以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための形態(以下、実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。本実施形態では、本発明に係る電動モータを電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering)に適用した例を説明するが、本発明の適用対象は電動パワーステアリング装置に限定されるものではない。また、本発明を電動パワーステアリング装置に適用する場合でも、その方式は問わない。また、本実施形態では、電動モータとしてブラシモータを用いた場合で説明するがこれに限定はされない。
図1は、ブラシモータを備える電動パワーステアリング装置の構成図である。まず、図1を用いて、本実施形態のブラシモータを備える電動パワーステアリング装置の概要を説明する。電動パワーステアリング装置10は、操舵者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール11と、ステアリングシャフト12と、操舵力アシスト機構13と、ユニバーサルジョイント14と、ロアシャフト15と、ユニバーサルジョイント16と、ピニオンシャフト17と、ステアリングギヤ18と、タイロッド19と、を備える。また、電動パワーステアリング装置10は、ECU(Electronic Control Unit)20と、トルクセンサ21aと、車速センサ21bと、を備える。
ステアリングシャフト12は、入力軸12aと出力軸12bとを含む。入力軸12aは、一方の端部がステアリングホイール11に連結され、他方の端部がトルクセンサ21aを介して操舵力アシスト機構13に連結される。出力軸12bは、一方の端部が操舵力アシスト機構13に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント14に連結される。本実施形態では、入力軸12a及び出力軸12bは、鉄等の磁性材料から形成される。
ロアシャフト15は、一方の端部がユニバーサルジョイント14に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント16に連結される。ピニオンシャフト17は、一方の端部がユニバーサルジョイント16に連結され、他方の端部がステアリングギヤ18に連結される。ステアリングギヤ18は、ピニオン18aと、ラック18bとを含む。ピニオン18aは、ピニオンシャフト17に連結される。ラック18bは、ピニオン18aに噛み合う。ステアリングギヤ18は、ラックアンドピニオン形式として構成される。ステアリングギヤ18は、ピニオン18aに伝達された回転運動をラック18bで直進運動に変換する。タイロッド19は、ラック18bに連結される。
操舵力アシスト機構13は、減速装置22とブラシモータ30とを含む。減速装置22は、出力軸12bに連結される。ブラシモータ30は、減速装置22に連結され、かつ、補助操舵トルクを発生させる。なお、電動パワーステアリング装置10は、ステアリングシャフト12と、トルクセンサ21aと、減速装置22とによりステアリングコラムが構成されている。ブラシモータ30は、前記ステアリングコラムの出力軸12bに補助操舵トルクを与える。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置10は、コラムアシスト方式である。
トルクセンサ21aは、ステアリングホイール11を介して入力軸12aに伝達された運転者の操舵力を操舵トルクとして検出する。車速センサ21bは、電動パワーステアリング装置10が搭載される車両の走行速度を検出する。
ECU20は、ブラシモータ30とトルクセンサ21aと車速センサ21bと電気的に接続される。ECU20は、ブラシモータ30の動作を制御する。また、ECU20は、トルクセンサ21a及び車速センサ21bのそれぞれから信号を取得する。すなわち、ECU20は、トルクセンサ21aから操舵トルクTを取得し、かつ、車速センサ21bから車両の走行速度Vを取得する。ECU20は、イグニッションスイッチ28がオンの状態で、電源装置(例えば車載のバッテリ)29から電力が供給される。ECU20は、操舵トルクTと走行速度Vとに基づいてアシスト指令の補助操舵指令値を算出する。そして、ECU20は、その算出された補助操舵指令値に基づいてブラシモータ30へ供給する電流値を調節する。
電動パワーステアリング装置10は、以上のような構成である。ステアリングホイール11に入力された操舵者(運転者)の操舵力は、入力軸12aを介して操舵力アシスト機構13の減速装置22に伝わる。この時に、ECU20は、入力軸12aに入力された操舵トルクTをトルクセンサ21aから取得し、かつ、走行速度Vを車速センサ21bから取得する。そして、ECU20は、ブラシモータ30の動作を制御する。ブラシモータ30が作り出した補助操舵トルクは、減速装置22に伝えられる。出力軸12bを介して出力された操舵トルク(補助操舵トルクを含む)は、ユニバーサルジョイント14を介してロアシャフト15に伝達され、さらにユニバーサルジョイント16を介してピニオンシャフト17に伝達される。ピニオンシャフト17に伝達された操舵力は、ステアリングギヤ18を介してタイロッド19に伝達され、操舵輪を転舵させる。
次に、図2から図5を用いて、操舵力アシスト機構13と、その周辺に配置されている各部の構成、配置位置等について説明する。図2は、操舵力アシスト機構の周辺の概略構成を示す斜視図である。図3は、操舵力アシスト機構の周辺の概略構成を模式的に示す説明図である。図4は、図3に示す操舵力アシスト機構を拡大した説明図である。図5は、電動パワーステアリング装置が備える減速装置の一例を説明する正面図である。図6は、ECUの概略構成を示す斜視図である。なお、図5は、一部を断面として示してある。
図2及び図3に示すように、電動パワーステアリング装置10は、各部を支持する機構として、ステアリングコラム31と、アッパ取り付けブラケット32と、ロア取り付けブラケット34と、モータ取付部35と、を有する。ステアリングコラム31は、ステアリングシャフト12を回転自在に内装する。ステアリングコラム31は、減速装置22との連結部にコラプス時の衝撃エネルギーを吸収して所定のコラプスストロークを確保する内管及び外管で構成された2重管構造となっている。
アッパ取付ブラケット32は、ステアリングコラム31の外管及び減速装置22の鉛直方向上側に配置されている。アッパ取付ブラケット32は、車体に取付けられ、ステアリングコラム31の外管及び減速装置22を支持している。アッパ取付ブラケット32は、車体側部材(図示せず)に取付けられる取付板部と、この取付板部に一体に形成された方形枠状支持部と、ステアリングコラム31の外管を支持するチルト機構と、を備えている。チルト機構は、方形枠状支持部に形成されている。
アッパ取付ブラケット32の取付板部は、車体側部材に取付けられる左右一対のカプセルと、これらカプセルに樹脂インジェクションによって固定された摺動板部と、で構成されている。取付板部は、衝突時にステアリングコラム31を車体前方に移動させる衝撃力が作用することにより、カプセルに対して摺動板部が車体前方に摺動して樹脂インジェクションが剪断され、その剪断荷重がコラプス開始荷重となるように構成されている。
チルト機構のチルトレバーを回動させることにより、支持状態が解除される。この操作により、ステアリングコラム31をロア取付ブラケット34の枢軸を中心として上下にチルト位置が調整可能とされている。
