以下、実施形態に係る電線の露出導体部配列装置及びワイヤーハーネス製造装置について説明する。
<ワイヤーハーネスについて>
まず、処理対象となるワイヤーハーネスについて説明する。図1はワイヤーハーネス10を概略的に示す説明図である。
ワイヤーハーネス10は、複数(図1では8本)の電線12によって構成されている。
各電線12は、芯線部と、当該芯線部を覆う被覆部とを備える。芯線部は、複数の素線が束ねられた構成とされている。被覆部は、樹脂等によって構成されており、押出被覆等によって芯線部を被覆している。
電線12の両端部の被覆部は所定長に亘って除去されており、当該電線12の両端部に所定長の露出芯線部が形成されている。
複数の電線12の一端部の露出芯線部は、集合された状態で超音波溶接されている。つまり、複数の電線12は、超音波溶接部15を介して溶接され、1つのワイヤーハーネス10を構成している。前記超音波溶接部15には、樹脂製のキャップ等が被せられていてもよい。
また、各電線12の他端部の露出芯線部には、端子16が圧着されている。当該端子16は、他の端子と共にコネクタハウジング内に挿入され、コネクタ端子として用いられる。電線12の他端部の露出芯線部には、他の電線の露出芯線部が接続されていてもよい。また、電線12の他端部の露出芯線部には、何も接続されず、そのまま放置されていてもよい。
上記ワイヤーハーネス10は、車両等に組込まれ、当該車両における各種電気部品同士を電気的に接続する配線材として用いられる。
<ワイヤーハーネス製造装置の全体構成>
露出導体部配列装置40を含むワイヤーハーネス製造装置20の全体構成について説明する。
図2はワイヤーハーネス製造装置20の全体構成を示す説明図である。このワイヤーハーネス製造装置20は、ワイヤーハーネス製造工程における上流側から下流側に向けて、調尺ユニット22と、超音波用先端カット中間皮剥ユニット23と、超音波用中間皮剥チェックユニット24と、電線撚りユニット25と、配列ユニット42と、超音波溶接装置90と、溶接チェックユニット98と、圧着用先端カットユニット26と、圧着用皮剥ユニット27と、圧着ユニット28a、28bと、端子チェックユニット29と、電線排出ユニット30とが設けられた構成とされている。
調尺ユニット22は、電線供給用のリール21等に巻回収容された電線12を測長しつつ供給し、当該電線12が予め設定された所定長引出された時点で当該電線を切断可能に構成されている。調尺ユニット22は、複数のリール21に巻回収容された電線12を選択的に供給可能に構成されていることが好ましい。これにより、ワイヤーハーネス10の仕様に応じて、電線径、色等が異なる複数種類の電線12を切替えて供給することができる。
超音波用先端カット中間皮剥ユニット23は、電線12の一端部(超音波溶接用の端部)の先端部をカットすると共に、当該電線12の一端部の被覆部を途中迄中間皮剥するように構成されている。電線12の一端部の先端部のカットは、例えば、V字状又はU字状の刃を有する一対の端部処理刃によって電線12を剪断することによって行うことができる。また、電線12の一端部の中間皮剥は、前記一対の端部処理刃を被覆部のみに食込ませた状態で、当該一対の端部処理刃を電線12の先端部側に移動させ、これにより分離した被覆部が除去される手前で、一対の端部処理刃を開くことによって行うことができる。これにより、電線12の一端部に、部分的に芯線部が露出し、かつ、その先端側には被覆部が残存したままの状態とすることができる。
超音波用中間皮剥チェックユニット24は、上記超音波用先端カット中間皮剥ユニット23によって中間皮剥処理された電線12の端部の状態(例えば、芯線部幅等)を画像処理等によって検査するように構成されている。なお、本検査又は後の各検査処理において、不良が判断された場合、当該不良箇所が特定された状態で、当該電線12を含むワイヤーハーネス10が後述する電線排出ユニット30に搬送される。そして、電線排出ユニット30では当該不良箇所を含むワイヤーハーネス10を不良品として排出することができる。これにより、品質的に安定したワイヤーハーネス10を製造することができる。
電線撚りユニット25は、上記電線12の一端部に残存している被覆部を回転させながら芯線部の先端側に引抜くように構成されている。これにより、電線12の一端部に、超音波溶接用の所定長の露出芯線部が形成される。この露出芯線部では、複数の素線が撚られた状態となっており、素線のバラケが抑制されている。
これらの調尺ユニット22と、超音波用先端カット中間皮剥ユニット23と、超音波用中間皮剥チェックユニット24と、電線撚りユニット25に並設するようにして、電線搬送ユニット32が設けられている。この電線搬送ユニット32の構成例については後で説明する。この電線搬送ユニット32により、調尺ユニット22から供給される電線12をU字状に曲げた状態で、当該電線12の両端部を把持して、調尺ユニット22から超音波用先端カット中間皮剥ユニット23、超音波用中間皮剥チェックユニット24、電線撚りユニット25に向けて搬送することができる。これにより、一端部が超音波溶接用に皮剥処理された電線12を連続的に得ることができる。つまり、上記各構成は、露出導体部が形成された電線12を順次供給する皮剥電線供給装置としての役割を果す。
配列ユニット42は、複数(例えば、3本〜8本)の電線12の超音波溶接用の露出導体部を、超音波溶接に適した状態となるように配列するユニットである。上記のように一端部に超音波溶接用の露出導体部が形成された電線12が、電線受渡機構部100によって、電線搬送ユニット32から配列ユニット42に向けて1本ずつ受渡されることで、前記配列がなされる。この配列ユニット42、電線受渡機構部100については後で詳述する。
超音波溶接装置90は、配列ユニット42によって配列された複数の露出導体部を超音波溶接するための装置である。すなわち、上記配列ユニット42によって、超音波溶接に適した状態となるように配列された複数の露出導体部が、そのままの配列状態で、超音波溶接用搬送機構部120によって、超音波溶接装置90に搬送されて超音波溶接される。本実施形態では、超音波溶接された複数の電線は、超音波溶接用搬送機構部120によってさらに下流側のユニット(ここでは、溶接チェックユニット98)に搬送される。
溶接チェックユニット98は、上記超音波溶接装置90によって超音波溶接された箇所を画像処理等によって検査するための装置である。溶接チェックユニット98では、例えば、溶接箇所のハイト(高さ)、ワイド(幅)等を測定することで、溶接箇所の良否を検査する。
圧着用先端カットユニット26は、電線12の他端部(端子圧着用の端部)の先端部をカットするように構成されている。電線12の他端部の先端部のカットは、例えば、V字状又はU字状の刃を有する一対の端部処理刃によって電線12を剪断することによって行うことができる。
