JP2014103038A - 電池用セパレータ、その製造方法、およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

電池用セパレータ、その製造方法、およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性と機械的強度に優れたガラス織布などの無機繊維で形成された織布と有機高分子材料を複合化した電池用セパレータを、複合化する有機高分子材料の組成および/または量を制御しながら、容易に製造できる方法を提供する。
【解決手段】無機繊維と熱可塑性高分子材料の繊維を複合化した複合糸を作製し、この複合糸を織ることで電池用セパレータとなる織布を形成し、熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱して電池用セパレータを製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池用のセパレータ、その製造方法、および、この電池用セパレータを有するリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電子機器、電動器具、輸送機器などのエネルギー源として広く使用され、現在もエネルギー密度を向上させる開発が続いている。リチウムイオン二次電池は、従来の電池と比べて充電状態でのエネルギー密度が高いことから、通常使用時はもちろんのこと、異常時においても重大な事故とならない安全性が求められる。
リチウムイオン二次電池において、セパレータは、リチウムイオンの透過性は維持しながら、正極と負極の間の短絡を防止する機能を担っている。したがって、セパレータが破損して、正極と負極が物理的に接触すると、大きな短絡電流が流れて、電池の発熱、発煙、発火、さらには爆発を引き起こす恐れがある。
リチウムイオン二次電池のセパレータとしては、主に、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系材料の微多孔膜が用いられている。
一方で、従来よりも高いエネルギー密度をもつリチウムイオン二次電池の安全性を向上させるために、高耐熱性、高強度のセパレータ基材としてガラス織布を用いることが検討されている。ガラス織布は強度が高く、融点も電子基板材料用の無アルカリガラス(Eガラス)で800℃以上と高く、耐熱性にも優れている。また、エネルギー密度を高めるためにはセパレータは薄いことが望ましいが、既に厚さが20μm以下のガラス織布が販売されており、薄膜化が可能である。しかしながら、ガラス織布はガラス繊維を束ねた糸を織ったものであるため、セパレータとするために切断加工すると、切断部から織り目が崩れてほつれてしまうことがあり、また、電池の組み立て工程で変形してしまうこともある。そのため、特に電極外周部で短絡が生じることが懸念される。また、セパレータに圧力が加わると、ガラス織布の織り目が変形して、凹凸の大きい電極では上下の電極がガラス織布の織り目の穴、いわゆる目開きや、糸と糸の空隙から短絡する恐れがある。
また、ガラス織布と有機高分子材料、特には熱可塑性高分子材料を複合化したセパレータも検討されている。
特許文献1(特開平10−12211号公報)には、特定の高分子量のポリオレフィンからなるポリオレフィン微多孔膜に、特定の物性のガラス繊維の織布(または不織布)を積層した電池セパレータ用複合膜が開示されており、積層処理は、通常のカレンダー処理により行われている。
特許文献2(特開2004−269579号公報)には、リチウム電池用のセパレータに好適な微多孔膜として、ポリオレフィンと溶媒とからなる組成物から形成されたフィルム層を、ガラス繊維織物に適用し(ガラス繊維織物に塗布あるいは重ね合わせる)、プレスして組成物をガラス繊維織物に含浸し、冷却して、次いで、脱溶媒して多孔化して得られるガラス繊維織物補強ポリオレフィン微多孔膜が開示されている。
また、特許文献3(特許第4606705号公報)には、有機高分子、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、PVdF共重合体と、ガラスクロス(ガラス織布)からなる非水系二次電池用セパレータが開示されており、このセパレータは、有機高分子を溶剤に溶解して調製した製膜用ドープをガラスクロスに含浸・塗布し、これを溶媒の水溶液に浸漬して凝固させ、次いで水洗、乾燥を行うことで製造される。
特許文献4(特許第4831937号公報)には、開繊処理を施したガラスクロスを基材とし、このガラスクロスの表裏に、特定の有機高分子、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、PVdF共重合体からなる層が電解液を担持した状態もしくは担持していない状態で一体化されているリチウムイオン二次電池用セパレータが開示されており、このセパレータは、有機高分子を溶媒に溶解して調製したドープ(溶液)をガラスクロスに含浸・塗布し、これを乾燥して溶媒を除去することで、または、上記特許文献3と同様の方法で製造される。
特許文献5(特許第4215718号公報)にも、上記特許文献3と同様の非水系二次電池用セパレータの製造方法が開示されている。
さらに、織布の他に、ガラスの短繊維をバインダで結着させた不織布もセパレータとして検討されているが、ガラス不織布は、通常、ガラス織布と比べると強度が低く、外力によって破断しやすい傾向がある。
一方で、サイクル寿命の向上を目的として、電解液中に正極などから溶出した金属イオン(陽イオン)を吸収・捕捉する機能を有するキレート化剤をセパレータ(具体的には、ポリオレフィン系微多孔膜などの合成樹脂微多孔膜)に含有させることが特許文献6(特開2004−63123号公報)に開示されている。セパレータにキレート化剤を含有させる方法としては、キレート化剤を溶媒に溶解して調製した溶液をセパレータの表面に塗布するか、または内部に含浸させる(溶液中にセパレータを浸漬する)方法が記載されている。
特許文献7(特開2009−266557号公報)には、第1および第2の多孔質フィルム(具体的には、ポリオレフィン樹脂からなる多孔質フィルムなど)の間に、側鎖にキレート形成性のアセトアセチル基を有する架橋ポリマーからなる層が配置されている電池用セパレータが開示されている。
特開平10−12211号公報 特開2004−269579号公報 特許第4606705号公報 特許第4831937号公報 特許第4215718号公報 特開2004−63123号公報 特開2009−266557号公報
従来、ガラス織布と有機高分子材料を複合化したセパレータは、ガラス織布に有機高分子材料の膜を積層するか、または、有機高分子材料と溶媒を含む溶液をガラス織布に塗布した後、または、有機高分子材料と溶媒を含む溶液にガラス織布を浸漬した後に、乾燥(溶媒除去)することで製造されている(特許文献1〜5)。しかしながら、従来の方法では、セパレータの製造工程が複雑であり、また、複合化する有機高分子材料の組成および/または量の細かな制御が難しい。例えば、セパレータ平面内で有機高分子材料に分布を持たせた(すなわち、有機高分子材料の組成および/または量が不均一である)セパレータを得ることは難しい。また、従来の方法では、複数種類の有機高分子材料とガラス織布を複合化することも、複数種類の有機高分子材料を溶解する溶媒の選択に限りがあることや、有機高分子材料の融点の違いにより制約されるため、難しい。
一方で、ガラス織布と有機高分子材料を複合化したセパレータにおいて、破損防止のために十分な強度を確保するには有機高分子材料の量を多くすることが望ましいが、有機高分子材料の量を多くすると、セパレータの重量が増加してしまうことになり、また、セパレータが厚くなることがある。リチウムイオン二次電池の軽量化・小型化も求められており、破損が抑制され、且つ、軽量で薄いセパレータが求められている。