ロア取付ブラケット34は、ステアリングコラム31の外管及び減速装置22の鉛直方向下側に配置されている。ロア取付ブラケット34は、車体に取付けられ、ステアリングコラム31の外管及び減速装置22を支持している。ロア取付ブラケット34は、車体側部材(図示せず)に取付けられる取付板部と、この取付板部の下面に所定間隔を保って平行に延長する一対の支持板部と、で形成されている。そして、ロア取付ブラケット34は、支持板部の先端が、減速装置22の減速装置ハウジング44の下端側即ち車体前方側に形成された部分に枢軸を介して回動自在に連結されている。
また、モータ取付部35は、減速装置22の側面(ステアリングシャフト12の回転軸に平行かつ鉛直方向に平行な面)に設けられており、ブラシモータ30を減速機構22に固定する。なお、モータ取付部35は、減速装置22のハウジングの一部としてもよい。
ステアリングシャフト12は、図3及び図4に示すように、入力軸12aと、出力軸12bと、入力軸12aと出力軸12bとを連結する連結軸(トーションバー)12cと、を有する。ステアリングシャフト12は、入力軸12aに入力された回転が、連結軸12cを介して出力軸12bに伝達する。
図3、図4及び図5に示すように、減速装置22は、ウォーム減速装置である。減速装置22は、ウォーム40と、ウォームホイール42と、減速装置ハウジング44と、玉軸受45aと、玉軸受45bと、ホルダ47と、を備える。ウォーム40は、ブラシモータ30の軸118にスプライン、または弾性カップリングで結合される。ウォーム40は、玉軸受45aと、ホルダ47に保持された玉軸受45bとで回転自在に減速装置ハウジング44に保持されている。ウォームホイール42は、減速装置ハウジング44に回転自在に保持される。ウォーム40の一部に形成されたウォーム歯40aは、ウォームホイール42に形成されているウォームホイール歯42aに噛み合う。ブラシモータ30の回転力は、ウォーム40を介してウォームホイール42に伝達されて、ウォームホイール42を回転させる。減速装置22は、ウォーム40及びウォームホイール42によって、ブラシモータ30のトルクを増加させる。そして、減速装置22は、出力軸12bに補助操舵トルクを与える。
ブラシモータ30は、図2から図5に示すように、回転軸が露出したフランジ側の面が減速装置22に対面して配置されている。また、ブラシモータ30の回転軸は、減速装置22の鉛直方向下側となる部分に配置されている。ブラシモータ30は、フランジがモータ取付部35と連結され、減速装置22に固定されている。なお、ブラシモータ30の詳細な構成については、後ほど説明する。
ECU20は、減速装置22の入力軸12a側の面で、かつ、ステアリングシャフト12よりも鉛直方向の下側に配置されている。ECU20は、図6に示すように、ECU取付部20aとECU本体20bとECUカバー20cとを有する。ECU取付部20aは、ECU本体20bを減速装置22に固定する支持台であり、減速装置22の減速装置ハウジング44に設けられている。また、ECU取付部20aは、モータ取付部35の入力軸12a側の面にも設けられている。
ECU本体20bは、ECU20の制御回路であり、ECU取付部20aにネジ止めにより固定されている。ECU本体20bは、パワー基板、合成樹脂製フレーム、制御基板、カバー等を有する。また、ECU本体20bは、鉛直方向上側の端面にトルクセンサ21aと連結する端子20dが形成され、ブラシモータ30と隣接する端面にブラシモータ30のバスバーと接続される端子20eが形成されている。パワー基板は、ブラシモータ30を駆動制御する電界効果トランジスタ等のパワースイッチング素子で構成されるHブリッジ回路やこのHブリッジ回路のパワースイッチング素子を駆動するパルス幅変調回路等が実装されており、ECU取付部20aに放熱グリースを介して直接固定される熱伝導率の高い金属製の基板である。合成樹脂製フレームは、パワー基板を囲繞する長方形枠状の部材である。制御基板は、ブラシモータ30で発生させる操舵補助力を制御するマイクロコンピュータユニット(MCU)やその周辺機器を実装した基板である。制御基板は、トルクセンサ21aからのトルク検出値や車速センサ21bからの車速検出値に基づいて操舵補助電流指令値を算出し、この操舵補助電流指令値とブラシモータ30に出力するモータ電流の検出値とに基づいて電流フィードバック制御を行ってパワー基板のパルス幅変調回路への電圧指令値を算出する。カバーは、パワー基板、合成樹脂製フレーム、制御基板を覆う。ECU本体20bは、カバーで、パワー基板、合成樹脂製フレーム、制御基板を覆うことで、制御回路を構成する各部に異物が混入することを抑制できる。なお、カバーは、樹脂等で形成すればよい。
ECUカバー20cは、ECU本体20bを覆う部材であり、金属で形成されている。ECUカバー20cは、ECU取付部20aにネジ止めで固定されている。これにより、ECU本体20bは、ECU取付部20aとECUカバー20cとで外周が略覆われている状態となる。ECUカバー20cは、外部の電磁波がECU本体20bに到達することを抑制し、外部の電磁波がECU本体20bにノイズを発生させることを抑制する。
次に、図7Aから図9を用いて、ブラシモータ30について説明する。次に、図7Aは、ブラシモータの概略構成を説明するための説明図である。図7Bは、図7Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図8は、ブラシモータを回転軸に平行な方向から見た平面図である。図9は、図8に示すブラシモータをA−A線で切って模式的に示す説明図である。ブラシモータ30は、図7Aに示すように、モータ30は、モータ取付部35に取り付けられている。また、ブラシモータ30とECU20とは、端子台37を介して連結されている。なお、端子台37は、ECU20の端子20dと、ブラシモータ30の後述するバスバーユニット130と、を接続している。なお、端子20dとバスバーユニット130とは、ブラシモータ30を駆動するための制御信号や電力を供給する配線であり、端子台37で両者を接続することで、ECU20からブラシモータ30に各種信号、電力を供給可能としている。図7Aから図9に示すように、ブラシモータ30は、筐体111と、マグネット113と、回転子114と、軸118と、ブラシ119と、ブラシホルダ120と、ブラシケース121と、バスバーユニット130と、重量偏差部となる錘152と、を含む。
筐体111は、図7B及び図9に示すように、筒状部140と、底部142と、突出部144と、フランジ112と、を含む。筒状部140は、磁性材料で略円筒形である。筒状部140を形成する磁性材料は、例えばSPCC(Steel Plate Cold Commercial)等の一般的な鋼材や、電磁軟鉄等である。筒状部140の一方の端部は、底部142により閉塞される。底部142は、例えば筒状部140と一体に形成される。底部142には、筒状部140側とは反対側(筒状部140から離れる方向)に凸の突出部144が形成されている。
また、フランジ112は、筒状部140の他方(底部142とは反対側)の端部である開口を閉塞している。フランジ112と筒状部140とは、ネジ止め等により固定されている。また、フランジ112は、筒状部140と対面している面とは反対側の面がモータ取付部35に固定されている。フランジ112は、図9に示すように、軸118が通過する開口が形成されている。
マグネット113は、筒状部140の内側面にマグネットホルダ113aによって取り付けられる。マグネット113は、2つ設けられる。2つのマグネット113は、互いに極性が逆に設けられる。マグネット113は、マグネット飛散防止カバー113bにより覆われる。これにより、マグネット飛散防止カバー113bは、2つのマグネット113の万一の飛散を防止する。回転子114は、筒状部140内に設けられる。回転子114は、軸118によって中心を貫かれ、かつ、軸118に固定される。
