成についてはブラシモータ1と同様であるため説明を省略する。
図11は、実施形態1の変形例1に係るブラシモータのピグテールと、ブラシホルダのスリットの配置を説明する模式図である。図12は、実施形態1の変形例2に係るブラシモータのピグテールと、ブラシホルダのスリットの配置を説明する模式図である。図11及び図12に示すピグテール6以外の他の構成についてはブラシモータ1と同様であるため説明を省略する。
ピグテール6がスリット端部18Eに当接する可能性を考慮すると、図11及び図12に示すようにピグテール6は、少なくともスリット18Hのスリット端部18Eに対向する表面に補強部材6Mを備えている。補強部材6Mは、図11に示すように、ピグテール6の周囲全部に備えられてもよい。また、図12に示すように、補強部材6Mは、ピグテール6の表面の一部に備えられてもよい。補強部材6Mは、ピグテール6がスリット端部18Eに当接しても、導体の断線の可能性を低減することができる。
補強部材6Mの材料として、ガラス繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS:polyphenylene sulfide)等の耐熱樹脂等を用いることができる。補強部材6Mの材料は、中空の円筒状とされて、チューブ又はスリーブの形状とされる。補強部材6Mの材料は、制振を発揮する形状に加工されていることが好ましい。制振を発揮する形状としては、例えばメッシュ状、表面が凹凸のリブ形状等があり、制振性に優れたものが挙げられる。補強部材6Mが制振を発揮する形状であることによって、ブラシ4の振動がさらに抑制される。その結果、整流子3の振動が抑制されるとともに、ブラシ保持手段5からハウジング7への振動の伝達が抑制され、ブラシモータ1の振動及び作動音がさらに低減される。
なお、実施形態1では、4個のブラシ4を備えたブラシモータ1を示してブラシ4の配置を説明したが、2個のブラシを備えたモータ、4個より多いブラシを備えたモータにも実施形態1のブラシ4の配置を適用することができる。
(実施形態2)
図13は、実施形態2に係るブラシモータのブラシの形状及びブラシホルダ内におけるブラシの配置を示す模式図である。なお、上述したものと同じ部材、構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図13は、実施形態2に係るブラシモータのブラシの形状及びブラシホルダ内におけるブラシの配置を示す模式図である。なお、上述したものと同じ部材、構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図13に示すように、ブラシ4は、ブラシホルダ18の内部に挿入されている整流子3の周方向の側面に、整流子3と対向する側に向けて細くなる段部4Qを備える。このため、ブラシ4は、整流子3と対向するブラシ4の面の面積が、バネ20と対向するブラシ4の面の面積よりも小さくなる。このように、ブラシ4は、整流子3の周方向の側面に段部4Qを備えることにより、整流子3寄りのブラシ先端部4Aと、バネ20寄りのブラシ基部4Bとを備えている。
図13に示すように、ブラシ4の第1の周方向幅BLは、ブラシ先端部4Aの周方向幅である。そして、ブラシ4の第1の周方向幅BLは、ブラシホルダ18の開口部18Fを含み、かつ整流子3の半径方向Rと直交する平面でのブラシ4の断面と、整流子3の回転軸Zr方向と直交する平面との交線の長さ寸法である。
図13に示すように、ブラシ4の第2の周方向幅BBは、ブラシ基部4Bの周方向幅である。そしてブラシ4の第2の周方向幅BBは、ブラシホルダ18の内部にあって、バネ20と対向するブラシ4の面と、整流子3の回転軸Zr方向と直交する平面との交線の長さ寸法である。
そこで、開口部18Fにおけるブラシ4とブラシホルダ18の開口側面4pとの間の間隔の隙間寸法をαとすると、隙間寸法αは下記式(8)で示される。
α=(CL−BL)/2 ・・・(8)
実施形態2に係るブラシモータ1のブラシの形状は、第1の周方向幅BLが第2の周方向幅BBよりも小さくなる。その結果、実施形態2に係るブラシモータ1は、実施形態1に係るブラシモータ1よりも、隙間寸法αを大きくしやすくなる。これにより、図13に示す実施形態2に係るブラシモータ1は、下記式(9)に示す関係に、隙間寸法α、βと、長さ寸法L、lを設定することができる。