圧着用皮剥ユニット27は、電線12の他端部(端子圧着用の端部)の被覆部を皮剥するように構成されている。電線12の他端部の被覆部の皮剥は、例えば、V字状又はU字状の刃を有する一対の端部処理刃を被覆部のみに食込ませた状態で、当該一対の端部処理刃を電線12の先端部側に移動させ、これにより分離した被覆部を除去することによって行うことができる。これにより、電線12の他端部に、所定長の露出芯線部を形成することができる。
圧着ユニット28a、28bは、電線12の他端部の露出芯線部に端子を圧着可能に構成されている。圧着ユニット28a、28bは、圧着対象となる電線12の芯線径、圧着される端子の種類(オス端子、メス端子等)の種類に応じて複数の端子圧着装置28A、28Bを備えている。そして、電線12の他端部の露出導体部が、圧着されるべき端子を圧着する端子圧着装置28A、28B前を通過する際に、当該露出導体部に対して端子が圧着される。
端子チェックユニット29は、画像処理等によって電線12のうち端子が圧着された端部の検査(端子の圧着高さの検査、端子が露出導体部に対して正確に圧着されているか、端子の異常変形等に関する検査)を行うように構成されている。
なお、溶接チェックユニット98と、圧着用先端カットユニット26と、圧着用皮剥ユニット27と、圧着ユニット28a、28bと、端子チェックユニット29とに並設するようにして、圧着用搬送機構部34が設けられている。この電線搬送ユニット32により、超音波溶接部15及び電線12の他端部を所定の配列状態に維持した状態で、上記各ユニット98、26、27、28a、28b、29に沿って搬送することができる。そして、電線12の他端部の露出導体部が端子圧着装置28A、28Bに向けて搬送されると、当該露出導体部に端子が圧着される。
電線排出ユニット30は、上記各加工が施されたワイヤーハーネス10を排出するためのユニットである。この電線排出ユニット30には、例えば、クリップ等を利用した挟込み構造等によって電線の端部を保持可能なカセット31が待機されている。そして、上記各加工が施されたワイヤーハーネス10の端部が当該カセット31に保持されることで、相互の絡み合い等が抑制された状態で、取出されるようになっている。なお、上記したように、電線排出ユニット30において、上記各検査ユニットにおいて不良が判定されている端部を含むワイヤーハーネス10については、不良品として区別されて排出されることが好ましい。
なお、本ワイヤーハーネス製造装置は、制御ユニット99によって動作制御される。ここで、制御ユニット99は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータであり、予め格納されたソフトウェアプログラム及び所定の設定値に従ってワイヤーハーネス製造装置の動作制御を行う。特に、ここでは、制御ユニット99は、後述する露出導体部配列装置40によって電線12の露出導体部を一列に配列する処理を行うように、露出導体部配列装置40の諸動作を制御する。なお、制御ユニット99が行う処理の一部或は全部の機能が、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。
図3は上記ワイヤーハーネス製造装置を用いてワイヤーハーネス10を製造する全体的な処理例を示すフローチャートである。
まず、調尺ユニット22において、製造対象となるワイヤーハーネス10に応じた種類の電線12が逐次選択されると共に、所定長に調尺切断される。所定長に切断された電線12は、電線搬送ユニット32によって、調尺ユニット22から超音波用先端カット中間皮剥ユニット23、超音波用中間皮剥チェックユニット24、電線撚りユニット25に向けて順次搬送される。
超音波用先端カット中間皮剥ユニット23では、電線12のうち超音波溶接用の一端部において、先端カットがなされ、続いて、中間皮剥がなされる。
次の超音波用中間皮剥チェックユニット24では、電線12のうち超音波溶接用の一端部における中間皮剥の良否検査がなされる。
次の電線撚りユニット25では、電線12のうち超音波溶接用の一端部において露出導体部の撚り及び被覆部の皮剥処理がなされる。これにより、超音波溶接用の露出導体部が形成される。この電線撚りユニット25において、露出導体部の露出長のチェック(皮剥出代のチェック)等がなされることが好ましい。
この後、電線受渡機構部100によって、ワイヤーハーネス10を構成する複数の電線12が順次配列ユニット42にセットされる。より具体的には、複数の電線12のうち溶接対象となる露出導体部が集合された状態で配列するように、配列ユニット42にセットされる。
続いて、超音波溶接用搬送機構部120によって、溶接対象となる露出導体部が配列された状態のままで、超音波溶接装置90に搬送され、超音波溶接される。
この後、超音波溶接用搬送機構部120によって、超音波溶接部15を介して一体となった複数の電線12の集合体が圧着用搬送機構部34に向けて搬送される。
圧着用搬送機構部34の最上流側では、溶接チェックユニット98において、超音波溶接部15の良否検査、例えば、ハイト測定、ワイド測定等がなされる。溶接チェックユニット98によって超音波溶接部15の良否検査をした後には、超音波溶接部15が下流側の処理ユニットと干渉しないように、当該処理ユニット群から退避する方向に引戻しておくことが好ましい。
続いて、圧着用搬送機構部34によって、複数の電線12の集合体のうち端子の圧着対象となる他端部が圧着用先端カットユニット26に搬送される。当該圧着用先端カットユニット26において、電線12の他端部の先端部がカットされる。
続いて、圧着用搬送機構部34によって、電線12の他端部が圧着用皮剥ユニット27に搬送される。当該圧着用皮剥ユニット27において、電線12の他端部の被覆部が除去され、端子圧着用の露出導体部が形成される。
続いて、圧着用搬送機構部34によって、電線12の他端部が圧着用皮剥ユニット27に搬送される。当該圧着用皮剥ユニット27において、電線12の他端部の被覆部が除去され、端子圧着用の露出導体部が形成される。被覆部除去後に、画像処理等によって、露出導体部の状態チェック(露出導体部の長さ、幅の良否チェック、バラケの有無チェック、被覆部の除去ミスの有無等)を行うことが好ましい。
続いて、圧着用搬送機構部34によって、電線12の他端部の露出導体部が圧着ユニット28a、28bに搬送される。そして、当該露出導体部に適した端子圧着用の端子圧着装置28A、28Bにおいて、当該露出導体部に端子が圧着される。この後、端子チェックユニット29におけるチェックに適した位置となるように、電線12の他端部の引出又は引戻しが行われる。
そして、圧着用搬送機構部34によって、端子が圧着された電線12の他端部が端子チェックユニット29に搬送される。この端子チェックユニット29において、端子の圧着高さの検査、端子が露出導体部に対して正確に圧着されているか、端子の異常変形等に関する検査がなされる。
この後、複数の電線12の集合体が電線排出ユニット30のカセット31に搬送及びセットされる。カセットには、複数の電線12の集合体が1つ又は複数セットされる。
このカセット31が取出されることで、本ワイヤーハーネス製造装置におけるカセット1つ部分の製造サイクルが終了する。
