JP5494636B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁誘導により発熱し、定着温度よりも高いキュリー温度を有する整磁合金層を含む定着部材を用いて、記録シート上の未定着画像の熱定着を行う定着装置および画像形成装置に関し、特に、定着された画像の光沢ムラや定着ムラの発生を防止する技術に関する。
プリンター、複写機等の画像形成装置における定着装置として、電磁誘導加熱方式の定着装置が利用されるようになってきている。
この電磁誘導加熱方式の定着装置は、励磁コイルに高周波電流を通電して発生した交番磁界により、ベルト状の定着部材の発熱層に渦電流を生じさせてジュール発熱させる構成となっており、定着部材の熱容量を小さくできるため、ウォームアップ時間の短縮や省電力等の点において、ヒーター加熱方式の画像形成装置よりも優れている。
ところが、定着部材の熱容量が小さいが故に、記録シートの通紙により通紙領域の温度が低下しやすく、通紙領域の温度を定着温度に維持するため、熱定着動作が行われている間、定着部材の加熱を続ける必要がある。そのため、連続通紙すると、記録シートによって熱を奪われない非通紙領域の温度が異常に高くなり、当該定着部材が劣化して寿命が短くなるという問題を有する。
そこで、例えば、特許文献1には、キュリー温度が定着温度よりも高く、かつ、定着部材の耐熱温度よりも低い値に設定された整磁合金を含む発熱体を用いて定着部材を加熱する定着装置が開示されている。
当該特許文献に係る定着装置においては、発熱体として整磁合金を用いており、非通紙領域における発熱体の温度が上昇してキュリー温度になると、当該発熱体が強磁性から常磁性に変化し、この部分を通過する磁束密度が急激に減少して発熱量が低下するようになっている。これにより定着部材の非通紙領域の温度が、過度に昇温しないようにしている。
特開2008−70757号公報 特開2000−39796号公報 特開2009−03264号公報 特開2011−40323号公報
しかしながら、上記特許文献1のように整磁合金を用いて、非通紙領域の異常昇温を抑制する構成によれば、整磁合金がキュリー温度に到達する際に通紙された記録シートの幅方向(通紙方向と直交する方向)に延びる帯状の部分が、他の部分よりも定着性が低下したり、光沢性が異なったりして、いわゆる定着ムラや光沢ムラが生じるおそれがあることを、本発明者は発見した。
すなわち、通常、定着装置の温度制御は、電力制御部において、温度センサーにより検出された通紙領域の表面温度に基づき励磁コイルに供給する電力を決定し、当該決定された電力が一定して励磁コイルに供給されるようにフィードバック制御しているが、上述のように非通紙領域における整磁合金がキュリー温度に達すると、透磁率が急に変化するため、励磁コイルのインダクタンスが急激に変化し励磁コイルの出力が大きく低下する。
電力制御部は、フィードバック制御を実行して励磁コイルの出力を回復させようとするが、タイムラグにより、どうしても定着部材の一部の温度が低下する温度ムラが生じ、これにより記録シートにおいて帯状の定着ムラもしくは光沢ムラが発生するものと考えられる。
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであって、電磁誘導式の定着装置において、整磁合金を利用して定着部材の非通紙領域の過度の昇温を防止しつつ、定着ムラや光沢ムラの発生を抑制することができる定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る定着装置は、励磁コイルにより電磁誘導されて発熱する定着部材の表面に押圧部材を押圧してニップ部を形成し当該ニップ部に通紙された記録シート上の未定着画像を熱定着すると共に、キュリー温度が目標定着温度よりも所定温度だけ高く設定されている整磁合金層を用いて定着部材の非通紙領域における昇温を抑制する構成を有する定着装置であって、前記定着部材における記録シートの通紙領域の温度を検出する通紙領域温度検出手段と、前記定着部材の非通紙領域の温度が、キュリー温度に到達する直前であるか否かを判定する判定手段と、前記励磁コイルに供給する電力を制御するためのパラメータを決定する電力制御手段と、前記決定されたパラメータに従って前記励磁コイルに電力を供給する電力供給手段とを備え、前記電力制御手段は、前記判定手段により非通紙領域の温度がキュリー温度到達直前であると判定されるまでは、前記通紙領域温度検出手段による検出結果に基づいて前記励磁コイルに供給すべき目標供給電力を決定し、パラメータを調整して励磁コイルに供給する電力が前記目標供給電力に維持されるようにフィードバック制御する第1の制御を実行し、前記判定手段により非通紙領域の温度がキュリー温度到達直前であると判定されたときに、前記パラメータを当該キュリー温度到達直前の供給電力とキュリー温度到達後の供給電力との差分が許容範囲内となるように予め設定されている固定のパラメータに切り換えて励磁コイルに供給する電力を制御する第2の制御を実行することを特徴とする。
上記のように、前記定着部材の非通紙領域の温度が、キュリー温度に到達する直前であると判定する判定手段を有し、電力制御手段は、非通紙領域の温度がキュリー温度到達直前であると判定されたときに、前記電力供給手段による供給電力をフィードバック制御から、当該キュリー温度到達直前の供給電力とキュリー温度到達後の供給電力との差分が許容範囲内となるように予め設定されている固定のパラメータによる制御に切り換えるため、従来のフィードバック制御におけるタイムラグの影響を受けることがなくなり、整磁合金がキュリー温度に到達する際に生じていた電力変動が軽減される。これにより、光沢ムラや定着ムラの発生を効果的に抑制することができる。
ここで、定着部材の非通紙領域の温度を検出する非通紙領域温度検出手段を備え、前記判定手段は、前記非通紙領域温度検出手段による検出結果に基づき、キュリー温度到達直前であるか否かを判定するようにしてもよい。
また、前記判定手段は、前記第1の制御において励磁コイルに供給する電力をフィードバック制御する際のパラメータの変化に基づき、非通紙領域がキュリー温度到達直前であるか否かを判定するようにしてもよい。
また、前記電力供給手段は、LC共振回路と、このLC共振回路への電流供給をオン・オフするスイッチング素子を含むと共に、前記パラメータは、前記スイッチング素子をオン・オフ制御する制御周波数であって、前記判定手段は、前記第1の制御における前記LC共振回路の共振時間の変化もしくはスイッチング素子がオフとなっている時間の変化に基づき、非通紙領域がキュリー温度到達直前であるか否かを判定するようにしてもよい。
さらに、また、前記判定手段は、実行中の定着ジョブにおける連続通紙枚数を指標する値が、記録シートの種類に応じて予め設定された閾値に到達するとキュリー温度到達直前であると判定するようにしてもよい。
ここで、前記記録シートの種類は、記録シートのサイズおよび記録シートの厚みのうち少なくとも一方を含むこととしてもよい。
さらに、ここで、前記予め設定された閾値は、周囲の温度および湿度のうち少なくとも温度に関する情報に基づき補正されることとしてもよい。
ここで、さらに、前記定着ジョブが、ウォームアップ完了後に実行されるジョブである場合に、前記予め設定された閾値は、ウォームアップ開始時の定着部材の通紙領域の温度に基づき補正されることとしてもよい。
また、ここで、前記定着ジョブが、スタンバイ状態を解除した後に実行されるジョブである場合に、前記予め設定された閾値は、当該スタンバイ状態であった時間に基づき補正されることとしてもよい。
ここで、前記電力制御手段における第1の制御から第2の制御への切り換えは、閾値に等しい通紙枚数に該当する記録シートの後端が前記定着装置のニップ部を通過してから、次の記録シートの先端が前記ニップ部に到達するまでの間に実行されることとしてもよい。
また、前記電力制御手段は、前記第1の制御から第2の制御に切り換えた後、所定時間経過すると第1の制御に復帰することが望ましい。
また、前記電力制御手段は、前記第1の制御から第2の制御に切り換えた後に励磁コイルに供給されている電力と、前記第1の制御から第2の制御に切り換える前に励磁コイルに供給されている電力との差が、一定の範囲内となった後に第1の制御に復帰することとしてもよい。
また、前記ニップ部に記録シートが介在しているか否かを判定するシート介在判定手段と、前記ニップ部に記録シートが介在しているときは、前記電力制御手段が前記第2の制御から第1の制御へ復帰するのを禁止し、前記ニップ部に記録シートが介在しなくなったときに前記禁止を解除する復帰禁止手段とを備えるようにしてもよい。
また、本発明の別の態様として、上記定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置としてもよい。
ここで、定着部材の非通紙領域の温度が、キュリー温度に到達する直前となる時期を予測する予測手段と、記録シートを給紙する給紙手段と、給紙された記録シートにトナー像を形成する画像形成手段と、前記給紙手段による記録シートの給紙動作と、前記画像形成手段によるトナー像形成動作とを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記予測された時期に、記録シートが定着装置のニップ部に介在しないように前記給紙動作とトナー像形成動作とを制御するようにしてもよい。
本発明の実施の形態に係る定着装置を有するプリンターの構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る定着装置の構成を示す部分断面斜視図である。 上記定着装置の要部の断面図を示す。 上記プリンターにおける制御部の構成および制御部の制御対象となる主構成要素との関係を示す図である。 IH電源の概要を示す回路図である。 制御周波数と目標供給電力との対応関係を、キュリー温度到達前(A欄)とキュリー温度到達後(B欄)に分けて示した制御周波数テーブルの具体例を示す図である。 目標供給電力と固定制御周波数の対応関係を示す固定制御周波数テーブルの具体例を示す図である。 定着ベルトの通紙領域温度Tsと非通紙領域温度Tpの変化の様子を示すグラフである。 本実施の形態に係る温調処理を実施した場合における励磁コイルの供給電力の変化と、IH電源におけるスイッチング素子を制御する制御周波数の変化を示すグラフである。 本実施の形態に係る温調処理における制御内容を示すフローチャートである。 図10のフローチャートにおけるステップS8のキュリー温度到達直前判定処理の制御内容を示すフローチャートである。 キュリー温度到達直前判定処理の第1変形例における閾値制御周波数を説明するため、キュリー温度到達前後における制御周波数と供給電力の関係を示すグラフである。 上記第1変形例における閾値制御周波数テーブルの具体例を示す図である。 第1変形例に係るキュリー温度到達直前判定処理の制御内容を示すフローチャートである。 (a)〜(c)は、それぞれIH電源のLC共振回路の動作を説明するための図である。 制御周波数によるON・OFFのスイッチング信号と、共振波形の変化との関係を示す図である。 (a)(b)は、それぞれキュリー温度到達直前後における共振波形の変化を示す図である。 キュリー温度到達直前判定処理の第2変形例において使用される閾値共振時間テーブルの具体例を示す図である。 第2変形例に係るキュリー温度到達直前判定処理の制御内容を示すフローチャートである。 キュリー温度到達直前判定処理の第3変形例で使用される基本閾値枚数テーブルの具体例を示す図である。 上記基本閾値枚数テーブルの数値を装置内環境により補正するための補正テーブルの例を示す図である。 上記基本閾値枚数テーブルの数値をウォームアップ開始時の温度により補正するための補正テーブルの例を示す図である。 上記基本閾値枚数テーブルの数値をスタンバイ時間により補正するための補正テーブルの例を示す図である。 第3変形例に係るキュリー温度到達直前判定処理の制御内容を示すフローチャートである。 図24のステップ53の閾値枚数補正処理の制御内容を示すフローチャートである。 図10の温調処理の変形例における制御内容を示す部分フローチャートである。 図26のステップS71の給紙タイミング制御処理の内容を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラープリンター(以下、単に「プリンター」という。)に適用した場合を例にして説明する。
