JP2017139086A - 電池用セパレータ、その製造方法及び二次電池 - Google Patents

電池用セパレータ、その製造方法及び二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性と、軽さと、薄さとを兼ね備え、さらに、帯静電気性を抑制して取り扱い性が向上した電池用セパレータ、およびそれを備えた電池を提供する。【解決手段】本発明は、多孔質膜、織布、および不織布からなる群から選ばれる少なくとも一種の基材を有し、前記基材は、融点または熱分解温度が200℃以上の高分子材料を含み、かつ、前記基材の表面および/または内部に、有機溶媒に可溶な有機材料を担持していることを特徴とする、電池用セパレータに関する。【選択図】 なし

Description

本発明は、電池用セパレータ、その製造方法、および該電池用セパレータを用いた二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、エネルギー密度が高い、自己放電が小さい、長期信頼性に優れる、等の利点により、ノート型パソコンや携帯電話などの電池としてすでに実用化されている。しかし、近年では電子機器の高機能化や電気自動車への利用が進み、よりエネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池の開発が求められている。
電池のエネルギー密度を高めるためには、正極や負極の活物質としてエネルギーを高い密度で蓄積可能な材料を用いるだけでなく、正極板や負極板の集電箔を薄くすることも求められる。さらに、正極板と負極板の接触を防止するために正極板と負極板の間に配されるセパレータに対しても、薄いことが求められている。セパレータを薄くすることで、電池内部でセパレータの占める体積や重量を減らすことができるだけでなく、セパレータが空孔内や空隙内に保持する電解液の量も減るので、電池のエネルギー密度の向上に有効である。
リチウムイオン二次電池においては、制御システムの異常などで所定の電圧を超えて充電が進行したり、電池外部の短絡で大電流が放出されたりすると電池全体が発熱する恐れがある。あるいは、導電性の異物が電池内に混入したり、外部から貫入して、電池内部で局所的な短絡が生じたりすると、短絡電流が流れて発熱する恐れがある。この熱によってセパレータが損傷すると、広い範囲で正極と負極が短絡することになり、電池からの発煙や電池の破裂につながる可能性がある。
セパレータに耐熱性を持たせるために、ポリエチレン微多孔膜やポリプロピレン微多孔膜など、従来からセパレータとして用いられているフィルムを基材として、その表面に無機材料など、基材よりも耐熱性が高い材料の粒子を保持させた耐熱層を形成することが行われている。
例えば、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの表面に金属酸化物のフィラーを含む被覆層を形成したセパレータが開示されている。
基材の上に耐熱層を形成することで、セパレータの耐熱性は高くなるが、耐熱層によってセパレータ全体の厚さと重さが増えるので、電池のエネルギー密度を高くする上では好ましくない。また、従来のセパレータの製造工程に加えて、耐熱層を形成する工程が必要となるので、製造コストが上がることも課題である。
また、基材となるフィルム自体の耐熱性は改善されていないので、基材が収縮したり溶融したりすると、耐熱層も基材に引っ張られて収縮したり、土台を失った耐熱層が層状構造を維持できなくなったりする恐れがあるという問題もある。
このような問題を解決するために、高耐熱性材料によって形成した単層構造のセパレータが提案されている。高耐熱性材料として、ガラスなどの無機材料が挙げられるが、無機材料を多孔質膜に加工することは困難である。そのため、無機材料をセパレータとするためには、例えば、ガラス繊維の織布や不織布を作製することが考えられている。しかし、無機材料は比重が大きいため、重量あたりのエネルギー密度を高めた電池には適していない。
耐熱性と軽さが必要なセパレータの材料として、高耐熱性の高分子材料が、無機材料よりも適している。たとえば、芳香族ポリアミド(アラミド)やポリイミドは、明確な融点を持たず、熱分解温度も、それぞれ400℃以上、500℃以上と、現在、セパレータとしても広く用いられているポリエチレンやポリプロピレンと比べて、はるかに耐熱性が高く、密度は1.4g/cm程度で、無機材料、例えばEガラスの2.6g/cmよりも小さい。
高耐熱性高分子によるセパレータは、無機材料と同様に、繊維を織布や不織布にすることで形成できる。
また、高耐熱性高分子材料は、無機材料では困難である多孔質膜を製造することができる。多孔質膜を作製する方法として、例えば、特許文献2には、湿式浴、吸湿処理、冷却等により原料ポリマーの溶解性を低下させて、相分離または析出させる方法が開示されており、特許文献3には、高耐熱性高分子材料にテンプレートとなる粒子を分散させたフィルムから、テンプレート粒子を酸性溶液で溶出させる方法が開示されている。
高耐熱性高分子によるセパレータは、耐熱性、軽さ、および薄さを同時に実現することが可能だが、静電気を帯びやすい性質が有る。セパレータが帯びる静電気が強いと、異物を引き寄せて電池内部に持ち込む、セパレータ自体が折れ曲がってはりつく、組み立て機械にはりつく、などの問題を引き起こす。特許文献4には、静電気対策として、陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、および非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を塗布することが開示されている。
特許第5344107号公報 特許第5168989号公報 特許第5331627号公報 特許第5015474号公報 特開平10−214611号公報
「プラスチックデータハンドブック」32ページ(工業調査会、1980) 「繊維学会誌」第38巻、T−147ページ(1982) 「Journal of Applied Polymer Science」第22巻,2137ページ(1978)
特許文献4のように、界面活性剤は、高耐熱性セパレータの静電気を抑えることができる。しかし、界面活性剤は、セパレータの表面に塗布、あるいはセパレータに含浸して用いるため、界面活性剤が電解液に不溶の場合、セパレータの開口部や空孔が閉塞されて、リチウムイオンの伝導が阻害される恐れがある。また、セパレータ表面の界面活性剤が正極や負極と接触するため、正極で酸化作用を、あるいは負極で還元作用をうけて分解し、凝集物やガスを発生させて、電池特性に影響をあたえる恐れがある。
界面活性剤が電解液に溶ける場合には、界面活性剤によってセパレータ表面の開口部が閉塞されることは回避できるが、電解液に溶けだした界面活性剤が、電極で反応することで、電池の特性が影響を受ける可能性がある。例えば、界面活性剤が分解して生じた固形物が電極活物質層の空隙を埋めることや、発生した気体が電極板間のリチウムイオンの伝導を妨げることが懸念される。また、界面活性剤が金属元素を含む場合には、電解液中に溶出した金属のイオンが電池内部の電位によって析出し、微少短絡などの原因になることが懸念される。
そこで本発明は、高耐熱性、軽さ、薄さを同時に実現し、電池内で上記問題が起きる恐れがなく、かつ帯静電気性を抑制した電池用セパレータと、そのセパレータを用いた電池を提供することを目的とする。
本発明の一態様は下記のとおりである。
多孔質膜、織布、および不織布からなる群から選ばれる少なくとも一種の基材を有し、
前記基材は、融点または熱分解温度が200℃以上の高分子材料を含み、かつ、
前記基材の表面および/または内部に、有機溶媒に可溶な有機材料を担持していることを特徴とする、電池用セパレータ。
本発明によれば、高耐熱性、軽さ、薄さを同時に実現し、かつ帯静電気性が抑制された電池用セパレータと、その電池用セパレータを用いた電池を提供することができる。