回転子114は、整流子115と、コア116と、コイル117とを含む。整流子115は、絶縁体で形成された円柱状の絶縁部の側面に、導電体で形成された複数の導電部115aが等間隔で平行に配置されているものである。コア116は、磁性材料を用いて形成される。コア116は、例えば、磁性材料としてケイ素鋼板が用いられ、ケイ素鋼板が積層されて形成される。回転子114のコア116部分は、複数のスロット(溝)を有する。コイル117は、前記スロットに巻き回されている。コイル117の一端は、一つの導電部に接続されており、他端は別の導電部に接続されている。
軸118は、軸受118aと軸受118bとによって、回転軸Zrを中心に回転できるように支持される。軸受118aは、筒状部140の内側であって、フランジ112の略中央部分に設けられる。軸受118bは、筒状部140の内側であって、底部142の突出部144の略中央部分に設けられる。回転軸Zrは、軸118の中心軸に相当し、回転子114の回転軸とも一致する。軸118は、ジョイント118cが取り付けられる。なお、本実施形態では、軸受118aは、フランジ112に圧入で組み立てられ、軸受118bは、突出部144にすきま嵌めで組みたてられる。ジョイント118cは、図5に示す減速装置22のウォーム40がスプライン結合される。なお、軸118とウォーム40とは、弾性カップリングで結合されてもよい。
ブラシ119は、ブラシホルダ120により支持される。ブラシ119は、筒状部140内で、整流子115の径方向で整流子115と対向する位置に複数、本実施形態で4箇所に設けられる。ブラシ119は、略角柱、好ましくは四角柱状の多面体である。より好ましくは、ブラシ119は、整流子115と対向する面に含まれる4つの頂点のうち、フランジ112側ではなく、コア116側にある2つの頂点のいずれかが突出する形状である。ブラシ119は、この突出している頂点が整流子115と接する。このような構造により、ブラシモータ30は、ブラシ119と整流子115とが接触する位置が明確となる。その結果、ブラシモータ30は、ブラシ119から整流子115への電力の供給が安定する。また、ブラシモータ30のユーザーは、ブラシ119の摩耗状態も容易に予測できる。
ブラシ119は、接触抵抗が小さく機械的衝撃に耐えられる材料により構成される。例えば、ブラシ119は、黒鉛により構成される。ブラシ119は、バスバーユニット130によって電力が供給される。電力は、ECU20により制御された電流値の電力である。ブラシ119に供給された電流は、ブラシ119と接触する整流子115の導電部115aを通ってコイル117に導かれる。コイル117に導かれた電流は、コイル117を通り、整流子115の別の導電部115aに至って別のブラシ119に流入する。ブラシモータ30は、コイル117に電流が流れることによって磁界が発生する。ブラシモータ30は、この磁界と、マグネット113の磁界との相互作用により回転子114が回転する。
ブラシホルダ120は、図9に示すように、ブラシケース121と、スプリング122と、基板123と、弾性部材124とを含む。ブラシケース121は、5つの板状部分を含み、この5つの板状部分により開口121fを有する箱状に形成される。ブラシケース121は、開口121fが整流子115の径方向で整流子115に対向するように設けられる。ブラシケース121は、ブラシ119よりも大きく形成される。これは、ブラシ119の温度が上昇した際に、ブラシケース121内でブラシ119が熱膨張するためである。すなわち、ブラシケース121は、自身(ブラシケース121)とブラシ119との間に隙間を有してブラシ119を保持する。
スプリング122は、圧縮応力スプリングである。スプリング122は、ブラシケース121の内部であって、ブラシ119とブラシケース121との間に設けられる。本実施形態では、スプリング122は、ブラシケース121の5つの板状部分のうち、底面部分と、ブラシ119との間に設けられる。前記底面部分は、ブラシケース121の5つの板状部分のうち、開口121fとは反対側の板状部分である。スプリング122は、一方の端部がブラシケース121の底面部分に接し、他方の端部がブラシ119に接する。これにより、スプリング122は、整流子115に向かう方向の力をブラシ119に与える。よって、ブラシ119は、少なくとも一部が開口121fから突出し、スプリング122によって整流子115に押し付けられる。
基板123は、ブラシケース121をフランジ112に取り付けるための部材である。基板123は、ブラシケース121とフランジ112との間に設けられる。基板123は、例えば2つ設けられる。基板123は、例えば、円環状の板状部材を2分割した形状である。本実施形態では、1つの基板123は、2つのブラシケース121を有する。各基板123は、ボルト貫通孔123aを含む。ボルト貫通孔123aは、フランジ112に形成されるボルト孔112aと対向する位置に形成される。ボルト孔112aは、ブラシホルダ120をフランジ112に締結するための雌ネジ孔である。ボルト孔112aは、図9に示す締結手段としてのボルト126がねじ込まれる。ボルト孔112aは、例えば、2つ設けられる。基板123は、ボルト126がボルト貫通孔123aに挿入され、かつ、ボルト孔112aに螺合されることでフランジ112に締結される。
弾性部材124は、回転軸Zrを中心とした周方向に沿って設けられる。上述のようにブラシケース121は、回転軸Zrを中心とした周方向に複数配置される。弾性部材124は、この複数のブラシケース121に沿うように配置される。また、弾性部材124は、本実施形態では、円環状の板状部材を2分割した形状である。但し、弾性部材124は、少なくともブラシケース121と、フランジ112との間に介在されればよく、例えば円環状の板状部材を4分割した形状でもよい。
弾性部材124は、フランジ112に形成されるボルト孔112aを避けて設けられる。弾性部材124は、図8に示すように、基板123とフランジ112との間に設けられる。これにより、弾性部材124は、いわゆるフローティング構造を実現し、ブラシケース121から基板123を介してフランジ112へ伝わる振動を低減する。ここで、フランジ112は、図8に示すように、筒状部分112cも有する。ブラシケース121は、例えば、フランジ112の筒状部分112cと径方向で接触しないように設けられてもよい。これにより、ブラシモータ30は、ブラシケース121からフランジ112へ伝わる振動をより低減できる。
バスバーユニット130は、第1バスバー131と、第2バスバー132と、バスバー保持手段としての樹脂部133と、ボルト貫通孔134と、ピグテイル135と、を含む。第1バスバー131及び第2バスバー132は、金属の板状部材である。第1バスバー131及び第2バスバー132は、電気伝導部材である。第1バスバー131及び第2バスバー132は、図9に示すように、互いに接触しないように間隔をあけて設けられる。第1バスバー131及び第2バスバー132は、筐体111の外部に一部が露出する。なお、筒状部140と底部142とフランジ112とで囲まれる空間が筐体111の内部であり、前記内部以外の空間が筐体111の外部である。第1バスバー131及び第2バスバー132は、外部に露出した部分が端子台137でECU20の端子20dと接続される。
