JP2014102307A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】励磁コイルと電力源とを接続するスイッチング素子のオン・オフ動作により、励磁コイルへの供給電力が目標電力となるように制御して被加熱体を電磁誘導加熱する定着装置であって、素子温度を検出し、励磁コイルに電力を供給して被加熱体を電磁誘導加熱する加熱期間の初期及び終期において、供給電力を段階的に変化させる第1制御と、素子温度が上限温度を超えたら第1制御による電力供給を禁止し、素子温度が基準温度以下になったら前記禁止を解除する第2制御とを行い、第1制御においては、素子温度が上限温度と基準温度との間の所定温度以上の場合に、次の加熱期間において、第1制御モードよりも供給電力が所定レベル以下となる時間が短い第2制御モードが実行され、それ以外の場合に、第1の制御モードが実行される。
【選択図】図8
Description
図11は、従来の電磁誘導加熱方式の画像形成装置の定着装置において用いられる電磁誘導加熱装置の具体例を示す。同図に示すように、電磁誘導加熱装置100は、電力供給源となる商用電源(AC100V)110と接続され、整流回路120、電力検出回路130、インバーター回路140、電磁誘導加熱制御部150等から構成される。商用電源110から供給される交流電力は、整流回路120によって直流電力に整流された後、インバーター回路140に供給される。
このPWM制御においては、図12(a)〜(c)に示すように、スイッチング素子に印加される電圧及び電流が略0となる時点においてオン・オフを切替えるゼロクロス制御を実現することが望ましい。スイッチング素子における電力損失(以下、「スイッチング損失」という。)を防止できると共に、スイッチング素子の過熱や破壊を防止することができるからである。
このため、PWM制御を実行する期間が間欠的に繰り返される間欠PWM制御が行われている。これにより、PWM制御を実行している間は、スイッチング素子のオン時間を、上記のように連続してPWM制御を実行する場合よりも長くし、励磁コイルへの供給電力が大きくなるようにしてスイッチング損失の発生を防止することができるとともに、PWM制御を禁止する禁止期間を設けることにより、当該オン時間を長くしたことによる供給電力の過剰供給分を相殺することができる。
又、前記第2の制御モードは、前記スイッチング素子の温度に対応付けて複数定められ、各第2の制御モードの前記所定レベル以下となる時間は、当該第2の制御モードに対応する前記スイッチング素子の温度が低くなるのに応じて長くなるように定められ、前記第1制御手段は、前記スイッチング素子の温度が前記上限温度と基準温度との間の所定温度以上の場合には、次の加熱期間において、前記スイッチング素子の温度に対応する前記第2の制御モードを実行することとすることができる。
以下、本発明に係る一形態の定着装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンター(以下、単に「プリンター」という。)に適用した場合を例にして説明する。
[1]プリンターの構成
先ず、プリンターの構成について説明する。図1は、プリンターの構成を示す図である。同図に示すように、このプリンター1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、制御部60等を備えている。
作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、一次転写ローラー34Y、および感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナー35Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。現像器33Yは、感光体ドラム31Yに対向し、感光体ドラム31Yに帯電トナーを搬送する。中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラー12と従動ローラー13に張架されて矢印C方向に周回駆動される。又、従動ローラー13の近傍には、中間転写ベルト上に残留するトナーを除去するためのクリーナー21が配置されている。
給紙部4は、記録シート(図1の符号Sで表す)を収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラー42と、繰り出された記録シートを二次転写位置46に送り出すタイミングをとって記録シートを搬送するタイミングローラー44などを備えている。