また、キレート化剤をセパレータに含有させることも提案されているが、特許文献6、特許文献7のいずれも、ポリオレフィン系材料のセパレータであり、ガラス織布のセパレータと比べて耐熱性および強度が低い。さらに、特許文献6に記載の方法では、キレート化剤を溶媒に溶解した溶液をセパレータの表面に塗布するか、または溶液中にセパレータを浸漬するが、この方法では、セパレータ(ポリオレフィン系微多孔膜)が目詰まりする恐れがあるので、多量のキレート化剤をセパレータに含有させることは難しい。特許文献7に記載の方法では、セパレータの構造が複雑になり、セパレータが厚くなることがある。また、ポリオレフィン系多孔質フィルムに代えて、キレート作用を有する架橋ポリマーをガラス織布で挟むと、キレート作用を有する架橋ポリマーがガラス織布の目開きから散逸する恐れがある。
そこで、本発明の第1の目的は、ガラス織布などの無機繊維で形成された織布と有機高分子材料を複合化した電池用セパレータを、複合化する有機高分子材料の組成および/または量を制御しながら、また、セパレータ平面内で分布を持たせて、容易に製造できる方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、ガラス織布などの無機繊維で形成された織布と有機高分子材料を複合化した電池用セパレータであって、セパレータ平面内で有機高分子材料に分布を持たせた、すなわち、有機高分子材料の組成および/または量が不均一であるセパレータを提供することである。
また、本発明の第3の目的は、ガラス織布などの無機繊維で形成された織布と有機高分子材料を複合化した電池用セパレータであって、破損が抑制され、且つ、軽量で薄いセパレータを提供することである。
また、本発明の第4の目的は、耐熱性および機械的強度に優れ、キレート化剤などの機能性材料を多量に含有し、しかも薄い電池用セパレータ、及びその製造方法を提供することである。
本発明の第一の実施形態は、電池用セパレータの製造方法であって、
少なくとも、無機繊維1種または2種以上と、熱可塑性高分子材料を含む繊維1種または2種以上を複合化した複合糸を作製する工程と、
前記複合糸を織ることで、電池用セパレータとなる織布を形成する工程と、
前記織布を熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱する工程と、
を含むことを特徴とする電池用セパレータの製造方法に関する。
本発明の第二の実施形態は、電池用セパレータの製造方法であって、
少なくとも熱可塑性高分子材料と無機繊維とを含む織布に、キレート作用を有し、融点が前記熱可塑性高分子材料の融点を超える温度であるキレート材料を含む粒子または繊維を接触させ、これを前記熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱する工程を含むことを特徴とする電池用セパレータの製造方法に関する。
本発明の第三の実施形態は、電池用セパレータの製造方法であって、
少なくとも熱可塑性高分子材料と無機繊維とを含む織布に、前記熱可塑性高分子材料の融点を超える温度で分解して気体を発生させるガス発生材料を含む粒子または繊維を接触させ、これを前記熱可塑性高分子材料の融点以上、かつ前記ガス発生材料のガス発生温度未満に加熱する工程を含むことを特徴とする電池用セパレータの製造方法に関する。
本発明の第四の実施形態は、本発明の第一の実施形態の製造方法、第二の実施形態の製造方法、または第三の実施形態の製造方法により製造される電池用セパレータに関する。
本発明の第五の実施形態は、少なくとも、熱可塑性高分子材料と、無機繊維で形成された織布を含む電池用セパレータであって、
前記熱可塑性高分子材料と前記無機繊維が複合化されており、
セパレータ平面内において、前記熱可塑性高分子材料の組成および量の少なくとも一方が不均一であることを特徴とする電池用セパレータに関する。
また、少なくとも、熱可塑性高分子材料と、無機繊維で形成された織布を含む電池用セパレータであって、
前記熱可塑性高分子材料と前記無機繊維が複合化されており、
セパレータの外縁部の熱可塑性高分子材料の量が、セパレータの中心部の熱可塑性高分子材料の量よりも相対的に多いことを特徴とする電池用セパレータにも関する。
本発明の第六の実施形態は、本発明の第五の実施形態の電池用セパレータ、または第六の実施形態の電池用セパレータを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池に関する。
本発明によれば、ガラス織布などの無機繊維で形成された織布と有機高分子材料を複合化した電池用セパレータを、複合化する有機高分子材料の組成および/または量を制御しながら、また、セパレータ平面内で分布を持たせて、容易に製造できる方法を提供することができる。
また、本発明によれば、ガラス織布などの無機繊維で形成された織布と有機高分子材料を複合化した電池用セパレータであって、セパレータ平面内で有機高分子材料に分布を持たせた、すなわち、有機高分子材料の組成および/または量が不均一であるセパレータを提供することができる。また、それによって、破損が抑制され、且つ、軽量で薄いセパレータを提供することができる。
また、本発明によれば、耐熱性および機械的強度に優れ、キレート化剤などの機能性材料を多量に含有し、しかも薄い電池用セパレータ、及びその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態の電池用セパレータの製造方法を示すフロー図である。 ガラス繊維と高分子材料の繊維を複合化した糸(複合糸)で製織したガラス織布の一例の模式図である。 セパレータの外縁部で熱可塑性高分子材料の量が多くなるように製織したガラス織布の平面模式図である。
本発明の一実施形態の電池用セパレータの製造方法を示すフロー図を図1に示す。この製造方法では、まず、無機繊維(例えば、ガラスの繊維)と熱可塑性高分子材料を含む繊維(熱可塑性高分子材料の繊維とも言う。)を複合化した糸(複合糸)を作製し、この複合糸を織ることで、電池用セパレータとなる織布を形成する。熱可塑性高分子材料の繊維は、1種または2種以上の熱可塑性高分子材料を含み、さらに、熱可塑性高分子材料以外の有機材料1種または2種以上、および/または無機材料1種または2種以上を含んでもよい。また、無機繊維および熱可塑性高分子材料の繊維と共に、熱可塑性高分子材料以外の有機材料(例えば、キレート樹脂等の有機高分子材料)の繊維を複合化してもよい。そして、製織した織布を熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱して、熱可塑性高分子材料を溶融させ、その後、冷却して再固化させて無機繊維同士を固着させる。これにより、熱可塑性高分子材料を無機繊維の間に浸透させて織布の織り目を固定することができ、織布切断時の糸のほつれや、電池組み立て工程でのセパレータの変形を防止することができる。さらに、電池の使用中に、セパレータの織り目が緩んで目開きが拡大することによって内部ショートが起こることを防止できる。そして、必要に応じて、織布を所定の寸法に切断して電池用セパレータを得る。得られる電池用セパレータは、熱可塑性高分子材料と無機繊維が複合化されており、耐熱性および機械的強度に優れるものである。
本発明の製造方法によれば、熱可塑性高分子材料を含む有機高分子材料を予め無機繊維と複合化しているため、複合化する有機高分子材料の組成および/または量をより正確に制御して、電池用セパレータを製造することができる。また、例えば、有機高分子材料の複合量に依存するセパレータの柔軟性や、目開きの埋め込み具合を制御することができる。
本発明においては、2種以上の熱可塑性高分子材料の繊維を用いて複合糸を作製してもよい。また、織布を、熱可塑性高分子材料の組成および量の少なくとも一方が異なる複数種類の複合糸を用いて形成することもできる。本発明においては、従来の方法とは異なり、特に制約を受けることなく、複数種類の有機高分子材料を用いることができる。
図2に、ガラス繊維と高分子材料(熱可塑性高分子材料)の繊維を複合化した糸で製織したガラス織布の一例の模式図を示す。このガラス織布は、熱可塑性高分子材料の量が異なる2種類の複合糸を縦糸と横糸として用いて形成されている。