本発明の一形態のフィルム外装電池の基本的構造を示す斜視図である。 図1の電池の断面の一部を示す断面図である。 積層型の二次電池が有する電池要素の構造を模式的に示す断面図である。
以下、本実施形態の電池用セパレータおよびこれを含む電池等について、構成ごとに説明する。
<電池用セパレータ>
本実施形態の電池用セパレータは、多孔質膜、織布、および不織布からなる群から選ばれる少なくとも一種の基材を有し、該基材は、融点または熱分解温度が200℃以上の高分子材料を含み、かつ、該基材の表面および/または内部に、有機溶媒に可溶な有機材料を担持している。基材が多孔質膜の場合は、有機材料はこの基材の表面および/または空孔の内壁に担持されている。基材が織布または不織布の場合は、有機材料は空隙内部すなわち繊維の表面に担持されている。
本明細書においては、多孔質膜の内部に形成された細孔のことを「空孔」と記載し、織布または不織布の内部の空間のことを「空隙」と記載する。また、セパレータを構成する多孔質膜、織布、および不織布からなる群から選ばれる少なくとも一種を「基材」とも記載する。また、「電池用セパレータ」のことを単に「セパレータ」とも記載する。
本実施形態のセパレータは、その表面および/または内部に有機溶媒に可溶の有機材料を担持することにより帯静電気性が抑制される。セパレータの帯静電気性が抑制されることにより、セパレータ自体が折れ曲がって張り付いたり、組み立て機械等に張り付いたりすることを抑制でき、電池の製造効率を向上させることができる。また、静電気により異物がセパレータに付着して電池内に混入してしまうのを防ぎ、電池の安全性を向上できる。さらに、本実施形態のセパレータに担持された有機材料は、電池の容器内部で電解液中に溶出するので、セパレータの空孔や空隙が有機材料の固体によって閉塞されてしまうのを回避することができる。
多孔質フィルムに電解液に溶出する有機物を含ませたセパレータとしては、特許文献5に、セパレータへの電解液の浸み込み性を向上させる目的で、ポリオレフィン系材料の多孔質フィルムの空孔内にエチレンカーボネートを存在させたセパレータが開示されている。しかし、このセパレータは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系材料からなるため耐熱性が低く、高い耐熱性を持つセパレータを得ることができない。
なお、熱分解温度が200℃以上であるアラミドおよびポリイミド等は、電解液との親和性が良いため、特許文献5の処理を行うことなく、電解液の浸み込み性の良いセパレータを作製することができる。これは、表面張力の違いによるものである。ポリプロピレンの表面張力:25mN/m、ポリエチレンの表面張力:31mN/m(非特許文献1)と比べて、アラミドの表面張力は35mN/m(非特許文献2)、ポリイミドの表面張力は37mN/m(非特許文献3)と大きい。固体と液体の親和性は、固体の表面張力が大きい方が良好になるため、アラミドやポリイミドは、ポリオレフィン系材料よりも、電解液に対して高い親和性を有する。
本実施形態のセパレータを構成する材料として、具体的には以下のようなものを採用してもよい。
(基材)
本実施形態のセパレータの基材を構成する高分子材料としては、融点または熱分解温度が200℃以上の高耐熱性の高分子材料を含むことが好ましい。具体的には、アラミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、およびポリフェニレンサルファイドからなる群から選ばれる少なくとも一種が挙げられ、特に、熱分解温度が高いアラミド、ポリイミド、ポリアミドイミドが好ましい。基材は、これらのうち一種を単独で含んでもよいし、二種以上を組み合わせて含んでもよい。基材を構成する高分子材料中、融点または熱分解温度が200℃以上の高分子材料の含有量は、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、100重量%であってもよい。基材が、融点または熱分解温度が200℃以上の高耐熱性の高分子材料を含むことにより、耐熱性が高いセパレータとすることができるので、エネルギー密度の高い電池を実現することができる。
高分子材料の融点と熱分解温度は、示差走査熱量測定(DSC)や熱重量−示差熱分析(TG-DTA)を用いて測定することができる。
有機材料を担持していない基材のみの厚みは、特に限定されないが、機械的な強度を設ける観点からは、5μm以上が好ましく、上限は、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。厚みを25μm以下にすることにより、電池のエネルギー密度を高くすることができる。
有機材料を担持する基材の構造は特に限定されず、多孔質膜、織布および不織布からなる群から選ばれる一種であってもよいし、二種以上であってもよい。二種以上の場合は、これらが複合化されたフィルム状の基材であってもよい。厚さ20μm以下の基材の場合には、製造のしやすさの観点から多孔質膜が好ましい。
セパレータの通気度が高いと、充電や放電の特性、特に、低温で大きな充電電流や放電電流を得ることができるため好ましい。本実施形態において、通気度の指標であるガーレー値は、JIS P 8117に規定の方法を用いて測定される。具体的には、基材のみの状態で、そのガーレー値(秒/100ml)が200(秒/100ml)以下であることが好ましく、100(秒/100ml)以下であることがより好ましい。セパレータのガーレー値の下限は、特に限定はされないが、例えば0.5(秒/100ml)以上であることが好ましい。
なお、基材に有機材料を担持させると通気度は低下するが、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、電池を組み立てて電解液を注入すると、有機材料は有機溶媒に可溶であるため電解液中に溶出する。したがって、セパレータの通気度は、有機材料を担持させる前の基材のみの状態のガーレー値を指標とすることができる。
基材が多孔質の場合の空孔率は、特に限定されないが、下限は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、上限は90%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。空孔率が上記範囲内にあると、充放電特性に優れ、かつ、セパレータの取り扱い中の損傷を防ぐことができる。基材の空孔率は、下の式(1)により算出される。
空孔率(%)=(1−V1/V)×100 ・・・・(1)
ここで、Vは基材となっている樹脂の真の体積、Vは基材の外形寸法による体積である。V1は、基材の重量を樹脂の真密度で除することで得られる。
多孔質膜では、空孔率が高いと膜の柔軟性が増すので、静電気による変形を受けやすい。本実施形態のセパレータは、セパレータ上の静電気の帯電を抑制できるので、基材の空孔率が高い多孔質膜であってもセパレータとして用いやすい。
基材中の細孔の平均孔径は、特に限定されないが、下限は0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、上限は2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。平均孔径が上記範囲内にあると、膜の強度を確保しやすく、かつセパレータ内部に有機材料を担持させやすい。基材の平均孔径は水銀圧入法により測定することができる。
(有機材料)
本実施形態のセパレータに担持された有機材料は、有機溶媒、好ましくは電解液の非水溶媒として用いられる非プロトン性有機溶媒に可溶であるため、電池の中で電解液中に溶出する。
