JP2014099625A - 発光色変換部材及びその製造方法、並びに発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】硫化物系蛍光体などの、水分との接触やガラス中に封止する工程などで劣化しやすい蛍光体を用いた場合でも、蛍光体の劣化が少なく、良好な発光特性を有し、励起光源として高出力の青色発光ダイオードを用いた場合でも、長期間の使用で色調が変化しない、高信頼性かつ長寿命の発光色変換部材等を提供する。
【解決手段】無機蛍光体粒子1が焼結ガラス2中に封止されている発光色変換部材3を、下記のようにして作製する。すなわち、まず、発光源からの光によって励起され別の波長の蛍光を発光する無機蛍光体粉末と、ガラス粉末とを均一に混合し、樹脂バインダーを含有しない混合粉末4を調製する。次に、混合粉末4を成形型20に充填した後、混合粉末4中の空気を排気する。その後、ホットプレス焼結法などによって、減圧雰囲気中で加圧しながら加熱して、混合粉末4を焼結する。
【選択図】図13

Description

本発明は、発光ダイオード素子などから出射された光を別の波長の光に変換する発光色変換部材及びその製造方法、並びにその発光色変換部材を備えた発光素子に関するものである。
近年、白色光が得られる発光ダイオード(LED)素子が、高効率、かつ高信頼性の白色光源を実現できる発光素子として注目され、既にその一部が小電力小型光源用に実用化されている。現在、実用化されている白色光LED素子としては、青色LEDチップをYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体と透明樹脂との混合物で被覆モールドした素子が一般的である。
この素子では、青色LEDチップから出射される青色光によってYAG系蛍光体が励起され、青色光と補色の関係にある黄色の蛍光を発光する。この結果、青色LEDチップから出射された青色光の一部は黄色光に変換され、残りの青色光と混合され、白色光を模擬できる波長分布を有する発光が得られる。なお、以下、発光源からの光を吸収して励起され、別の波長の光を発光する過程を、「発光光の波長を変換する過程」と略記し、そのような機能を有する部材を「発光色変換部材」と略称する。
しかしながら、青色光は光子エネルギーが大きいので樹脂を劣化させやすく、長期間使用していると透明樹脂が変色し、これによって発光色の色調が変化する。そこで、後述の特許文献1では、透明樹脂の代わりに軟化点が500℃よりも高いガラスを用い、この中に無機蛍光体を分散させた発光色変換部材が提案されている。
特許文献1には次のように述べられている。上記発光色変換部材は、化学的に安定で熱伝導率が高いガラスを主成分としているので、高出力の青色光に長期間曝されても変色がない。この発光色変換部材を用いることによって、高出力の青色LED素子を使用しても色調が変化せず、高信頼性で長寿命の白色光源を得ることができる。ガラスを上記のように限定する理由は、軟化点が500℃以下のガラスでは、蛍光体と反応して焼結体が黒っぽくなり、発光効率が大幅に低下したり、光が透過しなくなったりするおそれがあること、また、化学的耐久力が悪化しやすく、湿気の多い環境下では使用中に表面が変質して透過率が下がり、発光効率が低下するおそれがあることである。
上記発光色変換部材を作製するには、まず、ガラス粉末と無機蛍光体粉末とを混合する。続いて、樹脂バインダーを添加して加圧成型し、所望の形状の予備成型体を作製する。その後、予備成形体を焼成し、樹脂バインダーを除去して焼結させ、ガラス粉末と無機蛍光体粉末との焼結体からなる発光色変換部材を得る。
同様にガラス中に蛍光体を分散させたものとして、後述の特許文献2には、SnO、P25、およびZnOを必須の成分とする第1のガラス、B23およびBi23を必須の成分とする第2のガラス、またはTeO2およびZnOを必須の成分とする第3のガラスであって、特別の組成をもち、軟化点が450℃以下であるガラスによってLED素子を封止した発光ダイオード素子が提案されている。特許文献2には、軟化点が450℃超では、このガラスを軟化流動させて発光ダイオード素子を封止する温度が高くなりすぎ、LED素子の特性を損なうおそれがあること、また、上記ガラスには通常蛍光体が添加されることが記載されている。
また、後述の特許文献3には、特許文献2と同じ出願人によって、上記第3のガラスの粉末と蛍光体の粉末との混合物を焼成して得られた焼結体の粉末を、溶融状態となっているガラス中に分散させることによって、LED素子を封止するガラスを製造する方法が提案されている。上記第3のガラスの粉末と蛍光体の粉末との混合物を単に加熱して軟化流動させ、LEDを被覆した特許文献2の場合には、封止ガラス中に空孔が多く残りやすい問題があったのに対し、特許文献3の方法では光透過率に優れた封止ガラスが得られると、特許文献3に記載されている。
一方、後述の特許文献4には、YAG系蛍光体の代わりに、青色光を緑色光に変換可能な第1の蛍光体と、青色光を赤色光に変換可能な第2の蛍光体とを用い、これらを樹脂で封止したものを青色LEDと組み合わせて、青色光と緑色光と赤色光との混合によって白色発光を得る3色型白色光LED光源が提案されている。特許文献4によると、この構成によって、YAG系蛍光体を単独で用いる場合よりも、白色発光光の色域を広くすることができる。
上記の第1の蛍光体および第2の蛍光体は、いずれもホスト硫化物材料と希土類ドーパントとを含み、共通のLEDによって励起可能である。例えば、第1の蛍光体のホスト硫化物はSrGa24であり、第2の蛍光体のホスト硫化物はSrSまたはCaSである。また、希土類ドーパントはEu2+またはCe3+であり、第1の蛍光体と第2の蛍光体とで共通であるのがよい。第1の蛍光体がSrGa24:Euである場合、緑色光の発光ピークは約520nm付近にあり、第2の蛍光体がSrS:Euである場合、赤色光の発光ピークは約620nm付近にある(以下、蛍光体をホスト化合物:ドーパントの書式で表すことがある。)。硫化物材料をホストとする硫化物系蛍光体は、YAG系蛍光体と同等以上の強度の蛍光を発光する、優れた蛍光材料である。
ただし、硫化物系蛍光体は、水分や酸素との接触で発光特性が低下し、極めて短期間に発光色の変化が生じて、LED素子の長寿命化に支障を来たす。例えば、湿度の高い環境下で長時間使用すると発光強度が急激に低下し、吸湿状態のまま発光を続けると発光面が急激に黒色化して輝度が低下する。硫化物系蛍光体を透明樹脂にモールドした場合には、樹脂を介する吸湿によって蛍光体が著しく劣化してしまい、極めて短期間に発光色の変化が生じる。従って、硫化物系蛍光体を用いたLED素子を実用化するには、耐湿性の向上が不可欠である。
そこで、後述の特許文献5には、テトラアルコキシシラン、テトラハロゲン化シラン、または水ガラスなどの、ケイ酸またはその前駆体と、水と、塩基と、有機溶媒とを含有する組成物に硫化物系蛍光体粒子を接触させることによって、表面を均一で緻密なシリカ膜によって被覆した硫化物系蛍光体が提案されている。
しかし、シリカ膜で蛍光体表面を完全に被覆することは困難である。また、劣化を満足に防止できるようにシリカ膜を厚く形成した場合、蛍光体に入射する光量が減少し、蛍光体の発光量が減少してしまうという問題も生じる。また、シリカ膜によって被覆した硫化物系蛍光体を透明樹脂中に分散させ、この混合物で青色LEDチップを樹脂モールドした場合には、モールド樹脂が高強度の青色光に長期間曝されることによる樹脂の劣化の問題が生じる。
従って、YAG系蛍光体を用いる場合と同様、硫化物系蛍光体をガラスに封入することが望ましいと考えられる。しかし、硫化物系蛍光体は、ガラスに封入する際にも劣化を受けやすい。この劣化には、高温下で水や酸素などに接触し、これらと反応することによる劣化がある。また、蛍光体が高温に曝されるのを抑制するために融点を下げる目的で、ガラスに鉛やビスマスなどが添加されている場合には、蛍光体がこれらと反応することによる劣化がある。
そこで、後述の特許文献6には、蛍光体粒子の表面を鉛またはビスマスを含まないガラスで被覆し、このガラス被膜を設けた蛍光体粒子を鉛またはビスマスを含むガラス体に分散させた発光色変換部材が提案されている。特許文献6によると、上記ガラス被膜は鉛またはビスマスを含まないので、蛍光体粒子が硫化物であっても、蛍光体粒子とガラス被膜とが反応してガラス被膜が変色することはない。また、鉛またはビスマスを含むガラス体内に、ガラス被膜を設けた蛍光体粒子を分散させる際には、軟化点の高いガラス被膜がバリア層として働くので、蛍光体粒子とガラス体中の鉛またはビスマスとが反応することがない。上記ガラス被膜は、例えば、ケイ素やホウ素のアルコキシドを原料にして、ゾル−ゲル法によってケイ酸ガラスやホウケイ酸ガラスの粒子を蛍光体粒子に付着させることで形成する。