熱可塑性高分子材料の組成および量の少なくとも一方が異なる複数種類の複合糸を用いて織布を製織することにより、セパレータ平面内で有機高分子材料に分布を持たせた、すなわち、有機高分子材料の組成および/または量が不均一であるセパレータを容易に得ることができる。
本発明の一実施形態の電池用セパレータは、熱可塑性高分子材料と無機繊維で形成された織布を含み、熱可塑性高分子材料と無機繊維は複合化されており、セパレータ平面内において、前記熱可塑性高分子材料の組成および量の少なくとも一方が不均一である。例えば、本発明の一実施形態の電池用セパレータは、セパレータの外縁部から中心に向かって、熱可塑性高分子材料の量が減少する部分を有することができる。
有機高分子材料の組成および/または量が不均一である電池用セパレータを製造する場合、複数個の同一の電池用セパレータが得られるように、織布平面内において熱可塑性高分子材料の組成および/または量が電池用セパレータの寸法(セパレータの切断寸法)と一致した周期で変化している織布を、熱可塑性高分子材料の組成および量の少なくとも一方が異なる複数種類の複合糸を用いて形成し、これを熱可塑性高分子材料の分布に合わせて所定の寸法に切断して電池用セパレータを得ることも好ましい。
また、電極の平面が接触するセパレータの中心部と比べて、セパレータの外縁部は、電極の縁が当たるため、穴が開いたり、裂け目が入ったりしやすい傾向がある。セパレータ全域ではなく、このセパレータの破損しやすい個所、すなわちセパレータの外縁部のみ熱可塑性高分子材料を多く複合化して十分な強度を持たせることにより、セパレータ全体の重量増加を抑制しながら、セパレータの破損を防止することができる。すなわち、セパレータの外縁部の熱可塑性高分子材料の量を、セパレータの中心部の熱可塑性高分子材料の量よりも相対的に多くすることにより、破損が抑制され、且つ、軽量で薄いセパレータを得ることができる。ここで、熱可塑性高分子材料を多く複合化する領域は、通常、セパレータの外縁から内側に幅1mmまでの領域、より好ましくはセパレータの外縁から内側に幅1.5mmまでの領域であればよい。
図3に、セパレータの外縁部で高分子材料(熱可塑性高分子材料)の量が多くなるように製織したガラス織布の平面模式図を示す。このガラス織布を、高分子材料繊維が少ない領域(すなわち高分子材料の量が少ない領域)を囲む高分子材料繊維が多い領域(すなわち高分子材料の量が多い領域)で切断することで、セパレータの中心部よりも外縁部の熱可塑性高分子材料の量が相対的に多い電池用セパレータが得られる。
なお、本発明の製造方法は、セパレータ面内で熱可塑性高分子材料が均一に分布している電池用セパレータの製造にも好適に適用できる。
本発明において、無機繊維は特に限定されないが、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維はその組成により分類されるが、本発明においては、強度が高いため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。
熱可塑性高分子材料は、電解液に対して耐性があることが必要であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエステルから選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。用いる熱可塑性高分子材料は1種であっても、2種以上を用いてもよい。
無機繊維、好ましくはガラス繊維と、熱可塑性高分子材料の繊維の複合化は、通常の糸の製造方法による交撚や混紡で行うことができる。例えば、溶融したガラスからガラスの単繊維を作り、これを複数本束ねて撚りをかけてヤーンとするときに、熱可塑性高分子材料の繊維を同時に巻き込むことで、複合糸を作製することができる。また、ガラス織布を製織するにはヤーンを用いることが一般的であるが、撚りをかけずに繊維を引きそろえたロービングに熱可塑性高分子材料の繊維を入れ込むこともできる。
織布の織り方としては、例えば平織、綾織、朱子織、からみ織、模紗織、破れ斜紋織、二重織などが挙げられる。なかでも、平織が、薄い織布の製造に適しており、薄いセパレータを容易に得ることができるため、好ましい。
製織した織布は、熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱する熱処理前に開繊処理を施すことで、熱可塑性高分子材料が溶融したときに織り目の内部に浸透しやすくなる。また、開繊により糸を広げることで、目開きを小さくする作用もある。開繊処理は、ローラープレスや、流水の力を利用する方法など、通常のガラス織布の開繊と同じ方法を用いて行うことができる。
製織した織布は熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱する。織布の加熱温度は、熱可塑性高分子材料の融点以上であればよく、適宜決めることができるが、ガス発生材料を用いる場合は、ガス発生材料のガス発生温度未満にする。また、キレート材料などの機能性材料を用いる場合は、通常、その融点未満にすることが好ましい。なお、織布の加熱時間も適宜決めることができる。
熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱した織布は、冷却した後、必要に応じて、所定の寸法に切断して電池用セパレータを得る。この工程では、例えば、まずスリッタでセパレータの幅に織布を切断してから、セパレータの長さで切断することができる。あるいは、セパレータの寸法に合わせたトムソン刃や金型で織布を打ち抜くこともできる。
形成するセパレータの厚さは、15μm以上50μm以下が好ましい。通常、セパレータの厚さが15μm以上であれば、十分な強度が得られる。強度の面では厚さが大きいと有利であるが、電池の体積当たり、あるいは重量当たりのエネルギーが低下するため、セパレータの厚さは50μm以下であることが好ましい。
上述のとおり、複数種類の熱可塑性高分子材料を無機繊維と複合化することも好ましい。また、熱可塑性高分子材料を少なくとも1種用いれば、熱可塑性高分子材料以外の有機高分子材料1種または2種以上を複合化することもできる。複数種類の有機高分子材料を含ませることにより、セパレータに新しい機能を付与することができる。複数種類の有機高分子材料を含むセパレータを製造する場合、複数種類の有機高分子材料を無機繊維と複合化して複合糸を作製し、これを用いて電池用セパレータとなる織布を形成してもよいし、または、複合化する有機高分子材料を変えて複数種類の複合糸を作製し、これらの複数種類の複合糸を用いて電池用セパレータとなる織布を形成してもよい。
ガラス繊維などの無機繊維と、機能性高分子材料の繊維または機能性材料を含む繊維を複合化した複合糸を用いて織布を製織し、電池用セパレータを得ることにより、耐熱性および機械的強度に優れ、機能性材料を多量に含有し、より高機能であるセパレータを容易に得ることができる。
例えば、遷移金属イオンを捕捉する機能、すなわちキレート作用を有し、融点が熱可塑性高分子材料の融点を超える温度であるキレート材料を含む複合糸を用いることができる。
電解液中に正極から遷移金属が溶出すると、正極活物質の結晶構造が変化して電池容量が低下することがあり、また、溶出した遷移金属イオンが負極表面で析出して内部短絡の原因となることもある。さらに、電解液中の支持塩と反応して酸を生成し、正極からの遷移金属の溶出を促進してしまうこともある。無機繊維同士を固着させ、織り目を固定するための熱可塑性高分子材料の他に、熱可塑性高分子材料の融点よりも高い融点を持ち、キレート作用を有する材料(キレート材料)を含む複合糸を用いてセパレータを形成することで、電解液中に正極から溶出した遷移金属イオンがキレート材料によって捕捉されるため、電池寿命が向上する。
