JP2014099926A - 定電流生成回路、抵抗回路、集積回路装置及び電子機器 - Google Patents

定電流生成回路、抵抗回路、集積回路装置及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】精度の高い定電流を生成できる定電流生成回路、抵抗回路、集積回路装置及び電子機器等の提供。
【解決手段】定電流生成回路は、第1のトランジスターTA1と、第1のトランジスターTA1とはゲート電極の導電性が異なる第2のトランジスターTA2と、第1のトランジスターTA1と第2のトランジスターTA2との仕事関数差電圧VWDに対応する電圧が印加される第1の抵抗RA1を含む。仕事関数差電圧VWDは負の温度特性を有し、第1の抵抗RA1の抵抗値は負の温度特性を有し、第1の抵抗RA1に流れる電流IA1に対応する定電流IREFを生成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、定電流生成回路、抵抗回路、集積回路装置及び電子機器等に関する。
従来より、アナログ回路の動作に必要な基準電圧を生成する回路として、バンドギャップリファレンス回路と呼ばれる回路が知られている。このバンドギャップリファレンス回路の従来技術としては、例えば特許文献1に開示される技術がある。また、異なるしきい値電圧を有するN型のトランジスターを直列接続して基準電圧を生成する回路の従来技術としては、例えば特許文献2に開示される技術がある。
バンドギャップリファレンス回路を用いて、温度バラツキが少ない定電流を生成するには、例えばIC(集積回路装置)の外付け部品として温度非依存の抵抗を設ける手法や、バンドギャップリファレンス回路をベースとして定電流生成回路を構成する手法が考えられる。
しかしながら、外付け部品の抵抗を用いる手法では、部品数が増加してコスト増を招くという問題がある。またバンドギャップリファレンス回路をベースとした定電流生成回路は、精度はそこそこであるが、回路規模が大きくなるという問題がある。
特開2003−173212号公報 特開昭56−108258号公報
本発明の幾つかの態様によれば、精度の高い定電流を生成できる定電流生成回路、抵抗回路、集積回路装置及び電子機器等を提供できる。
本発明の一態様は、第1のトランジスターと、前記第1のトランジスターとはゲート電極の導電性が異なる第2のトランジスターと、前記第1のトランジスターと前記第2のトランジスターとの仕事関数差電圧に対応する電圧が印加される第1の抵抗とを含み、前記仕事関数差電圧は負の温度特性を有し、前記第1の抵抗の抵抗値は負の温度特性を有し、前記第1の抵抗に流れる電流に対応する定電流を生成する定電流生成回路に関係する。
本発明の一態様では、第1、第2のトランジスターは導電性が異なるゲート電極を有し、これにより仕事関数差電圧が生成される。そして、この仕事関数差電圧に対応する電圧(仕事関数差電圧そのもの或いは仕事関数差電圧を含むオフセット電圧)が第1の抵抗に印加され、第1の抵抗に流れる電流に対応する定電流(第1の抵抗に流れる電流のカレントミラー電流或いは当該電流そのもの)が生成される。この場合に仕事関数差電圧は負の温度特性を有し、第1の抵抗の抵抗値は負の温度特性を有する。従って、温度が上昇して仕事関数差電圧が減少すると、第1の抵抗の抵抗値も減少し、温度が減少して仕事関数差電圧が上昇すると、第1の抵抗の抵抗値も上昇する。従って、第1の抵抗に流れる電流の温度依存性を減少させることができ、精度の高い定電流を生成することが可能になる。
また本発明の一態様では、前記第1のトランジスター、前記第2のトランジスターが第1の差動トランジスター、第2の差動トランジスターとして設けられる差動部と、前記第1の抵抗と、前記第1の抵抗に直列に設けられる駆動トランジスターとを有する出力部とを含み、前記差動部の第1の差動入力端子が、第1の基準電圧に設定され、前記駆動トランジスターと前記第1の抵抗との間の接続ノードの信号が、前記差動部の第2の差動入力端子に帰還され、前記差動部の出力ノードにより前記駆動トランジスターが制御されてもよい。
このようにすれば、駆動トランジスターと第1の抵抗との間の接続ノードの信号が、差動部に帰還されて、駆動トランジスターが制御される。従って、例えば電源電圧変動等があった場合にも、接続ノードの信号による帰還制御が行われるため、定電流のバラツキの低減等を図れる。
また本発明の一態様では、前記差動部は、前記第1のトランジスター及び前記第2のトランジスターと第1の電源ノードとの間に設けられる電流源と、前記第1のトランジスター及び前記第2のトランジスターと第2の電源ノードとの間に設けられるカレントミラー回路を含んでもよい。
このようにすれば、第1、第2のトランジスター、電流源及びカレントミラー回路を有する差動部による帰還制御が可能になる。
また本発明の一態様では、前記電流源は、ゲート電極が第2の基準電圧に設定されるデプレッション型の第3のトランジスターと、前記第3のトランジスターと前記第1の電源ノードとの間に設けられる第2の抵抗を含んでもよい。
このようにすれば、電流源のテール電流生成のための基準電圧を生成する回路を不要にすることができ、電流パスの本数を減らすことが可能になる。
また本発明の一態様では、前記第1のトランジスター及び前記第3のトランジスターは、デプレッション型のN型トランジスターであり、前記第1の基準電圧及び前記第2の基準電圧は、前記第1の電源ノードの電圧であってもよい。
このようにすれば、デプレッション型のN型の第1、第3のトランジスターのゲート電極に第1の電源ノードの電圧を印加することで、これらのトランジスターに電流を流すことが可能になる。
また本発明の一態様では、前記第3のトランジスターのしきい値電圧は負の温度特性を有し、前記第2の抵抗の抵抗値は正の温度特性を有してもよい。
このようにすれば、電流源に流れるテール電流の温度依存性を減少できる。
また本発明の一態様では、前記第1の抵抗は、ポリシリコン層により形成されるポリ抵抗であり、前記第2の抵抗は、Nウェルにより形成されるNウェル抵抗であり、前記Nウェル抵抗である前記第2の抵抗の形成領域上に、前記ポリ抵抗である前記第1の抵抗がレイアウト配置されてもよい。
このようにすれば、1つの領域を用いて、第1の抵抗と第2の抵抗の両方をレイアウト配置できるようになるため、レイアウト効率を向上できる。
また本発明の一態様では、前記第1の抵抗は、温度特性が異なる複数の抵抗素子を含んでもよい。
このようにすれば、第1の抵抗の温度特性として、各抵抗素子の単体では得られない温度特性を得ることが可能になる。
また本発明の一態様では、前記第1の抵抗は、直列接続された複数の抵抗ユニットを含み、前記複数の抵抗ユニットの各抵抗ユニットは、並列接続された抵抗素子及びスイッチ素子を有し、前記各抵抗ユニットのスイッチ素子がオン・オフされることで前記第1の抵抗の抵抗値が可変に設定されてもよい。