また、後述の特許文献7には、特許文献5とほぼ同様の方法によって硫化物系蛍光体粒子の表面を硫化物と反応しない酸化物で被覆し、この酸化物被覆蛍光体粒子と、鉛およびビスマスを実質的に含有しないガラス粉末とを混合した混合粉末を焼結することによって、硫化物系蛍光体をガラスに封入した、酸化物被覆蛍光体含有ガラスシートが提案されている。硫化物表面を被覆する酸化物としては、酸化ケイ素、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、または酸化ランタンが挙げられている。
上述したように、高出力の青色LEDチップとともに用いる発光色変換部材を構成するには、樹脂中に蛍光体を分散させるのではなく、ガラス中に蛍光体を分散させることが望ましい。これは、YAG系蛍光体を用いる場合には、主として、青色光によって樹脂が劣化する問題を避けるためである。硫化物系蛍光体を用いる場合には、これに加えて、ガラス中に封止することによって、蛍光体が水分や酸素と接触して劣化するのを防止できるので、とくに好ましい。
この際、硫化物系蛍光体がガラス中に添加されている鉛やビスマスなどと反応することによる劣化は、鉛やビスマスなどが添加されていないガラスを用いることで避けることができる。特許文献6に提案されている発光色変換部材の有効性には、多少の疑問がある。特許文献7に指摘されているように、この発光色変換部材では、ガラス被膜を厚くしなければ、発光色変換部材の成形時において、ガラス体に含まれる鉛またはビスマスと硫化物蛍光体との反応を抑制することは困難である。他方、ガラス被膜を厚くしすぎると、励起光が蛍光体に入射するのが妨げられ、蛍光体の発光効率が許容できない程度に低下する。ガラス被膜の厚さにはこのような二律背反の関係があり、様々な形状の硫化物蛍光体粒子を最適な厚さのガラス被膜で被覆することは難しい。
上述した二律背反の関係は、特許文献6に提案されているガラス被膜に限られることではなく、蛍光体粒子に保護層を形成し、保護層を備えた蛍光体粒子をガラス中に分散させることを特徴とする全ての構成に共通に存在する問題である。例えば、特許文献7には、保護性能と発光効率との二律背反の関係から、硫化物系蛍光体粒子を被覆する酸化物層の厚さは20〜800nmであるのが好ましいと記載されている。また、特許文献3に提案されている封止ガラスの製造方法では、上記の二律背反の関係によって蛍光体粒子と封止ガラスとの混合割合が制約される。加えて、特許文献3の方法では、蛍光体を含む焼結体をガラス中に分散させるため、蛍光体を封止ガラス中に均一に分布させることができないという問題もある。
保護層は、波長変換の機能に関しては、有害無益な不要な層である。また、保護層を形成する工程分だけ、製造工程は煩雑になり、生産性が低下する。以上のことから、蛍光体粒子に保護層を形成し、保護層を備えた蛍光体粒子をガラス中に分散させる構成は、デメリットが多い。従って、蛍光体粒子をガラス中に直接分散させる構成が望ましい。
蛍光体粒子をガラス中に直接分散させた従来例としては、軟化点が500℃よりも高いガラスを用い、この中にYAG系蛍光体を分散させた、特許文献1の発光色変換部材があるのみである。硫化物系蛍光体は、YAG系蛍光体に比べてガラス中に分散させる際のガラスとの反応が激しく、発泡や変色等の異常を起こしやすい。例えば、ガラス中に蛍光体を分散させるには、蛍光体の粉体と混合したガラスの粉体を高温に加熱して軟化させることが必要であるが、その際、蛍光体が粘度の下がったガラスとの反応によって変質してしまい、発光色が変わってしまうことが多い。従って、特許文献1の発光色変換部材と同じ構成で硫化物系蛍光体をガラス中に分散させることはできない。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特願2008−334282において、鉛化合物およびフッ素化合物を実質的に含まず、SiO2を主成分とするガラスに、青色光を緑色光および赤色光にそれぞれ変換する2種の硫化物系蛍光体が分散されてなり、青色光を白色光に変換する、3色型の発光色変換部材を提案した。また、上記のガラスの粉末であって、粒子径が500μm以下、モード径が77μm以下であるガラス粉末と、硫化物系蛍光体粉末との混合粉末を、上記ガラス粉末の軟化点以上、軟化点+30℃以下の温度で焼結することにより、上記発光色変換部材を製造する方法を提案した。
上記の提案によれば、ガラスを選別することによって、硫化物系蛍光体とガラスとの反応を最小限に抑えることができる。また、ガラス粉体の粘度が高めの状態で軟化させ、蛍光体をガラス中に分散させることにより、蛍光体に与えるダメージを最小限に抑えることができる。
しかしながら、本発明者がさらに研究を重ねた結果、上記の製造方法では、焼結後のガラス中に空孔が残る場合があることが見出された。このような場合、発光色変換部材の光透過率が低下して、発光色変換部材として十分な発光効率が得られない場合がある。あるいは、ガラスによる蛍光体の封止が不完全になり、蛍光体が水分や酸素と接触して劣化するのを防止できないおそれがある。また、焼結後のガラス中の空孔をなくし、ガラスの密度を上げる目的で焼結温度を上げると、硫化物蛍光体がガラスと反応しやすくなったり、蛍光体そのものが熱劣化したりすることもあるため、蛍光体の性能を生かしたまま、ガラス中に均一に分散させることが難しい場合があった。また、特許文献1と同様に、ガラス粉末と硫化物系蛍光体粉末との混合粉末に樹脂バインダーを添加して所望の形状の予備成形体に加圧成形した後、予備成形体を焼成して樹脂バインダーを除去し、焼結体を得た場合には、樹脂バインダーが完全に分解して抜けきらず、ガラス中に泡になって残ったり、変色の原因になったりする場合があることが見出された。
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、硫化物系蛍光体などの、水分との接触やガラス中に封止する工程などで劣化しやすい蛍光体を用いた場合でも、蛍光体の劣化が少なく、良好な発光特性を有し、励起光源として高出力の青色発光ダイオードを用いた場合でも、長期間の使用で色調が変化しない、高信頼性かつ長寿命の発光色変換部材及びその製造方法、並びにその発光色変換部材を備えた発光素子を提供することにある。
本発明は、発光源からの光によって励起され別の波長の蛍光を発光する、硫化物材料をホストとする硫化物系蛍光体を含む無機蛍光体粉末と、鉛、ビスマス、及びフッ素を実質的に含まないガラス粉末とを含有し、樹脂バインダーを含有しない混合粉末が、いずれもグラファイト製である焼結ダイと上部パンチと下部パンチとからなる成形型の前記混合粉末と前記上部パンチ及び前記下部パンチとの間に配置された前記ガラス粉末よりも高融点の酸化物の間に充填され、減圧雰囲気中で25〜50MPaの圧力で加圧されながら550〜600℃で加熱して焼結されてなり、無機蛍光体粒子が焼結ガラス中に封止されている、発光色変換部材に係わる。
また、発光源からの光によって励起され別の波長の蛍光を発光する、硫化物材料をホストとする硫化物系蛍光体を含む無機蛍光体粉末と、鉛、ビスマス、及びフッ素を実質的に含まないガラス粉末とを均一に混合し、樹脂バインダーを含有しない混合粉末を調製する工程と、いずれもグラファイト製である焼結ダイと上部パンチと下部パンチとからなる成形型の前記混合粉末と前記上部パンチ及び前記下部パンチとの間に配置された前記ガラス粉末よりも高融点の酸化物の間に、前記混合粉末を充填する工程と、前記混合粉末中の空気を排気する工程と、減圧雰囲気の前記成形型中で25〜50MPaの圧力で加圧しながら550〜600℃で加熱して、前記混合粉末を焼結する工程とを有する、発光色変換部材の製造方法に係わる。
また、発光源と、前記発光色変換部材とを備える、発光素子に係わる。
本発明の発光色変換部材及びその製造方法の特徴の1つは、前記混合粉末を加熱して焼結させるに際して、前記混合粉末に対する加圧を行うことである。加圧下で焼結を行うと、加圧せずに軟化させる場合の、前記ガラス粉末の軟化点よりも低い温度で、前記ガラス粉末を溶融して得られる溶融ガラスの密度と同等の密度を有する、前記ガラス粉末の焼結体を得ることができる。このように、加圧下で焼結を行うと、実効的に軟化点が低下するので、焼結時の熱による前記無機蛍光体粒子の劣化を起こさせることのない温度で前記混合粉末を焼結させることができ、しかも前記発光色変換部材中に残される空孔を極力減らすことができる。この結果、前記発光色変換部材は、光透過率が高く、発光効率が優れている。また、前記無機蛍光体粒子が前記焼結ガラスによって完全に封止され、前記無機蛍光体粒子と空気中の水分や酸素との接触が防止される。従って、硫化物系蛍光体などを用いた場合であっても、前記無機蛍光体粒子が水分や酸素と反応して劣化して、発光特性が低下したり、発光色の変化が生じたりすることがなく、高温高湿環境下における劣化に耐性を有し、高信頼性かつ長寿命の前記発光色変換部材が得られる。
また、本発明の発光色変換部材及びその製造方法の他の特徴の1つは、前記発光色変換部材を作製する工程において、前記混合粉末に対する成形と焼結とが、前記成形型内で同時に行われることである。このため、特許文献1などで焼結時の形状を保つために行われている予備成形工程、すなわち、蛍光体粉末とガラス粉末との混合粉末に樹脂バインダーを添加し、予め所望の形状の予備成形体を成形する工程が不要である。樹脂バインダーを添加すると、予備成形体を焼成して樹脂バインダーを除去する際に、樹脂バインダーが完全に分解して抜けきらず、焼結体中に泡になって残ったり、変色の原因になったりする場合があるが、本発明ではこのようなおそれがない。