樹脂部133は、例えば弾性を有する。樹脂部133は、第1バスバー131及び第2バスバー132を覆う。これにより、樹脂部133は、第1バスバー131と第2バスバー132とを絶縁する。また、樹脂部133は、バスバーユニット130がブラシモータ30に取り付けられた際に、第1バスバー131及び第2バスバー132と、筒状部140やフランジ112とを絶縁する。ボルト貫通孔134は、図9に示すように、樹脂部133を回転軸Zr方向に貫通する孔である。ボルト貫通孔134は、樹脂部133のうち、筐体111の内部に配置される部分に形成される。ボルト貫通孔134は、ボルト126が挿入される。ボルト貫通孔134は、例えば、金属カラーが設けられて補強される。
ピグテイル135は、電気伝導部材である。ピグテイル135は、第1バスバー131及び第2バスバー132と、ブラシホルダ120とを電気的に接続する。ブラシホルダ120は、ブラシ119へ電力を供給するための電気回路が設けられている。前記電気回路は、図9に示す電気電導部材の配線部材135aでブラシ119と電気的に接続される。これにより、ブラシ119は、第1バスバー131及び第2バスバー132から、ピグテイル135を介して電力が供給される。なお、第1バスバー131及び第2バスバー132は、ブラシホルダ120に形成される電気回路を介さず、ピグテイル135でブラシ119と直接電気的に接続してもよい。
ピグテイル135は、第1バスバー131と第2バスバー132との両方に、例えば、溶接、より具体的にはプロジェクション溶接によって電気的に接続される。また、ピグテイル135は、基板123に形成された電気回路に、例えば、溶接、より具体的にはプロジェクション溶接によって電気的に接続される。ピグテイル135は、可撓性を有する。可撓性を有するため、ピグテイル135は、振動を伝え難い。よって、ブラシモータ30は、ブラシ119の振動が基板23を介してバスバーユニット130に伝わりにくい。また、ブラシモータ30は、ピグテイル135が撓むため、バスバーユニット130とフランジ112との取り付け誤差を許容しやすい。また、ブラシモータ30は、ピグテイル135が撓むため、バスバーユニット130をフランジ112により容易に取り付けることができる。
錘152は、重量偏差部(マスダンパー)であり、図7A及び図7Bに示すように、筐体111の底部142に配置されている。ここで、減速装置40のウォーム40とウォームホイール42とが噛合う(図5参照)方向である噛合い方向160とする。また、図7Bは、図中上側が鉛直方向上側となり、図中下側が鉛直方向下側となる。錘152は、軸118の回転軸を中心とした円周方向のうち、噛合い方向160を含む領域Aと領域Bのうち、領域B側の一定領域、つまり、鉛直方向下側の領域を含む位置に配置されている。ここで、噛合い方向160を含む領域Aと領域Bとは、噛合い方向を中心として、中心角が150°以下となる領域である。錘152は、厚みのある円弧形状であり、底部142の突出部144よりも外径側に配置されている。錘152は、軸118の回転軸を中心とした円周方向において、鉛直方向下側(かみ合い方向160と平行な方向かつウォーム40からウォームギヤ42に向かう方向)を中心として、一定角度の幅となる領域に配置されている。錘152は、噛合い方向160を含む領域Bに配置されることで、領域Bの重量を他の領域の重量よりも重くしている。なお、重量は単位面積当たりまたは軸118の回転軸を中心とした円周方向の単位中心角度当たりの重量(平均重量)で比較すればよい。
ここで、錘152としては、鉄などブラシモータ30を構成する部材の中でも、比重が重い物質を用いることが好ましい。これにより、領域A及び領域Bと、その他領域との間で重量差をより大きくすることができる。また、錘152を、底部142に取り付ける方法としては、種々の方法を用いることができ、厚入、溶接、ネジ止め、焼ばめ、カシメ固定等を用いることができる。
電動パワーステアリング装置10及びブラシモータ30は、重量偏差部として、噛合い方向160を含む領域Aと領域Bをその他の領域よりも重くする錘152を設けることで、モータの振動と騒音を低減することができる。また、モータの振動と騒音を低減できることで、電動パワーステアリング装置10の作動ノイズも低減することができる。
具体的には、電動パワーステアリング装置10及びブラシモータ30は、底部142に錘152を設け、フランジ112から最も遠い部分の重量バランスを、噛合い方向160を含む領域Aと領域Bをその他の領域よりも重くなる。これにより、ウォーム40とウォームギヤ42との噛合い精度の影響で生じる振動である、噛合い方向に平行な方向の振動を生じにくくすることができる。つまり、駆動時にウォーム40とウォームギヤ42との噛合いでウォーム40が噛合い方向にずれる力が生じた場合でも、底部142に設けた錘152がマスダンパーとなり、振動や騒音を抑制することができる。
また、本実施形態のように、軸受118aを圧入で設置し、軸受118bをすきま嵌めで設置した構成では、軸受118b側に軸118と筐体111との間に隙間が生じるため、軸受118b側である底部142側が大きく振動し易くなる。これに対して、錘152を底部142側に配置することで、底部142側の振動を抑制することができる。また、ブラシモータ30の取付の観点からみても底部142は、ロア側となり(支持点から遠くなり)、フランジ112側よりも底部142側の振動が大きくなりやすい。この点においても、底部142に重量偏差部となる錘152を設けることで、モータの振動、騒音を好適に抑制することができる。また、支点から遠い位置に錘152を設けることで、重量がブラシモータ30に与える影響をより大きくすることができ、設けた重量当たりの振動の低減効果を大きくすることができる。
ここで、本実施形態では、上述のブラシモータを駆動させた場合に生じる騒音と、振動について計測を行った。また、比較例として、錘152を設けていない点を除いて他の構成は同一のブラシモータを駆動させた場合に生じる騒音と振動についても計測を行った。騒音、振動について計測結果を、図10A及び図10Bに示す。ここで、図10A及び図10Bは、それぞれブラシモータの計測結果の一例を示すグラフである。なお、図10Aは、縦軸を音圧[dB]とし、横軸を周波数[Hz]とした。また、図10Bは、縦軸を振動[dB]とし、横軸を周波数[Hz]とした。また、図10A及び図10Bのグラフでは、本実施形態の錘152があるブラシモータの計測結果を「有」で示し、比較例の錘152がないブラシモータの計測結果を「無」で示す。
図10Aに示す測定結果から、錘152を設けることで、200Hzから1500Hzの周波数領域における騒音を低減できていることがわかる。図10Bに示す測定結果から、錘152を設けることで、200Hzから1500Hzの周波数領域、特に1000Hzから1500Hzの周波数領域における振動を低減できていることがわかる。特に本測定例では、モータの回転子を片持ちにした時の振動周波数である1.1kHz(1100Hz)で、振動を12dB低減することができた。このように、本実施形態によれば、人間に認識されやすい周波数領域である200Hzから1500Hzの周波数領域の騒音や振動を低減することができる。つまり、200Hzから1000Hzの周波数領域の騒音や振動を抑制しつつ、1000Hzから1500Hzの周波数領域における騒音や振動も抑制することができる。
また、本実施形態は、重量偏差部の錘を設けるのみで騒音や振動を低減することができる。これにより、ブラシモータ30を低コストで製造することができる。つまり、ブラシモータ30は、安価製造できかつ騒音や振動も抑制することができる。
