JP2016024898A - 正極、これを用いた二次電池およびこれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部短絡などで異常発熱したときの安全性が高い二次電池用正極と、これを用いた電池を提供する。
【解決手段】本発明は、正極活物質層を有する二次電池用正極であって、前記正極活物質層が、正極集電体上に形成された第1の層と、前記第1の層の上に形成された第2の層とを含み、前記第1の層と前記第2の層は、それぞれ、一種以上の正極活物質を含み、前記第1の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度が、前記第2の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度よりも低く、かつ、前記第1の層の充放電容量が、前記第2の層の充放電容量より小さいことを特徴とする二次電池用正極に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、二次電池用正極、これを用いた電極素子、二次電池、およびこれらの製造方法、ならびに該二次電池を備えた電動車両および蓄電システムに関する。
ノート型パソコン、携帯電話、電気自動車などの急速な市場拡大に伴い、キャパシタや二次電池などの蓄電デバイスが盛んに研究されている。中でもリチウムイオン二次電池は、より多くのエネルギーを蓄えることができる点で、魅力的である。現在は更に高エネルギー密度の電池が求められているため、正極活物質として、ニッケルやコバルトを含む層状岩塩型構造の化合物であるニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウムを基本として、ニッケルやコバルトの一部を互いに置換したものや、マンガン、アルミニウムなどで置換した物質の実用化が進められている。しかし、層状岩塩型化合物は、スピネル構造をもつLiMnを正極活物質とした場合と比べて、電池の充電が進行してリチウムが結晶格子から引き抜かれると構造が不安定になり、熱分解温度が低下する。熱分解温度はLi引き抜き量が多いほど低く、非特許文献1によれば、ニッケル酸リチウムのLiを引き抜いたLi0.3NiOを0.5℃/分で昇温すると180℃で酸素を放出して分解する。分解するときに熱が発生するため、電池が熱暴走する恐れがある。なお、ニッケル酸リチウムが酸素を放出しながら分解すると、LiNiとNiOになる。
充放電容量が大きい正極活物質ほど、熱分解時に放出されるエネルギーが大きくなる傾向があるため、安全性についての配慮がより必要になる。これまでも高エネルギー密度の電池における安全性を高めるために、電池を構成する種々の材料の検討が行われている。例えばリチウムイオン二次電池等の蓄電デバイスにおいて、セパレータは、正極と負極の短絡を防ぎ、かつリチウムイオンを効果的に移動させる役割を果たす。これまで、ポリプロピレンやポリエチレン材料からなるポリオレフィン系の微多孔質セパレータが主として用いられてきた。その理由は、これらの材料がもつシャットダウン効果が、電池の発熱時の安全性に寄与するためである。しかしながら、高エネルギー密度の電池にポリオレフィン材料を用いると、シャットダウン効果が得られる前にセパレータが溶融してしまい、広い面積で電極間の短絡が発生する可能性がある。短絡面積が広くなると、大きな短絡電流が流れて多量の熱が発生し、電解液の蒸気が漏えいする、フィルム外装体の電池では体積が急に増加して膨らむといった恐れがあった。
セパレータの熱耐性を改善するため、ポリオレフィン系の微多孔質膜の表面を耐熱材料の粒子で被覆することが行われている。特許文献1には、アルミナなどの粒子をバインダでポリオレフィン系の基材表面に固着することが開示されている。セパレータの温度が上がって、基材が軟化あるいは溶融しても耐熱材料の粒子によって正極と負極の短絡を防ぐ効果がある。
耐熱材料の粒子による被覆を、電極の活物質層表面に形成することも行われている。特許文献2には、電極活物質層の表面にアルミナなどの粒子を固着することが開示されている。活物質層の表面に固着することにより、セパレータが溶融し寸法が小さくなった場合や、電池に異物が貫入してセパレータが破れるような場合にも、耐熱材料の粒子によって正極と負極の短絡を防ぐ。
異常時に電極の充放電動作を停止させることも提案されている。特許文献3では、電極の塗布層の中に熱活性化材料を含む層を形成することが開示されている。リチウム電池の温度が上昇したときには熱活性化材料が活性化されて、架橋反応が起こり、リチウムイオンの拡散が阻止されるため、充放電動作が停止する。特許文献4には、活物質層に混合する電子導電性材料を、高分子材料と導電性材料の混合物とすることが開示されている。正極と負極の短絡によって温度が上昇したときには高分子材料が溶けることで電子導電抵抗が上昇し、それ以上の放電を防止する。
特許文献5には、正極集電体上に導電性フィラーと結着剤と過充電状態での高電位で分解する物質からなる導電層を形成し、この上に正極活物質層を形成することが開示されている。高電位になると、高電位で分解する物質が分解して、集電体と活物質層の間の電気的接触が遮断されるので、過充電が進まなくなる。