キレート材料を含む繊維、例えばキレート作用を有する高分子材料(キレート樹脂)の繊維は、熱可塑性高分子材料の繊維と共に無機繊維と複合化してもよいし、単独で無機繊維と複合化してもよい。
キレート材料を含む繊維(すなわち、キレート作用を有する繊維)は公知の方法で作製することができる。例えば、高分子材料の繊維の表面を、キレート作用を有する官能基で修飾する方法、キレート材料またはキレート樹脂の微粒子を混合した原料から高分子材料の繊維を製造する方法、キレート作用を有する高分子を繊維に浸透させる方法で作製することができる。
キレート作用を有する高分子材料は、例えば、ベースとなる有機高分子材料の表面を、キレート作用を有する官能基で修飾することで製造することができる。キレート作用を有し、遷移金属イオンの捕捉能が大きく、Liイオンを捕捉しにくい官能基としては、イミノ二酢酸や、ポリアミンが官能基として導入されたものが挙げられる。
キレート作用を有する高分子材料は、電解液に対して耐性があることが必要であり、また、熱可塑性高分子材料よりも高い耐熱性を有することが必要である(すなわち、熱可塑性高分子材料の融点よりも高い融点を有することが必要である)。キレート作用を有する高分子材料としては、合成高分子材料ではスチレン−ジビニルベンゼン共重合体をベースとするものが好ましく、天然高分子材料ではセルロースをベースとするものが好ましい。
上述のとおり、キレート材料を含むセパレータを用いることで、電池の長寿命化を実現することができる。キレート材料を含むセパレータは、キレート作用を有する有機高分子材料を繊維状にして、無機繊維と共に、または無機繊維と熱可塑性高分子材料の繊維と共に製織して電池用セパレータとなる織布を形成し、これを熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱し、冷却して再固化させた後、必要に応じて所定の寸法に切断することで得ることができる。また、無機繊維と熱可塑性高分子材料を含む織布、好ましくは無機繊維と熱可塑性高分子材料の繊維を複合化した複合糸を用いて形成された織布に、キレート作用を有し、熱可塑性高分子材料の融点よりも高い融点を持つキレート材料を含む粒子または繊維を接触(付着)させ、これを熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱し、冷却後、必要に応じて所定の寸法に切断する方法でも得ることができる。
キレート反応は材料の表面で起きるので、キレート作用を有する材料の単位重量当たり、あるいは単位体積当たりの金属イオンの捕捉量は、材料の表面積が大きい方が多くなる傾向がある。そのため、フィルム状よりも、キレート材料を繊維や粒子状にしてセパレータに複合化することで、多量の遷移金属イオンを捕捉することができ、その結果、電池寿命がより向上する。また、絶縁機能とキレート作用がそれぞれ別の材料に担われているので、キレート作用の付加はセパレータの絶縁機能に影響しない。
キレート作用以外の機能をもつ繊維や粒子も、キレート材料と同様に、セパレータに固定・含有させることができる。
例えば、高温になると分解して気体を発生するガス発生材料を用いることができる。ガス発生材料をセパレータに固定・含有させることで、電池の温度が異常に上がったときにガス発生材料が分解して発生する気体によって電池の正極と負極の間隔が広がり、イオンの伝導が遮断されるため、異常動作時(異常発熱時)の安全性が向上する。
ガス発生材料は、分解温度以下、すなわち気体発生温度以下でセパレータに固定・含有させる必要がある。したがって、ガス発生材料としては、気体発生温度が用いる熱可塑性高分子材料の融点よりも高いもの(すなわち、熱可塑性高分子材料の融点を超える温度で分解して気体を発生させるもの)を用いる。
ガス発生材料としては、特に限定されないが、熱可塑性高分子材料の融点を超える温度から約200℃までの温度においてガスを発生する材料が特に好ましい。
上述のとおり、熱可塑性高分子材料としてポリエチレンを用いることができるが、気体発生温度がポリエチレンの融点よりも高く、かつ約200℃以下であるガス発生材料の具体例としては、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ヒドラゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
ガス発生材料を含むセパレータは、ガス発生材料を含む複合糸を用いて電池用セパレータとなる織布を製織することで得ることができる。具体的には、ガス発生材料の粒子を含む熱可塑性高分子材料の繊維を作製し、無機繊維と共に製織して電池用セパレータとなる織布を形成し、これを熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱し、冷却して再固化させた後、必要に応じて所定の寸法に切断することで得ることができる。また、無機繊維と熱可塑性高分子材料を含む織布、好ましくは無機繊維と熱可塑性高分子材料の繊維を複合化した複合糸を用いて形成された織布に、ガス発生材料を含む粒子または繊維を接触(付着)させ、これを熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱し、冷却後、必要に応じて所定の寸法に切断する方法でも得ることができる。
ガス発生材料は、表面積が大きい方が短時間で気体を発生させる傾向があるので、繊維や粒子状にしてセパレータに複合化することで、異常な温度上昇に短時間で反応でき、その結果、異常動作時(異常発熱時)の安全性がより向上する。
本発明の電池用セパレータは、種々の電池に好適に用いることができ、例えばリチウムイオン二次電池に好適に用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明のセパレータを有するものであり、セパレータに特徴があって、それ以外の電池を構成する要素、例えば正極や負極を構成する材料、電解液を構成する材料や、捲回タイプや積層タイプといった電池の構造は特に限定されない。以下、二次電池を構成する正極、負極、電解液、外装体の一例について説明するが、これらに限定されるものではない。
本実施形態のリチウム二次電池の形状は、円筒型、扁平捲回角型、積層角型、コイン型、扁平捲回ラミネート型および積層ラミネート型のいずれでもよい。これらのうち、二次電池の形状は、セパレータが破れ難い観点から、積層ラミネート型であることが好ましい。
本実施形態のリチウム二次電池は、負極活物質を有する負極を備える。負極活物質は負極用結着材によって負極集電体上に結着されることができる。
本実施形態における負極活物質は、特に制限されるものではなく、例えば、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る炭素材料(a)、リチウムと合金可能な金属(b)、又はリチウムイオンを吸蔵、放出し得る金属酸化物(c)等が挙げられる。
炭素材料(a)としては、例えば、炭素、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い炭素は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
金属(b)としては、例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。本実施形態では、負極活物質としてスズ若しくはシリコンを含むことが好ましく、シリコンを含むことがより好ましい。その理由として、本実施形態の蓄電デバイス用セルロースに含まれるリン酸残基はスズやシリコンと反応し難いため、不可逆容量が増大するのを抑制することができるからである。
金属酸化物(c)としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。本実施形態では、負極活物質として酸化スズ若しくは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンは、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。また、金属酸化物(c)に、窒素、ホウ素およびイオウの中から選ばれる一種または二種以上の元素を、例えば0.1〜5質量%添加することもできる。こうすることで、金属酸化物(c)の電気伝導性を向上させることができる。
