JP2012036367A - 蛍光体複合部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐熱性や高演色性、昼光色から電球色までの多様な色度制御性を有し、しかも発光強度の高い蛍光体複合部材を提供する。
【解決手段】セラミックス基材の表面に、SnO−P系ガラスおよび無機蛍光体粉末を含有する無機粉末焼結体層が形成されてなる蛍光体複合部材であって、励起光が照射されたときに、セラミックス基材および無機粉末焼結体層が互いに異なる波長の蛍光を発することを特徴とする蛍光体複合部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、励起光を照射することにより蛍光を発し、透過励起光と蛍光との合成により白色光を得るための蛍光体複合部材に関するものである。
青色の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)の開発により、光の3原色RGB(R:赤色、G:緑色、B:青色)のLEDが揃い、これらのLEDを並べて用いることによって白色光を得る技術が提案されている。しかし、通常、三色のLEDの発光出力は異なるため、各色LEDの特性を調整して白色光を得ることは困難である。また、三原色のLEDを集合させて同一平面上に並べても、例えば、液晶用バックライト用途のように、それらのLEDを接近した位置で視認する場合には、均質な白色光源を得ることはできない。また、各色LEDの色劣化速度が異なるため、白色光の長期安定性に問題がある。
これらの問題を解決するために、青色LEDと、青色LEDから発せられた青色光によって黄色の蛍光を光するYAG蛍光体(YAl12)を組み合わせたLEDが開発されている(例えば、特許文献1参照)。当該LEDによれば、YAG蛍光体が発する黄色光と青色LEDの透過光との合成により白色光が得られる。この方式であれば、励起光源のLEDとしては1種類ですむため、低コストであり、白色光の長期安定性にも優れる。
上記白色LEDは、従来の照明装置等の光源に比べ、長寿命、高効率、高安定性、低消費電力、高応答速度、環境負荷物質を含まない等の利点を有しているため、現在、ほとんどの携帯電話の液晶バックライトに適用されている。また、近年ではテレビの液晶バックライト用光源として急速に普及が広まってきている。今後は、これに加えて一般照明にも応用が進むと期待されている。
ところで、特許文献1に開示されている白色LEDは、LEDチップの発光面を有機系バインダー樹脂に蛍光体粉末を分散したものをモールド被覆してなる構成を有している。そのため、青色〜紫外線領域の高出力の短波長の光や、蛍光体の発熱、あるいはLEDチップの熱によって、上記有機系バインダー樹脂が劣化し、変色を引き起こす。その結果、発光強度の低下や色ずれが起こり、寿命が短くなるという問題がある。
また、得られる白色光は、青色と黄色の合成光であるため、色温度の高い白色光(昼光色)を得ることはできるが、色温度の低い白色光(電球色)を得ることができないという問題もある。さらに、2色による合成光であるため、演色性が低く、照明用途には不向きである。
これらの問題に対し、蛍光を発するセラミックス基材表面に、無機蛍光体粉末を含有するガラス焼結体層を形成してなる蛍光体複合部材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。当該蛍光体複合部材は、耐熱性に乏しい有機系バインダー樹脂を使用していないため、経時的な発光強度の低下を抑制でき、演色性が高く、しかも昼光色から電球色までの様々な色温度に対応した白色光を得ることが可能である。
特開2000−208815号公報 特開2008−169348号公報
特許文献2に記載の蛍光体複合部材には、ガラス焼結体層に含まれるガラス粉末としてSiO−B系ガラスが使用されており、セラミックス基材には、YAG結晶を含有する基材が使用されている。SiO−B系ガラスは一般に融点が高いため、ガラス焼結体層を形成するためには高い焼成温度が要求される(例えば、850℃以上)。このため、使用する蛍光体によっては焼成時に熱劣化して発光強度が低下する場合がある。また、SiO−B系ガラスは屈折率が1.6程度と低いため、屈折率1.8を超えるYAG基板との屈折率差が大きく、その界面で光散乱損失が生じやすい。その結果、得られる白色光の発光強度が低下する傾向がある。
したがって、本発明は、優れた耐熱性や高演色性、昼光色から電球色までの多様な色度制御性を有し、しかも発光強度の高い蛍光体複合部材を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討した結果、蛍光を発するセラミックス基材表面に、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末焼結体層を形成してなる蛍光体複合部材において、特定の組成を有するガラス粉末を使用することにより前記課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。
すなわち、本発明は、セラミックス基材の表面に、SnO−P系ガラスおよび無機蛍光体粉末を含有する無機粉末焼結体層が形成されてなる蛍光体複合部材であって、励起光が照射されたときに、セラミックス基材および無機粉末焼結体層が互いに異なる波長の蛍光を発することを特徴とする蛍光体複合部材に関する。
本発明の蛍光体複合部材は、従来の部材で使用されていた有機バインダー樹脂等の有機物が使用されていないため、経時的な発光強度の低下を抑制できる。また、励起光が照射されたときに、セラミックス基材および無機粉末焼結体層が互いに異なる波長の蛍光を発し、これらの光が蛍光体複合部材中を透過する励起光と合成されるため、演色性が高く、昼光色から電球色までの様々な色温度に対応した白色光を発することができる。