本発明の発光素子は、前記発光色変換部材を備えるので、前記発光源として青色発光ダイオードなどを用いることによって、所望の波長の光を発光する、高輝度、高効率、高信頼性、かつ長寿命の発光素子を実現することができる。
本発明の実施の形態1に基づく発光色変換部材を示す斜視図(a)、およびその製造に用いられるホットプレス焼結装置の構造を示す概略図(b)である。 同、ホットプレス焼結装置で用いられる成形型の一例を示す斜視図および平面図(a)、並びに断面図(b)である。 同、ガラス粉末試料(i)〜(iii)の粒子径分布を示すグラフである。 同、表1に示した組成のガラス粉末の焼結条件(焼結時の加圧圧力および加熱温度)と、焼結後のガラスの密度との関係を示すグラフである。 同、上記ガラス粉末と無機蛍光体粉末との混合粉末を焼結する際の加圧圧力および加熱温度と、得られた発光色変換部材試料から得られる白色光の輝度との関係を示すグラフである。 同、表1の組成のガラスにおける温度と粘度との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に基づく成形型の構造を示す断面図である。 同、ガラス試料の、可視光波長領域における光透過率の違いを示すグラフである。 同、ガラス試料の、可視光波長領域における平均光透過率の違いを示すグラフである。 本発明の実施の形態3に基づく発光素子の構造を示す断面図である。 本発明の実施例1で得られた発光色変換部材試料に青色光を照射したときに、透過方向に出射される発光光のXY色度を示すグラフである。 本発明の実施例1および実施例2の環境耐性試験において用いる蛍光強度測定装置を示す概略図である。 同、環境耐性試験で測定された蛍光強度スペクトルの時間変化を示すグラフ(a)、および緑色および赤色の蛍光のピーク波長である535nmおよび649nmにおける蛍光強度の時間変化を示すグラフ(b)である。 本発明の実施例2の環境耐性試験で測定された蛍光強度スペクトルの時間変化を示すグラフ(a)、および緑色および赤色の蛍光のピーク波長である535nmおよび649nmにおける蛍光強度の時間変化を示すグラフ(b)である。
本発明の発光色変換部材は、前記焼結が減圧雰囲気中で行われてなる発光色変換部材であるのがよい。この発光色変換部材では、残される空孔が少なく、好ましい。
また、本発明の発光色変換部材において、前記無機蛍光体が、硫化物材料をホストとする硫化物系蛍光体を含み、前記ガラスが、鉛、ビスマス、及びフッ素を実質的に含まないガラスであるのがよい。なお、「実質的に含まない」とは、「不純物として含有する程度の量を除いては含まない」の意味である。
この際、前記硫化物系蛍光体が、少なくとも、青色光によって励起され緑色光を発光する第1の硫化物系蛍光体と、青色光によって励起され赤色光を発光する第2の硫化物系蛍光体とを含み、青色光を受光すると、その一部を緑色光及び赤色光に変換し、残りの青色光と混合することにより、白色光を出射するのがよい。
また、前記無機蛍光体が、青色光によって励起されそれと補色の関係にある蛍光を発光するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を含み、青色光を受光すると、その一部を青色光の補色光に変換し、残りの青色光と混合することにより、白色光を出射するのがよい。
本発明の発光色変換部材の製造方法は、前記混合粉末中の空気を排気する工程を有し、減圧雰囲気中で加圧しながら加熱して、前記混合粉末を焼結するのがよい。減圧雰囲気中で焼結が行われると、前記発光色変換部材中に残される空孔が少なくなり、好ましい。
また、本発明の発光色変換部材の製造方法において、前記焼結工程をホットプレス焼結法によって行うのがよい。この際、いずれもグラファイト製である焼結ダイと上部パンチと下部パンチとからなる前記成形型において、前記混合粉末と前記上部パンチ及び前記下部パンチとの間に、前記ガラス粉末よりも高融点の酸化物を配置し、この状態で前記焼結工程を行うのがよい。
前記酸化物として、粉体状の酸化物を用いるのがよい。また、酸化カルシウムCaO、酸化アルミニウムAl23、酸化ランタン(III)La23、酸化ニオブ(V)Nb25、酸化ジルコニウム(IV)ZrO2、酸化チタン(IV)TiO2、酸化マグネシウムMgO、及び二酸化ケイ素SiO2からなる群から選ばれた少なくとも1種の酸化物を用いるのがよい。
また、前記ガラス粉末として、ガラス粒子の粒子径が500μm以下であり、かつモード径(粒子径の最大頻度値)が77μm以下であるガラス粉末を用いるのがよい。
また、前記焼結工程において、前記成形型内の前記混合粉末に25〜50MPaの圧力を加えて成形するのがよい。
また、前記焼結工程において、前記成形型内の前記混合粉末を、前記ガラスの粘度が106.5〜107.7Pa・sとなる温度に加熱するのがよい。
本発明の発光素子において、前記発光源が発光ダイオード素子であるのがよい。この前記発光ダイオード素子が青色発光ダイオード素子であり、このダイオード素子が発した青色光を白色光に変換して出射するのがよい。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的かつ詳細に説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1では、主として、請求項1〜8および12〜14に記載した発光色変換部材およびその製造方法の例について説明する。
図1(a)は、実施の形態1に基づく発光色変換部材3の構成を示す斜視図である。発光色変換部材3では、発光源からの光によって励起され別の波長の蛍光を発光する無機蛍光体粉末とガラス粉末との混合粉末が焼結され、無機蛍光体粒子1が焼結ガラス2中に封止されている。発光色変換部材3の形状は、とくに限定されるものではないが、図1(a)に示したように薄板状であると、厚さによって発光特性を調節できるので好ましい。
無機蛍光体粒子1はとくに限定されるものではなく、発光源が出射する光の波長、および所望の蛍光波長に応じて、適宜選択するのがよい。無機蛍光体粒子1として、例えば、硫化物、ハロリン酸塩、酸化物、および窒化物などをホスト材料とする蛍光体が挙げられる。
これらのうち、硫化物材料をホストとする硫化物系蛍光体は、緑色から赤色までの広い色域に、高強度の蛍光を発光する、優れた蛍光材料が存在するので、とくに好ましい。無機蛍光体粒子1として硫化物系蛍光体粒子を用いる場合には、硫化物系蛍光体とガラスとの反応を抑えるために、上記ガラス粉末を構成するガラスは、鉛、ビスマス、およびフッ素を実質的に含まないガラスであるのがよい。
とりわけ、硫化物系蛍光体が、青色光によって励起され緑色光を発光する第1の硫化物系蛍光体(発光ピークは、例えば約540nm付近)と、青色光によって励起され赤色光を発光する第2の硫化物系蛍光体(発光ピークは、例えば約650nm付近)とを含んでいると、青色LED素子などから出射された青色光を受光して、その一部を緑色光および赤色光に変換し、残りの青色光と混合することにより、白色光を出射する白色発光素子を構成できるので好ましい。この場合、YAG系蛍光体を単独で用いる場合よりも、真の白色光に近い発光光が得られる。このため、この発光光を液晶表示画面等のバックライトとして用いた場合、液晶表示画面等の色域を広くすることができる。
無機蛍光体粉末とガラス粉末との配合割合は、発光色変換部材3の厚さに応じて、良好な発光色が得られる適当な割合とすることが好ましい。発光色変換部材3の厚さが厚いと、明度が低下し、発光効率が低下する。一方、発光色変換部材3の厚さが薄いと、発光効率は高くなるが、無機蛍光体の絶対量が少なくなり、波長変換された光の割合が少なくなるため、発光色が発光源の色に近づく。従って、波長変換された発光を効率よく得るためには、無機蛍光体の量と発光色変換部材3の厚さとを調整することが重要である。
例えば、前記第1の硫化物系蛍光体と前記第2の硫化物系蛍光体とを混合して用いる場合、ガラス粉末と無機蛍光体粉末との配合割合は、体積比で85:15〜97:3であることが好ましく、体積比で90:10〜95:5であることがより好ましい。例えば、発光色変換部材3の厚さが0.30mmである場合には、ガラス粉末と無機蛍光体粉末との配合割合は、体積比で95:5であることが好ましい。また、発光色変換部材3の厚さが0.15mmである場合には、ガラス粉末と無機蛍光体粉末との配合割合が、体積比で90:10であることが好ましい。
さらに、発光色変換部材3の厚さは、0.1〜0.5mmであることが好ましい。厚さが0.1mm未満であると、加工やハンドリングが難しくなる。また、厚さが0.5mmを超えると輝度が低下する。