また、重量偏差部として錘152を円周方向において選択的に配置する構成とすることで、つまり、噛合い方向160を含む領域Aを含む一部領域に配置し、円周方向の他の領域には配置しないことで、ブラシモータ30の振動や騒音を抑制できるため、ブラシモータ30の重量を軽くすることもできる。つまり、円周方向の全周に錘152を設けない構成であるため、装置の重量を軽くすることができる。
ここで、上記実施形態では、重量偏差部として錘152を設けたがこれには限定されない。また、錘の形状も錘152の形状に限定されない。また、重量偏差部は領域Aと領域Bのうち、少なくとも一方の領域が他の領域(噛合い方向を含む領域以外の領域)よりも重い機構であればよい。また、重量偏差部は、ブラシモータ30のエンド側(フランジ112から遠い側の端部近傍、筐体111の底部142の近傍)に設けられていればよい。
以下、重量偏差部の他の例について説明する。なお、以下の例では、重量偏差部以外は基本的に上述したブラシモータ30と同様の構成である。そこで、同一の構成要素の説明は省略し、重量偏差部について重点的に説明する。
図11Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図11Bは、図11Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図11A及び図11Bに示すブラシモータ201は、重量偏差部となる錘202が、筐体111の筒状部140に連結している底部142に設けられている。錘202は、底部の鉛直方向下側の一定領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域)に加え、突出部144の外周の全周に配置されている。つまり、錘202は、底面142のうち回転軸の中心から一定径(突出部144よりも大きい径)の領域と、回転軸の中心よりも鉛直方向下側の略全域に配置され、軸受が配置された突出部144の外周を囲うような開口が形成されている。また、錘202は、突出部144に圧入で固定されている。このように、重量偏差部を錘202としても、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。つまり、重量偏差部は、錘202の一部が、噛合い方向を含む2つの領域以外の領域まで延在した形状であっても、噛合い方向を含む2つの領域のうち少なくとも1つの領域の重量が他の領域の重量よりも重ければよい。また、錘202のように、錘202を圧入で筐体111に設けることで、錘202を筐体111により高い強度で固定することができる。
図12Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図12Bは、図12Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図12A及び図12Bに示すブラシモータ210は、重量偏差部となる錘212が、筐体111の筒状部140に連結している筒状部140の底部142側の端部に設けられている。錘212は、回転軸を中心とした円周方向において、底部142よりも外側でかつ回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向下側の全領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域)に配置されている。また、錘212は、筒状部140に溶接で固定されている。このように、重量偏差部を錘212としても、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。つまり、重量偏差部は、錘212を、底面142の近傍または隣接した位置に配置することで、底面142に固定されていなくても、上記と同様の効果を得ることができる。
図13Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図13Bは、図13Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図13A及び図13Bに示すブラシモータ220は、重量偏差部を筐体221の一部に設けた構成である。ここで、筐体221は、筒状部222と底面224と突出部226とを有する。筐体221は、符号を省略したが筐体111と同様にフランジも有する。また、筐体221は、底面224の回転軸を中心とした円周方向において、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域に、円周方向の外周側に突出した凸部228が設けられている。凸部228は、筒状部222の底部224の端部近傍から径方向の外側に突出している。凸部228は、円周方向の他の領域よりも外周側に突出しているため、凸部228が形成されている部分は、他の領域よりも重量が重くなる。このように、重量偏差部を筐体221に設けた凸部228としても、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
図14Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図14Bは、図14Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図14A及び図14Bに示すブラシモータ230は、重量偏差部を筐体231の一部に設けた構成である。ここで、筐体231は、筒状部232と底面234と突出部236とを有する。筐体231は、符号を省略したが筐体111と同様にフランジも有する。また、筐体231は、回転軸を中心とした円周方向において、底面224の噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域に、突出部236と同一方向(フランジから離れる方向)に突出した凸部238が設けられている。凸部238は、回転軸を中心とした円周方向において、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域と、中心よりも鉛直方向の一部領域に形成されている。なお、凸部238は、1つの繋がった突出部であり、また、突出部236とは別の突出部である、凸部238は、突出部236の外周を覆う扇形である。凸部238は、円周方向の他の領域よりも回転軸方向に突出しているため、凸部238が形成されている部分は、他の領域よりも重量が重くなる。このように、重量偏差部を筐体231に設けた凸部238としても、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
図15Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図15Bは、図15Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図15A及び図15Bに示すブラシモータ240は、重量偏差部となる錘242を筐体111の内部に設けている。錘242は、筐体111の筒状部140の筒状部140と底部142との連結部分の近傍に配置されたマグネットホルダの一部として設けられている。これにより、錘242は、マグネット飛散防止カバー113bに隣接して配置されている。なお、錘242は、回転軸を中心とした円周方向において、回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向下側の略全領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域)に配置されている。このように、重量偏差部を錘242としても、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。つまり、重量偏差部は、錘242を、筐体111の内部の底面142の近傍または隣接した位置に配置することで、上記と同様の効果を得ることができる。なお、円周方向において錘242が配置されていない領域は、他の実施形態と同様のマグネットホルダが設けられている。