カセット31と共に取出された複数の電線12の集合体に対しては、別箇所で、超音波溶接部15に対する樹脂製のキャップの取付け等が行われてもよい。上記各工程を経て、ワイヤーハーネス10が完成する。
<超音波溶接装置について>
図4〜図6は、超音波溶接装置90による超音波溶接動作の一例を示す説明図である。
この超音波溶接装置90は、チップ91と、アンビル92と、超音波溶接用ガイド部材93とを備える。
下側のチップ91は、上向きの溶接面91fを有している。このチップ91は、図示省略のホーンを介して振動子に連結されており、当該振動子によって発生された超音波振動がホーンを介してチップ91に伝達されるようになっている。
上側のアンビル92は、上記溶接面91fと対向する押え面92f1と、チップ91の側面と摺接可能な横押え面92f2とを有している。そして、横押え面92f2をチップ91の側面と摺接させた状態で、図示省略のリニアアクチュエータ(流体シリンダ、リニアモータ等)によって昇降駆動可能とされている。なお、超音波振動は、上側のアンビル92に相当する部材に伝達される構成であってもよい。
超音波溶接用ガイド部材93は、チップ91の溶接面91f上に設けられた可動支持部94と、当該支持部94から横押え面92f2に向けて進退可能に配設された押え部材95とを含む。可動支持部94は、図示省略のリニアアクチュエータ(流体シリンダ、リニアモータ等)によって、上記アンビル92に向けて進退駆動可能とされている。押え部材95は、コイルバネ等の付勢部材95sによって横押え面92f2に向けて付勢されている。押え部材95の上端部は、押え面92f1の上方に位置しており、従って、押え部材95をアンビル92側に移動させた状態で、当該押え部材95は、横押え面92f2には接触せず、アンビル92のうち押え面92f1の上側部分に接触する。この状態では、押え部材95のうちアンビル92向きの面と横押え面92f2との間に、複数の露出導体部14を配設可能な縦長の空間が形成される。
上記超音波溶接装置90による複数の露出導体部14の超音波溶接は次のようにして行われる。
すなわち、上側のアンビル92を上方に位置させると共に、超音波溶接用ガイド部材93をアンビル92から離れた側方位置に位置させた状態で、複数の露出導体部14を、上方から横押え面92f2と、押え部材95との間に配設する(図4参照)。
この状態で、超音波溶接用ガイド部材93をアンビル92に向けて接近移動させる。すると、複数の露出導体部14が、横押え面92f2と、押え部材95との間の縦長空間内に配設される(図5参照)。
この後、アンビル92を下降させると、下側のチップ91の溶接面91fと上側のアンビル92の押え面92f1との間で、複数の露出導体部14が加圧された状態で、当該複数の露出導体部14に超音波振動が付与される。これにより、複数の露出導体部14がそれぞれの接触部分で超音波溶接される。
超音波溶接では、被溶接対象物に対して加圧条件下で超音波振動が与えられることで、当該被溶接対象物同士が溶接される。
このため、図7に示すように、複数の露出導体部14を超音波溶接する際には、当該露出導体部14が加圧方向(図7〜図9では上下方向)に沿って一列に配列されており、加圧力が露出導体部14の接触部分に効果的に作用することが理想的である。
また、図8に示すように、複数の露出導体部14が互違いに積重なっていたとしても、相互の露出導体部14が加圧方向に対して斜め方向の接線で接していれば、加圧力は露出導体部14同士の接触部分に及ぶことができる。従って、このような場合でも、複数の露出導体部14を超音波溶接することができる。
しかしながら、複数の露出導体部が加圧方向に対して真横の位置関係にある場合には、原則的には、当該露出導体部の接触部分には加圧力は及ばないので、超音波溶接は失敗してしまう恐れがある。また、複数の露出導体部が全くランダムな態様で集合され超音波溶接されるような場合には、露出導体部14の相互の関係等によって、隣合う露出導体部同士が接触できない関係が生じうる。この場合にも、当該露出導体部同士の超音波溶接が失敗してしまう恐れがある。
そこで、次に説明する露出導体部配列装置40では、上記のような超音波溶接装置90等に対して、複数の露出導体部14をなるべく近接させた状態で一列に並べた状態にして供給できるようにするための構成について説明する。
<露出導体部配列装置について>
図10は露出導体部配列装置40及び超音波溶接用搬送機構部120を示す概略正面図であり、図11は超音波溶接用搬送機構部120及び超音波溶接装置90を示す概略正面図である。
図10に示すように、露出導体部配列装置40は、複数の導体の露出導体部14を一列に並べるための装置であり、配列ユニット42と、電線受渡機構部100とを備える。上記のように超音波溶接用の露出導体部14が形成された電線12は、電線受渡機構部100によって配列ユニット42に受渡される。そして、配列ユニット42において、複数の露出導体部14がなるべく接近するように一列に配設される。この後、当該複数の露出導体部14は、超音波溶接用搬送機構部120によって、超音波溶接装置90に搬送され、超音波溶接される。
まず、電線受渡機構部100について説明する。電線受渡機構部100は、上記調尺ユニット22、超音波用先端カット中間皮剥ユニット23、超音波用中間皮剥チェックユニット24及び電線撚りユニット25によって処理された電線12を、1本ずつ配列ユニット42に向けて受渡すように構成されている。
すなわち、電線受渡機構部100の上流側には、電線搬送ユニット32が設けられている。電線搬送ユニット32としては、例えば、電線の端部を挟持可能なチャック部32aが循環回転駆動される循環回転ベルト32b周りに間隔をあけて取付けられた構成が採用される。上記電線搬送ユニット32では、所定長に切断された電線12がU字状に曲げた状態で、当該電線12の両端部が隣合う一対のチャック部32aによって把持されており、この状態で、当該電線12が調尺ユニット22から超音波用先端カット中間皮剥ユニット23、超音波用中間皮剥チェックユニット24、電線撚りユニット25に向けて搬送される。電線12がこれらのユニット22、23、24、25に沿って搬送される際、電線12の一端部に露出導体部14が形成される。そして、電線12が電線搬送ユニット32において電線撚りユニット25よりも下流側に搬送された位置で、当該電線12が電線受渡機構部100により受取られる。
電線受渡機構部100は、電線搬送ユニット32の下流側に搬送された電線12を、配列ユニット42の第1把持部62及び第2把持部72に向けて、受渡す装置であり、一対の把持部102と、一対の把持部102を電線搬送ユニット32の下流側上方位置と配列ユニット42との間で移動させるための受渡駆動部110とを備える。
一対の把持部102は、それぞれ一対の把持爪102aを有している。この一対の把持爪102aは、ソレノイドを利用した電磁アクチュエータ又はエアシリンダ等によって開閉駆動される。そして、一対の把持爪102aを閉じることで、それらの間に電線12の端部を把持し、一対の把持爪102aを開くことで、一対の把持爪102a間から電線12の端部の把持を解除できる。