有機材料を溶解することができる有機溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、例えば、後述の電解液に用いることができる非水溶媒が挙げられる。有機溶媒として、炭酸エステル(鎖状又は環状カーボネート)、カルボン酸エステル(鎖状又は環状カルボン酸エステル)、およびリン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
セパレータの保管と取り扱いのしやすさの観点から、セパレータに担持された有機材料の融点は高いことが好ましい。作業のしやすさの観点から、有機材料の融点は0℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。有機材料の酸化電位は、正極での分解を抑制するために高いことが好ましく、例えば、Li/Liを基準とした酸化電位が4.2V以上であることがより好ましい。有機材料の比誘電率は、静電気の抑制効果を得るために大きいことが好ましく、例えば、比誘電率が30以上であることがより好ましい。
有機材料の具体例としては、エチレンカーボネート(EC;融点36℃、酸化電位6.2V、比誘電率90)、スルホラン(SL;融点28℃、酸化電位6.3V、比誘電率43)、アジポニトニル(ADN;融点2℃、酸化電位8.2V、比誘電率30)、N−メチルオキサゾリジノン(NMO;融点15℃、酸化電位4.7V、比誘電率78)、N,N’―ジメチルイミダゾリジノン(DMI;融点8℃、酸化電位4.2V、比誘電率38)、ジメチルスルホキシド(DMSO;19℃、4.5V、比誘電率47)から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。なかでも、ECとSLは、担持させたセパレータの保管や取扱いを常温(約20℃)で行うことができることから好ましい。有機材料は、一種を単独で用いてよいし、二種以上を併用してもよい。
<セパレータの製造方法>
本実施形態のセパレータの製造方法は、有機材料を溶媒に溶解した溶液(有機材料の溶液)を、基材の表面および/または内部に供給する工程(以下、「有機材料を基材に供給する工程」とも記載する)と、該基材に供給した有機材料の溶液から溶媒を除去する工程(以下、「溶媒を除去する工程」とも記載する)と、を含む。該基材は、多孔質膜、織布、および不織布からなる群から選ばれる少なくとも一種を有し、かつ、融点または熱分解温度が200℃以上の高分子材料を含む。
有機材料を基材に供給する工程において用いる溶媒は、有機材料を溶解し、セパレータを侵さない液体であればよく、非水溶媒、水系溶媒、これらの混合物のいずれでも構わない。有機材料を基材に供給する工程において用いる溶媒は、常温(約20℃)で液体であることが好ましく、常温(約20℃)で有機材料が固体であり、溶媒が液体である態様がより好ましい。
有機材料を基材に供給する工程において用いる非水溶媒としては、例えば、ジエチルカーボネート(DEC)や、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネートに代表される、電池の非水電解液に用いられる非プロトン性有機溶媒が挙げられる。これらは一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
セパレータに水溶性の有機材料を担持する場合は、水を主体とした溶媒を用いて有機材を基材に供給してもよい。水を主体とした溶媒(水を50重量%以上含む溶媒)には、環境負荷が小さく、乾燥処理で発生した気体を処理する除害装置も簡単で済む、溶媒の価格が低い等の利点がある。
有機材料の溶液を基材の表面および/または内部に供給する工程は、基材を有機材料の溶液に浸して引き上げる、基材の片側表面または両側表面に有機材料の溶液を噴霧する、ローラーで基材に有機材料の溶液を塗布する、などの方法で行うことができる。これにより、有機材料の溶液が、付着および/または含侵した基材が得られる。
基材に供給した有機材料の溶液からの溶媒の除去は、溶媒の気化によって行うことができる。溶媒の気化は、環境温度を室温よりも高くする、乾燥雰囲気にする、減圧雰囲気にする、温風を吹きつける、などの方法で行うことができる。
セパレータが有機材料を担持する場所は、有機材料を溶解する溶媒とセパレータとの親和性によって変わる。例えば、アラミドやポリイミドは表面張力が高いため、DECなどの非水溶媒との親和性が高い。そのため、有機材料をDECに溶解した溶液は、セパレータの空孔や空隙に容易に入り込み、セパレータの内部に有機材料を供給することが可能となる。反対に、セパレータとの親和性が低い溶媒を用いると、有機材料をセパレータ表面近傍に偏在させることができる。
有機材料を水系溶媒に溶かした溶液は、水の表面張力が大きいため、多孔質膜、織布、不織布の空孔や空隙に入りにくく、セパレータの表面に有機材料を担持させることができる。有機材料を水系溶媒に溶解した溶液を、セパレータの空孔や空隙に浸透させるためには、例えば、水にエタノールを混合して、溶液の表面張力を下げることが好ましい。
セパレータに担持させる有機材料の量は、有機材料の溶液濃度によって変えることができる。また、有機材料を基材に供給する工程と溶媒を除去する工程とを繰り返すことにより、セパレータに担持させる有機材料の量を増やすことができる。
基材の空孔内に有機材料を担持するセパレータを製造する際、基材の空孔率が高いほど、有機材料の溶液を内部に多く保持することができる。よって、所定の量の有機材料を基材に担持させる場合、空孔率の高い基材の方が、空孔率の低い基材に比べて有機材料の溶液濃度を低くすることができる。低濃度の溶液は基材への浸透性に優れるので、溶液を基材に浸透させたり、有機材料の基材内での分布を均一にしたりするための時間が、高濃度の溶液と比べて短くて済む。
セパレータに担持されている有機材料が少なすぎると静電気の抑制効果が十分に得られない場合がある。一方、セパレータに担持されている有機材料が多すぎると、有機材料が電解液中に完全に溶出せずにセパレータの細孔内などに固体として残留し、Liイオンの伝導を阻害する場合がある。また、担持される有機材料の量が多すぎると、セパレータの柔軟性が低下し、ロール状に巻くときや、電池を組み立てるときの取り扱い性が低下してしまう場合がある。そのため、セパレータ上の有機材料の存在量は、特に限定されないが、0.001mol/m〜0.05mol/mが好ましく、0.005mol/m〜0.03mol/mがより好ましい。
セパレータに担持された有機材料は、電解液中に溶出して拡散していくが、電池内部全体にわたって均一に拡散することは難しく、電解液中に溶出した有機物の分布は、セパレータの内部および近傍で多くなる。ECは、初回充電時に負極表面で反応して、リチウムイオン二次電池の安定した充放電に必要な固体電解質界面相(SEI)と呼ばれる被膜の形成に関与する。本願発明で有機材料にECを用いたセパレータは、初回充電時に、負極表面近傍のEC濃度を高くすることが可能なので、SEIの形成を促進することができる。
本実施形態においては、セパレータが担持する有機材料の比誘電率は高いことが好ましく、電解液に含まれるDECなどの比誘電率よりも高いことが好ましい。そのため、セパレータ内で比誘電率が高い(比誘電率が例えば30以上である)有機材料の濃度を高くすることで、セパレータに含まれる電解液中で支持塩の解離を促進することができる。
一方で、セパレータ内部で有機材料の濃度が高すぎると、セパレータ内部の電解液の粘度が上がり、充放電レート特性が低下する場合がある。そのため、電池の用途によっては、セパレータに担持した有機材料の、電解液中への溶出と拡散を促進することが好ましく、例えば、電解液を加温して注液したり、電池要素を有する電池容器内に電解液を注入した後に電池容器を加温して、一定時間保持したりしてもよい。電解液を注入した電池容器の加温は、電池容器を封止する前、あるいは封止した後のいずれか、または両方で行うことができるが、加温前に電池容器を封止すると、電解液の溶媒の蒸発を防ぐことができる。