(1)プリンターの構成
図1は、本実施の形態に係るプリンター1の構成を示す図である。
同図に示すように、このプリンター1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、制御部60等を備えている。
プリンター1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続され、外部の端末装置(不図示)や操作パネル7(図4)から印刷指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを記録シートへ多重転写してフルカラーの画像を形成することにより、記録シートへの印刷処理を実行する。以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成要素の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。
画像プロセス部3は、作像部3Y、3M、3C、3K、露光部10、中間転写ベルト11、二次転写ローラー45などを有している。作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様の構成であるため、以下、主として作像部3Yの構成について説明する。
作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、一次転写ローラー34Y、および感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナー35Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。現像器33Yは、感光体ドラム31Yに対向し、感光体ドラム31Yに帯電トナーを搬送する。中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラー12と従動ローラー13に張架されて矢印C方向に周回駆動される。また、従動ローラー13の近傍には、中間転写ベルト上に残留するトナーを除去するためのクリーナー21が配置されている。
露光部10は、レーザーダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザー光Lを発し、作像部3Y、3M、3C、3Kの各感光体ドラムを露光走査する。この露光走査により、帯電器32Yにより帯電された感光体ドラム31Y上に静電潜像が形成される。作像部3M、3C、3Kの各感光体ドラム上にも同様にして静電潜像が形成される。
各感光体ドラム上に形成された静電潜像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各現像器により現像されて各感光体ドラム上に対応する色のトナー像が形成される。形成されたトナー像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各一次転写ローラー(図1では、作像部3Yに対応する一次転写ローラーのみ符号34Yを付し、他の一次転写ローラーについては、符号を省略している。)により、中間転写ベルト11上の同じ位置で重ね合わされるように、中間転写ベルト11上にタイミングをずらして順次一次転写されてカラーのトナー像が形成される。
給紙部4は、記録シートSを収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートSを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラー42と、繰り出された記録シートを二次転写位置46に送り出すタイミングをとって記録シートを搬送するタイミングローラー44などを備えている。
給紙カセットは、1つに限定されず、複数であってもよい。記録シートとしては、サイズや厚さの異なる用紙(普通紙、厚紙)を利用できる。給紙カセットが複数ある場合には、大きさまたは厚さまたは材質の異なる記録シートを複数の給紙カセットに収納することとしてもよい。
タイミングローラー44は、中間転写ベルト11上の同じ位置で重ね合わされるように中間転写ベルト11上に一次転写されたトナー像が二次転写位置46に搬送されるタイミングに合わせて、記録シートをニ次転写位置46に搬送する。そして、二次転写位置46において、ニ次転写ローラー45により中間転写ベルト11上のカラートナー像が一括して記録シート上に二次転写される。
トナー像が二次転写された記録シートは、さらに定着装置5に搬送され、記録シート上のトナー像(未定着画像)が、定着装置5において加熱及び加圧されて記録シートに熱定着された後、排出ローラー71により排紙トレイ72に排出される。
プリンター1の前面上部の操作しやすい位置には、操作パネル7(図4参照)が設けられている。操作パネル7は、複数の入力キーと液晶表示部を備え、液晶表示部の表面にはタッチパネルが積層されている。タッチパネルからのタッチ入力または入力キーからのキー入力により、ユーザからの指示を受け付け、制御部60に通知する。
制御部60は、画像プロセス部3、給紙部4などを統一的に制御し、円滑なプリント動作を実行させる。
(2)定着装置の構成
図2は、定着装置5の構成を示す部分断面斜視図であり、図3(a)(b)は、その要部における断面図を示す。図3(a)は、定着装置5の横断面図を示し、図3(b)は、定着ベルト155(図3(a)の点線矩形Dで示す部分)の詳細な構造を示す部分断面図を示す。
図2に示すように、定着装置5は、電磁誘導加熱方式の定着装置であり、定着ローラー150と、定着ベルト155と、ガイドプレート156と、加圧ローラー160と、磁束発生部170、中央サーミスター180、端部サーミスター181とを備える。
同図の符号Pで示す領域は、記録シートSが通過しない、定着ベルト155における非通紙領域を示す。
定着ローラー150は、長尺で円柱状の芯金152の周囲を弾性体層153で被覆して構成され、図3(a)の要部断面図に示すように、定着ベルト155の周回経路(周回走行路)内側に配置されている。定着ローラー150の大きさとしては、例えば、外径36mmのものを用いることができる。
芯金152は、定着ローラー150を支持する部材であり、例えば外径が約20mmの円柱体で構成される。芯金152を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。
弾性体層153は、定着ベルト155が発熱した熱を芯金152に逃がさないようにするとともに、図3(a)に示すように定着ベルト155を介して加圧ローラー160と定着ニップ(155n)を形成するための層である。弾性体層153の厚みは例えば、8mmとすることができる。弾性体層153を構成する材料としては、耐熱性及び断熱性の高いものが望ましく、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の発砲弾性体を用いることができる。
定着ベルト155は、無端状のベルトであり、図3(b)に示すように、整磁合金層155a、弾性体層155bと、離型層155cとが、この順に積層されて構成されている。なお、整磁合金層155aと弾性体層155bとの間にニッケルや銅等から構成される発熱層を設けることとしてもよい。
整磁合金層155aは、キュリー温度に達するまでは強磁性体で、キュリー温度に達すると常磁性体となる性質を有し、キュリー温度に達するまでは、電磁誘導により発熱して定着ベルト155を昇温させ、キュリー温度に達すると電磁誘導による定着ベルト155の昇温を抑制する層である。
整磁合金層155aの厚みは、例えば、約30μmとすることができる。整磁合金層155aを構成する材料としては、例えば、ニッケルと鉄の合金等を用いることができる。整磁合金層155aのキュリー温度は、ニッケルと鉄との混合比率を調節することにより所望の温度に設定される。また、整磁合金層155aを構成する材料としてニッケルと鉄とクロムの合金を用いることとしてもよい。
このキュリー温度は、定着温度を超えていればよいが、定着温度との温度差があまり少ないと、定着ベルト155の温度が定着温度に達するまでに定着ベルト155の昇温速度が大きく低下し、熱定着動作を開始するまでのウォームアップ時間が長くなってしまうので、キュリー温度は、定着温度との温度差は、少なくとも、30℃以上あることが望ましい。
一方、キュリー温度を定着温度よりも余りにも高温に設定してしまうと、定着ベルト155の耐熱温度を超えて耐久性を劣化させるので、少なくとも定着ベルト155の耐熱温度未満(約240℃未満)であることが望ましいことはいうまでもない。
本実施の形態では、整磁合金層155aのキュリー温度は、定着時の制御目標温度(例えば、約180℃)より約50℃高い温度(例えば、約230℃)に設定されているものとする。
弾性体層155bは、記録シート上のトナー像に均一かつ柔軟に熱を伝えるための層である。弾性体層155bを設けることにより、トナー像が押しつぶされたり、トナー像が不均一に溶融されたりするのを防止し、画像ノイズの発生を防止することができる。弾性体層155bの厚みは、例えば、約200μmとすることができる。弾性体層155bを構成する材料としては、耐熱性と弾性とを有するゴム材や樹脂材を用いることができる。例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどを用いることができる。