また、無機蛍光体が、青色光によって励起されそれと補色の関係にある蛍光を発光するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体であるのもよい。この場合、硫化物系蛍光体に比べて安定な酸化物系蛍光体を単独で用いる簡易な構成で、青色光を受光すると、その一部を青色光の補色光に変換し、残りの青色光と混合することにより、擬似的な白色光を出射する発光色変換部材3を構成することができる。
発光色変換部材3を作製するには、まず、無機蛍光体粉末とガラス粉末とを所定の割合で均一に混合し、樹脂バインダーを含有しない混合粉末4を調製する。次に、この混合粉末4を成形型に充填する。次に、混合粉末4を均等に配置し、隙間を減らすなどの目的で、予備的な加圧を行う。その後、成形型内の混合粉末4に所定の圧力を加えながら、混合粉末4を所定の温度に加熱して焼結させる。この際、予め混合粉末4中の空気を排気して除去する工程を有し、この減圧雰囲気中で加圧しながら加熱して混合粉末4を焼結するのが好ましい。
上記焼結工程を行う方法は、混合粉末4を加圧しながら加熱できる方法であればよく、例えば、ホットプレス焼結法、通電加熱焼結法、および放電プラズマ焼結法などを用いることができる。このうち、ホットプレス焼結法がとくに好ましい。
図1(b)は、ホットプレス焼結法を実施するホットプレス焼結装置10の構造を示す概略図である。ホットプレス焼結装置10は、油圧シリンダなどの縦1軸の加圧機構11および焼結ステージ19などを有する焼結機本体、ヒーター12、熱電対13,制御装置14および電源15などからなる加熱機構、水冷真空チャンバー16、真空排気装置17およびガス供給装置18などからなる雰囲気制御機構などによって構成されている。ホットプレス焼結装置10では、加工する混合粉末4を充填した焼結ダイ・パンチ成形型20を、真空チャンバー16内の焼結ステージ19上にセットして、上部加圧シリンダ11と下部焼結ステージ19との間に挟み、加圧しながら加熱して混合粉末4を焼結させる。
図2は、ホットプレス焼結装置で用いられる成形型の一例20を示す斜視図および平面図(a)、並びに断面図(b)である。成形型20は、主として、肉厚円筒形の焼結ダイ21と、上部パンチ22および下部パンチ23とからなる。焼結ダイ21およびパンチ22、23の材質としてはグラファイトなどが好ましい。焼結ダイ21の内径(中央を貫通する空孔24の直径)は、例えば20mmである。上部パンチ22および下部パンチ23は、それぞれ上方向および下方向から空孔24に挿入され、上部パンチ22および下部パンチ23によって空孔24が密閉されることによって、成形型20が形成される。混合粉末4は、焼結ダイ21の空孔24の中で上部パンチ22と下部パンチ23との間に挟むように充填する。
実際には、空孔24内で軟化した混合粉末4が焼結ダイ21に融着しないように、焼結ダイ21の内側に剥離材としてグラファイトシート25を挿入したり、焼結ダイ21の内面に窒化ボロンをコーティングしたりする。従って、焼結ダイ21の内径と、上部パンチ22および下部パンチ23の外径とは、剥離材の厚さを考慮した寸法に加工する。また、軟化した混合粉末4が上部パンチ22および下部パンチ23に融着しないように、混合粉末4と上部パンチ22および下部パンチ23との間にも、剥離材としてグラファイトシート26および27を挿入したり、上部パンチ22および下部パンチ23の内面を窒化ボロンでコーティングしたりする。
本実施の形態の特徴の1つは、混合粉末4を加熱して焼結させるに際して、混合粉末4に対する加圧を行うことである。加圧下で焼結を行うと、後に図4を用いて説明するように、加圧せずに軟化させる場合のガラス粉末の軟化点よりも低い温度で、ガラス粉末を融解させて得られる溶融ガラスの密度と同等の密度を有する、ガラス粉末焼結体を得ることができる。このように、加圧下で焼結を行うと、実効的に軟化点が低下するので、焼結時の熱による無機蛍光体粒子1の劣化を起こさせることの少ない温度で混合粉末4を焼結させることができ、しかも発光色変換部材3中に残される空孔を極力減らすことができる。この結果、発光色変換部材3は、光透過率が高く、発光効率が優れている。また、無機蛍光体粒子1が焼結ガラス2によって完全に封止され、無機蛍光体粒子1と空気中の水分や酸素との接触が防止される。従って、硫化物系蛍光体などを用いた場合であっても、無機蛍光体粒子1が水分や酸素と反応して劣化して、発光特性が低下したり、発光色の変化が生じたりすることがなく、高温高湿環境下における劣化に耐性を有し、高信頼性かつ長寿命の発光色変換部材3が得られる。
また、本実施の形態の他の特徴の1つは、発光色変換部材3を作製する工程において、混合粉末4に対する成形と焼結とが、成形型20内で同時に行われることである。このため、特許文献1などで焼結時の形状を保つために行われている予備成形工程、すなわち、蛍光体粉末とガラス粉末との混合粉末に樹脂バインダーを添加し、予め所望の形状の予備成形体を成形する工程が不要である。樹脂バインダーを添加すると、予備成形体を焼成して樹脂バインダーを除去する際に、樹脂バインダーが完全に分解して抜けきらず、焼結体中に泡になって残ったり、変色の原因になったりする場合があるが、本実施の形態ではこのようなおそれがない。
また、本実施の形態では、ホットプレス焼結法によって、混合粉末4に対する成形と焼結とを行う。ホットプレス焼結法では、混合粉末4が充填された成形型20全体をヒーター12で加熱するので、再現性のよい加熱が可能である。また、成形型20が導電性を有する必要がないので、成形型20の材料としてグラファイトのみならず、アルミナ等の酸化物を用いることも可能である。この際、予め混合粉末4中の空気を排気して除去する工程を有し、この減圧雰囲気中で加圧しながら加熱して混合粉末4を焼結させるのがよい。減圧雰囲気中で焼結を行うと、発光色変換部材3中に残される空孔が少なくなり、好ましい。また、焼結時における水分や酸素による無機蛍光体粒子1の劣化を最小限に抑えることができる。また、真空チャンバー16内の炉材が酸化されて傷むのを防止することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、発光光の色域が広く、良好な発光特性を有する白色発光素子をはじめとして、高信頼性、長寿命の発光素子を実現することのできる発光色変換部材を再現性よく確実に製造することができる。
以下、主として、第1の硫化物系蛍光体と第2の硫化物系蛍光体とを含有し、青色光を白色光に変換する発光色変換部材を例として、その製造方法についてより詳細に説明する。なお、下記に述べる実施の形態は、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、特に記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
<無機蛍光体粒子>
発光源として青色LED素子を用い、これから出射される青色光を白色光に変換する際に、色域を広くして、より忠実な白色を得るためには、青色光を緑色光に変換する第1の蛍光体と、青色光を赤色光に変換する第2の蛍光体とを、適当な割合で混合したものを無機蛍光体として用いるのが好ましい。
第1の無機蛍光体として、例えば、MEGa24:Eu、Mx(Si,Al)12(O,N)16:Tb、Mx(Si,Al)12(O,N)16:Ybなどが挙げられる。ただし、MEは、Ca、Sr、およびBaからなる群より選択された少なくとも1種の原子を意味し、Mは、Li、Mg、およびCaからなる群より選択された少なくとも1種の原子を意味する。これらのうち、とくに本実施の形態において使用しやすいものは、SrGa24:Eu、CaGa24:Eu、およびBaGa24:Euである。
また、第2の無機蛍光体として、例えば、MES:Eu、Mx(Si,Al)12(O,N)16:Sm、ME2Si58:Eu、CaSiN2:Eu、CaAlSiN3:Euなどが挙げられる。ただし、MEおよびMは、上記と同じ原子を意味する。これらのうち、とくに本実施の形態において使用しやすいものは、CaS:Eu、SrS:Eu、およびBaS:Euである。
第1の無機蛍光体と第2の無機蛍光体との混合比率は、白色発光が可能な比率であればよい。例えば、第1の無機蛍光体を85±1質量%とし、残りは第2の無機蛍光体とすることで、良好な白色発光が可能な発光色変換部材3が得られる。
<ガラス粉末>
(ガラスの組成)
発光色変換部材3を形成するガラス粉末は、鉛、ビスマス、およびフッ素を実質的に含まず、二酸化ケイ素SiO2を主成分とするガラスの粉末であるのが好ましい。
鉛、ビスマス、またはフッ素を含むガラス粉末は、ガラス粉末が完全に焼結される温度に達する前に、ガラスが蛍光体粒子1と反応して焼結体が黒っぽくなり、発光色変換部材3の光透過率が低下したり、発光効率が低下したりする原因になることがある。また、鉛またはフッ素を含むガラスは、化学的耐久力が悪化しやすく、湿気の多い環境下では表面が変質して、光透過率が低下し、発光効率が低下するおそれがある。鉛の場合、環境汚染を引き起こす可能性が大きいことからも、実質的に含まれないことが好ましい。