1>(β/α)×(L/l) ・・・(9)
その結果、図13に示す実施形態1に係るブラシモータ1は、θα>θβとなる可能性が高く、ブラシ4がブラシホルダ18の開口端部18cを叩く前に、ピグテール6がスリット端部18Eに当接する。このように、実施形態2に係るブラシモータ1は、上述した回転子2が回転を始めるとき、又は回転子2の回転方向が変化するときに、ブラシ4とブラシホルダ18の開口端部18cとが接触する前にピグテール6とスリット端部18Eとが接触する。ピグテール6がスリット端部18Eに当接した音は、ブラシ4がブラシホルダ18の開口端部18cを叩くために生じる作動音(叩き音)よりも、音圧を下げ、振動を低減することができる。
実施形態2に係るブラシモータ1のブラシ4の形状は、整流子3と対向する側に向けて細くなる段部4Qよりも、整流子3と対向する側にピグテール6が固定されている。その結果、実施形態2に係るブラシモータ1は、実施形態1に係るブラシモータ1よりも、長さ寸法lを大きくしやすくなる。これにより、図13に示す実施形態2に係るブラシモータ1は、上記式(9)に示す関係に、隙間寸法α、βと、長さ寸法L、lを設定しやすくすることができる。
ブラシモータ1の作動音、振動が低減されるので、運転者が搭乗する車室内にあって静粛性が求められる電動パワーステアリング装置100にブラシモータ1を適用する場合、静粛性が確保できる。その結果、ブラシモータ1を電動パワーステアリング装置100に適用した場合には、車室内における作動音の低減が実現できる。
(実施形態3)
図14は、実施形態3に係るブラシモータのブラシの形状及びブラシホルダ内におけるブラシの配置を示す模式図である。なお、上述したものと同じ部材、構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図14は、実施形態3に係るブラシモータのブラシの形状及びブラシホルダ内におけるブラシの配置を示す模式図である。なお、上述したものと同じ部材、構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図14に示すように、ブラシ4は、ブラシホルダ18の内部に挿入されている整流子3の周方向の側面に、整流子3と対向する側に向けて細くなるテーパー部4Tを備える。このため、ブラシ4は、整流子3と対向するブラシ4の面の面積が、バネ20と対向するブラシ4の面の面積よりも小さくなるようになる。このように、ブラシ4は、整流子3の周方向の側面にテーパー部4Tを備えることにより、整流子3寄りのブラシ先端部4Aと、バネ20寄りのブラシ基部4Bとを備えている。
図14に示すように、ブラシ4の第1の周方向幅BLは、ブラシ先端部4Aの周方向幅である。そして、ブラシ4の第1の周方向幅BLは、ブラシホルダ18の開口部18Fを含み、かつ整流子3の半径方向Rと直交する平面でのブラシ4の断面と、整流子3の回転軸Zr方向と直交する平面との交線の長さ寸法である。
図14に示すように、ブラシ4の第2の周方向幅BBは、ブラシ基部4Bの周方向幅である。そしてブラシ4の第2の周方向幅BBは、ブラシホルダ18の内部にあって、バネ20と対向するブラシ4の面と、整流子3の回転軸Zr方向と直交する平面との交線の長さ寸法である。
そこで、開口部18Fにおけるブラシ4とブラシホルダ18の開口側面4pとの間の間隔の隙間寸法をαとすると、隙間寸法αは下記式(10)で示される。
α=(CL−BL)/2 ・・・(10)
実施形態3に係るブラシモータ1のブラシ4の形状は、第1の周方向幅BLが第2の周方向幅BBよりも小さくなる。その結果、実施形態3に係るブラシモータ1は、実施形態1に係るブラシモータ1よりも、隙間寸法αを大きくしやすくなる。これにより、図14に示す実施形態3に係るブラシモータ1は、下記式(11)に示す関係に、隙間寸法α、βと、長さ寸法L、lを設定することができる。
1>(β/α)×(L/l) ・・・(11)
その結果、図14に示す実施形態3に係るブラシモータ1は、θα>θβとなり、ブラシ4がブラシホルダ18の開口端部18cを叩く前に、ピグテール6がスリット端部18Eに当接する。このように、実施形態3に係るブラシモータ1は、上述した回転子2が回転を始めるとき、又は回転子2の回転方向が変化するときに、ブラシ4とブラシホルダ18の開口端部18cとが接触する前にピグテール6とスリット端部18Eとが接触する。ピグテール6がスリット端部18Eに当接した音は、ブラシ4がブラシホルダ18の開口端部18cを叩くために生じる作動音(叩き音)よりも、音圧を下げ、振動を低減することができる。