離型層155cは、定着ベルト155の最外層をなし、定着ベルト155と記録シートとの離型性を高めるための層である。離型層155cの厚みは、5〜100μm、望ましくは10〜50μmの範囲内のものとするのがよい。離型層155cを構成する材料としては、定着温度での使用に耐えられるとともにトナーに対する離型性に優れたものを使用することができる。例えば、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PTFE(四フッ化エチレン)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化エチレン共重合体)、PFEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)等のフッ素樹脂を使用することができる。
ガイドプレート156は、周回駆動する定着ベルト155を、その周回方向に案内するためのプレートである。ガイドプレート156は、定着ベルト155の周回経路内側において、定着ベルト155を介して磁束発生部170と対向する位置に配置され、定着ベルト155の曲率に沿って湾曲し、周回駆動される定着ベルト155の内側の面と面接触することにより、定着ベルト155をその周回方向に案内しつつ、定着ベルト155と磁束発生部170との相対位置を規制する。ガイドプレート156を構成する材料としては、例えば、銅やアルミニウム等の非磁性の抵抵抗材料を用いることができる。
なお、定着ベルト155に整磁合金層155aを形成する代わりに、ガイドプレート156または定着ローラー150に整磁合金層155aを設け、定着ベルトには、整磁合金層155aの代わりに銅やニッケル等で構成される発熱層を設けることとしてもよい。このように構成した場合においても、定着ベルト155に整磁合金層155aを設けた場合と同様に、ガイドプレート156または定着ローラー150を電磁誘導加熱してガイドプレート156または定着ローラー150を介してキュリー温度に達するまで定着ベルトを昇温させ、キュリー温度に達すると、定着ベルトの昇温を抑制することができる。
加圧ローラー160は、円柱状の芯金161の周囲に、弾性体層162を介して離型層163が積層されて構成され、定着ベルト155の周回経路の外側に配置されている。定着ベルト155の外側から定着ベルト155を介して定着ローラー150を加圧ローラー160で押圧することにより、加圧ローラー160と定着ベルト155の外表面との間に、周方向に所定幅を有する定着ニップ155nが形成される。
芯金161は、加圧ローラー160を支持する部材であり、耐熱性と強度を有する材料から構成される。芯金161の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。
弾性体層162は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体で、厚さ1〜20mmの範囲内の耐熱性の高い材料で構成される。離型層163は、加圧ローラー160と記録シートとの離型性を高めるための層であり、離型層155cと同様の材料及び厚さで構成することができる。加圧ローラー160の大きさとしては、例えば、外径約35mmのものを用いることができる。
磁束発生部170は、コイルボビン171と、裾コア172と、励磁コイル173と、コア174と、カバー175とを有し、定着ベルト155の周回経路の外側で、定着ベルト155を挟んで加圧ローラー160と相対する位置を基準として、ここから周回方向のやや上流側に、定着ベルト155の幅方向に沿うように配置されている。
励磁コイル173は、定着ベルト155の整磁合金層155aを電磁誘導加熱するための磁束を発生させるものであり、コイルボビン171に巻かれている。励磁コイル173から発生する交番磁束は、コア174及び裾コア172により、定着ベルト155に導かれ、定着ベルト155の整磁合金層155aの、主に磁束発生部170に対向する部分を貫き、この部分に渦電流を発生させて整磁合金層155a自体を発熱させ、定着ベルト155を昇温させる。
この定着ベルト155の昇温にともなって、定着ベルト155と定着ニップ155nで接触している加圧ローラー160も昇温する。定着ベルト155の幅方向の中央部付近及び端部付近には、定着ベルト155の表面温度を検出するための中央サーミスター180、端部サーミスター181が配置されている。なお、端部サーミスター181は、最大サイズの記録シートを通紙したときにおける非通紙領域の温度を検出できる位置にあるのが望ましい。
制御部60は、中央サーミスター180および端部サーミスター181からの検出信号に基づき、IH電源190(図4参照)を介して、定着ベルト155の表面温度が目標温度になるように、励磁コイル173への電力供給量を制御する。
(3)制御部の構成
図4は、制御部60の構成と制御部60の制御対象となる主構成要素との関係を示す図である。制御部60は、同図に示されるように、CPU(Central Processing Unit)601、通信インターフェース(I/F)部602、ROM(Read Only Memory)603、RAM(Random Access Memory)604、画像データ記憶部605、印刷条件記憶部606、目標供給電力テーブル記憶部607、固定制御周波数テーブル記憶部608などを備える。
通信I/F部602は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。
ROM603には、画像プロセス部3、給紙部4、IH電源190、操作パネル7等を制御するためのプログラムなどが格納されている。
RAM604は、CPU601がプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
画像データ記憶部605は、通信I/F部602を介して受け付けた、印刷用の画像データを記憶する。
印刷条件記憶部606は、上記外部端末から受け付けた印刷ジョブのデータから印刷条件を抽出して記憶している。ここで、「印刷条件」には、記録シートの印刷枚数、記録シートのサイズ、記録シートの紙種(普通紙、厚紙等)の指定等の情報が含まれるものとする。
目標供給電力テーブル記憶部607には、目標供給電力テーブルが記憶されている。このテーブルには、検出された通紙領域温度と、定着ベルト155の通紙領域の温度を目標定着温度(定着時における制御目標となる温度)にするため励磁コイル173に供給すべき電力(目標供給電力)が対応付けられて格納されている。
固定制御周波数テーブル記憶部608は、定着ベルト155の非通紙領域がキュリー温度に到達する直前に、励磁コイル173へ供給する電力の制御をフィードバック制御から固定制御周波数による制御に切り換えるに際して、当該固定制御周波数を決定するための固定制御周波数テーブルが記憶されている。詳しくは後述する。
IH電源190は、LC共振回路を含み、制御部60から通知された目標供給電力を励磁コイル173に供給するためのものである。
制御部60は、ROM603から必要なプログラムを読み出して、画像データ記憶部605に記憶された画像データに基づき、印刷条件に従って上記画像データプロセス部3、給紙部4などを統一的に制御して印刷ジョブを円滑に実行させる。また、印刷ジョブの実行に際し、中央サーミスター180や端部サーミスター181の検出結果に基づいてIH電源190を的確に制御して、定着ベルト155の温度制御を行う。
なお、温湿度センサー182は、装置内の温度と湿度を検出し、制御部60はその検出値に基づいて、各転写電圧などを制御し、画像濃度の適正化など公知の画像安定化処理を実行する。
(4)IH電源190の構成
図5は、IH電源190の概要を示す回路図である。
同図に示すようにIH電源190は、周波数制御部191、スイッチング素子192、コンデンサー193、コイル194、ダイオードブリッジ195、電圧検知部196、電流検知部197、コイル198、ノイズフィルター199等から構成される。
ノイズフィルター199は、交流電源200から供給される電力に含まれる各種ノイズ成分を除去する。ダイオードブリッジ195は、ノイズ除去後の交流電源200の交流を整流する。そのプラス側の電圧がコイル194を介して、コンデンサー193と励磁コイル173とからなるLC共振回路におけるコンデンサー193と励磁コイル173の接続部Pに印加され、他方のマイナス側の電圧が、例えばIGBTからなるスイッチング素子192のエミッター側に印加される。
スイッチング素子192のコレクター側は、コンデンサー193と励磁コイル173の他方の接続部Qに接続される。
周波数制御部191は、CPU1911と制御周波数テーブル記憶部1912とを備える。
図6は、上記制御周波数テーブル記憶部1912に記憶されている周波数制御テーブルの具体例を示す。
同図に示すように、制御周波数テーブルは、IH電源190から励磁コイル173に供給する電力を目標供給電力に制御するため、当該目標供給電力と、スイッチング素子192に与える制御パラメータとしての制御周波数との対応関係を示すものであって、定着ベルト155の非通紙領域Pの表面温度がキュリー温度に到達する前(A欄)と、到達した後(B欄)に分けて示している。
なお、本テーブルは、小サイズ(ここでは、普通紙、A4縦通しサイズ(A4Tサイズ)とする。)の記録シートが選択されているときの、一例を示すものであり、予め実験などにより設計者により求められている。以下、特に、断りのない限り、後続する各種のテーブルの数値についても、普通紙・A4Tサイズの通紙を前提として設定されているものとする。
また、図6のテーブルでは、便宜上、定着ベルト155の通紙領域の表面温度が定着時の目標温度(180℃)に到達した後における温度調整(温調)時に必要な範囲における代表的な制御周波数(44KHz〜52KHz)に対応する目標供給電力値しか開示されていない。
制御部60は、中央サーミスター180により検出された定着ベルト155の通紙領域の表面温度に基づき、目標供給電力テーブル記憶部607の目標供給電力テーブルを参照して、当該通紙領域の表面温度を目標定着温度にするため励磁コイル173に供給すべき目標供給電力の値を決定し、その値をIH電源190の周波数制御部191に通知する。
周波数制御部191のCPU1911は、当該目標供給電力の通知を受けて、制御周波数テーブル記憶部1912内の制御周波数テーブルを参照してスイッチング素子192を制御するための制御周波数を決定し、決定した制御周波数でスイッチング素子192を制御して励磁コイル173に目標供給電力を供給させる。なお、本IH電源190では、制御周波数が低いほど、供給電力が大きくなる構成となっている。
通常の場合(非通紙領域温度がキュリー温度到達の直前までに到らない段階)において、例えば、制御部60から目標供給電力として550Wの通知を受けると、周波数制御部191のCPU1911は、図6のA欄を参照して制御周波数を50KHzに決定してスイッチング素子192に出力する。