このようにすれば、生成される定電流の値を可変に設定したり、定電流値のバラツキ調整等が可能になる。
また本発明の一態様では、前記各抵抗ユニットは、第1の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子とは温度特性が異なる第2の抵抗素子を含み、前記第1の抵抗素子の抵抗値と前記第2の抵抗素子の抵抗値の抵抗比が、前記複数の抵抗ユニットの間で同一比に設定されてもよい。
このようにすれば、定電流値の可変設定やバラツキ調整と定電流値の温度依存性の低減を両立して実現できるようになる。
また本発明の一態様では、第3の抵抗を含み、前記第1の抵抗に流れる電流に対応する電流を前記第3の抵抗に流すことで定電圧を更に生成してもよい。
このようにすれば、定電流生成回路で生成された電流を利用して定電圧を生成することが可能になる。
また本発明の一態様では、前記第3の抵抗は、温度特性が異なる複数の抵抗素子を含んでもよい。
このようにすれば、第3の抵抗の温度特性として、各抵抗素子の単体では得られない温度特性を得ることが可能になる。
また本発明の一態様では、前記第3の抵抗は、直列接続された複数の抵抗ユニットを含み、前記複数の抵抗ユニットの各抵抗ユニットは、並列接続された抵抗素子及びスイッチ素子を有し、前記各抵抗ユニットのスイッチ素子がオン・オフされることで前記第3の抵抗の抵抗値が可変に設定され、生成される定電圧が可変に設定されてもよい。
このようにすれば、生成される定電圧の値を可変に設定したり、定電圧値のバラツキ調整等が可能になる。
また本発明の一態様では、前記各抵抗ユニットは、第1の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子とは温度特性が異なる第2の抵抗素子を含み、前記第1の抵抗素子の抵抗値と前記第2の抵抗素子の抵抗値の抵抗比が、前記複数の抵抗ユニットの間で同一比に設定されてもよい。
このようにすれば、定電圧値の可変設定やバラツキ調整と定電圧値の温度依存性の低減を両立して実現できるようになる。
また本発明の他の態様は、直列接続された複数の抵抗ユニットを含み、前記複数の抵抗ユニットの各抵抗ユニットは、並列接続された抵抗素子及びスイッチ素子を有し、前記各抵抗ユニットのスイッチ素子がオン・オフされることで抵抗値が可変に設定され、前記各抵抗ユニットは、第1の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子とは温度特性が異なる第2の抵抗素子を含み、前記第1の抵抗素子の抵抗値と前記第2の抵抗素子の抵抗値の抵抗比が、前記複数の抵抗ユニットの間で同一比に設定される抵抗回路に関係する。
本発明の他の態様によれば、抵抗回路は、直列接続された複数の抵抗ユニットにより構成される。そして、各抵抗ユニットにおいて抵抗素子と並列接続されたスイッチ素子がオン・オフされることで、抵抗値が可変に設定される。そして各抵抗ユニットは、温度特性が異なる第1、第2の抵抗素子を含み、その抵抗比が、複数の抵抗ユニットの間で同一比に設定される。これにより、抵抗値の可変設定やバラツキ調整と抵抗値の温度依存性の低減を両立して実現できるようになる。
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の定電流生成回路を含む集積回路装置に関係する。
また本発明の他の態様は、上記に記載の抵抗回路を含む集積回路装置に関係する。
また本発明の他の態様は、上記に記載の集積回路装置を含む電子機器に関係する。
本実施形態の定電流生成回路の原理的な構成例。 本実施形態の定電流生成回路の構成例。 本実施形態の定電流生成回路の詳細な構成例。 本実施形態の定電流生成回路に用いられる電流源の構成例を示す図。 仕事関数差電圧の説明図。 抵抗値の温度特性の例。 定電流生成回路の各ノードの温度依存性を示す図。 定電流生成回路の第1の比較例の構成例。 定電流の温度依存性の比較図。 定電流生成回路の第2の比較例の構成例。 図11(A)、図11(B)は定電流の温度依存性の比較図。 図12(A)、図12(B)はテール電流の温度依存性の比較図。 図13(A)、図13(B)はテール電流値のバラツキの比較図。 図14(A)、図14(B)は抵抗のレイアウト配置例。 図15(A)〜図15(C)は異なる温度特性の抵抗素子を用いる手法の説明図。 図16(A)、図16(B)は複数の抵抗ユニットで抵抗を構成する手法の説明図。 本実施形態の変形例の構成例。 集積回路装置の構成例。 電子機器の構成例。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.構成
図1に本実施形態の定電流生成回路(電流生成回路、基準電流生成回路)の原理的な構成例を示す。
本実施形態の定電流生成回路は、第1のトランジスターTA1と第2のトランジスターTA2と抵抗RA1を含む。ここでトランジスターTA2は、トランジスターTA1とはゲート電極の導電性が異なるトランジスターになっている。例えばトランジスターTA1のゲート電極がN型である場合には、トランジスターTA2のゲート電極はP型になる。そしてTA1は例えばデプレッション型のN型トランジスター(NMOSトランジスター)になり、TA2は例えばエンハンスメント型のN型トランジスターになる。例えばトランジスターTA1とTA2は、基板の不純物濃度やチャネルの不純物濃度は同じであるが、ゲート電極の導電性が異なっており、ゲート電極の不純物濃度が異なっている。
具体的には、MOSトランジスターのしきい値電圧は、Vth=φMS−QSS/COX+2φ+Q/COXと表すことができる。ここでφMSは、ゲート電極と基板(Pウェル)の仕事関数差であり、QSSは酸化膜内の固定電荷であり、COXはゲート酸化膜の単位面積当たりの容量であり、φはフェルミ準位であり、Qは空乏層内の電荷である。トランジスターTA1のN型ゲート電極の不純物濃度やトランジスターTA2のP型ゲート電極の不純物濃度の設定により、トランジスターTA1のしきい値電圧は例えば−0.2V〜−0.5V程度に設定でき、トランジスターTA2のしきい値電圧は例えば0.5V〜0.8V程度に設定できる。
そして図1では、トランジスターTA1、TA2の仕事関数差電圧VWD(しきい値電圧差)に対応する電圧(VWDそのもの或いはVWDから得られる電圧)が、第1の抵抗RA1に印加される。例えば抵抗RA1の両端の電圧差がVWDに設定される。そして本実施形態の定電流生成回路は、抵抗RA1に流れる電流IA1に対応する定電流IREF(IA1のカレントミラー電流やIA1そのもの)を生成する。
この場合に仕事関数差電圧VWDは負の温度特性を有し、抵抗RA1の抵抗値は負の温度特性を有する。従って、生成される定電流(基準電流)IREFの温度特性を、フラットな特性に近づけることが可能になる。
