JP2014098451A - パイロット式電磁弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】パイロット式電磁弁において、ピストン背空間の圧力を二次側へ放出し易くし、ピストン弁の安定した作動を実現し、全開流量(全開Cv値)の低下を防止する。
【解決手段】ピストン弁1のパイロットポート1aから二次継手22側に開放する導通路1bの開口部の回りに突起11aを設ける。突起11aにより一次側からの流体の流れの影響を抑える。突起11aの長さ(d)とピストン弁1のリフト量(D)との比(A)、突起11aの軸線Lに直角な面の面積である突起面積(s)と主弁ポート24aの口径面積(S)との比(B)を、0.4≦A≦1.0、0<B≦0.08、とする。
【選択図】図1
【解決手段】ピストン弁1のパイロットポート1aから二次継手22側に開放する導通路1bの開口部の回りに突起11aを設ける。突起11aにより一次側からの流体の流れの影響を抑える。突起11aの長さ(d)とピストン弁1のリフト量(D)との比(A)、突起11aの軸線Lに直角な面の面積である突起面積(s)と主弁ポート24aの口径面積(S)との比(B)を、0.4≦A≦1.0、0<B≦0.08、とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、一次側継手と二次側継手との間の主弁ポートに対向してピストン室内にピストン弁を配設するとともに、ピストン弁のパイロットポートをパイロット弁で開閉し、ピストン室内のピストン背空間の圧力と一次側継手の圧力の差圧を利用して主弁ポートを弁開とするようにしたパイロット式電磁弁に関する。
従来、パイロット式電磁弁として、例えば特開平11−344145号公報(特許文献1)に開示されたものがある。また、図8は従来のパイロット式電磁弁の一例を示す図である。本体部2には、一次側継手21と二次側継手22との間に隔壁23が形成され、隔壁23の上端側には主弁座24が形成されている。主弁座24には円形開口をなす主弁ポート24aが形成されている。本体部2にはシリンダケース3が螺合することにより固着されている。
シリンダケース3の内側は円筒状のピストン室31となっており、このピストン室31内に略円柱形状のピストン弁4が内挿されている。ピストン弁4は、金属製のピストン部41とその下端に配設された樹脂製のシール部42とを有している。ピストン弁4の中心にはパイロットポート4aと導通路4bが形成されており、パイロットポート4aは導通路4bを介して二次側継手22に導通される。
電磁駆動部5はプランジャチューブ51の端部に吸引子52を固着するとともに、プランジャチューブ51内にプランジャ53と、パイロット弁体6を内挿しており、プランジャ53とパイロット弁体6は、プランジャ53のボス部53aをパイロット弁体の嵌合溝6aに遊嵌することにより軸線L方向に僅かに遊びをもって連結されている。そして、プランジャ53とパイロット弁体6は、プランジャチューブ51内で軸線L方向(上下方向)に摺動可能になっている。パイロット弁体6とピストン弁4との間にはパイロット弁ばね61が圧縮して介在されている。また、プランジャ53と吸引子52との間にはプランジャばね53bが圧縮して介在されている。
電磁駆動部5の電磁コイル54へ通電がなされていないときは、パイロット弁体6のニードル部6bがパイロットポート4aを弁閉状態とする。電磁コイル54に通電がなされると、プランジャ53が上昇し、プランジャ53のボス部53aがパイロット弁体6の上端に当接して係合する。これにより、プランジャ53とパイロット弁体6が共に上昇する。その後、プランジャ53が吸引子52に当接してプランジャ53が停止し、パイロット弁体6はパイロット弁ばね61のばね力によりさらに上昇する。
そして、プランジャ53に当接し、パイロット弁体6が停止してパイロットポート4aが全開となると、ピストン弁4上部のピストン背空間(ピストン室31)の流体がパイロットポート4aと導通路4bを介して二次継手22側に流出し、ピストン弁4上部のピストン背空間の圧力が低下する。これにより、ピストン背空間の圧力とピストン弁4の下部の圧力(一次側継手21の圧力)の圧力差により、ピストン弁4が上昇し、主弁ポート24aが全開となり、一次継手21から二次継手22に流体が流れる。
この種のパイロット式電磁弁では、ピストン弁に働くピストン背空間の圧力と一次側の圧力の差圧を利用して全開状態となるようにしている。なお、このピストン弁が上昇して安定した全開状態となる動作を行うのに必要な最低限の圧力差を以下、「最低作動圧力差」という。