その後、CPU1911は、電圧検知部196、電流検知部197による、励磁コイル173に実際に供給される電圧及び電流の検知結果に基づいて、励磁コイル173に供給されている電力を算出し、当該コイル供給電力が、制御部60から通知された目標供給電力に維持されるように上記制御周波数を調整してフィードバック制御する。
ところが、非通紙領域の温度がキュリー温度に到達した後は、制御周波数が同じであっても、励磁コイル173の出力が低下するという現象が生じる。
これは、定着ベルト155の非通紙領域の表面温度がキュリー温度に達すると、当該非通紙領域が常磁性体となって、励磁コイル173から発生した磁束が当該非通紙領域に導かれなくなり、その分、励磁コイル173から発生した磁束の内、励磁コイル173に戻る磁束量が増えるため、励磁コイル173のインダクタンスが大きくなり、その結果、IH電源190から供給される電圧と電流との間に位相差が発生し、無効電力が大きくなるからである。
CPU1911は、この電力低下を電圧検知部196と電流検知部197の出力により検知し、当該電力を低下以前の値に回復するように制御周波数を下げるが、この電力低下量が急激であるためフィードバック制御により電力が回復するまで少なからずタイムラグが生じ、その間、定着ベルト155の励磁コイル173に対向していた一部の帯域の温度が低下したままニップ部に到達して記録シートに接触するため、その部分の定着性や光沢性が他の部分よりも低下する。
図8は、通紙領域の表面温度(以下、「通紙領域温度」)Tsと非通紙領域における表面温度(以下、「非通紙領域温度」)Tpの変化の様子をそれぞれ概略的に示すグラフである。
なお、通紙領域における温度ムラの発生を説明するため、非通紙領域温度Tpの変化を示すグラフについては、定着ベルト155の周面のうち、キュリー温度到達時に励磁コイル173に対向していた部分の温度変化を想定して作成されている。
同図において、縦軸は、各通紙領域と非通紙領域における温度[℃]、横軸は、ウォームアップ制御(電源投入時もしくはスリープモードを解除した後に定着ベルト155の通紙領域温度を目標定着温度まで上昇させる制御)を開始してからの経過時間[秒]を示す。
同図に示すようにウォームアップ制御により、通紙領域温度Tsが目標定着温度の180℃に達してプリントが開始されると(時刻t1)、非通紙領域温度Tpと通紙領域温度Tsの温度差がますます拡大し、非通紙領域温度Tpがキュリー温度に到達する直前から励磁コイル173への供給電力が徐々に下がり、それに対応して通紙領域温度Tsが破線Eで示すようにキュリー温度到達時(時刻t3)に大きく低下し、フィードバック制御により供給電力が回復するに伴って、通紙領域温度Tsも目標定着温度180℃まで上昇する(時刻t4)。
このように従来の温度制御方法によれば、非通紙領域温度Tpのキュリー温度到達に際し、一時的な電力低下が避けられない。
そこで、本実施の形態では、制御部60は、非通紙領域温度Tpのキュリー温度到達を予想し、その直前にIH電源190における供給電力のフィードバック制御を停止し、スイッチング素子192に出力する制御周波数を、上記電力低下を見越して予め設定された固定制御周波数に強制的に変更するように制御している(以下、このような制御を「固定周波数制御」という。)。
この固定制御周波数は、定着ベルト155の非通紙領域Pがキュリー温度に到達して励磁コイル173の無効電力が増加しても、制御部60から通知された目標供給電力を維持できるような制御周波数として予め求められて、固定制御周波数テーブル記憶部608に格納されている。
図7は、上記固定制御周波数テーブルの例を示すものである。
同図に示すように、固定制御周波数テーブルには、当該制御部60から通知された目標供給電力とこれに対応する固定制御周波数とが格納されている。なお、具体的な固定制御周波数の値は、図6の制御周波数テーブルにおけるキュリー温度到達後の供給電力(B欄)と制御周波数の対応関係から求めることができる。
例えば、制御部60により通知されていた目標供給電力550Wをキュリー温度到達後も維持するためには、左端の制御周波数とB欄の供給電力の対応関係から、制御周波数47.3KHzとする必要があり、この値が固定制御周波数f4として設定されている(本例では、B欄の528Wに対応する制御周波数48KHzと、同じくB欄の560Wに対応する制御周波数47KHzを比例配分して、供給電力550Wに対応する制御周波数を求めている。)。
このように目標供給電力が550Wの場合には、固定周波数制御に切り換える際の固定制御周波数は47.3KHzとなる。この変化をフィードバック制御で実行すれば、かなりタイムラグが大きくなるが、本実施の形態では一挙に目的の制御周波数に移行することができ、しかも、キュリー温度到達直前にそれを行うので、キュリー温度到達時における励磁コイル173への供給電力の落ち込みを効果的に抑制できる。
もっとも、キュリー温度到達後において固定周波数制御されている際の供給電力が、完全に目標供給電力と一致している必要はなく、多少差があったとしても光沢ムラの発生がほとんど目立たない程度であれば問題はない。この温度差の許容範囲は、およそ±5℃程度である。
なお、本実施の形態では、キュリー温度よりも10℃低い220℃に到達したときに(時刻T2)に、キュリー温度到達直前であると判断するようにしている。
図9は、上記固定周波数制御を行った場合における励磁コイル173に供給されている電力と制御周波数の変化の様子を概略的に示すグラフである。
周波数制御部191は、制御部60から励磁コイル173への目標供給電力を、例えば550Wにするように通知されると、図6のA欄の550Wに対応する制御周波数(50KHz)を読み出して、スイッチング素子192を当該制御周波数で制御する。
周波数制御部191は、電圧検知部196、電流検知部197からの出力により、励磁コイル173に実際に供給されている電力を検知し、その値が上記目標供給電力に等しくなるように制御周波数を調整してフィードバック制御する。
連続通紙の際に、非通紙領域温度Tpが徐々に上昇し、キュリー温度に近付くにつれて、励磁コイル173の出力が低下していくが、初期の段階では、上記フィードバック制御で対応することができ、制御周波数を徐々に低下させて励磁コイル173への供給電力が550Wとなるように維持する。
そして、通紙領域温度Tsが220℃になると、キュリー温度到達直前であると判断して、フィードバック制御を停止させて、図7の固定制御周波数テーブルを参照して、目標供給電力が550Wに対応する47.3KHzに切り換える固定周波数制御を実行する。
この固定制御周波数への移行時に(この周波数移行に要する時間を以下「固定周波数移行時間」という。)、やや、励磁コイル173の出力が目標供給電力550Wを超える部分(J)が生じるが、電力が高くなる方向であり、その変動量も少ないので、定着ムラ、光沢ムラが発生するまでに至らない。
なお、この固定周波数制御は、キュリー温度到達時における供給電力の低下を未然に防止することを目的とするものであるから、キュリー温度到達時には固定制御周波数(上記の例では47.3KHz)への移行が完了するのが望ましい。したがって、キュリー温度到達時よりも上記固定周波数移行時間だけ前の時点を「キュリー温度到達直前」として判定するのが望ましいと言える。
キュリー温度手前における非通紙領域温度Tpの昇温速度を実験若しくはシミュレーションにより求めておけば、キュリー温度230℃に到達する時刻よりも上記固定周波数移行時間だけ前の時点における非通紙領域温度Tpを求めることができ(本例ではこの温度が220℃)、この温度(キュリー温度直前指標温度)に達したときにキュリー温度到達直前と判定することができる。
もっとも、固定周波数制御による制御周波数の移行開始が、キュリー温度到達時よりも前であれば、固定制御周波数への移行完了が、キュリー温度到達後であっても、少なくとも従来のフィードバック制御のみに依存する制御よりは、電力低下を抑制する効果があるので、その限りで「キュリー温度到達直前」とみなすことができ、この範囲での誤差は許される。また、固定制御周波数への移行完了時が、キュリー温度到達時点よりも若干前であっても、その際の温度上昇が、定着ムラや光沢ムラを来さない程度であれば許されるであろう。
なお、上記固定周波数移行時間は、CPU1911の処理速度や、制御周波数制御に切り換える前の制御周波数と固定制御周波数との差分の大きさなどにより、事前に求めることができる。
厳密に言えば、固定周波数制御に切り換える前の制御周波数と固定周波数の差分は、目標供給電力によって若干異なり、また、非通紙領域温度Tpの昇温速度は、通紙する記録シートのサイズや厚みによっても微妙に異なるので、キュリー温度到達直前と判定するための閾値温度も若干異なってくると考えられるが、上記許容範囲内であれば、それらの誤差要因に拘わらず閾値温度を一律に決定することが可能である。
もっとも、精密なカラー画像の再現の場合などのように、より精度よく制御する必要があれば、目標供給電力、記録シートのサイズおよび記録シートの厚みの種類のうち少なくとも1つで分類分けして、個別に閾値温度を設定するようにしても構わない(例えば、記録シートのサイズで分類分けした場合には、各サイズごとに閾値温度を求めて対応付けたテーブルを作成することになる。)。
このような固定周波数制御はあくまでもキュリー温度到達時における大きな電力変動を回避するための一時的な制御であり、その後速やかにフィードバック制御を行うことが望ましい。
しかしながら、急激に制御周波数を切り換えたため、キュリー温度到達後の電力がやや不安定になっている場合があり、そのままフィードバック制御に復帰すると、その後の温度制御に影響を与えるおそれがある。そこで、本実施の形態では、キュリー温度到達後の供給電力がキュリー温度到達直前に設定されていた目標供給電力に対して所定の設定電力範囲になったか否かを判定し、その場合に始めてフィードバック制御に復帰するようにしている(図のKの位置)。
この場合における設定電力範囲は、本実施の形態では、目標供給電力の±2%に設定している。
なお、このように固定周波数制御時において、供給電力が設定電力範囲内まで安定するまでの待機時間は、実験などにより求めることができるので、供給電力が設定電力範囲になったか否かの判定に代えて、固定周波数制御に切り換えてから、当該待機時間経過後にフィードバック制御に切り換えても構わない。
(5)温調処理
図10は、本実施の形態において、ウォームアップ後などに印刷ジョブを実行する際に定着ベルト155を定着温度に維持するために実行される温調処理における制御内容を示すフローチャートであり、制御部60およびIH電源190の周波数制御部191により実行される。
なお、このフローチャートは、プリンター1全体の動作を制御するメインフローチャート(不図示)のサブルーチンとして実行されるものである。
まず、ステップS1において、温調制御が開始されるか否かを判定する。
この判定は、プリンター1への電源投入後、もしくは印刷ジョブを受け付けてスリープモード(節電のため励磁コイル173に電力供給を停止するモード)を解除した後、もしくはスタンバイ(印刷ジョブを受け付けると速やかに開始できるように、定着ベルト155を目標定着温度より若干低い温度で維持して待機するモード)を解除後などに定着ベルト155の温度を目標定着温度(180℃)まで上昇させるための制御を実行した後に、温調開始と判定される。
