JP5822959B2 - 脱銅電解液からの粗硫酸ニッケル回収方法及び粗硫酸ニッケル回収システム - Google Patents

脱銅電解液からの粗硫酸ニッケル回収方法及び粗硫酸ニッケル回収システム Download PDF

Info

Publication number
JP5822959B2
JP5822959B2 JP2014018868A JP2014018868A JP5822959B2 JP 5822959 B2 JP5822959 B2 JP 5822959B2 JP 2014018868 A JP2014018868 A JP 2014018868A JP 2014018868 A JP2014018868 A JP 2014018868A JP 5822959 B2 JP5822959 B2 JP 5822959B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nickel sulfate
crude nickel
copper
electrolyte
vacuum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014018868A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014159633A (ja
Inventor
橋本 守友
守友 橋本
誠 成田
誠 成田
服部 剛
剛 服部
幸司 西田
幸司 西田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pan Pacific Copper Co Ltd
Original Assignee
Pan Pacific Copper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Pan Pacific Copper Co Ltd filed Critical Pan Pacific Copper Co Ltd
Priority to JP2014018868A priority Critical patent/JP5822959B2/ja
Publication of JP2014159633A publication Critical patent/JP2014159633A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5822959B2 publication Critical patent/JP5822959B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/10Process efficiency
    • Y02P20/129Energy recovery, e.g. by cogeneration, H2recovery or pressure recovery turbines

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Waste-Gas Treatment And Other Accessory Devices For Furnaces (AREA)