<リチウムイオン二次電池>
本実施形態の電池は、リチウムイオン二次電池であることが好ましい。電池は、容器内部に電池要素(電極積層体)を有する態様が好ましい。本実施形態のリチウムイオン二次電池の一例として、容器としてフィルム外装体を有するフィルム外装電池50の基本的構成について図1、図2、図3を参照して説明する。
図1、図2に示すように、フィルム外装電池50は、電池要素(「電極積層体」ともいう)20と、それを非水電解質とともに収容するフィルム外装体10と、電池要素20に接続されるとともにフィルム外装体10の外部に引き出された正極タブ21および負極タブ25(以下、これらを単に「電極タブ」ともいう)とを備えている。
電池要素20は、それぞれ電極材料が両面に塗布された金属箔からなる複数の正極と複数の負極とがセパレータを間に挟んで交互に積層されたものである。電池要素20の全体的な外形は、特に限定されるものではないが、この例では偏平な略直方体である。電池要素20を構成する各部の詳細については後述するものとする。
フィルム外装体の材質としては、電解液に安定で、かつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば、どのような材質であっても構わない。例えば、積層ラミネート型の二次電池の場合、外装体としては、アルミニウムと樹脂のラミネートフィルムを用いることが一例として好ましい。外装体は、単一の部材で構成してもよいし、複数の部材を組み合わせて構成してもよい。本実施形態では、図1に示すように、フィルム外装体10は、第1のフィルム11とそれに対向配置された第2のフィルム12とで構成されている。図示されているように、一方のフィルム11にカップ部が形成されるとともに他方のフィルム12にはカップ部が形成されていない構成としてもよいし、両方のフィルム11、12にカップ部を形成する構成(不図示)としてもよい。
フィルム外装体10の輪郭形状は特に限定されるものではないが、四角形であってもよく、この例では長方形となっている。両フィルム11、12は、電池要素20の周囲で互いに熱溶着されて接合されている。これにより、フィルム外装体10の周縁部が熱溶着部15となっている。熱溶着部15のうち短辺側の一辺から、正極タブ21および負極タブ25が引き出されている。電極タブ21、25としては種々の材質を採用しうるが、一例として、正極タブ21がアルミニウムまたはアルミニウム合金で、負極タブ25が銅またはニッケルである。負極タブ25の材質が銅の場合、表面にニッケルめっきが施されてもよい。
なお、電極タブ21、25の引出し位置について、タブが長辺側の一辺から引き出されていてもよい。また、正極タブ21と負極タブ25とが別々の辺から引き出されていてもよい。この例としては、正極タブ21と負極タブ25とが対向する辺から逆方向に引き出される構成が挙げられる。
正極および負極はそれぞれ外周の一部に部分的に突出し、活物質が存在しない延長部を有しており、正極の延長部と負極の延長部とは、正極および負極を積層したときに互いに干渉しないように位置をずらして互い違いに配置されている。正極の延長部が積層され互いに接続されることで集電部31aが形成され、その集電部31aに正極タブ21が接続される(図2参照)。同様に、負極に関しても、延長部が積層され互いに接続されることで集電部35aが形成され、その集電部35aに負極タブ25が接続される。電極タブと集電部との接続は例えば超音波による溶接によって行なわれてもよい。
なお、二次電池は、電極の構造や形状等により、円筒型、扁平捲回角型、積層角型、コイン型、扁平捲回ラミネート型および積層ラミネート型等、種々のタイプがある。本発明はこれらの何れのタイプにも適用可能である。これらのうち、本発明が適用される二次電池の形状は、電池要素が発熱したときの放熱性に優れている観点から、積層ラミネート型であることが好ましい。
電池要素の断面模式図を図3に示す。なお、図1の電池要素の形状と図3の電池要素の形状は異なっているが、このような形状の相違は本願における本質的な事項ではない。図3に示すように、電池要素は、複数の負極aと複数の正極cとを、セパレータbを間に挟んで交互に積層した構成を有することができる。電解液は、これら負極a、正極cおよびセパレータbとともに、外装体内に封止される。負極aは、セパレータbから突き出ている延長部(タブともいう)gを有している。延長部は、負極aが有する負極集電体dの正極活物質に覆われていない端部である。正極cも同様、正極cの正極集電体eの正極活物質に覆われていない端部である延長部(タブ)fがセパレータbから突き出ている。
また、電極積層体は捲回されて電極捲回体を構成してもよい。
本発明の一態様は、正極活物質層を備えた正極と、負極活物質層を備えた負極と、該正極と該負極との間に配された電池用セパレータと、を有する電極積層体であり、該電池用セパレータは、上述のように、多孔質膜、織布、および不織布からなる群から選ばれる少なくとも一種の基材を有し、該基材は、融点または熱分解温度が200℃以上の高分子材料を含み、かつ、該基材の表面および/または内部に、有機溶媒に可溶な有機材料を担持している。
本発明の別の一態様は、正極活物質層を備えた正極と、負極活物質層を備えた負極と、該正極と該負極との間に配された電池用セパレータと、を有する電極捲回体であり、該電池用セパレータは、上述のように、多孔質膜、織布、および不織布からなる群から選ばれる少なくとも一種の基材を有し、該基材は、融点または熱分解温度が200℃以上の高分子材料を含み、かつ、該基材の表面および/または内部に、有機溶媒に可溶な有機材料を担持している。
本発明の電池の一態様は、容器内部に、電解液と、上記電極積層体または上記電極捲回体と、を有し、電解液が電池用セパレータに担持された有機材料を可溶な有機溶媒を含む。
本発明において、電池は、上述の本実施形態の電池用セパレータを含む。電池要素の、セパレータ以外の各要素に関しては、具体的には以下のようなものを採用してもよい。
<負極>
負極は、金属箔で形成される負極集電体と、負極集電体の片面または両面に形成された負極活物質層とを有する。負極活物質は負極用結着材によって負極集電体を覆うように結着される。負極集電体は、負極端子と接続する延長部を有して形成され、この延長部には負極活物質は塗工されない。
本実施形態における負極活物質は、特に制限されるものではなく、例えば、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る炭素材料、リチウムと合金可能な金属、およびリチウムイオンを吸蔵、放出し得る金属酸化物等が挙げられる。
炭素材料としては、例えば、炭素、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い炭素は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
金属や金属酸化物を含有する負極は、エネルギー密度を向上でき、電池の単位重量あたり、あるいは単位体積あたりの容量を増やすことができる点で好ましい。
金属としては、例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらのうちの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。本実施形態の一態様では、負極活物質として酸化スズまたは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンは、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。また、金属酸化物に、窒素、ホウ素およびイオウの中から選ばれる一種または二種以上の元素を、例えば0.1〜5質量%添加することもできる。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる。