印刷ジョブ開始初期の段階では、定着ベルト155の非通紙領域温度Tpは、まだ、キュリー温度よりも十分低いので、図6の制御周波数テーブルのうちA欄を選択する(ステップS2)。
そして、中央サーミスター180の検出温度を取得し(ステップS3)、目標定着温度との比較結果から目標供給電力テーブル記憶部607内のテーブルを参照して、目標定着温度を維持するため励磁コイル173に供給すべき目標供給電力を決定する(ステップS4)。
決定された目標供給電力の値は、IH電源190の周波数制御部191内のCPU1911に通知され、CPU1911は、現在選択されている制御周波数テーブルを参照して目標供給電力に対応した制御周波数を取得し、スイッチング素子192に出力して制御する(ステップS5)。
CPU1911は、電圧検知部196と電流検知部197の検出値をサンプリングして励磁コイル173への供給電力を監視しており、この電力が上記目標供給電力に維持されるように制御周波数を調整してフィードバック制御する(ステップS6)。
次に、温調を終了すべきか否かを判定する(ステップS7)。
例えば、実行中の印刷ジョブが終了したとき、もしくは当該印刷ジョブ終了後、所定時間経過したときに、温調を終了すべきと判定する。
温調を、まだ終了しない場合には(ステップS7:NO)、次のキュリー温度到達直前判定処理を実行する(ステップS8)。
図11は、上記キュリー温度到達直前判定処理のサブルーチンにおける制御内容を示すフローチャートである。
まず、端部サーミスター181で検出された非通紙領域温度Tpを取得し(ステップS21)、当該非通紙領域温度Tpが、既述のようにして予め設定された閾値温度(本例では220℃)に到達したか否か(Tp≧220℃)を判定する(ステップS22)。
Tp≧220℃である場合には(ステップS22:YES)、キュリー温度到達直前であると判断して、フラグF1=1に設定し(ステップS23)、Tp≧220℃でない場合には(ステップS22:NO)、フラグF1=0に設定する(ステップS24)。
その後、図10のフローチャートにリターンする。
そして、図10のステップS9においてF=1であるか否かを判定し、F=1でない場合には(ステップS9:NO)、まだ、キュリー温度到達直前ではないので、ステップS3に戻って、ステップS6までのフィードバック制御を繰り返す。
ステップS9において、F=1である場合には(ステップS9:YES)、キュリー温度到達直前であると判定し、制御部60は、固定制御周波数テーブル記憶部608の固定周波数テーブル(図7)から現在CPU1911に通知している目標供給電力に対応した固定制御周波数を取得し、制御周波数を当該固定制御周波数に切り換えるようCPU1911に指示する。CPU1911は当該指示に従いフィードバック制御を停止して、指示された固定制御周波数によりスイッチング素子192を制御する(ステップS10)。
その後、電圧検知部196と電流検知部197の検出値より励磁コイル173への供給電力を検知し、当該検知電力が所定の上記設定電力範囲内であるか否かを判定する(ステップS11)。
ステップS11において、検知電力が設定電力範囲内であると判定されると(ステップS11:YES)、フィードバック制御に復帰させるべく、図6の制御周波数テーブルにおけるB欄を選択する(ステップS12)。
その後、ステップS3に戻り、選択された制御周波数テーブルのB欄を参照しつつ、励磁コイル173への供給電力のフィードバック制御が実行される。
フローチャートが循環して、ステップS7において温調終了と判定されると温調処理を終了して、不図示のメインフローチャートにリターンする。
なお、上述したようにステップS11における検知電力が設定電力範囲内であるか否かの判定に代えて、固定周波数制御に切り換えてからの経過時間を計測し、この時間が励磁コイルの出力が安定しているとして予め求められている待機時間を経過したか否かを判定し、経過した場合に次のステップS12に移行するようにしても構わない。この待機時間は例えば1秒程度であり、予めROM603に格納されている。
以上説明したように、本実施の形態によれば、整磁合金を利用して定着ベルト155の非通紙領域における過度な昇温を防止する構成において、キュリー温度到達直前にフィードバック制御から、キュリー温度到達による励磁コイル173の電力低下を見越した固定制御周波数に切り換える固定周波数制御を実行するので、定着ベルト155における周方向における温度ムラの発生が抑制され、定着ムラや光沢ムラの発生を可及的に防止することができる。
なお、本実施の形態において、制御部60と周波数制御部191が、図10、図11のフローチャートの該当するステップを実行するとき、本発明における「電力制御手段」や「判定手段」として機能する。
<変形例>
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、次のような変形例も考えることができる。
(1)キュリー温度到達直前判定処理の変形例
上記実施の形態における温調処理では、端部サーミスター181で検出された非通紙領域温度Tsが所定の閾値温度(220℃)に到達したときに定着ベルト155の非通紙領域がキュリー温度到達直前であると判定した(図11のキュリー温度到達直前判定処理参照)。
しかし、この実施の形態では、端部サーミスター181が必須の構成となるので、以下では、端部サーミスター181がなくても実施可能なキュリー温度到達直前判定処理の変形例について説明する。
(1−1)第1変形例
本変形例では、IH電源190のCPU1911からスイッチング素子192に出力される制御周波数の変化により、定着ベルト155の非通紙領域の温度がキュリー温度到達直前であるか否かを判定するようにしている。
図12は、励磁コイル173への供給電力と、制御周波数との関係を示すグラフである。
横軸は、制御周波数[KHz]、縦軸は励磁コイル173に供給される電力[W]を示している。
直線61は、定着ベルト155全体が目標定着温度に維持されている状態における制御周波数と供給電力との関係を示しており、直線62はA4Tサイズで連続通紙した場合における非通紙領域Tpがキュリー温度に到達したときにおける制御周波数と供給電力との関係、直線63は、定着ベルト155の全領域がキュリー温度に到達したときにおける制御周波数と供給電力との関係をそれぞれ示している。
同図に示すように、定着ベルト155のキュリー温度に到達する範囲が大きくなるほど、同一制御周波数に対して励磁コイル173に実際に供給される電力値が低下する。
そこで、例えば、同一の制御周波数に対して直線61と直線62の間を所定比で比例配分した点を通過する直線64を考えて、当該直線64まで電力が低下した場合に、キュリー温度到達直前であると判別することが可能である(以下では、直線64を「閾値直線」と呼び、当該閾値直線64の各制御周波数における値を「閾値供給電力」という。)。
この閾値直線64は、予め実験により求めることができる。例えば、上記実施の形態のように定着ベルト155の非通紙領域温度Tpがキュリー温度よりも所定値だけ低い温度(上記では220℃)になったときの供給電力値を複数の制御周波数について検出して、それらの検出値の供給電力をグラフ上にプロットして近似直線を求めるようにすればよい。
そして、求められた閾値直線64に基づき、各目標供給電力ごとに閾値供給電力を得ることができる。
もっとも、CPU1911は、励磁コイル173に供給される電力が、目標供給電力に維持されるようにフィードバック制御しているので、供給電力値は、キュリー温度到達前において閾値供給電力以下まで落ち込むことはない。
そこで、本変形例では、CPU1911の発生する制御周波数をモニターして、これが所定の閾値周波数以下になったときにキュリー温度到達直前であると判定するようにしている。
具体的に、例えば、制御部60から通知された目標供給電力が550Wであるとき、CPU1911は、上述のように当初50KHzの制御周波数でスイッチング素子192を制御するが、無効電力が増加してコイル供給電力が徐々に低下していくと当該550Wを維持すべくフィードバック制御により制御周波数を低下させていく。仮に、フィードバック制御が機能しないとしてそのまま閾値供給電力まで電力が低下すると、これを目標供給電力の550Wを維持するためには、図12の閾値曲線64上で供給電力550Wに対応する制御周波数48.5KHzで制御することになる。
したがって、目標供給電力が550Wに設定されている場合には、現在のCPU1911の制御周波数が48.5KHzになった時点で、キュリー温度到達直前であると判定することが可能である。
このように各目標供給電力に対応して閾値制御周波数が図12のグラフにより予め求められて閾値制御周波数テーブルが作成されてROM603内に格納されている。
図13は、上記閾値制御周波数テーブルの一例を示す図である。目標供給電力の範囲は、本実施の形態において、温調制御時に使用される510W〜670Wの範囲で示しているが、勿論この範囲に限られるものではない。
図14は、本変形例に係るキュリー温度到達直前判定処理における制御内容を示すフローチャートである。
まず、制御部60は、CPU1911から、現在スイッチング素子192に与えられている制御周波数Faを取得する(ステップS31)。
次に、現在のCPU1911に通知している目標供給電力に対応する閾値制御周波数Ftを図13に示す閾値制御周波数テーブルを参照して取得する(ステップS32)。
そして、上記現在の制御周波数Faが閾値制御周波数Ft以下(Fa≦Ft)であるか否かを判定する(ステップS33)。
Fa≦Ftであれば、キュリー温度到達直前であると考えられるので、フラグF=1に設定し(ステップS33:YES、ステップS34)、Fa≦Ftでなければ、キュリー温度到達直前にいたっていないことを示すべく、フラグF=0に設定する(ステップS33:NO、ステップS35)。
上記処理が終了すると、図10のフローチャートにリターンし、ステップS9により上記フラグを判定して、F=1であれば(ステップS9:YES)、固定制御周波数に基づく制御に切り換える(ステップS10)。
(1−2)第2変形例
また、定着ベルト155の非通紙領域温度Tpがキュリー温度に近付くと、励磁コイル173のリアクトル値が変化することによりIH電源190のLC共振回路で生じる共振波形が変化するので、この変化状態を示すパラメータを利用してキュリー温度到達直前であるか否かの判定を行うことも可能である。
図15(a)〜(c)および図16は、IH電源190のコンデンサー193と励磁コイル173とからなるLC共振回路において生じる共振波形(本変形例では、スイッチング素子192のコレクター側(Q点)における電圧変化)を説明するための図である。