図16Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図16Bは、図16Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図16A及び図16Bに示すブラシモータ250は、重量偏差部となる錘258を筐体251の内部に設けている。ここで、ブラシモータ250の筐体251は、筒状部252と底面254と突出部256とを有する。筐体251は、符号を省略したが筐体111と同様にフランジも有する。また、筐体251は、底面254の回転軸を中心とした円周方向において、突出部256の外径側に、円周方向の外周側に突出した凸部257が設けられている。つまり、凸部257は、突出部256よりも径方向の外側にドーナッツ状に設けられている。錘258は、筐体251の凸部257の内部に配置されている。つまり、錘258は、マグネットホルダ113aよりも底部254側に設けられている。また、錘258は、回転軸を中心とした円周方向において、回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向下側の略全領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域)に配置されている。このように、重量偏差部を錘258としても、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。つまり、重量偏差部は、錘258を、筐体251の内部の底面254に突出部256とは別に形成した凸部257に配置することで、上記と同様の効果を得ることができる。
図17Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図17Bは、図17Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図17A及び図17Bに示すブラシモータ260は、重量偏差部となる錘268を筐体261の内部に設けている。ここで、ブラシモータ260の筐体261は、筒状部262と底面264と突出部266とを有する。筐体261は、符号を省略したが筐体111と同様にフランジも有する。また、突出部266は、回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向下側の部分のみが筒状部262の近傍まで延在した形状である。つまり、回転軸を中心とした径方向の大きさが、鉛直方向下側の部分のみ他の方向よりも大きくなっている。このように、突出部266は、鉛直方向下側に、軸受118bが配置される領域以外の領域が設けられている。錘258は、突出部266の領域のうち、軸受118bが配置される領域以外の領域に配置されている。つまり、錘268は、突出部266の軸受118bよりも鉛直方向下側の部分に配置されている。このように、重量偏差部を錘268としても、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
図18Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図18Bは、図18Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図18A及び図18Bに示すブラシモータ270は、重量偏差部を筐体271の一部に設けた構成である。筐体271は、筒状部272と底面274と突出部276とを有する。筐体271は、符号を省略したが筐体111と同様にフランジも有する。筐体271は、底面274の回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向上側の部分のみに開口(肉抜き部)278が形成さている。なお、開口278は、円周方向に隣接して複数の開口278、本実施形態では、4つの開口278が形成されている。このように、筐体271は、回転軸を中心とした円周方向において底面274の鉛直方向上側の部分には開口278を形成し、鉛直方向下側の部分には開口を形成しないことで、底面274の噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域の重量を他の領域の重量よりも重くしている。このように、重量偏差部を底面274の開口278としても、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、いずれも重量偏差部を、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域の重量を他の領域の重量よりも重い構成としたが、噛合い方向を含む2つの領域の両方を他の領域の重量よりも重い構成としてもよい。
図19Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図19Bは、図19Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図19A及び図19Bに示すブラシモータ280は、重量偏差部として、筐体111の筒状部140に連結している底部142に2つの錘282、283が設けられている。錘282は、底部の鉛直方向上側の一定領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向上側の領域を含む領域)に配置されている。錘283は、底部の鉛直方向下側の一定領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域)に配置されている。また、錘282、283は、突起部144よりも外径側に形成された扇形状である。また、錘282、283は、ともに中心角が180度未満の扇形状であり、底面142の、回転軸を通り噛合い方向に直交する部分には錘が配置されていない。このように、重量偏差部として、錘282、283を設けることで、噛合い方向を含む2つの領域の重量をそれぞれ他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができる。このように、重量偏差部噛合い方向を含む2つの領域を共に他の領域の重量よりも重くすることでも、上記と同様の効果を得ることができる。
図20Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図20Bは、図20Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図20A及び図20Bに示すブラシモータ290は、重量偏差部として、筐体291の筒状部292に連結している底部293に2つの錘294、296が設けられている。ここで、本実施形態の筐体291は、軸受の径方向の外周側の部分をフランジから離れる方向に凸の形状とし、底面293を平坦な面とした。つまり、上述したように底面293に軸受に対応した突起部を設けずに、底面293の全体を軸受よりもフランジから離れた面とする。錘294は、底部の鉛直方向上側の一定領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向上側の領域を含む領域)に配置されている。錘296は、底部の鉛直方向下側の一定領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域)に配置されている。また、錘294、296は、回転軸の中心から一定距離以上離れた位置に形成された扇形状である。また、錘294、296は、ともに中心角が180度未満の扇形状であり、底面293の、回転軸を通り噛合い方向に直交する部分には錘が配置されていない。このように、重量偏差部として、錘294、296を設けることで、噛合い方向を含む2つの領域の重量をそれぞれ他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができる。このように、重量偏差部噛合い方向を含む2つの領域を共に他の領域の重量よりも重くすることでも、上記と同様の効果を得ることができる。また、筐体291の形状として、軸受をすきま嵌めするための突起部を形成しなくても上記と同様の効果を得ることができる。
