JP5795727B2 - インジウム又はインジウム合金の回収方法 - Google Patents
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Description
このスパッタリング法による薄膜形成手段は優れた方法であるが、スパッタリングターゲットを用いて、例えば透明導電性薄膜を形成していくと、該ターゲットは均一に消耗していく訳ではない。
したがって、使用済みのスパッタリングターゲットには多くの非エロージョン部、すなわち未使用のターゲット部分が残存することになり、これらは全てスクラップとなる。また、ITOスパッタリングターゲットの製造時においても、研磨粉、切削粉からスクラップが発生する。
このインジウム回収方法として、従来酸溶解法、イオン交換法、溶媒抽出法などの湿式精製を組み合わせた方法が用いられている。
例えば、ITOスクラップを洗浄及び粉砕後、塩酸に溶解し、溶解液に硫化水素を通して、亜鉛、錫、鉛、銅などの不純物を硫化物として沈殿除去した後、これにアンモニアを加えて中和し、水酸化インジウムとして回収する方法である。
従来、この鋳造スクラップは塩酸溶解、pH調製、亜鉛還元、アノード鋳造という電解精製の工程を踏まなければ処理できず、コスト高になるという問題があった。
特許文献3には、化合物半導体用の原料として使用する高純度インジウムを製造する方法で、インジウム中に存在する正3価のインジウム酸化物を還元して正1価の酸化物に変成する工程、これを蒸発させた後、第2の加熱温度で、残存する不純物を除去する工程からなるインジウムの純化方法が開示されている。
特許文献4には、ITOスクラップからインジウムを回収する方法で、ITOスクラップを750〜1200°Cで還元ガスにより還元して金属インジウムとした後、このインジウムを電解精製する方法が開示されている。
特許文献6には、塩酸濃度が1〜12Nであって、インジウム濃度が20g/L以下のインジウムを含有する塩酸溶液を溶媒和抽出型の抽出剤で抽出し、次にpHが0〜6である希酸で逆抽出し、さらにこれを活性炭処理して油分を除去した後、電解採取するか又は中和して水酸化物とした後、カーボン又は水素で還元するか又は硫酸で溶解し、電解してインジウムを回収する方法が開示されている。
特許文献8には、プラズマ炉を使用し、気体状態のインジウムを凝縮させるスプラッシュコンデンサーを設けた廃棄物からのインジウム回収方法が開示されている。
1)還元炉内で、インジウムを含有する酸化物スクラップを還元し、金属インジウム又はインジウム合金を回収する方法であって、インジウムを含有する酸化物スクラップを還元炉に挿入し、前記還元炉内に還元性ガスを導入すると共に、該還元炉内の還元性ガスの圧力を大気圧以上にし、前記スクラップを加熱して、前記酸化物スクラップを還元することを特徴とする金属インジウム又はインジウム合金の回収方法、を提供する。
2)還元炉内の還元性ガスの圧力を1.1気圧以上にして、前記酸化物又は亜酸化物スクラップを還元することを特徴とする上記1)記載の金属インジウム又はインジウム合金の回収方法
3)還元炉内の還元性ガスの圧力を2気圧以上にして、前記酸化物又は亜酸化物スクラップを還元することを特徴とする上記1)記載の金属インジウム又はインジウム合金の回収方法、を提供する。
4)酸化物又は亜酸化物スクラップの還元の際に発生する蒸気圧の高いインジウム亜酸化物の発生量を5wt%以下とすることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一項に記載の金属インジウム又はインジウム合金の回収方法
5)還元による金属インジウム又はインジウム合金の収率を90%以上とすることを特徴とする上記1)〜4)のいずれか一項に記載の金属インジウム又はインジウム合金の回収方法、を提供する。
この装置は、インジウムを含有する酸化物スクラップを還元する還元炉1、該還元炉に水素ガスを導入する還元ガス導入管2、還元炉1の周囲に配置した加熱装置3、還元炉1の下方に配置した金属回収部4、該金属回収部4と還元炉1の間の、該還元炉1の下部に配置した金属分離板5を有する。
還元炉内で、水素により金属に還元されると同時に溶解する。この場合、重要なことは、還元ガスの圧力を大気圧以上にすることである。
収率の向上は、結果として酸化物又は亜酸化物スクラップの還元の際に発生する蒸気圧の高いインジウム亜酸化物の量を低減することになる。
したがって、蒸気圧の高いインジウム亜酸化物の量を5wt%以下に制御することにより、収率を向上させることができる。