例えば温度(環境温度)が高温になると、抵抗RA1に印加される仕事関数差電圧VWDは減少し、抵抗RA1の抵抗値も減少する。従って、高温になっても、抵抗RA1に流れる電流IA1は一定に保たれ、定電流IREFの温度特性をフラットにできる。
また温度が低温になると、抵抗RA1に印加される仕事関数差電圧VWDは増加し、抵抗RA1の抵抗値も増加する。従って、低温になっても、抵抗RA1に流れる電流IA1は一定に保たれ、定電流IREFの温度特性をフラットにできる。
このように本実施形態の定電流生成回路によれば、簡素な構成でフラットな温度特性の定電流を生成できる。
即ち、このような温度補償を行う場合には、正の温度特性を有する回路素子と負の温度特性を有する回路素子を用意し、これらの正の温度特性と負の温度特性の相殺によりフラットな温度特性を得る手法が一般的である。
これに対して本実施形態では、抵抗に流れる電流については、印加電圧の上昇時に抵抗値も上昇させ、印加電圧の減少時に抵抗値も減少させることで、電流値を一定に保つことができる点に着目している。このため本実施形態では図1に示すように、負の温度特性を有する仕事関数差電圧VWDと、同じく負の温度特性を有する抵抗RA1を用意する。そして仕事関数差電圧VWDを抵抗RA1に印加することで定電流を生成する。このようにすれば、あたかも仕事関数差電圧VWDの負の温度特性と抵抗RA1の負の温度特性を相殺させたかのようにして、フラットな温度特性の定電流を得ることが可能になる。
図2に本実施形態の定電流生成回路の詳細な構成例を示す。図2の定電流生成回路は、差動部DFと出力部QBを含む。
差動部DFには、トランジスターTA1とTA2が、第1、第2の差動トランジスターとして設けられる。例えばトランジスターTA1のゲート電極が、差動部DFの非反転入力端子(広義には第1の差動入力端子)になり、トランジスターTA2のゲート電極が、差動部DFの反転入力端子(広義には第2の差動入力端子)になる。
また出力部QBは、抵抗RA1と、抵抗RA1に直列に設けられる駆動トランジスターTDR(PMOSトランジスター)を含む。即ちP型の駆動トランジスターTDRと抵抗RA1はVDDとVSSの間に直列に設けられる。
そして図2では、差動部DFの非反転入力端子(第1の差動入力端子)が、第1の基準電圧VRF1に設定される。また出力部QBの駆動トランジスターTDRと抵抗RA1との間の接続ノードNA4の信号(電圧)が、差動部DFの反転入力端子(第2の差動入力端子)に帰還される。そして差動部DFの出力ノードNA1により駆動トランジスターTDRが制御される。例えば差動部DFの出力ノードNA1により駆動トランジスターTDRのゲート電極を制御することで、抵抗RA1に流れる電流IA1が制御される。
図2の構成によれば、抵抗RA1には、仕事関数差電圧VWDに対応する電圧が印加される。そして仕事関数差電圧VWDは負の温度特性を有し、抵抗RA1の抵抗値も負の温度特性を有するため、抵抗RA1に流れる電流IA1の温度依存性を低減できる。従って、よりフラットな温度特性の定電流IREFの生成が可能になる。
また図2の構成では、ノードNA4の電圧が差動部DFに帰還されて、駆動トランジスターTDRのゲート電極が制御される。従って、例えば電源電圧変動や製造プロセスバラツキ等があった場合にも、ノードNA4の信号による帰還制御が行われることで、定電流IREFのバラツキを低減できる。
なお図2において、差動部DFの非反転入力端子(正極端子)は、その端子電圧が高くなるとノードNA4の電圧が高くなる端子である。また反転入力端子(負極端子)は、その端子電圧が高くなるとノードNA4の電圧が低くなる端子である。
図3に本実施形態の定電流生成回路の更に詳細な構成例を示す。図3では差動部DFが、電流源ISAと、第1、第2の差動トランジスターとなるトランジスターTA1、TA2と、カレントミラー回路を構成するトランジスターTA4、TA5を含む。ここで電流源ISAは、トランジスターTA1、TA2とVSSノード(広義には第1の電源ノード)との間に設けられる。トランジスターTA1、TA2は、そのゲート電極の導電性が異なり、これらのトランジスターTA1、TA2のしきい値電圧の差が仕事関数差電圧VWDになる。P型のトランジスターTA4、TA5により構成されるカレントミラー回路は、トランジスターTA1、TA2とVDDノード(広義には第2の電源ノード)との間に設けられる。
出力部QBは、直列に設けられる駆動トランジスターTDR及び抵抗RA1と、直列に設けられるトランジスターTA6及びTA7を含む。そして駆動トランジスターTDRと抵抗RA1の間の接続ノードNA4の信号が、差動部DFのトランジスターTA2のゲート電極である反転入力端子(第2の差動入力端子)に入力されて帰還される。また差動部DFのトランジスターTA1のゲート電極である非反転入力端子(第1の差動入力端子)には、基準電圧VRF1が設定される。ここで例えばVRF1=VSSである。
また差動部DFのトランジスターTA1とTA4の間の出力ノードNA1の信号により、出力部QBのP型のトランジスターTDR、TA6のゲート電極が制御される。ここでトランジスターTDRとTA6のトランジスター比(W/L)の設定により、抵抗RA1に流れる電流IA1と定電流IREFの電流比が設定される。
そしてN型のトランジスターTA7は、そのゲートとドレインがノードNA5に接続され、ノードNA5からのバイアス電圧VBSが、集積回路装置の各アナログ回路に供給される。各アナログ回路は、このバイアス電圧VBSを用いることで、定電流IREFに対応する定電流を得ることができる。
また図3の回路では、ノードNA4の信号がトランジスターTA2のゲート電極に帰還されている。従って、VRF1=VSS=0Vであるとすると、ノードNA4の電圧が仕事関数差電圧VWDになるように、差動部DFの出力ノードNA1により駆動トランジスターTDRのゲート電極が帰還制御される。従って、電源電圧変動等があった場合にも、精度の高い定電流IREFを生成できる。
図4は、図3の電流源ISAの具体的な構成例を示す図である。図4では、電流源ISAは、第3のトランジスターTA3と第2の抵抗RA2を含む。トランジスターTA3は、そのゲート電極がVSS(広義には第2の基準電圧)に設定されるデプレッション型のトランジスター(NMOSトランジスター)である。抵抗RA2は、トランジスターTA3とVSS(第1の電源ノード)との間に設けられる抵抗である。
例えばトランジスターTA3のしきい値電圧の上昇等によりTA3に流れるテール電流ITLが小さくなると、TA3のソースノードの電圧が低くなる。そしてTA3のソースノードの電圧が低くなると、TA3のゲート・ソース間電圧は大きくなるため、TA3に流れる電流を大きくする方向に働き、これによりTA3に流れるテール電流ITLが一定に保たれる。
一方、トランジスターTA3のしきい値電圧の減少等によりTA3に流れるテール電流ITLが大きくなると、TA3のソースノードの電圧が高くなる。そしてTA3のソースノードの電圧が高くなると、TA3のゲート・ソース間電圧は小さくなるため、TA3に流れるテール電流ITLを小さくする方向に働き、これによりTA3に流れるテール電流ITLが一定に保たれる。