図21Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図21Bは、図21Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図21A及び図21Bに示すブラシモータ300は、重量偏差部となる錘302が、筐体111の筒状部140に連結している筒状部140の底部142側の端部に設けられている。錘302は、回転軸を中心とした円周方向において、突出部144よりも外径側でかつ回転軸を中心とした円周方向において全周に配置されている。また、錘302は、回転軸を中心とした円周方向のおける位置に応じて、形状が変化する。具体的には、錘302は、噛合い方向を含む2つの領域に相当する、鉛直方向上側の領域を含む領域及び鉛直方向下側の領域を含む領域である部分302aは、突出部114から径方向の端部(筒状部140の近傍)まで配置されている。また、錘302は、噛合い方向に直交する方向を含む2つの領域である部分302bは、突出部114の周りの一部のみに配置されている。このように錘302は、噛合い方向を含む2つの領域の部分302aは底面142の径方向の全域に配置され、その他の領域である部分302bは、底面142の径方向外側の一部に錘が配置されていない形状である。つまり、錘302は、その他の領域の一部がくびれた形状である。また、錘302は、突出部144に圧入で固定されている。このように、重量偏差部を錘302としても、噛合い方向を含む2つの領域の重量をそれぞれ他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。つまり、重量偏差部は、錘302の一部が、噛合い方向を含む2つの領域以外の領域まで延在した形状であっても、噛合い方向を含む2つの領域の重量が他の領域の重量よりも重ければよい。また、錘302のように、錘302を圧入で筐体111に設けることで、錘302を筐体111により高い強度で固定することができる。
図22Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図22Bは、図22Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図22A及び図22Bに示すブラシモータ310は、重量偏差部となる錘312が、筐体111の筒状部140に連結している筒状部140の底部142側の端部に設けられている。錘312は、回転軸を中心とした円周方向において、底部142よりも外側でかつ回転軸を中心とした円周方向において全領域に配置されている。つまり、錘312は、筒状部140の径方向の外側に配置されたリング形状である。また、錘312は、回転軸を中心とした円周方向のおける位置に応じて、形状が変化する。具体的には、錘312は、噛合い方向を含む2つの領域に相当する、鉛直方向上側の領域を含む領域及び鉛直方向下側の領域を含む領域である部分312aは、噛合い方向に直交する方向を含む2つの領域である部分312bよりも、径方向に厚い形状である。このように錘312は、噛合い方向を含む2つの領域の部分312aは径方向の厚みがより厚い(太いリング形状)であり、その他の領域である部分302bは、径方向の厚みがより細い(細いリング形状)である。また、部分312aと部分312bは繋がっている。つまり、錘312は、その他の領域の一部がくびれた形状である。また、錘312は、筒状部140に溶接で固定されている。このように、重量偏差部を錘312としても、噛合い方向を含む2つの領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。つまり、重量偏差部は、錘312を、底面142の近傍または隣接した位置に配置することで、底面142に固定されていなくても、上記と同様の効果を得ることができる。
図23Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図23Bは、図23Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図23A及び図23Bに示すブラシモータ320は、重量偏差部を筐体321の一部に設けた構成である。ここで、筐体321は、筒状部322と底面324と突出部326とを有する。筐体321は、符号を省略したが筐体111と同様にフランジも有する。また、筐体321は、底面324の回転軸を中心とした円周方向において、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向上側の領域を含む領域に円周方向の外周側に突出した凸部327が設け。噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域に円周方向の外周側に突出した凸部328が設けられている。凸部327、328は、筒状部322の底部324の端部近傍から径方向の外側に突出している。凸部327、328は、円周方向の他の領域よりも外周側に突出しているため、凸部327、328が形成されている部分は、他の領域よりも重量が重くなる。このように、重量偏差部を筐体321に設けた凸部327、328としても、噛合い方向を含む2つの領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
図24Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図24Bは、図24Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図24A及び図24Bに示すブラシモータ330は、重量偏差部となる錘338を筐体331の内部に設けている。ここで、ブラシモータ330の筐体331は、筒状部332と底面334と突出部336とを有する。筐体331は、符号を省略したが筐体111と同様にフランジも有する。また、突出部336は、回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向上下側(上側及び下側)の部分のみが筒状部332の近傍まで延在した形状である。つまり、回転軸を中心とした径方向の大きさが、鉛直方向上下側の部分のみ他の方向よりも大きくなっている。このように、突出部336は、鉛直方向上下側に、軸受118bが配置される領域以外の領域が設けられている。錘338は、突出部336の領域のうち、軸受118bが配置される領域以外の領域に配置されている。つまり、錘338は、突出部336の軸受118bよりも鉛直方向上側の部分と鉛直方向下側の部分に配置されている。このように、重量偏差部を錘338としても、噛合い方向を含む2つの領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