このように、パイロット式電磁弁では、最低作動圧力差以上の圧力差が必要であり、パイロット弁が弁開となった後、ピストン背空間の圧力が低くなる必要がある。しかしながら、従来のパイロット式電磁弁では、弁開時に、一次側から流れてくる流体の噴流の影響により、ピストン背空間の圧力が上手く二次側へ放出されず、ピストン弁が全開しづらかったり(中間停止状態)、弁開しづらくなる(最低作動圧力差を満足しない状態)おそれがあった。
なお、特許文献1にはピストン弁の二次側の突出部分を有するピストン弁が開示されているが、この突出部分は主弁ポートの弁開し始めに開口面積を小さくするために設けられたものである。この突出部分により一次側から流れてくる流体の噴流の影響をある程度抑えることができるが、突出部分の詳細な条件の具体的な構成はなく、改良の余地を残している。
本発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたものであり、パイロット式電磁弁において、ピストン弁が弁開し始めた時にピストン背空間の圧力を二次側に放出し易くし、安定したピストン弁の作動を実現することを課題とする。
請求項1のパイロット式電磁弁は、一次側継手と二次側継手との間の主弁ポートに対向してピストン室内にピストン弁を配設するとともに、ピストン弁のパイロットポートをパイロット弁で開閉し、ピストン室内のピストン背空間の圧力と一次側継手の圧力の差圧を利用して主弁ポートを弁開とするようにしたパイロット式電磁弁において、前記ピストン弁の前記パイロットポートから前記二次継手側に開放する開口部の回りに突起を設け、前記突起の長さと前記ピストン弁の弁閉状態から全開状態となるまでのリフト量との比A、前記突起の軸線に直角な面の面積である突起面積と前記主弁ポートの口径面積との比Bが、
0.4≦A≦1.0…(1)
0<B≦0.08…(2)
の条件を満たすことを特徴とする。
0.4≦A≦1.0…(1)
0<B≦0.08…(2)
の条件を満たすことを特徴とする。
請求項1のパイロット式電磁弁によれば、上記(1)及び(2)の条件を満たすので、突起が一次側からの流体の流れの影響を抑えるのでピストン背空間の圧力を二次側へ放出し易くなって、安定したピストン弁の作動を実現できるとともに、突起が主弁ポートへの流路を塞ぐこともなく全開流量(全開Cv値)が低下することもない。
次に、本発明のパイロット式電磁弁の実施形態を図面を参照して説明する。図1は実施形態のパイロット式電磁弁の非通電時の縦断面図、図2は同パイロット式電磁弁のピストン弁を示す図である。この実施形態のパイロット式電磁弁と前記図8に示す従来のパイロット式電磁弁との違いは、実施形態におけるピストン弁1の形状であり、図1において前記図8と同じ要素には同符号を付記してある。図1において、ピストン弁1以外の他の要素の構造及び動作は図8について説明した前述のとおりであり、重複する詳細な説明は省略する。
図1及び図2に示すように、実施形態におけるピストン弁1は、金属製(例えば真鍮)のピストン部11とその下端に配設された樹脂製のシール部12とを有している。ピストン部11の中心にはパイロットポート1aと導通路1bが形成されており、パイロットポート1aは導通路1bを介して二次側継手22に導通される。
また、ピストン弁1(ピストン部11)の主弁ポート24aに対向する面には、導通路1bの開口部の軸線L周りに円筒状に突出した突起11aが形成されている。なお、突起11aはシール部12の面から突出する先端までの部分であり、この部分の長さが「突起長さd」である(図2)。また、図3はピストン弁1の全開状態を示す図である。ピストン弁1がピストン室31の上端に当接した状態が全開状態であり、図1に示す長さDがピストン弁1の「リフト量D」である。また、突起11aの先端の、軸線L回りの外周縁で囲まれた円の面積が「突起面積s」である。また、主弁ポート24aの口径面積をSとする。
以上の構成において、ピストン弁1の突起11aは、以下の条件となっている。
d/D=A
s/S=B
0.4≦A≦1.0…(1)
0<B≦0.08…(2)
d/D=A
s/S=B
0.4≦A≦1.0…(1)
0<B≦0.08…(2)
次に突起11aの突起長さdを変化させて最低作動圧力差を測定した検証結果について説明する。