このように図4の構成の電流源ISAでは、自己完結的に電流を生成し電圧を発生する構成になっており、ソースに設けられたソース抵抗RA2により回路的に負帰還がかかる構成になっている。従って、トランジスターTA3や抵抗RA2にバラツキが生じた場合にも、生成されるテール電流ITLのバラツキはTA3やRA2のバラツキよりも小さくなるため、安定したテール電流の生成が可能になる。
また図4では、トランジスターTA1とTA3は、デプレッション型のN型トランジスターとなっている。そして、トランジスターTA1のゲート電極に設定される第1の基準電圧とトランジスターTA3のゲート電極に設定される第2の基準電圧は共に、VSSの電圧(第1の電源ノードの電圧。グラウンド電圧)になっている。即ちTA1とTA3はデプレッション型のN型トランジスターであるため、そのゲート電極にVSSが設定されても電流が流れる。従って、トランジスターTA1とTA3のゲート電極をVSSに設定すれば済み、これらのゲート電極に設定される基準電圧の生成回路を別に用意する必要がないため、電流パスの本数を減らすことができる。即ち基準電圧生成回路の電流パスの分だけ電流パスの本数を減らすことができるため、低消費電力化を図れる。
そして後述するように、トランジスターTA3のしきい値電圧は負の温度特性を有し、抵抗RA2の抵抗値は正の温度特性を有する。例えば抵抗RA2はNウェルにより形成されるNウェル抵抗であり、このNウェル抵抗は正の温度特性を有する。従って、温度が上がると、トランジスターTA3のしきい値電圧が減少する一方で、抵抗RA2の抵抗値は増加するため、電流源ISAに流れるテール電流ITLはほぼ一定に保たれる。また温度が下がると、トランジスターTA3のしきい値電圧が増加する一方で、抵抗RA2の抵抗値は減少するため、電流源ISAに流れるテール電流ITLはほぼ一定に保たれる。従って、テール電流ITLの温度特性をフラットな特性に近づけることが可能になる。
即ち、抵抗RA2により負帰還をかける構成だけでは、温度バラツキまでは低減できないが、トランジスターTA3に負の温度特性を持たせる一方で、抵抗RA2に正の温度特性を持たせることで、温度バラツキの低減についても実現できるようになる。
図5は仕事関数差電圧を説明するためのバンド図である。図5に示すように、非反転入力端子側のトランジスターTA1のN型ゲート電極とPウェルとの仕事関数と、反転入力端子側のトランジスターTA2のP型ゲート電極とPウェルとの仕事関数の差が、仕事関数差電圧VWDになる。
なお、差動部DFの非反転入力端子と反転入力端子の間のオフセット電圧(第1、第2の差動入力端子間のオフセット電圧)は、図5のような仕事関数差電圧以外により設定してもよい。例えばトランジスターTA1(第1の差動トランジスター)のW/L比(電流供給能力)と、トランジスターTA2(第2の差動トランジスター)のW/L比を異ならせてオフセット電圧を設定してもよい。或いは、カレントミラー回路を構成する第1のカレントミラー用トランジスターTA4のW/L比と、カレントミラー回路を構成する第2のカレントミラー用トランジスターTA5のW/L比を異ならせることで、オフセット電圧が設定してもよい。
このように仕事関数差電圧VWDの設定に加えて、差動トランジスターやカレントミラー用トランジスターのW/L比(電流供給能力)も設定すれば、抵抗RA1に印加される電圧の微調整等が可能になる。例えば仕事関数差電圧VWDが0.9V程度であり、抵抗RA1に対して1Vの電圧を印加したい場合には、1.0Vと0.9Vの差分である0.1Vの電圧を、差動トランジスターやカレントミラー用トランジスターのW/L比を異ならせる調整により設定する。こうすることで抵抗RA1の印加電圧を調整して、定電流IREFの調整等を行うことが可能になる。
図6は、各種抵抗素子の抵抗値の温度特性を示す図である。図6において、抵抗素子RMRP、RPP、RNPは、ポリシリコン層で形成されるポリ抵抗である。RMRPは、例えばシート抵抗値が数Kオーム程度のポリ抵抗である。RPPはP型の不純物がドープされたポリ抵抗であり、RNPはN型の不純物がドープされたポリ抵抗である。図6に示すように、これらのポリ抵抗の抵抗値は温度が上昇するにつれて低くなり、負の温度特性を有する。本実施形態では、このように負の温度特性を有するポリ抵抗を、出力部QBの抵抗RA1として用いる。具体的には例えば仕事関数差電圧VWDの温度特性に近い抵抗素子RMRPを抵抗RA1として用いる。
また図6に示すように、仕事関数差電圧VWDも負の温度特性を有する。従って、図1等で説明したように、負の温度特性を有する抵抗RA1に対して、負の温度特性を有する仕事関数差電圧VWDを印加することで、抵抗RA1に流れる電流IA1の温度特性をフラットにできる。具体的には例えば仕事関数差電圧VWDの温度特性に近い温度特性を有する抵抗素子を抵抗RA1として用い、この抵抗RA1に対して、図1〜図4等で説明した回路により仕事関数差電圧VWDを印加する。これにより定電流生成回路により生成される定電流IREFの温度特性もフラットにすることが可能になる。
図7は、図4の定電流生成回路の各ノードNA1、NA2、NA4の電圧レベルの温度特性や、電流IA1の温度特性を示すシミュレーション結果である。
図7に示すように、温度が上昇するとノードNA1の電圧は上昇する。ノードNA1の電圧が上昇すると、NA1の電圧がゲート電極に入力されるP型の駆動トランジスターTDRのドレインのノードNA4の電圧は、図7に示すように減少する。即ち図4の定電流生成回路では、ノードNA4の電圧が仕事関数差電圧VWDに対応する電圧(オフセット電圧)に等しくなるように、フィードバック制御される。そして図6に示すように仕事関数差電圧VWDは負の温度特性を有するため、仕事関数差電圧VWDに対応するノードNA4の電圧は、負の温度特性を有する。即ち、温度が上昇するとノードNA4の電圧は減少する。そして図6に示すように抵抗RA1を構成するポリ抵抗は負の温度特性を有し、温度が上昇すると抵抗値は減少する。従って、温度が上昇しても、抵抗RA1に流れる電流IA1の値は図7に示すようにほとんど変化せず、フラットな温度特性の定電流を生成できる。
2.本実施形態と比較例との比較
図8に定電流生成回路の第1の比較例を示す。この第1の比較例はバンドギャップリファレンス回路をベースとした定電流生成回路である。
図8においてバイポーラーBP1、BP2のベース・エミッタ間電圧をVBE1、VBE2とし、これらの電圧差をΔVBE=VBE1−VBE2とする。すると、図8では、VBE1=I1・R2、I0・R1+VBE2=I1・R2が成立する。従って、定電流は、IREF=I1+I0=VBE1/R2+ΔVBE/R1と表される。そしてVBEは負の温度特性を有し、ΔVBEは正の温度特性を有するため、抵抗R1、R2の抵抗値を調整することで、定電流IREFの温度特性を、ある程度、フラットに設定することが可能になる。しかしながら、R1、R2の抵抗値自体も温度特性を有するため、定電流IREFの温度特性を理論通りに調整することは難しい。