特許文献6には、正極活物質成分が異なる複数の層から成り、正極最下層にコバルト酸リチウムを含み、その上にスピネル型マンガン酸リチウムを含む正極が記載されている。特許文献7には、異なる活物質を含む多層構造を有する正極が記載されており、例えば、集電体表面上にLiNiOを含む第1層が形成され、その第1層の上にLiFePOを含む第2層が形成された正極が開示されている。特許文献8には、正極集電体上に層状結晶構造を有するリチウム複合酸化物を含む第1正極活物質層と、この第1正極活物質層の上に形成された第2正極活物質層とを含むリチウム二次電池用正極が記載されている。
特許第5158678号公報 特許第4253853号公報 特開2012−134149号公報 特許第3811353号公報 特許第4236308号公報 特開2006−032279号公報 特開2006−134770号公報 特開2008−198596号公報
リチウムイオン二次電池(第二版)40ページ、芳尾真幸/小沢昭弥編、日刊工業新聞社刊
特許文献1、特許文献2に記載された技術は、セパレータの熱収縮による短絡を防止できるが、電極の熱に対する安定性が不十分である。そのため、充電状態で、外部からの異物の貫入などによる電池内部での短絡や、電池の端子の短絡による電流のジュール熱で、正極活物質層全体が熱分解し、多くのエネルギーを放出する恐れがある。
特許文献3、特許文献4に記載された技術では、高温になったときに、電極内のイオン伝導性あるいは電子伝導性を低下させることで、電池の安全性を向上させている。しかし、これらの変化は不可逆な為、電極製造時の乾燥やバインダ硬化工程での加熱で、電極の特性が低下する恐れがある。また、電極に熱活性材料や特別な電子導電性材料を混ぜるので、電極中の活物質の比率が下がり、電池のエネルギー密度が低下することも課題である。
特許文献5は、過充電によって電極が高電位になると、電極集電体と活物質層の間の層が壊れ、活物質層を集電体と電気的に隔離する。しかし、過充電以外の異常、たとえば電池の内部短絡や外部短絡による発熱を抑制することはできないという問題がある。
特許文献6〜8には、正極集電体の表面上に形成された第1層の上に、第1層より熱安定性の高い正極活物質を含む第2層が形成されているが、第1層の充放電容量が第2層の充放電容量より大きい。そのため、電池が短絡等で高温になって第1層の正極活物質が熱分解するときに放出されるエネルギーが大きく、電池の安全性の観点から更なる改善の余地があった。
本発明は、上記の問題に鑑み、電池のエネルギー密度が高く、内部短絡、外部短絡、および過充電等による発熱時における安全性が高いリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明は以下の事項に関する。
正極活物質層を有する二次電池用正極であって、
前記正極活物質層が、正極集電体上に形成された第1の層と、前記第1の層の上に形成された第2の層とを含み、
前記第1の層と前記第2の層は、それぞれ、一種以上の正極活物質を含み、
前記第1の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度が、前記第2の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度よりも低く、かつ、
前記第1の層の充放電容量が、前記第2の層の充放電容量より小さいことを特徴とする二次電池用正極。
本発明によれば、電池のエネルギー密度が高く、内部短絡、外部短絡および過充電等による発熱時の安全性が高い二次電池用正極と、これを用いた二次電池を提供することができる。
本発明の一実施形態の正極の断面構造を示す模式図である。 本発明の一実施形態による二次電池の分解斜視図である。 本発明の一実施形態による電極素子の積層構造を示す図である。
<正極>
二次電池用正極は、正極活物質を含む正極活物質層が、正極用結着剤によって正極集電体上に結着した構造を有する。本発明の二次電池用正極(単に「正極」と記載することもある)は、正極集電体上に形成された第1の層と、前記第1の層の上に形成された第2の層とを含む正極活物質層を有し、前記第1の層と前記第2の層は、それぞれ、一種以上の正極活物質を含み、前記第1の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度が、前記第2の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度よりも低く、かつ、前記第1の層の充放電容量が、前記第2の層の充放電容量より小さい。なお、本発明の二次電池用正極は、リチウムイオン二次電池用正極であることが好ましく、本明細書においてリチウムイオン二次電池用正極を例に記載しているところもあるが、これに限定されるものではない。
本発明の正極においては、正極活物質層が、少なくとも第1の層と第2の層とを有し、第1の層は、正極集電体の表面上に形成され、第2の層は、その第1の層上(正極集電体とは反対側の第1の層の表面上)に形成されている。正極活物質層は、正極集電体の片面のみに形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。
本発明の一実施形態の正極の断面模式図を図1に示す。正極11は、正極集電体の表面上に形成された第1の層12と、その第1の層12の上に形成された第2の層13からなる正極活物質層14が、正極集電体15の両面に形成されている。正極活物質層14が、正極集電体15の両面に形成されている正極は、正極を、セパレータを介して負極と複数回積層するときの態様として好ましい。なお、本明細書において図1に示す正極を例に記載しているところもあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