タイミングローラー44は、中間転写ベルト11上の同じ位置で重ね合わされるように中間転写ベルト11上に一次転写されたトナー像が二次転写位置46に搬送されるタイミングに合わせて、記録シートをニ次転写位置46に搬送する。そして、二次転写位置46において、ニ次転写ローラー45により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に二次転写される。
[2]定着装置の構成
図2は、定着装置の構成を示す横断面図である。同図に示すように、定着装置5は、電磁誘導加熱装置50、被加熱体としての定着ローラー51と、加圧ローラー52と第一温度センサー53等を備える。同図の符号Sは、記録シートを示す。又、矢印Aは、定着ローラー51の回転方向を、矢印Bは、加圧ローラー52の回転方向を、矢印Dは、記録シートSの搬送方向をそれぞれ示す。
励磁コイル531は、記録シートSの幅方向に沿って長く延び、横断面が円弧状の形状になるようにコイルボビン502に巻かれている。励磁コイル531に電磁誘導加熱回路から高周波電力が供給されることにより、励磁コイル531から磁束が発生して定着ローラー51(後述する電磁誘導発熱層514)が電磁誘導加熱される。具体的には、励磁コイル531から発生した磁束は、定着ローラー51の後述する電磁誘導発熱層514に導かれ、これにより、電磁誘導発熱層514に渦電流が発生して電磁誘導発熱層514が電磁誘導加熱される。
整流回路510は、交流の商用電源700から供給される交流電力を整流して直流電力に変換してインバーター回路520に出力する。インバーター回路520は、励磁コイル531とキャパシター532とが並列に接続されて構成される共振回路530と、共振回路530と直列に接続されるスイッチング素子540とを有する。
図4は、電磁誘導加熱制御部の構成と電磁誘導加熱制御部と接続されている主要構成要素を示す機能ブロック図である。電磁誘導加熱制御部560は、定着制御部54と通信可能で、CPU5600、ROM5601、RAM5602、記憶部5603等から構成され、電力検出回路550から入力された検出結果と定着制御部54から指示された供給電力の値とに基づいて、駆動部570を介してスイッチング素子540のオン・オフをPWM制御する。これにより、指示された供給電力の値に応じた供給電力を励磁コイル531に供給して、高周波電力を生成させることができる。
すなわち、電磁誘導加熱制御部560がスイッチング素子540のオン・オフをPWM制御して励磁コイル531に電力を供給し、定着ローラー51を電磁誘導加熱する期間(以下、「加熱期間」という。)と、定着制御部54からの指示に応じて、電磁誘導加熱
制御部560が当該PWM制御を禁止し、定着ローラー51の電磁誘導加熱を禁止する期間(以下、「加熱禁止期間」という。)とが交互に繰り返される。その結果、定着ローラー51の温度が、熱定着が可能な定着温度の下限の温度(以下、「定着下限温度」という。ここでは、定着下限温度は140℃とする。)以上の所定の温度範囲(ここでは、140℃〜190℃の温度範囲とする。)に維持されるように温度制御(以下、「スタンバイ温度制御」という。)が行われる。
これを防止するために、電磁誘導加熱制御部560は、加熱期間の初期及び終期において励磁コイル531への供給電力が段階的に変化するように、スイッチング素子540のオン・オフをPWM制御する。以下、このような励磁コイル531への供給電力を段階的に変化させるPWM制御のことを「段階制御」と呼ぶことにする。
記憶部5603は、第一段階制御モードと、第二段階制御モードを記憶している。両モードは、それぞれ、段階制御を行う際の各段階における励磁コイル531への供給電力を段階的に変化させるための情報であり、具体的には、加熱期間の初期及び終期に行う段階制御において用いる、デューティー比と供給電力と供給時間との対応関係を示す情報である。なお、両モードにおいては、励磁コイル531への供給電力が目標値(600W)又は0Wに達する前の各段階における励磁コイル531への供給電力の供給時間が規定されている。
本発明者は、スイッチング損失は励磁コイルへの供給電力が低電力になるほど、大きくなることを考慮し、供給電力が低電力となる段階制御における低電力の供給時間を制御することにより、段階制御期間中に発生するスイッチング損失を小さくし、加熱期間中のスイッチング素子の温度上昇を効率よく抑制することができると考え、所定レベル以下(ここでは、200W以下とする。)の供給電力での励磁コイルへの電力供給時間と、当該段階制御期間中における温度上昇との関係を調べる実験を行った。
1.段階制御の期間中の励磁コイルへの供給電力が200Wの供給時間が加熱期間の初期及び終期においてそれぞれ40ミリ秒となるように規定されている。
3.段階制御の期間中の励磁コイルへの供給電力が、200W、300W、400W、500Wの各供給時間が、加熱期間の初期及び終期においてそれぞれ10ミリ秒となるように規定されている。
4.第二段階制御モード