金属酸化物(c)は、その全部または一部がアモルファス構造を有することが好ましい。アモルファス構造の金属酸化物(c)は、他の負極活物質である炭素材料(a)や金属(b)の体積膨張を抑制することができる。このメカニズムは明確ではないが、金属酸化物(c)がアモルファス構造であることにより、炭素材料(a)と電解液の界面への皮膜形成に何らかの影響があるものと推定される。また、アモルファス構造は、結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する要素が比較的少ないと考えられる。なお、金属酸化物(c)の全部または一部がアモルファス構造を有することは、エックス線回折測定(一般的なXRD測定)にて確認することができる。具体的には、金属酸化物(c)がアモルファス構造を有しない場合には、金属酸化物(c)に固有のピークが観測されるが、金属酸化物(c)の全部または一部がアモルファス構造を有する場合が、金属酸化物(c)に固有ピークがブロードとなって観測される。
また、炭素材料(a)、金属(b)、金属酸化物(c)を同時に用いる場合、本実施の形態における負極活物質は、金属(b)はシリコンであり、金属酸化物(c)は酸化シリコンであることが好ましい。さらに、負極活物質は、シリコン、酸化シリコン及び炭素材料の複合体(以下、Si/SiO/C複合体とも称す)からなることが好ましい。また、あらかじめ、負極活物質が、リチウムを化学的・熱的にドープした材料を用いることも可能である。例えば、化学的ドープは、リチウム金属あるいはリチウム化合物を含んだ溶媒と還元剤を用いて、活物質に強制的にリチウムをドープする方法で得られることが出来る。また、熱ドープは、負極活物質とリチウム金属を接触させ、全体を温めることによって、負極活物質にリチウムをドープさせることが出来る。
Si/SiO/C複合体において、例えば、酸化シリコンの全部または一部がアモルファス構造であり、シリコンはその全部または一部が酸化シリコン中に分散している。このようなSi/SiO/C複合体は、例えば、特開2004−47404号公報で開示されているような方法で作製することができる。すなわち、Si/SiO/C複合体は、例えば、酸化シリコンをメタンガスなどの有機物ガスを含む雰囲気下でCVD処理を行うことで得ることができる。このような方法で得られるSi/SiO/C複合体は、シリコンを含む酸化シリコンからなる粒子の表面がカーボンで被覆された形態となる。また、シリコンは酸化シリコン中にナノクラスター化している。
Si/SiO/C複合体において、炭素材料、シリコンおよび酸化シリコンの割合は、特に制限はない。炭素材料は、Si/SiO/C複合体に対し、2質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは2質量%以上30質量%以下である。シリコンは、Si/SiO/C複合体に対し、5質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上50質量%以下とすることがより好ましい。酸化シリコンは、Si/SiO/C複合体に対し、5質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、40質量%以上70質量%以下とすることがより好ましい。
また、Si/SiO/C複合体は、炭素材料、シリコンおよび酸化シリコンの混合物からなることができる。例えば、Si/SiO/C複合体は、それぞれの炭素材料、シリコンおよび酸化シリコンが粒子状のものを混合して得ることができる。例えば、シリコンの平均粒子径は、炭素材料の平均粒子径および酸化シリコンの平均粒子径よりも小さい構成とすることができる。このようにすれば、充放電時に伴う体積変化の大きいシリコンが相対的に小粒径となり、体積変化の小さい炭素材料や酸化シリコンが相対的に大粒径となるため、デンドライト生成および合金の微粉化がより効果的に抑制される。また、充放電の過程で大粒径の粒子、小粒径の粒子、大粒径の粒子の順にリチウムが吸蔵、放出されることとなり、この点からも、残留応力、残留歪みの発生が抑制される。シリコンの平均粒子径は、例えば20μm以下とすることができ、15μm以下とすることが好ましい。
負極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸等を用いることができる。金属(b)、金属酸化物(c)を負極活物質として用いる場合には、中でも、結着性が強いことから、ポリイミドまたはポリアミドイミドを用いることが好ましい。また、このとき使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、5〜25質量部が好ましい。
負極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銅、銀、およびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
負極は、負極集電体上に、負極活物質と負極用結着剤を含む負極活物質層を形成することで作製することができる。負極活物質層の形成方法としては、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法などが挙げられる。予め負極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、負極としてもよい。
正極は、例えば、正極活物質が正極用結着剤によって正極集電体を覆うように結着されてなる。
本実施形態における正極活物質は、特に制限されるものではなく、LiMnO、LixMn(0<x<2)、LiMnO、LixMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造を持つマンガン酸リチウムまたはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoO、LiNiOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;LiNi1/3Co1/3Mn1/3などの特定の遷移金属が半数を超えないリチウム遷移金属酸化物;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;LiFePOなどのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。また、これらの金属酸化物に、Al、Fe,P,Ti,Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。特に、LiαNiβCoγAlδ(1≦α≦2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)またはLiαNiβCoγMnδ(1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6、γ≦0.2)が好ましい。正極活物質は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
また、ラジカル材料等を正極活物質として用いることも可能である。
正極用結着剤としては、負極用結着剤と同様のものと用いることができる。中でも、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、2〜15質量部が好ましい。
正極集電体としては、負極集電体と同様のものを用いることができる。
正極活物質を含む正極活物質層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。