さらに、ガラス粉末は、ガラスを着色させ、光の透過を妨げるような有色物質、例えば、酸化鉄(III)Fe23や酸化コバルト(II)CoOなどを実質的に含まないことが好ましく、さらには不純物としても含まないことがより好ましい。
具体例としては、M1 2O−M2O−SiO2系ガラスや、M1 2O−M2O−B23−SiO2系ガラスや、M1 2O−TiO2−SiO2系ガラスなどの粉末が挙げられる(但し、M1 2Oは、Na2O、K2O、およびLi2Oのうちの少なくとも1つであり、M2Oは、BaO、CaO、およびMgOのうちの少なくとも1つである。)。上述した含有しないことが好ましい特定の成分を除き、所望の特性に応じて好ましい任意の成分を含有させることができる。ただし、二酸化ケイ素SiO2の含有率が40質量%以上であることが好ましい。この場合、耐候性(耐水性)に優れたSiO2含有ガラスで無機蛍光体粒子1を封止するので、長期間の使用でも確実に色調が変化しない長寿命な発光色変換部材3が得られる。
表1は、本実施の形態で用いるガラスの組成を示す表である。実際には、表1の質量%になるように、二酸化ケイ素、ホウ酸、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、炭酸カリウム、および酸化亜鉛をはかり取り、調合する。この際、ホウ酸および炭酸塩は、加熱溶融時に水または二酸化炭素を放出して酸化物に変化するので、水または二酸化炭素を放出した後の酸化物の質量%が表1の値になるように、ホウ酸および炭酸塩としては、質量の減少分を加算して調合する。
続いて、この混合物を白金るつぼに入れ、1300℃で3時間溶融状態に保った後、即座に水冷して、ガラスカレットを作製する。所望の粒子径およびモード径のガラス粉末を得るためには、従来公知の製造方法を適用できる。例えば、大粒径のガラスカレットを作製した後に、粉砕、分級を経て所望の粒子径およびモード径のガラス粉末とする。
(ガラス粉末の粒子径)
次に、ガラスカレットをスタンプミルで粉砕した後、JIS規格の100メッシュ、150メッシュ、および300メッシュの3種のふるいを用いて分級し、ガラス粉末試料(i)〜(iii)を得た。ガラス粉末試料(i)〜(iii)は、それぞれ、100メッシュのふるいを通過し、150メッシュのふるいを通過できなかったガラス粉末、150メッシュのふるいを通過し、300メッシュのふるいを通過できなかったガラス粉末、および、300メッシュのふるいを通過したガラス粉末である。
図3は、ガラス粉末試料(i)〜(iii)の粒子径分布を示すグラフである。各試料の粒子径とモード径(出現頻度(粒子個数の比率)が最も大きい粒子径)を下記に記す。
ガラス粉末試料(i) :粒子径:2〜600μm、モード径:152μm
ガラス粉末試料(ii) :粒子径:1.5〜500μm、モード径:77μm
ガラス粉末試料(iii):粒子径:1〜250μm、モード径:23マイクロm
発光色変換部材3を形成するガラス粉末としては、粒子径が500μm以下で、かつモード径が77μm以下であるガラス粉末が好ましく、ガラス粉末試料(ii)やガラス粉末試料(iii)が好ましい。粒子径が500μmより大きい粒子を含むガラス粉末や、モード径が77μmよりも大きいガラス粉末では、ガラス粒子間に存在する大きな空隙によって粉体の熱伝導性が悪化し、ガラス粉末の融点が実効的に上昇する。この結果、粒子径が500μm以下で、かつモード径が77μm以下であるガラス粉末と同じ条件で焼結しても、焼結体中に空孔が多く発生する。このような焼結体では空孔を通じて空気中の水分や酸素が侵入してくるので、蛍光体粒子1が水分や酸素と接触して劣化するのを防止することができず、蛍光体粒子1をガラス封止して水分や酸素から保護する効果が十分に得られないことがある。また、焼結体の光透過率が低く、発光色変換部材として十分な発光効率が得られないことがある。加えて、粒子径が大きすぎると、蛍光体粒子1が発光色変換部材3中に均一に分散されず、色むらや輝度低下の原因になることがある。
一方、焼結体の特性のみを考慮した場合には、粒子径が小さいほど好ましく、粒子径の下限値は存在しない。すなわち、粒子径が小さいほど、ガラス粒子間に存在する空隙のサイズが小さくなるので、空隙に起因する粉体の熱伝導性の低下は少なくなり、ガラス粉末が本来の軟化点に近い比較的低い温度で一様に軟化する。この結果、焼結体中に残される空孔が減少し、蛍光体粒子1の劣化も少なくなるので、好ましい。しかし、モード径の小さいガラス粉末原料を製造するのには多大な工数がかかるため、製造コストや生産性を考慮した場合、実用的な粒子径の下限値は存在する。例えば、モード径が23μm以上のガラス粉末であれば、(これに限定されるものではないが)容易に製造できるので好ましい。
<焼結前工程>
(無機蛍光体粉末とガラス粉末との混合粉末の調製)
前述した無機蛍光体粉末と上記のガラス粉末とを混合する。混合の方法はとくに限定されるものではなく、従来公知の混合方法を適用できる。例えば、ミキサーを用いた機械式混合方法などが挙げられる。
(混合粉末の成形型への充填)
調製した混合粉末4を、例えば、図2に示した成形型20内に充填する。まず、焼結ダイ21の内側に剥離材としてカーボンシート25を挿入する。次に、混合粉末4を、焼結ダイ21の空孔24の中で、上部パンチ22と下部パンチ23との間に挟むように充填する。充填量は、焼結された時点で焼結体の厚さが適当な厚さ、例えば5mm程度になるような所定の体積分とする。この後、混合粉末を上側の面と下側の面とが平行になるように均等に配置し、隙間を減らすなどの目的で、ハンドプレス装置などを用いて、上部パンチ22および下部パンチ23の上下から混合粉末に10MPa程度の圧力を加えて予備的に加圧し、混合粉末4中の空気をできるだけ除去し、焼結工程の準備を終了する。なお、混合粉末4と上部パンチ22および下部パンチ23との間にも、予め剥離材としてカーボンシート26および27を挿入しておく。
<焼結工程>
まず、混合粉末4が充填された成形型20をホットプレス焼結装置10の焼結ステージ19上にセットする。次に、真空チャンバー16内の空気を真空排気して、混合粉末4中の空気を除去する。真空度は1Pa程度とする。その後、この減圧雰囲気中で、上部パンチ22および下部パンチ23を介して混合粉末4に一定の圧力を加えながら、ヒーター12に通電し、混合粉末4を所定の温度に加熱して焼結させる。
(焼結時の加圧圧力および加熱温度の検討(1))
ホットプレス焼結時の適切な加圧圧力や加熱温度を予備的に決定するために、無機蛍光体粉末を含まない、表1の組成のガラス粉末だけを成形型20に充填し、加圧圧力および加熱温度を種々に変えて焼結させる実験を行った。焼結後のガラスは成形型20から取り出し、密度を測定した。
図4は、ガラス粉末の焼結条件(焼結時の加圧圧力および加熱温度)と、焼結後のガラスの密度との関係を示すグラフである。同じガラス粉末を1300℃で融解させて得られる溶融ガラスの密度は2.75g/cm3であるので、焼結後のガラスの密度がこの値に近いほど、空孔の少ない、良質な焼結ガラスであると考えられる。本実施の形態では、密度が2.70g/cm3以上であるものを良品とした。表1の組成のガラスの場合、密度が2.70g/cm3以上であれば、発光色変換部材3を構成する焼結ガラスとして、外部からの水分の侵入を十分に防御でき、かつ必要な光透過率も確保できるからである。
図4から、表1の組成のガラスの場合、焼結時の加圧圧力が25MPa以上であれば、加熱温度は550℃以上であればよいことがわかる。これに対し、加圧せずに加熱した場合には、加熱温度が620℃であっても焼結ガラスの密度は2g/cm3未満である。すなわち、加圧しながら加熱することによって、混合粉末中の粉末ガラスの軟化点が実効的に低下し、より低温で品質のよい焼結を行うことができる。ただし、焼結時の加圧圧力が75MPaを超えると金型が壊れやすくなるので、焼結時の加圧圧力は25〜75MPaの範囲とするのが好ましい。
(焼結時の加圧圧力の検討(2))
ホットプレス焼結時の適切な加圧圧力を最終的に決定するために、下記の実験を行った。まず、第1の無機蛍光体および第2の無機蛍光体として、それぞれ、SrGa24:EuおよびCaS:Euを選択し、両者を質量比で85:15の割合で混合した。次に、この無機蛍光体粉末と上記ガラス粉末とを体積比で5:95の割合で混合して、混合粉末試料を調製した。この混合粉末試料を成形型20に充填し、ホットプレス焼結装置にセットした。そして、焼結時の加熱温度を580℃、その温度に保持する時間(焼結時間)を1時間に固定して、加圧圧力を種々に変えて混合粉末試料を焼結させた。焼結後の試料は成形型20から取り出し、厚さ0.3mmに鏡面研磨し、発光色変換部材試料を作製した。発光光が全反射されて検知される積分球内において、得られた発光色変換部材試料に1Wの青色光を照射し、出射される白色光の輝度を測定した。なお、青色光光源としてルミネッツ社製LED(ピーク波長465nm、電流350mA)を用いた。