実施形態3に係るブラシモータ1のブラシ4の形状は、整流子3と対向する側に向けて細くなるテーパー部4Tの開始位置4TBよりも、整流子3と対向する側にピグテール6が固定されている。その結果、実施形態3に係るブラシモータ1は、実施形態1に係るブラシモータ1よりも、長さ寸法lを大きくしやすくなる。これにより、図14に示す実施形態1に係るブラシモータ1は、上記式(11)に示す関係に、隙間寸法α、βと、長さ寸法L、lを設定しやすくすることができる。なお、実施形態3に係るブラシモータ1のブラシ4の形状は、整流子3と対向する側に向けて細くなるテーパー部4Tの終点位置4TAよりも、整流子3と対向する側にピグテール6が固定されていることがより好ましい。
ブラシモータ1の作動音、振動が低減されるので、運転者が搭乗する車室内にあって静粛性が求められる電動パワーステアリング装置100にブラシモータ1を適用する場合、静粛性が確保できる。その結果、ブラシモータ1を電動パワーステアリング装置100に適用した場合には、車室内における作動音の低減が実現できる。
以上、実施形態1、2及び3に係るブラシモータ1を電動パワーステアリング装置に適用した例を説明したが、実施形態1、2及び3に係るブラシモータの適用対象は電動パワーステアリング装置に限定されるものではない。また、実施形態1、2及び3に係るブラシモータを電動パワーステアリング装置に適用する場合でも、その方式は問わない。
1 ブラシモータ(モータ)
2 回転子
3 整流子
4 ブラシ
4A ブラシ先端部
4B ブラシ基部
4p 開口側面
4TB 開始位置
4TA 終点位置
4Q 段部
5 ブラシ保持手段
6 ピグテール(導線)
6M 補強部材
7 ハウジング
8 フランジ
9 マグネット
10 マグネットホルダ
11 マグネット飛散防止カバー
12 軸
13 コア
14 コイル
15 導電部
16、17 軸受
18 ブラシホルダ
18c 開口端部
18F 開口部
19 基板
20 バネ
21 ジョイント
22 電力供給部材
50 ECU
100 電動パワーステアリング装置
103 補助操舵機構
111 減速装置
Zr 回転軸
R 半径方向
2 回転子
3 整流子
4 ブラシ
4A ブラシ先端部
4B ブラシ基部
4p 開口側面
4TB 開始位置
4TA 終点位置
4Q 段部
5 ブラシ保持手段
6 ピグテール(導線)
6M 補強部材
7 ハウジング
8 フランジ
9 マグネット
10 マグネットホルダ
11 マグネット飛散防止カバー
12 軸
13 コア
14 コイル
15 導電部
16、17 軸受
18 ブラシホルダ
18c 開口端部
18F 開口部
19 基板
20 バネ
21 ジョイント
22 電力供給部材
50 ECU
100 電動パワーステアリング装置
103 補助操舵機構
111 減速装置
Zr 回転軸
R 半径方向
Claims (10)
- 整流子とコアとを含む回転子と、
前記整流子の半径方向と直交するように、かつ前記整流子の周方向に向かって配置されている複数のブラシと、
前記複数のブラシを前記整流子の半径方向に向かってそれぞれ開口する開口部に収納する複数のブラシホルダと、
前記整流子の回転軸方向における前記ブラシホルダの側面のスリットを貫通して、前記ブラシの側面にそれぞれ接続される導体のピグテールと、
を含み、
前記開口部における前記ブラシと前記ブラシホルダとの間の間隔としての隙間寸法をαとし、前記ピグテールと前記スリットとの間隔としての隙間寸法をβとし、前記整流子に対向する前記ブラシホルダの底部の中央位置から前記開口部までの寸法をLとし、前記中央位置から前記スリットの端部に最も近い前記ピグテールの表面までの寸法をlとしたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とするブラシモータ。
1>(β/α)×(L/l) ・・・(1) - 前記回転子が回転を始めるとき又は前記回転子の回転方向が変化するときに、前記ブラシと前記開口部とが接触する前に前記ピグテールと前記スリットとが接触することを特徴とする請求項1に記載のブラシモータ。
- 整流子とコアとを含む回転子と、