さらに、本発明では、無機粉末焼結体層を構成するガラス成分として、SnO−P系ガラスが使用されている。SnO−P系ガラスは組成の最適化によって低軟化点化させることが容易であり、焼結温度を低くすることができる。このため、焼成時の熱による無機蛍光体粉末の劣化を抑制することができる。また、SnO−P系ガラスは、組成の最適化によって1.8程度の高い屈折率を達成することができる。よって、例えばセラミック基材としてYAGセラミックス基材を用いた場合、当該YAGセラミックス基材の屈折率とほぼ整合させることが可能となり、セラミックス基材と無機粉末焼結体層の界面における光散乱損失を低減させることができる。その結果、発光強度が高い蛍光体複合部材とすることができるため、照明、ディスプレイ等の発光装置、自動車等の前照灯に使用されるLEDデバイス用部材として好適である。
なお、本発明において「〜系ガラス」とは、明示の成分を必須成分として含有するガラスをいう。
第二に、本発明の蛍光体複合部材は、セラミックス基材が、波長400〜500nmの励起光を吸収し、波長450〜780nmの蛍光を発することを特徴とする。
第三に、本発明の蛍光体複合部材は、セラミックス基材が、青色の励起光を吸収し、黄色の蛍光を発することを特徴とする。
第四に、本発明の蛍光体複合部材は、セラミックス基材が、結晶中にCe3+を含むガーネット結晶からなることを特徴とする。
第五に、本発明の蛍光体複合部材は、ガーネット結晶が、YAG結晶またはYAG結晶固溶体であることを特徴とする。
第六に、本発明の蛍光体複合部材は、無機粉末焼結体層が、波長400〜500nmの励起光を吸収し、波長500〜780nmの蛍光を発することを特徴とする。
第七に、本発明の蛍光体複合部材は、無機粉末焼結体層が、青色の励起光を吸収し、赤色および/または緑色の蛍光を発することを特徴とする。
なお、本発明において、青色光とは、波長430〜480nmに中心波長を有する光を、緑色光とは、波長500〜535nmに中心波長を有する光を、黄色光とは、波長535〜590nmに中心波長を有する光を、赤色光とは、波長610〜780nmに中心波長を有する光をそれぞれ意味する。
第八に、本発明の蛍光体複合部材は、セラミックス基材および無機粉末焼結体層から発せられる蛍光と、蛍光体複合部材中を透過する励起光とが合成されて白色光を発することを特徴とする。
第九に、本発明の蛍光体複合部材は、無機粉末焼結体層が、無機蛍光体粉末を0.01〜30質量%含有することを特徴とする。
第十に、本発明の蛍光体複合部材は、SnO−P系ガラスが、組成としてモル%表示で、SnO 35〜80%、P 5〜40%、B 0〜30%を含有することを特徴とする。
第十一に、本発明の蛍光体複合部材は、無機粉末焼結体層の表面粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする。
第十二に、本発明の蛍光体複合部材は、散乱係数が1〜500cm−1であることを特徴とする。
第十三に、本発明は、前記いずれかの蛍光体複合部材を用いたことを特徴とするLEDデバイスに関する。
第十四に、本発明は、前記いずれかの蛍光体複合部材を製造するための方法であって、SnO−P系ガラスおよび無機蛍光体粉末の混合物を焼成して焼結体を得る工程、セラミックス基材上に前記焼結体を熱圧着プレスすることにより、無機粉末焼結体層を形成する工程、を含むことを特徴とする蛍光体複合部材の製造方法に関する。なお便宜上、本明細書において当該製造方法を、ペースト法やグリーンシート法とは区別して、「熱圧着プレス法」という。
熱圧着プレス法によれば、無機粉末焼結体層がセラミックス基材に強固に接合されやすく、界面での剥離を抑制することができる。
また、SnO−P系ガラスは機械的強度が比較的弱く、脆い。このため、一般的な研磨法で非常に薄い(例えば、0.1mm程度)無機粉末焼結体層を形成することは困難である。一方、熱圧着プレス法を用いると、非常に薄い無機粉末焼結体層を容易に形成することができる。
なお、ペースト法やグリーンシート法により焼結体層を形成する場合は、溶剤や結合剤等に起因する炭素成分が焼結体中に残留し、発光強度低下の原因となる場合がある。それに対し、熱圧着プレス法であれば、溶剤や結合剤等の有機化合物を使用しなくとも、セラミックス基材上に無機粉末焼結体層を形成することが可能であるため、炭素成分に起因する発光強度低下を未然に防止することが可能となる。
本発明の蛍光体複合部材を示す模式図である。
図1に、本発明の蛍光体複合部材の模式図を示す。図1に示すように、本発明の蛍光体複合部材は、セラミックス基材2の表面に、SnO−P系ガラスおよび無機蛍光体粉末を含有する無機粉末焼結体層1が形成されてなるものであり、励起光が照射されたときに、セラミックス基材および無機粉末焼結体層が互いに異なる波長の蛍光を発することを特徴とする。
具体的には、本発明の蛍光体複合部材において、セラミックス基材は、励起光を照射したときに、波長400〜500nmの光(好ましくは、青色光)を吸収し、波長450〜780nmの光(好ましくは、黄色光)の蛍光を発することが好ましい。また、無機粉末焼結体層は、波長400〜500nmの光(好ましくは、青色光)を吸収し、波長500〜780nmの光(好ましくは、赤色および/または緑色)の蛍光を発することが好ましい。セラミック基材および無機粉末焼結体層が、上記の吸収波長および蛍光波長を有することにより、色温度の低い白色光(電球色)が得られやすくなる。