Description

本発明は銅電解液からニッケルを回収する方法及びシステムに関する。より詳細には、本発明は銅電解精製における脱銅電解液からニッケルを粗硫酸ニッケルとして回収する方法及びシステムに関する。
銅電解精製においてアノードとして使用する粗銅には砒素、ビスマス、アンチモン、ニッケル等の不純物が含まれており、これらは電解液中に溶出する。不純物の中でもニッケルは電析電位が銅の電析電位に比べて極端に低いので、電解液中に特に濃縮されやすい。電解液中のニッケル濃度が上昇すると、電解液の液抵抗増加による電圧上昇が起きるため、消費電力の増加によって電気銅の生産コストが増加するという問題がある。また、電解液中のニッケル濃度が上昇しすぎると、銅イオンの溶出を妨害するスライム層がアノード表面に形成され、いわゆる不動態化が起こることが知られている。
そこで、銅電解液からニッケルを回収することで、銅電解液中のニッケル濃度を一定の値以下に維持することが行われている。銅電解液からニッケルを回収する方法としては脱銅後、電解、硫化、溶媒抽出、析出法等で砒素、アンチモン、ビスマスなどの不純物を取り除いた後、ニッケルを硫酸ニッケルの形で結晶析出させる方法が一般的である。このときの硫酸ニッケルは不純物を少量含むので斯界では粗硫酸ニッケルと呼ばれている。
特開2006−283047号公報(特許文献1)では以下のニッケル回収方法が記載されている。銅電解液を加熱濃縮し、その後に冷却することで銅を硫酸銅として取り除く。次に電解採取工程にて銅、砒素、アンチモン、ビスマス等の不純物を陰極側で還元除去する。この電解採取後液を冷却し、溶解度差を利用して液中のニッケルを粗硫酸ニッケルとして晶出させた後、遠心分離することで液中からニッケルを回収する。
特開2003−222408号公報(特許文献2)には、電解採取後液中のNiを析出させる工程として液中燃焼法を使用している。液中燃焼法は被処理液を濃縮し、硫酸濃度を高めることによりNiの溶解度を下げ、溶解度差によりNiを硫酸ニッケルとして晶出させる。液中燃焼後の濃縮液を冷却槽にて冷却することで、粗硫酸ニッケルの晶出を増加させることが可能であることも記載されている。
特開2006−283047号公報 特開2003−222408号公報
特許文献2に記載の方法は、液中燃焼法と冷却法を併用することでNiの晶出効率を高めた方法であり、実用的な手法ではある。しかしながら、液中燃焼装置は燃焼のための燃料を必要とするだけでなく、排ガス処理、蒸気攪拌による内部スケールの除去・バーナーの定期メンテナンスなどを行う必要があることから、費用が割高となり、維持管理も手間がかかる。また、排ガス処理のために設置する電気集塵機・排ガススクラバー等多くの設置スペースが必要である。
Niの回収システムを新設する場合には当初から必要な設置スペースを確保しておくことも可能ではあるが、既存設備に対する処理能力の増強を考える場合には工場内の多くのスペースが埋まってしまっていることから設備はできるだけコンパクトに収めることが必要となる。
そこで、本発明は銅電解液からのニッケル回収を低コスト及び省スペースで行う方法を提供することを主たる課題とする。また、本発明はそのような方法を実施することのできるニッケル回収システムを提供することを別の課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を重ねたところ、真空蒸発装置を利用してニッケルを濃縮することが有効であることを見出した。真空蒸発装置は装置内を大気圧以下にして電解液の沸点を下げながら被処理液を加熱濃縮する装置であり、工場内で発生する廃熱を利用できる点や、真空蒸発で濃縮液と共に得られる凝縮水(弱酸性)を工程水に利用可能(水使用量削減)である点でメリットがある。また、真空蒸発装置はガス処理が不要であるため省スペース化に資する。真空蒸発装置の熱源としては、燃焼ガスを使用することもできるが、銅製錬工場に設置してある自溶炉等から排出される廃蒸気を利用することができるため、液中燃焼法で必要であった燃料も必要なくなる。
上記の知見を基礎として完成した本発明は、一側面において、脱銅電解液を加熱濃縮し、その後冷却することにより粗硫酸ニッケルを析出させ、析出した粗硫酸ニッケルを固液分離することにより、脱銅電解液から粗硫酸ニッケルを回収する方法において、脱銅電解液の加熱濃縮を、真空蒸発缶を直列に複数配列した真空蒸発装置で実施し、前記真空蒸発装置内の脱電解液を、複数の前記真空蒸発缶のうちの第1効用缶で60℃〜80℃、第2効用缶で40℃〜60℃として、加熱濃縮後の脱電解液の濃縮率を3.5倍〜4.5倍とし、粗硫酸ニッケルを回収した後の脱銅電解液を、銅電解工程に送ることを特徴とする粗硫酸ニッケル回収方法である。