前記整流子の半径方向と直交するように、かつ前記整流子の周方向に向かって配置されている複数のブラシと、
前記複数のブラシを前記整流子の半径方向に向かってそれぞれ開口する開口部に収納する複数のブラシホルダと、
前記整流子の回転軸方向における前記ブラシホルダの側面のスリットを貫通して、前記ブラシの側面にそれぞれ接続される導体のピグテールと、
を含み、
前記回転子が回転を始めるとき又は前記回転子の回転方向が変化するときに、前記ブラシと前記開口部とが接触する前に前記ピグテールと前記スリットとが接触することを特徴とするブラシモータ。 - 前記ブラシは、前記ブラシホルダの内部に挿入されている前記整流子の周方向の側面に、前記整流子と対向する側に向けて細くなる段部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のブラシモータ。
- 前記ブラシは、前記段部よりも前記整流子と対向する側に前記ピグテールが固定されていることを特徴とする請求項4に記載のブラシモータ。
- 前記ブラシは、前記ブラシホルダの内部に挿入されている前記整流子の周方向の側面に、前記整流子と対向する側に向けて細くなる傾斜面のテーパー部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のブラシモータ。
- 前記ブラシは、前記整流子と対向する側に向けて細くなる前記テーパー部の開始位置よりも、前記整流子と対向する側に前記ピグテールが固定されていることを特徴とする請求項6に記載のブラシモータ。
- 前記複数のブラシを支持するバネを前記ブラシホルダの底部に備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のブラシモータ。
- 前記ピグテールは、少なくとも前記スリットの端部に対向する表面に補強部材を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のブラシモータ。
- 請求項1から9のいずれか1項に記載されたブラシモータにより補助操舵トルクを得ることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012256416A JP2014103833A (ja) | 2012-11-22 | 2012-11-22 | ブラシモータ及び電動パワーステアリング装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012256416A JP2014103833A (ja) | 2012-11-22 | 2012-11-22 | ブラシモータ及び電動パワーステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014103833A true JP2014103833A (ja) | 2014-06-05 |
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ID=51025881
Family Applications (1)
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JP2012256416A Pending JP2014103833A (ja) | 2012-11-22 | 2012-11-22 | ブラシモータ及び電動パワーステアリング装置 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2014103833A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107210656A (zh) * | 2015-01-28 | 2017-09-26 | 三菱重工汽车空调系统株式会社 | 直流整流子电动机 |
-
2012
- 2012-11-22 JP JP2012256416A patent/JP2014103833A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107210656A (zh) * | 2015-01-28 | 2017-09-26 | 三菱重工汽车空调系统株式会社 | 直流整流子电动机 |
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