本発明の蛍光体複合部材におけるセラミックス基材としては、セラミックス基材中にCeを0.001〜1モル%、0.002〜0.5モル%、特に0.005〜0.2モル%含有するガーネット結晶からなるものを用いることが好ましい。これにより、ガーネット結晶中においてCe3+が発光中心となり、青色の励起光を吸収し、黄色の蛍光を発しやすくなる。セラミックス基材中におけるCeの含有量が少なすぎると、黄色の発光強度が低下する傾向にあり、結果として、白色光が得られにくくなる。一方、Ceの含有量が多すぎると、黄色の蛍光が強くなり、結果として、白色光が得られにくくなる。
なお、ガーネット結晶とは、一般的にA12で表される結晶(A=Mg、Mn、Fe、Ca、Y、Gd等;B=Al、Cr、Fe、Ga、Sc等;C=Al、Si、Ga、Ge等)をいう。ガーネット結晶のうち、特にYAG(YAl12)結晶またはYAG結晶固溶体は、所望の黄色の蛍光を発するため好ましい。YAG結晶固溶体としては、Yの一部をGd、Sc、CaおよびMgからなる群から選択された少なくとも1種の元素で置換したもの、および/または、Alの一部をGa、Si、GeおよびScからなる群から選択された少なくとも1種の元素で置換したものが挙げられる。
セラミックス基材は、0.01〜2mm、0.05〜1mm、特に0.1〜0.5mmの厚さを有する板状であることが好ましい。セラミックス基材が板状であると、セラミックス基材上に無機粉末焼結体層を形成しやすくなる。セラミックス基材の厚さが薄くなりすぎると、セラミックス基材中の結晶量が少なくなり、十分な黄色の蛍光が発せられず、結果として、白色光が得られにくくなる。一方、セラミックス基材の厚さが厚くなりすぎると、黄色の発光が強くなり、結果として、白色光が得られにくくなる。
本発明におけるセラミック基材は、例えば以下のような方法により作製することができる。まず、A12(A=Mg、Mn、Fe、Ca、Y、Gd等:B=Al、Cr、Fe、Ga、Sc等:C=Al、Si、Ga、Ge等)の量論組成となるように、A、BおよびCの酸化物原料を秤量し、これにCeを0.001〜1モル%添加する。次に、ボールミル等により十分に攪拌混合した後、得られた粉体を100〜300MPaの圧力で所望の形状(例えば板状)にプレス成型する。続いて、得られたプレス成型体を1500〜1800℃の温度で焼成することにより、セラミック基材を得る。なお、酸化物原料粉末としては、数μm程度あるいはそれ以下の粒径を有し、かつ高純度のものを用いることにより、均質なセラミック基材が得られやすくなる。
無機粉末焼結体層に用いられるSnO−P系ガラス粉末には、無機蛍光体粉末を安定に保持するための媒体としての役割がある。SnO−P系ガラス粉末は融点が低く、低温で焼結可能であるため、焼成時における無機蛍光体粉末の熱劣化を抑制することができる。SnO−P系ガラス粉末としては、SnO−P−B系ガラス、SnO−P−ZnO系ガラス等が挙げられる。
SnO−P系ガラスとしては、組成としてモル%表示で、SnO 35〜80%、P 5〜40%、B 0〜30%を含有するものであることが好ましい。ガラス組成をこのように限定した理由を以下に説明する。
SnOはガラス骨格を形成するとともに、軟化点を低下させる成分である。SnOの含有量は35〜80%、40〜70%、50〜70%、特に55〜65%であることが好ましい。SnOの含有量が35%未満であると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、耐候性が悪化する傾向がある。一方、SnOの含有量が80%を超えると、ガラス中にSnに起因する失透ブツが析出し、ガラスの透過率が低下する傾向にあり、結果として、蛍光強度が低下する。また、ガラス化しにくくなる。
はガラス骨格を形成する成分である。Pの含有量は5〜40%、10〜30%、特に15〜24%であることが好ましい。Pの含有量が5%未満であると、ガラス化しにくくなる。一方、Pの含有量が40%を超えると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、耐候性が著しく低下する傾向にある。
なお、軟化点を低下させ、かつガラスを安定化させるには、SnO/Pの値が、モル比で、0.9〜16、1.5〜16、1.5〜10、特に2〜5であることが好ましい。SnO/Pの値が0.9より小さくなると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、焼結温度が上昇する傾向がある。結果として、無機蛍光体粉末層を形成する際の熱処理により無機蛍光体粉末が劣化しやすくなる。また、ガラスの耐候性が著しく低下する傾向にある。一方、SnO/Pの値が16より大きくなると、ガラス中にSnに起因する失透ブツが析出し、ガラスの透過率が低下する傾向にあり、結果として、高い発光効率を有する蛍光体複合部材が得られにくくなる。
は、ガラスの耐候性を向上させるとともに、ガラス粉末と無機蛍光体粉末の反応を抑制する成分である。また、ガラスを安定化させる成分でもある。Bの含有量は0〜30%、1〜25%、2〜20%、特に4〜18%であることが好ましい。Bの含有量が30%を超えると、耐候性が低下しやすくなる。また、ガラスの軟化点が上昇する傾向がある。
なお、SnO−P系ガラス粉末には、その他にも下記の成分を添加することができる。
Alはガラスを安定化させる成分である。Alの含有量は0〜10%、0〜7%、特に1〜5%であることが好ましい。Alの含有量が10%を超えると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、焼結温度が上昇する傾向がある。結果として、無機蛍光体粉末層を形成する際の熱処理により無機蛍光体粉末が劣化しやすくなる。