正極活物質層を構成する第1の層および第2の層は、それぞれ、一種以上の正極活物質を含む。各層に含まれる正極活物質は一種であっても二種以上であってもよい。本明細書においては、第1の層に含まれる正極活物質を第1の正極活物質、第2の層に含まれる正極活物質を第2の正極活物質と記載することもある。
本発明の正極においては、第1の層の正極活物質の平均熱分解温度T1が第2の層の平均熱分解温度T2より低い。ここで、第1の層の平均熱分解温度T1は下記式(1):
T1=(t1m1+t2m2+・・・tnmn)/(m1+m2+・・・mn) 式(1)
[式(1)において、T1は、第1の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度、tは、第1の層を構成するn番目の正極活物質の熱分解温度、mはn番目の正極活物質の第1の層に含まれる全正極活物質中の含有量(モル)、nは第1の層を構成する正極活物質の種類数であり、正の整数を表す。]
により求めることができ、
第2の層の平均熱分解温度T2は、下記式(2):
T2=(s1p1+s2p2+・・・snpn)/(p1+p2+・・・pn) 式(2)
[式(2)において、T2は、第2の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度、sは、第2の層を構成するn番目の正極活物質の熱分解温度、pはn番目の正極活物質の第2の層に含まれる全正極活物質中の含有量(モル)、nは第2の層を構成する正極活物質の種類数であり正の整数を表す。]
により求めることができる。
本明細書において、正極活物質の熱分解温度とは、該正極活物質を含む正極と金属リチウムの負極電極を有するリチウムイオン二次電池が4.2Vまで充電された状態にあるとき、正極活物質中の酸素が脱離して放出され始める温度(酸素脱離開始温度)のことをいう。熱分解温度は、一般に、DSC(示差走査熱量測定)、または、ARC(accelerating rate calorimeter、加速速度熱量計)を用いて測定することができる。
本発明の正極は、第1の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度T1が、第2の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度T2より低い(すなわちT1<T2である)ことにより、電池の異常発熱時、例えば、電池内部への異物の貫入などで正極と負極の間に短絡電流が流れて、発生したジュール熱で短絡箇所の温度が上昇したとき、第1の層が壊れる(熱分解する)ことで、正極活物質層と集電体の間に電流が流れなくなり、温度上昇が止まる。リチウムイオン二次電池の過充電により過充電電流が流れて発熱した場合も同様である。したがって、本発明の正極を用いたリチウムイオン二次電池は、短絡等による発熱の進行を抑制し、温度上昇による電解液の蒸気の漏えいの防止、電池の急激な体積増加の抑制等が可能である。
本発明の正極は、異常発熱時に第1の層の正極活物質が熱分解することによって、集電箔(正極用集電体)と正極活物質層の電気伝導を抑えるので、発熱異常への対策として充放電容量に寄与しない材料を、正極活物質層内に導入する必要が無い。そのため、本発明の正極を用いると、高いエネルギー密度を有する二次電池を得ることができる。
さらに、本発明の正極においては、第1の層の充放電容量が、第2の層の充放電容量より小さい。ここで、第1の層の充放電容量および第2の層の充放電容量は、それぞれ、少なくとも一時点における各層全体の充放電容量を意味するものとする。少なくとも一時点における充放電容量とは、初回の充放電容量であってもよいし、充放電を複数回繰り返した後の充放電容量であってもよい。本実施形態においては、少なくとも一時点において、第1の層の充放電容量が、第2の層の充放電容量より小さければよいが、一般的には、第1の層の充放電容量が第2の層の充放電容量より小さいという関係は充放電を繰り返している間も維持される。第1の層の充放電容量が、第2の層の充放電容量より小さいことにより、平均熱分解温度T1が低い第1の層の正極活物質が熱分解する際に放出するエネルギーを小さくすることができる。また、本発明の正極においては、発熱時に第1の層が優先的に熱分解することにより電流が流れなくなり、第2の層の熱分解とそれにより放出されるエネルギーを抑制することができるため、リチウムイオン二次電池の安全性を高めることができる。
第1の層の充放電容量をE1、第2の層の充放電容量をE2としたとき、[E1/(E1+E2)]×100(%)は50%未満であればよく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることがさらに好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。下限は、第1の正極活物質が熱分解した時に正極活物質層と正極集電体の電気抵抗を上昇させることができる範囲であればよく、特に限定されないが、3%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。[E1/(E1+E2)]×100(%)が3%以上50%未満にあることにより、第1の正極活物質が熱分解した時に正極活物質層と正極集電体の電気抵抗が上昇し、発熱が抑制され、かつ、第1の正極活物質の熱分解時の発熱により放出されるエネルギーを小さくでき、安全性の高いリチウムイオン二次電池とすることができる。