図6は、上記の実験結果を示すテーブルである。同図の符号1は、上記の1の段階制御モードの、符号2は、第一段階制御モードの、符号3は、上記の3の段階制御モードの、符号4は、第二段階制御モードの実験結果をそれぞれ示す。同図に示すように、200W以下での電力供給時間が短くなるに従って段階制御期間中のスイッチング素子の温度上昇は小さくなっている。又、第二段階制御モードや上記の3の段階制御モードのように、段階制御の期間中の供給電力が、200W以下の供給時間が0に近づくと(20ミリ秒以下になると)、当該温度上昇はより小さくなっている。
このように、スイッチング素子の温度上昇は、供給電力の減少に応じて均等に(直線的に)大きくなるのではなく、ある閾値レベル(ここでは、200W)以下になると、急激にスイッチング素子の温度上昇が大きくなり、当該閾値レベルを超えると、スイッチング素子の温度上昇は、急激に小さくなる。
定着制御部54は、CPU5400、ROM5401、RAM5402、温度記憶部5403等から構成される。ROM5401には、電磁誘導加熱制御部560、第一温度センサー53、第二温度センサー541を制御するための各種プログラムや後述するスタンバイ時電力制御処理を実行するプログラム等が記憶されている。
温度記憶部5403は、後述するスタンバイ時電力制御処理において用いられる定着上限温度、定着下限温度、素子上限温度、素子基準温度を記憶している。ここで、「定着上限温度」とは、スタンバイ温度制御において、定着ローラー51の表面温度を所定の範囲(ここでは、140℃〜190℃の温度範囲とする。)に維持するために設定されている、当該所定の範囲の上限の温度(ここでは、190℃)のことをいう。定着上限温度は、定着ローラー51及びその周辺の部品に熱損傷を与えるおそれのない上限温度に設定されている。
上記各温度は、予めプリンターの製造者側で試験等を行うことにより設定され、温度記憶部5403に記憶されるものとする。
芯金512は、定着ローラー51を支持する部材であり、例えば円柱体で構成される。芯金512を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。弾性体層513は、電磁誘導発熱体層514が発熱した熱を芯金512に逃がさないようにするとともに、図2に示すように加圧ローラー52と定着ニップ5nを形成するための層である。弾性体層513を構成する材料としては、耐熱性及び断熱性の高いものが望ましく、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の発砲弾性体を用いることができる。
弾性体層522は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体で、耐熱性の高い材料で構成される。離型層523は、加圧ローラー52と記録シートとの離型性を高めるための層であり、離型層516と同様の材料及び厚さで構成することができる。
図8は、定着制御部が行うスタンバイ時電力制御処理の動作を示すフローチャートである。印刷ジョブが終了するか、又は電源オン後、ウォームアップ動作が終了すると、定着制御部54は、スタンバイ温度制御を開始し、第一温度センサー53から定着ローラー51の表面温度の検出温度(ts)を、第二温度センサー541からスイッチング素子540の検出温度(tr)をそれぞれ取得する(ステップS801)。
又、ステップ802及びステップ803の判定結果が何れも否定的である場合(ステップS802:NO、ステップS803:NO)、定着制御部54は、電力供給期間中である場合には(ステップS804:YES)、ステップS801の処理に移行し、電力供給期間中でない場合には(ステップS804:NO)、ステップS808の処理に移行する。
図9は、スタンバイ温度制御において、スタンバイ時電力制御処理により制御モードを切り換えた場合における、定着ローラーとスイッチング素子の温度と励磁コイルへの供給電力の経時変化を示す図である。図10は、スタンバイ温度制御において、上記のスタンバイ時電力制御処理のように、制御モードの切り換えを行うことなく、制御モードを第一段階制御モードに固定した場合における、定着ローラーとスイッチング素子の温度と励磁コイルへの供給電力の経時変化を示す図である。
具体的には、図9では、スイッチング素子540の温度が素子上限温度を超えたのが2回であるのに対し、図10では、7回である。さらに、図10の場合の方が、素子上限温度を超えたときの温度がより高くなっている。
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
又、図6の符号3の段階制御モードを第二段階制御モードとして用いることとしてもよい。