SiOはAlと同様にガラスを安定化させる成分である。SiOの含有量は0〜10%、0〜7%、特に0.1〜5%であることが好ましい。SiOの含有量が10%を超えると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、焼結温度が上昇する傾向がある。結果として、無機蛍光体粉末層を形成する際の熱処理により無機蛍光体粉末が劣化しやすくなる。また、ガラスが分相しやすくなる。
LiO、NaOおよびKOは、ガラスの軟化点を低下させる成分である。その含有量はそれぞれ0〜10%、0〜7%、特に0.1〜5%であることが好ましい。これら成分の含有量がそれぞれ10%を超えると、ガラスが著しく不安定になり、ガラス化しにくくなる。
なお、LiO、NaOおよびKOを合量で0〜10%、0〜7%であり、特に1〜5%にすることが好ましい。これら成分の合量が10%より多くなると、ガラスが不安定になり、ガラス化しにくくなる。
MgO、CaO、SrO、BaOはガラスを安定化させてガラス化しやすくする成分である。その含有量はそれぞれ0〜10%、0〜7%、特に0.1〜5%であることが好ましい。これら成分の含有量がそれぞれ10%を超えると、ガラスが失透しやすく、透過率が低下する傾向にある。その結果、発光強度が低下しやすくなる。
なお、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合量で0〜10%、0〜7%、特に1〜5%にすることが好ましい。これら成分の合量が10%を超えると、ガラスが失透しやすくなり、透過率が低下する傾向にある。その結果、発光強度が低下しやすくなる。
また、耐候性を向上させるために、ZnO、Ta、TiO、Nb、Gd、Laを合量で10%まで添加してもよい。
SnO−P系ガラス粉末の屈折率(nd)は、セラミックス基板と無機粉末焼結体層との界面における光散乱損失を抑制する観点から、1.5以上、1.7以上、特に1.8以上であることが好ましい。
また、SnO−P系ガラス粉末の軟化点は500℃以下、450℃以下、特に400℃以下であることが好ましい。軟化点が500℃を超えると、焼結温度が高くなり、無機蛍光体粉末層を形成する際の熱処理により無機蛍光体粉末が劣化しやすくなる。
また、SnO−P系ガラス粉末の平均粒径D50が大きすぎると、無機粉末焼結体層中の無機蛍光体粉末の分散状態に劣り、発光色にばらつきが生じやすくなる。そのため、SnO−P系ガラス粉末の平均粒径D50は100μm以下、特に50μm以下であることが好ましい。なお、下限については特に限定されないが、SnO−P系ガラス粉末の平均粒径D50が小さくなりすぎると、コストが高騰しやすくなるため、0.1μm以上、特に1μm以上であることが好ましい。
無機粉末焼結体層に含まれる無機蛍光体粉末としては、一般に市中で入手できるものであれば使用でき、酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、酸フッ化物、ハロゲン化物、ハロリン酸塩化物などからなるものが挙げられる。なかでも、波長300〜500nmに励起帯を有し、波長500〜780nmに発光ピークを有するもの、特に、赤色および/または緑色に発光するものを用いることが好ましい。
具体的には、青色励起光を照射すると赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末として、CaS:Eu2+、ZnS:Mn2+,Te2+、MgTiO:Mn4+、KSiF:Mn4+、SrS:Eu2+、Na1.230.42Eu0.12TiSi411、Na1.230.42Eu0.12TiSi13:Eu3+、CdS:In,Te、CaAlSiN:Eu2+、CaSiN:Eu2+、(Ca,Sr)Si:Eu2+、Euが挙げられる。
また、青色励起光を照射すると緑色の蛍光を発する無機蛍光体粉末として、SrAl:Eu2+、SrGa:Eu2+、SrBaSiO:Eu2+、CdS:In、CaS:Ce3+、Y(Al,Gd)12:Ce2+、CaScSi12:Ce3+、SrSiO:Eu2+が挙げられる。
無機粉末焼結体層における無機蛍光体粉末の含有量が多くなりすぎると、焼結しにくくなり、気孔率が大きくなって、光散乱損失が大きくなるなどの問題が生じる。一方、無機蛍光体粉末の含有量が少なすぎると、十分な発光が得られにくくなる。よって、無機粉末焼結体層における無機蛍光体粉末の含有量は、0.01〜30質量%、0.05〜20質量%、特に0.08〜15%であることが好ましい。
無機粉末焼結体層は、0.01〜1mm、0.02〜0.8mm、特に0.1〜0.8mmの厚さを有することが好ましい。無機粉末焼結体層の厚さが0.01mm未満であると、無機粉末焼結体層から発せられる蛍光が不十分となり、白色光が得られにくくなる。一方、無機粉末焼結体層の厚さが1mmを超えると、励起光やセラミックス基板が発する蛍光が透過しにくくなり、結果として、白色光が得られにくくなる。
なお、セラミックス基材が板状である場合、無機粉末焼結体層はセラミックス基材の片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
本発明の蛍光体複合部材は、散乱係数が1〜500cm−1、2〜250cm−1、特に10〜200cm−1であることが好ましい。散乱係数が1cm−1未満であると、励起光が蛍光体複合部材中で十分に散乱されず、その大部分が透過してしまう。その結果、セラミックス基板および無機粉末焼結体層において十分な蛍光が発せられず、励起効率が低下するため、発光強度が低下しやすくなる。一方、散乱係数が大きくなると、励起光が蛍光体複合部材内で散乱して蛍光の発生量が増え、励起効率が向上するが、散乱係数が500cm−1を超えると、光散乱損失が大きくなりすぎて、発光強度が低下する傾向がある。