第1の正極活物質の分解によって正極活物質層14と正極集電体15との間の電気抵抗を上昇させるためには、第1の層12は正極集電体15の表面を連続的に覆っていることが好ましい。さらに、第1の層12の表面上に形成される第2の層13は、第1の層12の表面上(正極集電体側と反対側の表面上)を連続的に覆っていることが好ましい。また、本発明の正極は、三層以上の構造を有していてもよい。
正極活物質の種類と含有量は、上記のとおり、第1の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度T1が、第2の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度T2より低くなる組み合わせで選択することができる。正極活物質としては、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5等の層状構造を持つマンガン酸リチウムまたはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoO、LiNiOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;LiNi1/3Co1/3Mn1/3などの特定の遷移金属が半数を超えないリチウム遷移金属酸化物;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの、等が挙げられる。また、これらの金属酸化物に、Al、Fe,P,Ti,Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。
第1の正極活物質としては、リチウムイオン二次電池の使用に支障が無い限り、熱分解温度が低い正極活物質を含むことが好ましい。層状岩塩構造のLiMO(Mは遷移金属)は、結晶構造の安定性が高いスピネル構造を有する化合物よりも熱分解温度が低いため、第1の正極活物質が層状岩塩構造を有する化合物を含むことが好ましい。第1の層に含まれる正極活物質として、具体的には、ニッケル酸リチウム(LiNiO)およびLiNiOのNiの一部を他の金属(好ましくはCo、AlおよびMnから選ばれる一種以上)で置き換えたものから選ばれる少なくとも一種が好ましく、LiNiOを含むことがより好ましい。本実施形態の一態様として、第1の層を構成する正極活物質のうち、LiNiOを10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むことがより好ましく、50モル%以上含むことがさらに好ましく、100モル%であってもよい。
LiNiOの熱分解温度は、LiNiOのNiを他の金属元素で置換した正極活物質材料およびLiCoOの熱分解温度よりも低い。したがって、本実施形態の一態様として、LiNiOを第1の正極活物質の全部または一部として用い、LiNiOのNiの一部を他の金属で置き換えた正極活物質およびLiCoOから選ばれる一種以上を第2の正極活物質の全部または一部として用いることができる。また、本発明においては、第1の正極活物質および/または第2の正極活物質としてスピネル構造を有するLiMn(0<x<2)等を含んでもよい。
正極活物質を含む正極活物質層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等の炭素質繊維が挙げられる。導電補助材は、第1の層および第2の層の一方または両方に含めることができる。
正極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー密度化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、1〜25質量部が好ましい。本発明において、第1の層と第2の層とで用いる正極用結着剤は同じであっても異なっていてもよい。
正極集電体15の材質としては、公知のものを任意に用いることができるが、電池内部での化学的安定性や加工のし易さから、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とした合金が好ましい。集電体の形状も任意であり、箔状、平板状、メッシュ状等が挙げられる。また、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。
正極11は、正極集電体15の上に、正極活物質と正極用結着剤を含む正極活物質層14を形成することで作製することができる。正極活物質層14の形成方法として、ドクターブレード法、ダイコーター法などがある。
本発明の正極は、例えば、第1の層を形成するための第1の正極活物質と正極用結着剤とを含むスラリーを正極集電体上に塗布して乾燥し、続いて、第2の層を形成するための正極活物質と正極用結着剤を含むスラリーを第1の層の上に塗布して乾燥し、プレス等により圧縮して製造することができる。プレス等による圧縮は、第1の層の乾燥後と第2の層の乾燥後の、それぞれで行うこともできる。あるいは、第1の層を形成するためのスラリーと第2の層を形成するためのスラリーとを、正極用集電体上に2層同時に塗布したものを、乾燥、圧縮して製造することもできる。