図9は、図4の定電流生成回路で生成される定電流と図8の比較例で生成される定電流の温度依存性(温度特性)を比較した図である。図9から明らかなように、本実施形態の定電流生成回路は、図8の比較例に比べて、よりフラットな温度特性の定電流を生成できる。また図4の本実施形態と図8の比較例を比べれば明らかなように、本実施形態によれば、図8の比較例に比べて小規模な回路で精度の高い定電流生成回路を実現できる。
図10に定電流生成回路の第2の比較例を示す。この第2の比較例は、図4に比べて、電流源ISAの構成が異なる。なお、本発明の定電流生成回路は図10に示すような構成であってもよい。
図10の比較例では、トランジスターTG1、TG2により構成される基準電圧生成回路REFGにより基準電圧VRが生成される。そしてこの基準電圧VRがトランジスターTG3のゲート電極に入力されることで、電流源ISAでのテール電流が生成される。
図10の比較例では、基準電圧生成回路REFGでの電流IRGの電流パスの分だけ、図4に比べて電流パスの本数が多くなる。従って、消費電流が大きくなってしまう。これに対して図4の定電流生成回路では、図10に比べて電流パスの本数を少なくできるため、低消費電力化を図れる。
図11(A)、図11(B)は、図4の定電流生成回路で生成される定電流と図10の比較例で生成される定電流の温度依存性や電源電圧依存性を比較した図である。図12(A)、図12(B)は、図4の定電流生成回路で生成されるテール電流と図10の比較例で生成されるテール電流の温度依存性や電源電圧依存性を比較した図である。
なお図11(A)〜図12(B)では、図4の電流源ISAの抵抗RA2が、正の温度特性を有するNウェル抵抗である場合と、フラットな温度特性を有するポリ抵抗である場合を、比較して示している。
図12(A)に示すように、デプレッション型のトランジスターTA3及びNウェルの抵抗RA2で電流源ISAを構成した図4の定電流生成回路では、テール電流ITLの温度特性をほぼフラットにすることができる。従って、温度変動によるテール電流ITLの変動を抑制できる。
これに対して、図10の比較例のように電流源を構成すると、テール電流ITLの温度特性はフラットにならず、温度変動によってテール電流ITLも変動してしまう。抵抗RA2を、ポリ抵抗で構成した場合も同様である。
また図12(B)に示すように、デプレッション型のトランジスターTA3及び抵抗RA2で電流源ISAを構成した図4の定電流生成回路では、電源電圧が変化した場合にもテール電流ITLをほぼ一定に保てる。従って、電源電圧変動によるテール電流ITLの変動を抑制できる。これは抵抗RA2を、ポリ抵抗で構成した場合も同様である。
これに対して、図10の比較例のように電流源を構成すると、電源電圧が変化した場合に、テール電流ITLも変化してしまう。従って、電源電圧変動によるテール電流ITLの変動を抑制できず、この点において図4の構成の方が有利となる。
図13(A)は、図4の定電流生成回路で生成されるテール電流と図10の比較例で生成されるテール電流のバラツキを比較したヒストグラムである。図13(A)ではモンテカルロ法を用いてヒストグラムを作成している。また図13(B)にテール電流の平均値、最大値、最小値、分散を示す。
図13(A)に示すように、図4の定電流生成回路によれば、抵抗によるフィードバックのため、トランジスターのしきい値電圧のバラツキやゲート長寸法のバラツキなどの製造プロセス変動に起因するテール電流のバラツキを抑制できる。従って、精度の高いテール電流の生成が可能になる。
3.レイアウト配置
図14(A)、図14(B)に抵抗のレイアウト配置例を示す。図14(A)は平面図であり、図14(B)は断面図である。
図4では、出力部QBの抵抗RA1については、負の温度特性を有するポリ抵抗で形成する一方で、差動部DFの電流源ISAの抵抗RA2については、正の温度特性を有するNウェル抵抗で形成する。このようにすることで、定電流IREFや電流源ISAのテール電流ITLの温度特性をフラットにすることが可能になる。
一方、定電流生成回路の消費電力を低減するためには、差動部DFや出力部QBに流れる電流ITL、IA1、IREFの電流値を小さくする必要があり、これらの電流値を小さくするためには、抵抗RA1、RA2の抵抗値を大きくする必要がある。
しかしながら、抵抗RA1、RA2の抵抗値を大きくしようとすると、抵抗RA1、RA2のレイアウト面積が大きくなってしまい、集積回路装置の大規模化を招く。
そこで本実施形態では図14(A)、図14(B)に示すレイアウト手法を採用している。
即ち図14(A)において、図4の抵抗RA1は、ポリシリコン層により形成されるポリ抵抗になっており、抵抗RA2は、Nウェルにより形成されるNウェル抵抗になっている。そして図14(A)に示すように、Nウェル抵抗である抵抗RA2の形成領域上に、ポリ抵抗である抵抗RA1をレイアウト配置する。即ち、Nウェル抵抗である抵抗RA2とポリ抵抗である抵抗RA1が、平面視においてオーバーラップするようにレイアウト配置される。
具体的には、図14(A)において抵抗RA1は複数のポリ抵抗ユニットにより構成される。即ち、複数のポリ抵抗ユニットが蛇状に配置され、隣り合うポリ抵抗ユニットは、メタル配線及びコンタクトを介して接続される。そして抵抗RA1の一端はタップTPP1になり、他端はタップTPP2になる。図4を例にとれば、タップTPP1にはノードNA4が接続され、タップTPP2にはVSSが接続される。
また抵抗RA2は複数のNウェル抵抗ユニットにより構成される。即ち、複数のNウェル抵抗ユニットが蛇状に配置され、隣り合うNウェル抵抗ユニットは、メタル配線及びコンタクトを介して接続される。そして抵抗RA2の一端はタップTPN1になり、他端はタップTPN2になる。図4を例にとれば、タップTPN1にはトランジスターTA3のソースが接続され、タップTPN2にはVSSが接続される。なおポリ抵抗やNウェル抵抗のレイアウト配置は図14(A)に限定されず、種々の変形実施が可能である。
また図14(A)では、各ポリ抵抗ユニットはその長手方向が紙面に対して横方向(第1の方向)になるように配置され、Nウェル抵抗ユニットはその長手方向が紙面に対して縦方向(第1の方向に直交する第2の方向)になるように配置されている。このようにすれば、タップTPP1及びTPP2の取り出し場所と、タップTPN1及びTPN2の取り出し場所を、別の場所にできるため、信号配線のレイアウトを簡素化・効率化できる。
図14(A)、図14(B)の手法によれば、集積回路装置の1つの領域を用いて、抵抗RA1とRA2の両方をレイアウト配置できる。従って、レイアウト効率を向上でき、集積回路装置の小面積化を図れる。