本発明に係る粗硫酸ニッケル回収方法は別の一実施形態において、真空蒸発装置の熱源が水蒸気である。
本発明に係る粗硫酸ニッケル回収方法は更に別の一実施形態において、真空蒸発装置の熱源が自溶炉又は転炉から排出される廃熱を利用して生成した水蒸気である。
本発明は、別の一側面において、上記の方法に用いる粗硫酸ニッケル回収システムであって、
・脱銅電解液を加熱濃縮するための真空蒸発缶を直列に複数配列した真空蒸発装置と、
・真空蒸発装置で濃縮された脱銅電解液を冷却して粗硫酸ニッケルを析出させるための冷却槽と、
・冷却槽で析出した粗硫酸ニッケルを脱銅電解液から除去するための固液分離装置と、
を備えた脱銅電解液からの粗硫酸ニッケル回収システムである。
本発明に係る粗硫酸ニッケル回収システムは別の一実施形態において、真空蒸発装置の熱源が水蒸気である。
本発明に係る粗硫酸ニッケル回収システムは更に別の一実施形態において、真空蒸発装置の熱源が自溶炉又は転炉から排出される廃熱を利用して生成した水蒸気である。
本発明によれば、銅電解液からのニッケル回収をこれまでに比べて省スペースで実施することが可能となる。
液中燃焼装置を用いた既存の粗硫酸ニッケル回収設備が存在する場合には、真空蒸発装置を増設することで簡便に電解液からのニッケル回収能力の増強を図ることができる。ニッケル回収能力が強化されると、銅電解における粗銅中のニッケル品位の許容値を上げても電解液中のニッケル濃度を低く維持することが可能となるため、ニッケルの品位が高い鉱石や二次原料を利用することが可能となる。
真空蒸発装置の熱源として水蒸気を利用することで、真空蒸発で濃縮液と共に得られる凝縮水(弱酸性)を工程水として利用可能であるという利点が得られる。特に、銅製錬工場に設置してある自溶炉や転炉から排出される排ガス中の熱を利用して水蒸気を生成することで、液中燃焼法で必要であった燃料も必要なくなり、ニッケル回収のための費用を低減することができる。
本発明に係る粗硫酸ニッケル回収方法の一例を示すフロー図である。
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。脱銅電解液は真空蒸発装置11に導入されると、そこで加熱濃縮を受ける。真空蒸発装置11を出た濃縮脱銅電解液は液中燃焼装置12に入り、更なる濃縮を受ける。次いで、高濃縮された脱銅電解液は冷却槽13に導入されて冷却されることで粗硫酸ニッケルが晶出する。析出した粗硫酸ニッケルはフィルタープレス(固液分離装置)14で分離される。これら一連の工程で脱銅電解液から粗硫酸ニッケルが回収される。
<1.脱銅電解液>
本発明において脱銅電解液とは、銅電解精製工程で使用されて、アノードからの銅イオンや砒素、ビスマス、アンチモン及びニッケル等の不純物の溶出を受けた後の使用済み銅電解液に対して、公知の任意の手段によって少なくとも銅濃度の低減処理を行った後の洗浄後液を指す。脱銅電解液は、銅のみならず、砒素、ビスマス及びアンチモン等の不純物の低減処理も行った後の洗浄後液であるのが、ニッケル回収率の向上の観点で好ましい。
銅電解液中の銅濃度を低減する方法としては、限定的ではないが、例えば加熱濃縮し、その後に冷却することで銅を硫酸銅として取り除く方法や、銅を陰極側に電着させて除去する電解採取法が挙げられる。
銅電解液中の砒素、ビスマス及びアンチモン等の不純物濃度を低減する方法としては、限定的ではないが、例えば砒素、アンチモン、ビスマス等の不純物を陰極側に電着させて除去する電解採取法、イオン交換樹脂やキレート樹脂に通液する方法などが挙げられる。中でも、不純物の除去効率や操業のし易さなどの観点から、電解採取法が好ましい。
典型的には使用済みの銅電解液は、加熱濃縮及び冷却処理によって主に銅が除去された後、電解採取工程によって更に銅及び砒素、アンチモン、ビスマス等の不純物が除去されて、本発明の処理対象である脱銅電解液となる。