受渡駆動部110は、一対の把持部102を、電線搬送ユニット32の下流側位置で電線12の端部を受取可能な位置と、配列ユニット42側の位置で電線12の端部を受渡可能な位置との間で往復駆動させるように構成されている。
具体的には、受渡駆動部110は、水平駆動部112と、共通昇降駆動部114と、一対の個別昇降駆動部116とを備える。
水平駆動部112は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、水平駆動本体部113aと水平可動部113bとを備える。水平駆動本体部113aは、電線搬送ユニット32の下流側上方位置と配列ユニット42の上方位置との間に掛渡すようにして水平姿勢で配設されている。水平可動部113bは、水平駆動本体部113aによって電線搬送ユニット32の下流側上方位置と配列ユニット42の上方位置との間で往復駆動可能に支持されている。ここでは、水平可動部113bは、板状に形成されており、水平駆動本体部113aの延在方向に沿った略鉛直姿勢で、水平駆動本体部113aにより支持されている。
共通昇降駆動部114は、上記水平可動部113bに支持され、一対の把持部102を一括して昇降駆動可能に構成されている。すなわち、共通昇降駆動部114は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、共通昇降駆動本体部115aと、共通昇降可動部115bとを備える。共通昇降駆動本体部115aは、上記水平可動部113bに対して本装置の正面側の位置に取付固定されている。この共通昇降駆動本体部115aは、その正面側位置で、共通昇降可動部115bを昇降駆動可能に支持する。共通昇降可動部115bは、板状に形成されており、上記水平可動部113bに対して水平姿勢で支持されている。この共通昇降駆動部114の駆動によって、一対の把持部102が一括して昇降駆動される。
一対の個別昇降駆動部116は、上記一対の把持部102に対応して設けられ、それぞれ別々に把持部102を昇降駆動可能に構成されている。すなわち、個別昇降駆動部116は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、個別昇降駆動本体部117aと、個別昇降可動部117bとを備える。各個別昇降駆動本体部117aは、上記共通昇降可動部115bの両側部に対して本装置の正面側の位置に取付固定されている。個別昇降可動部117bは、棒状(ここでは角棒状)に形成されており、各個別昇降駆動本体部117aの下方に延出する姿勢で、当該個別昇降駆動本体部117aによって昇降駆動可能に支持されている。各個別昇降可動部117bの下端部に、把持部102が支持されている。一対の把持部102の間隔は、電線搬送ユニット32におけるチャック部32aの間隔と同じに設定されている。かかる一対の個別昇降駆動部116によって、一対の把持部102が別々に昇降駆動されるようになっている。
この電線受渡機構部100は、次のようにして、電線搬送ユニット32の下流側から配列ユニット42に向けて電線12を受渡す。
すなわち、電線搬送ユニット32によって、一端部に露出導体部14が形成された電線12がU字状に曲げられた状態で搬送される。電線12が電線搬送ユニット32の下流側に搬送された状態で、水平駆動部112の駆動により一対の把持部102が電線搬送ユニット32の下流側の上方位置に移動駆動される。この状態では、一対の把持部102は、電線搬送ユニット32の下流側にある2つのチャック部32aの上方位置に配設されている。
そして、一対の把持部102の把持爪102aを開いた状態で、共通昇降駆動部114の駆動により、一対の把持部102が当該2つのチャック部32aに向けて下降する。そして、一対の把持爪102aの把持爪102aを閉じて一対のチャック部32aにより把持された電線12の両端部を把持した後、当該2つのチャック部32aによる電線12の両端部の把持を解除する。これにより、電線搬送ユニット32から一対の把持部102に向けて電線12が渡される。
この後、共通昇降駆動部114の駆動により、一対の把持部102が上昇する。そして、水平駆動部112の駆動により、一対の把持部102を配列ユニット42の上方位置に移動する。
配列ユニット42は、電線12の端部のうち超音波溶接用の露出導体部14を配列するための配列機構部50と、電線12のうち超音波溶接用の端部以外の端部を保持するための電線保持部44とを備えている。
そして、電線受渡機構部100は、一対の把持部102のうち超音波溶接用の露出導体部14側を把持したものを配列機構部50の上方に移動させ、この後、当該把持部102に対応する一方の個別昇降駆動部116の駆動によって、当該把持部102を下降させる。そして、把持部102を下降させた状態で、一対の把持爪102aを開いて当該把持部102による電線12の一方の端部の把持を解除し、電線12の一方の端部を配列機構部50に受渡す。この後、当該把持部102を上昇させる。
また、電線受渡機構部100は、電線12の上記一方側の端部を配列機構部50に受渡す前又は後に、電線12のうち超音波溶接用の露出導体部14ではない他方側の端部を電線保持部44に受渡す。すなわち、電線受渡機構部100は、一対の把持部102のうち超音波溶接用の露出導体部14ではない端部を把持したものをいずれかの電線保持部44の上方に移動させ、この後、当該把持部102に対応する他方の個別昇降駆動部116の駆動によって、当該把持部102を下降させる。そして、把持部102を下降させた状態で、一対の把持爪102aを開いて当該把持部102による電線12の他方の端部の把持を解除し、電線12の他方の端部を電線保持部44に受渡す。この後、当該把持部102を上昇させる。
上記動作を、1つのワイヤーハーネス10を構成する電線12に応じて、複数回繰返すことで、当該ワイヤーハーネス10を構成する複数の電線(図10等では5本図示)の一方の端部が配列ユニット42に受渡され、他方の端部が電線保持部44に受渡された状態となる。そして、電線12の端部を配列ユニット42に受渡す際に、後述するようにして、配列動作が行われ、複数の露出導体部14がなるべく接近した状態で一列に配列されるようになる。
また、上記を繰返すことで、複数のワイヤーハーネス10に対して順次加工処理が施される。
次に、配列ユニット42から超音波溶接装置90に対して電線12を搬送するための超音波溶接用搬送機構部120について説明する。
図10及び図11に示すように、超音波溶接用搬送機構部120は、配列ユニット42によって一列に並べられた複数の電線12の一端部を、その配列状態を維持した状態で、超音波溶接装置90に向けて搬送可能に構成されている。
より具体的には、超音波溶接用搬送機構部120は、溶接用把持部122と、複数の端子圧着端部把持部124と、これら溶接用把持部122及び複数の端子圧着端部把持部124を、配列ユニット42と超音波溶接装置90との間で移動駆動する超音波溶接用駆動部130とを備える。本実施形態では、本超音波溶接用搬送機構部120は、溶接用把持部122及び複数の端子圧着端部把持部124を、下流側の圧着用搬送機構部34に向けて移動駆動させるように構成されている。もっとも、超音波溶接装置90と圧着用搬送機構部34との間での電線12の搬送は他の搬送機構によって行われてもよい。