また図14(A)、図14(B)では、1つの領域に2つの抵抗RA1、RA2を配置できるため、各抵抗の抵抗値を高くするために各抵抗のレイアウト面積が大きくなっても、全体のレイアウト面積の増加については最小限に抑えることができる。従って、各抵抗の抵抗値を大きくして回路の低消費電力化を図ることも容易になる。
特に本実施形態では、抵抗RA2をNウェル抵抗で形成すれば、その上に別の回路素子をレイアウト配置できる点に着目している。そして図4の回路では、負の温度特性の抵抗RA1と正の温度特性の抵抗RA2の両方が必要になっている。そこで、正の温度特性の抵抗RA2についてはNウェル抵抗で実現し、負の温度特性の抵抗RA1についてはポリ抵抗で実現し、Nウェル抵抗の上にポリ抵抗を形成することで、レイアウト面積のコンパクト化を図る。
この場合に、Nウェル抵抗とポリ抵抗を同じ場所にレイアウト配置することで、一方の抵抗からの電圧により他方の抵抗の抵抗値が変動してしまうおそれもある。しかしながら、Nウェル抵抗については、その精度は重視されておらず、その抵抗値が高ければ十分であるため、ポリ抵抗からの電圧による抵抗値変動はそれほど問題にならない。一方、ポリ抵抗については、その抵抗値を高くして行くと、その上下の素子からの電圧による抵抗値の変動の影響を、より受けやすくなる。しかしながら、図4のNウェル抵抗RA2に印加される電圧は0Vに近いため、ポリ抵抗への悪影響はそれほど問題にならないという利点がある。
4.抵抗の構成
負の温度特性の仕事関数差電圧VWDを負の温度特性の抵抗RA1に印加することでフラットな温度特性の定電流を生成する場合に、仕事関数差電圧VWDの負の温度特性と、抵抗RA1の負の温度特性を、なるべく近づけることが望ましい。また、場合によっては、温度上昇にしたがって電流値が増える正の温度特性の定電流が必要な場合もある。
そこで抵抗RA1を、温度特性が異なる複数の抵抗素子を含むように構成してもよい。例えば図15(A)では、抵抗RA1は、抵抗素子RMRPとRNPを直列に接続することで構成されている。そして図6に示すように抵抗素子RMRPとRNPは、その温度特性が互いに異なっている。
このような温度特性が異なる抵抗素子RMRPとRNPにより抵抗RA1を構成すれば、各抵抗素子RMRP、RNPの単体では得られない温度特性を得ることが可能になる。これにより、生成される定電流の温度特性を、よりフラットにしたり、或いは、正の温度特性や負の温度特性を有する定電流の生成が可能になる。
なお図15(A)では、抵抗素子RMRPとRNPを1対1のブレンド率でブレンドしているが、例えば図15(B)のように抵抗素子RMRPとRNPを2対1のブレンド率でブレンドしてもよい。即ち、抵抗素子の抵抗値のブレンド率は任意である。また図15(A)、図15(B)では2種類の抵抗素子で抵抗RA1を構成する例について示しているが、図15(C)に示すように、3種類以上の抵抗素子で抵抗RA1を構成してもよい。
また図16(A)に示すように、抵抗RA1が、直列接続された複数の抵抗ユニットRU1〜RU4を含むように構成してもよい。図16(A)では、RU1〜RU4の各抵抗ユニットは、並列接続された抵抗素子RMRP及びスイッチ素子SWを有している。そして各抵抗ユニットのスイッチ素子SWがオン・オフされることで抵抗RA1の抵抗値が可変に設定される。これにより、生成される定電流の値を可変に設定したり、製造プロセス変動等による定電流値のバラツキを調整することなどが可能になる。なお抵抗ユニットの個数は4個には限定されず任意である。
例えば定電流値を可変に設定する場合には、図示しない制御回路からの信号によりRU1〜RU4の各抵抗ユニットのスイッチ素子SWをオン又はオフに設定すればよい。或いは、ヒューズ回路や不揮発性メモリなどの初期値設定回路からの信号に基づいて、各抵抗ユニットのスイッチ素子SWをオン又はオフに設定するようにしてもよい。このようにすれば、製造プロセス変動に起因する定電流値のバラツキを調整することが可能になる。
また図16(B)に示すように、RU1〜RU4の各抵抗ユニットに、第1の抵抗素子RMRPと、第1の抵抗素子RMRPとは温度特性が異なる第2の抵抗素子RNPを設けるようにしてもよい。そしてこの場合には、第1の抵抗素子RMRPの抵抗値と第2の抵抗素子RNPの抵抗値の抵抗比を、複数の抵抗ユニットRU1〜RU4の間で同一比に設定することが望ましい。例えば図16(B)では、RMRPとRNPの抵抗値の抵抗比が2対1になるように設定している。
このようにすれば、各抵抗ユニットのスイッチ素子SWをオン又はオフにすることで、抵抗RA1の全体の抵抗値が変化した場合にも、抵抗RA1の全体としての温度特性については変化せずに固定されるようになる。従って、RA1の抵抗値の可変設定やバラツキ調整とRA1の抵抗値の安定した温度特性を両立して実現することが可能になり、定電流値の可変設定やバラツキ調整と定電流値の温度依存性の減少を両立できる。
例えば図16(B)において、RU1〜RU4の全ての抵抗ユニットのスイッチ素子SWがオフに設定される状態を第1の設定状態とし、RU4のスイッチ素子SWのみがオンに設定される状態を第2の設定状態とする。そして各抵抗ユニットの抵抗値をRとすると、第1の設定状態の抵抗値は4Rとなり、第2の設定状態の抵抗値は3Rになり、RA1の抵抗値が可変に設定される。そしてこの場合にも、第1の設定状態での抵抗素子RMRPとRNPの全体的なブレンド率は2対1であり、第2の設定状態での抵抗素子RMRPとRNPの全体的なブレンド率も2対1になる。従って、第1の設定状態での抵抗値の温度特性と第2の設定状態での抵抗値の温度特性を同じにすることができ、抵抗RA1の抵抗値の可変設定やバラツキ調整とRA1の抵抗値の安定した温度特性を両立して実現できる。
なお図16(B)のような抵抗比を固定した抵抗素子の構成手法は、本実施形態で説明したような定電流生成回路の抵抗には限定されず、様々な回路の抵抗に対して適用できる。また抵抗比は図16(B)のような2対1には限定されず、各抵抗ユニットでの抵抗素子の個数も3個以上であってもよい。
5.定電圧の生成
図17に本実施形態の変形例の構成例を示す。図17が図4と異なるのは、図17では出力部QBが第3の抵抗RA3を更に含み、抵抗RA1に流れる電流IA1に対応する電流IA2を抵抗RA3に流すことで、定電圧VREGを更に生成する点である。
具体的には出力部QBは、VDDとVSSの間に直列に設けられたトランジスターTA8と抵抗RA3を含む。そしてP型のトランジスターTA8のゲート電極は、差動部DFの出力ノードNA1により制御される。