本実施形態で用いる電解液は、少なくとも支持塩と、この支持塩を溶解する非水溶媒を含む。
非水溶媒としては、例えば、炭酸エステル(鎖状又は環状カーボネート)、カルボン酸エステル(鎖状又は環状カルボン酸エステル)、リン酸エステル等の非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
炭酸エステル溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体が挙げられる。
カルボン酸エステル溶媒としては、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
これらの中でも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の炭酸エステル(環状または鎖状カーボネート類)が好ましい。
リン酸エステルとしては、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等が挙げられる。
また、非水電解液に含有できる溶媒としては、その他にも、例えば、エチレンサルファイト(ES)、プロパンサルトン(PS)、ブタンスルトン(BS)、ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド(Dioxathiolane−2,2−dioxide;DD)、スルホレン、3−メチルスルホレン、スルホラン(SL)、無水コハク酸(SUCAH)、無水プロピオン酸、無水酢酸、無水マレイン酸、ジアリルカーボネート(DAC)、2,5−ジオキサヘキサンニ酸ジメチル、2,5−ジオキサヘキサンニ酸ジメチル、フラン、2,5−ジメチルフラン、ジフェニルジサルファイド(DPS)、ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン(DMM)、ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン、クロロエチレンカーボネート、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、ジエチルエーテル、フェニルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、テトラヒドロピラン(THP)、1,4−ジオキサン(DIOX)、1,3−ジオキソラン(DOL)、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、メチルジフルオロアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、メチルフォルメイト、エチルフォルメイト、エチルブチレート、イソプロピルブチレート、メチルイソブチレート、メチルシアノアセテート、ビニルアセテート、ジフェニルジスルフィド、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、アジポニトリル、バレロニトリル、グルタロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、イソブチロニトリル、ビフェニル、チオフェン、メチルエチルケトン、フルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、カーボネート電解液、グライム、エーテル、アセトニトリル、プロピオンニトリル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)イオン液体、ホスファゼン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、又は、これらの化合物の一部の水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。
非水溶媒は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態における支持塩としては、例えば、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO等の通常のリチウムイオン電池に使用可能なリチウム塩を用いることができる。支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
外装体としては、電解液に安定で、かつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば、適宜選択して用いることができる。例えば、積層ラミネート型の二次電池の場合、外装体としては、アルミニウム、シリカをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルムを用いることができる。ガス発生材料を含むセパレータの場合、ラミネートフィルムによる外装体に代表される体積膨張が可能な外装体が好ましい。
次に、実施例を用いて本発明を説明する。
(参考例1)
Eガラスの単繊維(以後、ガラス繊維という)を束ねたヤーンで平織された、厚さ20μm、1cm当たりの重量が2mgのガラス織布をトムソン刃で縦90mm、横180mmの長方形に打ち抜いてセパレータとした。切断部分からは糸のほつれが生じた。また、セパレータの頂点を持って吊るすと、自重で変形した。
このセパレータの絶縁性を以下の正極と負極を用いて調べた。
正極活物質としてリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)85質量%と、導電助剤としてアセチレンブラック7質量%と、バインダとしてポリフッ化ビニリデン8質量%とを混合し、これをN−メチルピロリドン(NMP)に分散させてスラリーとした後、正極集電体としての厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥させた。その後、電極(正極)をプレス処理した。
負極活物質として黒鉛材料90質量%と、バインダとしてポリフッ化ビニリデン10質量%とを混合し、これをNMPに分散させてスラリーとした後、負極集電体としての厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥させた。その後、電極(負極)をプレス処理した。
セパレータの絶縁性は、正負極の活物質塗布面がセパレータと接触するように、電極でセパレータを挟んで測定した。正極と負極はφ15mmに打ち抜いたものを用い、セパレータの糸抜けが生じた部分は電極にかからないように配置した。さらに、正極と負極それぞれのセパレータと接していない面に、先端が平坦なφ10mm形状となっている銅製測定端子を当て、測定端子はそれぞれ電気抵抗測定器に接続した。次に、銅製測定端子に電極面と垂直方向の荷重を加えて、正極と負極をセパレータに押し付け、正極と負極の間の電気抵抗を測定した。荷重10Nでは、測定器の測定上限である100MΩを超え、絶縁性が保たれていたが、荷重50Nでは、10kΩ代まで低下した。電気抵抗の測定後にセパレータを実体顕微鏡で観察すると、加えられた押さえ圧力でガラス織布の織り目が崩れ、目開きが変形して拡大していた。
(実施例1)
ガラス織布を、融点が140℃の熱可塑性高分子であるポリエチレンが20重量%となるように、ガラス繊維とポリエチレン繊維を混合したヤーンで製織した。得られた厚さ25μmの織布を、大気雰囲気の電気炉の中で、180℃で10分間保持した。織布を室温まで自然冷却した後に、トムソン刃で縦90mm、横180mmの長方形に打ち抜いてセパレータとした。作製したセパレータの、織布から打ち抜いた切断面を光学顕微鏡で観察した結果、ガラス繊維の束は固められていて、打ち抜きに伴うガラス繊維の抜け、ほつれは見られなかった。また、セパレータをピンセットで保持して搬送したが、外形の変化はなかった。目開きの大きさは、一辺が約0.1mmの正方形で加熱処理前と変わっていなかった。