溶接用把持部122は、一対の把持爪123aを有している。この一対の把持爪123aは、ソレノイドを利用した電磁アクチュエータ又はエアシリンダ等によって開閉駆動される。また、一対の把持爪123aは、配列された複数(ここでは、最大8本の電線が想定されている)の電線12を、当該配列された状態を保ったままで把持可能な程度の長さ寸法を有している。そして、上記配列ユニット42によって配列された複数の電線12を、当該配列状態を保ったままで把持可能に構成されている。また、一対の把持爪123aを開くことで、一対の把持爪123a間から複数の電線12の端部の把持を解除できる。
複数の端子圧着端部把持部124は、上記溶接用把持部122の両側に振分けるように設けられている。ここでは、溶接用把持部122の一方側に4つの端子圧着端部把持部124が設けられ、溶接用把持部122の他方側に4つの端子圧着端部把持部124が設けられている。これにより、超音波溶接用に配列された複数の露出導体部14を上記溶接用把持部122によって把持し、その両側で、各電線12の他端部を複数の端子圧着端部把持部124によって把持できる。
超音波溶接用駆動部130は、超音波溶接用水平駆動部132と、第1昇降駆動部134と、第2昇降駆動部136とを備える。
超音波溶接用水平駆動部132は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、水平駆動本体部133aと水平可動部133bとを備える。
水平駆動本体部133aは、配列ユニット42の上方位置から超音波溶接装置90の上方を通って圧着用搬送機構部34の上方に至るように水平姿勢で配設されている。水平可動部133bは、水平駆動本体部133aによって配列ユニット42の上方位置から超音波溶接装置90の上方を通って圧着用搬送機構部34の上方位置との間で往復駆動可能に支持されている。ここでは、水平可動部133bは、水平駆動本体部133aの延在方向に沿って長い長尺部材に形成されている。
第1昇降駆動部134は、上記水平可動部133bに支持され、溶接用把持部122を昇降駆動可能に構成されている。すなわち、第1昇降駆動部134は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、第1昇降駆動本体部135aと、第1昇降可動部135bとを備える。第1昇降駆動本体部135aは、水平可動部133bに対して本装置の正面側の位置であって当該水平可動部133bの長手方向中間部に取付固定されている。第1昇降可動部135bは、棒状(ここでは角棒状)に形成されており、第1昇降駆動本体部135aの下方に延出する姿勢で、当該第1昇降駆動本体部135aによって昇降駆動可能に支持されている。この第1昇降可動部135bの下端部に、溶接用把持部122が支持されている。この第1昇降駆動部134によって、溶接用把持部122がそれ単独で昇降駆動されるようになっている。
第2昇降駆動部136は、複数の端子圧着端部把持部124を昇降駆動可能に構成されている。
すなわち、一対の第2昇降駆動部136は、水平可動部133bに対して本装置の正面側の位置であって上記第1昇降駆動部134を挟む両側位置に設けられている。
各第2昇降駆動部136は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、第2昇降駆動本体部137aと、第2昇降可動部137bとを備える。第2昇降駆動本体部137aは、水平可動部133bの長手方向の端部に取付固定されている。第2昇降可動部137bは、下方が広がる板状に形成されており、第2昇降駆動本体部137aの下方に延出する姿勢で、当該第2昇降駆動本体部137aによって昇降駆動可能に支持されている。また、第2昇降可動部137bの下端部には、複数の端子圧着端部把持部124が垂下状態で支持されている。各端子圧着端部把持部124の間隔及び端子圧着端部把持部124と溶接用把持部122との間隔は、配列ユニット42の配列機構部50と電線保持部44との各間隔、及び、後述する圧着用搬送機構部34におけるチャック部34aの間隔と同じに設定されている。
そして、複数の電線12の露出導体部14が配列ユニット42の配列機構部50に保持されると共に、複数の電線の他端部が電線保持部44によって保持された状態で、溶接用把持部122及び端子圧着端部把持部124を開状態にして、第1昇降駆動部134及び第2昇降駆動部136の駆動により、溶接用把持部122及び端子圧着端部把持部124を下降させる。そして、溶接用把持部122及び端子圧着端部把持部124を閉じると共に、配列機構部50及び電線保持部44による電線12の端部の把持を解除すると、配列ユニット42から超音波溶接用搬送機構部120に電線12が受渡される。
この状態で、第1昇降駆動部134及び第2昇降駆動部136の駆動により、溶接用把持部122及び端子圧着端部把持部124を上昇させる。そして、超音波溶接用水平駆動部132の駆動により、溶接用把持部122を超音波溶接装置90の上方位置に移動させる。この状態で、第1昇降駆動部134の駆動により、溶接用把持部122を下降させると、配列された複数の露出導体部14が当該配列状態のままで超音波溶接装置90に送込まれ、上記したようにして超音波溶接される。
この後、第1昇降駆動部134の駆動により、溶接用把持部122を上昇させ、超音波溶接用水平駆動部132の駆動により、溶接用把持部122及び端子圧着端部把持部124を、圧着用搬送機構部34のチャック部34aの上方位置に移動させる。そして、第1昇降駆動部134及び第2昇降駆動部136の駆動により、溶接用把持部122及び圧着端部把持部124を下降させ、各チャック部34aにより電線12の端部を把持させると共に、溶接用把持部122及び圧着端部把持部124による電線12の端部の把持を解除すると、超音波溶接部15を介して1つの集合体となった複数の電線12の端部が圧着用搬送機構部34によって把持された状態で搬送され、電線12の他端部に対する端子圧着等が行われる。
なお、圧着用搬送機構部34としては、例えば、電線の端部を挟持可能なチャック部34aが循環回転駆動される循環回転ベルト34b周りに間隔をあけて取付けられた構成を採用することができる。
配列ユニット42の配列機構部50について説明する。図12は配列ユニット42の配列機構部50を示す概略側面図であり、図13は第1把持機構部60を電線12の基端側から見た概略図であり、図14は第2把持機構部70を電線12の基端側から見た概略図であり、図15は位置決め部材88を電線12の基端側から見た概略図である。
配列機構部50は、第1把持機構部60と、第2把持機構部70と、位置決め部材88と、電線押え機構部80とを備えている。