なお、正極活物質は、700℃以上の温度で合成されるが、Liが結晶格子から引き抜かれていない状態における熱安定性は高い。そのため、正極活物質として電極集電体上に塗布され、加熱乾燥工程にかけられても、分解してしまう恐れはなく、本発明の正極は製造工程中における熱安定性が高い。
<負極>
負極は、例えば、負極活物質が負極用結着剤によって負極集電体に結着されて構成される。本実施形態における負極活物質は、リチウムの吸蔵及び放出が可能なものであれば、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。通常は、正極の場合と同様に、負極も集電体上に負極活物質層を設けて構成されたものを用いる。
負極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料であれば他に制限は無く、公知の負極活物質を任意に用いることができる。例えば、コークス、アセチレンブラック、メゾフェーズマイクロビーズ、黒鉛等の炭素質材料;リチウム金属;リチウム−シリコン、リチウム−スズ等のリチウム合金、チタン酸リチウムなどを使用することが好ましい。これらの中でもサイクル特性及び安全性が良好でさらに連続充電特性も優れている点で、炭素質材料を使用するのが最も好ましい。なお、負極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、負極活物質の粒径は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、初期効率、レ−ト特性、サイクル特性等の電池特性が優れる点で、通常1μm以上、好ましくは15μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは30μm以下程度である。また、例えば、上記の炭素質材料をピッチ等の有機物で被覆した後で焼成したもの、CVD法等を用いて表面に上記炭素質材料よりも非晶質の炭素を形成したものなども、炭素質材料として好適に使用することができる。ここで、被覆に用いる有機物としては、軟ピッチから硬ピッチまでのコールタールピッチ;乾留液化油等の石炭系重質油;常圧残油、減圧残油等の直留系重質油;原油、ナフサ等の熱分解時に副生する分解系重質油(例えばエチレンヘビーエンド)等の石油系重質油が挙げられる。また、これらの重質油を200℃〜400℃で蒸留して得られた固体状残渣物を、1μm〜100μmに粉砕したものも使用することができる。さらに塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂なども使用することができる。
負極活物質層は、例えば、上述の負極活物質をロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたりすることも可能であるが、通常は、正極活物質層の場合と同様に、上述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて各種の助剤等とを、溶媒でスラリー化してなる塗布液を、集電体に塗布し、乾燥することにより製造することができる。
負極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー密度化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、1〜25質量部が好ましい。
負極の集電体の材質としては、公知のものを任意に用いることができるが、例えば、銅、ニッケル、SUS等の金属材料が用いられる。中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。集電体の形状は任意であり、箔状、平板状、メッシュ形状等が挙げられる。
<セパレータ>
セパレータには、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系微多孔膜、樹脂繊維や無機繊維よる不織布など、電気伝導性がなく、電解液に侵されず、イオン伝導性を有する、公知のものを用いることができる。電池全体の安全性を向上させる観点からは、無機粒子や高耐熱樹脂粒子を含む高耐熱層を、微多孔膜や不織布表面に形成した複合膜、あるいは、アラミドやポリイミド、無機繊維などの高耐熱材料による微多孔膜や不織布を用いることが好ましい。
<電解液>
電解液は、電池の動作電位において安定な非水電解液を含む。非水電解液の具体例としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、t−ジフルオロエチレンカーボネート(t−DFEC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)等の環状カーボネート類;アリルメチルカーボネート(AMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;γ―ブチロラクトン(GBL)等の環状エステル類、などの非プロトン性有機溶媒が挙げられる。非水電解液は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。また、スルホラン、フッ素化スルホラン、プロパンスルトン、プロペンスルトン等の含硫黄環状化合物を用いることが出来る。