作製したセパレータをφ15mmに打ち抜き、絶縁性を参考例1と同様の方法で測定した。電極の平面と垂直に荷重50Nを加えて測定した正負極間の電気抵抗は、測定器の測定上限である100MΩを超えていた。
絶縁性を評価したφ15mmのセパレータを、ホットプレート上で200℃まで加熱した。ポリエチレンの融点を超えて加熱したが、ポリエチレンのガラス織布からの流出は認められなかった。これは、溶融したポリエチレンがガラス繊維の隙間に毛細管現象で保持されているためと思われる。また、全体の形状と寸法は加熱によって変化しなかった。
縦90mm、横180mmのセパレータを用いて、ラミネートフィルムを外装体とする積層型電池を作製した。電解液は、溶媒としてプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチレンカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DMC)の等体積比の混合物[PC:EC:DEC:EMC:DMC=1:1:1:1:1(体積比)]を用い、支持塩としてLiPFを濃度1mol/Lで溶解したものを用いた。電極は、正極、負極ともに、参考例1で示した組成のスラリーを集電体(アルミニウム箔または銅箔)の両面に塗工したものを用いた。電極の塗工部の寸法は、積層ずれに対する余裕幅をとり、正極を縦88mm、横178mm、負極を縦89mm、横179mmとした。積層構造は、負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極とした。積層後に電極の集電体にタブを超音波溶接し、ラミネート外装体に収めて、電解液を注入した。電解液の注入後に0.1気圧以下まで減圧し、その状態で電解液の注入口を熱融着した。
作製した電池を、上限4.2V、下限2.5Vで初回の充放電を行った後、4.2Vまで再充電した。再充電後は電圧低下がなく、内部短絡が存在しないことが確認された。
(実施例2)
セパレータの出来上がり外形寸法を縦90mm、横180mmとし、この外形寸法から内側に幅15mmまでの領域(外縁部)では、ポリエチレンが20重量%となるガラス繊維とポリエチレン繊維の混合糸で、その内側の領域(中央部)では、ポリエチレンが10重量%となるガラス繊維とポリエチレン繊維の混合糸で織布を作製した。織布は外縁部の厚さが25μmになるようにした。この織布を大気雰囲気中180℃で10分間保持した後に、室温まで自然冷却した。そして、トムソン刃で前記のセパレータサイズに打ち抜いた。切断したセパレータの端面は、ガラス繊維は固められていて、織り目のずれと、糸のほつれは見られなかった。また、セパレータをピンセットで保持して搬送し、光学顕微鏡で全体を観察したが、織り目のずれは見られなかった。
作製したセパレータの絶縁性を参考例1と同様の方法で測定した。絶縁性測定のサンプルは、セパレータの中央部と外縁部の二か所から切り出した。中央部、外縁部のいずれも、荷重50Nで100MΩを超え、絶縁性が保たれていた。
また、縦90mm、横180mmの本実施例のセパレータを用い、実施例1と同様にして、積層型電池を作製した。実施例1と同条件で初回の充放電と再充電を行い、再充電後の電圧低下が無いことを確認した。
(実施例3)
融点がポリエチレンの融点よりも高く、有機溶媒に耐性のあるスチレン−ジビニルベンゼン共重合体をベースとして、表面をイミノ二酢酸官能基で修飾したキレート樹脂を、ビーズミルで、平均粒径が1.0μm以下になるまで乾式粉砕した。微粉砕したキレート樹脂を、ポリエチレンチップに対して10重量%の割合になるように混合し、これを原料として、通常の溶融紡糸と延伸に準じて、キレート樹脂粉末を含むポリエチレンの繊維を作製した。ここで、原料ポリエチレンチップを溶融するときに、キレート樹脂のチップは溶融させないようにした。このキレート樹脂粉末を含むポリエチレンの繊維が全体重量の20重量%となるように、ガラス繊維と混紡して、混紡糸(複合糸)を作製した。この複合糸でガラス織布を製織し厚さ25μmの織布とした。これを150℃で20分間保持した後に、室温まで自然冷却した。そして、これをトムソン刃で縦90mm、横180mmの長方形に打ち抜き、セパレータとした。切断面に繊維のほつれは見られなかった。
本実施例のセパレータをφ15mmに打ち抜き、硝酸マンガンから調製した、2価のマンガンイオンを濃度500ppmで含む水溶液に浸漬した。室温で24時間放置した後にセパレータを水溶液から取り出して水洗、乾燥した。これを蛍光X線分析した結果、セパレータにはマンガンが含まれており、セパレータにマンガンが捕捉されていることが確認できた。
(実施例4)
実施例3と同様にして、融点がポリエチレンよりも高く、有機溶媒に耐性のあるスチレン−ジビニルベンゼン共重合体をベースとして、表面をイミノ二酢酸官能基で修飾したキレート樹脂をビーズミルで乾式粉砕し、キレート樹脂の粒子を得た。ポリエチレンが20重量%となるように、ガラス繊維とポリエチレン繊維を混合したヤーンで製織した厚さ25μmの織布の表面に、得られたキレート樹脂の粒子を散布し、ロールプレスで密着させた。次に、ガラス織布を140℃で10分間加熱してポリエチレンを溶融させ、キレート樹脂の粒子をガラス織布に固定した。これをトムソン刃で打ち抜き、セパレータとした。
本実施例のセパレータからφ15mmのサンプルを打ち抜いて、硝酸マンガンから調製した、2価のマンガンイオンを濃度500ppmで含む水溶液に浸漬した。24時間後にセパレータを水溶液から取り出して水洗、乾燥した。これを蛍光X線分析した結果、セパレータにはマンガンが含まれており、セパレータにマンガンが捕捉されていることが確認できた。
(実施例5)
分解温度がポリエチレンよりも高いガス発生材料であるN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンの粉末を、ビーズミルで、平均粒径が1.0μm以下になるまで乾式粉砕した。微粉砕したN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンを、ポリエチレンチップに対して10重量%の割合になるように混合し、これを原料として、通常の溶融紡糸と延伸に準じて、ガス発生材料粉末を含むポリエチレンの繊維を作製した。ここで、原料ポリエチレンチップを溶融するときに、ガス発生材料は発泡させないようにした。このガス発生材料を含むポリエチレンの繊維が全体重量の20重量%となるように、ガラス繊維と混紡して、混紡糸(複合糸)を作製した。この複合糸でガラス織布を製織し、得られた厚さ25μmの織布を150℃で20分間保持した後に、室温まで自然冷却した。そして、これをトムソン刃で打ち抜き、セパレータとした。
本実施例のセパレータからφ15mmのサンプルを打ち抜き、アルミニウムと樹脂フィルムのラミネートフィルムで作った外装体に入れて真空封止した。また、同様の外装体に実施例1のセパレータからφ15mmのサンプルを打ち抜いたものを入れて真空封止した。両者を180℃まで加熱して比較した。実施例1のセパレータを入れた外装体は変化が見られなかったが、本実施例のセパレータを入れた外装体は膨らみはじめ、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンからの気体発生が確認された。
(実施例6)
ポリエチレンが20重量%となるように、ガラス繊維とポリエチレン繊維を混合したヤーンで製織した厚さ25μmの織布の表面に、ガス発生材料であるN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンの粉末を散布し、ロールプレスで密着させた。次に、ガラス織布を140℃で10分間加熱してポリエチレンを溶融させ、ガス発生材料の粉末をガラス織布に固定した。これをトムソン刃で打ち抜き、セパレータとした。