また、負極活物質は、単独の材料を用いずに、複数の材料を混合して用いることもできる。例えば、黒鉛と非晶質炭素のように、同種の材料同士を混合してもよいし、黒鉛とシリコンのように、異種の材料を混合しても構わない。
負極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸等を用いることができる。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、0.5〜25質量部が好ましい。
負極集電体としては、特に限定されないが、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銅、銀、およびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
<正極>
正極は、金属箔で形成される正極集電体と、正極集電体の片面または両面に形成された正極活物質層とを有する。正極活物質は正極用結着剤によって正極集電体を覆うように結着される。正極集電体は、正極端子と接続する延長部を有して形成され、この延長部には正極活物質は塗工されない。
本実施形態における正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出し得る材料であれば特に限定されず、いくつかの観点から選ぶことができる。高エネルギー密度化の観点からは、高容量の化合物を含むことが好ましい。高容量の化合物としては、リチウム酸ニッケル(LiNiO)またはリチウム酸ニッケルのNiの一部を他の金属元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物が挙げられ、下式(A)で表される層状リチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
LiNi(1−x) (A)
(但し、0≦x<1、0<y≦1.2、MはCo、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)
高容量の観点では、Niの含有量が高いこと、即ち式(A)において、xが0.5未満が好ましく、さらに0.4以下が好ましい。このような化合物としては、例えば、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)、LiαNiβCoγAlδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6好ましくはβ≧0.7、γ≦0.2)などが挙げられ、特に、LiNiβCoγMnδ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi0.8Co0.05Mn0.15、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Al0.1等を好ましく用いることができる。
また、熱安定性の観点では、Niの含有量が0.5を超えないこと、即ち、式(A)において、xが0.5以上であることも好ましい。また特定の遷移金属が半数を超えないことも好ましい。このような化合物としては、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、0.2≦β≦0.5、0.1≦γ≦0.4、0.1≦δ≦0.4)が挙げられる。より具体的には、LiNi0.4Co0.3Mn0.3(NCM433と略記)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略記)、LiNi0.5Co0.3Mn0.2(NCM532と略記)など(但し、これらの化合物においてそれぞれの遷移金属の含有量が10%程度変動したものも含む)を挙げることができる。
また、式(A)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1〜1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、式(A)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePOなどのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
正極活物質は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
また、ラジカル材料等を正極活物質として用いることも可能である。
正極用結着剤としては、負極用結着剤と同様のものと用いることができる。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、2〜15質量部が好ましい。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、又はそれらの合金を用いることができる。正極集電体の形状としては、例えば、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。正極集電体としては、アルミニウム箔を好適に用いることができる。
正極活物質の塗工層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。
<電解液>
本実施形態における電解液は、リチウム塩(支持塩)と、この支持塩を溶解する非水溶媒を含む。さらに、電解液は、セパレータに担持している有機材料を可溶である有機溶媒を含む。該有機溶媒は非プロトン性有機溶媒であることが好ましい。セパレータが担持している有機材料と、電解液に含まれる成分の一部または全部とは同一の化合物であってもよいし異なる化合物であってもよい。また、セパレータの製造時に、有機材料を基材に供給する工程において用いた溶媒と、電解液に含まれる成分の一部または全部とは、同一の化合物であってもよいし異なる化合物であってもよい。
電解液に含まれる非水溶媒としては、特に限定されないが、炭酸エステル(鎖状又は環状カーボネート)、カルボン酸エステル(鎖状又は環状カルボン酸エステル)、リン酸エステル等の非プロトン性有機溶媒が好ましい。
炭酸エステル溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体が挙げられる。
これらの中でも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の炭酸エステル(環状または鎖状カーボネート類)
が好ましい。
リン酸エステルとしては、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等が挙げられる。