図4は突起長さdをリフト量Dまで変化させたときの最低作動圧力差の測定結果を示す図である。横軸の突起長さの比は突起長さd/リフト量Dの値Aで表し、縦軸の最低作動圧力差はA=0.15の時の最低作動圧力差を1.0として規格化した値である。この測定結果から、突起長さの比は、突起長さd/リフト量Dの値Aが0.40以上にて、効果的に最低作動圧力差を下げることができることが判明した。なお、主弁ポートの口径、ピストン弁の径、リフト量、突起の形状を各種のものに振って検証したが、同様な傾向であることが確認できた。
図5はピストン弁の全開時の有効開口面積を説明する図であり、図5はピストン弁の全開時の状態を示している。ピストン弁1の突起11aの端部から主弁ポート24aの開口端部までの距離Hに対応する線分をPとすると、軸線Lを回転中心として線分Pを母線とする回転体(円錐台)の側面の面積が有効開口面積である。この有効開口面積が主弁ポート24aの口径面積より小さいと、突起11aが主弁ポート24aの流量を低下させてしまう。したがって、全開時の有効開口面積が主弁ポート24aの口径面積より大きければ、突起11aは全開流量(全開Cv値)を低下させることがない。
図6は、突起長さに対する突起面積の相関図であり、横軸は図4と同様に突起長さの比を突起長さd/リフト量Dの値Aで表したもので、縦軸は突起面積の比を突起面積s/開口面積Sの値Bで表したものである。また、図中の曲線は、全開時の有効開口面積が口径面積Sと等しい状態を示す曲線である。したがって、この曲線の下側の領域であれば、突起11aは全開流量(全開Cv値)を低下させることがない。この領域のうち、図4で説明した値Aが0.40以上の領域は、図に斜線で示した領域であり、この領域を規定する突起面積の値Bは、
0<B≦0.08
の条件を満たすものである。
0<B≦0.08
の条件を満たすものである。
以上の検証から、ピストン弁1の突起11aを前記(1)及び(2)の条件を満たすように設定してある。したがって、突起11aが主弁ポート24aへの流路を塞ぐこともなく全開流量(全開Cv値)が低下することもない。また、全閉時には、突起11aは主弁ポート24a内にあり、開き始めのときに一次側から主弁ポート24aに流体の噴流が生じるが、この噴流がパイロットポートを塞ぐのを突起11aにより阻止することができる。したがって、ピストン背空間の圧力を二次側へ放出し易くなって、安定したピストン弁1の作動を実現できる。
図7はピストン弁1の変形例を示す図である。図7(A) は突起11aの直径を大きく(突起面積を大きく)した例である。図7(B) は突起11aの直径を小さく(突起面積を小さく)した例である。図7(C) はシール部12をピストン部11の内径部分をかしめて固定したものである。図7(D) はシール部12を別部品で押さえてピストン部11の内径部分をかしめて固定したものである。図7(E) はシール部12に突起11aを形成するとともに、シール部12をピストン部11の外径部分をかしめて固定した例である。
1 ピストン弁
1a パイロットポート
1b 導通路
11 ピストン部
11a 突起
12 シール部
2 本体部
21 一次側継手
22 二次側継手
24 主弁座
24a 主弁ポート
3 シリンダケース
31 ピストン室
31a 内壁
5 電磁駆動部
51 プランジャチューブ
52 吸引子
53 プランジャ
54 電磁コイル
6 パイロット弁体
6b ニードル部
L 軸線
1a パイロットポート
1b 導通路
11 ピストン部
11a 突起
12 シール部
2 本体部
21 一次側継手
22 二次側継手
24 主弁座
24a 主弁ポート
3 シリンダケース
31 ピストン室
31a 内壁
5 電磁駆動部
51 プランジャチューブ
52 吸引子
53 プランジャ
54 電磁コイル
6 パイロット弁体
6b ニードル部
L 軸線
Claims (1)
- 一次側継手と二次側継手との間の主弁ポートに対向してピストン室内にピストン弁を配設するとともに、ピストン弁のパイロットポートをパイロット弁で開閉し、ピストン室内のピストン背空間の圧力と一次側継手の圧力の差圧を利用して主弁ポートを弁開とするようにしたパイロット式電磁弁において、
前記ピストン弁の前記パイロットポートから前記二次継手側に開放する開口部の回りに突起を設け、
前記突起の長さと前記ピストン弁の弁閉状態から全開状態となるまでのリフト量との比A、前記突起の軸線に直角な面の面積である突起面積と前記主弁ポートの口径面積との比Bが、
0.4≦A≦1.0…(1)
0<B≦0.08…(2)
の条件を満たすことを特徴とするパイロット式電磁弁。
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