図25Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図24Bは、図25Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図25A及び図25Bに示すブラシモータ340は、重量偏差部となる2つの錘341、342を筐体111の内部に設けている。錘341、342は、それぞれ、筐体111の筒状部140の筒状部140と底部142との連結部分の近傍に配置されたマグネットホルダの一部として設けられている。これにより、錘341、342は、マグネット飛散防止カバー113bに隣接して配置されている。なお、錘341は、回転軸を中心とした円周方向において、回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向上側の領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向上側の領域を含む領域)に配置されている。また、錘342は、回転軸を中心とした円周方向において、回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向下側の領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域)に配置されている。また、錘341、342は、回転軸の中心から一定距離以上離れた位置に形成された扇形状である。なお、錘341、342は、ともに中心角が180度未満の扇形状である。このため、重量偏差部は、回転軸を通り噛合い方向に直交する部分には錘が配置されていない構成となる。このように、重量偏差部を錘341、342としても、噛合い方向を含む2つの領域重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。つまり、重量偏差部は、錘341、342を、筐体111の内部の底面142の近傍または隣接した位置に配置することで、上記と同様の効果を得ることができる。なお、円周方向において錘341、342が配置されていない領域は、他の実施形態と同様のマグネットホルダが設けられている。
図26Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図26Bは、図26Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図26A及び図26Bに示すブラシモータ350は、重量偏差部となる2つの錘358、359、を筐体351の内部に設けている。ここで、ブラシモータ350の筐体351は、筒状部352と底面354と突出部356とを有する。筐体351は、符号を省略したが筐体111と同様にフランジも有する。また、筐体351は、底面354の回転軸を中心とした円周方向において、突出部356の外径側に、円周方向の外周側に突出した凸部357が設けられている。つまり、凸部357は、突出部356よりも径方向の外側にドーナッツ状に設けられている。錘358、359は、筐体151の凸部357の内部に配置されている。つまり、錘358、359は、マグネットホルダ113aよりも底部354側に設けられている。また、錘358は、回転軸を中心とした円周方向において、回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向上側の領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向上側の領域を含む領域)に配置されている。また、錘359は、回転軸を中心とした円周方向において、回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向下側の領域(噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域)に配置されている。また、錘358、359は、回転軸の中心から一定距離以上離れた位置に形成された扇形状である。なお、錘358、359は、ともに中心角が180度未満の扇形状である。このため、重量偏差部は、回転軸を通り噛合い方向に直交する部分には錘が配置されていない構成となる。このように、重量偏差部を錘358、359としても、噛合い方向を含む2つの領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。つまり、重量偏差部は、錘358、359を、筐体351の内部の底面354に突出部356とは別に形成した凸部357に配置することで、上記と同様の効果を得ることができる。
図27Aは、ブラシモータの他の例の概略構成を説明するための説明図であり、図27Bは、図27Aに示すブラシモータを底部側から見た説明図である。図27A及び図27Bに示すブラシモータ360は、重量偏差部を筐体361の一部に設けた構成である。筐体361は、筒状部362と底面364と突出部366とを有する。筐体361は、符号を省略したが筐体111と同様にフランジも有する。筐体361は、底面364の回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向上側の部分のみに開口368が形成さている。なお、開口368は、円周方向に隣接して複数の開口368、本実施形態では、4つの開口368が形成されている。このように、筐体361は、回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向に直交する一方の方向を含む領域の底面364に開口367を形成し、鉛直方向に直交する他方の方向を含む領域の底面364に開口368を形成する。また、筐体361は、回転軸を中心とした円周方向において鉛直方向上側を含む領域及び鉛直方向下側を含む領域には開口を形成しない。これにより、筐体361は、底面364の噛合い方向を含む2つの領域の重量を他の領域の重量よりも重くしている。このように、重量偏差部を底面364の開口367、368としても、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域の重量を他の領域の重量よりも重い重量偏差部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、重量偏差部の構成を、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向下側の領域を含む領域のみの重量を他の領域の重量よりも重くした構成、噛合い方向を含む2つの領域の重量を他の領域の重量よりも重くした構成のいずれかとしたが、噛合い方向を含む2つの領域のうち鉛直方向上側の領域を含む領域のみの重量を他の領域の重量よりも重くした構成としてもよい。つまり、噛合い方向を含む2つの領域のうち少なくとも一方の領域の重量を他の領域の重量よりも重くした構成とすればよい。また、上記実施形態では、噛合い方向が鉛直方向上下方向となる例で説明したがこれにも限定されない。噛合い方向がいずれの方向の場合でも、噛合い方向を含む2つの領域のうち少なくとも一方の領域の重量を他の領域の重量よりも重くした構成とすることで、上述した効果を得ることができる。なお、本実施形態のように、噛合い方向が鉛直方向上下方向となることで、上記効果をより好適に得ることができる。
また、上記実施形態のように、電動モータをブラシモータとすることで、振動を抑制する効果をより好適に得ることができるが、電動モータはこれに限定されない。電動モータにはブラシレスモータを用いることもできる。