電解液中に含まれる支持塩の具体例としては、特にこれらに制限されるものではないが、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、Li(CFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩が挙げられる。支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
<外装体>
外装体としては、電解液に安定で、かつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば、適宜選択することができる。例えば、積層ラミネート型の二次電池の場合、外装体としては、アルミニウム、シリカをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルムを用いることができる。特に、体積膨張を抑制する観点から、アルミラミネートフィルムを用いることが好ましい。また、外装体は、単一の部材で構成してもよいし、図2に示したように複数の部材(外装材23、24)を組み合わせて構成してもよい。
<電極素子および二次電池の構成>
本発明の正極を備えた電極素子が適用される代表的なデバイスとしては、リチウムイオン二次電池が挙げられるが、ナトリウムイオン二次電池等の二次電池に適用することが可能である。以下の説明でリチウムイオン二次電池を例に説明するが、これに限定されるものではなく、本発明が適用される二次電池の種類に応じて、形状、構成および材料を適宜変更することができる。
二次電池は、電極の構造や形状等により、円筒型、扁平捲回角型、積層角型、コイン型、扁平捲回ラミネート型および積層ラミネート型等、種々のタイプがある。本発明はこれらの何れのタイプにも適用可能である。これらのうち、本発明が適用される二次電池の形状は、放熱性の観点から、積層ラミネート型であることが好ましい。以下、積層ラミネート型の二次電池について説明する。
図2に、電極素子22と、外装材23、24によって電極素子22をその厚み方向両側から包囲することによって、電極素子22を電解液とともに内包する外装体とを有する、本発明の一実施形態による二次電池21の分解斜視図が示されている。電極素子22には負極タブ25および正極タブ26が、それぞれ一部を外装体から突出させて接続されている。
本実施形態の電極素子の一態様は、本発明の正極と、セパレータと、セパレータを介して対向配置された負極とを有する。
図3は、本発明の電極素子の一態様である。図3において、電極素子22は、複数の負極31と複数の正極32とがセパレータ33を介して対向配置された構造を有する。負極31と正極32は、それぞれ負極タブ25と正極タブ26に接続するために、活物質層が形成されていない部分を有している。
本発明のリチウムイオン二次電池は、電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車などの電動車両にも用いることができる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池は、蓄電システムにも用いることができる。蓄電システムは、例えば、一般家庭に供給される商用電源と家電製品等の負荷との間に接続され、停電時等のバックアップ電源や補助電力として使用されるものである。更に、太陽光発電などの、再生可能エネルギーによる時間変動の大きい電力出力を安定化するための、大規模電力貯蔵用としても使用される。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
金属リチウムを負極としたコイン型電池を作製した。
(正極の作製方法)
第1の正極活物質として、ニッケル酸リチウム(LiNiO)材料を85質量%、導電助剤としてアセチレンブラックを7質量%、バインダとしてポリフッ化ビニリデン8質量%を混合し、これをN−メチルピロリドン(NMP)に分散させてスラリーとした後、正極集電体としてのアルミニウム箔(15μm)に第1の層として塗布し、乾燥させた。次に、第2の正極活物質として、LiNiOのNiの一部をCoとAlで置き換えた、LiNi0.8Co0.15Al0.05を用いて、第1の正極活物質と同様にスラリーを作製して、前記の第1の層の上に塗布し、第2の層を形成した。集電体の片面に第1および第2の正極活物質層を形成するためのスラリーを塗布した後、電極をプレス処理し、電極の集電体を含む厚さが60μmになるように作製した。第1の層と第2の層は、金属リチウムを負極として4.2Vまで充電したときの容量比が、1:4とした。
(セパレータ)
セパレータには、厚さ25μmのポリプロピレンの微多孔膜を用いた。
(電解液)
体積比で、EC(エチレンカーボネート):DEC(ジエチルカーボネート)=40:60からなるカーボネート系非水電解液を調製し、さらに、支持塩としてのLiPFを1モル/リットルの濃度で溶解して、電解液を作成した。
(電池の組み立て)
正極を直径12mmの円形に打ち抜き、セパレータを介して金属リチウム負極と重ねてコイン型電池を作製した。
(充電状態の正極の取り出し)
作製したコイン型電池を4.2Vまで定電流−定電圧モードで充電した。次に、充電状態のままコイン型電池を解体して正極を取り出した。正極をDECを用いて洗浄し、室温で真空乾燥した。同様にして、充電状態の正極を5枚用意した。