銅電解液の洗浄により、銅電解液中の各成分の濃度がどのように推移していくかについて、一例を説明する。銅電解液が銅:45〜50g/L、ニッケル:12〜15g/L、硫酸:170〜200g/L、砒素:7〜10g/L、アンチモン:0.1〜0.3g/L、ビスマス:0.1〜0.3g/Lを含む場合、これを加熱濃縮すると、銅:90〜100g/L、ニッケル:24〜30g/L、硫酸:340〜400g/L、砒素:14〜20g/L、アンチモン:0.2〜0.6g/L、ビスマス:0.2〜0.6g/Lとなる。この濃縮液を10℃まで冷却することにより、硫酸銅が析出する。この硫酸銅は、固液分離した後、別途精製され製品硫酸銅とすることができる。冷却後液は例えば銅:10〜20g/L、ニッケル:24〜30g/L、硫酸:260〜330g/L、砒素:14〜20g/L、アンチモン:0.2〜0.6g/L、ビスマス:0.2〜0.6g/Lである。この液を電解採取工程へ送ることにより、銅、砒素、アンチモン、ビスマスが除去され、電解採取後液(すなわち脱銅電解液)は、例えば銅0.5g/L、ニッケル24〜30g/L、硫酸:280〜350g/L、砒素:3.0〜5.0g/L、アンチモン:00.01〜0.1g/L、ビスマス:0.01〜0.05g/Lである。
<2.真空蒸発装置>
真空蒸発装置11に導入された脱銅電解液は電解液中の水分が蒸発することで濃縮される。
真空蒸発装置11は、装置内を真空ポンプを利用して大気圧以下にして運転する。装置内は、蒸発缶隔壁耐圧・気密性の理由により、0.05〜0.1MPa程度の圧力とするのが好ましく、0.01〜0.05MPa程度の圧力とするのがより好ましい。また、装置内は、真空蒸発装置11の熱源としては、水蒸気、燃焼ガスなどが挙げられるが、廃熱を利用することができれば低ランニングコストで運転できることから、それを利用することが好ましい。例えば、銅製錬工場に設置してある自溶炉や転炉等から排出される廃蒸気を利用することができる。
真空蒸発装置11は、単一の蒸発缶を有する構成としてもよいが、真空蒸発缶を直列に複数配列して、前段で利用した蒸気を後段の蒸発に利用する多重効用式を採用することも出来る。これにより蒸発効率を高めることができる。このとき、蒸発装置11内の電解液は、第1効用缶で60〜80℃、第2効用缶で40〜60℃となり、典型的には第1効用缶で68〜73℃、第2効用缶で43〜48℃とすることができる。
脱銅電解液の加熱濃縮を真空蒸発装置11のみで実施する場合や、前段に液中燃焼装置12を設置する場合には、脱銅電解液の濃縮率は、電解液中のNiが過飽和状態に達し硫酸ニッケルとして晶析する条件とするため、3.5〜4.5倍とするのが好ましく、4倍前後とするのがより好ましい。一方、液中燃焼装置12を後段に設置する場合には、濃縮率が高すぎると液中燃焼装置内で濃縮液の粘性が増加したり、送液配管内のスケール(硫酸ニッケル)が発生したりする。一方、濃縮率が低すぎると、粗硫酸ニッケルの回収量が低下したり、液中燃焼装置の負荷増大となるため、3〜5倍とするのが好ましく、3.5〜4.5倍とすることがより好ましい。ここでの濃縮率は濃縮液中の硫酸濃度を原液の硫酸濃度で除した値で定義される。
<3.液中燃焼装置>
真空蒸発装置11に加えて液中燃焼装置12を前段又は後段に設けることもできる。液中燃焼装置は、脱銅電解液を液中燃焼炎で130〜160℃程度に加熱して蒸発させ、濃縮する。この際にも脱銅電解液中のニッケル分の一部(約75〜85%)が粗硫酸ニッケルとして析出し得る。液中燃焼装置12による脱銅電解液の濃縮率は、高くしようとし過ぎると濃縮缶内により長い時間操業するために缶内の温度上限を超えるなどして設備損傷の恐れがある。一方で、低すぎると粗硫酸ニッケルの析出量が低下して回収効率が低下する。そこで、3〜5倍とするのが好ましく、3.5〜4.5倍とするのがより好ましい。前段の真空蒸発装置11によって脱銅電解液は既に濃縮されているため、液中燃焼装置12ではそれほど高い濃縮率を設定する必要はない。
液中燃焼装置12は真空蒸発装置11の後段に設けるのが好ましい。すなわち、真空蒸発装置11で低濃縮液を製造し、次いで液中燃焼装置12で高濃縮液を製造するという手順が好ましい。これは、真空蒸発装置11は装置内でスケールが発生しやすく、あまり高濃縮された液を好まないからである。
表1に、液中燃焼装置12を単独で使用して脱銅電解液を4倍濃縮した場合A、真空蒸発装置11を単独で使用して脱銅電解液を4倍濃縮した場合B、真空蒸発装置11を前段に設置して2倍濃縮し、液中燃焼装置12を後段に設置して更に2倍濃縮した場合C、液中燃焼装置12を前段に設置して2倍濃縮し、真空蒸発装置11を後段に設置して更に2倍濃縮した場合Dの4パターンについて、利点及び欠点をまとめた。
Figure 0005822959