第1把持機構部60は、超音波溶接用搬送機構部120の溶接用把持部122によって受渡される電線12の被覆部13の先端側部分(露出導体部14に近い部分)を把持可能な位置に配設され、第2把持機構部70は、当該電線12の被覆部13のうち上記第1把持部62によって把持される部分よりも基端側部分(露出導体部14から離れた部分)を把持可能な位置に配設されている。位置決め部材88は、電線12の端部近傍位置に配設され、電線押え機構部80は電線12の露出導体部14近傍位置に配設されている。そして、そして、第1把持機構部60と第2把持機構部70との少なくとも一方によって電線12の被覆部13を把持した状態で、位置決め部材88による露出導体部14の位置決め及び電線押え機構部80による露出導体部14の押え込みを行うようになっている。
すなわち、第1把持機構部60は、複数の電線12のうち露出導体部14側の部分を一列に並べた状態(ここでは、上下方向に沿った配列方向に沿って並べた状態)で挟込むように把持可能に構成されている。
より具体的には、第1把持機構部60は、一対の第1把持爪63と第1把持駆動部64とを含む第1把持部62と、第1ガイド部66とを備える。
一対の第1把持爪63は、それぞれ長尺部材に形成されており、第1把持駆動部64によって水平方向に開閉駆動可能とされている。ここでは、第1把持爪63は、上方に向けて延出した後、第2把持機構部70側に向けて曲り、さらに上方に延出する形状に形成されている。もっとも、第1把持爪は直線状に長い形状であってもよい。一対の第1把持爪63の内向きの側面には、ゴム等の弾性部材によって構成された挟込当接部63aが設けられている。挟込当接部63aの長さ寸法は、最も多くの電線12を把持した場合において、当該電線12の直径の総和よりも大きく設定されている。これにより、把持対象として想定される最大本数の電線12を、一対の挟込当接部63aの間に挟込んだ状態で、一列に並べて保持することができる。また、挟込当接部63aとして弾性部材を用い、かつ、一対の挟込当接部63aの間隔を把持対象となる最小径の電線12の直径よりも小さくすることで、異なる径の複数の電線12を把持する場合には、当該電線12の径に応じて挟込当接部63aを弾性変形させることができる。これにより、異なる径の複数の電線12であっても同時に一列に並べて把持することができる。
第1把持駆動部64は、ソレノイドを利用した電磁アクチュエータ又はエアシリンダ等によって構成されており、本装置の支持フレーム等によって一定位置に固定され、上記一対の第1把持爪63を水平方向に沿って互いに近接する方向及び離間する方向に開閉駆動するように構成されている。
第1ガイド部66は、板状部材に形成されており、上記第1把持駆動部64の一主面(第2把持機構部70側の面)に、一対の第1把持爪63の間に把持される電線12の延在方向に対して直交する姿勢で取付固定されている。第1ガイド部66には、第1ガイド溝66aが形成されている。第1ガイド溝66aは、電線12の直径よりも大きな幅に設定され、好ましくは、複数の電線12の一列の配列状態を維持できる程度の幅に設定されている。第1ガイド溝66aの下側底部は一対の挟込当接部63aの下端部より上方に位置している。また、第1ガイド溝66aは上方に開口している。第1ガイド溝66aの上方開口は、上方に向けて徐々に広がる形状に形成されている。そして、一対の第1把持爪63が開かれた状態で、本第1把持機構部60に対して上方より電線12が配設されると、電線12が第1ガイド溝66aによってガイドされつつ一対の第1把持爪63間に案内される。この状態で、一対の第1把持爪63が閉じられると、当該一対の第1把持爪63間で電線12が把持される。なお、第1ガイド溝66aの下側底部は一対の挟込当接部63aの下端部より上方に位置しているため、一対の把持部102を開いたとしても、電線12は第1ガイド溝66aの下側底部よりも上方位置に維持され、従って、一対の挟込当接部63aによって電線12を挟込み可能な状態が維持される。
第2把持機構部70は、複数の電線12の被覆部13のうち第1把持部62から露出導体部14とは反対側の部分を、一列に並べた状態で挟込むように把持可能に構成されている。
より具体的には、第2把持機構部70は、一対の第2把持爪73と第2把持駆動部74とを含む第2把持部72と、第2ガイド部76とを備える。
一対の第2把持爪73は、それぞれ長尺部材に形成されており、第2把持駆動部74によって水平方向に開閉駆動可能とされている。一対の第2把持爪73の内向きの側面には、ゴム等の弾性部材によって構成された挟込当接部73aが設けられている。挟込当接部73aは、上記挟込当接部63aと同様構成とされており、一対の第2把持爪73間で異なる径の複数の電線12を同時に一列に並べて把持することができる。
第2把持駆動部74は、上記第1把持駆動部64と同様に、ソレノイドを利用した電磁アクチュエータ又はエアシリンダ等によって構成されており、上記一対の第2把持爪73を水平方向に沿って互いに近接する方向及び離間する方向に開閉駆動するように構成されている。
第2ガイド部76は、板状部材に形成されており、上記第2把持駆動部74の一主面(第1把持機構部60の反対側の面)に、一対の第2把持爪73の間に把持される電線12の延在方向に対して直交する姿勢で取付固定されている。第2ガイド部76には、上記第1ガイド部66の第1ガイド溝66aと同様形状の第2ガイド溝76aが形成されている。そして、本第2把持部72によって、上記第1把持部62と同様に、複数の電線12を挟込んで把持できる。
また、ここでは、第2把持機構部70は、上記第2把持部72を昇降駆動する出退駆動機構部78を備える。
出退駆動機構部78は、第2把持部72を、第1把持部62によって把持される複数の電線12の配列方向において、第1把持部62と同じ位置で複数の電線12を把持可能な退避位置(図12において実線で示す位置参照)と、この退避位置から前記配列方向に沿って上方に突出した位置との間で昇降駆動させるように構成されている。
より具体的には、出退駆動機構部78は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、出退駆動本体部79aと、出退用可動部79bとを備える。出退駆動本体部79aは、本装置の支持フレーム等によって一定位置に固定されており、出退用可動部79bを昇降可能に支持している。この出退用可動部79b上に第2把持部72が取付固定されている。そして、出退用可動部79bが下方に位置する状態では、複数の電線12の配列方向において、第2把持部72が第1把持部62と同じ退避位置(第1ガイド溝66aの下側底部と第2ガイド溝76aの下側底部とを揃えた位置、図12において実線で示す位置参照)に配設される。また、出退用可動部79bが上方に位置する状態では、複数の電線12の配列方向において、第2把持部72は、一対の第2把持爪73の上端部を第1把持部62の上端部よりも上方に突出させた突出位置(図12において二点鎖線で示す位置参照)に配設される。
そして、第2把持部72を退避位置に移動させた状態では、第1把持部62と第2把持部72とによって、前記配列方向に沿って同じ位置で電線12を把持できる。また、第2把持部72を突出位置に移動させた状態では、第1把持部62よりも上方の位置で第2把持部72により電線12を把持できる。