(正極の加熱処理)
充電状態の正極5枚を、電気炉で室温から加熱し、表1に示す温度でそれぞれ1分間加熱した後に取りだして自然冷却した。加熱処理後の正極を用いて、初めに作製したものと同様にして、再びコイン型電池を作製し、放電の可否を調べた。
<実施例2>
正極を、実施例1における第1の正極活物質として、LiNiOを65モル%、LiMnをモル35モル%で混合したものを用いたほかは、実施例1と同様に作製した。コイン型電池の作製と充電、正極の取り出しと加熱処理を、実施例1と同様に行った。取り出した正極を用いて、実施例1と同様に、再びコイン型電池を作製して放電の可否を調べた。
<比較例1>
第1の層を形成しなかったほかは、実施例1と同様にして正極を作製した(すなわち、実施例1の第2の層のみからなる正極活物質層を有する正極を作製した)。コイン型電池の作製と充電、正極の取り出しと加熱処理を、実施例1と同様に行った。取り出した正極を用いて、実施例1と同様に、再びコイン型電池を作製して放電の可否を調べた。
<参考例1>
正極活物質層として実施例1の第1の層のみを形成し(すなわち、第2の層を形成せず)、そのほかは実施例1と同様にして、作製した。コイン型電池の作製と充電、正極の取り出しと加熱処理を、実施例1と同様に行った。取り出した正極を用いて、実施例1と同様に、再びコイン型電池を作製して放電の可否を調べた。
実施例1、実施例2、比較例1、参考例1の結果を表1に示す。放電可能の場合は○で、放電できなかったものは×で表す。
Figure 2016024898
第1の正極活物質としてLiNiOを含む第1の層を有する実施例1と実施例2は、180℃で熱処理した正極が放電できなかった。したがって、実施例1と実施例2による正極は、180℃になると充放電を停止する機能をもつ。参考例1が180℃の熱処理で放電できなくなったことから、加熱によってLiNiOが熱分解したためと考えられる。
一方、第1の正極活物質層を有しない比較例1は200℃で熱処理した後も、放電が可能であった。
<実施例3>
(正極電極の作製)
実施例1と同じ正極活物質層を、実施例1と同じ集電体の両面に形成した。集電体の両面に活物質層を形成した他は、実施例1と同じ材料と方法を用いた。プレス後の正極の集電体を含む厚さは、105μmとした。正極の活物質塗布部分は、幅50mm、長さ100mmとした。
(負極電極の作製)
負極活物質として黒鉛材料を90質量%と、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを10質量%とを混合し、N−メチルピロリドン(NMP)に分散させてスラリーとした後、負極集電体として厚さ10μmの銅箔に塗布し、乾燥させた。集電体の両面に塗布した後、負極電極をプレス処理し、銅箔を含む厚さが130μmになるように作製した。負極の活物質塗布部分は、幅52mm、長さ102mmとした。
この負極電極を用いてコイン型セルを作製して4.2Vまで充電したときの、実施例1の正極の第1の層と第2の層の充放電容量の比は、金属リチウムを負極として4.2Vまで充電したときと同じく、1:4である。
(電極素子の作製)
セパレータは、厚さ25μmのポリプロピレンの微多孔膜を用いた。負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極、の順に、正極4枚、負極5枚を、セパレータを介して積層して、電極素子を作製した。正極活物質に覆われていない正極集電体の端部を重ねてアルミニウム製の正極端子を、負極活物質に覆われていない負極集電体の端部を重ねて銅製の負極端子を、それぞれ超音波溶接して、平面的な積層構造を有する電極素子を得た。
(電池の組み立て)
上記電極素子を外装体としてのアルミフィルムと樹脂フィルムのラミネートフィルムで包み、内部に電解液を注液した後、0.1気圧の減圧雰囲気下で封止することで、二次電池を作製した。作製した電池の容量は、約800mAhである。
(実験)
作製した電池を、定電流−定電圧モードで4.2Vまで充電した。充電した電池に、大気中25℃の環境下で直径3mmのステンレス製釘を40mm/秒の速度で、電極の活物質塗布面と垂直方向に貫通させた。電池電圧は、釘の貫通直後に3.9Vまで低下したが、その後の電圧低下は緩やかで、1時間後も2.5V以上の電圧が保たれていた。電池を解体して、セパレータに形成された穴の直径を測定した結果、4.2mm〜4.5mmであった。
<比較例2>
比較例1と同じ正極活物質層を形成した他は、実施例3と同様に正極電極を作製した。負極には、実施例3と同一の負極を用いた。電極素子の作製と電池の組み立てを、実施例3と同様に行った。
実施例3と同様の方法で充電した電池に、実施例3と同様にステンレス釘を貫通させた。電池電圧は、釘の貫通直後に0Vまで低下していた。また、電池の外装体が、電池内部の圧力上昇で膨らんだ。電池を解体して測定したセパレータの穴の直径は、7mm〜7.8mmであった。
実施例3は比較例2よりもセパレータの穴が小さく、電圧の低下が、釘刺し直後に低下した後は緩やかであったことから、釘刺し直後を除いて、短絡電流が小さかった。
<比較例3>
(電池の作製)