Aの場合、真空蒸発装置を使用しないことからスケールの問題はないが、燃料費の問題及び設置スペースの問題がある。Bの場合、液中燃焼装置を使用しないことから燃料費やスペースの問題は解決するが、新たにスケールが発生しやすい点や得られる粗硫酸ニッケルが6水和物になる点で改善の余地がある。1水和物は結晶水が少ない為Ni品位が高く物流費を低く抑えることが可能である。その為粗硫酸ニッケルは1水和物で回収することが好ましい。Cの場合、燃料費の問題、スケールの問題、粗硫酸ニッケルの品質の問題、スペースの問題がバランス良く解決される。Dの場合、燃料費やスペースの問題は軽減されるが、新たにスケールが発生しやすい点や得られる粗硫酸ニッケルが6水和物になる点でBと同様に改善の余地がある。
ニッケル回収システムを新設する場合には、必ずしも真空蒸発装置11と液中燃焼装置12を併用する必要はなく、真空蒸発装置11のみで十分であるが、ニッケル回収設備に既に液中燃焼装置12が設置されている場合には、液中燃焼装置12を廃棄して真空蒸発装置11を設置しようとすると逆に設備コストが割高になる。そこで、そのようなケースでは、既存の液中燃焼装置12を利用し、真空蒸発装置11を増設することで容易に処理能力増強を図ることができる。この場合であっても、液中燃焼装置12の負荷を減らしながらトータルのニッケル処理能力は増強することが出来るため、ランニングコスト低減のメリットがある。真空蒸発装置11及び液中燃焼装置12を併用する場合は、各設備のメンテナンス頻度(真空蒸発缶2回/年、液中燃焼缶1回/月)および操業形態の理由により、真空蒸発装置11を前段に設け、液中燃焼装置12を後段に設けることが好ましい。
<4.冷却槽>
冷却槽13では真空蒸発装置11又は存在する場合には液中燃焼装置12から排出された濃縮液を冷却し、濃縮液中の未析出Niを粗硫酸ニッケルとして晶出させる。冷却は例えば冷却槽13をジャケット構造としたり、冷却槽内に蛇管を入れたりして、ジャケットや蛇管に冷媒を通すことにより行うことができる。また、特別な冷媒を使用せずに自然冷却することも可能である。更に、−20℃程度まで冷却する冷凍結晶法を採用することも可能である。濃縮液の冷却効率・冷却操作の簡易性の理由により、蛇管方式が好ましい。
また、冷却槽内における析出物(粗硫酸ニッケル)の沈殿防止の理由により冷却槽13内の濃縮液はインペラなどで攪拌するのが好ましい。また、冷却温度が低すぎると冷却時間増加で回収までの時間増で回収効率低下となり、高すぎると固液分離装置の負荷増大となるので、冷却槽13では濃縮液を約0〜50℃程度、好ましくは15〜30℃に冷却する。
<5.固液分離装置>
析出した粗硫酸ニッケルは固液分離装置14を通って、脱銅電解液から回収される。固液分離の手段としては、沈降分離、遠心分離、濾過(重力濾過、真空濾過、加圧濾過等)が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。回収効率の理由により、濾過の方式が好ましい。ニッケルを回収した後の電解液は、銅電解精製工程に送られ、再利用される。回収した粗硫酸ニッケルは外販可能である。
以下に比較例及び参考例を示すが、これらは本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
(1)脱銅電解液の調製
銅電解精製で使用した後の銅電解液に対して、電解採取を行うことで以下の組成を有する脱銅電解液を得た。
<組成>
銅0.1g/L、ニッケル20g/L、硫酸:200g/L、砒素:4g/L、アンチモン:0.05g/L、ビスマス:0.02g/L
(2)比較例
(1)で得られた脱銅電解液を液中燃焼装置に導入して加熱濃縮した後、冷却槽で冷却して粗硫酸ニッケルを晶出させた。粗硫酸ニッケルは固液分離装置で回収した。
操業条件は以下とした。
ア)脱銅電解液処理量:35m3/日
イ)液中燃焼装置運転条件:
・電解液加熱温度:138〜143℃
・濃縮率:4倍
・燃料消費量:900〜1200L/日(灯油)
ウ)冷却槽
・冷却方式:熱交換式冷却
・冷却温度:30℃
・容量:4m3/槽×3基
エ)固液分離方式:遠心分離
その結果、粗硫酸ニッケルの生産量は80t/月であった。また、ニッケル回収後の脱銅電解液中のニッケル濃度は3g/L程度であった。粉末X線回折法により分析した結果、回収された粗硫酸ニッケルは主として1水和物であった。
(3)参考
比較例のニッケル回収システムに対して、真空蒸発装置を設置することで図1に記載のニッケル回収システムを構築した。(1)で得られた脱銅電解液を二段効用式の真空蒸発装置に導入して加熱濃縮し、その後更に液中燃焼装置に導入して加熱濃縮した後、冷却槽で冷却して粗硫酸ニッケルを晶出させた。粗硫酸ニッケルは固液分離装置で回収した。