P点とスイッチング素子192のエミッター間には、ダイオードブリッジ195から出力された電圧Vdcが印加されており(図5参照)、この状態で、CPU1911からの制御周波数によりスイッチング素子192がONになると、図15(a)に示すように、励磁コイル173およびスイッチング素子192のコレクター・エミッター間をそれぞれ電流Ic1および電流Ic2が流れ出す(図16の(a)の部分参照)。
その後、スイッチング素子192がOFFの状態になると、図15(b)に示すように、励磁コイル173内の電流が、コンデンサー193内に流れ出すため、Q点における電位が徐々に上昇する(図16の(b)の部分参照)。
コンデンサー193の充電が完了すると、今度はコンデンサー193に充電された電気量が放電され、励磁コイル173に逆方向の電流が流れ、Q点における電位が下降する(図16の(c)の部分参照)。
そして、制御周波数が、OFFからONに転じたタイミングで、励磁コイル173に蓄えられていた電気エネルギーが、スイッチング素子192に内蔵されているダイオードD(不図示)を通過して回生電流が流れる(図16の(d)の部分)。
その後、制御周波数によるスイッチング制御信号のON/OFFの変化に応じて、上記図16(a)〜(b)が繰り返される。
このように、IH電源190における共振波形(電圧Vceの変化)は、スイッチング信号がOFFの状態のときに山なりに変化する。そして、スイッチング制御信号がONの状態のとき、電圧は所定の値(「V0」とする)となる。
そして、定着ベルト155の非通紙領域温度Tpがキュリー温度に近付いて磁性が変化するにつれて、励磁コイル173のリアクトル値が変化して、その共振波形を生じる時間が長くなる傾向にある。
図17(a)(b)は、それぞれキュリー温度到達前とキュリー温度到達後における共振波形の変化を示すものである。
同図に示す例では、キュリー温度到達前において1個の共振波形の発生する時間(以下、「LC共振時間」という。)が7μsであったものが(図17(a)参照)、キュリー温度到達後には、9μsまで長くなっている(図17(b)参照)。
したがって、予め各目標供給電力ごとに、実験などによりキュリー温度到達直前とみなされる時点における閾値共振時間を求めておき、LC共振時間が当該閾値になったときに、キュリー温度到達直前と判定することができる。
そこで、本変形例では、IH電源190において、図5の2点鎖線に示すように、Q点の電位がCPU1911に入力されるような回路を形成し、CPU1911により当該LC共振時間を検出するようにしている。このLC共振時間は、例えば、CPU1911内部のコンパレータによりQ点の電位と基準電位「Vo」とを比較し、Q点の電位が基準電位より高いときの時間を測定することにより得ることができる。
この時間の測定は、内部クロックをカウントすることにより容易に得られ、これにより得られたLC共振時間は、制御部60に随時送信されるようになっている。また、図18に示すような閾値共振時間テーブルが予め作成されROM603内に格納されている。
図19は、本変形例に係るキュリー温度到達直前判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
まず、制御部60は、CPU1911から送信されてきたLC共振時間を随時更新してRAM604内に格納し、更新された最新のLC共振時間を現在のLC共振時間Raとして取得する(ステップS41)。
次に、現在CPU1911に通知している目標供給電力に対応する閾値共振時間Rtを、図18に示す閾値共振時間テーブルを参照して取得する(ステップS42)。
そして、上記現在のLC共振時間Raが閾値共振時間Rt以上(Ra≧Rt)であるか否かを判定する(ステップS43)。
Ra≧Rtであれば、キュリー温度到達直前であると考えられるので、フラグF=1に設定し(ステップS43:YES、ステップS44)、Ra≧Rtでなければ、キュリー温度到達直前にいたっていないことを示すべく、フラグF=0に設定する(ステップS43:NO、ステップS45)。
上記処理が終了すると、図10のフローチャートにリターンし、ステップS9により上記フラグを判定して、F=1であれば(ステップS9:YES)、固定制御周波数に基づく制御に切り換える(ステップS10)。
なお、図17(a)(b)に示すように、LC共振時間は、スイッチング制御信号のOFFの時間(以下。「OFF時間」という。)と等しいので、このOFF時間を監視してもキュリー温度到達直前の判定を行うことができる。OFF時間は、例えば、CPU1911が自ら生成する制御周波数のOFFの状態を検出してクロックをカウントすることにより容易に得られる。
制御部60は、CPU1911からこのOFF時間を取得して、当該OFF時間が、図18と同様に作成された閾値OFF時間テーブル(不図示)から得られる閾値OFF時間以上となったときに、キュリー温度到達直前と判定するようにしてもよい。このときのフローチャートは、LC共振時間をOFF時間に置き換える以外は、図19とほぼ同じなので、図示を省略する。
なお、上記第1、第2変形例における各閾値テーブルなどは、記録シートが普通紙で特定のサイズ(A4Tサイズ)であることを前提にして説明してきたが、励磁コイル173に供給する電力をフィードバック制御する際におけるパラメータ(第1変形例では制御周波数、第2変形例では、LC共振時間もしくはOFF時間)の変化を指標として、キュリー温度到達直前を判定するため、異なる厚みの記録シートについても共通に適用可能である。
もっとも、非通紙領域の大きさによって、それらがキュリー温度に到達したときの、励磁コイル173のリアクトル値の変化量が異なるため(図12参照)、記録シートのサイズごとに個別の閾値テーブルを作成しておき、制御部60は、現在実行中の印字ジョブの印刷条件により、対応するテーブルを参照して、上記温調処理を実行するようにすれば、より細やかな温調処理を行うことができる。
(1−3)第3変形例
この変形例では、連続して通紙される記録シートの枚数に基づき、キュリー温度到達直前を判定するようにしている。
非通紙領域が過度に昇温するのは、連続通紙の際に非通紙領域では記録シートに熱を奪われないにも拘わらず、通紙領域温度Tsを一定の定着温度に維持するため励磁コイル173に電力を供給するためであるから、当該連続プリント枚数をカウントすることにより、非通紙領域温度Tpがキュリー温度到達直前であるか否かの判定基準となりうる。この際、通紙する記録シートの厚みやサイズによって、非通紙領域の範囲とその昇温特性が変化する。
そこで、本変形例では、非通紙領域温度Tpがキュリー温度到達直前となるときの連続通紙枚数を記録シートのサイズや厚みの種類ごとに求めておき、これを閾値(閾値枚数)としてキュリー温度到達直前を判定するようにしている。
図20は、基本閾値枚数テーブルの例であり、通紙する記録シートサイズごとに基本となる閾値枚数が登録されている。当該テーブルにおいて、例えばA4Tとは、A4サイズの記録シートを縦方向に通紙した場合を意味する。ここで、普通紙は通常使用される複写用紙であり、通常坪量が62g/m2〜71g/m2の範囲の用紙をいい、厚紙は、坪量が210g/m2〜244g/m2の範囲をいう。
同テーブルにおいて、厚紙の方が普通紙よりも閾値枚数が少ないのは、厚紙の場合、定着の際して多くの熱量を奪うので、それだけ励磁コイルの出力を大きくしなければならず、そうすると非通紙領域温度の上昇速度が速くなるからである。
また、記録シートのサイズが小さいほど、非通紙領域の幅が大きくなり、定着ベルト155の両端部からの放熱量に対して蓄熱される熱量が大きくなるので、この場合にも非通紙領域が昇温しやすい条件となり、閾値枚数も少なくなる。
なお、上記基本閾値枚数は、装置内の環境としては温度が11℃〜29℃の範囲であって湿度(相対湿度)が16%〜79%の状態(以下、この温湿度範囲を「NN」環境という。)であり、かつ、そのウォームアップ開始時の定着ベルト155の通紙領域温度Tsが16℃〜30℃の範囲である基本条件下で、ウォームアップ完了直後に連続プリントが開始された場合において、実験により求められた数値である。
本変形例では、上記基本閾値枚数テーブルに記載の閾値枚数を基準として、この閾値枚数を装置内環境やウォームアップ開始時の温度、スタンバイ時間に基づき、補正テーブルH1〜H3(図21〜図23)を参照して適宜補正することにより、キュリー温度到達直前の判定を行うようにしている。以下、図24のキュリー温度到達直前判定処理のフローチャートに基づき詳しく説明する。
まず、制御部60は、受け付けた印刷ジョブについて印刷条件記憶部606(図4)を参照してその印刷条件を取得する(ステップS51)。
既述にように、この印刷条件には、印字枚数、記録シートのサイズ情報および、普通紙か厚紙かの紙種に関する情報が含まれており、外部端末のプリンタドライバで印刷ジョブを発行する際にユーザにより入力され、印刷ジョブのデータに付加されるものである。
ステップS52において、上記印刷条件(ここでは、印刷条件のうち記録シートのサイズ情報と紙種の情報のみ)を印刷条件記憶部606から読み出し、当該印刷条件に応じた基準閾値枚数を図20の基準閾値枚数テーブルから取得する。
そして、次に各種の条件に応じて上記基準閾値枚数を補正する閾値枚数補正処理を実行する(ステップS53)。
図25は、この閾値枚数補正処理のサブルーチンにおける制御内容を示すフローチャートである。
まず、温湿度センサー182の検出値を参照して、装置内の温湿度情報(定着装置5側からみれば周囲の温湿度情報)を取得する(ステップS61)。
そして、この温湿度情報に基づき、図21の補正テーブルH1に基づき、上記基準閾値枚数を補正する。
図21の補正テーブルH1では、上記温湿度情報に基づき装置内環境を日本の気候に応じて、上述のNN環境のほかに、低温(10℃以下)・低湿(15%以下)のLL環境、高温(30℃以上)・高湿(80%以上)のHH環境の3種類に分類している。
もし、温湿度情報がNN環境であれば、基準閾値枚数の環境と同じなので、補正枚数は0枚である。
しかし、LL環境であると、周囲との温度差が大きく熱が逃げやすいので、非通紙領域における放熱量も大きくなる。これにより非通紙領域温度Tpの昇温速度もNN環境時よりは低下するので、閾値枚数を増加するように補正を行う。
反対に、HH環境であると、熱が逃げにくく非通紙領域温度Tpの昇温速度がNN環境時よりも増大するので、閾値枚数を減ずる補正を行う。
なお、本例では、温度と温湿の2つの環境情報に基づき補正テーブルH1が作成されているが、キュリー温度到達直前の判定のためには温度情報がより重要であり、また、日本の気候では温度と湿度がある程度の関連性を有しているので、湿度情報を省略して温度情報と補正枚数の対応関係を示すテーブルを作成し、ステップS61では温度情報のみ取得して、当該テーブルを参照するようにしてもよい。
次に、現在の印刷ジョブが、ウォームアップ直後になされたか否かを判定する(ステップS63)。
もし、ウォームアップ直後になされるものであれば(ステップS63:YES)、ウォームアップ開始時における通紙領域温度Tsを取得する(ステップS64)。