また、非水電解液に含有できる溶媒としては、その他にも、例えば、エチレンサルファイト(ES)、プロパンサルトン(PS)、ブタンスルトン(BS)、Dioxathiolane−2,2−dioxide(DD)、スルホレン、3−メチルスルホレン、スルホラン(SL)、無水コハク酸(SUCAH)、無水プロピオン酸、無水酢酸、無水マレイン酸、ジアリルカーボネート(DAC)、2,5−ジオキサヘキサンニ酸ジメチル、2,5−ジオキサヘキサンニ酸ジメチル、フラン、2,5−ジメチルフラン、ジフェニルジサルファイド(DPS)、ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン(DMM)、ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン、クロロエチレンカーボネート、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、ジエチルエーテル、フェニルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、テトラヒドロピラン(THP)、1,4−ジオキサン(DIOX)、1,3−ジオキソラン(DOL)、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、メチルジフルオロアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、メチルフォルメイト、エチルフォルメイト、エチルブチレート、イソプロピルブチレート、メチルイソブチレート、メチルシアノアセテート、ビニルアセテート、ジフェニルジスルフィド、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、アジポニトリル、バレロニトリル、グルタロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、イソブチロニトリル、ビフェニル、チオフェン、メチルエチルケトン、フルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、カーボネート電解液、グライム、エーテル、アセトニトリル、プロピオンニトリル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)イオン液体、ホスファゼン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、又は、これらの化合物の一部の水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。
非水溶媒は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
支持塩としては、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO等の通常のリチウムイオン電池に使用可能なリチウム塩を用いることができる。支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
電解液は、必要に応じて、例えば、不飽和カルボン酸無水物、不飽和環状カーボネート、及び、環状または鎖状ジスルホン酸エステル等の添加剤を含んでもよい。これらの化合物を添加することにより、電池のサイクル特性を改善することができる。
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において「常温」は20℃を意味するものとする。
<実施例1>
セパレータを構成する高耐熱性高分子の基材として、材質:アラミド、厚さ:17μm、空孔率:65%、ガーレー値:95(秒/100ml)のアラミド多孔質膜を用いた。有機材料には、ECを用いた。DECを溶媒としてECを溶解し、EC濃度:0.1mol/lの溶液を調液した。この溶液に、15cm×15cmに切断したアラミド多孔質膜を10秒間浸した後に引き上げた。DECとアラミドの親和性が高いため、10秒間の浸漬で溶液は多孔質膜内に十分に浸透した。溶液を含浸した多孔質膜を、垂直に保持して余分な溶液を自然落下によって除去した。次にこの多孔質膜を空中で水平にして12時間保持し、DECを気化させて除去しECを担持したアラミドセパレータを得た。以上の、ECを溶解した溶液の多孔質膜への含浸からDECの除去までの作業は、全て、温度20℃、露点が零下40℃以下の乾燥雰囲気で行った。DECを除去した後のセパレータ表面は、目視観察では析出物は認められなかった。
本実施例のECを担持したアラミドセパレータにおけるECの存在量は、0.02mol/mであった。ECの存在量は、ECを担持する前後での重量変化から算出した。以降の実施例においても、有機材料の存在量は、重量変化から算出した。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温(20℃)での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間保持したが、重量の変化は無かった。
<実施例2>
DECの気化による除去条件のみを下記のように変えた以外は実施例1と同様の方法によりセパレータを製造した。本実施例では、溶液を含浸した多孔質膜を、垂直に保持して余分な溶液を自然落下によって除去した後、空中で水平に1時間保持した。ここまでの処理を、全て温度20℃、露点が零下40℃以下の乾燥雰囲気で行った。次に、ECの融点36℃よりも高い温度である80℃で、露点が零下40℃以下の乾燥雰囲気中で、1時間保持した。温度80℃での乾燥中のセパレータ表面に、液状の浸みだしなどの変化は見られず、乾燥処理後のセパレータ表面は、実施例1と同様に、目視観察では析出物は認められなかった。また、80℃による加熱乾燥では、基材の収縮は認められなかった。
本実施例のECを担持したアラミドセパレータにおけるECの存在量は、0.02mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間、常温保持したが、重量の変化は無かった。
<実施例3>
ECをDECに溶解した溶液中のEC濃度を、0.02mol/lとした他は、実施例1と同様にしてECを担持したセパレータを作製した。
本実施例のECを担持したアラミドセパレータにおけるECの存在量は、0.01mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間、常温保持したが、重量の変化は無かった。
<実施例4>
ECをDECに溶解した溶液中のEC濃度を、0.01mol/lとした他は、実施例1と同様にしてECを担持したセパレータを作製した。
本実施例のECを担持したアラミドセパレータにおけるECの存在量は、0.005mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間、常温保持したが、重量の変化は無かった。
<実施例5>
ECをDECに溶解した溶液中のEC濃度を、0.001mol/lとした他は、実施例1と同様にしてECを担持したセパレータを作製した。
本実施例のECを担持したアラミドセパレータにおけるECの存在量は、0.001mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間、常温保持したが、重量の変化は無かった
<実施例6>
ECをDECに溶解した溶液中のEC濃度を、0.25mol/lとした他は、実施例1と同様にしてECを担持したセパレータを作製した。
本実施例のECを担持したアラミドセパレータにおけるECの存在量は、0.05mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間、常温保持したが、重量の変化は無かった
<実施例7>
純水とエタノールを(純水:エタノール=9:1(体積比))で混合した溶媒にECを溶解して、EC濃度0.02mol/lの溶液を調製した。この溶液に、実施例1で用いたものと同様のアラミドの多孔質膜(材質:アラミド、厚さ:17μm、空孔率65%、ガーレー値95(秒/100ml))を10秒間浸漬して引き上げた。溶液を含浸した多孔質膜を垂直に保持し、余分な溶液を自然落下によって除去した。次に、この多孔質膜を空中で水平に保持して1時間乾燥した。溶液の含浸から、ここまでの処理は、温度20℃、湿度40%の雰囲気中で行った。次に、温度80℃、湿度40%の雰囲気で1時間乾燥したのち、温度20℃、露点が零下40℃の乾燥雰囲気で12時間保管した。水とエタノールを除去したセパレータの表面に、目視観察では析出物は認められなかった。また、80℃による加熱乾燥では、基材の収縮は認められなかった。
本実施例のECを担持したアラミドセパレータにおけるECの存在量は、0.005mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、500Paの減圧雰囲気中で24時間、常温保持したが、重量の変化は無かった。