図5(a)は、焼結時の加圧圧力と、発光色変換部材試料から出射される白色光の輝度との関係を示すグラフである。図5(a)から、加圧圧力が50MPaをこえると、輝度が低下することがわかる。これは蛍光体に加わる圧力が許容値を超えると、蛍光体の性能が劣化するためであると考えられる。従って、混合粉末4を焼結させるときの加圧圧力は、25〜50MPaの範囲とするのが好ましい。
(焼結時の加熱温度の検討(3))
ホットプレス焼結時の適切な加熱温度を最終的に決定するために、下記の実験を行った。上記と同じ混合粉末試料を成形型20に充填し、ホットプレス焼結装置にセットした。そして、加圧圧力を50MPa、焼結時の一定温度に保持する時間(焼結時間)を1時間に固定して、焼結時の温度を種々に変えて混合粉末試料を焼結させた。焼結後の試料は成形型20から取り出し、厚さ0.3mmに鏡面研磨し、発光色変換部材試料を作製した。発光光が全反射されて検知される積分球内において、得られた発光色変換部材試料に1Wの青色光を照射し、出射される白色光の輝度を測定した。青色光光源は、上記と同じルミネッツ社製LEDである。
図5(b)は、焼結時の加熱温度と、発光色変換部材試料から出射される白色光の輝度との関係を示すグラフである。図5(b)から、加熱温度が600℃をこえると、輝度が低下することがわかる。これは蛍光体に加わる温度が許容値を超えると、蛍光体の性能が劣化するためであると考えられる。従って、混合粉末4を焼結させるときの加熱温度は、550〜600℃の範囲とすることが好ましい。
(焼結時の加熱温度の一般化)
焼結時の加熱温度に下限があるのは、下限温度未満ではガラスの軟化が不十分で、焼結体に空孔や一体化されていないガラス粒子が残され、ガラスの密度も不十分であるため、焼結体の光透過率が不十分になり、発光色変換部材3として十分な発光効率が得られなくなるからである、と考えられる。また、加熱温度に上限があるのは、温度が上限温度をこえると、ガラスの粘度が下がりすぎ、蛍光体がガラスとの反応を起こしやすくなり、ガラスとの反応による蛍光体の変質によって発光色変換部材3の輝度が低下したり、発光色が変化したりするからである、と考えられる。いずれもガラスの粘度に関係があるので、表1の組成のガラスについて得られた適切な加熱温度の範囲を、粘度に換算することによって、他の組成のガラスについても適用できる一般的表現に言い換えることができる。
図6は、表1の組成のガラスにおける温度と粘度との関係を示すグラフである。このガラスでは、550℃における粘度は107.7Pa・sであり、これが粘度の上限である。また、600℃における粘度は106.5Pa・sであり、これが粘度の下限である。すなわち、表1以外の組成のガラスについては、焼結時の加熱温度を、ガラスの粘度が106.5〜107.7Pa・sとなる温度範囲とすればよいことがわかる。
(焼結時間)
ホットプレス焼結法による発光色変換部材3の焼結時間は、1〜2時間であることが好
ましい。焼結時間が1時間より短いと、焼結体に空孔が残ったままであったり、一体化し
ていないガラス粒子が残ったままであったりするため、焼結ガラス2の密度が上がらず、
焼結体の光透過率が不十分になり、発光色変換部材3として十分な発光効率が得られない
場合がある。一方、焼結時間が2時間より長いと、生産効率が悪いことに加え、無機蛍光
体粒子1がガラスと反応しやすくなるため、変質によって輝度が低下してしまうことが多
い。
[実施の形態2]
実施の形態2では、主として、請求項9〜11に記載した発光色変換部材の製造方法の例について説明する。
(混合粉末の成形型への充填)
図7は、実施の形態2における成形型20内の構成を示す断面図である。図2に示した実施の形態1における成形型20内の構成と比べると、混合粉末4と上部パンチ22および下部パンチ23との間に、混合粉末4よりも高融点の酸化物粉体30および31が配置され、この状態で加圧加熱して焼結工程を行う点が異なっている。これ以外は実施の形態1と同じであるので、相違点に重点をおいて説明する。
混合粉末4を成形型20に充填するには、まず、内側に剥離材としてグラファイトシート25を挿入した焼結ダイ21の空孔24内に下部パンチ23を挿入する。そして、この下部パンチ23の上に高融点酸化物粉体31を充填する。充填量は、プレス後の厚さが適当な厚さ、例えば2mm程度になるような体積分とする。この後、焼結ダイ21の上部から空孔24内に上部パンチ22を挿入し、ハンドプレス装置などを用いて上部パンチ22および下部パンチ23の上下から10MPa程度の圧力を加え、上側の面と下側の面とが平行になるように高融点酸化物31を層状に配置し、隙間がなくなるように固める。次に、上部パンチ22を空孔24から抜き出し、固めた高融点酸化物31の直上に混合粉末4を充填する。充填量は、焼結された時点で焼結体の厚さが適当な厚さ、例えば5mm程度になるような所定の体積分とする。この後、焼結ダイ21の上部から空孔24内に上部パンチ22を挿入し、混合粉末4が高融点酸化物粉体30および31と入り混じるのを防いだり、隙間を減らしたりする目的で、ハンドプレス装置などを用いて、上部パンチ22および下部パンチ23の上下から混合粉末に10MPa程度の圧力を加えて予備的に加圧し、混合粉末4中の空気をできるだけ除去する。さらに、上記と同様にして、固めた混合粉末4の直上に、高融点酸化物粉体30を充填し、ハンドプレス装置などを用いて圧力を加え、上側の面と下側の面とが平行になるように高融点酸化物粉体30を層状に配置し、隙間がなくなるように固める。
高融点の酸化物としては、上述したように隙間なく充填することができ、取り扱いも容易であるので、粉体状の酸化物を用いるのがよい。また、酸化物が粉体状であると、加熱した際に酸化物粉体と成形型の熱膨張に違いがあっても、酸化物粉体の方がもろいので、成形型が割れるおそれがなく、好ましい。焼結後、ハンドプレス装置を用いて容器から焼結体を取り出す際にも、酸化物粉体が簡単に割れるので、焼結体を傷つけずにスムーズに取り出すことができる。酸化物が固形状であると、形状を成形型の形状に合わせる加工が必要になる。また、成形型から焼結体を取り出す際に、固形状の酸化物をスムーズに取り出すことができず、焼結体や成形型を破損することがある。
<高融点の酸化物粉体30および31の材料>
ガラス粉末の焼結状態が、高融点の酸化物粉体30および31の有無およびその種類の違いによって受ける影響を調べるために、混合粉末4の代わりに、表1の組成のガラス粉末だけを図7に示したように成形型20に充填して、加圧焼結後の焼結ガラスの光透過率を測定する実験を行なった。高融点の酸化物粉体30および31としては、酸化カルシウムCaO、酸化アルミニウムAl23、酸化ランタン(III)La23、酸化ニオブ(V)Nb25、酸化ジルコニウム(IV)ZrO2、酸化チタン(IV)TiO2、酸化マグネシウムMgO、および二酸化ケイ素SiO2の粉体を用いた。充填量は、それぞれの密度から計算した焼結時の厚さが、それぞれ2mm程度になるように決めた。
この成形型20をホットプレス焼結装置10の焼結ステージ19上にセットして、真空チャンバー16内の空気を真空排気する。その後、真空雰囲気中でガラス粉末に50MPaの圧力を加えながら、ヒーター加熱によって昇温速度20℃/minで550℃まで昇温した後、550℃に1時間保持し、ガラス粉末を焼結させた。その後、ホットプレス焼結装置10内で放冷させ、室温近傍まで冷えた試料を成形型20ごと取り出した。次に、焼結後のガラスを成形型20から取り出し、光透過方向の厚さが0.3mmの円板形に加工し、光が透過する2つの面を鏡面研磨仕上げして、焼結ガラス試料を作製した。比較例として、高融点の酸化物粉体30および31を配置せず、実施の形態1と同様にしてガラス粉末を焼結した焼結ガラス試料も作製した。また、表1の組成のガラスを1300℃で融解して鋳込んだ溶融ガラスを、厚さ0.3mmの板形に加工し、光が透過する2つの面を鏡面研磨仕上げして、溶融ガラス試料を作製した。
図8は、各ガラス試料の、可視光波長領域(400〜780nm)における光透過率の違いを示すグラフである。全ガラス試料のうち、溶融ガラス試料の光透過率が最も高い。溶融ガラス試料の光透過率を目標として、焼結ガラス試料の光透過率がこの値に近いほど好ましいが、高融点の酸化物粉体30および31を配置して加圧焼結した焼結ガラス試料は、高融点の酸化物粉体30および31を配置せずに焼結した焼結ガラス試料よりも、明らかに光透過率が高い。
図9は、上記ガラス試料の、可視光波長領域における平均光透過率の違いを示すグラフである。図9によれば、焼結ガラス試料の光透過率を高くする高融点酸化物粉体は、酸化カルシウムCaO、酸化アルミニウムAl23、酸化ランタン(III)La23、酸化ニオブ(V)Nb25、酸化ジルコニウム(IV)ZrO2、酸化チタン(IV)TiO2、酸化マグネシウムMgO、および二酸化ケイ素SiO2の順である。このうち、酸化カルシウムおよび酸化アルミニウムを高融点の酸化物粉体として用いた場合には、可視光波長領域の全域において焼結ガラスの光透過率を88%以上に維持できるので好ましい。ただし、酸化カルシウムは、焼結後、必ず焼結ガラス試料の両面に強固に付着し、これを取り除くのに研磨が必要になること、また、水と触れると急激に発熱し、焼結ガラス試料が割れることもあることなど、取り扱いが難しい。これに対し、酸化アルミニウムは、焼結後、焼結ガラス試料から剥がれやすく、成形型から取り出したときに焼結ガラス試料から簡単に分離できるので、より好ましい。