本変形例では、ウォームアップ開始時に中央サーミスター180の出力を取得してRAM604に記憶するように構成されており、ステップS64では、このRAM604の記憶されている内容を参照して当該ウォームアップ開始時における通紙領域温度Tsを取得する。
そして、図22に示す補正テーブルH2を参照して閾値枚数を補正する(ステップS65)。
図22に示すようにこの補正テーブルH2は、ウォームアップ開始温度の範囲ごとに、各記録シートサイズや紙種に応じた閾値枚数を補正するように構成されている。
まず、ウォームアップ開始温度が、16〜30℃の範囲の場合は、基本閾値の取得条件と同じなので、補正の必要はなく、補正枚数は「0」枚である。
ウォームアップ開始温度がこれよりも下がっていると、前回のプリント動作から長時間経過して、非通紙領域温度Tpと通紙領域温度Tsの温度が共に低く両者の温度差もないと考えられ、この場合は、プリント開始後非通紙領域温度Tpがキュリー温度に上昇するまでの時間が長くかかると思われるので、閾値枚数をそれぞれ増加する補正がなされる。
一方、ウォームアップ開始温度が、31℃以上の場合には、その温度が高いほど前回の印刷ジョブ終了後、あまり時間が経過していないと考えられる。この場合には非通紙領域温度Tpと通紙領域温度Tsとの温度差がまだ解消されずに残っており、そのまま通紙領域温度が定着温度に到達するようにウォームアップして印刷ジョブを実行すると非通紙領域温度Tpがすぐにキュリー温度に到達すると考えられるため、同テーブルではウォームアップ開始時の温度が31℃よりも高くなるほど、閾値枚数が少なくなるように補正するよう構成されている。
ステップS63において、ウォームアップ直後の印刷ジョブの実行ではないと判定された場合には、それまでスタンバイ状態であったと判断し、当該スタンバイ状態であった時間(以下、「スタンバイ時間」という。)を取得する。
既述のようにスタンバイとは、印刷ジョブ終了後、次の印刷ジョブを受け付けると短時間で実行できるように定着ベルト155を目標定着温度よりも若干低い温度(例えば150℃)に維持する制御モードを意味する。
本変形例では、スタンバイ開始時にCPU61の内部カウンタによりクロックをカウントして計時し、当該カウント値をRAM604に記憶するように構成されており、ステップS66では、制御部60は、このRAM604の記憶されている内容を参照してスタンバイ時間を取得する。
そして、取得したスタンバイ時間に基づき、図23に示される補正テーブルH3を参照して、閾値枚数を補正する(ステップS67)。
図23に示すように補正テーブルH3は、スタンバイ時間が短いほど、前回の印刷ジョブ実行時に生じた通紙領域と非通紙領域の温度差が残っているため、それだけ非通紙領域温度Tpが早くにキュリー温度に到達すると考えられ、これに備えて予め基準閾値枚数から大きな枚数を減ずるように作成されている。
このようにして、基準閾値枚数の補正処理を実行した後、図24のフローチャートにリターンし、ステップS54において現在実行されている印刷ジョブの連続プリント枚数が上記補正後の閾値枚数以上になったか否かを判定する。
この場合、連続プリント枚数は、例えば、定着装置5の出口側に配置されたジャム検出用センサ(不図示)により、通過する記録シートの後端を検出し、その検出信号をプリント開示から制御部60でカウントすることにより得られる。
そして、連続プリント枚数が、補正後の閾値枚数以上になれば(ステップS54:YES)、キュリー温度到達直前と判断し、F1=1に設定する(ステップS55)。
反対に、連続プリント枚数が、補正後の閾値枚数未満であれば(ステップS54:NO
)、キュリー温度到達直前には達していないと判断し、F1=0に設定する(ステップS55)。
上記処理が終了すると、図10のフローチャートにリターンし、ステップS9により上記フラグを判定して、F=1であれば(ステップS9:YES)、固定制御周波数に基づく制御に切り換える(ステップS10)。
なお、本変形例において、プリント枚数を記録シートの後端がニップ部を抜けるタイミングでカウントアップするようにしておけば、連続プリント枚数が補正後の閾値枚数になった時点(ステップS54でYES)では、記録シートがニップ部に介在していないので、即座にステップS10(図10)を実行することにより、次の記録シートの先端がニップ部に到達するまでにフィードバック制御から固定周波数制御へ切り換えることが可能である。
図9でも示したように、フィードバック制御時の制御周波数から固定制御周波数に移行するには所定の移行時間が必要であり、励磁コイルのリアクトル値の変化による出力変化に完全に一致させて相殺することは難しく、符号Jで示す部分のように電力変動が少なからず生じる。これにより図8の温度変化曲線の符号Gで示すように若干目標定着温度よりも高くなる部分が生じる。この温度変化量は、従来の温調制御におけるキュリー温度到達時の温度変化量(図8の符号Eの部分)よりも変動量は少なく、しかも温度が高くなる方向への変動なので定着不良は生じない。また、その温度差により光沢ムラが発生したとしても許容範囲内であると考えられる。
しかし、例えば、精密なカラー画像を再現するような場合に、より画質を向上させるためには、1枚の記録シートを定着する際にできるだけ温度ムラが生じない方が望ましい。
上記のように記録シートの紙間で固定周波数制御に切り換えることにより、当該温度変化が生じても記録シートのトナー像の定着に一切影響しないようにすることができる。
また、本変形例においては連続プリント枚数に基づき、キュリー温度到達直前を判定するようにしたが、記録シートのサイズごとに1枚のプリント時間が分かっているので、連続プリント枚数に代えて、各サイズごとに連続プリント時間の閾値時間が設定され、この閾値に基づいて、キュリー温度到達直前の判定を行うようにしてもよい。
本発明では、この連続プリント枚数と連続プリント時間を含む上位概念として連続画像形成枚数を指標する指標値として定義され得る。
また、上記では記録シートのサイズと普通紙か厚紙の種類に応じて、閾値枚数を決定しているが、機種によっては厚紙を使用できないものや、一定のサイズの記録シートしか使用できないものもあり得るので、必ずしもそれらの全ての分類に応じて、閾値枚数を設定する必要はない。
なお、上記の制御を定着装置5のみの制御として捉えれば、印刷ジョブやプリント枚数は、それぞれ定着ジョブ、およびニップ部の通紙枚数と置き換えることができる。
(2)その他の変形例
(2−1)上記第3変形例では、記録シートが定着装置5のニップ部に介在しないときに固定周波数への切り換えが実施できる旨説明した。
しかし、その他の実施の形態では、キュリー温度到達直前と判定されたときにおける記録シートの位置は不確定である。
そこで、本変形例では、上記第3の変形例以外でも、定着装置5のニップ部に記録シートが介在しないとき、すなわち、連続して搬送される先の記録シートの後端がニップ部を抜けて、続く記録シートの先端がニップ部到達するまでの間(紙間)に、上記固定制御周波数に切り換えられるようにしている。
図26は、本変形例における温調処理の制御内容を示すフローチャートの一部であり、主に図10のフローチャートと異なる部分について示している。
本変形例では、まず、ステップS8のキュリー温度到達直前判定処理の前に、給紙タイミング制御処理(ステップS71)を実行している点に特徴がある。
図27は、当該給紙タイミング制御処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートであって、ここでは、便宜上、キュリー温度到達直前の判定が、非通紙領域温度Tpに基づき実行される構成(図11参照)を前提として示されている。
まず、端部サーミスター181の出力を参照して、非通紙領域温度Tpが、所定の温度(本変形例では200℃とする。)以上になったか否かを判定する(ステップS711)。
この所定温度は、キュリー温度到達直前判定のための閾値温度(220℃)よりも低い温度であって、当該閾値温度に到達するよりも所定時間tcだけ早い時刻における非通紙領域温度Tpの温度が設定される。
この所定時間tcは、少なくとも画像プロセス部3において次の画像形成動作が開始される時点(本実施の形態では、一番上流側の作像部3Y(図1)の感光体ドラム31Yへの露光走査の開始時)から、当該画像が転写された記録シートが定着装置5のニップ部を抜けるまでに要する時間よりも大きいことが望ましい。
図8に示すように非通紙領域温度Tpの変化特性は予め求められるので、当該所定時間tcだけ早いときの非通紙領域温度Tpの温度を求めることができ、その値がROM603内に格納されている。
ステップS711で、非通紙領域温度Tpが当該所定温度(200℃になったと判定されたら(ステップS711:YES)、後にキュリー温度到達直前と判定される時点において、ニップ部に記録シートが介在すると予測されるか否かを判定する(ステップS712)。
記録シートは、タイミングローラー44でタイミングを取りながら規則正しい間隔をおいて給紙されるので、前回のタイミングローラー44による給紙のタイミングに基づき、所定時間tc経過後において給紙されるべき記録シート先端の位置を計算により求めることができる。当該記録シートの先端の位置と記録シートの搬送方向における長さの情報(印刷条件から取得)により、当該記録シートが、非通紙領域温度Tpのキュリー温度到達直前の時点で定着装置5のニップ部に介在しているか判定することができる。
もし、キュリー温度到達直前と判定される時点において、ニップ部に記録シートが介在すると予測された場合には(ステップS712:YES)、給紙タイミングを遅延させる制御を実行する(ステップS713)。
すなわち、上述のようにキュリー温度到達直前における時点で給紙されている記録シートの先端の位置がわかるので、その記録シートの先端が、少なくとも固定周波数制御に切り換える際には、定着装置5のニップ部に突入しないだけの時間、当該給紙のタイミングが遅れるように、画像プロセス部3における各感光体ドラムへの露光部による書き込みのタイミングとタイミングローラー44の駆動のタイミングを遅延させる制御を実行し、図26のフローチャートにリターンし、ステップS8のキュリー温度到達直前判定処理を実行する。
そして、ステップS9において上記キュリー温度到達直前判定処理において設定されたフラグを判定し、F=1でない場合には(ステップS9:NO)、まだ、キュリー温度到達直前ではないので、ステップS3に戻って、フィードバック制御を繰り返す。
ステップS9において、F=1である場合には(ステップS9:YES)、キュリー温度到達直前であると判断して、制御部60は、制御周波数を所定の固定制御周波数に切り換えるようCPU1911に指示する。CPU1911は当該指示に従いフィードバック制御を停止して、固定制御周波数によりスイッチング素子192を制御する(ステップS10)。
この際、上記給紙タイミングを遅延させるための制御により、記録シートは定着装置5のニップ部に介在していないので、フィードバック制御から固定制御周波数に変換する際にたとえ多少の電力ムラが生じたとしても、記録シートの再現画像に光沢ムラが生じるおそれはない。