操業条件は以下とした。
ア)脱銅電解液処理量:55m3/日
イ1)真空蒸発装置運転条件
・熱源:自溶炉からの廃蒸気
・電解液加熱温度:40〜80℃(第1効用缶約81℃、第2効用缶約67℃)
・装置内圧力:0.1MPa
・濃縮率:2倍
イ2)液中燃焼装置運転条件
・電解液加熱温度:138〜143℃
・濃縮率:2倍
・燃料消費量:900〜1200L/日(灯油)
ウ)冷却槽
・冷却方式:熱交換式冷却
・冷却温度:30℃
・容量:4m3/槽×4基
エ)固液分離方式:加圧ろ過
ニッケル回収後の脱銅電解液中のニッケル濃度は3g/L程度であり、比較例と同程度であったが、脱銅電解液処理量は55m3/日に増え、粗硫酸ニッケルの生産量は120t/月に増加した。比較例に対して1.5倍の生産量となった。液中燃焼装置の負担が軽くなり、燃料原単位も減少した。粉末X線回折法により分析した結果、回収された粗硫酸ニッケルは主として1水和物であった。
11 真空蒸発装置
12 液中燃焼装置
13 冷却槽
14 フィルタープレス(固液分離装置)

Claims (6)

  1. 脱銅電解液を加熱濃縮し、その後冷却することにより粗硫酸ニッケルを析出させ、析出した粗硫酸ニッケルを固液分離することにより、脱銅電解液から粗硫酸ニッケルを回収する方法において、
    脱銅電解液の加熱濃縮を、真空蒸発缶を直列に複数配列した真空蒸発装置で実施し、前記真空蒸発装置内の脱電解液を、複数の前記真空蒸発缶のうちの第1効用缶で60℃〜80℃、第2効用缶で40℃〜60℃として、加熱濃縮後の脱電解液の濃縮率を3.5倍〜4.5倍とし、
    粗硫酸ニッケルを回収した後の脱銅電解液を、銅電解工程に送ることを特徴とする粗硫酸ニッケル回収方法。
  2. 真空蒸発装置の熱源が水蒸気である請求項1に記載の粗硫酸ニッケル回収方法。
  3. 真空蒸発装置の熱源が自溶炉又は転炉から排出される廃熱を利用して生成した水蒸気である請求項に記載の粗硫酸ニッケル回収方法。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の粗硫酸ニッケル回収方法に用いる粗硫酸ニッケル回収システムであって、
    ・脱銅電解液を加熱濃縮するための真空蒸発缶を直列に複数配列した真空蒸発装置と、
    ・真空蒸発装置で濃縮された脱銅電解液を冷却して粗硫酸ニッケルを析出させるための冷却槽と、
    ・冷却槽で析出した粗硫酸ニッケルを脱銅電解液から除去するための固液分離装置と、を備えた脱銅電解液からの粗硫酸ニッケル回収システム。
  5. 真空蒸発装置の熱源が水蒸気である請求項に記載の粗硫酸ニッケル回収システム。
  6. 真空蒸発装置の熱源が自溶炉又は転炉から排出される廃熱を利用して生成した水蒸気である請求項に記載の粗硫酸ニッケル回収システム。
JP2014018868A 2014-02-03 2014-02-03 脱銅電解液からの粗硫酸ニッケル回収方法及び粗硫酸ニッケル回収システム Active JP5822959B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014018868A JP5822959B2 (ja) 2014-02-03 2014-02-03 脱銅電解液からの粗硫酸ニッケル回収方法及び粗硫酸ニッケル回収システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014018868A JP5822959B2 (ja) 2014-02-03 2014-02-03 脱銅電解液からの粗硫酸ニッケル回収方法及び粗硫酸ニッケル回収システム