また、本発明の蛍光体複合部材は、無機粉末焼結体層の表面粗さRaが0.5μm以下、0.2μm以下、特に0.1μm以下であることが好ましい。無機粉末焼結体層の表面粗さが0.5μmを超えると、光散乱損失が大きくなり、励起光および蛍光の透過率が低下して発光強度が低下する傾向がある。
本発明の蛍光体複合部材においては、セラミックス基材と無機粉末焼結体層の間には、接着剤層や空間層を介在させずに、無機粉末焼結体層をセラミックス基材上に融着一体化させることにより密着してなることが好ましい。セラミックス基材と無機粉末焼結体層との間に空間がなく密着した構造にすることで、セラミックス基材と無機粉末焼結体層の界面での光反射損失を低減して発光強度の低下を抑制することができ、しかも、機械的強度を向上させることができる。また、このようにすれば、熱による変色の原因となる有機系樹脂接着剤を使用せずとも、本発明の蛍光体複合部材を作製することが可能となる。
セラミックス基材からの無機粉末焼結体層の剥離を防止するには、セラミックス基材の熱膨張係数をα1、無機粉末焼結体層の熱膨張係数をα2としたとき、−5ppm/℃≦α1−α2≦5ppm/℃、特に−1ppm/℃≦α1−α2≦1ppm/℃であることが好ましい。α1−α2が上記範囲外になると、無機粉末焼結体層がセラミックス基材から剥離しやすくなる。
セラミックス基材と無機粉末焼結体層の膨張係数を整合させるために、無機粉末焼結体層には無機フィラー粉末を含有させることが好ましい。無機フィラー粉末としては、低膨張特性を有するリン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、NZP型結晶およびこれらの固溶体等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。ここで、「NZP型結晶」とは、例えば、NbZr(POや[AB(MO]の基本構造をもつ結晶が含まれる。
A:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ni、Mn等
B:Zr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、Y等
M:P、Si、W、Mo等
なお、無機フィラー粉末はZr成分を含有するものを使用することが好ましい。Zr成分を含有する無機フィラー粉末は、SnO−P系ガラスと適合性が良好、つまりSnO−P系ガラスとの反応性が低く、焼結時にガラスを失透させにくい性質を有している。
無機フィラー粉末の熱膨張係数は、30〜380℃の温度範囲で50×10−7/℃以下、特に30×10−7/℃以下であることが好ましい。無機フィラー粉末の熱膨張係数が50×10−7/℃より大きいと、無機粉末焼結体層の熱膨張係数を低下させる効果が得られにくい。なお、無機フィラー粉末の熱膨張係数の下限については特に限定されないが、現実的には−100×10−7/℃以上である。
無機粉末焼結体層における無機フィラー粉末の含有量は、1〜30質量%、1.5〜25質量%、特に2〜20質量%であることが好ましい。無機フィラー粉末の含有量が1質量%未満であると、上記効果が得られにくい。一方、無機フィラー粉末の含有量が30質量%を超えると、焼成時に軟化流動するガラス粉末の含有量が相対的に少なくなるため、セラミックス基材に対する融着強度が低下しやすくなる。また、無機粉末焼結体層におけるガラスマトリクスと無機フィラー粉末の界面における光散乱損失が大きくなり、発光強度が低下する傾向がある。
無機フィラー粉末の平均粒子径D50は、0.1〜50μm、特に3〜20μmであることが好ましい。無機フィラー粉末の平均粒子径D50が0.1μmより小さいと、熱膨張係数を低下させる効果に劣る傾向がある。あるいは、焼成時にガラスに溶け込み、フィラーとしての役割を果たさなくなるおそれがある。無機フィラー粉末の平均粒子径D50が50μmより大きいと、SnO−P系ガラス粉末と無機フィラー粉末の境界にクラックが発生しやすくなる。
なお、無機フィラー粉末とSnO−P系ガラス粉末の屈折率差が小さいほど、両者の界面での光散乱損失が小さくなり、発光強度が向上しやすくなる。具体的には、無機フィラー粉末とSnO−P系ガラス粉末の屈折率との差は0.2以下、特に0.1以下であることが好ましい。例えば、SnO−P系ガラスの屈折率が1.8程度である場合は、無機フィラー粉末の屈折率は1.6〜2、特に1.7〜1.9であることが好ましい。
無機粉末焼結体層は、SnO−P系ガラス粉末と無機蛍光体粉末、さらに必要に応じて無機フィラーを含む混合物に、結合剤、可塑剤、溶剤等を加えて混錬したものを、例えばペーストの形態にして、焼成することで作製することができる。ペースト全体に占めるガラス粉末と無機蛍光体粉末の割合としては、30〜90質量%程度が一般的である。
結合剤は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、その含有量は、0.1〜20質量%程度が一般的である。結合剤としては、ポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース、ニトロセルロース等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。