(3)本実施の形態のスタンバイ時電力制御処理においては、第二段階制御モードを1種類としたが、第二段階制御モードを2種類以上設定し、励磁コイル531への電力供給禁止後のスイッチング素子540の温度に応じて、切り換えるべき第二段階制御モードを選択することとしてもよい。具体的には、上記のスイッチング素子540の温度が低くなるのに応じて第二段階制御モードにおいて規定される、200W以下の低電力の供給時間が長くなるように、上記のスイッチング素子540の温度と各第二段階制御モードとを対応付けて、温度記憶部5403に記憶させておき、上記のスイッチング素子540の温度に対応する第二段階制御モードを、切り換えるべき第二段階制御モードとして選択することとしてもよい。
例えば、上記の例では、tstが80℃以上で、当該温度上昇の程度が非常に大きい場合には、図6の実験結果において最も当該温度上昇の抑制効果が大きい符号4の段階制御モードが第二段階制御モードとして選択される。又、tstが、80℃より低く、上記の場合に比べ当該温度上昇の程度が低い場合には、符号4の場合よりは当該温度上昇の抑制効果は、小さいが、耳障り音の発生の抑制効果が、符号4の場合よりも大きい図6の符号3の段階制御モードが第二段階制御モードとして選択される。
(4)本実施の形態では、励磁コイル531と磁気結合される被加熱体として定着ローラー51を用いたが、被加熱体は、定着ローラー51に限定されない。例えば、被加熱体として、本実施の形態の電磁誘導発熱体層514、弾性体層515、離型層516とから構成され、周回走行する無端状の加熱ベルトを用いることとしてもよい。(1)、(2)(3)の変形例についても同様である。
3 画像プロセス部
4 給紙部
5 定着装置
50 電磁誘導加熱装置
51 定着ローラー
52 加圧ローラー
53 第一温度センサー
54 定着制御部
60 制御部
500 電磁誘導加熱回路
510 整流回路
520 インバーター回路
530 共振回路
531 励磁コイル
532 キャパシター
540 スイッチング素子
541 第二温度センサー
550 電力検出回路
560 電磁誘導加熱制御部
570 駆動部
Claims (5)
- 励磁コイルを含む共振回路と電力源との間の線路に挿入されたスイッチング素子のオン・オフ動作により、励磁コイルに供給する電力が目標の電力となるように制御して被加熱体を電磁誘導加熱する定着装置であって、
前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出手段と、
励磁コイルに電力を供給して被加熱体を電磁誘導加熱する加熱期間の初期及び終期において、励磁コイルに供給する電力を段階的に変化させる第1制御手段と、
前記スイッチング素子の温度が上限温度を超えたときに、第1制御手段による電力供給を禁止し、前記スイッチング素子の温度が上限温度より低い基準温度以下になったときに前記電力供給の禁止を解除する第2制御手段と、
を備え、
前記第1制御手段において、前記電力を段階的に変化させる制御モードとして、第1の制御モードと、第1の制御モードよりも供給する電力が所定レベル以下となる時間が短い第2の制御モードが設定されており、
前記第1制御手段は、
前記スイッチング素子の温度が前記上限温度と基準温度との間の所定温度以上の場合には、次の加熱期間において前記第2の制御モードを実行し、前記所定温度よりも低い場合には、次の加熱期間において前記第1の制御モードを実行する
ことを特徴とする定着装置。 - 前記第2の制御モードにおいては、前記電力が前記所定レベルを超える範囲では、段階的に変化させる前記電力の変化量が、前記所定レベルを超えないようにされている
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記第2の制御モードは、前記スイッチング素子の温度に対応付けて複数定められ、各第2の制御モードの前記所定レベル以下となる時間は、当該第2の制御モードに対応する前記スイッチング素子の温度が低くなるのに応じて長くなるように定められ、
前記第1制御手段は、前記スイッチング素子の温度が前記上限温度と基準温度との間の所定温度以上の場合には、次の加熱期間において、前記スイッチング素子の温度に対応する前記第2の制御モードを実行する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。 - 前記第一制御手段は、前記スイッチング素子のデューティー比を変えることにより、前記電力を段階的に変化させる
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の定着装置。 - 請求項1〜4の何れかに記載の定着装置
を備えることを特徴とする画像形成装置。
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