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010080983A Division JP5642987B2 (ja) 2010-03-31 2010-03-31 銅電解液からのニッケル回収方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014159633A JP2014159633A (ja) 2014-09-04
JP5822959B2 true JP5822959B2 (ja) 2015-11-25

Family

ID=51611504

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014018868A Active JP5822959B2 (ja) 2014-02-03 2014-02-03 脱銅電解液からの粗硫酸ニッケル回収方法及び粗硫酸ニッケル回収システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5822959B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107827168B (zh) * 2017-11-17 2019-03-08 金川集团股份有限公司 一种浓缩铜电解废液结晶生产粗硫酸镍的方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59170286A (ja) * 1983-03-17 1984-09-26 Nippon Mining Co Ltd 銅電解液の処理法
JP2004352521A (ja) * 2003-05-27 2004-12-16 Taiheiyo Cement Corp 重質油燃焼灰の処理方法
JP4606951B2 (ja) * 2005-06-16 2011-01-05 株式会社アステック入江 多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法
JP5066025B2 (ja) * 2007-08-01 2012-11-07 パンパシフィック・カッパー株式会社 硫酸銅の製造方法
JP5176493B2 (ja) * 2007-11-08 2013-04-03 住友金属鉱山株式会社 脱銅電解液からの脱ニッケル方法および装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014159633A (ja) 2014-09-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5642987B2 (ja) 銅電解液からのニッケル回収方法
JP5176493B2 (ja) 脱銅電解液からの脱ニッケル方法および装置
TWI628287B (zh) 高純度錫及其製造方法
JP6307709B2 (ja) インジウム又はインジウム合金の回収方法及び装置
CN102345143B (zh) 一种铜砷镍分离净化铜电解液的方法
CN104894607A (zh) 一种净化废硫酸铜电解液的方法
CN205398770U (zh) 一种铼酸铵提纯结晶系统
JP5831432B2 (ja) 脱銅電解液からの脱ニッケル方法
RU2726618C1 (ru) Способ получения растворов, содержащих никель или кобальт
CN114702188B (zh) 一种高盐固废灰与钢铁厂酸性废水协同处理的方法及处理系统
CN102701263B (zh) 一种含锡铜渣选择性浸出免蒸发制备硫酸铜的方法
CN112662879A (zh) 一种从铜电解废液中提取硫酸镍的高效方法
CN104761444A (zh) 一种从稀土湿法冶炼草沉废水中回收草酸的工艺
JP5822959B2 (ja) 脱銅電解液からの粗硫酸ニッケル回収方法及び粗硫酸ニッケル回収システム
CN105838879B (zh) 从锌冶炼的沉铟后液中去除钙镁的方法和装置
JP2021031345A (ja) バナジウム化合物の製造方法及び製造装置
JP5944666B2 (ja) 高純度マンガンの製造方法
CN104018185A (zh) 一种铜电解液脱除As、Sb、Bi的复合工艺
CN102633293B (zh) 一种多级循环免蒸发硫酸铜精制方法
JP5125509B2 (ja) 高純度苛性カリの製造方法
JP5066025B2 (ja) 硫酸銅の製造方法
JP5925384B2 (ja) 高純度マンガンの製造方法及び高純度マンガン
CN212581986U (zh) 浸出液冷却设备
JP2004124115A (ja) 銅電解液からの銅の回収方法及び浄液方法
JP5993097B2 (ja) 高純度塩化コバルトの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150326

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150407

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150605

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150623

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150821

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150908

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151006

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5822959

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250