高融点の酸化物粉体30および31の有無、およびその種類によって焼結ガラス試料の光透過率が変化する理由は、現在のところ、不明である。図8に示した光透過率のグラフでは、
(1)特定の物質の生成を示唆する吸収帯が存在しない。
(2)短波長の光ほど光透過率が低下する。
ことから、ガラス粒子主部と粒界領域における屈折率の違いなど、焼結ガラス試料の固体構造が関係しているのではないかと考えられる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、主として、請求項15〜17に記載した、発光源と発光色変換部材とを備えた発光素子の例について説明する。
図10(a)は、実施の形態3に基づく発光素子40の構造を示す断面図である。発光素子40では、発光源である青色LEDチップ41が、メタルステム42の上に配置されている。青色LEDチップ41の裏面側の電極はメタルステム42に銀ペーストなど(図中、黒く塗りつぶして表示した部材)を用いて接着され、電気的に接続されている。青色LEDチップ41の表面側の電極は、金線などの金属線44を用いたワイヤボンディングによって、メタルポスト43に電気的に接続されている。青色LEDチップ41は、シール材45、チップ41の上方に窓部を有する収納容器46、および窓部に取り付けられた発光色変換部材47によって気密封止されている。
シール材45の材料は気密封止できるものであればよく、とくに限定されるものではないが、通常、樹脂または低融点ガラスである。シール材45が低融点ガラスからなるシール材であると、シール材の劣化が少なく、信頼性が高くなるので好ましい。収納容器46の材料も気密封止できるものであればよく、とくに限定されるものではないが、通常、加工の容易な金属である。発光色変換部材47は収納容器46の窓部に接着剤によって固定される。この接着剤(図中、黒く塗りつぶして表示した部材)も気密封止できるものであればよく、とくに限定されるものではないが、通常、樹脂または低融点ガラスである。接着剤が低融点ガラスからなるシール材であると、シール材の劣化が少なく、信頼性が高くなるので好ましい。
発光素子40では、青色LEDチップ41から上方へ出射された青色光は発光色変換部材47に入射する。この青色光の一部は発光色変換部材47を透過したり、発光色変換部材47によって散乱されたりするが、他の一部は発光色変換部材47中の無機蛍光体粒子によって吸収される。青色光を吸収して励起された無機蛍光体粒子は、青色光とは異なる波長の光を発光する。例えば、無機蛍光体粒子が、青色光を緑色光に変換可能な第1の蛍光体と、青色光を赤色光に変換可能な第2の蛍光体とからなる場合には、緑色光と赤色光とが出射され、青色光との混合によって白色発光が得られるので、発光素子40は3色型白色光LED光源として機能する。また、無機蛍光体粒子がYAG系蛍光体からなる場合には、青色光の補色光が出射され、青色光との混合によって擬似的な白色発光が得られるので、発光素子40は2色型白色光LED光源として機能する。
図10(b)は、実施の形態3に基づく発光素子50の構造を示す断面図である。発光素子50では、平板形状の発光色変換部材47の代わりにドーム形状(半球面状)の発光色変換部材52が用いられ、これに合わせて収納容器51の形状が、浅形で、窓部の大きい形状に変化している。
発光素子50では、発光素子40に比べ、青色LEDチップ41から出射された青色光をより多く発光色変換部材52に入射させることができるので、輝度が向上する。また、上方のどの方向にも一様な強度の発光が得られる利点もある。しかし、ドーム形状(半球面状)の発光色変換部材52を作製するには、製造工程が増加し、製造歩留まりが低下するので、発光素子50はコスト高になる。これに対し、発光素子40は、発光特性は発光素子50に比べて劣るものの、平板形状の発光色変換部材47の作製が容易で、生産性が高く、コスト安である利点がある。
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明する。実施例1では実施の形態1で説明したようにして、発光色変換部材試料を作製した。また、実施例2では実施の形態2で説明したようにして、発光色変換部材試料を作製した。
(無機蛍光体粉末とガラス粉末との混合粉末の調製)
まず、第1の無機蛍光体および第2の無機蛍光体として、それぞれ、SrGa24:EuおよびCaS:Euを選択し、両者の粉末を質量比で85:15の割合で混合した。一方、実施の形態1で説明したようにして、表1の組成を有し、図3(ii)に示した粒子径分布をもつガラス粉末試料(ii)を作製した。次に、これらの無機蛍光体粉末とガラス粉末とを体積比で5:95の割合で混合して、混合粉末試料を調製した。混合は、秤量した粉末をビニール袋に入れて密閉し、袋ごとまんべんなく振り、肉眼で見て全体の色が均一になったところで終了した。
(混合粉末の成形型への充填)
調製した混合粉末4を、図2に示した成形型20内に充填した。まず、焼結ダイ21の内側に剥離材としてカーボンシート25を挿入した。次に、混合粉末4を、焼結ダイ21の空孔24の中で上部パンチ22と下部パンチ23との間に挟むように充填した。充填量は、焼結された時点で焼結体の厚さが5mm程度になる体積分の質量、約4.5gとした。この後、上側の面と下側の面とが平行になるように混合粉末4を均等に配置し、隙間を減らす目的で、ハンドプレス装置を用いて、上部パンチ22および下部パンチ23の上下から混合粉末に10MPa程度の圧力を加え、混合粉末4中の空気をできるだけ除去した。なお、混合粉末4と上部パンチ22および下部パンチ23との間にも、予め剥離材としてカーボンシート25および26を挿入しておいた。
(焼結工程)
まず、混合粉末4が充填された成形型20をホットプレス焼結装置10にセットした。次に、真空チャンバー16内を真空排気し、混合粉末中の空気を除去した。その後、この真空雰囲気中で混合粉末4に50MPaの圧力を加えながら、20℃/minの昇温速度で580℃(ガラスの粘度としては107Pa・s)まで昇温した後、580℃に1時間保持し、ホットプレス焼結法によって混合粉末4を焼結させた。その後、ホットプレス焼結装置10内で放冷させ、室温近傍まで冷えた試料を成形型20ごと取り出した。焼結時の雰囲気は、1×10-3torr台の真空雰囲気とした。真空雰囲気中で焼結を行うと、発光色変換部材3中に残される空孔が少なくなり、好ましい。また、焼結時における水分や酸素による無機蛍光体粒子1の劣化を最小限に抑えることができる。また、真空チャンバー16内の炉材が酸化されて傷むのを防止することができる。
次に、成形型20から焼結後の試料を傷めないように取り出した。その後、光透過方向の厚さが0.3mmの円板形に加工し、光が透過する2つの面を鏡面研磨仕上げして、発光色変換部材試料を作製した。
この発光色変換部材試料に青色光を照射し、発光色変換部材試料から出射される発光光の色度を測定し、この試料が、青色LED素子などの青色光源から出射された青色光を良好な白色光に変換する発光色変換部材として機能することを確認した。具体的には、光が全反射されて検知される積分球内において、周囲に漏れないように発光色変換部材試料に青色光を照射し、透過方向に出射される発光光のXY色度を色度計によって測定した。なお、青色光光源としてはルミネッツ社製1WパワーLED(ピーク波長465nm、電流350mA)を用いた。
図11は、発光光のXY色度を示すグラフである。白色の中心値は、(X、Y)値が(0.33、0.33)であるが、X、Yの各値の公差が±0.02であれば、良好な白色光であると判定した。上記の、第1の無機蛍光体粉末と第2の無機蛍光体粉末との質量比が85:15であり、無機蛍光体粉末の含有率が5vol%である発光色変換部材試料(厚さ0.3mm)からは、(X、Y)値が(0.333、0.349)である、良好な白色の発光光が得られた。なお、図11上の数値は、無機蛍光体粉末の体積含有率(vol%)を示している。
さらに、この発光色変換部材試料の環境耐性試験を行った。具体的には、温度85℃、湿度85%の恒温恒湿槽内に発光色変換部材を置き、所定の時間ごとに蛍光強度を測定し、初期値からの変化を求めた。
図12は、環境耐性試験において用いる蛍光強度測定装置60を示す概略図である。この装置60は、中央・先端に配置された光出射部61から発光色変換部材試料70に向けて青色光62を照射し、青色光62で励起された発光色変換部材試料70が発する蛍光を、周辺部に配置された検出部63で測定するように構成されている。
図13は、測定結果を示すグラフである。図13(a)は、可視光波長領域(400〜780nm)における蛍光強度スペクトルの時間変化を示すグラフである。図13(b)は、緑色および赤色の蛍光のピーク波長である535nmおよび649nmにおける蛍光強度の時間変化を示すグラフである。上記の発光色変換部材試料では、500時間後においても初期の90%をこえる蛍光強度を維持しており、高温高湿環境下における劣化に耐性を有していることがわかった。