<実施例8>
高耐熱性高分子の基材として、実施例1と同様の多孔質膜(材質:アラミド、厚さ:17μm、空孔率65%、ガーレー値95(秒/100ml))を用いた。有機材料には、スルホラン(SL)を用いた。DECを溶媒としてSLを溶解し、SL濃度:0.1mol/lの溶液を調液した。この溶液に、15cm×15cmに切断したアラミド多孔質膜を10秒間浸した後に引き上げた。溶液を含浸した多孔質膜を、垂直に保持して余分な溶液を自然落下によって除去した。次にこの多孔質膜を空中で水平にして12時間保持し、DECを気化させて除去した。以上の、SLを溶解した溶液の多孔質膜への含浸からDECの除去までの作業は、全て、温度20℃、露点零下40℃以下の乾燥雰囲気で行った。DECを除去した後のセパレータ表面は、目視観察では析出物は認められなかった。
本実施例のSLを担持したアラミドセパレータにおけるSLの存在量は、0.025mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間、常温保持したが、重量の変化は無かった。
<実施例9>
SLをDECに溶解した溶液のSL濃度を0.01mol/lとした他は、実施例8と同様にして、SLを担持したセパレータを作製した。
本実施例のSLを担持したアラミドセパレータにおけるSLの存在量は、0.006mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間保持したが、重量の変化は無かった。
<実施例10>
高耐熱性高分子の基材として、材質:ポリイミド、厚さ:20μm、空孔率:80%、ガーレー値:80(秒/100ml)のポリイミド多孔質膜を用いた。有機材料には、ECを用いた。DECを溶媒としてECを溶解し、EC濃度:0.1mol/lの溶液を調液した。この溶液に、150mm×150mmに切断したポリイミド多孔質膜を10秒間浸した後に引き上げた。DECとポリイミドの親和性が高いため、10秒間の浸漬で溶液はセパレータ内に十分に浸透した。溶液を含浸したセパレータを、垂直に保持して余分な溶液を自然落下によって除去した。次にセパレータを空中で水平にして12時間保持し、DECを気化させて除去した。以上の、ECを溶解した溶液のセパレータへの含浸からDECの除去までの作業は、全て、温度20℃、露点が零下40℃以下の乾燥雰囲気で行った。DECを除去した後のセパレータ表面は、目視観察では析出物は認められなかった。
本実施例のECを担持したポリイミドセパレータにおけるECの存在量は、0.025mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間保持したが、重量の変化は無かった。
<実施例11>
ECをDECに溶解した溶液中のEC濃度を、0.05mol/lとした他は、実施例10と同様にしてECを担持したセパレータを作製した。
本実施例のECを担持したアラミドセパレータにおけるECの存在量は、0.01mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間保持したが、重量の変化は無かった。
<実施例12>
高耐熱性高分子の基材として、実施例10と同様の多孔質膜(材質:ポリイミド、厚さ:20μm、空孔率:80%、ガーレー値:80(秒/100ml))を用いた。有機材料には、スルホラン(SL)を用いた。DECを溶媒としてSLを溶解し、SL濃度:0.1mol/lの溶液を調液した。この溶液に、15cm×15cmに切断したポリイミド多孔質膜を10秒間浸した後に引き上げた。溶液を含浸したポリイミド多孔質膜を、垂直に保持して余分な溶液を自然落下によって除去しSLを担持したポリイミドセパレータを得た。次にセパレータを空中で水平にして12時間保持し、DECを気化させて除去した。以上の、SLを溶解した溶液のポリイミド多孔質膜への含浸からDECの除去までの作業は、全て、温度20℃、露点零下40℃以下の乾燥雰囲気で行った。DECを除去した後のセパレータ表面は、目視観察では析出物は認められなかった。
本実施例のSLを担持したポリイミドセパレータにおけるSLの存在量は、0.03mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間保持したが、重量の変化は無かった。
<実施例13>
SLをDECに溶解した溶液のSL濃度を0.01mol/lとした他は、実施例12と同様にしてSLを担持したセパレータを作製した。
本実施例のSLを担持したアラミドセパレータにおけるSLの存在量は、0.007mol/mであった。なお、本実施例におけるセパレータを、DECの常温での飽和蒸気圧よりも低い、500Paの減圧雰囲気中で24時間保持したが、重量の変化は無かった。
<比較例1>
実施例1から実施例9で用いたものと同様のアラミド多孔質膜のセパレータ(厚さ:17μm、空孔率65%、ガーレー値95(秒/100ml))を、150mm×150mmに切断して、DECに10秒間浸漬した。DECはアラミド多孔質膜に速やかに浸透した。DECから引き出したセパレータを垂直に保持し、余分なDECを自然落下させて除去した。次に、セパレータを水平に保持して、温度20℃、露点零下40℃以下の乾燥雰囲気で12時間保管した。セパレータの重量は、DECの浸漬と乾燥を行う前後で変わらなかった。
<比較例2>
実施例10から実施例13で用いたもの同様のポリイミド多孔質膜のセパレータ(材質:ポリイミド、厚さ:20μm、空孔率:80%、ガーレー値:80(秒/100ml))を、150mm×150mmに切断して、DECに10秒間浸漬した。DECはセパレータに速やかに浸透した。DECから引き出したセパレータを垂直に保持し、余分なDECを自然落下させて除去した。次に、セパレータを水平に保持して、温度20℃、露点零下40℃以下の乾燥雰囲気で12時間保管した。セパレータの重量は、DECの浸漬と乾燥を行う前後で変わらなかった。
<帯静電気特性の評価>
実施例1から実施例13と比較例1、比較例2のセパレータについて、帯電電位を測定した。まず、接地したアルミニウム板の上に、150mm×150mmのセパレータを載せ、金属製ローラーで押さえつけて、セパレータサンプルを密着させた。次に、セパレータサンプルの一辺からアルミニウム板の表面に対して垂直に、50mm/秒の速度でひき離した。セパレータサンプルの帯電電位は、ハンディ型静電気電位計(アズワン:YC−102)を用いて、引き離した直後に測定した。帯電電位の測定は、温度20℃、露点零下40℃の乾燥雰囲気中で行った。
表1に、実施例1から実施例13、比較例1、比較例2の帯電電位を示す。
Figure 2017139086
表1に示すとおり、ECまたはSLを、アラミドやポリイミドの微多孔膜に担持させると、静電気の帯電を抑制する効果が有った。
次に、上記セパレータを用いて電池を作製し、本発明のセパレータがリチウムイオン二次電池に適用できることを確認した。
<実施例14>
以下のようにしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(正極)
LiNi0.5Co0.2Mn0.3と、炭素導電剤と、結着材としてポリフッ化ビニリデンとを重量比92:4:4でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させてスラリーを作製し、アルミニウムによる集電箔に塗布、乾燥して正極活物質層を形成した。同様にしてアルミニウムによる集電箔の裏面にも正極活物質層を形成したあと、圧延して正極電極板を得た。
(負極)
天然黒鉛と、増粘剤のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、結着材のスチレンブタジエンゴムとを、重量比98:1:1で水溶液中に混合してスラリーを作製し、銅による集電箔に塗布、乾燥して負極活物質層を形成した。同様にして、銅による集電箔の裏面にも負極活物質層を形成したあと、圧延して負極電極板を得た。