本実施例のセパレータからφ15mmのサンプルを打ち抜き、アルミニウムと樹脂フィルムのラミネートフィルムで作った外装体に入れて真空封止した。また、同様の外装体に実施例1のセパレータからφ15mmのサンプルを打ち抜いたものを入れて真空封止した。両者を180℃まで加熱して比較した。実施例1のセパレータを入れた外装体は変化が見られなかったが、本実施例のセパレータを入れた外装体は膨らみはじめ、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンからの気体発生が確認された。
以上の結果から、本発明にしたがって、ガラス繊維に熱可塑性高分子材料を複合化したガラス織布よるセパレータを用いることで、高温でも収縮せず、また、電池の安全性向上や高寿命化に効果のあるセパレータを得ることができる。
本実施形態は、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野にて利用することができる。具体的には、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車などの電動車両を含む、電車や衛星や潜水艦などの移動・輸送用媒体の電源;UPSなどのバックアップ電源;太陽光発電、風力発電などで発電した電力を貯める蓄電設備;などに、利用することができる。
11 ガラス繊維
12 熱可塑性高分子材料繊維
13 目開き
21 ガラス織布
22 熱可塑性高分子材料繊維が多い領域
23 熱可塑性高分子材料繊維が少ない領域

Claims (21)

  1. 電池用セパレータの製造方法であって、
    少なくとも、無機繊維1種または2種以上と、熱可塑性高分子材料を含む繊維1種または2種以上を複合化した複合糸を作製する工程と、
    前記複合糸を織ることで、電池用セパレータとなる織布を形成する工程と、
    前記織布を熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱する工程と、
    を含むことを特徴とする電池用セパレータの製造方法。
  2. 前記織布を、熱可塑性高分子材料の組成および量の少なくとも一方が異なる複数種類の複合糸を用いて形成することを特徴とする請求項1記載の電池用セパレータの製造方法。
  3. 前記織布を熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱する工程の後に、
    前記織布を所定の寸法に切断して電池用セパレータを得る工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電池用セパレータの製造方法。
  4. 複数個の同一の電池用セパレータが得られるように、織布平面内において、熱可塑性高分子材料の組成および/または量が、前記電池用セパレータの寸法と一致した周期で変化している織布を、熱可塑性高分子材料の組成および量の少なくとも一方が異なる複数種類の複合糸を用いて形成することを特徴とする請求項3記載の電池用セパレータの製造方法。
  5. 前記複合糸が、キレート作用を有し、融点が前記熱可塑性高分子材料の融点を超える温度であるキレート材料を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法。
  6. 前記複合糸が、前記熱可塑性高分子材料の融点を超える温度で分解して気体を発生させるガス発生材料を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法。
  7. 前記複合糸を織ることで織布を形成する工程と、前記織布を熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱する工程との間に、
    前記熱可塑性高分子材料を含む織布に、キレート作用を有し、融点が前記熱可塑性高分子材料の融点を超える温度であるキレート材料を含む粒子または繊維を接触させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法。
  8. 前記複合糸を織ることで織布を形成する工程と、前記織布を熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱する工程との間に、
    前記熱可塑性高分子材料を含む織布に、前記熱可塑性高分子材料の融点を超える温度で分解して気体を発生させるガス発生材料を含む粒子または繊維を接触させる工程を含み、
    前記織布を熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱する工程における織布の加熱温度が、前記ガス発生材料のガス発生温度未満であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法。
  9. 電池用セパレータの製造方法であって、
    少なくとも熱可塑性高分子材料と無機繊維とを含む織布に、キレート作用を有し、融点が前記熱可塑性高分子材料の融点を超える温度であるキレート材料を含む粒子または繊維を接触させ、これを前記熱可塑性高分子材料の融点以上に加熱する工程を含むことを特徴とする電池用セパレータの製造方法。
  10. 電池用セパレータの製造方法であって、
    少なくとも熱可塑性高分子材料と無機繊維とを含む織布に、前記熱可塑性高分子材料の融点を超える温度で分解して気体を発生させるガス発生材料を含む粒子または繊維を接触させ、これを前記熱可塑性高分子材料の融点以上、かつ前記ガス発生材料のガス発生温度未満に加熱する工程を含むことを特徴とする電池用セパレータの製造方法。
  11. 前記熱可塑性高分子材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエステルから選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法。
  12. 前記無機繊維が、ガラス繊維であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法により製造される電池用セパレータ。
  14. 少なくとも、熱可塑性高分子材料と、無機繊維で形成された織布を含む電池用セパレータであって、
    前記熱可塑性高分子材料と前記無機繊維が複合化されており、
    セパレータ平面内において、前記熱可塑性高分子材料の組成および量の少なくとも一方が不均一であることを特徴とする電池用セパレータ。
  15. セパレータの外縁部から中心に向かって、前記熱可塑性高分子材料の量が減少する部分を有することを特徴とする請求項14記載の電池用セパレータ。
  16. セパレータの外縁部の熱可塑性高分子材料の量が、セパレータの中心部の熱可塑性高分子材料の量よりも相対的に多いことを特徴とする請求項14または15に記載の電池用セパレータ。
  17. 前記熱可塑性高分子材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエステルから選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  18. 前記無機繊維が、ガラス繊維であることを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  19. キレート作用を有し、融点が前記熱可塑性高分子材料の融点を超える温度であるキレート材料を含む粒子または繊維を含むことを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  20. 前記熱可塑性高分子材料の融点を超える温度で分解して気体を発生させるガス発生材料を含むことを特徴とする請求項14〜19のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  21. 請求項13〜20のいずれか1項に記載の電池用セパレータを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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