JP2014101546A - 脱銅電解液からの脱ニッケル方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銅の電解精製に用いられる電解液から含有される銅を除去して得られた脱銅電解液を濃縮槽10で濃縮して粗硫酸ニッケルを析出させ、得られたスラリーを濃縮槽10から排出して固液分離することで粗硫酸ニッケルを回収する方法であって、濃縮槽10への脱銅電解液の供給量を間欠的に増加させることにより、濃縮槽10内のスラリーを撹拌しつつ排出する。濃縮槽10の底に堆積した濃縮された脱銅電解液を効率よく排出できる。
【選択図】図1
Description
また、濃縮が不十分であることから粗硫酸ニッケル結晶の粒度が小さくなる。粒度の小さい粗硫酸ニッケル結晶は濾過機において濾布の目に詰まりやすく、濾過性能を低下させ、操業効率を低下させるという問題を生じる。また、粗硫酸ニッケル結晶が濾布を通り抜けて回収されず、脱銅電解液からニッケルの除去が十分に行われずに、電解液中のニッケル濃度が上昇するという問題がある。
電気蒸発槽10に撹拌機を設ければよいとも考えられるが、黒鉛電極棒13が邪魔となり効果的に撹拌できないばかりか、黒鉛電極棒13と接触し、短絡や漏電など恐れがあるため、現実的ではない。
第2発明の脱銅電解液からの脱ニッケル方法は、第1発明において、前記濃縮槽への前記脱銅電解液の供給量を増加させている期間おいて、前記スラリーを固液分離して得られた濾液を前記濃縮槽へ繰り返すことを特徴とする。
第3発明の脱銅電解液からの脱ニッケル方法は、第1または第2発明において、前記濃縮槽は、黒鉛電極棒が挿入され、側壁に排出口が設けられた電気蒸発槽であり、前記スラリーは、オーバーフローにより前記排出口から排出されることを特徴とする。
第2発明によれば、濾液を濃縮槽へ繰り返すので、粒度が小さい粗硫酸ニッケルが系外に払い出されることがなく、濃縮槽において再び粒度が大きくなるまで析出させることができる。そのため、脱銅電解液からニッケルの除去を十分に行うことができる。
第3発明によれば、濃縮槽への脱銅電解液の供給量を増加させると液面が上昇し、それによりスラリーがオーバーフローして排出口から排出できる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る脱ニッケル方法は、銅の電解精製に用いられる電解液の浄液工程の一部であり、図1に示す設備で行われる。
図1において、符号10は電気蒸発槽であり、電解液から含有される銅を除去して得られた脱銅電解液が供給される。より詳細には、銅の電解精製の電解槽から排出された電解液を真空蒸発して濃縮し急冷することで過飽和となった銅を粗硫酸銅として析出させて除去し、ついで脱銅電解により残留した銅、ヒ素、ビスマス、アンチモンをカソード上に析出または脱銅スライムとして除去し、得られた脱銅電解液が電気蒸発槽10に供給される。なお、脱銅電解液は、予め約50〜90℃に予熱した後に、電気蒸発槽10に供給することが好ましい。
なお、電気蒸発槽10内で粗硫酸ニッケルの結晶が析出するため、電気蒸発槽10から排出されたスラリーを直接濾過機30に送って固液分離してもよい。ただし、スラリーを冷却結晶槽20で冷却したほうが、溶解度差が顕著となり粗硫酸ニッケルの結晶の析出が促進されるため好ましい。
前述のごとく、電気蒸発槽10において脱銅電解液の濃縮が進むと、対流が起こりにくくなり、液面付近に比べて底の方が高濃度となる。そして、高濃度のスラリーは比重差により電気蒸発槽10の底に堆積して泥層を形成し、排出口14から排出され難くなる。
そのため、供給量を増加させる周期を1時間周期から15分周期とし、1時間周期の場合は供給量を増加させる時間を1回当たり10分間とし、15分周期の場合は供給量を増加させる時間を1回当たり1分間とすることが好ましい。