可塑剤は、膜の乾燥速度をコントロールするとともに、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり、その含有量は0〜10質量%程度が一般的である。可塑剤としては、フタル酸ジブチル、ブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。
溶剤は、原料粉末をペースト化するための成分であり、その含有量は10〜50質量%程度が一般的である。溶剤としては、テルピネオール、酢酸イソアミル、トルエン、メチルエチルケトン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート、2、4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。
スクリーン印刷法や一括コート法、ディスペンス法等を用いてセラミックス基材上にペーストを塗布し、所定の膜厚の塗布層を形成し、乾燥させた後、焼成することで所定の無機粉末焼結体層を得ることができる。ここで、ペーストの上から加熱プレートを押し当て、加圧することにより、無機粉末焼結体層を形成してもよい。
焼成温度は、250〜600℃、特に300〜500℃であることが好ましい。焼成温度が250℃未満であると、セラミックス基材から無機粉末焼結体層が剥離しやすくなる。また、緻密な無機粉末焼結体層が得られにくくなり、結果として、無機粉末焼結体層の発光強度が低下し、所望の光を発する蛍光体複合部材が得られにくくなる。一方、焼成温度が600℃を超えると、無機蛍光体粉末がガラス粉末と反応して劣化し、所望の光を発する蛍光体複合部材が得られにくくなる。
焼成雰囲気としては、ガラス粉末中の酸化、特にSn成分の酸化を抑制するため減圧または真空中、あるいは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中が好ましい。ガラス粉末中のSn成分が酸化すると、ガラス粉末が焼結しにくくなり、セラミックス基板への融着が不十分になる傾向がある。
ペースト以外にもグリーンシートを用いて無機粉末焼結体層を作製することもできる。グリーンシートを作製するための一般的な方法としては、上記ガラス粉末、無機蛍光体粉末、結合剤、可塑剤等を用意し、これらに溶剤を添加してスラリーとし、このスラリーをドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルムの上にシート成形する。続いて、シート成形後、乾燥させることによって有機系溶剤等を除去することでグリーンシートとすることができる。
ガラス粉末と無機蛍光体粉末のグリーンシート中に占める割合は、50〜80質量%程度が一般的である。
結合剤、可塑剤および溶剤としては、上記と同様のものを用いることができる。結合剤の混合割合としては0.1〜30質量%程度、可塑剤の混合割合としては0〜10質量%程度、溶剤の混合割合としては1〜40質量%程度が一般的である。
以上のようにして得られたグリーンシートをセラミックス基材上に積層し、熱圧着した後、上述のペーストの場合と同様に焼成することで無機粉末焼結体層を得ることができる。
さらに、SnO−P系ガラスおよび無機蛍光体粉末の混合物を焼成して焼結体を予め作製し、セラミックス基材上に当該焼結体を熱圧着プレスすることにより、無機粉末焼結体層を形成することも可能である。熱圧着プレスは、例えば加熱した金型の間にセラミックス基材と焼結体を挟み込むことにより行われる。金型と焼結体の間に、ガラス基板等の離型材を挿入した状態で熱圧着プレスを行ってもよい。
当該方法によれば、既述の通り、非常に薄い(例えば、0.01〜0.30mm)無機粉末焼結体層を容易に形成することができる。
プレス温度は、SnO−P系ガラスが十分に軟化してセラミックス基材表面に固着できる温度であれば構わない。具体的には、200℃以上、特に250℃以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、無機蛍光体粉末の失活や、SnO−P系ガラスの変性を防止する観点から、900℃以下、700℃以下、特に500℃以下であることが好ましい。
プレス圧は、目的とする無機粉末焼結体層の厚みに応じて30kPa/cm以上、50kPa/cm以上の範囲で適宜調整される。一方、上限は特に限定されないが、蛍光体複合部材の破損を防止するため、400kPa/cm以下、特に300kPa/cm以下とすることが好ましい。
プレス時間は特に限定されないが、無機粉末焼結体層がセラミックス基材表面に十分に固着するよう、0.1〜30分間、0.5〜10分間、特に1〜5分間で適宜調整すればよい。
熱圧着プレス時の雰囲気は、無機蛍光体粉末の失活、SnO−P系ガラスの変性、および、プレス装置の酸化による劣化を抑制するため、不活性ガス雰囲気、特にランニングコストを考慮して窒素雰囲気であることが好ましい。
なお、予め無機粉末焼結体層のみを作製し、その後、無機粉末焼結体層をセラミックス基材上に設置し、無機粉末焼結体層の軟化点付近の温度まで加熱し、融着一体化することにより本発明の蛍光体複合部材を作製してもよい。
上記のようにして作製した蛍光体複合部材を、切断、研磨加工して、任意の形状、例えば、円盤状、柱状、棒状等の形状に加工してもよい。
以下、実施例に基づき、本発明の蛍光体複合部材を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)セラミックス基材の作製
まず、高純度かつ2μm以下の粒経を有する原料を用いて、YAG(YAl12)の量論組成となるように、モル%で、Y 37.4625%、Al 62.5%、Ce 0.0375%を秤量し、これに対し焼結助剤としてテトラエトキシシランを0.6質量%添加した。次に、ボールミルを用いて、調合した原料をエタノール中で17時間攪拌混合した後、減圧乾燥して粉体を得た。続いて、得られた粉体を200MPaの圧力でプレス成型して直径10mmφ、厚さ3mmのプレス成型体を作製し、これを真空雰囲気中1750℃で10時間焼成を行うことで焼成体を得た。その後、その焼成体を0.1mmの厚さとなるように両面研磨することでセラミックス基材を得た。