この構成によれば、トランジスターTDRとTA8のW/L比で設定される定電流IA2が抵抗RA3に流れるようになる。これにより、IA2の電流値をI2とし、RA3の抵抗値をR3とした場合に、出力ノードNA6にはVREG=I2×R3の定電圧が出力されるようになる。従って、集積回路装置の各アナログ回路に対して、定電流IREFのみならず定電圧VREGについても供給することが可能になる。特に抵抗RA3を可変抵抗にすることで、様々な電圧値の定電圧VREGを、集積回路装置の各アナログ回路に供給できる。
また図17の抵抗RA3についても、抵抗RA2と同様に、図15(A)〜図15(C)で説明したように温度特性が異なる複数の抵抗素子を含むように構成してもよい。例えば抵抗RA3を、温度特性が異なる抵抗素子RMRPとRNPを直列接続することで構成したり、RMRPとRPPとRNPを直列接続することで構成してもよい。
或いは、図16(A)に示すように、抵抗RA3が、直列接続された複数の抵抗ユニットRU1〜RU4を含むように構成してもよい。この場合には、各抵抗ユニットは、並列接続された抵抗素子RMRP及びスイッチ素子SWを有する。そしてRU1〜RU4の各抵抗ユニットのスイッチ素子がオン・オフされることで抵抗RA3の抵抗値が可変に設定され、生成される定電圧が可変に設定される。このようにすることで、様々な電圧値の定電圧VREGを集積回路装置の各アナログ回路に対して供給できる。なお、複数の定電圧を供給する場合には、トランジスターTA8及び抵抗RA3からなる回路を、複数個、設ければよい。
また図16(B)に示すように、抵抗RA3を構成する各抵抗ユニットに、第1の抵抗素子RMRPと、RMRPとは温度特性が異なる第2の抵抗素子RNPを含ませてもよい。そして、抵抗素子RMRPの抵抗値と抵抗素子RNPの抵抗値の抵抗比が、複数の抵抗ユニットRU1〜RU4の間で同一比に設定されるようにする。このようにすれば、抵抗RA3の抵抗値の可変設定やバラツキ調整とRA3の抵抗値の安定した温度特性を両立して実現することが可能になる。
6.集積回路装置
次に本実施形態の定電流生成回路が適用される集積回路装置の例について説明する。図18は、集積回路装置がRFの無線通信用ICである場合の構成例である。この集積回路装置は、受信回路30、復調回路36、送信回路40、変調回路46、クロック生成回路48、制御回路50、定電流生成回路60を含む。
受信回路30は、低ノイズアンプLNA、ミキサー32、フィルター部34を含む。低ノイズアンプLNAは、アンテナANTから入力されるRFの受信信号を低ノイズで増幅する処理を行う。ミキサー32は、増幅後の受信信号と、クロック生成回路48からのローカル信号(局所周波数信号)のミキシング(混合)処理を行って、ダウンコンバージョンを実行する。フィルター部34は、ダウンコンバージョン後の受信信号のフィルター処理を行う。具体的には、フィルター部34は、複素フィルターなどで実現されるバンドパスのフィルター処理を行い、イメージ除去を行いながらベースバンド信号を抽出する。
復調回路36は、受信回路30からの信号に基づいて復調処理を行う。例えば送信側においてFSK(周波数シフトキーイング)で変調された信号の復調処理を行い、復調後の受信信号を制御回路50に出力する。
変調回路46は、制御回路50からの送信信号の変調処理を行う。例えば送信信号をFSKで変調し、変調後の送信信号を送信回路40に出力する。そして送信回路40は、パワーアンプPAにより増幅した送信信号をアンテナANTに対して出力する。
クロック生成回路48は、VCO(電圧制御発振器)などにより構成されるPLL回路を有し、各種のクロック信号やミキサー32へのローカル信号等を生成する。
制御回路50(ロジック回路)は、集積回路装置の全体の制御や、ベースバンドでのデジタル処理などを実行する。また制御回路50は、例えばリンク層回路52やホストI/F(インターフェース)54を有し、リンク層のプロトコル処理や、外部のホストとのインターフェース処理などを実行する。
定電流生成回路60は、図1〜図4等で説明した本実施形態の定電流生成回路であり、受信回路30、送信回路40、クロック生成回路48などの集積回路装置内の各アナログ回路に対して定電流を供給する。そして各アナログ回路は、供給された定電流を用いて、信号増幅処理、信号検出処理、或いは信号フィルタリング処理などの各種のアナログ処理を行う。
このようにすれば、各アナログ回路は、本実施形態の定電流生成回路60で生成された安定した温度特性の定電流を用いて、アナログ処理を行うことができるため、アナログ処理の特性の向上を図れる。また定電流生成回路60として例えば図4の構成を採用すれば、電流パスの本数を減らすことができるため、例えば待機時等における電力の消費を最小限に抑えることが可能になる。
なお本実施形態の定電流生成回路が適用される集積回路装置は、図18のような無線通信用ICには限定されず、様々なタイプの集積回路装置に適用できる。例えばセンサーからのセンサー信号から所望信号を検出する検出装置にも適用できる。このような検出装置としては、振動子を用いて角速度情報や加速度情報などの物理量を検出する装置などがある。
7.電子機器
図19に本実施形態の集積回路装置310を含む電子機器の構成例を示す。この電子機器は、アンテナANT、集積回路装置310、ホスト320、検出装置330、センサー340、電源部350を含む。なお本実施形態の電子機器は図19の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば検出装置、センサー、電源部等)を省略したり、他の構成要素(例えば操作部、出力部)を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
集積回路装置310は、図18のような回路構成で実現される無線回路装置であり、アンテナANTからの信号の受信処理や、アンテナANTへの信号の送信処理を行う。ホスト320は、電子機器の全体の制御を行ったり、集積回路装置310や検出装置330の制御を行う。検出装置330は、センサー340(物理量トランスデューサ)からのセンサー信号に基づいて種々の検出処理(物理量の検出処理)を行う。例えばセンサー信号から所望信号を検出する処理を行って、A/D変換後のデジタルデータをホスト320に出力する。センサー340は、例えば煙センサー、光センサー、人感センサー、圧力センサー、生体センサー、ジャイロセンサーなどである。電源部350は、集積回路装置310、ホスト320、検出装置330等に電源を供給するものであり、例えば乾電池(丸形乾電池等)やバッテリーなどにより電源を供給する。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(第1の差動入力端子、第2の差動入力端子、第1の電源ノード、第2の電源ノード等)と共に記載された用語(非反転入力端子、反転入力端子、VSSノード、VDDノード等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また定電流生成回路、集積回路装置、電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