還元することにより得られた金属インジウム又はインジウム含有合金の溶湯は、還元炉1の下部に液体として滴下させ、金属回収部4にて金属インジウム又はインジウム合金の溶湯8として回収する。
還元炉1内の金属インジウム又はインジウム合金の溶湯8は、1回の還元終了後(バッチ式)に、溶湯のまま又は凝固させて取り出すことができる。本願発明は、還元による金属インジウム又はインジウム合金の収率を90%以上とすることができる。
回収した亜酸化物は、乾燥後に、還元炉に導入することができる。そして、回収した亜酸化物を、前記還元炉1に他のスクラップと一緒にして、再還元することができる。
以上による金属インジウムの回収方法は、従来に比べはるかに容易に、しかも安価に回収できるという特徴がある。
本発明の金属インジウム又はインジウムを含有する合金回収の例として、インジウム−錫酸化物(ITO)スパッタリングターゲットの製造時又は使用後に発生する高純度酸化インジウム含有スクラップからインジウムを回収する工程を説明する。
図1に示す装置を使用し、メタル換算で5kgのITOスクラップを、還元炉中に挿入し、還元ガスとして水素を導入して、還元炉内圧力を1.1気圧とし、水素雰囲気中で還元した。1000°Cの還元温度とし、10時間還元した。
還元炉の回収部にインジウム錫合金が4.5kg得られた。この結果、直接回収率を95%とすることができた。なお、亜酸化物の発生量は5wt%であった。このように、簡単な工程でITOスクラップを金属インジウム又はインジウムを含有する合金に還元・回収することができることが分かる。
図1に示す装置を使用し、メタル換算で5kgのITOスクラップを、水素を導入して、還元炉内圧力を2気圧とし、水素雰囲気中で還元した。1000°Cの還元温度とし、8時間還元した。
還元炉の回収部にインジウム錫合金が4.8kg得られた。直接回収率を96%とすることができた。なお、亜酸化物の発生量は4wt%であった。このように、簡単な工程でITOスクラップを金属インジウム又はインジウムを含有する合金に還元・回収することができることが分かる。
図1に示す装置を使用し、メタル換算で5kgのITOスクラップを、水素を導入して、還元炉内圧力を5気圧とし、水素雰囲気中で還元した。1000°Cの還元温度とし、4時間還元した。ルツボの回収部にインジウム錫合金が4.95kg得られた。
この結果、還元炉内圧力を5気圧にすることにより、直接回収率を99%とすることができた。なお、亜酸化物の発生量は1wt%であった。このように、簡単な工程でITOスクラップを金属インジウム又はインジウムを含有する合金に還元・回収することができることが分かる。
図1に示す装置を使用し、メタル換算で5kgのITOスクラップを、水素を導入して、還元炉内圧力を0.7気圧とし、水素雰囲気中で還元した。1000°Cの還元温度とし、10時間還元した。ルツボの回収部にインジウム錫合金が3.5kg得られた。
この結果、直接回収率は70%と低下した。亜酸化物の発生量も30wt%と多くなり、このように、還元炉内の還元ガス圧力の低下は、収率の低下に大きく影響することが分かった。
2:還元性ガス導入管
3:加熱装置
4:金属回収部
5:金属分離板
6:スクラップ(原料)
7:溶滴
8:金属インジウム又はインジウム含有合金の溶湯
9:亜酸化物の蒸気排出用の導管の一端
10:亜酸化物の蒸気排出用の導管
11:冷却槽に浸漬された亜酸化物の蒸気排出用の導管の他端
12:冷却槽
Claims (4)
- 還元炉内で、インジウムを含有する酸化物又は亜酸化物スクラップを還元し、金属インジウム又はインジウム合金を回収する方法であって、インジウムを含有する酸化物スクラップを還元炉に挿入し、前記還元炉内に還元性ガスを導入すると共に、該還元炉内の還元性ガスの圧力を1.1気圧以上にし、前記スクラップを加熱して、前記酸化物スクラップを還元することを特徴とする金属インジウム又はインジウム合金の回収方法。
- 還元炉内の還元性ガスの圧力を2気圧以上にして、前記酸化物又は亜酸化物スクラップを還元することを特徴とする請求項1記載の金属インジウム又はインジウム合金の回収方法。
- 酸化物又は亜酸化物スクラップの還元の際に発生する蒸気圧の高いインジウム亜酸化物の発生量を5wt%以下とすることを特徴とする請求項1又は2記載の金属インジウム又はインジウム合金の回収方法
- 還元による金属インジウム又はインジウム合金の収率を90%以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属インジウム又はインジウム合金の回収方法。
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