そのため、脱銅電解液の流量は、平均流量の2〜5倍に増加させることが好ましい。
また、粒度の大きい粗硫酸ニッケル結晶が排出されるため、濾過機30の濾布が目詰りすることを抑制でき、濾過性能を維持でき、操業効率が向上する。濾布を通り抜ける粗硫酸ニッケル結晶が少なくなることから、脱銅電解液からニッケルの除去を十分に行うことができる。
本発明の第2実施形態に係る脱ニッケル方法は、図2に示す設備で行われる。
本実施形態の設備は、第1実施形態における設備において、レシーバタンク50と電気蒸発槽10とが配管で接続されており、濾過機30から排出された濾液を電気蒸発槽10に繰り返すことができるように構成されている。
そこで、本実施形態では、電気蒸発槽10への脱銅電解液の供給量を増加させている期間おいて、濾過機30のから排出された濾液を電気蒸発槽10へ繰り返すようにする。
(実施例と比較例の共通の条件)
上記第1実施形態に係る脱ニッケル方法で、脱銅電解液から粗硫酸ニッケルを回収した。電気蒸発槽10に供給した脱銅電解液の組成は、銅濃度が0.05g/L以下、ヒ素濃度が1.0g/L以下、ニッケル濃度が30g/Lである。脱銅電解液を90℃に予熱した後に、電気蒸発槽10に供給した。電気蒸発槽10における加熱温度は160℃とした。
脱銅電解液の電気蒸発槽10への流量を1時間周期で10分間増加させた。より詳細には、1時間周期のうちの50分間は流量を5L/分とし、残りの10分間は流量を77L/分とした。すなわち、脱銅電解液の電気蒸発槽10への平均流量は17.0L/分であり、1時間周期のうちの50分間は平均流量の0.3倍とし、残りの10分間は平均流量の4.5倍とした。
濾過機30から排出された粗硫酸ニッケルを収容する容器40を2つ用意しておき、脱銅電解液の流量を減少させた場合(5L/分)と、増加させた場合(77L/分)とで、2つの容器40を入れ替えた。24時間の操業の後、2つの容器40の重量を測定することで、それぞれの期間に排出された粗硫酸ニッケルの重量を測定した。
脱銅電解液の電気蒸発槽10への流量を17.0L/分の一定とした。
濾過機30から排出された粗硫酸ニッケルを収容する容器40を2つ用意しておき、30分毎に2つの容器40を入れ替えた。24時間の操業の後、2つの容器40の重量を測定することで、それぞれの期間に排出された粗硫酸ニッケルの重量を測定した。
表1から、粗硫酸ニッケルの回収率(粗硫酸ニッケルの排出量を脱銅電解液の供給量で除算した値)は、比較例を100%をすると、実施例は113%であり、13%向上することが分かった。このことから、本発明によれば、粗硫酸ニッケルの回収率が向上することが確認された。
20 冷却結晶槽
30 濾過機
40 容器
50 レシーバタンク
Claims (3)
- 銅の電解精製に用いられる電解液から含有される銅を除去して得られた脱銅電解液を濃縮槽で濃縮して粗硫酸ニッケルを析出させ、得られたスラリーを該濃縮槽から排出して固液分離することで粗硫酸ニッケルを回収する方法であって、
前記濃縮槽への前記脱銅電解液の供給量を間欠的に増加させることにより、該濃縮槽内のスラリーを撹拌しつつ排出する
ことを特徴とする脱銅電解液からの脱ニッケル方法。 - 前記濃縮槽への前記脱銅電解液の供給量を増加させている期間おいて、前記スラリーを固液分離して得られた濾液を前記濃縮槽へ繰り返す
ことを特徴とする請求項1記載の脱銅電解液からの脱ニッケル方法。 - 前記濃縮槽は、黒鉛電極棒が挿入され、側壁に排出口が設けられた電気蒸発槽であり、
前記スラリーは、オーバーフローにより前記排出口から排出される
ことを特徴とする請求項1または2記載の脱銅電解液からの脱ニッケル方法。
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