正極電極を、実施例3の正極において、第一の層と第二の層の、金属リチウムを負極として4.2Vまで充電したときの容量の比が1:1になるようにした他は、実施例3と同様にして作製した。負極電極の作製、電極素子の作製、電池の組み立ては、実施例3と同様に行った。
(実験)
作製した電池を、実施例3と同じく、定電流−定電圧モードで4.2Vまで充電し、充電した電池に、大気中25℃の環境下で直径3mmのステンレス製釘を、40mm/秒の速度で、電極の活物質塗布面と垂直方向に貫通させた。
電池電圧は、釘の貫通直後に3.8Vまで低下したが、その後の電圧低下は緩やかで、1時間後も2.5V以上の電圧が保たれていた。釘刺後の電池の外装体は膨らみ、外装体の釘を刺した穴の周囲には、黒い粉が付着していた。釘刺し試験後の電池を解体したところ、セパレータの穴は、溶融により不定形に広がり、最も短いところでも直径10mm以上であった。また、正極電極の、セパレータの穴と対応する領域では、活物質層が集電体から剥がれていた。
比較例3では、釘刺しによる電圧の低下は実施例3同様に小さかったが、電池の外装体が膨らみ、また、外装体の釘を刺した穴の周囲には黒い粉が付着していた。この黒い粉は、集電体から剥がれた正極の活物質と思われ、比較例3では電解液の蒸気の漏えいや、正極電極の激しい破壊が生じたことが分かる。
本発明は、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野にて利用することができる。具体的には、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車などの電動車両、電車などの移動・輸送用媒体の電源;UPSなどのバックアップ電源;家庭や事務所において、系統から供給される商用電力を一時的に貯める蓄電装置;太陽光発電、風力発電などで発電した電力を貯める蓄電設備;などに、利用することができる。
11 正極
12 第1の層
13 第2の層
14 正極活物質層
15 正極集電体
21 二次電池
22 電極素子
23 外装体
24 外装体
25 負極タブ
26 正極タブ
31 負極
32 正極
33 セパレータ

Claims (9)

  1. 正極活物質層を有する二次電池用正極であって、
    前記正極活物質層が、正極集電体上に形成された第1の層と、前記第1の層の上に形成された第2の層とを含み、
    前記第1の層と前記第2の層は、それぞれ、一種以上の正極活物質を含み、
    前記第1の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度が、前記第2の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度よりも低く、かつ、
    前記第1の層の充放電容量が、前記第2の層の充放電容量より小さいことを特徴とする二次電池用正極。
  2. 前記第1の層が、ニッケル酸リチウムおよびニッケル酸リチウムのニッケルの一部を他の金属元素で置換した材料からなる群から選ばれる少なくとも一種の正極活物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用正極。
  3. 請求項1または2に記載の二次電池用正極と、セパレータと、セパレータを介して対向配置された負極とを有する電極素子。
  4. 請求項1または2に記載の二次電池用正極を有する二次電池。
  5. 請求項3に記載の電極素子と、電解液と、前記電極素子および前記電解液を内包する外装体と、を有することを特徴とする二次電池。
  6. 請求項4または5に記載の二次電池を備えた電動車両。
  7. 請求項4または5に記載の二次電池を備えた蓄電システム。
  8. 第1の層と第2の層とを含む正極活物質層を有する二次電池用正極の製造方法であって、
    正極集電体上に第1の層を構成する正極活物質を含むスラリーを塗布して第1の層を形成する工程と、
    前記第1の層上に第2の層を構成する正極活物質を含むスラリーを塗布して第2の層を形成する工程と、
    を含み、
    前記第1の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度が、前記第2の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度よりも低く、かつ、
    前記第1の層の充放電容量が、前記第2の層の充放電容量より小さくなるようにすることを特徴とする二次電池用正極の製造方法。
  9. 電極素子と電解液と外装体とを有する二次電池の製造方法であって、
    正極活物質層と正極集電体とを有する正極と、負極とを対向配置して電極素子を作製する工程と、
    前記電極素子と前記電解液とを外装体の中に封入する工程と、
    を含み、
    前記正極活物質層が、正極集電体上に形成された第1の層と、前記第1の層の上に形成された第2の層とを含み、
    前記第1の層と前記第2の層は、それぞれ、一種以上の正極活物質を含み、
    前記第1の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度が、前記第2の層を構成する正極活物質の平均熱分解温度よりも低く、かつ、
    前記第1の層の充放電容量が、前記第2の層の充放電容量より小さいことを特徴とする二次電池の製造方法。
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