電線押え機構部80は、第1把持部62による電線12の配列方向に沿って、電線12の露出導体部14側の端部を押え込み可能に構成されている。
より具体的には、電線押え機構部80は、電線押え部82と、電線押え部82を姿勢変更駆動する電線押え駆動部84とを備えており、本装置の支持フレーム等に取付固定されたブラケット86を介して、上記第1把持部62及び第2把持部72による把持される電線12の先端側位置に支持されている。
電線押え部82は、ウレタンゴム等の弾性部材によって形成された部材であり、押え本体部82aの先端部から当接押え部82bがL字状に曲げられて延出する形状とされている。電線押え部82のうち当接押え部82bは板状に形成されており、その先端部は水平方向に沿ってある程度の長さを有する縁部に形成されていることが好ましい。
電線押え駆動部84は、ソレノイドを利用した電磁アクチュエータ又はエアシリンダ等によって構成されている。この電線押え駆動部84は、ブラケット86によって電線12の先端側に位置に支持されている。この電線押え駆動部84は、上記電線押え部82を、電線12の端部を押え込む押え込み位置と当該押え込み位置から退避した押え込み退避位置との間で姿勢変更駆動するように構成されている。すなわち、上記電線押え部82の押え本体部82aの端部が上記電線押え駆動部84によって回転駆動可能に支持されている。押え込み位置では、押え本体部82aを水平姿勢にすると共に当接押え部82bを押え本体部82aの先端から下方に垂下させた姿勢とする(図12において二点鎖線で示す位置参照)。また、押え込み退避位置では、前記押え込み位置から電線押え部82を上方に回動させて、押え本体部82aを鉛直姿勢にすると共に当接押え部82bを電線12の端部から斜め上方に離した姿勢とする(図11において実線で示す位置参照)。従って、電線押え部82を押え込み退避位置に配設した状態では、電線押え機構部80に対向させるように電線12の端部を配設することができる。また、この状態で、電線押え部82を押え込み位置に姿勢変更させることで、電線12の端部を前記配列方向に沿って下方に押え込むことができる。なお、後述するように、配列されている電線12の本数によっては、電線押え部82が一番上の電線12を押え込む位置が前記配列方向に沿って異なる。そこで、押え込み位置において、当接押え部82bの先端部が、第1把持部62及び第2把持部72によって一番下側に把持される電線12の端部を押え込み可能な位置に配設されるように設定されている。これにより、第1把持部62及び第2把持部72が1本の電線12を把持している場合でも、当接押え部82bによって当該電線12の端部を押え込むことができる。また、第1把持部62及び第2把持部72が複数の電線12を把持している場合には、押え本体部82aを弾性変形させつつ、当接押え部82bによって当該複数の電線12の最も上側の電線12の端部を押え込むことができる。
位置決め部材88は、電線12のうち露出導体部14側の端部に当接して露出導体部14をその軸方向において位置決め可能に構成されている。
すなわち、位置決め部材88は、ブラケット87を介して、第1把持部62及び第2把持部72によって保持される電線12の被覆部13の端面に対向する位置に設けられている。位置決め部材88の上端部は、押え込み位置に姿勢変更した電線押え部82の押え本体部82aよりも下方の位置に配設されている。位置決め部材88は、板状部分を有しており、この部分に露出導体部14の直径よりも大きくかつ被覆部13の直径よりも小さい幅の位置決め溝88aが形成されている。位置決め溝88aは上方に開口しており、この位置決め溝88aの上方開口は上方に向けて徐々に広がる形状に形成されている。そして、露出導体部14を位置決め溝88a内に配設した状態で、被覆部13の端部を位置決め溝88aの両側縁部で位置決め部材88の第1把持部62側の部分に当接させることができるようになっている。これにより、被覆部13の端部が位置決め部材88の第1把持部62側の部分に当接させた状態よりも前側に突出しないように位置決めされ、露出導体部14をその軸方向先端側に突出しすぎないように位置決めできるようになっている。
なお、ブラケット86には、上記位置決め部材88に対して間隔をあけて第1把持部62側に第3ガイド部材89が設けられている。第3ガイド部材89と位置決め部材88との間には、電線押え部82の当接押え部82bを配設可能な程度の間隔が設けられている。また、第3ガイド部材89は板状に形成され、被覆部13の直径よりも大きい幅の第3ガイド溝89aが形成されている。第3ガイド溝89aは、上方に開口しており、この第3ガイド溝89aの上方開口は上方に向けて徐々に広がる形状に形成されている。そして、複数の電線12の被覆部13が、露出導体部14の近くでも、当該第3ガイド溝89a内に挿入されて、前記配列方向に沿った配置となるようにガイドされる。
上記露出導体部配列装置40は、制御ユニット99による動作制御下、次のようにして、複数の露出導体部14を配列させるように構成されている。
図16〜図27は露出導体部配列装置40による動作を示す説明図である。
まず、初期状態では、図16に示すように、電線押え部82は押え込み退避位置に位置している。また、第1把持部62の一対の第1把持爪63は閉じた状態となっている。また、第2把持部72の一対の第2把持爪73は開いた状態となっており、第2把持部72は退避位置に位置している。
上記状態から、まず、1本目の電線12がセットされる。すなわち、図17に示すように、第2把持部72が突出位置に向けて移動すると共に、電線受渡機構部100の一対の把持部102のうち超音波溶接用の露出導体部14を把持したものが第1把持部62及び第2把持部72の上方位置に移動して下降する。そして、第2把持部72の一対の第2把持爪73を閉じると共に、上記把持部102による電線12の把持を解除すると、電線12が把持部102から第2把持部72に受渡される。
次に、図18に示すように、第1把持部62の一対の第1把持爪63を開いて、第2把持部72を退避位置に向けて下降させる。すると、電線12の端部が一対の第1把持爪63の間に配設される。
次に、図19に示すように、電線押え部82を押え込み位置に向けて姿勢変更させる。すると、電線12の被覆部13のうち露出導体部14に近い部分が上下方向の配列方向に沿って下方に押え込まれる。この後、一対の把持部102が閉じて、当該一対の把持部102が電線12の被覆部13を把持する。
この後、図20に示すように、電線押え部82を押え込み退避位置に姿勢変更させる。また、一対の第2把持爪73を開く。すると、一対の第2把持爪73間に保持されていた電線12の被覆部13部分が、一対の第2把持爪73間において下方に落下する。これにより、1本目の電線12のセットが終了する。
次に、2本目以降の電線12を追加していく。なお、複数の電線12は、順次太径のものから細径のものになるように追加していくことが好ましい。これにより、より太径の電線12の上により細径の電線12を積重ねるように配列していくことができ、電線12の配列状態が崩れ難くなるからである。