このようにして得られたセラミックス基材について、X線粉末回折装置を用いて析出結晶の同定を行ったところYAG結晶が単相で析出していることが確認された。
得られたセラミックス基材について、発光スペクトルを測定したところ、波長550nm付近に中心を有する黄色の蛍光と、波長465nm付近に中心を有する青色励起光(セラミックス基材を透過した励起光)によるピークが観測された。
発光スペクトルは次のようにして測定した。校正された積分球内で、600mAの電流で点灯した青色LEDによってセラミックス基材を励起し、光ファイバーを通じてその発光を小型分光器(オーシャンオプティクス製 USB−4000)に取り込み、制御PC上に発光スペクトル(エネルギー分布曲線)を得た。
(2)無機粉末焼結体層用ペーストの作製
モル%で、SnO 62%、P 21.5%、B 11%、MgO 3%、Al 2.5%を含有する組成になるように調合したガラス原料をアルミナ坩堝に投入し、電気炉内950℃で窒素雰囲気にて1時間溶融した。その後、ガラス融液をフィルム成形し、らいかい機で粉砕することによりガラス粉末を得た。
次に、作製したガラス粉末に対し、無機蛍光体粉末としてCaS:Eu2+を、また無機フィラー粉末としてNbZr(POを、質量比で80:10:10の割合で添加し、振動混合機で混合した。得られた混合粉末100質量部に対して、溶媒として50質量部の2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(日本香料薬品株式会社製 MARS)を添加して混合することでペーストを得た。
上記ペーストを用いて無機粉末焼結体層を作製し、発光スペクトルを測定したところ、波長650nm付近に中心を有する赤色の蛍光と、波長465nm付近に中心を有する青色励起光によるピークが観測された。
なお、発光スペクトル測定用の無機粉末焼結体層は次のようにして作製した。まず、多孔質ムライトセラミック基板上に一括コート法で厚さ50μmとなるように塗布し、300℃で1時間脱脂した。次いで、400℃で30分焼成した後、冷却し、ムライト基板を除去することにより、厚さ40μmの無機粉末焼結体層を得た。
(3)蛍光体複合部材の作製
上記(1)で得られたセラミックス基材の表面に、上記(2)で得られた無機粉末焼結体層用ペーストをディスペンス法で厚さ約50μmとなるように塗布した。次いで、約250℃のホットプレート上で熱処理することによって脱溶媒を行った。その後、窒素雰囲気中にて430℃で10分間焼成し、さらに無機粉末焼結体層の上からホットプレスして表面形状を整え、蛍光体複合部材を得た。無機粉末焼結体層の厚みは約20μmであった。
このようにして得られた蛍光体複合部材について、上記方法により発光スペクトルを測定した。制御ソフト(オーシャンフォトニクス製 OP Wave)を用いて、発光スペクトルから全光束値(lm)および色度を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
(1)無機粉末焼結体層用グリーンシートの作製
実施例1で作製したガラス粉末に、無機蛍光体粉末として、SrS:Eu2+(平均粒径:8μm)およびSrBaSiO:Eu2+(平均粒径:8μm)を、質量比で94:3:3の割合で添加し、混合して混合粉末を作製した。次いで、作製した混合粉末100質量部に対して、結合剤としてポリビニルブチラール樹脂を12質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを3質量部、溶剤としてトルエンを40質量部添加し、混合してスラリーを作製した。続けて、上記スラリーをドクターブレード法によって、PETフィルム上にシート成形し、乾燥して、厚さ50μmのグリーンシートを得た。
上記グリーンシートを用いて作製した無機粉末焼結体層について、実施例1と同様の方法により発光スペクトルを測定したところ、波長525nm付近に中心を有する緑色の蛍光および波長650nm付近に中心を有する赤色の蛍光と、波長465nm付近に中心を有する青色励起光によるピークが観測された。
なお、発光スペクトル測定用の無機粉末焼結体層は次のようにして作製した。まず、上記方法で作製したグリーンシートを、多孔質ムライトセラミック基板上に積層し熱圧着によって一体化して積層体を作製した後、300℃で1時間脱脂した。次いで、400℃で30分焼成した後、冷却し、ムライト基板を除去することにより、厚さ40μmの無機粉末焼結体層を得た。
(2)蛍光体複合部材の作製
上記(1)で作製したグリーンシートを、実施例1で得られたセラミックス基材の表面に積層し、熱圧着によって一体化して積層体を作製し、350℃で1時間脱脂した。次いで、400℃で20分焼成した後、冷却して蛍光体複合部材を得た。
このようにして得られた蛍光体複合部材の全光束および色度を上記と同じ方法で測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
(1)無機粉末焼結体層用焼結体の作製
実施例1で得られたガラス粉末に対し、無機蛍光体粉末としてCaAlSiN:Eu2+を、また無機フィラー粉末としてNbZr(POを、質量比で80:10:10の割合で添加し、振動混合機で混合した。混合粉末をプレス成型し、真空中400℃で焼成して焼結体を得た。