(セパレータ)
実施例1で作製した、ECの存在量0.02mol/mのアラミド多孔質セパレータを用いた。ECを担持した状態でのガーレー値は160(秒/100ml)であった。
(電解液)
電解液の非水溶媒には、ECとDECを、体積比30:70で混合した非水溶媒を用いた。支持塩として、1Mの濃度になるようにLiPFを溶解した。
(電池の作製)
正極電極板を、電流取り出し部を除いた寸法として40mm×40mmに切断し、負極電極板を、電流取り出し部を除いた寸法として42mm×42mmに切断して、44mm×44mmに切断したセパレータを介して積層し、電極積層体を作製した。
電極とセパレータを積層した電極積層体は、正極電極板と負極電極板それぞれの電流取り出し部に電極タブを超音波溶接により接続した。次に、電極積層体をアルミニウムフィルムと樹脂フィルムのラミネートフィルムによる、フィルム外装体に収納した。電解液を注液した後、減圧雰囲気下でフィルム外装体を封止した。フィルム外装体の封止後、25℃で12時間保管し、続いて、初回の充電と放電を行って電池とした。
(25℃での放電量)
作製した電池を、25℃で4.2Vまで定電流定電圧モードで充電し、次に2.5Vまで電流200mAで放電したときの放電容量は、約100mAhであった。
<実施例15>
セパレータを、実施例10のポリイミド多孔質膜にECが0.025mol/mで担持されたセパレータとした他は、実施例14と同様にして電池を作製した。
(25℃での放電量)
作製した電池を、25℃で4.2Vまで定電流定電圧モードで充電し、次に2.5Vまで電流200mAで放電したときの放電容量は、約100mAhであった。
<参考例1>
基材としてポリプロピレン多孔質膜を用いたことと、ECをDECに溶解した溶液に基材を浸す時間を5分間とした他は、実施例2と同様の方法によってセパレータを製造した。浸す時間が長いのは、この基材の、ECをDECに溶解した溶液の吸い込み性が低いためである。本比較例で基材としたポリプロピレン多孔質膜は、一軸延伸によって多孔化されたもので、厚さ:25μm、空孔率:50%、ガーレー値:200(秒/100ml)である。温度80℃での乾燥中のセパレータ表面に、液状の浸み出しなどの変化は見られず、乾燥処理後のセパレータ表面は、実施例2と同様に、目視観察では析出物は認められなかった。セパレータ全体に緩い波打ちが見られ、延伸によって基材に生じた内部応力が一部開放されたためと思われる。
参考例1のポリプロピレン多孔質膜による基材と、参考例1のセパレータの帯電電位を、前記の実施例1から実施例13と比較例1、比較例2のセパレータと同様にして測定した。参考例1の基材のみの帯電電位は−300V、参考例1のセパレータの帯電電位は−250Vであった。基材の帯電電位がアラミドやポリイミドよりも低いため、ECを担持することによる帯電電位の低下量は少ない。
<参考例2>
セパレータを、有機材料を担持していないアラミド多孔質膜(厚さ:17μm、空孔率65%、ガーレー値95(秒/100ml))に変えた他は、実施例14と同様に電池を作製した。
実施例14と同様に、25℃で4.2Vまで定電流定電圧モードで充電し、次に2.5Vまで電流200mAで放電したときの放電容量は、約100mAhであった。
実施例14、実施例15の放電容量が、有機材料を担持していない多孔質膜をセパレータとした参考例2の放電容量と同一であったことから、セパレータに担持したECやSLが、電池の特性を低下させていないことが確認された。
本発明のセパレータおよびこれを含む電池は、例えば、電源を必要とするあらゆる産業分野に利用可能である。一例として、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源として利用でき;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車などの電動車両の電源として利用でき;電車や衛星、潜水艦などの移動用輸送用媒体の電源として利用でき;電力を貯める蓄電システムとして利用できる。
10 フィルム外装体
11、12 フィルム
15 熱融着部
20 電池要素
21 正極タブ
25 負極タブ
31a 正極集電部
35a 負極集電部
38 セパレータ
50 フィルム外装電池

Claims (12)

  1. 多孔質膜、織布、および不織布からなる群から選ばれる少なくとも一種の基材を有し、
    前記基材は、融点または熱分解温度が200℃以上の高分子材料を含み、かつ、
    前記基材の表面および/または内部に、有機溶媒に可溶な有機材料を担持していることを特徴とする、電池用セパレータ。
  2. 融点または熱分解温度が200℃以上の高分子材料が、アラミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、およびポリフェニレンサルファイドから選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 有機溶媒に可溶な有機材料が、0℃以上の融点を有し、4.2V以上のLi/Liを基準とした酸化電位を有し、かつ30以上の比誘電率を有する有機材料であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電池用セパレータ。
  4. 有機溶媒に可溶な有機材料が、エチレンカーボネート、スルホラン、アジポニトニル、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’―ジメチルイミダゾリジノン、およびジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  5. 有機材料を可溶な有機溶媒が、非プロトン性有機溶媒であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  6. 非プロトン性有機溶媒が、炭酸エステル、カルボン酸エステル、およびリン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項5に記載の電池用セパレータ。
  7. 前記有機溶媒に可溶な有機材料の存在量が、電池用セパレータの1平方メートル当たり0.001mol〜0.05molであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  8. 有機材料を溶媒に溶解した溶液を、基材の表面および/または内部に供給する工程と、
    該基材に供給した有機材料の溶液から溶媒を除去する工程と、
    を含み、
    前記基材が、多孔質膜、織布、および不織布からなる群から選ばれる少なくとも一種を有し、かつ、融点または熱分解温度が200℃以上の高分子材料を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電池用セパレータの製造方法。
  9. 正極活物質層を備えた正極と、負極活物質層を備えた負極と、前記正極と前記負極との間に配された請求項1〜7のいずれか一項に記載の電池用セパレータと、を有する電極積層体。
  10. 容器内部に、電解液と請求項9に記載の電極積層体を有し、
    電解液が、電池用セパレータに担持された有機材料を可溶な有機溶媒を含むことを特徴とする電池。
  11. 電解液に含まれる有機材料を可溶な有機溶媒が、非プロトン性有機溶媒であることを特徴とする、請求項10に記載の電池。
  12. 電解液に含まれる非プロトン性有機溶媒が、炭酸エステル、カルボン酸エステル、およびリン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項11に記載の電池。
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