すなわち、図21に示すように、把持解除状態の上記第2把持部72を突出位置に上昇させた状態で、図17と同様にして、第2把持部72が電線受渡機構部100から電線12を受取り、当該電線12を把持する(受取用把持動作)。なお、第2把持部72では、追加された電線12は、セット済の電線12の上方に離れた位置で把持される。
そして、受取用把持動作後、図22に示すように、第1把持部63による電線12の把持を解除させた状態で、第2把持部72を退避位置に下降させる(電線追加動作)。すると、追加された電線12が、第1把持部62において、セット済の電線12の上方に離れた位置で、一対の第1把持爪63の間に配設される。
次に、図23では、第2把持部72の一対の第2把持爪73によって少なくとも2本の電線12を上下の配列方向に沿って一列にならべた状態で把持する状態を継続する。また、第1把持部62では、一対の第2把持爪73による少なくとも2本の電線12の把持を解除したままとする。つまり、少なくとも2本の電線12の被覆部13のうち露出導体部14に近い部分を比較的自由に移動させることができるようにした状態で、かつ、少なくとも2本の電線12の被覆部13のうち露出導体部14から遠い部分を所定の配列状態に拘束した状態とする。この状態で、電線押え部82を押え込み位置に向けて姿勢変更させる(押え動作)。すると、追加された電線12の被覆部13のうち露出導体部14に近い部分が上下方向の配列方向に沿って下方に押え込まれ、セット済の電線12に近づく。この後、一対の把持部102を閉じて、当該一対の把持部102が少なくとも2本電線12の被覆部13を把持する(配列維持用把持動作)。すると、セット済の電線12の端部及び追加された電線12の端部とがなるべく近づいた状態で一列に配列された状態で把持される。
この後、図24に示すように、電線押え部82を押え込み退避位置に姿勢変更させる。また、一対の第2把持爪73を開く(把持解除動作)。すると、一対の第2把持爪73間に保持されていた追加された電線12の被覆部13部分が、一対の第2把持爪73間において下方に落下する。これにより、第2把持部72においても、追加された電線12がセット済の電線12に近づく。これにより、1本の電線12の追加が終了する。
さらに、電線12を追加する場合には、図25に示すように、把持解除状態の上記第2把持部72を突出位置に上昇させた状態で、図21と同様にして、第2把持部72が電線受渡機構部100から電線12を受取って当該電線12を把持し(受取用把持動作)、以降、上記動作を繰返す。
そして、所定数の電線12がセットされた状態では、図26に示すように、複数の電線12の露出導体部14が上下の配列方向に沿って一列に揃えられ、かつ、互いになるべく近接した状態となるように、電線12の端部が第1把持部62によって保持された状態となる。
この後、図27に示すように、溶接用把持部122が配列された複数の電線12の被覆部13を把持し、当該配列状態のままで超音波溶接装置90に向けて搬送して、超音波溶接装置90による超音波溶接がなされる。
以上のように構成された電線の露出導体部配列装置40によると、電線押え部82による押え動作では、露出導体部14に近い第1把持部62による少なくとも2本の電線12の把持を解除しているため、電線押え部82による押え込みにより、電線の露出導体部14をなるべく近接させることができる。この際、露出導体部14から遠い第2把持部72では、少なくとも2本の電線12が一列に並べた状態で把持されているため、少なくとも2本の電線12を一列に並べた状態に維持し易い。そして、押え動作後には、第1把持部62によって少なくとも2本の電線12を一列に並べた状態で把持するため、電線12の露出導体部14をなるべく近接させた状態で一列に並べた状態に維持することができる。これにより、次の処理工程、例えば、超音波溶接装置90による超音波溶接処理において、露出導体部14に対して互いに接触する方向に加圧力を加えた状態で超音波振動を付与し易く、より良好な超音波溶接加工を行うことができる。
また、位置決め部材88によって露出導体部14の長手方向において当該露出導体部14が出過ぎないように位置決めした状態で、複数の露出導体部14を配列させているため、露出導体部14の長手方向の位置をなるべく揃えて配列することができる。これにより、超音波溶接部15における露出導体部14の飛出しを抑制することができる。
また、上記配列維持用動作の後、第2把持部72による少なくとも2本の電線12の把持を解除する把持解除動作を実行するため、第2把持部72において電線12が落下してセット済の電線12に対して近接する方向に移動する。これにより、第2把持部72においても、電線12をなるべく近接させた状態で一列に並べた状態にすることができる。
また、第2把持機構部70は、出退駆動機構部78によって第2把持部72を退避位置と突出位置との間で昇降駆動させるように構成されており、把持解除状態の第2把持部72を突出位置に上昇させた状態で、第2把持部72が電線受渡機構部100から電線12を受取って当該追加された電線を把持する受取用把持動作と、この受取用把持動作後、第1把持部62による電線12の把持を解除させた状態で、第2把持部72を退避位置に下降させる電線追加動作を実行する。このため、第2把持部72によってセット済の電線12の配列状態を維持しつつ、追加用の電線12を第1把持部62によって把持可能なように追加することができる。
また、上記ワイヤーハーネス製造装置20によると、超音波溶接用の露出導体部14が形成された電線12を順次供給する皮剥電線供給装置(調尺ユニット22と、超音波用先端カット中間皮剥ユニット23と、超音波用中間皮剥チェックユニット24と、電線撚りユニット25等)と、上記露出導体部配列装置40と、超音波溶接装置90と、露出導体部配列装置40によって一列に並べられた複数の電線の端部をその配列状態を維持した状態で、超音波溶接装置90に向けて搬送する超音波溶接用搬送機構部120とを備えているため、複数の露出導体部14が超音波溶接されたワイヤーハーネス10を効率よく製造することができる。すなわち、また、上記作業を別々の作業場所で行う場合には、それぞれの作業場所において作業者等が必要となるし、また、中間製造物の搬送用の設備、スペースが必要となる。しかしながら、上記のように製造することで、少ない作業人数で、省スペースでワイヤーハーネス10を製造することができる。
特に、ワイヤーハーネス製造装置20は、端子圧着装置28A、28Bと、超音波溶接された露出導体部14を含む電線12の他の露出道台部を端子圧着装置28A、28Bに向けて搬送する圧着用搬送機構部34とを備えているため、超音波溶接後に端子16を圧着作業することができる。このため、超音波振動による影響が端子16に加わることを抑制でき、端子16の割れ等を有効に抑制できる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。