得られた焼結体の発光スペクトルを測定したところ、波長650nm付近に中心を有する赤色の蛍光と、波長465nm付近に中心を有する青色励起光によるピークが観測された。
なお、発光スペクトル測定用試料は、焼結体を8mm角に研削した後、1mmの厚さに切断し、両面を鏡面研磨加工することにより作製した。
(2)蛍光体複合部材の作製
実施例1で得られたセラミックス基材の表面に、上記(1)で得られた無機粉末焼結体層用焼結体を載置し、約400℃のホットプレート上で、窒素雰囲気中、100kPa/cmの圧力で3分間プレスすることにより、蛍光体複合部材を得た。無機粉末焼結体層の厚みは約50μmであった。
このようにして得られた蛍光体複合部材の全光束および色度を上記と同じ方法で測定した。結果を表1に示す。
(比較例)
(1)無機粉末焼結体層用ペーストの作製
モル%で、SiO 60%、B 5%、CaO 10%、BaO 15%、Al 5%、ZnO 5%含有する組成になるように調合したガラス原料を白金坩堝に投入し、1400℃で2時間溶融して均一なガラスを得た。次いで、これをアルミナボールで粉砕し、分級して平均粒径が2.5μmのSiO−B系ガラス粉末を得た。
次に、作製したガラス粉末に対し、無機蛍光体粉末としてCaS:Eu2+を、また無機フィラー粉末としてNbZr(POを、質量比で80:10:10の割合で添加し、振動混合機で混合した。得られた混合粉末100質量部に対して、溶媒として50質量部の2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(日本香料薬品株式会社製 MARS)を添加して混合することでペーストを得た。
(2)蛍光体複合部材の作製
実施例1で得られたセラミックス基材の表面に、上記(1)で作製したペーストをディスペンス法で厚さ約50μmとなるように塗布し、300℃で1時間脱脂した。次いで、850℃で20分焼成して蛍光体複合部材を作製した。
このようにして得られた蛍光体複合部材の全光束および色度を上記と同じ方法で測定した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1および2の蛍光体複合部材は、電球色の白色光が得られ、発光強度が18.3lm以上と高いことがわかる。一方、比較例の蛍光体複合部材は、電球色の白色光が得られたものの、発光強度が10.4lmと低かった。
本発明の蛍光体複合部材は、LED用途に限られるものではなく、レーザーダイオード等のように、ハイパワーの励起光を発するLEDデバイスにおける波長変換部材として用いることも可能である。
1 無機粉末焼結体層
2 セラミックス基材

Claims (14)

  1. セラミックス基材の表面に、SnO−P系ガラスおよび無機蛍光体粉末を含有する無機粉末焼結体層が形成されてなる蛍光体複合部材であって、励起光が照射されたときに、セラミックス基材および無機粉末焼結体層が互いに異なる波長の蛍光を発することを特徴とする蛍光体複合部材。
  2. セラミックス基材が、波長400〜500nmの励起光を吸収し、波長450〜780nmの蛍光を発することを特徴とする請求項1に記載の蛍光体複合部材。
  3. セラミックス基材が、青色の励起光を吸収し、黄色の蛍光を発することを特徴とする請求項2に記載の蛍光体複合部材。
  4. セラミックス基材が、結晶中にCe3+を含むガーネット結晶からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  5. ガーネット結晶が、YAG結晶またはYAG結晶固溶体であることを特徴とする請求項4に記載の蛍光体複合部材。
  6. 無機粉末焼結体層が、波長400〜500nmの励起光を吸収し、波長500〜780nmの蛍光を発することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  7. 無機粉末焼結体層が、青色の励起光を吸収し、赤色および/または緑色の蛍光を発することを特徴とする請求項6に記載の蛍光体複合部材。
  8. セラミックス基材および無機粉末焼結体層から発せられる蛍光と、蛍光体複合部材中を透過する励起光とが合成されて白色光を発することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  9. 無機粉末焼結体層が、無機蛍光体粉末を0.01〜30質量%含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  10. SnO−P系ガラスが、組成としてモル%表示で、SnO 35〜80%、P 5〜40%、B 0〜30%を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  11. 無機粉末焼結体層の表面粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  12. 散乱係数が1〜500cm−1であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の蛍光体複合部材を用いたことを特徴とするLEDデバイス。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の蛍光体複合部材を製造するための方法であって、SnO−P系ガラスおよび無機蛍光体粉末の混合物を焼成して焼結体を得る工程、セラミックス基材上に前記焼結体を熱圧着プレスすることにより、無機粉末焼結体層を形成する工程、を含むことを特徴とする蛍光体複合部材の製造方法。
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