その後、励磁コイル173への供給電力が所期の設定電力範囲内になっているか否かを判定し(ステップS11)、所定の範囲内であると判定されると(ステップS11:YES)、次に、定着装置5のニップ部に記録シートが介在するか否かを判定する(ステップS72)。
この判定は、上記ステップS72での判定と同じようにして行うことができる。また、定着装置5のニップ部のシート搬送方向上流側の適当な位置に通紙センサーを設置し(既存のジャムセンサーを利用してもよい。)、この当該通紙センサーにより記録シートの後端が検出されてからニップ部を抜ける時間taと、設計により決められた紙間距離を記録シートの搬送速度で除したときの時間tbを予め求めてROM603に格納しておく。そして、現在の時刻が、先の記録シートの後端を検出した時刻T1に時間taを加えた時刻から時間tb経過するまでの間であれば、記録シートがニップ部に介在していないと判定するようにしてもよい。
記録シートがニップ部に介在していないと判定された場合には(ステップS72:YES)、ステップS12以降のフィードバック制御を実行する。
もし、ステップS72において、記録シートがニップ部に介在していると判定された場合には(ステップS72:NO)、フィードバック制御へ復帰するのを禁止し、介在中の記録シートの通過を待って、ステップS12以降のフィードバック制御に復帰する。
上記のように本変形例では、固定周波数制御に切り換える際に、記録シートがニップ部に介在しないように画像形成動作を遅延させて給紙タイミングを制御しているので、当該制御切り換えに際し、仮に励磁コイル173に供給する電力に多少変動が生じたとしても、トナー画像の定着に全く影響を与えない。
また、固定周波数制御からフィードバック制御への復帰も、必ず記録シートがニップ部に介在していないときに行っているので、この場合でも当該制御切り換えに際し、励磁コイル173に供給する電力に多少変動が生じたとしてもトナー画像の定着に全く影響を与えない。
(2−2)上記実施の形態や変形例で示した各テーブルの値は、あくまでも本実施の形態における一例として示したものであり、適用する装置の仕様などにより、適宜変更されるべきものである。
また、対応関係を示すテーブルの代わりに、対応関係を示す関係式を記憶してこれに基づき、制御周波数や各種の閾値などの各種制御用パラメータを取得するようにしてもよい。
(2−3)上記実施の形態においては、IH電源190から励磁コイル173に供給する電力を制御するためのパラメータとして制御周波数が使用されているが、これに限らない。他のパラメータにより電力制御される回路構成もあり得るからである。
(2−4)また、定着装置5において、定着ベルト155を押圧してニップ部を形成する押圧部材は、加圧ローラーに限らず、長尺のパッド状のものであっても構わない。
定着部材の温度を検出する手段は、サーミスターに限定されないのはいうまでもなく、例えば、赤外線センサーなどであっても構わない。
さらに、当該定着装置5が適用される画像形成装置の例として、タンデム型のカラープリンターについて説明したが、上述のように電磁誘導方式であって、整磁合金を利用して非通紙領域における過昇温を防止する構成を有する定着装置を備えた画像形成装置であれば、モノクロのプリンターであってもよく、もちろん複写機、ファクシミリ装置、複合機などであっても適用できる。
上記実施の形態および各変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
本発明は、電磁誘導方式の定着装置を備える画像形成装置における定着ムラや光沢ムラの発生を防止する技術として好適である。
1 プリンター
3 画像プロセス部
4 給紙部
5 定着装置
60 制御部
150 定着ローラー
155 定着ベルト
160 加圧ローラー
170 磁束発生部
173 励磁コイル
180 中央サーミスター(通紙領域温度検出手段)
181 端部サーミスター(非通紙領域温度検出手段)
182 温湿度センサー
190 IH電源(電力供給手段)
191 周波数制御部
196 電圧検知部
197 電流検知部
606 印刷条件記憶部
607 目標供給電力テーブル記憶部
608 固定制御周波数テーブル記憶部
1911 CPU
1912 制御周波数テーブル記憶部

Claims (15)

  1. 励磁コイルにより電磁誘導されて発熱する定着部材の表面に押圧部材を押圧してニップ部を形成し当該ニップ部に通紙された記録シート上の未定着画像を熱定着すると共に、キュリー温度が目標定着温度よりも所定温度だけ高く設定されている整磁合金層を用いて定着部材の非通紙領域における昇温を抑制する構成を有する定着装置であって、
    前記定着部材における記録シートの通紙領域の温度を検出する通紙領域温度検出手段と、
    前記定着部材の非通紙領域の温度が、キュリー温度に到達する直前であるか否かを判定する判定手段と、
    前記励磁コイルに供給する電力を制御するためのパラメータを決定する電力制御手段と、
    前記決定されたパラメータに従って前記励磁コイルに電力を供給する電力供給手段と、
    を備え、
    前記電力制御手段は、
    前記判定手段により非通紙領域の温度がキュリー温度到達直前であると判定されるまでは、前記通紙領域温度検出手段による検出結果に基づいて前記励磁コイルに供給すべき目標供給電力を決定し、パラメータを調整して励磁コイルに供給する電力が前記目標供給電力に維持されるようにフィードバック制御する第1の制御を実行し、
    前記判定手段により非通紙領域の温度がキュリー温度到達直前であると判定されたときに、前記パラメータを当該キュリー温度到達直前の供給電力とキュリー温度到達後の供給電力との差分が許容範囲内となるように予め設定されている固定のパラメータに切り換えて励磁コイルに供給する電力を制御する第2の制御を実行する
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 定着部材の非通紙領域の温度を検出する非通紙領域温度検出手段を備え、
    前記判定手段は、前記非通紙領域温度検出手段による検出結果に基づき、キュリー温度到達直前であるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記判定手段は、前記第1の制御において励磁コイルに供給する電力をフィードバック制御する際のパラメータの変化に基づき、非通紙領域がキュリー温度到達直前であるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  4. 前記電力供給手段は、LC共振回路と、このLC共振回路への電流供給をオン・オフするスイッチング素子を含むと共に、前記パラメータは、前記スイッチング素子をオン・オフ制御する制御周波数であって、
    前記判定手段は、前記第1の制御における前記LC共振回路の共振時間の変化もしくはスイッチング素子がオフとなっている時間の変化に基づき、非通紙領域がキュリー温度到達直前であるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  5. 前記判定手段は、実行中の定着ジョブにおける連続通紙枚数を指標する値が、記録シートの種類に応じて予め設定された閾値に到達するとキュリー温度到達直前であると判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  6. 前記記録シートの種類は、記録シートのサイズおよび記録シートの厚みのうち少なくとも一方を含む
    ことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記予め設定された閾値は、周囲の温度および湿度のうち少なくとも温度に関する情報に基づき補正される
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の定着装置。
  8. 前記定着ジョブが、ウォームアップ完了後に実行されるジョブである場合に、
    前記予め設定された閾値は、ウォームアップ開始時の定着部材の通紙領域の温度に基づき補正される
    ことを特徴とする請求項5から7までのいずれかに記載の定着装置。
  9. 前記定着ジョブが、スタンバイ状態を解除した後に実行されるジョブである場合に、
    前記予め設定された閾値は、当該スタンバイ状態であった時間に基づき補正される
    ことを特徴とする請求項5から7までのいずれかに記載の定着装置。
  10. 前記電力制御手段における第1の制御から第2の制御への切り換えは、閾値に等しい通紙枚数に該当する記録シートの後端が前記定着装置のニップ部を通過してから、次の記録シートの先端が前記ニップ部に到達するまでの間に実行される
    ことを特徴とする請求項5から9までのいずれかに記載の定着装置。
  11. 前記電力制御手段は、
    前記第1の制御から第2の制御に切り換えた後、所定時間経過すると第1の制御に復帰する
    ことを特徴とする請求項1から10までのいずれかに記載の定着装置。
  12. 前記電力制御手段は、
    前記第1の制御から第2の制御に切り換えた後に励磁コイルに供給されている電力と、前記第1の制御から第2の制御に切り換える前に励磁コイルに供給されている電力との差が、一定の範囲内となった後に第1の制御に復帰する
    ことを特徴とする請求項1から10までのいずれかに記載の定着装置。
  13. 前記ニップ部に記録シートが介在しているか否かを判定するシート介在判定手段と、
    前記ニップ部に記録シートが介在しているときは、前記電力制御手段が前記第2の制御から第1の制御へ復帰するのを禁止し、前記ニップ部に記録シートが介在しなくなったときに前記禁止を解除する復帰禁止手段と
    を備えることを特徴とする請求項11または12に記載の定着装置。
  14. 請求項1から13までのいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  15. 定着部材の非通紙領域の温度が、キュリー温度に到達する直前となる時期を予測する予測手段と、
    記録シートを給紙する給紙手段と、
    給紙された記録シートにトナー像を形成する画像形成手段と、
    前記給紙手段による記録シートの給紙動作と、前記画像形成手段によるトナー像形成動作とを制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記予測された時期に、記録シートが定着装置のニップ部に介在しないように前記給紙動作とトナー像形成動作とを制御する
    ことを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
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