(混合粉末の成形型への充填)
実施例1と同様に調製した混合粉末4を、図7に示したように成形型20内に充填した。まず、焼結ダイ21の内側に剥離材としてカーボンシート25を挿入した。次に、焼結ダイ21の空孔24内に、挿入した下部パンチ23を台にして高融点酸化物粉体31として酸化アルミニウム粉末を充填した。充填量は、プレス後の厚さが2mm程度になるように、約2.5gとした。この後、上部パンチ22を焼結ダイ21の上部から空孔24内に挿入し、ハンドプレス装置を用いて上部パンチ22および下部パンチ23の上下から10MPa程度の圧力を加え、酸化アルミニウム粉末を上側の面と下側の面とが平行になるように層状に配置し、隙間がなくなるように固めた。
次に、上部パンチ22を空孔24から抜き、固めた酸化アルミニウム粉末の直上に混合粉末4を充填した。充填量は、焼結された時点で焼結体の厚さが5mm程度になるように、約4.5gとした。この後、上部パンチ22を焼結ダイ21の上部から空孔24内に挿入し、ハンドプレス装置を用いて上部パンチ22および下部パンチ23の上下から10MPa程度の圧力を加えて予備的に加圧し、混合粉末4が高融点酸化物粉体30および31と入り混じるのを防ぐ目的で、混合粉末4中の隙間をできるだけ除去した。
さらに、上部パンチ22を空孔24から抜き、固めた混合粉末4の直上に、上記と同様にして酸化アルミニウム粉末を充填し、上部パンチ22を焼結ダイ21の上部から空孔24内に挿入し、ハンドプレス装置を用いて圧力を加え、酸化アルミニウム粉末を上側の面と下側の面とが平行になるように層状に配置し、隙間がなくなるように固めた。
(焼結工程)
まず、混合粉末4が充填された成形型20をホットプレス焼結装置10にセットした。次に、真空チャンバー16内の空気を真空排気した。その後、この真空雰囲気中で混合粉末4に50MPaの圧力を加えながら、20℃/minの昇温速度で580℃(ガラスの粘度としては107Pa・s)まで昇温した後、580℃に1時間保持し、ホットプレス焼結法によって混合粉末4を焼結させた。その後、ホットプレス焼結装置10内で放冷させ、室温近傍まで冷えた試料を成形型20ごと取り出した。焼結時の雰囲気は、実施例1と同様、1×10-3torr台の真空雰囲気とした。
次に、焼結後の試料を成形型20から傷めないように取り出した。その後、光透過方向の厚さが0.3mmの円板形に加工し、光が透過する2つの面を鏡面研磨仕上げして、発光色変換部材試料を作製した。
実施例1と同様にして、この発光色変換部材試料に青色光を照射し、発光色変換部材試料から出射される発光光の色度を測定し、この試料が、青色LED素子などの青色光源から出射された青色光を良好な白色光に変換する発光色変換部材として機能することを確認した。さらに、実施例1と同様にして、上記発光色変換部材試料の環境耐性試験を行い、温度85℃、湿度85%における発光色変換部材の蛍光強度を測定し、初期値からの変化を求めた。
図14は、測定結果を示すグラフである。図14(a)は、可視光波長領域(400〜780nm)における蛍光強度スペクトルの時間変化を示すグラフである。図14(b)は、緑色および赤色の蛍光のピーク波長である535nmおよび649nmにおける蛍光強度の時間変化を示すグラフである。上記の発光色変換部材試料では、500時間後においても初期の90%をこえる蛍光強度を維持しており、高温高湿環境下における劣化に耐性を有していることがわかった。
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
特開2003−258308号公報(第2−4頁、図1) 特開2005−11933号公報(第3−7頁、図1) 特開2008−19109号公報(第3−5頁、図1) 特開2002−60747号公報(第4−6頁、図1) 特開2002−69442号公報(第3−6頁) 特開2006−52345号公報(第5及び6頁、図1及び2) 特開2008−115223号公報(第4−7頁、図1)
1…無機蛍光体粒子、2…焼結ガラス、3…発光色変換部材、4…混合粉末、10…ホットプレス焼結装置、11…加圧機構(油圧シリンダなど)、12…ヒーター、13…熱電対、14…制御装置、15…電源、16…水冷真空チャンバー、17…真空排気装置、18…ガス供給装置、19…焼結ステージ、20…成形型、21…焼結ダイ、22…上部パンチ、23…下部パンチ、24…空孔、25〜27…グラファイトシート、30、31…高融点粉体、40…発光素子、41…青色LEDチップ、42…メタルステム、43…メタルポスト、44…金属線、45…シール材、46…収納容器、47…発光色変換部材、50…発光素子、51…収納容器、52…発光色変換部材、60…蛍光強度測定装置、61…光出射部、62…青色光、63…検出部、70…発光色変換部材試料

Claims (14)

  1. 発光源からの光によって励起され別の波長の蛍光を発光する無機蛍光体粉末と、ガラス粉末とを含有し、樹脂バインダーを含有しない混合粉末が、
    いずれもグラファイト製である焼結ダイと上部パンチと下部パンチとからなる成形型の前記上部パンチ及び前記下部パンチの間に配置された粉体状の酸化カルシウムCaO、酸化アルミニウムAl23、酸化ランタン(III)La23、酸化ニオブ(V)Nb25、酸化ジルコニウム(IV)ZrO2、酸化チタン(IV)TiO2、及び酸化マグネシウムMgOからなる群から選ばれた少なくとも1種の酸化物の間に充填され、
    加圧されながら焼結されてなり、無機蛍光体粒子が焼結ガラス中に封止されている、発光色変換部材。
  2. 前記焼結が減圧雰囲気中で行われてなる、請求項1に記載した発光色変換部材。
  3. 前記無機蛍光体が、硫化物材料をホストとする硫化物系蛍光体を含み、前記ガラスが、鉛、ビスマス、及びフッ素を実質的に含まないガラスである、請求項1に記載した発光色
    変換部材。
  4. 前記硫化物系蛍光体が、少なくとも、青色光を吸収して緑色光を発光する第1の硫化物系蛍光体と、青色光を吸収して赤色光を発光する第2の硫化物系蛍光体とを含み、青色光を受光すると、その一部を緑色光及び赤色光に変換し、残りの青色光と混合することにより、白色光を出射する、請求項3に記載した発光色変換部材。
  5. 前記無機蛍光体が、青色光を吸収してそれと補色の関係にある蛍光を発光するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を含み、青色光を受光すると、その一部を青色光の補色光に変換し、残りの青色光と混合することにより、白色光を出射する、請求項1に記載した発光色変換部材。
  6. 発光源からの光によって励起され別の波長の蛍光を発光する無機蛍光体粉末と、ガラス粉末とを均一に混合し、樹脂バインダーを含有しない混合粉末を調製する工程と、
    前記混合粉末を成形型に充填する工程と、
    前記成形型中で加圧しながら加熱して、前記混合粉末を焼結する工程と
    を有し、
    いずれもグラファイト製である焼結ダイと上部パンチと下部パンチとからなる前記成形型において、前記混合粉末と前記上部パンチ及び前記下部パンチとの間に、粉体状の酸化物を配置し、この状態で前記焼結工程を行い、
    前記酸化物として、酸化カルシウムCaO、酸化アルミニウムAl23、酸化ランタン(III)La23、酸化ニオブ(V)Nb25、酸化ジルコニウム(IV)ZrO2、酸化チタン(IV)TiO2、及び酸化マグネシウムMgOからなる群から選ばれた少なくとも1種の酸化物を用いる、発光色変換部材の製造方法。
  7. 前記混合粉末中の空気を排気する工程を有し、減圧雰囲気中で加圧しながら加熱して、前記混合粉末を焼結する、請求項6に記載した発光色変換部材の製造方法。
  8. 前記焼結工程をホットプレス焼結法によって行う、請求項6に記載した発光色変換部材の製造方法。
  9. 前記ガラス粉末として、ガラス粒子の粒子径が500μm以下であり、かつモード径(粒子径の最大頻度値)が77μm以下であるガラス粉末を用いる、請求項6に記載した発光色変換部材の製造方法。
  10. 前記焼結工程において、前記成形型内の前記混合粉末に25〜50MPaの圧力を加えて成形する、請求項6に記載した発光色変換部材の製造方法。
  11. 前記焼結工程において、前記成形型内の前記混合粉末を、前記ガラスの粘度が106.5〜107.7Pa・sとなる温度に加熱する、請求項6に記載した発光色変換部材の製造方法。
  12. 発光源と、請求項1〜5のいずれか1項に記載した発光色変換部材とを備える、発光素子。
  13. 前記発光源が発光ダイオード素子である、請求項12に記載した発光素子。
  14. 前記発光ダイオード素子が青色発光ダイオード素子であり、このダイオード素子が発した青色光を白色光に変換して出射する、請求項13に記載した発光素子。
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