TA1、TA2 第1、第2のトランジスター、TDR 駆動トランジスター、
RA1、RA2、RA3 第1、第2、第3の抵抗、ISA 電流源、
DF 差動部、QB 出力部、RMRP、RNP、RPP 抵抗素子、
RU1〜RU4 抵抗ユニット、
30 受信回路、32 ミキサー、34 フィルター部、
36 復調回路、40 送信回路、46 変調回路、48 クロック生成回路、
50 制御回路、52 リンク層回路、54 ホストI/F、60 定電流生成回路、
310 集積回路装置、320 ホスト、330 検出装置、
340 センサー、350 電源部

Claims (18)

  1. 第1のトランジスターと、
    前記第1のトランジスターとはゲート電極の導電性が異なる第2のトランジスターと、
    前記第1のトランジスターと前記第2のトランジスターとの仕事関数差電圧に対応する電圧が印加される第1の抵抗とを含み、
    前記仕事関数差電圧は負の温度特性を有し、
    前記第1の抵抗の抵抗値は負の温度特性を有し、
    前記第1の抵抗に流れる電流に対応する定電流を生成することを特徴とする定電流生成回路。
  2. 請求項1において、
    前記第1のトランジスター、前記第2のトランジスターが第1の差動トランジスター、第2の差動トランジスターとして設けられる差動部と、
    前記第1の抵抗と、前記第1の抵抗に直列に設けられる駆動トランジスターとを有する出力部とを含み、
    前記差動部の第1の差動入力端子が、第1の基準電圧に設定され、
    前記駆動トランジスターと前記第1の抵抗との間の接続ノードの信号が、前記差動部の第2の差動入力端子に帰還され、
    前記差動部の出力ノードにより前記駆動トランジスターが制御されることを特徴とする定電流生成回路。
  3. 請求項2において、
    前記差動部は、
    前記第1のトランジスター及び前記第2のトランジスターと第1の電源ノードとの間に設けられる電流源と、
    前記第1のトランジスター及び前記第2のトランジスターと第2の電源ノードとの間に設けられるカレントミラー回路を含むことを特徴とする定電流生成回路。
  4. 請求項3において、
    前記電流源は、
    ゲート電極が第2の基準電圧に設定されるデプレッション型の第3のトランジスターと、
    前記第3のトランジスターと前記第1の電源ノードとの間に設けられる第2の抵抗を含むことを特徴とする定電流生成回路。
  5. 請求項4において、
    前記第1のトランジスター及び前記第3のトランジスターは、デプレッション型のN型トランジスターであり、
    前記第1の基準電圧及び前記第2の基準電圧は、前記第1の電源ノードの電圧であることを特徴とする定電流生成回路。
  6. 請求項4又は5において、
    前記第3のトランジスターのしきい値電圧は負の温度特性を有し、前記第2の抵抗の抵抗値は正の温度特性を有することを特徴とする定電流生成回路。
  7. 請求項4乃至6のいずれかにおいて、
    前記第1の抵抗は、ポリシリコン層により形成されるポリ抵抗であり、
    前記第2の抵抗は、Nウェルにより形成されるNウェル抵抗であり、
    前記Nウェル抵抗である前記第2の抵抗の形成領域上に、前記ポリ抵抗である前記第1の抵抗がレイアウト配置されることを特徴とする定電流生成回路。
  8. 請求項1乃至7のいずれかにおいて、
    前記第1の抵抗は、温度特性が異なる複数の抵抗素子を含むことを特徴とする定電流生成回路。
  9. 請求項1乃至8のいずれかにおいて、
    前記第1の抵抗は、直列接続された複数の抵抗ユニットを含み、
    前記複数の抵抗ユニットの各抵抗ユニットは、並列接続された抵抗素子及びスイッチ素子を有し、
    前記各抵抗ユニットのスイッチ素子がオン・オフされることで前記第1の抵抗の抵抗値が可変に設定されること特徴とする定電流生成回路。
  10. 請求項9において、
    前記各抵抗ユニットは、第1の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子とは温度特性が異なる第2の抵抗素子を含み、
    前記第1の抵抗素子の抵抗値と前記第2の抵抗素子の抵抗値の抵抗比が、前記複数の抵抗ユニットの間で同一比に設定されることを特徴とする定電流生成回路。
  11. 請求項1乃至10のいずれかにおいて、
    第3の抵抗を含み、
    前記第1の抵抗に流れる電流に対応する電流を前記第3の抵抗に流すことで定電圧を更に生成することを特徴とする定電流生成回路。
  12. 請求項11において、
    前記第3の抵抗は、温度特性が異なる複数の抵抗素子を含むことを特徴とする定電流生成回路。
  13. 請求項11又は12において、
    前記第3の抵抗は、直列接続された複数の抵抗ユニットを含み、
    前記複数の抵抗ユニットの各抵抗ユニットは、並列接続された抵抗素子及びスイッチ素子を有し、
    前記各抵抗ユニットのスイッチ素子がオン・オフされることで前記第3の抵抗の抵抗値が可変に設定され、生成される定電圧が可変に設定されること特徴とする定電流生成回路。
  14. 請求項13において、
    前記各抵抗ユニットは、第1の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子とは温度特性が異なる第2の抵抗素子を含み、
    前記第1の抵抗素子の抵抗値と前記第2の抵抗素子の抵抗値の抵抗比が、前記複数の抵抗ユニットの間で同一比に設定されることを特徴とする定電流生成回路。
  15. 直列接続された複数の抵抗ユニットを含み、
    前記複数の抵抗ユニットの各抵抗ユニットは、並列接続された抵抗素子及びスイッチ素子を有し、前記各抵抗ユニットのスイッチ素子がオン・オフされることで抵抗値が可変に設定され、
    前記各抵抗ユニットは、第1の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子とは温度特性が異なる第2の抵抗素子を含み、
    前記第1の抵抗素子の抵抗値と前記第2の抵抗素子の抵抗値の抵抗比が、前記複数の抵抗ユニットの間で同一比に設定されることを特徴とする抵抗回路。
  16. 請求項1乃至14のいずれかに記載の定電流生成回路を含むことを特徴とする集積回路装置。
  17. 請求項15に記載の抵抗回路を含むことを特徴とする集積回路装置。
  18. 請求項16又は17に記載の集積回路装置を含むことを特徴とする電子機器。
JP2014030445A 2014-02-20 2014-02-20 定電流生成回路、抵抗回路、集積回路装置及び電子機器 Pending JP2014099926A (ja)

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